油圧ジャッキ制御装置、油圧ジャッキ制御システム、プログラム、記録媒体
【課題】対象物の挙動に応じて油圧ジャッキの制御則を柔軟に更新することを可能とする油圧ジャッキ制御システム等を提供する。
【解決手段】制御コンピュータ31のCPU32は、制御則等の初期条件が入力されると、現在の状態(計測情報及び演算情報)及び制御則に基づいて最終制御目標値を算出し、さらに、各ステップ毎の制御目標値を算出し、対象ステップの制御目標値と実際の状態との偏差が許容誤差範囲内となるまで同一ステップにおいて油圧ジャッキを制御し、許容誤差範囲内となったら、次のステップから処理を繰り返す。制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができる。
【解決手段】制御コンピュータ31のCPU32は、制御則等の初期条件が入力されると、現在の状態(計測情報及び演算情報)及び制御則に基づいて最終制御目標値を算出し、さらに、各ステップ毎の制御目標値を算出し、対象ステップの制御目標値と実際の状態との偏差が許容誤差範囲内となるまで同一ステップにおいて油圧ジャッキを制御し、許容誤差範囲内となったら、次のステップから処理を繰り返す。制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ジャッキの制御を行う油圧ジャッキ制御システム等に関する。詳細には、対象物の挙動に応じて、油圧ジャッキの制御を行う油圧ジャッキ制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ジャッキの制御は、荷重制御あるいは変位制御により行われる。従来の荷重制御では、油圧ジャッキが荷重の指示値(上限、下限あるいは上下限)に対して、実際の荷重がその条件を満足するかどうかを判定して行う。また、従来の変位制御では、油圧ジャッキがストロークの指示値(上限、下限あるいは上下限)に対して、実際のストロークがその条件を満足するかどうかを判定して行う(例えば、[非特許文献1]参照。)。
【0003】
【非特許文献1】「油圧ジャッキ制御システム」、KTI−SHEET、鹿島建設株式会社、1998年、98112000SA、TX−047
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷重を作用させる対象物の挙動が線形(荷重と変位の関係が直線関係になる場合)ではなく、非線形(荷重と変位の関係が直線関係で表せない場合、あるいは、荷重の履歴に応じて同じ荷重でも複数の変位になり得る場合)である場合には、予め、荷重と変位との関係が明らかになっていないと、従来の油圧ジャッキ制御システムは適用できないという問題点がある。
特に、複数の油圧ジャッキを制御する場合には、任意の油圧ジャッキの荷重およびストロークの増減によって、他の油圧ジャッキの荷重およびストロークが影響を受けるため、単純に、単独の油圧ジャッキの荷重及び変位制御の制御則を複数の油圧ジャッキ制御に拡張することができないという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、対象物の挙動に応じて油圧ジャッキの制御則を柔軟に更新することを可能とする油圧ジャッキ制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために第1の発明は、対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、に接続され、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御装置であって、前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、初期条件を入力する初期条件入力手段と、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御装置である。
【0007】
第1の発明では、油圧ジャッキ制御装置は、計測情報、演算情報、制御情報を保持し、初期条件が入力されると、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの制御情報を算出し、制御情報と実際の状態を示す計測情報及び演算情報との偏差に基づいて、油圧ジャッキへの圧油を制御し、油圧ジャッキの駆動制御を行う。
【0008】
油圧ジャッキ制御装置は、電算処理を行う装置であり、例えば、制御コンピュータ、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
計測情報は、センサに関する情報を示し、計測チャンネル毎に保持される。
演算情報は、計測情報から所定の演算式に基づいて導出される情報を示し、演算チャンネル毎に保持される。
制御情報は、油圧ジャッキの制御に関する情報を示し、制御チャンネル毎に保持される。
【0009】
また、初期条件は、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報の現在値あるいは指定値から、任意の1つのチャンネルの制御情報の最終制御目標値を導出する制御則を含み、油圧ジャッキ制御装置は、この制御則に基づいて最終制御目標値を算出するようにしてもよい。
また、初期条件は、さらに、油圧ジャッキの制御の段階を示すステップの数、ステップ毎の刻み値等を含み、油圧ジャッキ制御装置は、最終制御目標値に基づいて各ステップ毎の制御目標値を算出するようにしてもよい。
【0010】
また、初期条件は、さらに、各ステップにおける許容誤差を含み、油圧ジャッキ制御装置は、実際の状態を示す計測情報及び演算情報と各ステップ毎の制御目標値との偏差が許容誤差の範囲内となる迄、同一ステップにおいて油圧ジャッキの制御を繰り返すようにしてもよい。
また、初期条件は、停止則を含み、実際の状態を示す計測情報あるいは演算情報が停止則を満たす場合、油圧ジャッキの制御を停止するようにしてもよい。
また、自動制御と手動制御とを切り替えるようにしてもよい。
【0011】
第1の発明の油圧ジャッキ制御装置では、自動制御の開始時に、制御則等の初期条件を入力して油圧ジャッキの制御を行い、工事毎、実験毎、あるいは、制御の開始・再開毎に制御則を変更することができるので、汎用性を向上させることができる。
また、制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができるので、対象物を意図なく破壊したり傷付けることがないように、油圧ジャッキを制御することができる。
【0012】
第2の発明は、コンピュータを第1の発明の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムである。
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
尚、上記のプログラムをCD−ROM等の記録媒体に保持させて流通させてもよいし、このプログラムを通信回線を介して送受することもできる。
【0013】
第4の発明は、対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、前記油圧ジャッキ及び前記センサに接続される制御装置と、を備え、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御システムであって、前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、初期条件を入力する初期条件入力手段と、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の挙動に応じて油圧ジャッキの制御則を柔軟に更新することを可能とする油圧ジャッキ制御システム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る油圧ジャッキ制御システム等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0016】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1の構成について説明する。
図1は、油圧ジャッキ制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す油圧ジャッキ制御システム1では、対象物3に複数の油圧ジャッキ5−1、5−2、5−3、…が設けられ、各油圧ジャッキ5は、油圧ホースにより電磁弁ボックス7を介して油圧ポンプ9に接続される。
各油圧ジャッキ5及び対象物3には、それぞれ、センサ11−1、11−2、11−3、11−4、…が設けられる。尚、センサ11の種類、設置個所、設置数等は、特に限定されない。センサ11としては、荷重センサ、圧力センサ、変位センサ等を用いることができる。
各センサ11は、動ひずみアンプ21、信号入力コネクタブロック23、A/Dボード25を介して制御コンピュータ31に接続される。
制御コンピュータ31は、DIOボード27、信号出力端子ボックス29を介して電磁弁ボックス7に接続される。
【0018】
対象物3は、油圧ジャッキ5による押引の対象であり、例えば、構造物、実験対象、試験体等である。
油圧ジャッキ5は、油圧により押引を行うジャッキである。
電磁弁ボックス7は、電磁的に弁の開閉を行う装置である。
油圧ポンプ9は、油圧の昇圧あるいは減圧を行う装置である。
【0019】
各油圧ジャッキ5は、電磁弁ボックス7を介して、油圧ポンプ9から油の供給を受けることによりあるいは油圧ポンプ9に油を回収されることにより、対象物3に対して荷重を作用させ押引を行う。
電磁弁ボックス7は、制御コンピュータ31からの制御信号に基づいて弁の開閉を行い、電磁弁ボックス7を介して油圧ポンプ9から油圧ジャッキ5に油を流し、あるいは、油圧ジャッキ5から電磁弁ボックスを介して油圧ポンプ9に油を戻し、油圧ジャッキ5の押引が行われる。
【0020】
センサ11は、油圧ジャッキ5の動作状況、対象物3の挙動等を把握するためのセンサである。センサ11は、荷重センサ、圧力センサ、変位センサ等である。各油圧ジャッキ5、対象物3に設けるセンサ11の数及び種類に特に制限はなく、例えば、油圧ジャッキ5−1に複数の荷重センサ、複数の圧力センサ、複数の変位センサを設けるようにしてもよい。
【0021】
制御コンピュータ31は、センサ11からの計測信号の解析を行い、解析結果に基づいて油圧ジャッキ5を制御するための制御信号を出力する電子計算機である。制御コンピュータ31は、CPU32、メモリ33等を備える。また、制御コンピュータ31は、IF34(インタフェース)を介してディスプレイ35、プリンタ36、キーボード(マウス)37、データベース38に接続される。
制御コンピュータ31としては、例えば、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0022】
CPU32(Central Processing Unit)は、ハードディスク(図示しない)、ROM(図示しない)、記録媒体(図示しない)等に格納される実行プログラム、OS(オペレーションシステム)のプログラム、アプリケーションプログラム等をメモリ33に呼び出して実行し、演算処理(四則演算や比較演算等)、ハードウェアやソフトウェアの動作制御等を行い、後述する各種機能(図5、図6等参照。)を実現する。
メモリ33は、各種実行プログラム、各種データ等を保持する記憶部である。
【0023】
動ひずみアンプ21は、各センサ11を介して入手した油圧ジャッキ5及び対象物3の挙動に関する情報を電気アナログ信号に変換する装置であり、例えば、ひずみ等の微小な入力を増幅するシグナルコンディショナ等である。
【0024】
信号入力コネクタブロック23は、動ひずみアンプ21とA/Dボード25とを接続する装置である。
A/Dボード25は、動ひずみアンプ21、信号入力コネクタブロック23を介して入力された、各センサ11からのアナログ信号をデジタル信号に変換する装置である。
DIOボード27(Digital Input/Output Board)は、デジタル信号を入力あるいは出力するためのインタフェース基板である。
信号出力端子ボックス29は、制御コンピュータ31が作成したON/OFF情報に基づいて、電磁弁ボックス7に電磁弁の開放あるいは閉鎖に必要な電圧を供給する装置である。
【0025】
制御コンピュータ31は、油圧ジャッキ制御システム1の実行プログラムを起動し、A/Dボード25を介して入手した対象物3の挙動に関する情報をもとに、操作者が設定した制御に関する入力情報に従って、各油圧ジャッキ5に連結する油圧弁開閉に関するON/OFF情報を作成し、DIOボード27、信号出力端子ボックス29を介して電磁弁7にON/OFF情報を送り、油圧ジャッキ5を自動制御する。
【0026】
制御コンピュータ31はデジタル信号で動作する。制御コンピュータ31に入力される情報、制御コンピュータ31から出力する情報はすべてデジタルで処理される。電磁弁は、電気的にON/OFFでその状態を示すことが可能であり、DIOボード27を用いることによって、電磁弁の情報は制御コンピュータ31に入力することが可能になり、これとは逆に、電磁弁の状態を制御コンピュータ31から出力することが可能である。
【0027】
次に、図2〜図4を参照しながら、データベース38が保持する計測情報41、演算情報42、制御情報43について説明する。
【0028】
図2は、計測情報41の一形態を示す図である。
計測情報41は、センサ11に関する情報を示し、計測チャンネル毎に保持される。
図2に示す計測情報41は、計測チャンネル101、使用有無102、名称103、単位104、計測値105、指定値106、停止下限値107、停止上限値108等の各フィールドを有する。
【0029】
計測チャンネル101は、計測情報41を特定するための識別子であり、例えば、「K1」である。計測チャンネル101は、各センサ11に対応する。
使用有無102は、該当する計測チャンネルを使用するか否かを示し、例えば、「使用」である。
名称103は、該当する計測チャンネルの名称を示し、例えば、「軸力」、「水平力」である。
単位104は、該当する計測チャンネルの単位を示し、例えば、「kN」である。
【0030】
計測値105は、該当する計測チャンネルにおける計測値を示し、例えば、「500」である。
指定値106は、該当する計測チャンネルに対応する任意指定値、定数を示し、例えば、「600」である。
停止下限値107及び停止上限値108は、それぞれ、停止条件を示す。
【0031】
図3は、演算情報42の一形態を示す図である。
演算情報42は、計測情報41から所定の演算式に基づいて導出される情報を示し、演算チャンネル毎に保持される。
図3に示す演算情報42は、演算チャンネル201、使用有無202、名称203、単位204、演算式205、演算値206、指定値207、停止下限値208、停止上限値209等の各フィールドを有する。
【0032】
演算チャンネル201は、演算情報42を特定するための識別子であり、例えば、「E1」である。
使用有無202は、該当する演算チャンネルを使用するか否かを示し、例えば、「使用」である。
名称203は、該当する演算チャンネルの名称を示し、例えば、「曲げモーメント」、「鉛直変位」である。
単位204は、該当する演算チャンネルの単位を示し、例えば、「kN・m」である。
【0033】
演算式205は、計測情報41から演算情報42を導出するための演算式を示し、例えば、「([チャンネルK3の計測値]+[チャンネルK4の計測値]+[チャンネルK5の計測値]+[チャンネルK6の計測値])/4」である。
演算値206は、該当する演算チャンネルにおける演算値を示し、例えば、「25」である。
指定値207は、該当する演算チャンネルに対応する任意指定値、定数を示す。
停止下限値208及び停止上限値209は、それぞれ、停止条件を示す。
【0034】
図4は、制御情報43の一形態を示す図である。
制御情報43は、油圧ジャッキ5の制御に関する情報を示し、制御チャンネル毎に保持される。
図4に示す制御情報43は、制御チャンネル301、参照チャンネル302、最終制御目標値303、次ステップ制御目標値304、許容誤差305、刻み値306、ステップ数307、電磁弁動作308、押引切替チャンネル309、押引切替値310等の各フィールドを有する。
【0035】
制御チャンネル301は、制御情報43を特定するための識別子であり、例えば、「S1」である。
参照チャンネル302は、制御用のチャンネルとして参照するチャンネル(計測チャンネル等)を示し、例えば、「K1」である。
最終制御目標値303は、該当する制御チャンネルにおける、制御則あるいは最終制御目標値を示し、例えば、「<チャンネルK1の指定値>×2−[チャンネルE2の計測値]」、「<チャンネルK2の指定値>」である。
【0036】
次ステップ制御目標値304は、ステップ毎あるいは次ステップの制御目標値を示し、例えば、「510」である。
許容誤差305は、対象ステップの制御目標値と実際の状態との間の許容誤差を示し、例えば、「±0.1」である。
刻み値306は、制御ステップのピッチを示し、例えば、「±1.5」である。
ステップ数307は、制御の段階を示すステップの数を示し、例えば、「20」である。
【0037】
次に、図5を参照しながら、油圧ジャッキ制御システム1の動作について説明する。
図5は、油圧ジャッキ制御システム1の動作を示すフローチャートである。
尚、制御コンピュータ31は、ハードディスクドライブ等に格納されているプログラム(実行プログラム、OSのプログラム等)をメモリ33上にロードしてCPU32の制御の下に以下の各ステップを実行する。
【0038】
制御コンピュータ31の操作者は、キーボード37等の入力手段を介して、初期条件を入力し、自動制御の開始を指示する。CPU32は、入力された初期条件をデータベース38の計測情報41、演算情報42、制御情報43に保存する(S501)。
尚、初期条件は、ステップ数、刻み値、最終制御目標値、許容誤差、指定値、停止条件等である。
【0039】
操作者から自動制御の開始指示を受けると、CPU32は、データベース38から計測情報41、演算情報42、制御情報43をメモリ33に読み出す(S503)。
CPU32は、各センサ11の計測信号から、現在の状態(計測値及び演算値)を算出し、メモリ33に保存する(S504)。
CPU32は、S501において入力された初期条件、制御情報43の制御則あるいは最終制御目標値等に基づいて、各ステップ毎の制御目標値を算出し、メモリ33に保存する(S505)。
【0040】
CPU32は、制御情報43の次ステップ制御目標値304、許容誤差305、計測情報41の計測値104、演算情報42の演算値206等を参照し、対象ステップの制御目標値と現在の状態(計測値あるいは演算値)との偏差を算出し、当該偏差が許容誤差範囲内であるか否かを判定する(S506)。
また、CPU32は、現在の状態(計測値あるいは演算値)が停止条件(計測情報41の停止下限値107及び停止上限値108、演算情報42の停止下限値208及び停止上限値209)を満たすか否かを判定する(S507)。
【0041】
許容誤差範囲外であり(S506のNo)、停止条件が満たされていない場合(S507のNo)、CPU32は、偏差の正負及び大きさに応じて電磁弁ボックス7へ制御信号を出力し、油圧ポンプ9からの圧油を制御することにより、油圧ジャッキ5の押引及び開放(push、pull、open)を行い(S508)、各センサ11の計測信号から現在の状態(計測値及び演算値)を算出し、メモリ33に保存し(S509)、現在の状態(計測値及び演算値)、制御状況等をディスプレイ35に表示し(S510)、S506からの処理を繰り返す。
【0042】
許容誤差範囲内であり(S506のYes)、対象ステップが最終ステップでない場合(S511のNo)、CPU32は、次のステップとして処理を継続し(S512)、S509からの処理を繰り返す。
停止条件を満たす場合(S507のYes)、あるいは、対象ステップが最終ステップである場合(S511のYes)、CPU32は、処理を停止する(S513)。
【0043】
以上の過程を経て、制御コンピュータ31のCPU32は、制御則等の初期条件が入力されると、現在の状態(計測情報及び演算情報)及び制御則に基づいて最終制御目標値を算出し、さらに、各ステップ毎の制御目標値を算出し、対象ステップの制御目標値と実際の状態との偏差が許容誤差範囲内となるまで同一ステップにおいて油圧ジャッキを制御し、許容誤差範囲内となったら、次のステップから処理を繰り返す。
【0044】
次に、図6、図7〜図15を参照しながら、初期条件の入力(図5:S501)、表示処理(図5:S510)について説明する。
図6は、初期条件入力の流れを示すフローチャートである。
【0045】
最初に、油圧ジャッキの制御に必要なフィードバック信号用のセンサを取り付ける(S601)。
図7は、インタフェース設定画面を示す図である。
図7に示すように、操作者は、インタフェース設定画面51において、モニタ間隔53等を設定する(S602)。
図8は、使用チャンネル設定画面を示す図である。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、使用する油圧ジャッキを指定し、制御チャンネル57を設定する(S603)。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、フィードバック信号入力用の計測チャンネル59を設定する(S604)。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、演算チャンネル61を設定する(S605)。
【0046】
図9は、初期条件設定画面を示す図である。
図9に示すように、操作者は、初期条件設定画面63において、初期条件(停止上下限値、任意指定値等)を計測チャンネル65、演算チャンネル67に設定する(S606)。
また、操作者は、初期条件設定画面63において、フィードバック信号に用いる計測チャンネル、演算チャンネル、制御則、最終制御目標値、ステップ数、ステップ毎の刻み値、許容誤差等を制御チャンネル69に設定する(S607〜S609)。
【0047】
図10は、バーグラフ設定画面を示す図である。
図10に示すように、操作者は、バーグラフ設定画面71において、バーグラフの表示設定を行う(S610)。
図11は、履歴グラフ設定画面を示す図である。
図11に示すように、操作者は、履歴グラフ設定画面73において、履歴グラフの表示設定を行う(S611)。
【0048】
図12は、制御実行画面を示す図である。
図12に示すように、操作者は、制御実行画面75において、ボタン81(「モニタ」)及びボタン83(「自動制御」)を押下すると、油圧ジャッキ制御システム1は、自動制御を開始する(S612)。
【0049】
また、制御コンピュータ31のCPU32は、制御実行画面75において、現在の状態(モニタ状況)77、制御状況79を表示する。現在の状態77としては、計測情報41及び演算情報42に関する事項がリアルタイムに表示される。制御状況79としては、制御情報43に関する事項がリアルタイムに表示される。
【0050】
図13は、バーグラフ画面を示す図である。
図13のバーグラフ画面87に示すように、バーグラフ設定画面71での設定に基づいて、現在の状態がバーグラフにより表示される。
図14は、履歴グラフ画面を示す図である。
図14の履歴グラフ画面89に示すように、履歴グラフ設定画面73での設定に基づいて、状態の遷移状況等の履歴が履歴グラフにより表示される。
【0051】
図15は、手動制御画面を示す図である。
また、図12において、ボタン85(「手動制御」)が押下されると、自動制御から手動制御に切り替わる。操作者は、図15に示す手動制御画面91において、各油圧ジャッキ5毎に手動制御することができる。例えば、操作者は、ボタン93を押下することにより、制御チャンネルS2の油圧ジャッキをPULL制御することができる。
【0052】
このように、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1では、従来技術で実施されている、油圧ジャッキ単体の荷重およびストロークの制御に加えて、荷重、ストロークおよび対象物の挙動を同時に制御できる。
複数の油圧ジャッキにより対象物に荷重を加力する場合には、対象物が変位・変形・損傷することにより、任意の油圧ジャッキの荷重、ストロークの変化が他の油圧ジャッキの荷重、ストロークに大きな影響を及ぼすことがある。単独の油圧ジャッキを荷重、変位制御する構成則を単純に適用すると、当該油圧ジャッキの制御にかかわりなく荷重、変位の制限値(上限、下限、上限及び下限)に達するか、または、大きく超えることがあるため自動制御ができない。
一方、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1では、このような場合であっても、逐次、対象物の挙動を油圧ジャッキ制御にフィードバックして、複数の制御則を対象物の状態に応じて選択的に使い分けることにより自動制御を行うことができる。
【0053】
次に、図16及び図17を参照しながら、6自由度加力装置に係る油圧ジャッキ制御システム1の実施の形態について説明する。
油圧ジャッキ制御システム1では、対象物、油圧ジャッキの数等について特に限定はなく、このシステムを様々な用途に用いることができる。以下、6自由度加力装置に関する油圧ジャッキ制御について説明する。
【0054】
図16は、6自由度加力装置700の概略斜視図である。
図17は、6自由度加力装置700に係る加力制御システム800の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
6自由度加力装置700は、トラス状に組み立てられた6本の押引両働の油圧ジャッキ701とその両端に取り付けられた全方向に回転が可能なユニバーサルジョイント702、軸力専用の1本のセンタホールジャッキ(図示しない)、剛性の大きい加力ブロック703及び反力ブロック704等により構成される。
【0056】
加力制御システム800は、先述の油圧ジャッキ制御システム1とほぼ同様の構成である。6自由度加力装置700の油圧ジャッキ701は、油圧ホース801を介して電磁弁ボックス7に連結され、6自由度加力装置700及び対象物3に設けられるセンサ11(ロードセル、制御用変位計等)は、ケーブル802を介して動ひずみアンプ21に接続される。
【0057】
加力制御システム800は、6自由度加力装置700の7本の油圧ジャッキをコンピュータ制御することにより、6自由度加力装置700の中央に設置した試験体等の対象物3に任意の組合せ断面力を加力することができる。検討すべき部材の破壊想定位置に作用する組合せ断面力を再現することにより、部分模型による実験が可能になる。
【0058】
例えば、油圧ジャッキ701−1〜701−6の軸力を、それぞれ、引張(−)、引張(−)、圧縮(+)、圧縮(+)、圧縮(+)、圧縮(+)と制御することにより、対象物3に対して曲げモーメント加力を行うことができる。
また、油圧ジャッキ701−1〜701−6の軸力を、それぞれ、圧縮(+)、引張(−)、圧縮(+)、引張(−)、圧縮(+)、引張(−)と制御することにより、対象物3に対してねじりモーメント加力を行うことができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、油圧ジャッキ制御システム1では、自動制御の開始時に、制御則等の初期条件を入力して油圧ジャッキの制御を行い、工事毎、実験毎、あるいは、制御開始・再開毎に制御則を変更することができるので、汎用性を向上させることができる。
また、制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができるので、対象物を意図なく破壊したり傷付けることがないように、油圧ジャッキを制御することができる。
尚、油圧ジャッキ制御システムにおける対象は、特に限定されず、このシステムを各種工事、破壊実験、非破壊実験等に用いることができ、例えば、橋梁仮支柱反力の制御、構造物免震支承の取付工事及び取替工事、大空間構造物のジャッキダウン工法、アーチ橋載荷試験、6自由度加力装置等に用いることができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかる油圧ジャッキ制御システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】油圧ジャッキ制御システム1の概略構成を示すブロック図
【図2】計測情報41の一形態を示す図
【図3】演算情報42の一形態を示す図
【図4】制御情報43の一形態を示す図
【図5】油圧ジャッキ制御システム1の動作を示すフローチャート
【図6】初期条件入力の流れを示すフローチャート
【図7】インタフェース設定画面を示す図
【図8】使用チャンネル設定画面を示す図
【図9】初期条件設定画面を示す図
【図10】バーグラフ設定画面を示す図
【図11】履歴グラフ設定画面を示す図
【図12】制御実行画面を示す図
【図13】バーグラフ画面を示す図
【図14】履歴グラフ画面を示す図
【図15】手動制御画面を示す図
【図16】6自由度加力装置700の概略斜視図
【図17】6自由度加力装置700に係る加力制御システム800の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0062】
1………油圧ジャッキ制御システム
3………対象物
5………油圧ジャッキ
7………電磁弁ボックス
9………油圧ポンプ
11………センサ
21………動ひずみアンプ
23………信号入力コネクタブロック
25………A/Dボード
27………DIOボード
29………信号出力端子ボックス
31………制御コンピュータ
32………CPU
33………メモリ
34………IF
35………ディスプレイ
36………プリンタ
37………キーボード(マウス)
38………データベース
41………計測情報
42………演算情報
43………制御情報
51………インタフェース設定画面
55………使用チャンネル設定画面
63………初期条件設定画面
71………バーグラフ設定画面
73………履歴グラフ設定画面
75………制御実行画面
87………バーグラフ画面
89………履歴グラフ画面
91………手動制御画面
700………6自由度加力装置
800………加力制御システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ジャッキの制御を行う油圧ジャッキ制御システム等に関する。詳細には、対象物の挙動に応じて、油圧ジャッキの制御を行う油圧ジャッキ制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ジャッキの制御は、荷重制御あるいは変位制御により行われる。従来の荷重制御では、油圧ジャッキが荷重の指示値(上限、下限あるいは上下限)に対して、実際の荷重がその条件を満足するかどうかを判定して行う。また、従来の変位制御では、油圧ジャッキがストロークの指示値(上限、下限あるいは上下限)に対して、実際のストロークがその条件を満足するかどうかを判定して行う(例えば、[非特許文献1]参照。)。
【0003】
【非特許文献1】「油圧ジャッキ制御システム」、KTI−SHEET、鹿島建設株式会社、1998年、98112000SA、TX−047
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷重を作用させる対象物の挙動が線形(荷重と変位の関係が直線関係になる場合)ではなく、非線形(荷重と変位の関係が直線関係で表せない場合、あるいは、荷重の履歴に応じて同じ荷重でも複数の変位になり得る場合)である場合には、予め、荷重と変位との関係が明らかになっていないと、従来の油圧ジャッキ制御システムは適用できないという問題点がある。
特に、複数の油圧ジャッキを制御する場合には、任意の油圧ジャッキの荷重およびストロークの増減によって、他の油圧ジャッキの荷重およびストロークが影響を受けるため、単純に、単独の油圧ジャッキの荷重及び変位制御の制御則を複数の油圧ジャッキ制御に拡張することができないという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、対象物の挙動に応じて油圧ジャッキの制御則を柔軟に更新することを可能とする油圧ジャッキ制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために第1の発明は、対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、に接続され、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御装置であって、前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、初期条件を入力する初期条件入力手段と、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御装置である。
【0007】
第1の発明では、油圧ジャッキ制御装置は、計測情報、演算情報、制御情報を保持し、初期条件が入力されると、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの制御情報を算出し、制御情報と実際の状態を示す計測情報及び演算情報との偏差に基づいて、油圧ジャッキへの圧油を制御し、油圧ジャッキの駆動制御を行う。
【0008】
油圧ジャッキ制御装置は、電算処理を行う装置であり、例えば、制御コンピュータ、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
計測情報は、センサに関する情報を示し、計測チャンネル毎に保持される。
演算情報は、計測情報から所定の演算式に基づいて導出される情報を示し、演算チャンネル毎に保持される。
制御情報は、油圧ジャッキの制御に関する情報を示し、制御チャンネル毎に保持される。
【0009】
また、初期条件は、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報の現在値あるいは指定値から、任意の1つのチャンネルの制御情報の最終制御目標値を導出する制御則を含み、油圧ジャッキ制御装置は、この制御則に基づいて最終制御目標値を算出するようにしてもよい。
また、初期条件は、さらに、油圧ジャッキの制御の段階を示すステップの数、ステップ毎の刻み値等を含み、油圧ジャッキ制御装置は、最終制御目標値に基づいて各ステップ毎の制御目標値を算出するようにしてもよい。
【0010】
また、初期条件は、さらに、各ステップにおける許容誤差を含み、油圧ジャッキ制御装置は、実際の状態を示す計測情報及び演算情報と各ステップ毎の制御目標値との偏差が許容誤差の範囲内となる迄、同一ステップにおいて油圧ジャッキの制御を繰り返すようにしてもよい。
また、初期条件は、停止則を含み、実際の状態を示す計測情報あるいは演算情報が停止則を満たす場合、油圧ジャッキの制御を停止するようにしてもよい。
また、自動制御と手動制御とを切り替えるようにしてもよい。
【0011】
第1の発明の油圧ジャッキ制御装置では、自動制御の開始時に、制御則等の初期条件を入力して油圧ジャッキの制御を行い、工事毎、実験毎、あるいは、制御の開始・再開毎に制御則を変更することができるので、汎用性を向上させることができる。
また、制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができるので、対象物を意図なく破壊したり傷付けることがないように、油圧ジャッキを制御することができる。
【0012】
第2の発明は、コンピュータを第1の発明の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムである。
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
尚、上記のプログラムをCD−ROM等の記録媒体に保持させて流通させてもよいし、このプログラムを通信回線を介して送受することもできる。
【0013】
第4の発明は、対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、前記油圧ジャッキ及び前記センサに接続される制御装置と、を備え、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御システムであって、前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、初期条件を入力する初期条件入力手段と、任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の挙動に応じて油圧ジャッキの制御則を柔軟に更新することを可能とする油圧ジャッキ制御システム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る油圧ジャッキ制御システム等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0016】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1の構成について説明する。
図1は、油圧ジャッキ制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す油圧ジャッキ制御システム1では、対象物3に複数の油圧ジャッキ5−1、5−2、5−3、…が設けられ、各油圧ジャッキ5は、油圧ホースにより電磁弁ボックス7を介して油圧ポンプ9に接続される。
各油圧ジャッキ5及び対象物3には、それぞれ、センサ11−1、11−2、11−3、11−4、…が設けられる。尚、センサ11の種類、設置個所、設置数等は、特に限定されない。センサ11としては、荷重センサ、圧力センサ、変位センサ等を用いることができる。
各センサ11は、動ひずみアンプ21、信号入力コネクタブロック23、A/Dボード25を介して制御コンピュータ31に接続される。
制御コンピュータ31は、DIOボード27、信号出力端子ボックス29を介して電磁弁ボックス7に接続される。
【0018】
対象物3は、油圧ジャッキ5による押引の対象であり、例えば、構造物、実験対象、試験体等である。
油圧ジャッキ5は、油圧により押引を行うジャッキである。
電磁弁ボックス7は、電磁的に弁の開閉を行う装置である。
油圧ポンプ9は、油圧の昇圧あるいは減圧を行う装置である。
【0019】
各油圧ジャッキ5は、電磁弁ボックス7を介して、油圧ポンプ9から油の供給を受けることによりあるいは油圧ポンプ9に油を回収されることにより、対象物3に対して荷重を作用させ押引を行う。
電磁弁ボックス7は、制御コンピュータ31からの制御信号に基づいて弁の開閉を行い、電磁弁ボックス7を介して油圧ポンプ9から油圧ジャッキ5に油を流し、あるいは、油圧ジャッキ5から電磁弁ボックスを介して油圧ポンプ9に油を戻し、油圧ジャッキ5の押引が行われる。
【0020】
センサ11は、油圧ジャッキ5の動作状況、対象物3の挙動等を把握するためのセンサである。センサ11は、荷重センサ、圧力センサ、変位センサ等である。各油圧ジャッキ5、対象物3に設けるセンサ11の数及び種類に特に制限はなく、例えば、油圧ジャッキ5−1に複数の荷重センサ、複数の圧力センサ、複数の変位センサを設けるようにしてもよい。
【0021】
制御コンピュータ31は、センサ11からの計測信号の解析を行い、解析結果に基づいて油圧ジャッキ5を制御するための制御信号を出力する電子計算機である。制御コンピュータ31は、CPU32、メモリ33等を備える。また、制御コンピュータ31は、IF34(インタフェース)を介してディスプレイ35、プリンタ36、キーボード(マウス)37、データベース38に接続される。
制御コンピュータ31としては、例えば、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0022】
CPU32(Central Processing Unit)は、ハードディスク(図示しない)、ROM(図示しない)、記録媒体(図示しない)等に格納される実行プログラム、OS(オペレーションシステム)のプログラム、アプリケーションプログラム等をメモリ33に呼び出して実行し、演算処理(四則演算や比較演算等)、ハードウェアやソフトウェアの動作制御等を行い、後述する各種機能(図5、図6等参照。)を実現する。
メモリ33は、各種実行プログラム、各種データ等を保持する記憶部である。
【0023】
動ひずみアンプ21は、各センサ11を介して入手した油圧ジャッキ5及び対象物3の挙動に関する情報を電気アナログ信号に変換する装置であり、例えば、ひずみ等の微小な入力を増幅するシグナルコンディショナ等である。
【0024】
信号入力コネクタブロック23は、動ひずみアンプ21とA/Dボード25とを接続する装置である。
A/Dボード25は、動ひずみアンプ21、信号入力コネクタブロック23を介して入力された、各センサ11からのアナログ信号をデジタル信号に変換する装置である。
DIOボード27(Digital Input/Output Board)は、デジタル信号を入力あるいは出力するためのインタフェース基板である。
信号出力端子ボックス29は、制御コンピュータ31が作成したON/OFF情報に基づいて、電磁弁ボックス7に電磁弁の開放あるいは閉鎖に必要な電圧を供給する装置である。
【0025】
制御コンピュータ31は、油圧ジャッキ制御システム1の実行プログラムを起動し、A/Dボード25を介して入手した対象物3の挙動に関する情報をもとに、操作者が設定した制御に関する入力情報に従って、各油圧ジャッキ5に連結する油圧弁開閉に関するON/OFF情報を作成し、DIOボード27、信号出力端子ボックス29を介して電磁弁7にON/OFF情報を送り、油圧ジャッキ5を自動制御する。
【0026】
制御コンピュータ31はデジタル信号で動作する。制御コンピュータ31に入力される情報、制御コンピュータ31から出力する情報はすべてデジタルで処理される。電磁弁は、電気的にON/OFFでその状態を示すことが可能であり、DIOボード27を用いることによって、電磁弁の情報は制御コンピュータ31に入力することが可能になり、これとは逆に、電磁弁の状態を制御コンピュータ31から出力することが可能である。
【0027】
次に、図2〜図4を参照しながら、データベース38が保持する計測情報41、演算情報42、制御情報43について説明する。
【0028】
図2は、計測情報41の一形態を示す図である。
計測情報41は、センサ11に関する情報を示し、計測チャンネル毎に保持される。
図2に示す計測情報41は、計測チャンネル101、使用有無102、名称103、単位104、計測値105、指定値106、停止下限値107、停止上限値108等の各フィールドを有する。
【0029】
計測チャンネル101は、計測情報41を特定するための識別子であり、例えば、「K1」である。計測チャンネル101は、各センサ11に対応する。
使用有無102は、該当する計測チャンネルを使用するか否かを示し、例えば、「使用」である。
名称103は、該当する計測チャンネルの名称を示し、例えば、「軸力」、「水平力」である。
単位104は、該当する計測チャンネルの単位を示し、例えば、「kN」である。
【0030】
計測値105は、該当する計測チャンネルにおける計測値を示し、例えば、「500」である。
指定値106は、該当する計測チャンネルに対応する任意指定値、定数を示し、例えば、「600」である。
停止下限値107及び停止上限値108は、それぞれ、停止条件を示す。
【0031】
図3は、演算情報42の一形態を示す図である。
演算情報42は、計測情報41から所定の演算式に基づいて導出される情報を示し、演算チャンネル毎に保持される。
図3に示す演算情報42は、演算チャンネル201、使用有無202、名称203、単位204、演算式205、演算値206、指定値207、停止下限値208、停止上限値209等の各フィールドを有する。
【0032】
演算チャンネル201は、演算情報42を特定するための識別子であり、例えば、「E1」である。
使用有無202は、該当する演算チャンネルを使用するか否かを示し、例えば、「使用」である。
名称203は、該当する演算チャンネルの名称を示し、例えば、「曲げモーメント」、「鉛直変位」である。
単位204は、該当する演算チャンネルの単位を示し、例えば、「kN・m」である。
【0033】
演算式205は、計測情報41から演算情報42を導出するための演算式を示し、例えば、「([チャンネルK3の計測値]+[チャンネルK4の計測値]+[チャンネルK5の計測値]+[チャンネルK6の計測値])/4」である。
演算値206は、該当する演算チャンネルにおける演算値を示し、例えば、「25」である。
指定値207は、該当する演算チャンネルに対応する任意指定値、定数を示す。
停止下限値208及び停止上限値209は、それぞれ、停止条件を示す。
【0034】
図4は、制御情報43の一形態を示す図である。
制御情報43は、油圧ジャッキ5の制御に関する情報を示し、制御チャンネル毎に保持される。
図4に示す制御情報43は、制御チャンネル301、参照チャンネル302、最終制御目標値303、次ステップ制御目標値304、許容誤差305、刻み値306、ステップ数307、電磁弁動作308、押引切替チャンネル309、押引切替値310等の各フィールドを有する。
【0035】
制御チャンネル301は、制御情報43を特定するための識別子であり、例えば、「S1」である。
参照チャンネル302は、制御用のチャンネルとして参照するチャンネル(計測チャンネル等)を示し、例えば、「K1」である。
最終制御目標値303は、該当する制御チャンネルにおける、制御則あるいは最終制御目標値を示し、例えば、「<チャンネルK1の指定値>×2−[チャンネルE2の計測値]」、「<チャンネルK2の指定値>」である。
【0036】
次ステップ制御目標値304は、ステップ毎あるいは次ステップの制御目標値を示し、例えば、「510」である。
許容誤差305は、対象ステップの制御目標値と実際の状態との間の許容誤差を示し、例えば、「±0.1」である。
刻み値306は、制御ステップのピッチを示し、例えば、「±1.5」である。
ステップ数307は、制御の段階を示すステップの数を示し、例えば、「20」である。
【0037】
次に、図5を参照しながら、油圧ジャッキ制御システム1の動作について説明する。
図5は、油圧ジャッキ制御システム1の動作を示すフローチャートである。
尚、制御コンピュータ31は、ハードディスクドライブ等に格納されているプログラム(実行プログラム、OSのプログラム等)をメモリ33上にロードしてCPU32の制御の下に以下の各ステップを実行する。
【0038】
制御コンピュータ31の操作者は、キーボード37等の入力手段を介して、初期条件を入力し、自動制御の開始を指示する。CPU32は、入力された初期条件をデータベース38の計測情報41、演算情報42、制御情報43に保存する(S501)。
尚、初期条件は、ステップ数、刻み値、最終制御目標値、許容誤差、指定値、停止条件等である。
【0039】
操作者から自動制御の開始指示を受けると、CPU32は、データベース38から計測情報41、演算情報42、制御情報43をメモリ33に読み出す(S503)。
CPU32は、各センサ11の計測信号から、現在の状態(計測値及び演算値)を算出し、メモリ33に保存する(S504)。
CPU32は、S501において入力された初期条件、制御情報43の制御則あるいは最終制御目標値等に基づいて、各ステップ毎の制御目標値を算出し、メモリ33に保存する(S505)。
【0040】
CPU32は、制御情報43の次ステップ制御目標値304、許容誤差305、計測情報41の計測値104、演算情報42の演算値206等を参照し、対象ステップの制御目標値と現在の状態(計測値あるいは演算値)との偏差を算出し、当該偏差が許容誤差範囲内であるか否かを判定する(S506)。
また、CPU32は、現在の状態(計測値あるいは演算値)が停止条件(計測情報41の停止下限値107及び停止上限値108、演算情報42の停止下限値208及び停止上限値209)を満たすか否かを判定する(S507)。
【0041】
許容誤差範囲外であり(S506のNo)、停止条件が満たされていない場合(S507のNo)、CPU32は、偏差の正負及び大きさに応じて電磁弁ボックス7へ制御信号を出力し、油圧ポンプ9からの圧油を制御することにより、油圧ジャッキ5の押引及び開放(push、pull、open)を行い(S508)、各センサ11の計測信号から現在の状態(計測値及び演算値)を算出し、メモリ33に保存し(S509)、現在の状態(計測値及び演算値)、制御状況等をディスプレイ35に表示し(S510)、S506からの処理を繰り返す。
【0042】
許容誤差範囲内であり(S506のYes)、対象ステップが最終ステップでない場合(S511のNo)、CPU32は、次のステップとして処理を継続し(S512)、S509からの処理を繰り返す。
停止条件を満たす場合(S507のYes)、あるいは、対象ステップが最終ステップである場合(S511のYes)、CPU32は、処理を停止する(S513)。
【0043】
以上の過程を経て、制御コンピュータ31のCPU32は、制御則等の初期条件が入力されると、現在の状態(計測情報及び演算情報)及び制御則に基づいて最終制御目標値を算出し、さらに、各ステップ毎の制御目標値を算出し、対象ステップの制御目標値と実際の状態との偏差が許容誤差範囲内となるまで同一ステップにおいて油圧ジャッキを制御し、許容誤差範囲内となったら、次のステップから処理を繰り返す。
【0044】
次に、図6、図7〜図15を参照しながら、初期条件の入力(図5:S501)、表示処理(図5:S510)について説明する。
図6は、初期条件入力の流れを示すフローチャートである。
【0045】
最初に、油圧ジャッキの制御に必要なフィードバック信号用のセンサを取り付ける(S601)。
図7は、インタフェース設定画面を示す図である。
図7に示すように、操作者は、インタフェース設定画面51において、モニタ間隔53等を設定する(S602)。
図8は、使用チャンネル設定画面を示す図である。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、使用する油圧ジャッキを指定し、制御チャンネル57を設定する(S603)。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、フィードバック信号入力用の計測チャンネル59を設定する(S604)。
図8に示すように、操作者は、使用チャンネル設定画面55において、演算チャンネル61を設定する(S605)。
【0046】
図9は、初期条件設定画面を示す図である。
図9に示すように、操作者は、初期条件設定画面63において、初期条件(停止上下限値、任意指定値等)を計測チャンネル65、演算チャンネル67に設定する(S606)。
また、操作者は、初期条件設定画面63において、フィードバック信号に用いる計測チャンネル、演算チャンネル、制御則、最終制御目標値、ステップ数、ステップ毎の刻み値、許容誤差等を制御チャンネル69に設定する(S607〜S609)。
【0047】
図10は、バーグラフ設定画面を示す図である。
図10に示すように、操作者は、バーグラフ設定画面71において、バーグラフの表示設定を行う(S610)。
図11は、履歴グラフ設定画面を示す図である。
図11に示すように、操作者は、履歴グラフ設定画面73において、履歴グラフの表示設定を行う(S611)。
【0048】
図12は、制御実行画面を示す図である。
図12に示すように、操作者は、制御実行画面75において、ボタン81(「モニタ」)及びボタン83(「自動制御」)を押下すると、油圧ジャッキ制御システム1は、自動制御を開始する(S612)。
【0049】
また、制御コンピュータ31のCPU32は、制御実行画面75において、現在の状態(モニタ状況)77、制御状況79を表示する。現在の状態77としては、計測情報41及び演算情報42に関する事項がリアルタイムに表示される。制御状況79としては、制御情報43に関する事項がリアルタイムに表示される。
【0050】
図13は、バーグラフ画面を示す図である。
図13のバーグラフ画面87に示すように、バーグラフ設定画面71での設定に基づいて、現在の状態がバーグラフにより表示される。
図14は、履歴グラフ画面を示す図である。
図14の履歴グラフ画面89に示すように、履歴グラフ設定画面73での設定に基づいて、状態の遷移状況等の履歴が履歴グラフにより表示される。
【0051】
図15は、手動制御画面を示す図である。
また、図12において、ボタン85(「手動制御」)が押下されると、自動制御から手動制御に切り替わる。操作者は、図15に示す手動制御画面91において、各油圧ジャッキ5毎に手動制御することができる。例えば、操作者は、ボタン93を押下することにより、制御チャンネルS2の油圧ジャッキをPULL制御することができる。
【0052】
このように、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1では、従来技術で実施されている、油圧ジャッキ単体の荷重およびストロークの制御に加えて、荷重、ストロークおよび対象物の挙動を同時に制御できる。
複数の油圧ジャッキにより対象物に荷重を加力する場合には、対象物が変位・変形・損傷することにより、任意の油圧ジャッキの荷重、ストロークの変化が他の油圧ジャッキの荷重、ストロークに大きな影響を及ぼすことがある。単独の油圧ジャッキを荷重、変位制御する構成則を単純に適用すると、当該油圧ジャッキの制御にかかわりなく荷重、変位の制限値(上限、下限、上限及び下限)に達するか、または、大きく超えることがあるため自動制御ができない。
一方、本発明の実施の形態に係る油圧ジャッキ制御システム1では、このような場合であっても、逐次、対象物の挙動を油圧ジャッキ制御にフィードバックして、複数の制御則を対象物の状態に応じて選択的に使い分けることにより自動制御を行うことができる。
【0053】
次に、図16及び図17を参照しながら、6自由度加力装置に係る油圧ジャッキ制御システム1の実施の形態について説明する。
油圧ジャッキ制御システム1では、対象物、油圧ジャッキの数等について特に限定はなく、このシステムを様々な用途に用いることができる。以下、6自由度加力装置に関する油圧ジャッキ制御について説明する。
【0054】
図16は、6自由度加力装置700の概略斜視図である。
図17は、6自由度加力装置700に係る加力制御システム800の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
6自由度加力装置700は、トラス状に組み立てられた6本の押引両働の油圧ジャッキ701とその両端に取り付けられた全方向に回転が可能なユニバーサルジョイント702、軸力専用の1本のセンタホールジャッキ(図示しない)、剛性の大きい加力ブロック703及び反力ブロック704等により構成される。
【0056】
加力制御システム800は、先述の油圧ジャッキ制御システム1とほぼ同様の構成である。6自由度加力装置700の油圧ジャッキ701は、油圧ホース801を介して電磁弁ボックス7に連結され、6自由度加力装置700及び対象物3に設けられるセンサ11(ロードセル、制御用変位計等)は、ケーブル802を介して動ひずみアンプ21に接続される。
【0057】
加力制御システム800は、6自由度加力装置700の7本の油圧ジャッキをコンピュータ制御することにより、6自由度加力装置700の中央に設置した試験体等の対象物3に任意の組合せ断面力を加力することができる。検討すべき部材の破壊想定位置に作用する組合せ断面力を再現することにより、部分模型による実験が可能になる。
【0058】
例えば、油圧ジャッキ701−1〜701−6の軸力を、それぞれ、引張(−)、引張(−)、圧縮(+)、圧縮(+)、圧縮(+)、圧縮(+)と制御することにより、対象物3に対して曲げモーメント加力を行うことができる。
また、油圧ジャッキ701−1〜701−6の軸力を、それぞれ、圧縮(+)、引張(−)、圧縮(+)、引張(−)、圧縮(+)、引張(−)と制御することにより、対象物3に対してねじりモーメント加力を行うことができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、油圧ジャッキ制御システム1では、自動制御の開始時に、制御則等の初期条件を入力して油圧ジャッキの制御を行い、工事毎、実験毎、あるいは、制御開始・再開毎に制御則を変更することができるので、汎用性を向上させることができる。
また、制御則に関しては、任意の計測チャンネルの計測値及び指定値、任意の演算チャンネルの演算値及び指定値に基づいて算出することができるので、対象物を意図なく破壊したり傷付けることがないように、油圧ジャッキを制御することができる。
尚、油圧ジャッキ制御システムにおける対象は、特に限定されず、このシステムを各種工事、破壊実験、非破壊実験等に用いることができ、例えば、橋梁仮支柱反力の制御、構造物免震支承の取付工事及び取替工事、大空間構造物のジャッキダウン工法、アーチ橋載荷試験、6自由度加力装置等に用いることができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかる油圧ジャッキ制御システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】油圧ジャッキ制御システム1の概略構成を示すブロック図
【図2】計測情報41の一形態を示す図
【図3】演算情報42の一形態を示す図
【図4】制御情報43の一形態を示す図
【図5】油圧ジャッキ制御システム1の動作を示すフローチャート
【図6】初期条件入力の流れを示すフローチャート
【図7】インタフェース設定画面を示す図
【図8】使用チャンネル設定画面を示す図
【図9】初期条件設定画面を示す図
【図10】バーグラフ設定画面を示す図
【図11】履歴グラフ設定画面を示す図
【図12】制御実行画面を示す図
【図13】バーグラフ画面を示す図
【図14】履歴グラフ画面を示す図
【図15】手動制御画面を示す図
【図16】6自由度加力装置700の概略斜視図
【図17】6自由度加力装置700に係る加力制御システム800の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0062】
1………油圧ジャッキ制御システム
3………対象物
5………油圧ジャッキ
7………電磁弁ボックス
9………油圧ポンプ
11………センサ
21………動ひずみアンプ
23………信号入力コネクタブロック
25………A/Dボード
27………DIOボード
29………信号出力端子ボックス
31………制御コンピュータ
32………CPU
33………メモリ
34………IF
35………ディスプレイ
36………プリンタ
37………キーボード(マウス)
38………データベース
41………計測情報
42………演算情報
43………制御情報
51………インタフェース設定画面
55………使用チャンネル設定画面
63………初期条件設定画面
71………バーグラフ設定画面
73………履歴グラフ設定画面
75………制御実行画面
87………バーグラフ画面
89………履歴グラフ画面
91………手動制御画面
700………6自由度加力装置
800………加力制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、に接続され、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御装置であって、
前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、
初期条件を入力する初期条件入力手段と、
任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、
前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、
を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御装置。
【請求項2】
前記初期条件は、任意の1または複数のチャンネルの前記計測情報及び前記演算情報の現在値あるいは指定値から、任意の1つのチャンネルの前記制御情報の最終制御目標値を導出する制御則を含み、
前記制御則に基づいて前記最終制御目標値を算出する最終制御目標値算出手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項3】
前記初期条件は、さらに、前記油圧ジャッキの制御の段階を示すステップの数または前記ステップ毎の刻み値の少なくともいずれかを含み、
前記制御情報算出手段は、前記最終制御目標値に基づいて各ステップ毎の制御目標値を算出することを特徴とする請求項2に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項4】
前記初期条件は、さらに、前記各ステップにおける許容誤差を含み、
前記実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報と前記各ステップ毎の制御目標値との偏差が前記許容誤差の範囲内となる迄、同一ステップにおいて前記油圧ジャッキの制御を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項5】
前記初期条件は、停止則を含み、
前記実際の状態を示す前記計測情報あるいは前記演算情報が前記停止則を満たす場合、前記油圧ジャッキの制御を停止する停止手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項6】
自動制御と手動制御とを切り替える切替手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項6までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から請求項6までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、前記油圧ジャッキ及び前記センサに接続される制御装置と、を備え、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御システムであって、
前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、
初期条件を入力する初期条件入力手段と、
任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、
前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、
を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御システム。
【請求項1】
対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、に接続され、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御装置であって、
前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、
初期条件を入力する初期条件入力手段と、
任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、
前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、
を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御装置。
【請求項2】
前記初期条件は、任意の1または複数のチャンネルの前記計測情報及び前記演算情報の現在値あるいは指定値から、任意の1つのチャンネルの前記制御情報の最終制御目標値を導出する制御則を含み、
前記制御則に基づいて前記最終制御目標値を算出する最終制御目標値算出手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項3】
前記初期条件は、さらに、前記油圧ジャッキの制御の段階を示すステップの数または前記ステップ毎の刻み値の少なくともいずれかを含み、
前記制御情報算出手段は、前記最終制御目標値に基づいて各ステップ毎の制御目標値を算出することを特徴とする請求項2に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項4】
前記初期条件は、さらに、前記各ステップにおける許容誤差を含み、
前記実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報と前記各ステップ毎の制御目標値との偏差が前記許容誤差の範囲内となる迄、同一ステップにおいて前記油圧ジャッキの制御を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項5】
前記初期条件は、停止則を含み、
前記実際の状態を示す前記計測情報あるいは前記演算情報が前記停止則を満たす場合、前記油圧ジャッキの制御を停止する停止手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項6】
自動制御と手動制御とを切り替える切替手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項6までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から請求項6までのいずれかに記載の油圧ジャッキ制御装置として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
対象物に設けられる複数の油圧ジャッキと、前記対象物の状態あるいは前記油圧ジャッキの状態を計測する複数のセンサと、前記油圧ジャッキ及び前記センサに接続される制御装置と、を備え、前記油圧ジャッキの駆動制御を行う油圧ジャッキ制御システムであって、
前記センサの計測情報と、前記計測情報が演算処理されて導出される演算情報と、前記油圧ジャッキの制御に関する制御情報と、を保持する保持手段と、
初期条件を入力する初期条件入力手段と、
任意の1または複数のチャンネルの計測情報及び演算情報に基づいて、任意の1つのチャンネルの前記制御情報を算出する制御情報算出手段と、
前記制御情報と実際の状態を示す前記計測情報及び前記演算情報との偏差に基づいて前記油圧ジャッキへの圧油を制御する圧油手段と、
を具備することを特徴とする油圧ジャッキ制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−103936(P2006−103936A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295973(P2004−295973)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(504378342)タスク株式会社 (1)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(504378342)タスク株式会社 (1)
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