説明

泡沫状頭髪化粧料

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、泡沫状頭髪化粧料に関し、更に詳しくは、毛髪に対し、艶,なめらかさ及び仕上がりのさらさら感を大幅に改善するとともに泡安定性に優れた泡沫状頭髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、頭髪用化粧料としては、塗布時の液だれがなく、均一に塗布できしかも使用量の目測が容易であり使用者の好みに応じ適量を使用することが可能であるとともに使用簡便性を有するエアゾール式の泡沫状頭髪化粧料が一般化されている。このような泡沫状頭髪化粧料には、毛髪に艶,なめらかさを与える目的で炭化水素油,エステル油,多価アルコール,シリコーン油等が用いられている。
【0003】しかし、これらの油分等も限界があり、消費者が連用する過程で毛髪が重くなり、脂ぎる欠点があった。
【0004】一方、なめらかさを付与する目的でカチオン界面活性剤である第4級アンモニウム塩を有効成分とするものも使用されているが、満足する結果は得られていない。
【0005】即ち、本発明は毛髪へ艶,なめらかさ及び仕上がりのさらさら感を大幅に改善するとともに泡安定性に優れた泡沫状頭髪化粧料を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の泡沫状頭髪化粧料は、次のような構成をとっている。即ち、(A)一般式(I)
【化3】


(式中、R1 は総てがメチル基またはその一部がフェニル基(ただし、R1 の総数の90%以上はメチル基)、R2 はメチル基または水酸基を示す。またmは1300〜2200の整数を示す。)で表されるシリコーンの一種または二種以上0.3〜3重量%と(B)一般式(II)
【化4】


(式中、R1 は総てがメチル基またはその一部がフェニル基(ただし、R1 の総数の90%以上はメチル基)、R2 はメチル基または水酸基を示す。またnは100〜300の整数を示す。)で表されるシリコーンの一種または二種以上1〜7重量%と(C)非イオン界面活性剤0.5〜5重量%と(D)水(残部)と(E)噴射剤2〜12重量%とを含有することを特徴とする泡沫状頭髪化粧料である。
【0007】本発明における前記一般式(I)で表されるシリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,末端水酸基含有ジメチルポリシロキサン,末端水酸基含有メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0008】本発明の泡沫状頭髪化粧料には、これらのシリコーンの一種または二種以上の混合物を総量を基準として0.3〜3重量%(以下wt%と略記する)好ましくは、0.5〜2wt%配合される。配合量が0.3wt%未満では、乾燥後のなめらかさ,さらさら感に良好な結果が得られず、3wt%を超えると毛髪のなめらかさが劣り好ましくない。
【0009】一方、本発明で使用するシリコーンの平均重合度mは1300〜2200であり、好ましくは1400〜2000である。平均重合度が1300に満たないものは効果がなく、平均重合度が2200を超えると毛髪のなめらかさが劣り好ましくない。
【0010】本発明における前記一般式(II) で表されるシリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,末端水酸基含有ジメチルポリシロキサン,末端水酸基含有メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0011】本発明の泡沫状頭髪化粧料には、これらのシリコーンの一種または二種以上の混合物を総量を基準として1〜7wt%好ましくは、2〜5wt%配合される。配合量が1wt%未満では、乾燥後のなめらかさ,艶に良好な結果が得られず7wt%を超えると毛髪にべたつきが生じ好ましくない。
【0012】一方、本発明で使用するシリコーンの平均重合度nは100〜300であり、好ましくは150〜250である。平均重合度が100に満たないものは効果がなく、平均重合度が300を超えるとなめらかさが劣り好ましくない。これらの(A),(B)2成分の配合重量比は1:2〜1:6が好ましい。
【0013】本発明の(C)成分である非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(20E.O.)ステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル,モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン,モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン,トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20E.O.),モノオレイン酸ポリエチレングリコール(20E.O.)等のポリエチレングリコール(10E.O.〜50E.O.)脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン(40E.O.〜100E.O.)硬化ヒマシ油誘導体等の非イオン界面活性剤が挙げられ特に好ましくは、ポリオキシエチレン(80E.O.)硬化ヒマシ油が用いられる。
【0014】本発明の泡沫状頭髪化粧料には、これらの非イオン界面活性剤の一種または二種以上の混合物を総量を基準として0.5〜5wt%好ましくは、0.5〜3wt%配合される。
【0015】本発明の(E)成分である噴射剤としては、通常エアゾール製品に用いられるものが使用される。例えば、噴射剤としてはプロパン,イソブタン,ノルマルブタンおよびその混合物である2.0〜6.0kg/cm2 (at25℃)の液化石油ガス(以下LPGと略す),ジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0016】本発明の泡沫状頭髪化粧料には、これらの噴射剤の一種または二種以上の混合物を総量を基準として2〜12wt%特に好ましくは4〜8wt%であり、噴射剤の種類により適宜選択される。
【0017】本発明の泡沫状頭髪化粧料には、上述した成分を必須の構成成分とするが、当該組成物には、本発明の目的を達成する範囲で他の成分を適宜配合することができる。即ち、ワセリン,スクワラン,低沸点イソパラフィン,流動パラフィン等の炭化水素,イソプロピルミリステート,イソプロピルパルミテート等のエステル油,ツバキ油,オリーブ油,アボカド油等の植物油,低沸点シリコーン,環状シリコーン等のシリコーン油,メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カチオン化セルロース等のセルロース誘導体,プロピレングリコール,グリセリン,ポリグリセリン等の保湿剤,ポリペプチド,その他殺菌剤,着色剤,香料などが挙げられこれらの一種または二種以上を配合することができる。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げ本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例中で用いた試験方法は、下記の通りである。
【0019】(1)毛髪の艶,なめらかさ及び仕上がりのさらさら感試験各例における、毛髪の「艶」,「なめらかさ」,及び仕上がりの「さらさら感」を女性20名の専門パネラーにて連用後、官能的に比較し、下記基準で評価を行った。
◎;良いと答えた人が18人以上の場合○; 〃 が14〜17人の場合△; 〃 が8〜13人の場合×; 〃 が7人以下の場合
【0020】(2)泡の安定性試験噴射剤と共に密封容器に充填された試料原料を500mlメスシリンダー中に噴射して一定量の泡を採取し静置する。噴射直後の泡高さと静置5分後の泡高さから泡高さの変化率を求め、次の基準で泡の安定性を評価した。
A;変化率 1%未満 極めて安定な泡B; 〃 1〜5% 安定な泡C; 〃 5〜10% やや安定な泡D; 〃 10%以上 非常に不安定な泡
【0021】実施例1〜3,比較例1〜2表1の上段に示す配合組成の泡沫状頭髪化粧料を通常の方法(原液組成を均一に溶解,混合した後、所定のエアゾール容器(缶,バルブ,ボタン)に入れ、真空ポンプにて上部の空気を脱気しながら所定のバルブを取り付け、噴射剤を圧入充填する。)で調製し、上記試験を行い表1の下段にその結果を示した。
【0022】
【表1】


【0023】実施例4〜6,比較例3〜8表2の上段に示す配合組成の泡沫状頭髪化粧料を通常の方法(前記実施例と同様)で調製し、上記試験を行い表2の下段にその結果を示した。
【0024】
【表2】


【0025】実施例1〜6より明らかなように、本発明の泡沫状頭髪化粧料は、いずれも優れた性能を示した。一方、必須成分である、シリコーンのどちらかを欠いた場合(比較例1〜2)、またはこれらの配合量およびシリコーンの平均重合度(m,n)が本発明の範囲外の場合(比較例3〜8)は、いずれも劣った性能を示し本発明の目的を達成できなかった。
【0026】
【発明の効果】以上記載のごとく、本発明は毛髪に対し、艶,なめらかさ及び仕上がりのさらさら感を大幅に改善するとともに泡安定性に優れた泡沫状頭髪化粧料を提供することは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)一般式(I)
【化1】


(式中、R1 は総てがメチル基またはその一部がフェニル基(ただし、R1 の総数の90%以上はメチル基)、R2 はメチル基または水酸基を示す。またmは1300〜2200の整数を示す。)で表されるシリコーンの一種または二種以上0.3〜3重量%と(B)一般式(II)
【化2】


(式中、R1 は総てがメチル基またはその一部がフェニル基(ただし、R1 の総数の90%以上はメチル基)、R2 はメチル基または水酸基を示す。またnは100〜300の整数を示す。)で表されるシリコーンの一種または二種以上1〜7重量%と(C)非イオン界面活性剤0.5〜5重量%と(D)水(残部)と(E)噴射剤2〜12重量%とを含有することを特徴とする泡沫状頭髪化粧料。

【特許番号】特許第3045615号(P3045615)
【登録日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【発行日】平成12年5月29日(2000.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−207252
【出願日】平成4年7月10日(1992.7.10)
【公開番号】特開平6−24944
【公開日】平成6年2月1日(1994.2.1)
【審査請求日】平成9年9月22日(1997.9.22)
【出願人】(000000952)鐘紡株式会社 (120)
【参考文献】
【文献】特開 平5−221832(JP,A)
【文献】特開 平4−36222(JP,A)
【文献】特開 平1−211516(JP,A)