説明

波形弁別装置

【課題】入力信号の異なる経過時間ごとの波高値をもとに波形弁別を行う波形弁別装置を提供する。
【解決手段】パルス入力部1と、このパルス入力部1からのパルス入力によりスタート信号を発生するスタート信号発生部2と、このスタート信号発生部2からの信号を受け、それぞれ遅延回路部3により異なるタイミングでデータ取得信号s4を生成する複数のデータ取得信号発生部4,5,6と、複数の波高変換部7,8,9と、パターン識別部10と出力部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線等の粒子線の測定用装置に係り、特に信号波形を処理する波形弁別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線検出器などの出力波形信号は入射粒子の線種、エネルギ、位置、方向等によってその最大振幅だけでなく、立ち上がり時間、減衰時間等といった値が異なる。これらを弁別するため、従来では複雑なアナログ的な回路を用いてアナログ的な波形処理により注目する立ち上がり時間や、減衰時間等に相当する信号を振幅に変換して取得していた(例えば特開2000−65936号公報)。
【0003】
しかしながら、ノイズの混入防止やタイミング特性の保持など、実際に機器に使用する際には高度なアナログ回路の設計が不可欠であり、その適用先も限られたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来ではアナログ的な回路を用いた波形処理により、立ち上がり時間や減衰時間等に相当する信号を振幅に変換して取得していたため、ノイズの混入防止やタイミング特性の保持など、実際に機器に使用する際には高度なアナログ回路の設計が不可欠であり、その適用先も限られたものであった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、予め定めた複数の時間経過時の波形が有する振幅、すなわち波高をA/D変換し、その波高の組合せを基に波形弁別を行うことで、アナログ的な処理によらない簡便な波形弁別装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、請求項1に係る発明では、パルス入力部と、このパルス入力部からのパルス入力によりスタート信号を発生するスタート信号発生部と、このスタート信号発生部からの信号を受け、それぞれ異なるタイミングでデータ取得信号を生成する複数のデータ取得信号発生部と、これらのデータ取得信号発生部からの信号を受け、波形の各タイミングでの波高の数値への変換を行う複数の波高変換部と、それら変換された数値の組合せをもって波形パターンを識別し、パターンごとの対応した出力部に出力を行うパターン識別部とを備えたことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0007】
請求項2に係る発明では、パルス入力部と、このパルス入力部からのパルス入力によりスタート信号を発生するスタート信号発生部と、このスタート信号発生部からの信号を受け波高のデジタル変換の開始信号を予め定められたタイミングにおいて複数回数発生させるデータ取得信号発生部と、このデータ取得信号発生部からの信号を受ける毎に波形の各タイミングでの波高の数値への変換を行う波高変換部と、それら変換された数値の組合せをもって波形パターンを識別し、パターンごとの対応した出力部に出力を行うパターン識別部とを備えたことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0008】
請求項3に係る発明では、請求項1または請求項2記載の波形弁別装置において、パターン変換部にて得られた測定タイミングの異なる複数の波高値のうち、ひとつを基準とし、残りの値をその基準値で除し、その値を基に予め定められた値の範囲に応じて対応する出力部に出力を行うことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0009】
請求項4に係る発明では、請求項1または請求項2記載の波形弁別装置において、波形弁別装置のパターン変換部にて得られた複数の波高値の組合せを配列として取扱い、その配列と、予め定められている固有の1個または複数の配列との比較等のパターン弁別に従い出力部に出力を行うことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0010】
請求項5に係る発明では、請求項1から4までのいずれかに記載の波形弁別装置において、入射した粒子線の種類によって取得する各測定タイミングでの波高値が異なる波形を生じる粒子線検出器を接続することで粒子線の種類ごとの出力を求める手段を備えたことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0011】
なお、請求項1〜4に係る発明においては、入射した粒子線の位置によって取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なる波形を生じる粒子線検出器を接続することで粒子線の入射位置毎に弁別された出力を求めることが望ましい。
【0012】
また、請求項1〜4に係る発明においては、入射した粒子線の入射方向によって取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なる波形を生じる粒子線検出器を接続することで粒子線の入射方向毎に弁別された出力を求めることが望ましい。
【0013】
また、請求項1〜4に係る発明においては、波形弁別装置につながる信号線に、それぞれ取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なる波形を生じる検出器複数台を同時につなぎ、その波形を弁別することで1本の信号線で複数台の検出器の出力を伝送するこが望ましい。
【0014】
また、請求項1〜4に係る発明においては、検出器からの信号線をつなぎ、検出器由来の信号と信号線からの雑音など検出器以外の要素による信号とを弁別し、検出器由来の信号のみを計数することが望ましい。
【0015】
請求項6に係る発明では、請求項3記載の波形弁別部において、二つの波高値を取得する構成とし、先に波形を取得するタイミングを、立ち上がりの早い波形が最大値を取るタイミングとし、次の波形を取得するタイミングを立ち上がりの早い波形がすでに減衰に転じているようなタイミングとなるようにし、この時、先に取得した波高値を後に取得した波高値で除算した値が、立ち上がり時間が二つの波高の取得間隔の時間よりも十分に長ければ除算した値が予め定められた値を超え、立ち上がり時間が二つの波高の取得間隔の時間時間以下であれば予め定められた値以下となることを利用して、立ち上がりの早い信号波形と遅い信号波形とを弁別する手段を備えたことを特徴とする波形弁別装置を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る波形弁別装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
第1実施形態(図1)
本実施形態では、異なる経過時間毎の入力信号の波高値をもとに波形弁別を行う波形弁別装置について説明する。
【0018】
図1に示すように、この波形弁別装置では、パルス入力部1と、このパルス入力部1からのパルス入力s1によりスタート信号s2を発生するスタート信号発生部2と、このスタート信号発生部2からの信号s2を受け、それぞれ遅延回路部3により異なるタイミングでデータ取得信号s3を生成する複数のデータ取得信号発生部(1〜n)4,5,6とを備える。また、複数の波高変換部(1〜n)7,8,9と、パターン識別部10と、出力部11とを備える。
【0019】
そして、データ取得信号発生部4,5,6からの信号s3を受け、複数の波高変換部(1〜n)7,8,9により波形の各タイミングでの波高の数値への変換を行い、それら変換された信号s4による数値の組合せをもってパターン識別部10により波形パターンを識別し、パターン(例えばパターンA,B,C)ごとの対応した出力部11に出力Pa(パターンA),Pb(パターンB),Pc(パターンC)が行われる。
【0020】
このように構成した波形弁別装置によれば、入力信号の異なる経過時間ごとの波高値をもとに、波形の弁別を行うことができる。
【0021】
第2実施形態(図2)
本実施形態では、予め定められた時間経過後の波高値の組合せを取得することができる波形弁別装置について説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の波形弁別装置は、パルス入力部1と、スタート信号発生部2と、スタート信号発生部2からの信号s2を受けて波高のデジタル変換の開始信号を予め定められた回数ごとに任意の時間間隔にて発生させるデータ取得信号発生部4とを備える。また、データ取得信号発生部4からの信号s4を受ける毎に波高値変換タイミング調整のための遅延回路部3を通った後の波形の各タイミングで波高の数値への変換を行う波高変換部7を備える。
【0023】
これにより、スタート時間から予め定められた時間経過後の波高値の組合せを取得することができる。それら数値の組合せをもって入射パターンを識別し、パターンごとの対応した端子に出力を行うパターン識別部で構成した波形弁別装置により、波形の弁別を行うことができる。
【0024】
第3実施形態(図1、図2)
本実施形態では、経過時間の異なる2つ以上の波高値の割合をもとに波形弁別を行う波形弁別装置について説明する。
【0025】
すなわち、パターン変換部7にて得られた測定タイミングの異なる複数の波高値のうち、ひとつを基準とし、残りの値をその基準値で除し、その値を基に予め定められた値の範囲(実験等を先にしておき、蓄積したデータを使用する)に応じて対応する出力部に出力を行う。
【0026】
例えば第1実施形態および第2実施形態の波形弁別装置のパターン変換部7において得られた複数の波高値のうち、t秒経過後の波高値をH、t経過後の波高値をHとする。この2つの値より、弁別パラメータSを以下のように求める。
【0027】
【数1】
S=H/H
このSの値により、予め各出力端子毎に定められた値の範囲に応じて対応する出力端子に出力を行うことで波形弁別を行う。
【0028】
第4実施形態
本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態の波形弁別装置のパターン変換部において、得られた複数の波高値のうち、t,t,t,…t秒経過後の値をそれぞれ、H,H,H,…Hという値とする。この値を、配列P=(H,H,H,…H)という形で取扱う。
【0029】
また、予め比較配列として、C=(Ca1,Ca2,Ca3,…Can),C=(Cb1,Cb2,Cb3,…Cbn),C=(Cc1,Cc2,Cc3,…Ccn)…C=(Cx1,Cx2,Cx3,…Cxn)といった配列を用意しておく。この比較配列はそれぞれ特定の出力chと対応がつけられている。
【0030】
そして、パターンPと比較配列Cとの間での距離Dという値を
【数2】



という形で定義し、このDがもっとも小さくなる比較配列に対応する出力チャンネルに出力を行うことで波形弁別を行う。
【0031】
本実施形態によれば、経過時間の異なる2つの波高値の割合を基に波形弁別を行う波形弁別装置を求めることができる。
【0032】
第5実施形態
本実施形態では、第1実施形態の波形弁別装置のパターン変換部において、得られた複数の波高値のうち、t,t,t,…t秒経過後の値をそれぞれ、H,H,H,…Hという値とする。この値を、配列P=(H,H,H,…H)という形で取扱う。
【0033】
また、予め比較配列として、C=(C,C,C,…C)という配列を用意しておく。そして、パターンPと比較配列Cとの間の内積Mを
【数3】



という形で定義する。このMの値により、予め各出力端子毎に定められた値の範囲に応じて対応する出力端子に出力を行うことで波形弁別を行う。
【0034】
本実施形態によれば、経過時間の異なる2つの波高値の割合を基に波形弁別を行う波形弁別装置を求めることができる。
【0035】
第6実施形態
本実施形態では、経過時間の異なる複数の波高値の組合せと予め定められている値との比較によって、波形弁別を行う波形弁別装置について説明する。
【0036】
第1実施形態および第2実施形態の波形弁別装置のパターン変換部において、得られた複数の波高値のうち、t,t,t,…t秒経過後の値をそれぞれ、H,H,H,…Hという値とする。この値を、配列P=(H,H,H,…H)という形で取扱う。
【0037】
このパターンPを予めパターンに応じて出力chを決定するように最適化された階層型ニューラルネットワーク等のパターン識別アルゴリズムへと入力しその応答に従い定められた出力chに出力を行う。
【0038】
本実施形態によれば、経過時間の異なる複数の波高値の組合せと予め定められている値との比較・演算によって、パターン弁別を行うことができる。
【0039】
第7実施形態
本実施形態では、請求項1〜3の波形弁別装置に、入射した粒子線の種類によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで粒子線の種類毎に弁別された出力を行う粒子線検出装置について説明する。
【0040】
第1〜第6実施形態の波形弁別装置に、入射した粒子線の種類によってそれぞれ取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なるような粒子線検出器を接続することで粒子線の種類毎に弁別された出力を求める。入射した粒子の種類により波形の異なる粒子線検出器としては、ZnS(Ag)の薄い層と、プラスチックシンチレータの厚い層を重ね合わせ、ひとつの光センサにて検出する形の粒子線検出器等が挙げられる。
【0041】
本実施形態によれば、波形弁別装置に入射した粒子線の種類によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで,粒子線の種類毎のカウントを出力することができる。
【0042】
第8実施形態
本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態の波形弁別装置に、入射した粒子線の位置によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで粒子線の入射位置毎に弁別された出力を行う粒子線検出装置について説明する。
【0043】
第1〜第6実施形態の波形弁別装置に、入射した粒子線の位置によってそれぞれ取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なるような粒子線検出器を接続することで粒子線の位置毎に弁別された出力を求める。粒子線の入射位置により波形の異なる粒子線検出器としては、抵抗性の芯線を用い、片側をコンデンサを介して接地させ、もう一端から信号を読み出す片側読出し位置検出型比例計数管などが挙げられる。
【0044】
本実施形態によれば、波形弁別装置に入射した粒子線の位置によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで、粒子線の入射位置毎に弁別された出力を行うことができる。
【0045】
第9実施形態
本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態の波形弁別装置に、入射した粒子線の入射方向によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで粒子線の入射方向毎に弁別された出力を行う粒子線検出装置について説明する。
【0046】
第1〜第6実施形態の波形弁別装置に、入射した粒子線の入射方向によってそれぞれ取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なるような粒子線検出器を接続することで粒子線の入射方向毎に弁別された出力を求める。粒子線の入射方向により波形の異なる粒子線検出器としては同軸型の電極配置をした半導体検出器などが挙げられる。
【0047】
本実施形態によれば、入射した粒子線の入射方向によって波形の異なる粒子線検出器を接続することで、粒子線の入射方向毎に弁別された出力を行うことができる。
【0048】
第10実施形態
本実施形態では、第1実施形態〜第6実施形態の波形弁別装置に接続される信号線に、それぞれ出力波形の異なる検出器複数台を同時に接続し、その波形を弁別することで1本の信号線で複数台の検出器の出力を伝送する信号計数装置について説明する。
【0049】
すなわち、第1〜第6実施形態の波形弁別装置につながる信号線に、それぞれ取得する各測定タイミングでの波高値の組合せが異なるような検出器複数台を同時に接続し、その波形を弁別することで、1本の信号線で複数台の検出器の出力を伝送することができる。
【0050】
本実施形態によれば、波形弁別装置につながる信号線に、それぞれ出力波形の異なる検出器複数台を同時に接続し、その波形を弁別することで1本の信号線で複数台の検出器の出力を伝送することができる。
【0051】
第11実施形態
本実施形態では、第1実施形態〜第6実施形態の波形弁別装置に検出器からの信号線をつなぎ、検出器由来の信号と、信号線からの雑音など検出器以外の要素による信号とを弁別し、検出器由来の信号のみを計数する信号計数装置について説明する。
【0052】
すなわち、雑音等のノイズ対応パターンは予め知ることができるので、このノイズパターンを予め蓄積しておき、このノイズパターンと検出器のパターンとを比較する。
【0053】
このように、第1〜第6実施形態の波形弁別装置により、接続された検出器から出力される信号波形のパターンのみを弁別し、計数することで、接続された検出器によらない雑音等の影響を除去することができる。
【0054】
本実施形態によれば、検出器由来の信号と、信号線からの雑音など検出器以外の要素による信号とを弁別し、検出器由来の信号のみを計数することができる。
【0055】
第12実施形態(図3)
本実施形態では、予め設定した時間より、立ち上がり時間が早い波形と遅い波形を弁別する波形弁別装置について説明する。図3は、縦軸に波高値、横軸に時間を表した2種類の入力信号波形を示したものであり、上段の曲線は立ち上がりの早い波形A、下段の曲線は立ち上がりの遅い波形Bを表している。
【0056】
図3に示すように、本実施形態では、立ち上がりの早い波形Aと遅い波形Bとを弁別するために、第3実施形態における二つの波高値を取得する構成とし、先に波形を取得するタイミングを立ち上がりの早い波形Aが最大値を取るタイミングT1とし、次の波形Bを取得するタイミングを立ち上がりの早い波形Aがすでに減衰に転じているようなタイミングT2となるようにする。
【0057】
この時、先に取得した波高値H1a、H1bを後に取得した波高値H2a,H2bで除算した値が、立ち上がり時間が短ければ除算した値が予め定められた値を超え、立ち上がり時間長ければ予め定められた値以下となることを利用して、立ち上がりの早い信号波形と遅い信号波形を弁別することができる。
【0058】
例えば、一般的な有機シンチレータの出力信号の立ち上がり時間が数十ナノ秒であり、一般的な無機シンチレータの出力信号の立ち上がり時間が数マイクロ秒程度であることから、薄い無機シンチレータ層の下に厚い有機シンチレータ層を張り合わせ、両者からの出力を単一の光センサで電気信号に変換する構成とした場合、1回目のデータ取得を信号が立ち上がり始めてから数十ナノ秒程度経過したタイミングとし、2回目のデータ取得をそれから1マイクロ秒程度以上後のタイミングとして上記の考え方で弁別することで、無機シンチレータ層で主にエネルギが吸収され立ち上がりの遅い信号を発生させるアルファ線と、有機シンチレータ層で主にエネルギが吸収され、立ち上がりの早い信号を発生させる電子線との弁別を行うことができる。
【0059】
本実施形態によれば、予め設定した時間より、立ち上がり時間が早い波形と遅い波形を弁別する波形弁別装置を求めることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、予め定めた複数の時間経過時の波高をA/D変換し、その波高の組合せを基に波形弁別を行うことで、アナログ的な処理によらない簡便な波形弁別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す処理ブロックの概略図。
【図2】本発明の第2実施形態を示す処理ブロックの概略図。
【図3】本発明の第12実施形態を示す処理方法についての線図。
【符号の説明】
1…パルス入力部、2…スタート信号発生部、3…遅延回路部、4,5,6…データ取得信号発生部、7,8,9…波高変換部、10…パターン識別部、11…出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス入力部と、このパルス入力部からのパルス入力によりスタート信号を発生するスタート信号発生部と、このスタート信号発生部からの信号を受け、それぞれ異なるタイミングでデータ取得信号を生成する複数のデータ取得信号発生部と、これらのデータ取得信号発生部からの信号を受け、波形の各タイミングでの波高の数値への変換を行う複数の波高変換部と、それら変換された数値の組合せをもって波形パターンを識別し、パターンごとの対応した出力部に出力を行うパターン識別部とを備えたことを特徴とする波形弁別装置。
【請求項2】
パルス入力部と、このパルス入力部からのパルス入力によりスタート信号を発生するスタート信号発生部と、このスタート信号発生部からの信号を受け波高のデジタル変換の開始信号を予め定められたタイミングにおいて複数回数発生させるデータ取得信号発生部と、このデータ取得信号発生部からの信号を受ける毎に波形の各タイミングでの波高の数値への変換を行う波高変換部と、それら変換された数値の組合せをもって波形パターンを識別し、パターンごとの対応した出力部に出力を行うパターン識別部とを備えたことを特徴とする波形弁別装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の波形弁別装置において、パターン変換部にて得られた測定タイミングの異なる複数の波高値のうち、ひとつを基準とし、残りの値をその基準値で除し、その値を基に予め定められた値の範囲に応じて対応する出力部に出力を行うことを特徴とする波形弁別装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の波形弁別装置において、波形弁別装置のパターン変換部にて得られた複数の波高値の組合せを配列として取扱い、その配列と、予め定められている固有の1個または複数の配列との比較等のパターン弁別に従い出力部に出力を行うことを特徴とする波形弁別装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の波形弁別装置において、入射した粒子線の種類によって取得する各測定タイミングでの波高値が異なる波形を生じる粒子線検出器を接続することで粒子線の種類ごとの出力を求める手段を備えたことを特徴とする波形弁別装置。
【請求項6】
請求項3記載の波形弁別部において、二つの波高値を取得する構成とし、先に波形を取得するタイミングを、立ち上がりの早い波形が最大値を取るタイミングとし、次の波形を取得するタイミングを立ち上がりの早い波形がすでに減衰に転じているようなタイミングとなるようにし、この時、先に取得した波高値を後に取得した波高値で除算した値が、立ち上がり時間が二つの波高の取得間隔の時間よりも十分に長ければ除算した値が予め定められた値を超え、立ち上がり時間が二つの波高の取得間隔の時間時間以下であれば予め定められた値以下となることを利用して、立ち上がりの早い信号波形と遅い信号波形とを弁別する手段を備えたことを特徴とする波形弁別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−93383(P2004−93383A)
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−255534(P2002−255534)
【出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】