説明

波形流体処理パック

【課題】様々な流体及び/又は流体成分を浄化し、分離し、及び/又は、濃縮するために使用でき、製造が簡単且つ信頼できる流体処理パックを提供する。
【解決手段】流体処理パック10は、管状の形態と長手方向軸線を有する多孔質構造体を備える。多孔質構造体は、螺旋状に又は円周方向に延びる第1の多孔質領域20及び第2の多孔質領域22を含む、螺旋状に延びる少なくとも1つのひだ18を有する。第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域が、螺旋状に又は円周方向に延びる山14及び谷16のうちの一方に沿って互いに連続する。この流体処理パックは、潰されて入れ子状のひだを形成し、あるいは潰され、引き伸ばされて非入れ子状のひだを形成できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、様々な流体及び/又は流体成分を浄化し、分離し、及び/又は、濃縮するために使用されてもよい流体処理パックに関する。流体は、液体、気体、及び、液体、気体及び/又は固体の混合物及び他の組み合わせを含んでいてもよい。
【0002】
本発明の他の態様において、流体処理パックは、管状の形態と長手方向軸線を有する多孔質構造体を備え、上記多孔質構造体は、螺旋状に延びる第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を含む螺旋状に延びる少なくとも1つのひだを有し、上記第1の多孔質領域及び上記第2の多孔質領域は、螺旋状に延びる山及び螺旋状に延びる谷のうちの一方に沿って互いに連続している。
【0003】
本発明の他の態様において、流体処理パックは、管状の形態と長手方向軸線を有する多孔質構造体を備え、上記多孔質構造体は、円周方向に延びる複数の山と円周方向に延びる複数の谷とを含む円周方向に延びる複数のひだを有し、上記各ひだが円周方向に延びる第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を含み、上記第1の多孔質領域及び上記第2の多孔質領域は、円周方向に延びる山及び円周方向に延びる谷のうちの一方に沿って互いに連続するとともに、円周方向に延びる山及び円周方向に延びる谷のうちの他方に沿って隣接するひだの隣接する多孔質領域まで延びている。
【0004】
本発明の1つ以上の態様に係る流体処理パック及びエレメントは多くの利点を有している。例えば、流体処理パック及びエレメントは、流体処理に利用できる流体処理パックの単位長さ当たりの表面積が大きく、パック内の想定し得る漏れ経路を最小にする。また、任意の所望の長さ、任意の所望の深さのひだ、多種多様な処理特性を有する流体処理パック及びエレメントは、簡単且つ信頼できる方法によって製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】1つの螺旋ひだを有する流体処理パックの一部の側面図である。
【0006】
【図2】複数の螺旋ひだを有する流体処理パックの一部の側面図である。
【0007】
【図3】図2の流体処理パックの一部の断面図である。
【0008】
【図4】円周方向ひだを有する流体処理パックの一部の側面図である。
【0009】
【図5】円周方向ひだを有する他の流体処理パックの一部の側面図である。
【0010】
【図6】円周方向ひだを有する他の流体処理パックの一部の側面図である。
【0011】
【図7】螺旋ひだを有する他の流体処理パックの一部の側面図である。
【0012】
【図8a】他の流体処理パックの一部の側面図である。
【0013】
【図8b】図8aの流体処理パックの一部の部分断面図である。
【0014】
【図9a】他の流体処理パックの一部の側面図である。
【0015】
【図9b】図9aの流体処理パックの一部の部分断面図である。
【0016】
【図10】複数の領域を有する流体処理パックの一部の断面図である。
【0017】
【0018】
【図11】成形マンドレルの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
流体処理パックは多くの様々な方法で構造化されてもよい。一部の流体処理パックは、分離媒体又はフィルタ媒体、捕捉媒体、或いは、コアレッサー媒体などの流体処理領域を備える略管状の波形多孔質構造体を含んでいてもよい。多孔質構造体は、長手方向軸線と、1つ以上の山及び1つ以上の谷を含む1つ以上のひだとを更に備えていてもよい。各ひだは、山及び/又は谷において互いに連続している、例えば山及び/又は谷において互いに連続的に合流する第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を備えていてもよい。第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を含む山、谷、ひだは、多孔質構造体の長手方向軸線に対して螺旋状に又は円周方向に延びてもよい。流体処理パックにより処理される流体は、多孔質構造体及び流体処理領域を通じて外側から内側へ又は内側から外側へと方向付けられてもよく、また、多孔質構造体及び流体処理領域を通じて流れる流体は、任意の多種多様な方法で処理されてもよい。例えば、流体処理領域は、流体から粒子を除去し、1つの流体相を他の流体相から合体させ及び/又は1つの流体相を他の流体相から分離し、又は、流体中の1つ以上の物質を物理的に及び/又は化学的に結合するようになっていてもよい。
【0020】
流体処理パック10の一例が図1に示されている。流体処理パック10は、長手方向軸線と、流体処理領域11と、螺旋状に延びる山14と、螺旋状に延びる谷16を有する略管状の波形繊維構造体、例えば不織構造体12を含んでいる。波形繊維構造体12は螺旋状に延びるひだ18を1つだけ画成しており、ひだ18は、繊維構造体12の軸線に沿って螺旋状に延び且つ山14及び谷16に沿って互いに連続する隣り合う第1のウェブ20及び第2のウェブ22を備えている。
【0021】
他の流体処理パック10の一例が図2及び図3に示されている。流体処理パック10は、流体処理領域11と、螺旋状に延びる隣り合う第1のひだ18及び第2のひだ18aと、螺旋状に延びる第1の山14及び第2の山14aと、螺旋状に延びる第1の谷16及び第2の16aを有する波形繊維構造体12を含んでいる。螺旋状に延びる第1のひだ18は、繊維構造体12の軸線に沿って延び且つ第1の山14に沿って互いに連続する隣り合う第1のウェブ20及び第2のウェブ22を含んでいる。螺旋状に延びる第2のひだ18aは、繊維構造体12の軸線に沿って延び且つ第2の山14aに沿って互いに連続する隣り合う第1のウェブ20a及び第2のウェブ22aを含んでいる。螺旋状に延びる第1のひだ18のウェブ20、22は、螺旋状に延びる第2のひだ18aの隣り合うウェブ20a、22aまで谷16、16aに沿って延びている。他の複数の螺旋実施形態は、螺旋状に延びる3つ以上のひだを含んでいる。例えば、流体処理パックは、螺旋状に延びる第3又は第4のひだを含んでいてもよい。
【0022】
流体処理パック10の他の例が図4に示されている。図4に示される流体処理パック10は、長手方向軸線と、流体処理領域11と、円周方向に延びる複数の山14と、円周方向に延びる複数の谷16と、円周方向に延びる複数のひだ18を有する略管状の波形繊維構造体12を含んでいる。円周方向に延びるひだを含む実施形態において、各ひだ18は、繊維構造体12の軸線の周りで円周方向に延び且つ円周方向に延びる山14又は谷16に沿って互いに連続する隣り合う第1のウェブ20及び第2のウェブ22を備えている。図4に示される実施形態において、1つのひだの隣り合う第1のウェブ20及び第2のウェブ22は、山14に沿って互いに連続するとともに、隣り合うひだ18の隣り合うウェブまで谷16に沿って延びている。或いは、隣り合う第1のウェブ20及び第2のウェブ22は、谷16に沿って互いに連続するとともに、隣り合うひだ18の隣り合うウェブまで山14に沿って延びている。
【0023】
螺旋状及び円周方向の両方の実施形態において、山14及び谷16を含むひだ18は様々に構成されてもよい。山14及び谷16は、流体処理パックの長手方向軸線から任意の適した径方向距離で位置されてもよい。例えば、山14は、繊維構造体12の長手方向軸線から約1/4インチ以下〜約12インチ以上の径方向距離(r)を有していてもよい。谷16は、繊維構造体12の長手方向軸線から約1/8インチ以下〜約8インチ以上の径方向距離(r)を有していてもよい。例えば図1〜4に示される実施形態において、全ての山14は長手方向軸線から同じ径方向距離rを有しており、また、全ての谷16は長手方向軸線から同じ径方向距離rを有している。しかしながら、一部の実施形態において、一部の山は、長手方向軸線からの径方向距離が他の山の長手方向軸線からの径方向距離と異なっている。同様に、一部の谷は、長手方向軸線からの径方向距離が他の谷の長手方向軸線からの径方向距離と異なっている。例えば、図5に示される円周方向の実施形態において、隣り合う山14は、長手方向軸線からの径方向距離が異なっている(rc1、rc2)。図5は、2つの異なる距離を有する山14を交互の配置形態で含む繊維構造体を示しているが、本発明はそのようなものに限定されない。螺旋状及び円周方向の両方の実施形態において、任意の山は、長手方向軸線からの径方向距離が任意の他の山の径方向距離と同じ又は異なっていてもよい。同様に、任意の谷は、長手方向軸線からの径方向距離が任意の他の谷の径方向距離と同じ又は異なっていてもよい。また、長手方向軸線からの径方向距離は、図示のように1つの山及び/又は谷に沿って一定であってもよく、或いは、1つの山及び/又は谷に沿って変化してもよい。
【0024】
ひだ18を構成する第1のウェブ20及び第2のウェブ22は、任意の適した幅(w)、すなわち、隣り合う山14と谷16との間のウェブの表面に沿う距離を有している。例えば、ウェブ20、22は、約0.1インチ以下〜約5インチ以上の範囲の幅を有していてもよい。第1の及び第2のウェブ20、22は同じ幅又は異なる幅を有している。例えば、図1及び図2に示される実施形態では、第1のウェブ20及び第2のウェブ22が略等しい幅を有している。図6に示される実施形態では、1つのウェブ、例えば第1のウェブ20の幅(w)が、他のウェブ、例えば第2のウェブ22の幅(w)より大きい。また、螺旋状に延びるウェブを含む実施形態は、幅が異なる第1のウェブ及び第2のウェブを有していてもよい。これに加えて又はこれに代えて、一部のひだのウェブは、他のひだのウェブとは異なる幅を有していてもよい。例えば、図7に示される実施形態において、繊維構造体は第1のひだ18及び第2のひだ18aを含んでいる。第1のひだ18は、山14において互いに連続し且つ等しい幅(w)を有する第1のウェブ20及び第2のウェブ22を含んでいる。第2のひだ18aは等しい幅(w)を有する第1のウェブ20a及び第2のウェブ22aを含んでいる。しかしながら、図7から分かるように、第1のひだ18の第1のウェブ20及び第2のウェブ22の幅(w)は、第2のひだ18aの第1のウェブ20a及び第2のウェブ22aの幅(w)とは異なっている。
【0025】
多くの螺旋状及び円周方向の実施形態において、流体処理パックの波形繊維構造体12は、潰されて入れ子状のひだを形成してもよく、又は、潰され又は引き伸ばされて又は潰されも引き伸ばされもせずに非入れ子状のひだを形成してもよい。幾つかの実施形態は、入れ子状のひだ群及び非入れ子状のひだ群の両方を有する波形繊維構造体を含んでいる。図8aに示されるような非入れ子状のひだ18の場合、繊維構造体12の長手方向軸線上への山14及び谷16の投影は、図8bに示されるように、軸線に沿う均等又は不均等な列を形成してもよい。山14の投影は、隣り合う谷16の投影の中間に位置しており、逆もまた同様である。図9aに示されるような入れ子状のひだの場合、山14の投影は、隣り合う谷16の投影の外側に位置しており、逆もまた同様である。ひだを入れ子にし又は入れ子にすることなく波形構造体12を潰すことにより、潰されていない流体処理パックよりも流体処理パックの単位長さ当たりの表面積が増大することが有益である。例えば、螺旋状の実施形態などの一部の実施形態において、波形繊維構造体は、潰されていない波形繊維構造体のピッチの約1/5以下まで潰されてもよい。
【0026】
非入れ子状のひだは、例えば図8a、8bに示されるように、隣り合うウェブと表面接触してもよい又は表面接触しなくてもよい湾曲した又は真直ぐなウェブを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のウェブの少なくとも一部が隣り合うウェブと接触する。幾つかの非入れ子状のひだは、流体処理パックの長手方向軸線から山までの径方向距離と流体処理パックの長手方向軸線から谷までの径方向距離との間の差(r−r)に等しい深さ(d)を有していてもよい。
【0027】
入れ子状のひだは、ウェブ表面の一部に沿って隣のウェブと接触してもよい又は接触しなくてもよい湾曲した又は真直ぐな非径方向ウェブを備えていてもよい。これに加えて又はこれに代えて、入れ子状のひだは、全てではなく一部のウェブが隣り合うウェブと表面接触してもよい。入れ子状のひだ18を含む潰された繊維構造体12の典型的な実施形態が図9a、9bに示されている。図9a、9bから分かるように、ウェブ20、22は、湾曲しているとともに、ウェブの表面の一部に沿って隣り合うウェブと接触している。入れ子状のひだは、山から対応する谷までの距離に等しい深さ(d)を、隣り合うウェブの表面と略平行方向でその間に有している。入れ子状のひだを含む流体処理パックは、非入れ子状の潰されていない流体処理パックよりも深いひだを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、ウェブ幅が異なる第1のウェブ20及び第2のウェブ22を含むひだ18、例えば図6に示されるひだは、隣り合うひだ18を入れ子状にし易くする場合がある。しかしながら、幅が等しい第1のウェブ及び第2のウェブを含む繊維構造体も潰れて入れ子状のひだを形成し得る。
【0028】
ウェブを含む管状の繊維構造体は、流体処理領域を1つだけ備えていてもよく、或いは、流体処理領域に加えて1つ以上の領域を含んでいてもよい。隣り合う領域が互いに固定されることなく互いに接触してもよい。或いは、隣り合う領域は、互いに接触してもよく、また、例えば1つの領域の繊維を隣り合う領域の繊維に対して機械的に絡ませる又は結合することにより互いに固定されてもよい。多くの繊維構造体は、流体処理領域の一方側又は両側に1つ以上の排出領域を含んでいてもよい。これらの排出領域により、ウェブの対向する表面が互いに接触する場合であっても、隣り合うウェブの略全ての部分へ又は当該部分から流体を均一に流すことができる。例えば、入れ子状のひだを含む実施形態において、また、特に密に入れ子にされるひだの場合には、隣り合うウェブが互いに接触されてもよい。排出領域は、繊維構造体の流体処理領域の外部に沿って、例えば、流体の流れが外側から内側へ向かうときには上流側に沿って又は流体の流れが内側から外側へ向かうときには下流側に沿って配置されてもよく、及び/又は、繊維構造体の流体処理領域の内部に沿って、例えば、流体の流れが外側から内側へ向かうときには下流側に沿って又は流体の流れが内側から外側へ向かうときには上流側に沿って配置されてもよい。図10に見られるように、潰された入れ子状の繊維構造体12は、第1の排出領域30と、流体処理領域11と、第2の排出領域34とを、各ウェブ20、22に沿って含んでいてもよい。排出領域32、34は、例えば更に粗い孔径などの更に開放された構造を有することにより、流体流れに対して流体処理領域11よりも低いエッジ方向抵抗を有していてもよい。その場合、流体は、ひだ18内まで及び/又はひだ18からエッジ方向に排出領域32、34に沿って容易に流れ、ウェブ20、22が互いに接触するときにはひだ内の更に深くまで流体処理領域11に沿って更に十分に分配される。
【0029】
管状繊維構造体は更なる領域を含んでいてもよい。例えば、繊維構造体は、例えば繊維構造体の内部及び/又は外部でウェブに沿って配置される1つ以上の不織内部支持領域を含んでいてもよい。支持領域は、繊維構造体に対して物理的強度を与えて、軸力、曲げ力、又は、ねじれ力に抗するとともに、使用中に径方向の力により繊維構造体が内側に潰れたり又は外側に拡張しないようにしてもよい。また、支持領域は、何らかの流体処理、例えば流体の事前フィルタリングを有利に行ってもよい。
【0030】
流体処理パックは多種多様な方法で作製されてもよい。流体処理パックを作製する1つの方法の例は、成形マンドレル上に繊維を堆積させて不織多孔質管状波形繊維構造体を形成するステップを備える。成形マンドレルの一例が図11に示されている。図示の成形マンドレル40は、螺旋状に延びるマンドレル山46及び/又は螺旋状に延びるマンドレル谷48に沿って互いに交わる螺旋状に延びる第1の傾斜領域42及び第2の傾斜領域44を含んでいる。マンドレルは単一又は複数の螺旋構造を有していてもよい。他の実施形態において、マンドレルは、円周方向に延びる複数の山と、円周方向に延びる複数の谷と、隣接する山と谷との間で延びる円周方向に延びる複数の傾斜領域とを含んでいる。成形マンドレルは、任意の所望の構造、例えば前述したような構造を有する繊維構造体を形成するのに適した任意の構造を有していてもよい。例えば、成形マンドレルは、螺旋状又は円周方向に延び且つマンドレルの長手方向軸線から任意の適した径方向距離を有する山及び谷を含んでいてもよい。山及び谷は等しい又は等しくない径方向距離を有していてもよく、また、傾斜領域は任意の適切な幅(山と隣接する谷との間のマンドレル表面に沿う距離)を有していてもよい。この場合、幅は、異なるマンドレル部分において同一であり又は異なっている。また、傾斜領域は、直線状であっても湾曲していてもよく、マンドレルの長手方向軸線に対して任意の所望の角度で延びていてもよい。
【0031】
成形マンドレルは任意の適した材料を含んでいてもよい。例えば、成形マンドレルは、山及び谷を含むように形成されるステンレス鋼などの金属又はポリプロピレンなどの高分子材料を含んでいてもよい。マンドレルは一体構造又は多部品構造を成していてもよい。例えば、マンドレルは、繊維構造体の除去を容易にするために縮められる径方向に拡張可能な部分を備えている。他の実施形態において、マンドレルは、山及び谷を形成するためにその周囲に、ある形状体、例えば三角形の形状体が巻回された標準的な円筒状マンドレルである。形状体は、硬質であってもよく、或いは、繊維構造体の除去を容易にするために膨張収縮可能であってもよい。また、マンドレルは、マンドレルからの繊維構造体の除去を容易にするために、コーティング、例えばテフロン(登録商標)コーティングなどのノンスティックコーティングを含んでいてもよい。マンドレルは中空でも中実でもよいが、一部の実施形態では、マンドレルの重量及びコストを減らすために中空マンドレルが好ましい。
【0032】
管状の形態を成すマンドレル上に例えば紡績、溶融ブロー成形を含む溶融紡績、乾式紡績又は湿式紡績によって繊維を堆積させると、マンドレルの構造に対応する管状の形態を成す繊維構造体が有利に形成される。流体処理パックの一部の実施形態は1つ以上の継ぎ目を含んでいてもよいが、流体処理パック及び繊維構造体は、例えば軸方向に延びる継ぎ目、螺旋状に延びる継ぎ目、円周方向に延びる継ぎ目を含む継ぎ目の使用を伴うことなく形成されてもよい。継ぎ目のない流体処理パックは、想定し得る流体処理パック内部の漏れ経路を減らすことができ、したがって、多くの実施形態において好ましい。
【0033】
多くの実施形態において、成形マンドレル上に対する不織ウェブの形成は、1つ以上の繊維形成材料を溶かして押し出すことを含んでいてもよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、繊維形成材料を溶かさずに、材料が適当な溶媒中に溶解されて押し出されてもよい。本発明の繊維構造体を形成するために任意の数の繊維形成材料が使用されてもよい。典型的な繊維形成材料としては、高分子材料、例えばポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、例えばエチレングリコールとテレフタル酸とのエステル、1,4ブテンジオールとジメチルテレフタル酸又はテレフタル酸とのエステル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリイソブチレン、ポリベンズイミダゾールとの共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン11、ポリアミド−ポリエーテル共重合体、例えばポリアミド/ポリアルキレン−オキシド−ジアミン共重合体、例えば「20%ポリエチレン−オキシドジアミンを含む80%ナイロン6」のような前述したナイロン6共重合体が挙げられる。また、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、プロピオン酸セルロースアセテート、プロピオン酸セルロースアセテート、酪酸セルロースアセテート、酪酸セルロースなどのセルロース誘導体も適している。
【0034】
繊維形成材料は、1つ以上の個々の押し出しノズルを含む紡績金型を使用して押し出されてもよい。任意の従来の紡績金型が使用されてもよい。そのような金型は、市販されており、繊維紡績技術において良く知られている。「紡績金型」という用語が、紡績ノズル、紡糸口金、任意の所望のサイズ及びパターンの複数のオリフィスを含むプレートと対向するリザーバ、及び、複数のオリフィスを周囲に有し且つこれらのオリフィスを通じて遠心力により繊維が紡がれる遠心分離機又はロータを含んでいることは言うまでもない。繊維分解体、回転ホイール、ディスク及び類似の材料が含まれてもよい。一部の実施形態において、方法は、ノズル及びマンドレルが相対的に回転されるときにマンドレル上に繊維を堆積させて不織ウェブを形成することを含んでいる。例えば、マンドレルは、適切な速度、例えば約30rpm〜約1000rpmの範囲、例えば約50〜700rpmの範囲で回転してもよいが、ノズルは静止して動かない。或いは、逆もまた同様である。
【0035】
金型は任意の適した数のノズルを含んでいてもよく、ノズルは、単一直線状に配列されてもよく、或いは、互いにオフセットされてもよい。ノズルは、任意の適当な距離だけ、例えば約0.4cm以下〜約1.5cm以上の範囲の距離だけ、幾つかの実施形態では約0.6〜1.2cmの距離だけ互いに離間されてもよい。幾つかの実施形態では、複数の配列のノズルが利用されてもよい。例えば、金型は、2つ、3つ、4つ、或いは、それ以上のノズル列を含んでいてもよい。複数の列のノズルは任意の適当な態様で方向付けられてもよい。一部の実施形態では、例えばその全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,074,869号に記載されるように、ノズルを方向付けて交差する繊維流れを形成することが有益な場合がある。
【0036】
紡績金型は、マンドレルから任意の適当な距離に位置されるノズルを含んでいてもよい。一部の実施形態において、ノズルは、マンドレルから約1.5cm以下〜約15cm以上離間され、より好ましくは約2cm〜約12cm離間されている。多くの実施形態では、マンドレルの形状に起因して、ノズルとマンドレルとの間の距離がマンドレルの全長に沿って異なっている。例えば、マンドレルは少なくとも1つの山と少なくとも1つの谷とを含んでいてもよく、その場合、ノズルと山との間の距離は、ノズルと谷との間の距離と異なっている。しかしながら、一部の実施形態において、ノズルは、ノズルと山との間の距離がノズルと谷との間の距離と等しくなるように配置される。
【0037】
多くの実施形態では、繊維がノズルから出るときにガス流と接触する。例えば、ガス流は、繊維を細くしてそれらをマンドレルの方向へ運んでもよい。例えば繊維が溶融ブロー成形されるような幾つかの実施形態において、ガス流は、繊維がノズルから出るときに繊維を不連続な長さに分割して分裂させるように構成される。繊維の長さは、ガス流の速度及び量を調整することにより変えることができる。溶融紡績用途などの他の実施形態において、ガス流は、繊維を分裂させることなく細くしてもよく、それにより、繊維は、溶融部分が依然としてノズルに付着された状態で例えば連続フィラメントとしてマンドレルに達してもよい。このように、「繊維」という用語が、フィラメント及び更に短い繊維を含んでいることは言うまでもない。また、ガス流は、溶融繊維の冷却を遅らせるべく過熱されてもよく、或いは、繊維の冷却を加速させるべく冷却されてもよく、それにより、繊維の凝固速度に影響を与えてもよい。例えば、繊維が熱い状態に長く維持される場合(例えば、加熱ガス流を用いて)には薄細化が高められ、また、繊維が急速に冷却される場合(例えば、冷却ガス流を用いて)には薄細化が低減される。このように、繊維の長さ及び直径にわたる何らかの制御が得られてもよい。繊維が乾式紡績されるような他の実施形態において、ガス流は、繊維を凝固させるために溶媒の蒸発を促進させてもよい。
【0038】
ガス流は、繊維に対して任意の多くの方向へ向けられてもよい。幾つかの実施形態において、ガス流は、繊維の突出方向に略向けられてもよい。例えば、ガス流は、個々のオリフィス又はオリフィス列の周囲で円周方向に配列された開口を通じて放出されてもよい。開口は、オリフィスの中心軸線に沿ってガスを高速であるが制御された速度で吐出させるようになっていてもよい。他の実施形態において、ガス流は、繊維の突出方向と垂直な方向に略向けられる。前述したように、ガス供給構造を含む従来の金型は、繊維紡績技術において良く知られている。
【0039】
幾つかの実施形態では、ガス流がノズルから出る前に溶融高分子と接触し、それにより、高分子流が極めて小さい小滴になるまで寸断され、その後、これらの小滴がノズルから運び出されて空気流により繊維へと引き伸ばされる。そのような実施形態にしたがって形成される繊維は、ノズルの外部で分裂される繊維よりもより制御された方向性を有している。そのようなプロセス及び適したノズル構造の詳細な説明は米国特許第6,074,869号で与えられている。
【0040】
一部の実施形態において、成形マンドレル上に繊維を堆積させて不織ウェブを形成することは、複数の紡績金型を使用して繊維を押し出すことを含んでいる。例えば、一実施形態において、少なくとも1つの更なる金型は、他の金型から離間された関係を成して配置される。更なる金型を通じて押し出された繊維は、更なる金型から放出されるとともに、成形マンドレル上に堆積される前又は後に他の金型からの繊維流に対して供給されてもよい。異なる金型から放出する繊維流が互いに混入するようになってもよい。幾つかの実施形態において、更なる金型から出る繊維は、ローラ、例えば収集/移送ローラ上に堆積されるとともに、ローラから成形マンドレルへと移送される。一部の実施形態では、繊維が更なる金型から高温で放出され、及び/又は、収集/移送ローラが加熱されて繊維の少なくとも一部が溶融状態に維持され、それにより、それらの繊維が他の金型から出る繊維と溶融結合される。複数の金型を使用して不織ウェブを形成する詳しい説明は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,591,335号で与えられている。
【0041】
多種多様な直径を有する繊維、例えば不連続繊維及び/又は連続フィラメントが成形マンドレル上に堆積されて不織ウェブが形成されてもよい。例えば、繊維は約1.5ミクロン以下〜約150ミクロン以上の直径を有していてもよい。約15ミクロン〜約50又は100ミクロン以上の公称直径を有する繊維を含む繊維構造体は、一般に、柔軟性が殆ど無くてもよく、また、約15ミクロン未満の公称直径を有する繊維を含む繊維構造体よりも大きい孔径を有していてもよい。幾つかの実施形態では、約15ミクロン未満の公称直径、例えば約3〜約8ミクロンの公称直径を有する繊維が成形マンドレル上に堆積される。他の実施形態では、約1.5ミクロン程度、又は、約1ミクロン未満、例えば約0.5ミクロンの公称直径を有する繊維が成形マンドレル上に堆積される。
【0042】
一部の実施形態において、方法は、様々な公称直径を有する繊維を堆積させることを含んでいる。例えば、異なる公称直径を有する繊維が成形マンドレル上に無作為に堆積され又は特定の方向で堆積されてもよい。異なる公称直径を有する繊維は、等しい比率で又は異なる比率でマンドレル上に堆積されてもよく、或いは、繊維構造体の異なる領域又は層を形成するように堆積されてもよい。幾つかの実施形態では、異なる公称直径を有する繊維が堆積されることにより、段階的な方向性が生み出され、例えば貫通する孔のサイズが減少する又は増大する流体処理領域が設けられる。これに代えて又はこれに加えて、公称直径が異なる又は公称直径の分布が異なる繊維が堆積されることにより、繊維構造体の異なる領域が形成されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、第1の公称直径を有する繊維が堆積されて第1の層又は領域が形成されるとともに、第2の異なる公称直径を有する繊維が堆積されて第2の層又は領域が形成される。異なる公称直径の繊維又は他の領域の繊維の公称直径と等しい公称直径を有する繊維を含んでもよい更なる層又は領域が成形マンドレル上に堆積されてもよい。一実施形態において、方法は、繊維を堆積させて3つの領域を有する不織ウェブを形成することを含んでいる。この場合、第1の領域は第1の公称直径を有する繊維を含み、第2の領域は公称直径のある分布を有する繊維を含み、第3の領域は第1の公称直径を有する繊維を含んでいる。第1の領域及び第3の領域は、排出領域、支持領域、緩衝領域、又は、スペーサ領域を備えていてもよく、また、第2の領域は流体処理領域を備えていてもよく、また、流体処理領域の繊維は、第1の領域及び第3の領域の繊維よりも小さい直径を有していてもよい。
【0043】
適当な数の領域及び適当な厚さを有する繊維構造体が得られるまで、成形マンドレル上に繊維を堆積させて不織ウェブを形成してもよい。例えば、繊維構造体の厚さは約0.01インチ以下〜約0.5インチ以上であってもよい。繊維の堆積は複数の堆積物を形成することを含んでいてもよい。この場合、各堆積物は、例えば直径が異なる繊維及び/又は材料が異なる繊維を備えていてもよい。各堆積物が繊維構造体の異なる領域に対応していてもよく、また、繊維構造体の厚さは、不織流体処理領域や不織排出領域などの複数の領域の厚さを含んでいてもよい。例えば、繊維構造体は、繊維構造体厚さの約10%以下から最大で約100%を構成する繊維流体処理領域と、繊維構造体厚さの最大で約90%を構成する不織排出領域とを含んでいてもよい。
【0044】
幾つかの実施形態、例えば溶融ブロー成形を利用する実施形態において、繊維は、それらがマンドレル上に堆積されるときに機械的に絡ませられ、それにより、繊維構造体における適正な構造的完全性が与えられる。しかしながら、他の実施形態では、任意の様々な技術及び/又は結合材を使用して繊維が互いに結合される。例えば、幾つかの実施形態では、繊維間結合を得るために、繊維の少なくとも一部が粘着性を持つなどして溶けている間にマンドレル上に繊維が堆積される。これに加えて又はこれに代えて、繊維は、樹脂又は溶媒などの結合材を使用して結合されてもよい。結合材は、当分野で既知のように任意の適当な方法で塗布されてもよい。
【0045】
繊維構造体が形成されると、繊維構造体は様々な方法でマンドレルから取り除かれる。幾つかの実施形態では、例えばマンドレルが回転されて繊維が堆積されているときに、マンドレルから繊維構造体が連続的に引き抜かれる。例えば、螺旋状に延びる1つ以上のひだを含む実施形態では、繊維構造体が高速で又はゆっくりと回転されてもよく、或いは、マンドレルから繊維構造体を「ねじって外す」ために繊維構造体がマンドレルの回転方向と逆方向に回転される。或いは、幾つかの実施形態において、繊維構造体は、マンドレルから連続的に除去されるのではなく、個々の長さのメディアが形成された後に除去される。例えば、繊維構造体は、繊維が堆積された後であってマンドレルが静止している間に、例えば繊維構造体をマンドレルから「ねじって外す」ことにより又は繊維構造体をマンドレルの長手方向軸線に沿ってスライドさせることにより除去されてもよい。幾つかの実施形態では、調整可能なマンドレル、例えば伸縮可能又は収縮可能なマンドレルが、マンドレルからの構造体の除去を容易にする。例えば、マンドレルからの繊維構造体の除去を容易にするために、調整可能なマンドレルが繊維の堆積後に収縮されてもよい。幾つかの実施形態において、調整可能なマンドレルは、拡張可能であり、また、溶融ブロー成形中に拡張され、マンドレルからの繊維構造体の除去を容易にするために溶融ブロー成形後に収縮される。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態において、方法は、繊維構造体のウェブをエンボス加工することを含んでいる。繊維構造体は、任意の既知の適した技術を使用して、繊維構造体の任意の適した領域でエンボス加工されてもよい。しかしながら、多くの実施形態において、繊維構造体はエンボス加工されない。例えば、ウェブは、圧縮された領域、或いは、繊維構造体のフィルタ能力を低下させる歪みが実質的に無くてもよい。エンボス加工されていないウェブを含む波形流体処理パックは、エンボス加工された繊維流体処理メディアよりも大きい流体処理表面積を有利に与える。これは、エンボス加工が流体処理メディアの領域を遮断する場合があるからである。
【0047】
一部の実施形態において、流体処理パック作製方法は、例えばひだ同士を互いに押し付けることにより波形繊維構造体のひだを軸方向に潰すことを更に含んでいる。波形繊維構造体は、入れ子状又は非入れ子状のひだを含む流体処理パックを形成するために不織ウェブの形成後に潰されてもよい。例えば、波形繊維構造体は、繊維構造体がマンドレルから引き抜かれる際に潰されてもよい。或いは、波形繊維構造体は、マンドレルから引き抜かれた後に潰されてもよい。幾つかの実施形態において、方法は、潰された繊維構造体を固定して潰された形態を維持することを更に含んでいる。例えば、繊維構造体を潰した後、繊維構造体の潰された形態の維持の助けとなるべく、繊維構造体が熱処理されてもよい。熱処理パラメータは、繊維を形成する際に利用される特定のポリマーに依存しており、また、これらのパラメータの決定は当該技術の通常の技能の範囲内に入る。例えば、ポリプロピレン繊維構造体は、約1時間にわたって約130℃の温度で熱処理されてもよい。潰された形態を維持するための繊維構造体の熱処理は、ウェブのフィルタ能力を低下させる歪みを形成しないことが好ましい。また、熱処理はマンドレルからの除去前に行われてもよい。例えば、一部の実施形態では、繊維構造体の一部がマンドレルからの除去中に伸張される。繊維構造体の伸張前の熱処理は、繊維構造体のその伸張前の状態への戻りを容易にする。
【0048】
流体処理パックを構成する繊維構造体は、流体処理エレメントを作製するために他の要素と組み合わされてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、オープンエンドキャップ又はブラインドエンドキャップを含むエンドキャップが流体処理パックの一端又は両端に配置されている。エンドキャップは、任意の形態を有していてもよく、また、流体処理パックの端部をシールし且つ流体処理パックの周囲で処理されるべき流体のバイパスを防止するようになっている任意の材料によって形成されてもよい。エンドキャップは、山又は谷の径方向距離よりも大きい、当該径方向距離と等しい、或いは、当該径方向距離よりも小さい径方向距離を有していてもよい。幾つかの実施形態において、エンドキャップは、山及び谷の径方向距離の中間の径方向距離を有している。エンドキャップは、高分子材料又は非高分子材料、例えば金属を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、エンドキャップは、流体処理パックに対して溶融結合されてもよい高分子材料を含んでいる。幾つかの実施形態において、エンドキャップは、接着剤などの注入化合物により、或いは、任意の他の適した方法により、流体処理パックに対して固定される。
【0049】
また、流体処理パックは、流体処理エレメントを作製するために他の構成要素と組み合わされてもよい。例えば、排出層、スペーサ層及び/又は緩衝層などの更なる層が別個の部材として繊維構造体と関連付けられてもよい。そのような更なる層は、任意の適した態様で繊維構造体と関連付けられてもよい。幾つかの実施形態において、排出層は、繊維構造体の外面の周囲に巻き付けられ、例えば円周方向又は螺旋状に巻回される。例えば、排出層は、山、谷、ウェブの周囲を含むひだの周囲に巻回されて、繊維構造体上にわたって位置してもよい。これに加えて又はこれに代え、マンドレル上における繊維構造体の堆積前にマンドレルの周囲に別個の排出層が巻き付けられてもよい。幾つかの実施形態では、例えばひだを潰す前に繊維構造体のひだ間に更なる層が挿入体として位置される。
【0050】
また、流体処理エレメントを形成するために別個のコア及び/又は周辺部が流体処理パックに関連付けられてもよい。例えば、管状繊維構造体の中空の中心部内にコアが位置されてもよい。コアは、それが存在する場合、繊維構造体を支持し且つ流体を所望の態様で搬送できる任意の形態を有していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、コアは、中空の中心部を有し且つコアの内部を介してコアの端部と繊維構造体の外側との間で流体を流通させることができる穿孔、穴、又は、他の開口をその周囲に有する管状部材である。或いは、コアは、コアの端部と繊維構造体の外側との間で流体を流すことができるチャンネル又は他の通路を周囲に有する中実部材であってもよい。また、コアは、繊維構造体の山及び谷と適合する輪郭を有していてもいなくてもよい。コアは、繊維構造体の中空の中心部内に挿入されるとともに、摩擦嵌合により又はコアをエンドキャップに結合することにより又は任意の他の適した方法により繊維構造体に結合固定されてもよい。ケージ、ネット又はウェブなどの周辺部は、繊維構造体の外面の周囲に位置されてもよい。周辺部は、多孔質又は有孔性のものであってもよく、或いは、周辺部の外面と繊維構造体との間で流体を通過させることができる他の開口をその全長に沿って又はその長さの大部分に沿って有していてもよい。周辺部は、繊維構造体の周囲に位置されるとともに、任意の適当な態様で、例えば一方又は両方のエンドキャップに取り付けることにより、繊維構造体に結合固定されてもよい。或いは、周辺部及びコアは、繊維構造体と固定的に結合されるのではなく、取り外し可能に結合されてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、流体処理パックは、膜と組み合わされる繊維構造体を含んでいる。「膜」という用語が、一般に天然又は人工の高分子材料から形成される任意の多孔質膜、透過性膜、又は、半透過性膜を含んでいることは言うまでもない。膜は、約20ミクロン以上から、10000Dalton程度以下の分子量の溶質を除去する比率に至る除去率を有していてもよい。孔構造は、膜の厚さにわたって一定であってもよく又は変化してもよい。膜は、被覆されていてもよく又は被覆されていなくてもよく、支持されていてもよく又は支持されていなくてもよく、好液性であってもよく又は嫌液性であってもよく、及び/又は、帯電していてもよく又は中性であってもよい。
【0052】
膜は、任意の適当な態様で繊維構造体に合体されてもよい。例えば、膜は、波形流体処理パックと一体形成されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、予備成形された膜が波形繊維構造体に対して取り付けられてもよい。例えば、螺旋状又は円周方向に延びるひだ、潰された又は潰されていないひだ、入れ子状又は非入れ子状のひだ、一定の又は変化する繊維径、1つ以上の層又は領域及び/又は一定の又は変化する径方向距離及びウェブ幅などを含む波形繊維流体処理パックなどの前述した任意の特徴が膜と組み合わされてもよい。膜が流体を処理するための主要な機構として働く場合、繊維構造体は、不織流体処理領域を含んでいてもよく又は含んでいなくてもよい。
【0053】
一部の実施形態において、膜は、波形繊維構造体上に膜をキャストして析出させることにより波形繊維構造体と一体に形成され、その後、波形繊維構造体は膜支持体としての機能を果たす。米国特許第4,340,479号及び第5,143,616号は、膜をキャストして析出させる方法の例を開示しており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。溶解樹脂を含むキャスト溶液は、繊維構造体をマンドレルから除去する前、後又は最中に、波形繊維構造体に対して加えられてもよい。キャスト溶液は、任意の適当な態様で加えられてもよく、例えば繊維構造体上に広げられ又は噴射されてもよく、或いは、繊維構造体がキャスト溶液の槽内に浸漬され又は沈められてもよい。例えば、繊維構造体は、連続的なプロセスとしてマンドレルから除去されてキャスト溶液の槽へと送られてもよい。或いは、別個の長さの繊維構造体がマンドレルから除去された後にキャスト溶液の槽内に浸漬されてもよい。
【0054】
キャスト溶液は、樹脂及び樹脂用の溶媒を含んでいてもよく、或いは、樹脂、樹脂用の溶媒、及び、樹脂用の非溶媒などの更なる構成要素を含んでいてもよい。樹脂は、溶媒に溶けた後に析出して膜を形成することができる任意の適した樹脂を含んでいてもよい。典型的な樹脂としては、ナイロン46、6、66、7、69、610、612、11、12又はこれらの混合物などのポリアミド、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ポリエーテルスルフォンなどのポリサルフォンを挙げることができる。
【0055】
溶媒は、樹脂を溶かすことができ且つ好ましくは膜にとって望ましい樹脂に基づいて選択される任意の溶媒を含んでいてもよい。また、溶媒は、繊維構造体の繊維のための非溶媒を含んでいてもよい。多くの実施形態において、繊維構造体の繊維は、溶媒及びキャスト溶液の他の構成要素によって影響されなくてもよく又は僅かしか影響されなくてもよい。ポリアミド用の溶媒は、米国特許第4,340,479に示されるように良く知られている。ナイロンを溶かすことができる典型的な溶媒は蟻酸である。PVDFを溶かすことができる溶媒としては、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び、同様の溶媒が挙げられる。ポリエーテルスルフォンなどのポリサルフォン用の溶媒としては、ジメチルアセトイミド、ジメチルアセトイミドとプロピオン酸との混合物、n−メチル−2−ピロリドンとプロピオン酸との混合物、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0056】
非溶媒は、それが存在する場合には、樹脂を殆ど溶かさない任意の物質を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、非溶媒は、水であってもよく、或いは、水に溶けることができてもよい。ポリアミドとともに使用できる典型的な非溶媒は、水、ホルムアミド、アセトアミド、及び、グリセロール、グリコール、ポリグリコールなどのポリオール、エーテル及びそのエステル、及び、そのような化合物の混合物である。
【0057】
波形繊維構造体は、キャスト溶液が繊維構造体の厚さを完全に浸透するようにキャスト溶液によって完全に湿潤されてもよい。或いは、キャスト溶液は、繊維構造体の厚さを部分的に浸透してもよく、又は、例えば表面上に薄層として残存してもよい。繊維構造体の湿潤性は、繊維構造体を構成する繊維及びキャスト溶液の湿潤特性によって決定されてもよい。ポリプロピレン又はポリエチレン繊維は、湿潤特性が低く、したがって、一部のキャスト溶液によって完全に湿潤されない繊維構造を形成する場合があり、一方、ポリエステル、芳香族ポリアミド、セルロース繊維は、良好な湿潤特性を有しており、キャスト溶液によって大きく湿潤できる繊維構造体を形成する。
【0058】
波形繊維構造体から過剰なキャスト溶液が除去されてもよい。過剰な溶液は、任意の適した機構を使用して除去されてもよい。例えば、過剰な溶液は、ドクターブレードを使用して振るい落とされ又はすくい取られてもよい。
【0059】
繊維構造体に対してキャスト溶液を加えた後、繊維構造体上に又は繊維構造体内で樹脂を析出させることにより膜が形成されてもよい。樹脂は、キャスト溶液中の溶媒の濃度を減少させることにより、例えば制御された状態下での蒸発により析出されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、非溶媒を含んでもよい又は溶媒及び非溶媒の両方を含んでもよい析出溶液がキャスト溶液とともに繊維構造体に対して加えられてもよい。析出溶液は、任意の適した態様で、例えば噴射により又はキャスト溶液を伴う繊維構造体を析出溶液槽中に浸漬し又は沈めることにより加えられてもよい。
【0060】
析出溶液は、キャスト溶液中の溶媒濃度よりも低い濃度で溶媒を含んでいることが好ましい。析出溶液が繊維構造体及びキャスト溶液に対して加えられる際には、析出溶液中の非溶媒がキャスト溶液中へ拡散される一方で、キャスト溶液中の溶媒が析出溶液中へ拡散される。その結果、キャスト溶液中の溶媒濃度が減少し、樹脂が析出し始める。樹脂は、析出するとともに、繊維構造体の繊維間の開口内及び/又は波形繊維構造体の表面上に膜を形成することが好ましい。
【0061】
膜は、他の方法で波形繊維構造体と一体に形成されてもよい。例えば、別個の支持層が波形繊維構造体と接触した状態で配置されるとともに、支持層が繊維構造体と接触する前又は後にキャスト溶液が別個の支持層に対して加えられ、その後、染み込まされた支持層が波形繊維構造体と接触している間にキャスト溶液から膜が析出されてもよい。
【0062】
支持層は、任意の様々な多孔質材料を含んでいてもよい。典型的な支持層材料としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース、エステル、ガラス繊維織物及び同様の材料を挙げることができる。支持層材料は任意の適当な形態を有していてもよい。幾つかの実施形態において、支持層は、繊維又はフィラメントから形成されるウェブ、ネット、メッシュ、スクリーン又は織シート又は不織シートなどのシートの形態を成している。シートの形態を成す支持層は、例えば膜の厚さを最小にするのに有利である。或いは、支持層は、他の形態、例えば扁平な円筒状を成していてもよい。好ましくは、支持層は、波形繊維構造体の表面に適合できる十分な柔軟性を有しているが、支持層にキャスト液体を染み込ませ且つ波形繊維構造体上に支持層を位置決めすることに関与する力に耐えることができる十分な弾力を有している。
【0063】
一部の実施形態において、キャスト液体が染み込んだ支持層は、波形繊維構造体と接触した状態で配置される。キャスト溶液を支持層に対して加えた後、過剰なキャスト溶液が除去されるとともに、染み込まされた支持層が繊維構造体の外面又は内面と接触した状態で配置される。例えば、染み込まされた支持層は、波形繊維構造体の周囲に巻き付けられ、例えば螺旋状に巻回されてもよい。支持層は、波形構造体がマンドレル上に位置されている間又は波形構造体がマンドレルから除去された後に、波形繊維構造体と接触した状態で配置されてもよい。幾つかの実施形態において、染み込まされた支持層は、繊維構造体がマンドレルから除去される間に繊維構造体と接触した状態に配置される。例えば、染み込まされた支持層は、マンドレルが回転して波形繊維構造体が除去されるときに繊維構造体の周囲に巻き付けられてもよい。
【0064】
キャスト溶液中の溶媒は、支持層に影響を与えず又は僅かしか影響を与えないことが好ましい。幾つかの実施形態において、繊維構造体は、キャスト溶液中の溶媒に少なくとも僅かに溶解できる又は当該溶媒によって軟らかくなる繊維を備えている。例えば、繊維構造体を構成する繊維の一部又は略全てが溶媒に僅かに溶けることができ又は当該溶媒によって軟らかくなってもよい。溶解できる繊維は、キャスト溶液中の樹脂と同じ高分子材料であってもよく、或いは、キャスト溶液の溶媒に溶けることもできる異なる材料であってもよい。支持層は、当該支持層が繊維構造体と接触した状態で配置されるときに繊維構造体と支持層とが溶剤結合され得るように完全且つ均一に染み込まされることが好ましい。
【0065】
膜を形成するために、染み込まされた支持層及び繊維構造体に対して析出溶液が加えられてもよい。析出溶液は、前述したような任意の適した態様で加えられてもよい。析出溶液を加えると、樹脂が支持層の開口内及び/又は表面上で析出し始める。また、更に繊維構造体に対して膜を固定するために、繊維構造体の開口内及び/又は開口上で樹脂が析出してもよい。幾つかの実施形態では、樹脂が析出しているときに、僅かに溶解した繊維構造体が改質し始め、膜が波形繊維構造体と更に一体化される。
【0066】
繊維構造体上に直接に又は支持層上に膜を析出させた後、膜が洗浄されて乾燥されてもよい。例えば、膜は、水を用いて、又は、溶媒が溶けることができ且つ乾燥中に除去できる任意の揮発性液体を用いて洗浄されてもよい。
【0067】
コア、周辺部、及び/又は、1つ以上のエンドキャップに限定されないがこれらを含む流体処理エレメントを提供するために、繊維構造体及び膜を含む波形流体処理パックが前述した任意の要素と組み合わされてもよい。また、流体処理エレメントが流体処理システムに組み込まれてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態において、波形繊維構造体は、予備成形された膜、例えばキャストされて析出された膜、焼結及び/又は伸張によって形成される膜、或いは、任意の他の態様で形成される膜と組み合わされる。例えば、膜は、前述したように支持層上にキャストされて析出されるとともに、洗浄されて乾燥され、その後、波形繊維構造体に対して加えられてもよい。予備成形された膜は、任意の適した態様で波形繊維構造体と組み合わされてもよい。例えば、予備成形された膜は、波形繊維構造体の山、谷、ウェブ上にわたって位置してこれらの形態と適合するように波形繊維構造体の周囲に巻き付けられ、例えば円周方向に又は螺旋状に巻回されてもよい。幾つかの実施形態では、膜が繊維構造体に対して固定される。例えば、膜は、例えば溶融結合、溶剤結合又は接着結合によって繊維構造体に対して固定されてもよい。膜は、成形マンドレルから繊維構造体を除去した後、前又は最中に、波形繊維構造体と組み合わされてもよい。
【0069】
膜がどのように繊維構造体と合体されているのかとは無関係に、膜が更に処理されてもよい。例えば、膜は、膜の様々な特性を改質するように処理されてもよい。例えば、任意の適した態様で膜の表面が改質されて、膜の表面電荷及び/又は湿潤性が変えられてもよく、或いは、膜の結合特性が改質されてもよい。
【0070】
流体処理エレメントは、1つ以上の他の要素又は装置と組み合わされて流体処理システムを形成してもよい。例えば、流体処理エレメントは、流体供給源、ポンプ、バルブ、パイプ及び/又は他の流体処理装置と組み合わされて流体処理システムを形成してもよい。
【0071】
以上、本発明の様々な態様について説明して図示してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく実施形態の1つ以上の特徴が変更されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、流体処理パック及び繊維構造体が非円形断面を有していてもよい。略管状の流体処理パック及び繊維構造体は、例えば楕円形、多角形、又は、正方形などの任意の適した断面を有していてもよい。幾つかの実施形態では、流体処理パックがマンドレルから除去されなくてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、マンドレルは、流体処理パック内に残存するコア、例えば有孔コアを備えていてもよい。
【0072】
また、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態の特徴のうちの1つ以上が排除されてもよい。幾つかの実施形態では、繊維構造体が排除されてもよい。例えば、前述したように多孔質膜が支持層上で成形されて析出されるとともに、当該支持層が成形マンドレルと接触した状態で配置されてもよい。成形マンドレルが支持構造体を備え、この支持構造体の周囲に膜が固定され、例えば物理的に取り付けられ又は結合されてもよい。したがって、多くの実施形態では、膜が成形マンドレルから除去されなくてもよい。支持層は、キャスト溶液を支持層に対して加える前又は後に、マンドレルの山、谷及び傾斜領域上にわたって位置され且つこれらの形状に適合するように成形マンドレルの周囲に巻き付けられ、例えば円周方向に又は螺旋状に巻回されてもよく、また、膜は、染み込まされた支持層が成形マンドレルと接触している間にキャスト液体から析出されてもよい。幾つかの実施形態において、成形マンドレルの表面は、膜が成形マンドレルに対して溶剤結合できるようにキャスト溶液中の溶媒に少なくとも僅かに溶けることができる。例えば、成形マンドレルは、キャスト溶液の溶媒に溶けることができる高分子材料を含んでいてもよく、例えば、キャスト溶液中の樹脂と同じ高分子材料を含んでいてもよい。これに加えて又はこれに代えて、膜は、他の方法で、例えば溶融結合又は接着結合によって、成形マンドレルに対して固定されてもよい。米国特許第5,143,616号は、支持体上で膜を形成する方法を開示しており、そのため、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。一部の実施形態において、支持層は、膜が支持層上に形成された後、例えば膜が支持層上で成形されて析出された後、成形マンドレルの周囲に巻き付けられてもよい。また、焼結及び/又は伸張によって形成され又は任意の他の方法で形成された膜を含む予備成形膜が成形マンドレルの周囲に巻き付けられてもよい。予備成形膜は、例えば溶融結合、溶剤結合又は接着結合によって成形マンドレル上に固定されてもよい。
【0073】
一部の実施形態において、支持層又は予備成形膜は、複数の巻き数で成形マンドレルの周囲に巻回されてもよく、また、支持層又は予備成形膜の隣り合う巻回部間に重合部分が存在してもよく又は存在しなくてもよい。巻き付けられた支持層又は予備成形膜がマンドレルの形状に適合し、それにより、支持層上に形成された膜が、1つ以上の山と、1つ以上の谷と、山及び/又は谷で互いに連続する第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を有する1つ以上のひだを含むことが好ましい。
【0074】
波形膜を含む流体処理パックは、繊維構造体を除き、前述した任意の特徴を含んでいてもよい。例えば、波形膜を含む波形流体処理パックは、1つ以上の山と、1つ以上の谷と、山及び/又は谷で互いに連続する第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を有する螺旋状に又は円周方向に延びるひだを含んでいてもよい。波形膜は、潰された又は潰されていないひだ、入れ子状又は非入れ子状のひだ、1つ又は複数の層又は領域、及び/又は、一定の又は変化する径方向距離及びウェブ幅を含んでいてもよい。
【0075】
幾つかの実施形態では、入れ子状又は非入れ子状のひだを形成するために波形繊維構造体が潰されなくてもよい。潰されていない繊維構造体は、エンドキャップ、膜、コア、及び/又は、周辺部などの1つ以上の要素と組み合わされて、流体処理エレメントを形成してもよい。
【0076】
また、本発明の範囲から逸脱することなく、一実施形態の1つ以上の特徴が他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、流体処理パックは、ある分布の繊維直径又は直径が異なる複数の領域を有する繊維構造体とともに、パックに合体された別個の排出層、スペーサ層、及び/又は、緩衝層を含む。ある分布の繊維直径を有する繊維構造体及び/又は別個の排出層、スペーサ層及び/又は緩衝層を含む流体処理パックは、一体形成された膜又は別個に形成された膜と組み合わされてもよい。幾つかの実施形態では、2つ以上の膜層が波形流体処理パックと組み合わせられる。例えば、一体形成された膜を含む流体処理パックは、膜が依然として濡れている間に、別個の支持層上に形成された1つ以上の更なる膜と接触されてもよい。互いに接触する濡れた膜を乾燥させることにより、膜同士を結合して、多層構造体を形成してもよい。
【0077】
また、本発明は、流体処理パックを作製する前述した方法に限定されない。例えば、幾つかの実施形態において、成形マンドレル上に多孔質構造体を形成することは、ウェットレイング法で成形マンドレル上に繊維又は粒子を形成することを含んでいてもよい。米国特許第5,149,360号は、ウェットレイングプロセスの実施例を開示しており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。短繊維、すなわち、予備成形された繊維及び/又は粒子が水や空気などの流体中に混入されて懸濁液が形成されてもよく、また、繊維及び/又は粒子が成形マンドレルの内面又は外面上に堆積されてもよい。これらの実施形態において、成形マンドレルは、懸濁媒体が自由に通過できるが懸濁した繊維又は粒子の通過を制限する開口又は穿孔を含んでいてもよい。例えば、成形マンドレルは、螺旋状に又は円周方向に延びるひだ、山、谷、傾斜領域を含むように形成されたメッシュ又はスクリーンを備えていてもよい。幾つかの実施形態において、マンドレルを取り囲んでマンドレルの形状に一致する、すなわち、ひだ、山、谷及び傾斜領域を含むようにマンドレル上にわたって位置する更なる層、例えばマンドレル囲繞層は、懸濁媒体が自由に通過できる開口又は通路を含んでいてもよい。懸濁媒体が開口を通過すると、マンドレル又はマンドレル囲繞層によって保持された繊維及び/又は粒子が、傾斜領域、山、谷の上を含むひだ上に堆積され、それにより、管状の波形多孔質構造体、例えば繊維構造体が形成される。
【0078】
懸濁液を成形マンドレルへと方向付けて懸濁媒体を開口へと流通させることは、様々な方法によって達成されてもよい。多くの実施形態では、圧力差が懸濁液をマンドレルへと方向付けてもよい。例えば、マンドレルの周囲の圧力が高められ、及び/又は、マンドレルの内側の圧力が減少されることにより、懸濁液がマンドレルへと方向付けられて、懸濁媒体が開口に通されてもよい。他の実施形態では、マンドレルの周囲の圧力が減少され及び/又はマンドレルの内側の圧力が増大されてもよく、また、懸濁媒体が外側へ流されている間に、マンドレルの内側で、山、谷、傾斜領域を含むひだ上にウェットレイング法により繊維又は粒子が形成されてもよい。
【0079】
マンドレル又はマンドレル囲繞層を通過した懸濁媒体は、様々な方法で例えばマンドレルの中心を通じて除去されてもよい。幾つかの実施形態では、マンドレルに形成されたチャンネルに沿って懸濁媒体が除去されてもよく、例えば、マンドレル囲繞層の開口を通過した懸濁媒体は、マンドレル内のチャンネルに沿って流れて除去されてもよい。
【0080】
幾つかの実施形態では、マンドレル上又はマンドレル囲繞層上、例えば山、谷及び傾斜領域を含むひだ上にウェットレイング法により繊維及び/又は粒子が形成された後、結果として得られる繊維構造体が更に処理されてもよい。例えば、任意の残存する懸濁媒体を除去するために繊維構造体が乾燥されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、繊維構造体は、例えば熱、圧力及び/又は結合材を加えることにより繊維又は粒子を更に結合させるべく更に処理されてもよい。
【0081】
他の実施形態において、流体処理パック作製方法は、繊維、例えば織材料又は不織材料を成形マンドレルの周囲に巻き付けて波形繊維構造体を形成することを含んでいてもよい。マンドレルの周囲における繊維材料の巻き付けは、マンドレルのひだ、山、谷及び傾斜領域の周囲を含む、成形マンドレルの周囲、又は、成形マンドレル上に予め形成された多孔質構造体の周囲に1つ以上の様々な繊維層を巻き付けることを含んでいてもよい。巻き付けは、山、谷、傾斜領域を含むひだ上にわたって位置し且つ当該ひだの形態に適合するように成形マンドレルの周囲に繊維材料を円周方向に又は螺旋状に巻回することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、成形マンドレル上にわたって位置し且つ成形マンドレルの形態に適合するように繊維材料のストリップ、例えばその幅よりも長い長さを有する繊維材料の部分が複数の巻回数で成形マンドレルの周囲に巻回されてもよい。繊維材料のストリップは、マンドレルが回転し且つストリップが回転している又は静止している間に、或いは、マンドレルが静止し且つ材料のストリップが回転している間に、成形マンドレルの周囲に巻回されてもよい。ストリップは様々な幅を有していてもよく、例えば、繊維材料は、マンドレルの傾斜領域の幅よりも大きい、等しい、又は、小さい幅を有していてもよい。繊維材料は、繊維層の幅よりも大きいピッチを有する複数の巻回部を含むように成形マンドレルの周囲に巻き付けられてもよく、また、隣り合う巻回部間には隙間が存在していてもよい。しかしながら、流体処理パックには隙間が存在しないことが好ましく、例えば、更なる巻き付け又は更なる層が隙間を覆って隙間を閉じてもよい。或いは、ピッチが繊維層の幅よりも短くてもよく、また、隣り合う巻回部間に重合部が存在してもよい。幾つかの実施形態では、ピッチが層の幅と等しく、また、隙間も重合部も存在しないが、一部の実施形態では、繊維構造体の少なくとも1つの層の隣り合う巻回部間に少なくとも僅かな重合部が存在することが好ましい。螺旋状に延びるひだを含む成形マンドレルの周囲に巻き付けられた繊維層は、螺旋状のマンドレルのひだのピッチと等しい、当該ピッチよりも小さい又は大きいピッチを有していてもよい。繊維層は、繊維構造体の長手方向軸線に沿って一定の又は変化するピッチを有する複数の巻回部をもって巻き付けられてもよい。
【0082】
任意の無数の繊維材料が適した繊維層を構成し得る。例えば、織シート及び不織シート、積層体、扁平円筒体、ウェブ、及び/又は、メッシュが成形マンドレルの周囲に巻き付けられて繊維構造体を形成してもよい。繊維材料は、前述した任意の高分子材料、ガラス繊維、及び/又は、金属材料、例えば金属粉又は金属繊維を含む任意の多数の材料を備える繊維を含んでいてもよい。
【0083】
巻き付けられた繊維材料を含む波形流体処理パックは前述した任意の特徴を含んでいてもよい。例えば、繊維構造体は、1つ以上の流体処理層、排出層、スペーサ層、緩衝層、及び/又は、支持層を含む単一の層又は複数の層を含んでいてもよく、これらの層はいずれも、繊維材料及び/又は繊維直径のある分布、又は、繊維材料及び/又は繊維直径が異なる領域などの前述した任意の特徴を有していてもよい。複数の層は、別個に形成されてマンドレルの周囲に巻き付けられてもよく、すなわち、同時に又は連続的に巻き付けられてもよく、又は、一体形成されてもよい。巻き付けられた繊維構造体は、螺旋状に又は円周方向に延びるひだ、潰された又は潰されていないひだ、入れ子状又は非入れ子状のひだ、一定の又は変化する径方向距離及びウェブ幅を含んでいてもよい。巻き付けられた繊維構造体は、エンドキャップ、膜、コア、及び/又は、周辺部などの1つ以上の要素と組み合わされて流体処理エレメントを形成してもよい。
【0084】
本明細書で引用された刊行物、特許出願、特許を含むすべての文献は、各文献が参照により本明細書に組み込まれるよう個別に及び具体的に示され、且つ、各文献の全体が本明細書内において記載された場合と同様(同程度)に、参照により本明細書に組み込みこまれる。
【0085】
本発明を説明する文脈(特に、請求項の文脈)での用語「a」「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、そこで別のことが示され又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、そこで別のことが示されていない限り、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に示す簡潔な省略方法として単に働くようになっており、それぞれの別個の値は、それが本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書中に組み入れられる。本明細書で説明した全ての方法は、そこで別のことが示され又は文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書で与えられる任意の全ての実施例又は典型的な用語(「例えば(such as)」など)の使用は、単に本発明をうまく説明することを目的としているだけであり、他に言及されていなければ本発明の範囲に制限を課すものではない。明細書中の用語は、本発明の実施に欠かせない請求項に記載されていない任意の要素を示すものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0086】
10・・・流体処理パック、11・・・流体処理領域、12・・・波形構造体、14,14a・・・山、16,16a・・・谷、18,18a・・・ひだ、20,20a,22,22a・・・ウェブ、30,32,34・・・排出領域、40・・・成形マンドレル、42,44・・・傾斜領域、46・・・マンドレル山、48・・・マンドレル谷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の形態と長手方向軸線を有する多孔質構造体を備える流体処理パックであって、
前記多孔質構造体が、螺旋状に延びる第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を含む、螺旋状に延びる少なくとも1つのひだを有し、
前記第1の多孔質領域及び前記第2の多孔質領域が、螺旋状に延びる山及び螺旋状に延びる谷のうちの一方に沿って互いに連続しており、
前記ひだを有する多孔質構造体が潰されて、山及び隣り合う2つの谷を有する入れ子状のひだを画成し、
長手方向軸線上への前記山の投影が長手方向軸線上への前記隣り合う2つの谷の投影の外側に位置する、流体処理パック。
【請求項2】
螺旋状に延びる前記ひだが第1のひだを備え、前記第1のひだに隣接する螺旋状に延びる第2のひだを画成するために前記多孔質構造体に波形が付けられ、前記第2のひだが、螺旋状に延びる山及び螺旋状に延びる谷のうちの少なくとも一方に沿って互いに連続する螺旋状に延びる第1のウェブ及び第2のウェブを含み、前記第1のひだが、螺旋状に延びる前記山及び螺旋状に延びる前記谷のうちの他方に沿って前記第2のひだまで延びている、請求項1に記載の流体処理パック。
【請求項3】
管状の形態と長手方向軸線を有する多孔質構造体を備える流体処理パックであって、
前記多孔質構造体が、円周方向に延びる複数の山と円周方向に延びる複数の谷とを含む円周方向に延びる複数のひだを有し、前記各ひだが円周方向に延びる第1の多孔質領域及び第2の多孔質領域を含み、前記第1の多孔質領域及び前記第2の多孔質領域が、円周方向に延びる山及び円周方向に延びる谷のうちの一方に沿って互いに連続するとともに、円周方向に延びる前記山及び円周方向に延びる前記谷のうちの他方に沿って隣接するひだの隣接する多孔質領域まで延びており、
前記ひだを有する多孔質構造体が潰されて、山及び隣り合う2つの谷をそれぞれ有する入れ子状のひだを画成し、
長手方向軸線上への前記山の投影が長手方向軸線上への前記隣接する2つの谷の投影の外側に位置する、流体処理パック。
【請求項4】
前記多孔質構造体は流体処理領域を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体処理パック。
【請求項5】
前記多孔質構造体は、前記流体処理領域の片側又は両側に排出領域を備える、請求項4に記載の流体処理パック。
【請求項6】
前記多孔質構造体は不織繊維構造体を備え、前記第1の多孔質領域及び前記第2の多孔質領域は第1の不織繊維ウェブ及び第2の不織繊維ウェブを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体処理パック。
【請求項7】
前記繊維構造体は、不連続繊維及び連続フィラメントの少なくとも一つを含む、請求項6に記載の流体処理パック。
【請求項8】
前記隣接するウェブは、互いに接触するウェブ表面を有する、請求項6又は7に記載の流体処理パック。
【請求項9】
前記第1のウェブおよび前記第2のウェブは異なるウェブ幅を有する、請求項6,7又は8に記載の流体処理パック。
【請求項10】
前記入れ子状のひだは、湾曲した又は真直ぐな非径方向構造を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体処理パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−96231(P2012−96231A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280166(P2011−280166)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2007−558232(P2007−558232)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】