説明

波形記録計用ICカードへの測定データのセーブ方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、波形記録計用ICカードへの測定データのセーブ方法に係り、さらに詳しくは、入力部のチャンネル数が異なる波形記録計相互にあってもICカードをその互換性を保持させて共用することができる波形記録計用ICカードへの測定データのセーブ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】波形記録計は、入力部に例えば4チャンネルや8チャンネルなど、複数個のチャンネルを備えたものが多く用いられている。
【0003】また、このような波形記録計においては、図7に示すように入力部を介して取り込まれた測定データをデータRAMにストレージした後、このデータRAMから測定データを取り出し、表示部や記録部などの出力部を介して波形として出力することができるほか、外部記憶媒体であるICカードに測定データとしてセーブしておくこともできるようになっている。
【0004】図8と図9とは、上記波形記録計を用いてのICカードへの測定データのセーブ例を示すものであり、このうち、図8は入力部が4チャンネルある場合のパターンを、図9は入力部が8チャンネルある場合のパターンをそれぞれ示す。
【0005】これらの図によれば、入力部2を介して装置本体1の側に取り込まれた測定データは、データRAM3にストレージされた後、CPU4の制御のもとでデータRAM3から取り出され、CRTを備える表示部やプリンタを備える記録部などからなる出力部に波形として出力されるとともに、外部記憶媒体であるICカード5にセーブすることもできるようになっている。
【0006】この場合、入力部2が4チャンネル用意されている図8のパターンでは、データRAM3にはチャンネル毎に別々に測定データがストレージされ、ICカード5には4チャンネル分のデータが1つのファイル名のもとで一括してセーブされ、入力部2が図9に示すように8チャンネル用意されている場合もICカード5には同様に8チャンネル分の測定データが1つのファイル名のもとで一括してセーブされるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来手法による場合には、入力部2を構成している全チャンネルからの測定データは、1つのファイル名のもとでICカード5に全てセーブすることができ、チャンネル毎に対応ファイルを用意する必要がないことから、測定データを保存するための操作が容易になる利点がある。
【0008】しかし、この場合、ICカード5には、入力部2のチャンネル数が4つの波形記録計(以下、4チャンネル記録計という)では4チャンネル分の測定データが、また、入力部2のチャンネル数が8つの波形記録計(以下、8チャンネル記録計という)では8チャンネル分の測定データがそれぞれ1つのファイルのもとにセーブされることになる。
【0009】したがって、上記従来手法による場合には、1つのICカードをチャンネル数の異なる例えば4チャンネル記録計と8チャンネル記録計との間で互換性を確保して共用することができなくなる不都合があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、従来手法にみられた上記課題に鑑み、チャンネル数を異にする波形記録計間にあっても同一のICカードを共用できるようにすることを目的としてなされたものであり、その構成上の特徴は、波形データをディジタル変換して測定データとして取り込むための入力部と、取り込んだ測定データの随時の書込み・読出しが可能なメモリと、測定データを含む必要データを出力するための出力部と、操作部からの操作入力に基づき上記構成各部を統括して演算制御するための中央処理装置とを少なくとも備える装置本体と、この装置本体に装着して測定データのセーブを可能に配設されるICカードとで構成され、装置本体に取り込まれた測定データは、当該装置本体の入力部におけるチャンネルの数を複数のn個とするとき、予め設定されているセーブチャンネル指定項目中からチャンネル数nの整数倍の別に一括指定することができるファイル名を付与してICカードにセーブすることにある。
【0011】
【作用】このため、予め設定されているセーブチャンネル指定項目中からチャンネル数nの整数倍の別にそれぞれのチャンネルからの測定データを一括指定することができるファイル名を選択指定することで、装置本体に取り込まれた測定データはチャンネル数nの整数倍の別に一括してICカードにセーブすることができ、したがって、チャンネル数nの整数倍の数のチャンネルを有してなる入力部を備える波形記録計相互間でのICカードの互換性を確保することができ、ICカードの有効活用を図ることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参酌してこの発明の実施例を詳説する。
【0013】図2は、この発明の実施に供される装置の概略構成の一例を示すものであり、その全体は、波形データをディジタル変換して測定データとして取り込むための入力部12と、取り込んだ測定データの随時の書込み・読出しが可能なメモリ(データRAM)13と、測定データを含む必要データを画像として出力するためのCRTなどの表示部18と印字して出力するための記録部17とからなる出力部16と、必要なメモリ手段(ROM,RAM)を有するとともに、操作部15からの操作入力に基づき上記構成各部を統括して演算制御するための中央処理装置(CPU)14とを少なくとも備える装置本体11と、この装置本体11に装着して測定データのセーブを可能に配設されるICカード19とで構成されている。
【0014】図1は、図2に示す装置に適用して行なわれるこの発明方法の処理手順の概要を8チャンネル記録計を用いた場合を例に示すフローチャートである。
【0015】この場合、装置本体11の側には、図3に示すように1チャンネルから8チャンネルまでのうちのある1つのチャンネルのみを選択指定したり、1〜4チャンネルまで、あるいは5〜8チャンネルまでを一括して選択指定したりすることができるセーブチャンネル指定項目が用意されており、操作部15を介して行なわれる選択指定状況に対応するチャンネルの測定データをICカード19にセーブすることができるようになっている。
【0016】これを、図1に従いさらに具体的に説明すれば、まず、図3におけるセーブチャンネル指定項目中から1〜4チャンネルまでを一括して選択指定することができるセーブチャンネル指定項目「ch1−4」と、5〜8チャンネルまでを一括して選択指定することができるセーブチャンネル指定項目「ch5−8」とのいずれかを選択指定する。
【0017】この際、セーブチャンネル指定項目「ch1−4」を選択することにより1〜4チャンネルまでの測定データをICカード19に1つのファイル名(例えば「FILE−1」)のもとでセーブすることができ、「ch5−8」を選択指定することにより5〜8チャンネルまでの測定データをICカード19に他の1つのファイル名(例えば「FILE−2」)のもとでセーブすることができる。図4は、図1の手順に従ってICカード19に測定データをセーブした後、8チャンネル記録計における出力部16にそのセーブ状況を出力表示させた場合の表示パターンの一例を示すものであり、「FILE−1」のファイル名のもとで1〜4チャンネルまでの測定データがセーブされ、「FILE−2」のファイル名のもとで5〜8チャンネルまでの測定データがセーブされていることを確認することができる。
【0018】また、図5は、同じICカード19を4チャンネル記録計における出力部16にそのセーブ状況を出力表示させた場合の表示パターンの一例を示すものであり、この場合、「FILE−2」の側にセーブされている5〜8チャンネルまでの測定データは1〜4チャンネルまでの測定データに置き換えられ、「FILE−1」のファイルと「FILE−2」のファイルとには、共に1〜4チャンネルまでの測定データがセーブされていることを確認することができる。
【0019】この発明は上述したようにして構成されているので、予め設定されているセーブチャンネル指定項目中からチャンネル数nの整数倍の別にそれぞれのチャンネルからの測定データを一括指定することができるファイル名を選択指定することで、装置本体11に取り込まれた測定データをチャンネル数nの整数倍の別に一括してICカードにセーブすることができる。
【0020】したがって、チャンネル数nの整数倍の数のチャンネルを有してなる入力部12を備える波形記録計相互間(例えば、図6に示すように4チャンネル記録計と8チャンネル記録計相互間)では、例えば「FILE−1」のファイル名と「FILE−2」のファイル名のもとで、同一のICカード19を共用することができるので、互換性を確保してICカード19の有効活用を図ることができる。
【0021】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、予め設定されているセーブチャンネル指定項目中からチャンネル数nの整数倍の別にそれぞれのチャンネルからの測定データを一括指定することができるファイル名を選択指定することで、装置本体に取り込まれた測定データはチャンネル数nの整数倍の別に一括してICカードにセーブすることができ、したがって、チャンネル数nの整数倍の数のチャンネルを有してなる入力部を備える波形記録計相互間でのICカードの互換性を確保することができ、ICカードの有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例としての処理手順の概要を示すフローチャート図。
【図2】この発明の実施に供される装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】装置本体の出力部におけるセーブチャンネル指定項目の表示パターン例を示す説明図。
【図4】8チャンネル記録計を用いた場合のICカードのセーブ状況を例示する説明図。
【図5】図4の場合におけるICカードを4チャンネル記録計に用いた場合のICカードのセーブ状況を例示する説明図。
【図6】同一のICカードによる4チャンネル記録計と8チャンネル記録計との間の互換状況を模式的に示す説明図。
【図7】従来手法による処理手順の概要を示すフローチャート図。
【図8】図7の従来手法を4チャンネル記録計に適用した場合の装置本体とICカードとの関係を示す説明図。
【図9】図7の従来手法を8チャンネル記録計に適用した場合の装置本体とICカードとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
11 装置本体
12 入力部
13 メモリ(データRAM)
14 中央処理装置(CPU)
15 操作部
16 出力部
17 記録部
18 表示部
19 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 波形データをディジタル変換して測定データとして取り込むための入力部と、取り込んだ測定データの随時の書込み・読出しが可能なメモリと、測定データを含む必要データを出力するための出力部と、操作部からの操作入力に基づき上記構成各部を統括して演算制御するための中央処理装置とを少なくとも備える装置本体と、この装置本体に装着して測定データのセーブを可能に配設されるICカードとで構成され、装置本体に取り込まれた測定データは、当該装置本体の入力部におけるチャンネルの数を複数のn個とするとき、予め設定されているセーブチャンネル指定項目中からチャンネル数nの整数倍の別に一括指定することができるファイル名を付与してICカードにセーブすることを特徴とする波形記録計用ICカードへの測定データのセーブ方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】特許第3173822号(P3173822)
【登録日】平成13年3月30日(2001.3.30)
【発行日】平成13年6月4日(2001.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−268725
【出願日】平成3年9月20日(1991.9.20)
【公開番号】特開平5−79863
【公開日】平成5年3月30日(1993.3.30)
【審査請求日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【参考文献】
【文献】特開 平3−237316(JP,A)