説明

洋上補給船

【課題】第1甲板を全通甲板にしても、甲板の補強を不要とすると共に、限られてスペース内に各設備を配置することができる洋上補給船を提供することを目的とする。
【解決手段】洋上補給船1000の第1甲板101には、中間に低い部分である02甲板202を挟んで上部構造物200a、200bが建造されている。洋上補給装置300は、02甲板202を跨いで配置され、その両端が上部構造物200a、200bの側面210a、210bに固定された両持ち梁52を有している。両持ち梁52には、サドルワイヤ30およびスパンワイヤ60が係止する固定滑車90が設置され、両持ち梁52の下方で02甲板202にはサドルワイヤ用ウインチ40等が、また、両持ち梁52の下方で03甲板203a、203bには、動力装置(油圧ユニット)48、操作スタンド49が、それぞれ配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受給船に向けて流体を供給する洋上補給船に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上補給船は洋上を航行しながら、これと平行して航行している受給船にオイルや水などを補給するものである。すなわち、両船間に太いロープ(以下「スパンワイヤ」と称す)を架設し、これに複数の滑車(以下「トロリブロック」と称す)を移動自在に係止し、トロリブロックと補給ホースに所定間隔を設けて設置されているサドルとを連結することにより、補給ホースがスパンワイヤに吊り下げられた状態にする。そして、トロリブロックを受給船に向けて繰り出し、受給船との間に掛け渡した補給ホースを経由して油や水等を補給する。
このとき、前記作業等を容易にするため、サドルワイヤの巻き上げ長さ(巻き戻し長さに同じ)を制御する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−212182号公報(4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記発明は、トロリブロックが受給船に向かって自然に移動するようにするため、スパンワイヤを斜めに架設している。すなわち、洋上補給船の甲板(第1甲板、01甲板等)に補給ポストを立設し、かかる補給ポストに設置された滑車を介してスパンワイヤを繰り出すことにより、受給船側が低くなるようにしている。また、サドルワイヤを巻き上げる際の巻き上げ力によってスパンワイヤが下方向に引っ張られないよう、サドルワイヤもまた、補給ポストに設置された滑車を介して繰り出している。
このとき、補給ポストは繰り出したスパンワイヤや補給ホースの荷重(モーメント)に耐えるだけの強度を有する必要があるため、頑丈かつ巨大なモノポール形状をしている。そして、該モノポールの先端を船体の幅方向(受給船の方向に相当する)で斜め上向きに延設し、該延長部に前記滑車を設置している。
【0005】
したがって、洋上補給船の第1甲板を全通甲板にして、航空機の運用を可能にしようとすると以下のような問題があった。
(あ)設置スペースが高さ方向にも横方向にも確保できないため、補給ポストを一本脚のT型または逆L型にすることになる。このため、繰り出したスパンワイヤ及び補給ホースが、該一本脚の根元に過大な曲げモーメントとして作用するから、これに耐えるだけの補強を甲板にする必要が生じる。
(い)また、前記一本脚の根元の周囲に、サドルワイヤ用ウインチ、スパンワイヤ用ウインチや付帯装備機器(補給ホースの収納機器等)を配置することになるものの、これらの設備を限られたスペースに配置することが困難になる。
(う)さらに、仮に、前記一対の支柱を長手方向に立設した門型にしたとしても、前記過大な曲げモーメントの問題や前記配置スペースの問題は解消しない。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、第1甲板を全通甲板にしても、甲板の補強を不要とすると共に、限られてスペース内に各設備を配置することができる洋上補給船を提供することを目的とする。
なお、本発明において、洋上補給船とは、文字通り海上において油や水等を補給するために建造された専用船に限定するものではなく、受給船に流体を補給する装置が設置されている各種船舶を総称するものである。また、洋上とは海、川、湖等におけるものの総称であって、流体とは油や水等の液体に限らず、気体を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る洋上補給船は、
受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有するものであって、
甲板に上部構造物が建造され、
片端が前記上部構造物に支持された片持ち梁が設置され、
該片持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする。
【0008】
(2)また、受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有するものであって、
中間に背の低い部分を具備する上部構造物が甲板に建造され、
前記背の低い部分を跨いで、両端がそれぞれ前記上部構造物の背の高い部分に支持された両持ち梁が設置され、
該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする。
【0009】
(3)また、受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有するものであって、
甲板に上部構造物および支柱が設置され、
一方の端が前記上部構造物に、他方の端が前記支柱に、それぞれ支持された両持ち梁が設置され、
該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする。
【0010】
(4)さらに、前記上部構造物が煙突であることを特徴とする。
(5)さらに、前記甲板が全通甲板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(i)したがって、本発明によると、甲板に上部構造物が建造され、片端が前記上部構造物に支持された片持ち梁が設置され、該片持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されているから、一本脚の補給ポストを設置する必要がない。このため、一本脚に起因する甲板の補強の問題や、各設備の配置スペースの問題が解消する。
【0012】
(ii)また、甲板に中間に背の低い部分を具備する上部構造物が建造され、前記背の低い部分を跨いで、両端がそれぞれ前記上部構造物の背の高い部分に支持された両持ち梁が設置され、該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されているから、一本脚の補給ポストを設置する必要がない。このため、一本脚に起因する甲板の補強の問題や、各設備の配置スペースの問題が解消する。
【0013】
(iii)また、甲板に上部構造物および支柱が設置され、一方の端が前記上部構造物に、他方の端が前記支柱に、それぞれ支持された両持ち梁が設置され、該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されているから、一対の上部構造物の高さが相違する場合であっても、高い方の上部構造物の高さに両持ち梁を設置することができる。
【0014】
(iv)さらに、前記上部構造物が煙突であるから、片持ち梁または両持ち梁を容易に設置することができる。
(v)さらに、前記のように各設備の配置スペースの問題が解消するから、甲板を全通甲板に容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施形態1]
(洋上補給船)
図1〜図3は、本発明の実施形態1に係る洋上補給船を模式的に示す、図1の(a)は全体の側面図、図1の(b)は全体の正面図、図2の(a)は一部の側面図、図2の(b)は一部の平面図、図3の(a)は一部の正面図、図3の(b)および(c)はヨーヨーサドル部の拡大図である。図1において、洋上補給船1000は、これと平行して航行する受給船に油等の流体を補給するものであって、かかる補給のための洋上補給設備300を有している。
すなわち、洋上補給船1000の船体100の第1甲板101には、中間に背の低い部分を具備する上部構造物200が建造されている。
【0016】
以下、説明の便宜上、一方の背の高い部分を前方上部構造物200a(たとえば、煙突)と、他方の背の高い部分を後方上部構造物200b(たとえば、煙突)とする。そして、前方上部構造物200aと後方上部構造物200bとの中間の背の低い部分を「02甲板」202とする。そして、洋上補給設備300を構成する機器が、前方上部構造物200aと後方上部構造物200bとの間に設置されている(これについては別途詳細に説明する)。
なお、前方上部構造物200aと後方上部構造物200bとは、それぞれ相違する機能を奏する構造物であってもよい。
【0017】
(洋上補給設備)
図2および図3において、洋上補給設備300は、補給ホース10と、補給ホースに設置されている第1サドル21、第2サドル22、第3サドル23(以下まとめて「サドル20」と称す場合がある)と、第1サドル21、第2サドル22、第3サドル23にそれぞれ連結されている第1サドルワイヤ31、第2サドルワイヤ32、第3サドルワイヤ33(以下まとめて「サドルワイヤ30」と称す場合がある)と、第1サドルワイヤ31、第2サドルワイヤ32、第3サドルワイヤ33をそれぞれ巻き取る第1サドルワイヤ用ウインチ41、第2サドルワイヤ用ウインチ42、第3サドルワイヤ用ウインチ43(以下まとめて「サドルワイヤ用ウインチ40と称する)とを有している。
【0018】
また、洋上補給船1000と図示しない受給船との間に架設されるスパンワイヤ60と、スパンワイヤ60に係止して、第1サドル21を吊り下げる第1トロリブロック71、第2サドル22を吊り下げる第2トロリブロック72、第3サドル23を吊り下げる第3トロリブロック73(以下まとめて「トロリブロック70」と称する)と、スパンワイヤ60を巻き取るスパンワイヤ用ウインチ46とを有している。
【0019】
(固定滑車)
さらに、第1サドルワイヤ31、第2サドルワイヤ32、第3サドルワイヤ33およびスパンワイヤ60を、それぞれ繰り出すための第1固定滑車91、第2固定滑車92、第3固定滑車93、94、スパンワイヤ用固定滑車96が、両持ち梁52に設置されている(以下まとめて「固定滑車90」と称する場合がある)。第3固定滑車93、94、は、略鉛直方向の軸を中心に旋回自在に両持ち梁52に設置され、第3サドルワイヤ33の後記するヨーヨーサドル用滑車99の掛け廻しを容易にしている。なお、図を分かり易くするため、前記部材のうち一部を図示している。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
(両持ち梁)
両持ち梁52は、前方上部構造物200aと後方上部構造物200bとの互いに向き合っている側面210aの上面220aに近い位置と、側面210bの上面220bに近い位置に、両端がそれぞれ固定されている。すなわち、両持ち梁52は第1甲板に立設された支柱等によって支持されるものではないから、両持ち梁52の下方には各設備を配置するスペースが確保されると共に、前記固定部に過大な曲げモーメントが発生することがない。したがって、余計な部材を設置したり、第1甲板101や02甲板202を部分的に補強したりすることが不要になる。
【0021】
(スパンワイヤ)
スパンワイヤ60は、スパンワイヤ用ウインチ46から図示しない張力調整装置を介して繰出され、両持ち梁52に設置されているスパンワイヤ用固定滑車96を介して斜め下方に傾斜して繰出され、その先端が図示しない受給船に連結されるものである。
このとき、洋上補給船1000と受給船との間隔が変動したり両船が揺動したりしても、前記張力調整装置がスパンワイヤ60に作用する張力を略一定に制御しているから、スパンワイヤ60が過剰に引っ張られることも海面に着水することもない。
また、スパンワイヤ60を洋上補給船1000に収納する際、その全長が前記スパンウインチに巻き取られるものではなく、先端から所定の長さ(両持ち梁52の高さに略相当する)がスパンワイヤ用固定滑車96に係止したまま垂れ下がり、先端が第1甲板101または上部構造物200に設けられている図示しないスパンワイヤ先端保持手段に保持されるものである。
【0022】
(トロリブロック)
トロリブロック70はスパンワイヤ60に移動自在に係止するものである。すなわち、洋上補給船1000と図示しない受給船との間にスパンワイヤ60が架設された状態において、スパンワイヤ60に移動自在に係止(懸吊ないし懸架した状態に同じ)して、サドル20を吊り下げている。
なお、スパンワイヤ60が洋上補給船1000に収納されると、トロリブロック70はスパンワイヤ60に係止したまま、今度はサドル20によって吊り下げられた状態になる。
【0023】
(補給ホース)
補給ホース10は可撓性を具備し、先端(受給船側)には脱着自在な図示しない継手手段が設置され、尾端(洋上補給船側)は図示しない開閉バルブに連結されている。そして、該開閉バルブは洋上補給船1000に設置された図示しない補給ポンプを経由して図示しない油等タンクに連結された配管に設置されている。
したがって、補給ホース10の先端を、前記受給船に設置されている図示しない受給装置に連結し、前記開閉バルブを開いて前記補給ポンプを運転すれば、前記油等タンクに収容された液体は前記受給船に補給されることになる。なお、補給ホース10は複数のホースから形成され、それぞれホース継手であるサドル20によって接続されたものである。一方、サドル20がホース継手機能を具備しない場合には、図示しないホース継手によって接続されるものである。
【0024】
(サドル)
サドル20は、補給ホース10が吊り下げられた時にこれに局部的な力がかからなように把持するものであって、同時に、ホース継手の機能を果たしている。なお、補給ホース10はサドル20とは別の位置で接続されてもよく、このとき、サドル20を補給ホース10を把持する(局部的な力を緩和する)機能を果たすものにしてもよい。
【0025】
(サドルワイヤ)
サドルワイヤ30は、両持ち梁52に設置されている固定滑車90を介して、その尾端側(洋上補給船1000側)がサドルワイヤ用ウインチ40に巻き取られている。
【0026】
(ヨーヨーサドル)
なお、第3サドルワイヤ33は、第3サドル用固定滑車93、94(両持ち梁52に設置されている)およびヨーヨーサドル用滑車99(昇降自在)に掛け回わされ、その尾端側(洋上補給船側)が第3サドルワイヤ用ウインチ43に巻き取られている。また、02甲板202の位置Pには所定長さのワイヤペンダント98の下端が設置され、ワイヤペンダント98の上端はヨーヨーサドル用滑車99に設置されている。そして、ヨーヨーサドル29はヨーヨーサドル用滑車99にチェーンまたはリンク等によって接続されている。
したがって、第3サドルワイヤ33を巻き上げると、第3サドル23の引き戻しと同時に、ヨーヨーサドル29は引き上げられることになる。このとき、ヨーヨーサドル用滑車99はワイヤペンダント98によって上昇量が抑えられているから、位置Pを中心としてワイヤペンダント98の長さを半径とする円弧状の軌跡を描くことになり、格納時に巻き上げられ過ぎることはない。一方、第3サドルワイヤ33を繰り出すと、ヨーヨーサドル用滑車99は補給ホース10によって図示しない受給船側に引っ張られるから、前記同様に円弧状の軌跡を描いて移動する(図3の(a)および(b)参照)。
【0027】
すなわち、洋上補給船1000と図示しない受給船との間にスパンワイヤ60が架設された状態において、スパンワイヤ60は図示しない受給船に向かって傾斜しているため、トロリブロック70は図示しない受給船に向かって進もうとし、同様に、サドル20はトロリブロック70に引っ張られて、図示しない受給船の方向に移動しようとしている。
【0028】
(サドルウインチ)
サドルウインチ40は、両持ち梁52の下方で、02甲板202に配置されている。すなわち、第1サドルウインチ41、第2サドルウインチ42、第3サドルウインチ43が、舷側110寄りで一列に並び、これよりも船体100の中央寄りにスパンワイヤ用ウインチ46が配置されている。このため、02甲板202には、概ね位置A−B−C−D−E−F−Aで囲まれた範囲が余剰スペースとして形成される(図2の(b)参照)。
すなわち、前述のように、両持ち梁52を支持するための支柱が不要であるから、両持ち梁52の下方に各装置を配置することができ、これによって、余剰スペースの確保や、全通甲板の形成が可能になっている。
【0029】
また、前方上部構造物200aおよび後方上部構造物200bの02甲板202よりも高い位置に、水平部(以下「03甲板」と称す)203a、203bが設けられている。そして、両持ち梁52の下方で03甲板203aに、サドルウインチ40を操作する操作スタンド49が、03甲板203bには、サドルウインチ40を駆動する動力装置(油圧ユニット)48が、それぞれ設置されている。
よって、洋上補給設備300は、固定滑車90が横一列に配置され、かつウインチ類が整然と配置されるため、補給ホース10の収容が容易になる。また、一段高い03甲板203aに操作スタンド49が設置されているから、視野が広がり操作が容易になる。なお、従来の洋上補給設備と比較して、受給船側からみると運用方法に変更がない。
【0030】
[実施形態2]
(洋上補給船)
図4および図5は、本発明の実施形態2に係る洋上補給船の一部を模式的に示す、図4の(a)は側面図、図4の(b)は平面図、図5の(a)は第2サドルワイヤについての正面図、図5の(b)は第3サドルワイヤについての正面図である。なお、実施の形態1(図1〜図3)と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図4および図5において、洋上補給船2000は、船体100と、船体100の第1甲板101の上に建造された上部構造物200を有し、船体100の舷側110の近くに洋上補給設備400が設置されている。
【0031】
(片持ち梁)
図4および図5において、洋上補給設備400には、上部構造物200の舷側110寄りの側面230に、固定滑車90を設置するための片持ち梁51(長手方向部材51aと舷方向部材51bとを有する)が設置され、第1甲板101の側面230と舷側110との間に、サドルウインチ40と操作スタンド49とが設置されている。
さらに、側面230のサドルウインチ40と略同一の高さに、第1サドルワイヤ31、第2サドルワイヤ32、第3サドルワイヤ33およびスパンワイヤ60の巻き上げ方向を変更するための、第1下固定滑車81、第2下固定滑車82、第3下固定滑車83およびスパンワイヤ用下固定滑車86が設置されている(これらをまとめて「下固定滑車80」と総称する場合がある)。
【0032】
(余剰スペース)
以上より、固定滑車90を支持する片持ち梁51が、上部構造物200の舷側110寄りの側面230に設置され、サドルウインチ40および操作スタンド49が、第1甲板101の側面230と舷側110との間に設置されているから、洋上補給設備400は極めて狭い範囲に設置されている。したがって、洋上補給設備400を設置する自由度が増す。
なお、上部構造物200は第1甲板101に建造された構造物であって、実施形態1の示す前方上部構造物200aまたは後方上部構造物200bの一方であってもよい。
【0033】
[その他の形態]
以上、実施形態1では両端が上部構造物200に設置された両持ち梁52を示しているが、本発明はかかる形態に限定するものではなく、一端が上部構造物200に固定され、他端が上部構造物200または第1甲板101に立設されて支柱に固定されたものであってもよい。このとき、前述の準じた効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、以上の構成であるため、補強や設置スペースの問題を解決することから、全通甲板を具備する船舶に限ることなく、広く各種洋上補給船として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態1に係る洋上補給船を模式的に示す全体の側面図等。
【図2】本発明の実施形態1に係る洋上補給船を模式的に示す一部の側面図等。
【図3】本発明の実施形態1に係る洋上補給船を模式的に示す一部の正面図等。
【図4】本発明の実施形態2に係る洋上補給船を模式的に示す一部の側面図等。
【図5】本発明の実施形態2に係る洋上補給船を模式的に示す一部の正面図等。
【符号の説明】
【0036】
10 補給ホース
20 サドル
29 ヨーヨーサドル
30 サドルワイヤ
40 サドルワイヤ用ウインチ(サドルウインチ)
46 スパンワイヤ用ウインチ
51 片持ち梁
52 両持ち梁
60 スパンワイヤ
70 トロリブロック
80 下固定滑車
90 固定滑車
98 ワイヤペンダント
99 ヨーヨーサドル用滑車
100 船体
101 第1甲板
110 舷側
200 上部構造物
202 02甲板
210 操作スタンド
220 動力装置
300 洋上補給設備(実施形態1)
400 洋上補給設備(実施形態2)
1000 洋上補給船(実施形態1)
2000 洋上補給船(実施形態2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有する洋上補給船であって、
甲板に上部構造物が建造され、
片端が前記上部構造物に支持された片持ち梁が設置され、
該片持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする洋上補給船。
【請求項2】
受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有する洋上補給船であって、
中間に背の低い部分を具備する上部構造物が甲板に建造され、
前記背の低い部分を跨いで、両端がそれぞれ前記上部構造物の背の高い部分に支持された両持ち梁が設置され、
該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする洋上補給船。
【請求項3】
受給船に向けて繰り出され、前記受給船に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているサドルと、
該サドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記受給船に向けて繰り出され、前記受給船との間に架設されるスパンワイヤと、
該スパンワイヤを巻き取るスパンワイヤ用ウインチと、
前記受給船との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記サドルを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有する洋上補給船であって、
甲板に上部構造物および支柱が設置され、
一方の端が前記上部構造物に、他方の端が前記支柱に、それぞれ支持された両持ち梁が設置され、
該両持ち梁に前記サドルワイヤおよび前記スパンワイヤを繰り出すための滑車が設置されていることを特徴とする洋上補給船。
【請求項4】
前記上部構造物が煙突であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の洋上補給船。
【請求項5】
前記甲板が全通甲板であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の洋上補給船。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−161088(P2007−161088A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360039(P2005−360039)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)