説明

洗浄用ネットおよびその製造方法

【課題】良好な泡立ちが得られ、かつ肌に優しい洗浄用ネットを提供する。
【解決手段】洗浄用ネット1は、筒状の軟質の外側ネット21の内部に、筒状の硬質の内側ネット22がその両端部を外側ネット21の両端部に合わせて設けられたタオル部2と、タオル部2の両端部に設けられた洗浄者が把持するための取手3とを備えている。この内側ネット22の網目は、外側ネット21の網目より細かく形成されており、内側ネット22は非吸水性素材により形成され、外側ネット21は吸水性素材により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体を洗う際に用いられる洗浄用ネットおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体の汚れをよく落とすためには、固形状の石鹸や液体石鹸であるボディソープ、ボディシャンプーなどの洗浄剤をよく泡立てることが重要である。よく泡だったボディタオルで体を擦れば、汚れが落ちるだけでなく、洗っていることが実感でき、爽快感を得ることができる。泡立ちのよいものとしては泡立て用ネットが多く使用されるが、泡立て用ネットに使用される硬質のネットでは肌への刺激が強すぎてしまう。しかし、肌に優しい木綿などの柔らかすぎるタオルなどでは泡立ちが悪くなってしまう。
そこで泡立をよくすることができる従来の洗浄用ネットとして、例えば、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、四角形状の基布と、基布の一方の面に積層された多数の網目を有する2つの四角形状の網布とから構成される垢擦りタオルが記載されている。
また、特許文献2には、多層構造を有する布帛であって、片面の表面粗さ(SMD)が5μm以下であり、もう片面の表面粗さ(SMD)が5μmを越えるタオルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−33588号公報
【特許文献2】特開2007−244459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の垢擦りタオルは、体を洗うときに、基布が肌に触れていればよいが、網布が肌に触れることがあり、肌への強い刺激が心配される。特に、背中を洗うときには、垢擦りタオルのおもて面と裏面とを意識して肌に当てないため、網布が触れるおそれがある。
また、特許文献2に記載のタオルにおいても、おもて面と裏面とが表面粗さを変えた布帛を使用しているため、特許文献1に記載の垢擦りタオルと同様の問題が心配される。
【0006】
そこで本発明は、良好な泡立ちが得られ、かつ肌に優しい洗浄用ネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄用ネットは、筒状の軟質の外側ネットの内部に、筒状の硬質の内側ネットがその両端部を前記外側ネットの両端部に合わせて設けられたタオル部と、前記タオル部の両端部に設けられた洗浄者が把持するための取手とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の洗浄用ネットによれば、内側ネットが、外側ネットの内部に設けられているため、外側ネットだけでは泡立ちにくくても、硬質の内側ネットにより泡立たせることができる。また、筒状の内側ネットが重なり多層になることで、極め細やかな泡立ちを得ることができる。更に、硬質の内側ネットが、軟質の外側ネットの内部に設けられているので、体を洗うときに、軟質の外側ネットが硬質の内側ネットを覆った状態である。従って、両手で取手を持って背中や洗っても、内側ネットが肌に触れないため、肌への過剰な刺激を防止することができる。
【0009】
前記タオル部の両端部は、絞り込まれて前記取手が取り付けられているのが望ましい。タオル部の両端部が絞り込まれていることで、両手で取手を持ってタオル部で背中を洗うときに、タオル部の中央部が幅広くなって背中の湾曲面にフィットするため、操作しやすく、広い範囲の背中を簡単に洗うことができる。
【0010】
前記内側ネットの網目は、前記外側ネットの網目より細かく形成されているのが望ましい。前記内側ネットと前記外側ネットとを、このような網目とすることで、内側ネットより細やかな泡を、外側ネットの網目を通過させて肌へ供給しやすくすることができる。
【0011】
前記内側ネットは非吸水性素材により形成され、前記外側ネットは吸水性素材により形成されているのが望ましい。外側ネットは吸水性素材により形成されていると、外側ネットが洗浄剤を保持するので、外側ネットと内側ネットとが擦れることにより、大きな泡立ちを得ることができる。
【0012】
本発明の洗浄用ネットの製造方法は、筒状の硬質の第1のネットの内部に、筒状の軟質の第2のネットを通して配置する工程と、前記第1のネットと前記第2のネットの一端部に切り欠きを形成する工程と、前記第1のネットと前記第2のネットとの両端部を洗浄者が把持するための取手と共に固定する工程と、前記切り欠きから前記第1のネットと前記第2のネットとを一緒に裏返して、前記第1のネットを内側ネット、前記第2のネットを外側ネットとする工程と、前記切り欠きを塞ぐ工程とを含むことを特徴とする。
このような手順とすることで、洗浄用ネットの両端部に取手が設けられていても、取手の固定部分を外部に露出せずに本発明の洗浄用ネットを製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、両手で取手を持って背中を洗っても、内側ネットが肌に触れないため、良好な泡立ちが得られると共に、肌への過剰な刺激を防止することができることで、肌に優しい洗浄用ネットとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗浄用ネットを示す図である。
【図2】図1に示す洗浄用ネットのA−A線断面図である。
【図3】(A)は外側ネットの網目を示す図、(B)は内側ネットの網目を示す図である。
【図4】(A)〜(D)は図1に示す洗浄用ネットの製造工程を示す図である。
【図5】(A)〜(C)は図4に示す洗浄用ネットの製造工程に続く製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る洗浄用ネットを図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る洗浄用ネットは、固形状の石鹸や液体状のボディソープ、ボディシャンプーなどの洗浄剤で、体を洗う際に用いられるボディタオルである。図1に示す洗浄用ネット1は、タオル部2と2つの取手3から構成されている。
タオル部2は、長さが約50cmに形成されている。タオル部2は、図2に示すように、筒状の軟質の外側ネット21と、筒状の軟質の内側ネット22とから構成され、外側ネット21の内部に、内側ネット22の両端部を外側ネット21の両端部に合わせて設けられている。
【0016】
外側ネット21は、幅方向が約40cm、長さ方向が約50cmの略長方形の網目のシートを筒状にしたものから形成されている。例えば、外側ネット21を、ポリエステルなどの合成繊維から形成することで、軟質で吸水性を有するネットとすることができる。本実施の形態では、外側ネット21を形成する網目のシートとして、縦が1cm、横が1cmの範囲の中に、縦が約1mm、横が1.5mmの孔が、縦に4つ、横に4つの合計16ほど設けられているものを採用している(図3(A)参照)。なお、外側ネット21としては、肌触りのよいもので、厚みが厚過ぎないようなものであれば使用することができる。
【0017】
内側ネット22は、幅方向が約37cm、長さ方向が約50cmの略長方形の網目のシートを筒状にしたものから形成されている。例えば、内側ネット22を、ポリエチレンなどの合成樹脂の成形品とすることで、硬質で非吸水性の網目の細かいネットとすることができる。本実施の形態では、内側ネット22を形成する網目のシートとして、10目の長さを示す目合いが30mmのものを使用している(図3(B)参照)。目合いは、小さいほど孔の大きさが小さくなり、極め細やかな泡が得られるので望ましい。なお、内側ネット22としては、外側ネット21より硬質で非吸水性のものであれば、他のネット素材のものも使用できる。
【0018】
取手3は、約60cmの木綿製の紐をループ状にしたものである。本実施の形態では、紐をループ状にしているが、1本の紐としてもよいし、棒状部材としてもよい。しかし、取手3をループ状とする方が、背中を洗うときも指先に引っ掛けた状態で洗浄用ネット1を背中に回せるので望ましい。また、木綿製とする以外に、合成繊維製としてもよい。
【0019】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る洗浄用ネット1の製造方法を図面に基づいて説明する。
まず、内側ネット22となる筒状の第1のネット5と、外側ネット21となる筒状の第2のネット6とを準備する。
第1のネット5と第2のネット6とが準備できたら、第1のネット5の一端の開口から第2のネット6の一端を入れ(図4(A)参照)、両端部が揃う位置まで第1のネット5内に第2のネット6を通す(図4(B)参照)。このとき、第2のネット6の方が第1のネット5より幅が大きいため、第2のネット6を幅方向に二つ折りや三つ折りして細長くすると第1のネット5内へ通しやすい。
【0020】
第1のネット5内に第2のネット6を両端部が揃う位置まで通したら、第1のネット5と第2のネット6との一端部に切り欠き7を形成する(図4(C)参照)。この切り欠き7は、長さ方向に沿ってカッターや挟みなどで直線状に切れ込みを入れるだけでよい。
【0021】
次に、結び目81を形成することでループ状となった2つの紐8を、第2のネット6の両端部の内側の位置に配置する。このとき、結び目81が開口側に位置するように紐8を配置する(図4(D))。
【0022】
次に、第1のネット5と第2のネット6との両端部をそれぞれ線材9で緊縛して、第1のネット5内で第2のネット6を固定する共に、ループ状の紐8の基端部を固定部分として固定する(図5(A)参照)。このときの線材9による緊縛は、後の工程で切り欠き7に指を挿入する必要があることから、切り欠き7の開口部を塞がないような位置に行う。
そして、切り欠き7の開口部に指を入れ、第2のネット6および第1のネット5と共に、紐8のループ部分を内側から引き出すようにして、第1のネット5と第2のネット6とを一緒に裏返す(図5(B)参照)。第1のネット5と第2のネット6とを一緒に裏返すことで、第1のネット5が内側ネット22となり、第2のネット6が外側ネット21となり、紐8が取手3となる(図5(C)参照)。
最後に、切り欠き7を縫いあわせて塞ぐことで、洗浄用ネット1が完成する(図1参照)。
【0023】
本実施の形態では、第1のネット5に第2のネット6を通してから切り欠き7を形成したが、第1のネット5と第2のネット6とのそれぞれに予め切り欠きを設けてもよい。しかし、第1のネット5に第2のネット6を通す際に、それぞれの切り欠きの位置を合わせる必要が生じてしまう。また、第1のネット5に第2のネット6を通してから切り欠き7を形成すれば一度の切断で切り欠き7を形成することができる。従って、第1のネット5に第2のネット6を通してから切り欠き7を形成するのが望ましい。
【0024】
このような工程にて洗浄用ネット1を製造することで、洗浄用ネット1の両端部に取手3が設けられていても、取手3の固定部分を外部に露出せずに洗浄用ネット1を製造することができる。
【0025】
以上のようにして製造することができる本実施の形態に係る洗浄用ネット1の使用状態について、図面に基づいて説明する。
まず、濡らしたタオル部2に、固形石鹸を置いたり、液体石鹸を付けたりした後、両手で揉むようにして泡立てる。揉むことで硬質の内側ネット22により細かな泡立ちとなる。また、最初に吸水性を有する外側ネット21に洗浄剤が付着するので、外側ネット21に洗浄剤を保持させることができる。従って、泡立ち量を多くすることができる。
【0026】
また、内側ネット22の網目は、外側ネット21の網目より細かく形成されているので、内側ネット22より細やかな泡を、外側ネット21の網目を通過させて肌へ供給しやすくすることができる。
【0027】
背中を洗うときには、両手でそれぞれ取手3を把持してタオル部2を背中に回してタオル部2を背中に当てる。そして、同時に同じ左右方向に取手3を引っ張ることでタオル部2が背中面を摺動して洗うことができる。
タオル部2の両端部は、絞り込まれて取手3が取り付けられているので、タオル部2の中央部が幅広くなって背中の湾曲面にフィットするため、操作しやすく、広い範囲の背中を簡単に洗うことができる。
外側ネット21は柔らかな軟質な素材で形成されているため、肌に当たっても肌への刺激が少ない。また、内側ネット22は、外側ネット21内にあり、肌に触れないため、肌への過剰な刺激を防止することができる。
【0028】
このとき、内側ネット22は外側ネット21に両端部でしか固定されていないため、内側ネット22は外側ネット21内で外側ネット21とは異なる動きをすることができる。そうすることで、外側ネット21に保持された洗浄剤が内側ネット22に供給され、内側ネット22内で擦れることで更に泡立つ。従って、より一層の泡立ちを得ることができる。
【0029】
なお、本実施の形態に係る洗浄用ネット1では、外側ネット21および内側ネット22が1重であったが、それぞれが2重以上の多層としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の洗浄用ネットおよびその製造方法は、体を洗う際に用いられるにボディタオルやフェイスタオルなどに好適である。
【符号の説明】
【0031】
1 洗浄用ネット
2 タオル部
21 外側ネット
22 内側ネット
3 取手
5 第1のネット
6 第2のネット
7 切り欠き
8 紐
81 結び目
9 線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の軟質の外側ネットの内部に、筒状の硬質の内側ネットがその両端部を前記外側ネットの両端部に合わせて設けられたタオル部と、
前記タオル部の両端部に設けられた洗浄者が把持するための取手とを備えたことを特徴とする洗浄用ネット。
【請求項2】
前記タオル部の両端部は、絞り込まれて前記取手が取り付けられている請求項1記載の洗浄用ネット。
【請求項3】
前記内側ネットの網目は、前記外側ネットの網目より細かく形成されている請求項1または2記載の洗浄用ネット。
【請求項4】
前記内側ネットは非吸水性素材により形成され、
前記外側ネットは吸水性素材により形成されている請求項1から3のいずれかの項に記載の洗浄用ネット。
【請求項5】
筒状の硬質の第1のネットの内部に、筒状の軟質の第2のネットを通して配置する工程と、
前記第1のネットと前記第2のネットの一端部に切り欠きを形成する工程と、
前記第1のネットと前記第2のネットとの両端部を洗浄者が把持するための取手と共に固定する工程と、
前記切り欠きから前記第1のネットと前記第2のネットとを一緒に裏返して、前記第1のネットを内側ネット、前記第2のネットを外側ネットとする工程と、
前記切り欠きを塞ぐ工程とを含むことを特徴とする洗浄用ネットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−17784(P2013−17784A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155922(P2011−155922)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(509204253)NPO法人三悠プロセス (3)
【Fターム(参考)】