説明

洗濯ネット

【課題】 製造コストをより低廉化することができるとともに、洗濯物を洗濯ネット内に収納したまま屋外で干す場合に、気づかいなく安心して干すことができる、洗濯物を種類ごとに分別収納する複数の収納部を有する洗濯ネットを実現する。
【解決手段】 ネット材からなる、四方の端部が縫着された袋体を、最も外側のネット袋11とする。このネット袋11の上部に開閉用のファスナー21を取り付け、上部両端部に掛止紐31a,31bを取り付ける。上部に開口部を有するように上端を除く三方の端部が縫着されて袋体に形成され、かつ、上部の開口部を覆う蓋を有する2つのネット袋を、最も外側のネット袋11の内側に順次内包する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯ネットに関する。より詳しくは、洗濯物を種類ごとに分けて収納する複数の収納部を有する電気洗濯機用の洗濯ネットであって、製造コストをより低減することができるとともに、洗濯物を洗濯ネット内に収納したまま屋外で干す場合に、気づかいなく安心して干すことができる洗濯ネットを提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
電気洗濯機により衣類などを洗濯する場合、袋状の洗濯ネット内に洗濯物を収納し、これを電気洗濯機の洗濯槽内に投入して洗濯することが行われている。その場合、洗濯物の種類を問わずまとめて洗濯物を洗濯ネット内に収納して洗濯をすると、洗濯槽内の回転する水流により、例えば、女性用の長尺のストッキングとブラジャーの紐とが絡み合ったり、あるいは、ストッキングが他の衣類のホックなどに引っ掛かって破れてしまうことがある。
【0003】
そこで、洗濯物の種類に応じて洗濯物を分けて収納する複数の収納部を有する洗濯ネットが、従来より提案されており、その一例を図6に示し説明する。ここで、図6は、この従来例の外観を示す斜視図である。
【0004】
図6において、洗濯ネット50は、3枚の方形状のネット材51a〜cを重ね合わせたうえで、破線Sで示すように、上端部を除く三方の端部を縫着することにより形成されている。したがって、洗濯ネット50は、図7(図6のA−A線に沿う断面図)に示すように、洗濯物を収納する2つの洗濯物収納部53a,53bを有している。
【0005】
また、縫着されていない各ネット材51a〜cの上端間には、各洗濯物収納部53a,53b(図7)の上部を開閉するためのファスナー52a,52bが、それぞれ取り付けられている。
【0006】
そこで、このように構成された洗濯ネット50を使用して洗濯をする場合は、例えば、他の衣類のホックなどに引っ掛かって破れてしまうおそれのあるストッキングは、一方の洗濯物収納部53a内に収納してファスナー52aにより洗濯物収納部53aの上部を閉じる。これに対して、ホック類が取り付けられた衣類は、他方の洗濯物収納部53b内に収納してファスナー52bにより洗濯物収納部53bの上部を閉じる。
【0007】
このようにして各洗濯物収納部53a,53b内にそれぞれ洗濯物が収納された洗濯ネット50を、電気洗濯機の洗濯槽内に投入すれば、洗濯機を駆動しても、ホック類が取り付けられた衣類が、ストッキングが収納された洗濯物収納部53a内に移動して混入することはない。したがって、衣類に取り付けられたホック類によってストッキングが破れるということもない。
【0008】
なお、図6では、3枚のネット材51a〜cを用いる場合が示されているが、より多くのネット材を用いれば、洗濯物収納部もより多くなり、洗濯物の種類に応じてより細かく分別して収納できることになる。
【特許文献1】特開2000−245992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図6に示した従来例によると、つぎのような解決すべき課題がある。すなわち、第1に、この従来例では、洗濯物収納部53a,53bの数に応じた数のファスナー52a,52bを用いなければならず、洗濯物収納部をより多くしようとすると、その分用いるファスナーの数も多くなる結果、製造コストが高くなってしまうことになる。
【0010】
第2に、洗濯が終了した洗濯物を洗濯ネットに収納したまま屋外で干した場合、他人に見られたくない、あるいは、盗まれるおそれがある洗濯物が、外部からネット材を通して判別されてしまう。このことは、例えば、4枚のネット材を用いて3つの洗濯物収納部を形成し、中央の洗濯物収納部内に外部から判別されたくない洗濯物を収納したとしても、同じである。
【0011】
すなわち、洗濯ネットの厚さ方向(ファスナーの幅方向)からは、他の洗濯物収納部に収納された洗濯物に遮られて、判別されたくない洗濯物を判別することはできないが、洗濯ネットの幅方向(ファスナーの長さ方向)からは判別されてしまうことになる。これを防ぐために、判別されたくない洗濯物の周囲に、遮蔽物として判別されても差し支えない洗濯物を入れるという煩瑣な手段も採られている。以上のような解決すべき課題が、図6に示した従来例にはあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記課題に照らし、本発明はなされたものである。そのために、本発明では、少なくとも2つのネット袋を用いて、ネット袋が順次内包されて多重の袋体を形成するようにする。最も外側のネット袋の上部に開閉用のファスナーを取り付けるとともに、上部両端部に物干し竿などに洗濯ネットを掛止するための掛止紐を取り付ける。このネット袋の内側に順次内包されるネット袋は、上部に開口部を有するようにする。以上のような手段を用いるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるならば、図6に示した従来例とは異なり、用いるファスナーは単一であるので、洗濯ネットの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0014】
また、最も内側のネット袋内に、他人に見られたくない、あるいは、盗まれるおそれがある洗濯物を収納することにより、洗濯が終了した後に、洗濯ネット内に洗濯物を収納したまま、屋外で干したとしても、他人に見られたくない、あるいは、盗まれるおそれがある洗濯物は、その外側の各ネット袋のネット材および外側に収納された洗濯物に遮られて、いかなる洗濯物が収納されているのかは、外部から判別することはできない。すなわち、気づかいなく安心して洗濯ネット内に洗濯物を収納したまま、屋外で干すことが可能となる。
【0015】
なお、本発明による洗濯ネットは、洗濯時に利用する以外に、例えば、一定期間にわたる旅行をする場合に、着替え用の下着や履き替え用の靴下などを分別収納して携行する手段としても利用することができる。したがって、本発明による効果は、実用上極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、少なくとも2つのネット袋を用いて、ネット袋が順次内包されて多重の袋体を形成するようにするとともに、最も外側のネット袋にのみ開閉用の1つのファスナーを取り付け、内側に内包されるネット袋は、上部に開口部を有するようにする。以下、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の一実施例の構成を、図1に示し説明する。ここで、図1は、本実施例における洗濯ネットの外観を示す斜視図である。
【0018】
図1において、11は、ネット材からなる、四方の端部が縫着された袋状のネット袋であり、上端よりやや下方の部位に、開閉用のファスナー21が取り付けられ、上部の両端部に、洗濯ネット10を物干し竿などに掛止するための掛止紐31a,31bが取り付けられている。
【0019】
このようなネット袋11の内側には、図2(図1のA−A線に沿う中間部分を省略した断面図)に示すように、サイズが若干小さいネット袋12が内包され、その内側には、さらに小さいサイズのネット袋14が内包されている。すなわち、本実施例における洗濯ネット10は、各ネット袋12,14が最も外側のネット袋11の内側に順次内包されて、3重の袋体となるように形成されている。
【0020】
順次内包されるネット袋12,14は、上端を除く三方の端部が縫着され、したがって、上部が開口しており、図3(斜視図)に示すように、開口部16は、蓋13により覆われるようになっている。この蓋13は、ネット袋12内に収納された洗濯物が、洗濯時に開口部16より飛び出すのを防ぐためのものである。なお、図3では、1つのネット袋12の構成についてのみ図示したが、もう1つのネット袋14も、上端を除く三方の端部が縫着され、上部の開口部が蓋により覆われるようになっている構成は同じである。
【0021】
以上の3つのネット袋11,12,14は、図4に示すように、最も外側のネット袋11に最も大きい網目のネット材を用い、順次内側になるほど網目が小さいネット材を用いている。これは、洗濯水や洗剤が内側のネット袋12,14内に進入し易くするためである。
【0022】
また、3つのネット袋11,12,14は、図5(a)(正面図)に示すように、端部4箇所において、図5(b)(断面図)に示すように、各ネット袋11,12,14を貫通する止め具41a〜dにより、相互に固定されている。
【0023】
以上のように構成された洗濯ネット10を使用する場合は、最も内側のネット袋14内に、他人に見られたくない、あるいは、盗まれるおそれがある洗濯物を収納する。最も内側のネット袋14と、その外側のネット袋12との間の空隙部内に、例えば、衣類に取り付けられたホック類に引っ掛かって破れるおそれがあるストッキングを収納する。このネット袋12と、その外側のネット袋11との間の空隙部内に、ホック類が取り付けられた衣類を収納する。
【0024】
このように、各ネット袋11,12,14ごとに洗濯物を分別収納して洗濯機により洗濯すれば、衣類に取り付けられたホック類にストッキングが引っ掛かって破れることもない。また、洗濯が終了した後に、洗濯ネット10内に洗濯物を収納したまま、屋外で干したとしても、他人に見られたくない、あるいは、盗まれるおそれがある洗濯物は、その外側の各ネット袋11,12のネット材および外側に収納された洗濯物に遮られて、いかなる洗濯物が収納されているのかは、外部から判別することは不可能となる。したがって、気づかいなく安心して洗濯ネット10内に洗濯物を収納したまま、屋外で干すことができることになる。
【0025】
以上においては、3つのネット袋11,12,14を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。その他にも、例えば、4つのネット袋を用いる場合、あるいは2つのネット袋を用いる場合にも、本発明は適用され得るものである。すなわち、少なくとも2つのネット袋を用いる場合に、本発明は適用することができるものである。
【0026】
また、最も外側のネット袋11において、その上端よりやや下方の部位に開閉用のファスナー21を取り付ける場合について説明したが、本発明は、これに限られるものではない。内側に内包されるネット袋12,14上部の開口部16(図3)と同位置またはそれよりも上方の部位に、ファスナー21を取り付けるものであればよく、例えば、ネット袋11の上端部にファスナー21を取り付けるようにしてもよい。
【0027】
さらに、最も外側のネット袋11の上部両端部に、2つの掛止紐31a,31bを取り付ける場合について説明したが、単一の掛止紐を取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う中間部分を省略した断面図である。
【図3】図2に示した、最も外側のネット袋の内側に内包されるネット袋の斜視図である。
【図4】図2に示した3つのネット袋の網目の大きさを説明するための説明図である。
【図5】図2に示した3つのネット袋の固定方法を説明するための説明図である。
【図6】従来例の外観を示す斜視図である。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 洗濯ネット
11,12,14 ネット袋
13,15 蓋
16 開口部
21 ファスナー
31a,31b 掛止紐
41a〜41d 止め具
50 洗濯ネット
51a〜51c ネット材
52a,52b ファスナー
53a,53b 洗濯物収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのネット袋(11,12,14)が順次内包して形成される多重の袋体であって、前記少なくとも2つのネット袋のうちの最も外側のネット袋(11)の上部に開閉用の1つのファスナー(21)および前記袋体を掛止するための掛止紐(315a,31b)が取り付けられるとともに、前記最も外側のネット袋の内側に順次内包されるネット袋(12,14)が上部に開口部(16)を有するものである洗濯ネット。
【請求項2】
前記少なくとも2つのネット袋(11,12,14)が、前記最も外側のネット袋(11)は最も大きい網目のネット材からなり、内包されるネット袋は内側になるほど小さい網目のネット材からなる請求項1記載の洗濯ネット。
【請求項3】
前記最も外側のネット袋の内側に順次内包されるネット袋(12,14)が、前記開口部(16)を覆う蓋(13,15)を有するものである請求項1または2記載の洗濯ネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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