説明

洗濯乾燥機

【課題】除塵性能及び耐久性に優れた洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯物5を収納する内槽65と、前記内槽65を回転自在に収納する外槽62と、前記内槽62を回転駆動する第1の駆動源68と、乾燥運転時に前記洗濯物5から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルター80と、前記防塵フィルター80に摺接して、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体81を有し、前記除塵体81を、前記外槽62内の水流で駆動するようにしたもので、除塵体81で防塵フィルター80に付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体81を水流で駆動するので、モータ等の除塵体駆動用の駆動源が不要で、しかも除塵体81や防塵フィルター80に無理な力が加わわることがなく、除塵体81や防塵フィルター80の耐久性が大幅に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関するもので、特に、乾燥運転時に衣類から発生する糸くずなどを捕獲する防塵フィルターを備えた洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の洗濯乾燥機は、衣類を収納すると共に駆動手段で回転駆動される内槽と、前記内槽を回転自在に収納する外槽と、前記内槽の一側と他側を連通し内部に、送風機と、除湿手段と空気を加熱するヒータを有する乾燥風循環経路を備え、乾燥運転時に、送風機により、ヒーターで加熱され生成された温風を内槽内に吹き出し、衣類から水分を蒸発させ、水分を含んだ空気を除湿手段に送り、そこで除湿した後、ヒーターに送り、再び内槽内に送り込むようにして、乾燥風を循環させながら、衣類の乾燥を行なうようになっている。
上記乾燥運転時に衣類から糸くずや埃が発生するが、これらが、除湿手段やヒーターに付着すると、除湿能力や空気の加熱能力が著しく低下するので、これを防止するために、送風機の上流側に、糸くずや埃を捕獲するための防塵フィルターが設けられている。この防塵フィルターに糸くずや埃が堆積してくると、乾燥効率が著しく低下してくるので、防塵フィルターを定期的に清掃する必要があるが、従来は、この防塵フィルターを着脱自在にして、使用者が、定期的に防塵フィルターを取り外して、掃除をするようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような方法だと、使用者が、一々防塵フィルターを取り外して掃除しなければならず、非常に面倒で、また、不衛生であった。
【0004】
そこで、上記問題を解決し、防塵フィルターを自動的に清掃できるようにするために、防塵フイルターを、外槽内の洗濯水の水面より下方に位置させ、洗濯運転時の洗濯水の流れで、乾燥運転時に防塵フィルターで捕獲された糸くずや埃を洗い落とすようにしたり、乾燥運転時の空気の流れ方向と逆の方から、防塵フイルターに、循環する洗濯水や、洗濯やすすぎ運転時に給水される水を通して、糸くずや埃を洗い流すようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、同じく、防塵フイルターを、外槽内の洗濯水の水面より下方に位置させ、内槽の背面に、通常バネの付勢力で内槽の背面側に倒れており、洗濯運転時に、洗濯水の抵抗でバネの付勢力に抗して起き上がり防塵フイルターに摺接するブラシ体を設け、洗濯運転やすすぎ運転時の内槽の回転に伴い、防塵フイルターに付着した糸くずや埃を、ブラシ体で掻き取るようにした洗濯乾燥機も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−300192号公報
【特許文献2】特開平8−243292号公報
【非特許文献1】シャープ株式会社製洗濯乾燥機ES−HG91F
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示された洗濯乾燥機の構成は、防塵フイルターに付着した糸くずや埃を、給水や洗濯水で洗い流そうとするもので、これでは、防塵フィルターの目に絡みついた糸くずなどを確実に取り除くことはできないという課題があった。
【0007】
また、上記非特許文献1の洗濯乾燥機の構成では、ブラシ体で、防塵フィルターに付着した糸くずや埃を掻き取るようにしているので、糸くずや埃の除去性能は向上するが、内槽の回転数が高いため、ブラシ体が強力に防塵フイルターに擦られることになり、ブラシ体や、防塵フイルターが早く消耗するという課題が有った。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、耐久性にすぐれた洗濯乾燥機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機は、洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を回転自在に収納する外槽と、前記内槽を回転駆動する第1の駆動源と、乾燥運転時に前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、前記防塵フィルターに摺接して、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、前記外槽内の水流で駆動するようにしたもので、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体を水流で駆動するので、モータ等の除塵体駆動用の駆動源が不要で、しかも除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わることがないので、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗濯乾燥機は、除塵体で、防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体を水流で駆動するので、モータ等の除塵体駆動用の駆動源が不要で、しかも除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わることがないので、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を回転自在に収納する外槽と、前記内槽を回転駆動する第1の駆動源と、乾燥運転時に前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、前記防塵フィルターに摺接して、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、前記外槽内の水流で駆動するようにしたもので、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体を水流で駆動するので、モータ等の除塵体駆動用の駆動源が不要で、しかも除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わわることがなく、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の水流の正転、反転によって除塵体が往復移動するもので、除塵体による防塵フィルターからの糸くず等の除去性能が飛躍的に向上する。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施例1)
本発明の第1の実施例における洗濯乾燥機について、図1〜4を用いて説明する。図1は、本実施例における洗濯乾燥機の外観斜視図、図2は、図1のA−A断面図である。
【0014】
図1、2において、本実施例における洗濯乾燥機60の外郭61は、横断面が略四角形で筒状に形成されたボデー61aと、ボデー61aの下部開口を覆う底板61bと、ボデー61aの上部開口を覆うと共に洗濯物5を投入するための投入口61cを有する上カバー61dから構成されている。外郭61内には、外槽62が、サスペンション63で懸垂防振支持され、その外槽62内に、洗濯物5を収納すると共に底部に攪拌翼64を有する内槽65が回転自在に収納されている。70は、上カバー61dの投入口61cを開閉する蓋である。
【0015】
内槽65の上端に、円環状の流体バランサー66が、側壁には、内槽65内と、内槽65と外槽62との間の空間を連通する多数の孔67がそれぞれ設けられている。外槽62の下方には、第1の駆動源68が設けられ、その第1の駆動源68の回転動力は、二軸構成の回転軸69並びに図示しないクラッチ機構により、内槽65と、攪拌翼64に切換え自在に伝達されるようになっている。
【0016】
外槽62の底部には、洗濯後の洗濯水或いは、すすぎ後のすすぎ水を外部に排出するための第1の排水ダクト71が接続され、その第1の排水ダクト71の途中には、第1の開閉弁72が設けられている。
【0017】
外槽62の底部には、さらに、乾燥運転時に洗濯物5から発生する糸くずなどを捕獲する防塵フィルター80と、防塵フィルター80で捕獲された糸くずなどを除去する除塵体81が設けられ、防塵フィルター80の下流側には、除湿用熱交換器73と、送風ファン74と、空気を加熱するヒータ75を順に内包すると共に、内槽65の上端の開口部65aに臨んで開口する開口部77aを有する乾燥用空気循環ダクト77が接続されている。
【0018】
乾燥用空気循環ダクト77の底部には、洗濯やすすぎ時に溜まった洗濯水或いは、すすぎ水を外部に排出するための第2の排水ダクト83が接続され、その第2の排水ダクト83の途中には、第2の開閉弁84が設けられている。尚本実施例では、第2の排水ダクト83の排出側端部を、図2に示すように、第1の排水ダクト71の下流側に合流させている。
【0019】
次に、除塵体81の構成について、図3を用いて説明する。図3は、同洗濯乾燥機の外槽の底部の部分斜視図である。
除塵体81は、一端が外槽62の底部の中心よりの位置に回動自在にネジ86で支持された基材81aと、基材81aの上面に突出して設けられ、洗濯水やすすぎ水の水流を受ける水受け翼81bと、基材81aの底面に設けられると共に、防塵フィルター80に摺接して、防塵フィルター80に付着した糸くずなどを擦り取るブラシ部材81cから構成されている。尚、防塵フィルター80は、外槽62の底部で略扇状に開口した開口部62aに設けられている。
【0020】
以上のように構成された本実施例における洗濯乾燥機の動作、作用について以下に説明する。なお、洗濯、すすぎ、脱水の各運転については、従来の一般的な洗濯乾燥機と同一なので説明を省略する。ただし、本実施例では、洗濯、すすぎ、脱水の各運転の終了時には、第1の開閉弁72を開くと共に第2の開閉弁84も開いて、乾燥用空気循環ダクト77内に洗濯水やすすぎ水が残らないようにしている。
【0021】
次に、本実施例における洗濯乾燥機60の乾燥運転について説明する。
乾燥運転開始に当たり、第1の開閉弁72、第2の開閉弁84は閉じておく。そして乾燥運転を開始すると、第1の駆動源68、ヒータ75、送風ファン74に通電される。第1の駆動源68が通電されると、最初に攪拌翼64が正逆に回転して、前の脱水工程時に内槽65の内壁に張り付いた洗濯物5が引き剥がされる。次に、攪拌翼64を正逆方向に強力に回転させて洗濯物5を放り投げるように攪拌する。
【0022】
そして送風ファン74が回転すると、外槽62内の湿った空気が、外槽62の底部に設けた開口部62a、防塵フィルター80を通って、乾燥空気循環ダクト77に流入し、除湿用熱交換器73で除湿され、乾いた空気が、ヒータ75で加熱されて温風となって、開口77aより、内槽65内に向かって吹き出される。
【0023】
そして、温風が、攪拌翼64の回転によって、繰り返し放り投げられ落下する洗濯物5に吹き付けられることにより、洗濯物5の水分が蒸発する。蒸発した水分は、空気と共に、内槽65の周壁に設けた孔67を通って、内槽65と外槽62との間の空間にながれ、再び、開口部62aを通って乾燥空気循環ダクト77に流入し、除湿用熱交換器73で除湿される。この動作が繰り返されることにより、洗濯物5が次第に乾燥していくと共に、この乾燥工程で、洗濯物5から発生する糸くずなどは、防塵フィルター80で確実に捕獲される。この乾燥運転は、所定時間続いた後、終了する。
【0024】
次に、新たな洗濯物5を洗濯するために、洗濯物5と必要量の洗剤(図示せず)を内槽65に投入し、運転を開始すると、図示しない給水弁より、水道水が内槽65を通して、外槽62に供給され、水が所定の水位に達すると、水道水の供給が停止し、第1の駆動源68に通電され、攪拌翼64の正転、逆転が繰り返される洗濯運転が行なわれる。
【0025】
この洗濯運転時には、洗濯水が除塵体81の水受け翼81bに当たるので、図4(a)に示すように、例えば、攪拌翼64が正転している間は、水流も正転、すなわち時計方向になり、それを水受け翼81bで受けた除塵体81は、防塵フィルター80上で、時計方向に移動し、防塵フィルター80の時計方向の端部で停止する。
【0026】
次に、攪拌翼65が逆転すると、図4(b)に示すように、水流も反転し、除塵体81が、防塵フィルター80上で反時計方向に移動し、防塵フィルター80の反時計方向の端部で停止する。
【0027】
このように、洗濯運転時に、攪拌翼65の正転、逆転に応じて、除塵体81が、防塵フィルター80上で往復移動して、防塵フィルター80に捕獲されていた糸くず等を除去する。除去された糸くず等は、洗濯水に混じり、洗濯運転が終了し、第1の開閉弁72を開いて、汚れた洗濯水が外部に排出されるときに、一緒に流れ出る。
【0028】
洗濯運転の後に行なわれるすすぎ運転時にも水が使用されると共に、攪拌翼65が正転、逆転し、同時に除塵体81が、防塵フィルター80上で移動するので、万が一、洗濯運転時に、取りきれなかった糸くずも確実に除去することができる。
【0029】
以上のように、本実施例によれば、除塵体81で防塵フィルター80に付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体81を水流で駆動するので、モータ等の除塵体駆動用の駆動源が不要で、しかも除塵体81や防塵フィルター80に無理な力が加わることがないので、除塵体81や防塵フィルター80の耐久性が大幅に向上する。
【0030】
さらに、攪拌翼65の正転、逆転に伴う水流の正転、反転に伴い、除塵体81が防塵フィルター80上で往復移動するので、糸くず等の除去性能が飛躍的に向上する。
【0031】
尚、上記実施例では、内槽65の底部に設けた攪拌翼64を正転、逆転させて、洗濯物5を攪拌すると共に、それによって引き起こされる水流で除塵体81を駆動するようにしたが、内周壁に固定翼を設けた内槽を正転、逆転させて、洗濯物を攪拌するようにした洗濯乾燥機においても、外槽内の水流が正転、反転するので、上記実施例で述べた除塵体81を採用することができると共に、同様の効果が得られることは、言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体、防塵フィルターの耐久性が向上するので、各種洗濯乾燥機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施例における洗濯乾燥機の外観斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】同洗濯乾燥機の外槽の底部の部分斜視図
【図4】(a)同洗濯乾燥機の除塵体の動作を示す図(攪拌翼の正転時)、(b)同洗濯乾燥機の除塵体の動作を示す図(攪拌翼の逆転時)
【符号の説明】
【0034】
5 洗濯物
60 洗濯乾燥機
62 外槽
65 内槽
68 第1の駆動源
80 防塵フィルター
81 除塵体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を回転自在に収納する外槽と、前記内槽を回転駆動する第1の駆動源と、乾燥運転時に前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、前記防塵フィルターに摺接して、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、前記外槽内の水流で駆動するようにした洗濯乾燥機。
【請求項2】
水流の正転、反転によって除塵体が往復移動する請求項1に記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−212372(P2008−212372A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53540(P2007−53540)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】