説明

洗濯機の風呂水ポンプ固定構造

【課題】 給水ケースに並べて風呂水ポンプを配設する場合に、ネジ止めなどの作業を必要とせず効率よく固定でき、しかも、給水ケースに対して所定位置に確実に固定できて、給水ケースと風呂水ポンプとを接続するホースが抜けたり、潰れたりすることを防止でき、また、これを覆うパネルに対しても所定位置に配置されて、パネルに形成した孔との芯ズレを防止でき組立効率が向上する洗濯機の風呂水ポンプ固定構造を得る。
【解決手段】 風呂水ポンプ5を備える洗濯機において、該風呂水ポンプ5をポンプホルダー19で覆い、該ポンプホルダー19に洗濯機との嵌合部であるリブ22を設け、洗濯機側に該嵌合部と嵌合する被嵌合部となる突出部25を設け、前記嵌合部と被嵌合部とを嵌合して風呂水ポンプ5を洗濯機に固定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯機に風呂水ポンプを固定するための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は風呂の残り湯を洗濯水として有効利用する一槽式洗濯機の一部の一例を示し、これは、外箱1内に水槽を配設し、この水槽内に回転翼を設けた洗濯兼脱水槽2を回転自在に配設し、洗濯兼脱水槽2の上方を覆う蓋4の後方に配設したトップカバー3に風呂水ポンプ5と給水ケース6と給水弁13とを並べて設けてある。
【0003】風呂水ポンプ5は、図6、図7にも示すようにポンプモータ16に直結する回転翼をケーシング7内に設けたもので、風呂水の取入口8、排出口9および呼び水としての水道水の取入口10をケーシング7に設け、風呂水の取入口8に浴槽に開口する給水ホース11を連結し、排出口9に連結した排出ホース12を給水ケース6に開口した。
【0004】また、水道栓に直結する水道ホース14を接続した給水弁13に給水ホース18と呼び水用のホース17とを接続し、この給水ホース18を給水ケース6に開口し、また、呼び水用のホース17を、前記ケーシング7に設けた水道水の取入口10に接続するホース15に接続する。
【0005】ところで、風呂水ポンプ5は図7に示すように外形形状が方形と円形の組合せとなっており、固定しにくい形状である。風呂水ポンプ5を固定する手段として、従来は、例えば図8に示すようなバンド状の取付金具30とネジ31を用意し、図9に示すように風呂水ポンプ5の上方からこの取付金具30をあてがい、該取付金具30の両端に形成してあるネジ孔にネジ31を差し込んで洗濯機のトップカバー3に風呂水ポンプ5を固定している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】風呂水ポンプ5は洗濯機のトップカバー3に固定され、しかもその固定位置のズレや水平、垂直に対しての傾きが発生した場合に、それを規制する手段もないため、排出ホース12やホース15で接続される給水ケース6との相対的位置関係を固定的なものにすることはできない。このため、風呂水ポンプ5の固定位置によっては、給水ケース6に接続される排出ホース12やホース15に無理な力が加わり、排出ホース12やホース15が抜けたり、潰れたりするおそれがある。
【0007】また、風呂水ポンプ5と、これを覆うパネル32との相対的関係についても、これを規制する手段がないため、ケーシング7から上方に向け突出している風呂水の取入口8と、該取入口8が開口するパネル32に形成した孔との芯が一致せず、組立作業の効率が低下することがある。
【0008】さらに、リサイクルのための解体時に、風呂水ポンプ5を外すにはネジ31を外す作業を必要とし解体の作業効率がよくない。
【0009】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、給水ケースに並べて風呂水ポンプを配設する場合に、ネジ止めなどの作業を必要とせず効率よく固定でき、しかも、給水ケースに対して所定位置に確実に固定できて、給水ケースと風呂水ポンプとを接続するホースが抜けたり、潰れたりすることを防止でき、また、これを覆うパネルに対しても所定位置に配置されて、パネル32に形成した孔との芯ズレを防止でき組立効率が向上する洗濯機の風呂水ポンプ固定構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、第1に、風呂水ポンプを備える洗濯機において、該風呂水ポンプをポンプホルダーで覆い、該ポンプホルダーに洗濯機との嵌合部を設け、洗濯機側に該嵌合部と嵌合する被嵌合部を設け、前記嵌合部と被嵌合部とを嵌合して風呂水ポンプを洗濯機に固定することにより、風呂水ポンプは給水ケースに対して所定位置に固定される。よって、固定は、嵌合部と被嵌合部とを嵌合するだけでよいから、固定作業が容易である。また、給水ケースと風呂水ポンプとを接続するホースが抜けたり、潰れたりすることを防止でき、風呂水ポンプを覆うパネル32に対しても所定位置に配置されて、パネルに形成した孔との芯ズレを防止できる。
【0011】第2に、ポンプホルダー側の嵌合部は、該ポンプホルダーの本体部から突設した凸部であり、洗濯機側の被嵌合部は、風呂水ポンプに隣接して配設される給水ケースに設けた凹部であるから、風呂水ポンプを給水ケースに固定するには凹部と凸部を嵌合するだけでよくワンタッチ的に行える。
【0012】第3に、ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続するリード線のメールタブ固定用の突片を設けたことにより、メールタブを固定するための別途格別に部材を設ける必要がない。
【0013】第4に、ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続する端子の逆挿入防止用の突片を設けたことにより、端子の±を誤って逆に接続することを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造の実施の形態を示す分解斜視図、図2は同上平面図で、風呂水ポンプの構造は既に説明したとおりであるから、ここでの詳細な説明は省略する。
【0015】図中19は風呂水ポンプ5のケーシング7の部分を覆うポンプホルダーを示し、該ポンプホルダー19はケーシング7の下部を支持する本体部19aと、ケーシング7の上部に被さる蓋19bとで構成し、蓋19bは本体部19aに対してヒンジ部19cを介して一体に形成してあり、先端には本体部19aとの爪状の係止凸部21bが2つ並べて設けてある。
【0016】本体部19aは、底板20aと、三方を囲む側板20bとで形成し、一方の側部を開口20cに形成し、開口20cに隣接する側板20bの一方の上部を上方への突出部に形成し、この突出部に前記ヒンジ部19cを連成し、開口20cに隣接する側板20bの他方の上部を上方への突出部に形成し、この突出部に蓋19bとの穴状の係止凹部21aを2つ並べて設けた。
【0017】また、開口20cに対向する位置の側板20bの外側に給水ケース6との嵌合部として、H形のリブ22を突設し、該リブ22の両側部の外側に楔状の係止爪22aを突設する。
【0018】さらに、蓋19bが設けられる側の側板20bの、開口20cの側に、該側板20bの延長方向に向けてアームを突出し、該アームの先端にポンプモータ16に接続する端子の逆挿入防止用の突片として、コ字形のリブ23を一体に突設する。
【0019】また底板20aの、開口20cの側に、風呂水ポンプ5に接続するリード線のメールタブ固定用の突片として、L字形のリブ24を上向きに突設した。
【0020】一方、風呂水ポンプ5に隣接する給水ケース6には、風呂水ポンプ5の側の側壁の外側に、風呂水ポンプ5の嵌合部との被嵌合部として、前記リブ22が嵌入する縦長ボックス形状の突出部25を形成し、該突出部25の両側部に前記係止爪22aが係止する係止孔25aを設ける。
【0021】次に、このようなポンプホルダー19を使用して風呂水ポンプ5を洗濯機に固定する方法について説明する。蓋19bを開いた状態にして風呂水ポンプ5のケーシング7の側を本体部19aの中に置き、ポンプモータ16は開口20cから外方に突出させた状態とする。
【0022】そして、蓋19bをヒンジ部19cを介して回動しケーシング7の上部に被せ、先端の係止凸部21bを、本体部19aの側の係止凹部21aに差し込めば、蓋19bが本体部19aに固定され、ポンプホルダー19が風呂水ポンプ5に固定される。
【0023】このようにして図2に示すように風呂水ポンプ5に装着されたポンプホルダー19に設けてある嵌合部であるリブ22を、トップカバー内の給水ケース6に形成してある被嵌合部である突出部25内に挿入すれば、係止爪22aが係止孔25aに係止してリブ22と突出部25が結合し、よって、ポンプホルダー19が給水ケース5に固定され、結果として、風呂水ポンプ5が給水ケース6に固定され、さらには、給水ケース6はトップカバーと嵌合し一体化するから、風呂水ポンプ6がトップカバーに固定されることになる。
【0024】これにより、給水ケース6に対する風呂水ポンプ5の配設位置が所定位置に規制されるから、給水ケース6と風呂水ポンプ5との間に排出ホース12、ホース15を接続した状態で、これら排出ホース12、ホース15が抜けたり、潰れたりすることがない。
【0025】また、ポンプホルダー19にはメールタブ固定用のリブ24を一体に設けてあるから、図3に示すようにリード線26に接続するメールタブ27をこのリブ24によりポンプモータ16へ固定する。
【0026】さらに、図4に示すようにポンプモータ16の端にはプラスの端子28a、マイナスの端子28bが突出しているが、プラスの端子28aの側に端子の逆挿入防止用の突片として、該プラスの端子28aの側方および上下を囲むようにしてコ字形のリブ23を突設してあるから、先端がL字形のマイナスの接続端子29bを前記プラスの端子28aの側に接続しようとしても、このコ字形のリブ23が邪魔をして接続不可能となり、よって、逆挿入を阻止できる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造は、第1に、風呂水ポンプを備える洗濯機において、該風呂水ポンプをポンプホルダーで覆い、該ポンプホルダーに洗濯機との嵌合部を設け、洗濯機側に該嵌合部と嵌合する被嵌合部を設け、前記嵌合部と被嵌合部とを嵌合して風呂水ポンプを洗濯機に固定することにより、風呂水ポンプは給水ケースに対して所定位置に固定される。よって、固定は、嵌合部と被嵌合部とを嵌合するだけでよいから、固定作業が容易である。また、給水ケースと風呂水ポンプとを接続するホースが抜けたり、潰れたりすることを防止でき、風呂水ポンプを覆うパネルに対しても所定位置に配置されて、パネルに形成した孔との芯ズレを防止できる。
【0028】第2に、ポンプホルダー側の嵌合部は、該ポンプホルダーの本体部から突設した凸部であり、洗濯機側の被嵌合部は、風呂水ポンプに隣接して配設される給水ケースに設けた凹部であるから、風呂水ポンプを給水ケースに固定するには凹部と凸部を嵌合するだけでよくワンタッチ的に行える。
【0029】第3に、ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続するリード線のメールタブ固定用の突片を設けたことにより、メールタブを固定するための別途格別に部材を設ける必要がない。
【0030】第4に、ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続する端子の逆挿入防止用の突片を設けたことにより、端子の±を誤って逆に接続することを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造の実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造の実施の形態を示すメールタブ固定部の斜視図である。
【図4】本発明の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造の実施の形態を示す端子の逆挿入防止リブの部分の斜視図である。
【図5】風呂水ポンプを備えた洗濯機の要部の斜視図である。
【図6】風呂水ポンプと給水ケースとの結合部の説明図である。
【図7】風呂水ポンプと給水ケースと給水弁の分解斜視図である。
【図8】従来の風呂水ポンプの固定に使用する取付金具の斜視図である。
【図9】従来の風呂水ポンプ固定構造を示す平面図である。
【符号の説明】
1…外箱, 2…洗濯兼脱水槽, 3…トップカバー,4…蓋 5…風呂水ポンプ 6…給水ケース,7…ケーシング 8…取入口 9…排出口,10…水道水の取入口, 11…給水ホース, 12…排出ホース,13…給水弁, 14…水道ホース 15…ホース,16…ポンプモータ 17…呼び水用のホース,18…給水ホース19…ポンプホルダー 19a…本体部 19b…蓋,19c…ヒンジ部, 20a…底板 20b…側板,20c…開口 21a…係止凹部 21b…係止凸部,22…リブ 22a…係止爪 23…リブ,24…リブ 25…突出部 25a…係止穴26…リード線 27…メールタブ 28a…プラスの端子,28b…マイナスの端子,29a…プラスの接続端子,29b…マイナスの接続端子,30…取付金具 31…ネジ,32…パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 風呂水ポンプを備える洗濯機において、該風呂水ポンプをポンプホルダーで覆い、該ポンプホルダーに洗濯機との嵌合部を設け、洗濯機側に該嵌合部と嵌合する被嵌合部を設け、前記嵌合部と被嵌合部とを嵌合して風呂水ポンプを洗濯機に固定することを特徴する洗濯機の風呂水ポンプ固定構造。
【請求項2】 ポンプホルダー側の嵌合部は、該ポンプホルダーの本体部から突設した凸部であり、洗濯機側の被嵌合部は、風呂水ポンプに隣接して配設される給水ケースに設けた凹部であることを特徴とする請求項1記載の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造。
【請求項3】 ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続するリード線のメールタブ固定用の突片を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造。
【請求項4】 ポンプホルダーの本体部に、ポンプモータに接続する端子の逆挿入防止用の突片を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機の風呂水ポンプ固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−276477(P2001−276477A)
【公開日】平成13年10月9日(2001.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−94247(P2000−94247)
【出願日】平成12年3月30日(2000.3.30)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】