説明

洗濯機

【課題】外箱の前面開口部の背面に電源基板を配設する場合、電源基板を収納するケースが前面開口部の補強に役立ち、しかも、電源基板の設置スペースを別途格別に設ける必要もなく製造容易な洗濯機を得る。
【解決手段】左右の側面と背面とをそれぞれ左右の側板16と裏フタとで閉塞し、前面開口部21をフロントパネルで覆って外箱2を形成する洗濯機において、前記前面開口部21の下部に電源基板22を収納したケースを配設し、このケースの左右両側を左右の側板16に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の、特に電源基板の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば全自動1槽式の洗濯機は、外箱内に水槽を揺動自在に配設し、この水槽内に底部に回転翼を設けた洗濯兼脱水槽を回転自在に配設し、下方にモーターや減速機構等を配設して、給水、洗い、すすぎ、脱水、乾燥機能を備えた洗濯乾燥機では乾燥行程を含めて、全行程が自動的に進行するようにしている。
【0003】
かかる洗濯機において、モーターや給水弁,洗濯乾燥機ではヒーターやファンモーターなどの各種の電装部品に通電して運転を制御するための電源基板を配設するが、従来、使い勝手やメンテナンスの容易性を考慮して、電源基板の配設場所を決定したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
これは、洗濯槽を内装した外枠を支持するベース部材を設け、このベース部材に制御基板を収納したケースを載設したものである。
【特許文献1】特開平11−300088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外箱の側板や裏板は金属製の材料で形成され、前面に形成される開口部を金属製のフロントパネルで塞ぎ強度を確保しているが、デザイン性を考慮し見栄えを良くするなどを目的として合成樹脂製のフロントパネルで塞がれる構造とした場合には、前面側の強度が不十分となることが考えられる。
【0006】
このような洗濯機に配設される制御基板として、前記従来例のものは、洗濯兼脱水槽を内包した水受け槽を吊下げて内装した外箱を支持するベース部材に前面開口を形成し、ベース部材の内方に前面開口から挿脱自在に制御基板を収納したケースを設けたものであり、制御基板を収納したケースは外箱の前面開口部の補強を考慮して配設されたものではない。
【0007】
また、制御基板を設置するために、ベース部材にそのためのスペースを確保して、挿脱のための開口部も別途設ける必要があり、新たに加工する必要がある。
【0008】
本発明は前記従来例の不都合を解消するものとして、外箱の前面開口部の背面に電源基板を配設する場合、電源基板を収納するケースが前面開口部の補強に役立ち、しかも、電源基板の設置スペースを別途格別に設ける必要もなく製造容易な洗濯機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、洗濯槽を内装した外箱を1枚の金属板を略コの字状に折り曲げて形成し左右の側面と背面とをそれぞれ構成するか、左右の側板と裏板とを締結することで略コの字状に形成して閉塞し、前面開口部をフロントパネルで覆う洗濯機において、前記前面開口部の下部に電源基板を収納したケースを配設し、該ケースの左右両側を外箱の左右の側面の板に固定したことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、外箱内に配設される水槽は、下方がすぼまっているので、外箱内で前面開口部の下部にはスペースが存在する。よって、このスペースを利用して電源基板を収納した電源ユニットケースを配設すれば、電源ユニットケース配設のために別途格別にスペースを確保する必要がなく、そのための加工を洗濯機に施す必要もない。
【0011】
また、メンテナンスなどもフロントパネルを着脱するだけで容易に行える。
【0012】
さらに、電源ユニットケースの両側が外箱を構成する側板に固定されるから、この電源ユニットケースが前面開口部の補強材として機能を果す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の実施形態を示す要部の分解斜視図、図2は同上縦断側面図で、洗濯機の全体構成を説明すると、底枠1の上に外箱2を配設し、この外箱2内に、吊り板3と防振吊り棒4による防振機構を介して水槽5を揺動自在に配設し、この水槽5内に底部に回転翼6を有する洗濯兼脱水槽7を回転自在に配設したものである。
【0014】
図中8は洗濯兼脱水槽7の上縁に設けたオートバランサー、15は給水弁、10は外箱1の上面開口に着脱自在に取付けたフタを示し、このフタ10はトップカバー11に取付けられる。水槽5の下方にはモーター9などの駆動機構を配設してある。
【0015】
乾燥機能を備える洗濯機の場合は、図2に示すように洗濯兼脱水槽7と水槽5との間に、内部に除湿板13を配設した循環風路12を形成し、この循環風路12の上端部にヒータやファンを内臓した乾燥ユニット14を設けた。
【0016】
また、図2に示す洗濯機の場合は、洗濯兼脱水槽7内の洗濯物の取出しが容易に行えるよう、洗濯兼脱水槽7は前傾状態で外箱2内に配設してある。
【0017】
かかる構成の洗濯機において、図1に示すように外箱2を金属材料で製作した左右の側板16と、前面開口部を覆う樹脂製のフロントパネル18と、図2に示す裏板17とで構成し、左右の側板16は背面側の上部で細長板状の背板19で連結し、前面開口部21側の上部では細長板状の前板上20で連結する。
【0018】
本発明では、前面開口部21の下部に電源基板22を配設する。電源基板22は、例えばコンデンサ23、IPMと放熱板24、リレー25などを配設したもので、コネクター26を介してリード線27が接続される。
【0019】
この電源基板22配設するための構造は、前面を開口した樹脂製で横長の電源ユニットケース28内に電源基板22を収納し、前面開口を電源ユニットカバー29で塞いだものであり、この電源ユニットケース28および電源ユニットカバー29は必ずしも水密構造ではない。
【0020】
一方、外箱2の前面開口部21の下部に前面を開放した横長形状の延焼防止兼保護ケース30を固定する。この延焼防止兼保護ケース30は、前板下としての機能も有するもので、左右の側板16を連結し、前面開口部21の補強を図るものである。固定手段としては、左右両側にフランジを突設し、このフランジを外箱2の左右の側板16にネジで固定する。
【0021】
この延焼防止兼保護ケース30内に電源ユニットケース28を収納することで、電源基板22を前面開口部21に取付ける。そして、電源ユニットカバー29で前面を覆った電源ユニットケース28の前方に、フロントパネル18が配設される。
【0022】
かかる延焼防止兼保護ケース30の上方に位置させて、左右の側板16間に補強板31を取付ける。この補強板31は、側面略く字形の傾斜部を有するものであり、延焼防止兼保護ケース30の上方に庇状に突設される。
【0023】
このような電源ユニットケース28や補強板31はフロントパネル18の後方に配置されるが、配設箇所が前面開口部21の下部であり、水槽5や洗濯兼脱水槽7が前傾して配設される洗濯機では、前面開口部21の後方にはスペースが存在するから、電源ユニットケース28などの設置スペースは、このスペースを利用でき、別途スペースを確保する必要がない。
【0024】
また、電源ユニットケース28は延焼防止兼保護ケース30にさらに収納されるから、電源基板22から万一発火しても延焼を防止できる。
【0025】
そして、この延焼防止兼保護ケース30や電源ユニットケース28が左右の側板16を繋ぐものとして前面開口部21に配設されるから、前面開口部21の補強材としての機能を果す。
【0026】
そして、電源ユニットケース28は水密構造にしていないが、延焼防止兼保護ケース30に収納され、さらに、上方には補強板31が庇状に突出しているから、水槽5から飛散して落下した水は、この補強板31の上に落下し、傾斜面にそって流下して外箱2内の内方に向って流れ落ちる。よって、この水が延焼防止兼保護ケース30にかかることはない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の洗濯機の実施形態を示す要部の分解斜視図である。
【図2】本発明の洗濯機の実施形態を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 底枠 2 外箱
3 吊り板 4 防振吊り棒
5 水槽 6 回転翼
7 洗濯兼脱水槽 8 オートバランサー
9 モーター 10 フタ
11 トップカバー 12 循環風路
13 除湿板 14 乾燥ユニット
15 給水弁 16 側板
17 裏板 18 フロントパネル
19 背板 20 前板上
21 前面開口部 22 電源基板
23 コンデンサ 24 IPMと放熱板
25 リレー 26 コネクター
27 リード線 28 電源ユニットケース
29 電源ユニットカバー 30延焼防止兼保護ケース
31 補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽を内装した外箱を1枚の金属板を略コの字状に折り曲げて形成し左右の側面と背面とをそれぞれ構成するか、左右の側板と裏板とを締結することで略コの字状に形成して構成し、前面開口部をフロントパネルで覆う洗濯機において、前記前面開口部の下部に電源基板を収納したケースを配設し、このケースの左右両側を前記外箱の左右側面の板に固定したことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記電源基板を収納するケースの前面をカバーで塞ぐことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記電源基板を収納するケースは、左右側面の板に両側を固定した延焼防止保護ケースに収納されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記電源基板を収納するケースの上方に位置させて、庇状の補強板を左右の側板に取付けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記外箱内に配設する洗濯兼脱水槽は、前傾させて配設される請求項1記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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