説明

洗濯機

【課題】注水ケースひいては洗濯機全体を大型化することなく、第一経路を流れる水が第二経路に流入することを抑制する。
【解決手段】洗濯機は、外箱と、外箱内に設けられる槽と、外部の水源に接続されて、水源からの水の供給および停止を切替える給水弁と、給水弁から供給される水を受けて槽内へ注水する注水ケースと、を備える。注水ケースは、給水弁から供給される水をそのまま流す第一経路と、給水弁から供給される水に助剤を溶かして流す第二経路と、第一経路の出口および第二経路の出口から出る水を流して槽内へ注水する吐出口と、を有する。第一経路の出口は、吐出口とほぼ同じ方向を向く形態で、吐出口に臨むように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯、すすぎ、脱水の一連の工程を自動運転する際に、予め注水ケース内に配置した仕上げ剤などの助剤を、自動運転中の任意のタイミングで槽内へ自動投入することのできる洗濯機が開示されている。例えば特許文献1では、注水ケースの内部に、外部の水源からの水をそのまま槽内へ注水する第一経路と、外部の水源からの水に助剤を溶かして槽内へ注水する第二経路とを有し、給水弁によって第一経路および第二経路を切替えて注水する。
【0003】
この構成において、水源から供給される水は、洗濯工程では、第一経路を通りそのまま槽内へ注水される。また、最終のすすぎ工程では、第二経路を通り、予め第二経路内に配置された助剤、この場合注水ケースに出し入れ可能な投入ケース内に配置された助剤を溶かして槽内へ注水される。これにより、運転開始前に予め第二経路内に配置した助剤を、自動運転中の任意のタイミングで槽内へ投入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−104150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成では、第一経路内の水圧は比較的高くなるため、第一経路を流れる水が第一経路と第二経路との隙間などから第二経路内に流入することがある。そして、第二経路内に流入した水が投入ケースの入口から溢れ出て槽の上面を覆うカバーにかかったり、意図しないタイミングで第二経路内に配置した投入ケース内の助剤が槽内へ流れ出たりするおそれがあった。この場合、第二経路の容積を大きくすることで、第一経路を流れる水が第二経路に流入することを抑制することができるが、第二経路の容積を大きくすることは、注水ケースの大型化となり、ひいては洗濯機全体が大型化することになる。
【0006】
そこで、注水ケースの内部に、外部の水源からの水をそのまま槽内へ注水する第一経路、および外部の水源からの水に助剤を溶かして槽内へ注水する第二経路を有するものにおいて、注水ケースひいては洗濯機全体を大型化することなく、第一経路を流れる水が第二経路に流入することを抑制することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の洗濯機は、外箱と、前記外箱内に設けられる槽と、外部の水源に接続されて、前記水源からの水の供給および停止を切替える給水弁と、前記給水弁から供給される水を受けて前記槽内へ注水する注水ケースと、を備える。前記注水ケースは、前記給水弁から供給される水をそのまま流す第一経路と、前記給水弁から供給される水に助剤を溶かして流す第二経路と、前記第一経路の出口および前記第二経路の出口から出る水を流して前記槽内へ注水する吐出口と、を有する。前記第一経路の出口は、前記吐出口とほぼ同じ方向を向く形態で、前記吐出口に臨むように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態による洗濯機の外観を示す斜視図
【図2】洗濯機の外蓋および後カバーを除いた状態で示す平面図
【図3】給水装置周辺の構成を示す斜視図
【図4】給水装置を示す右前方からの斜視図
【図5】下部ケースおよび上部ケースを示す右前方からの斜視図
【図6】給水装置を示す左後方からの斜視図
【図7】注水ケースを示す左後方からの斜視図
【図8】給水装置の投入ケースを除いた状態で示す正面図
【図9】図8のA−A線に沿う横断平面図
【図10】図8のB−B線に沿う横断平面図
【図11】図8のC−C線に沿う縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、洗濯機10は、トップカバー11、外箱12、水槽13、および回転槽14を備えている。洗濯機10は、回転槽14の回転軸が地面に対して重力方向へ延びるいわゆる縦軸型であり、乾燥機能を備えた全自動洗濯機である。トップカバー11は、枠体111、外蓋112、後カバー113、および操作パネル114などから構成されている。以下、重力方向を基準に上下を定め、また操作パネル114側を洗濯機10の前方として説明する。
【0010】
トップカバー11は、全体として上面が前方へ向かって下降傾斜する形状に形成されている。具体的には、枠体111は、例えば合成樹脂製であり、全体として上下方向に連通する矩形の筒状に形成され、上側部分が前方へ向かって下降傾斜している。外蓋112は、合成樹脂製であり、矩形の板状に形成されて枠体111の上側を覆っている。この外蓋112は、後端部分を支点にして枠体111に対し回動可能であるとともに、中心部分で前後に分割されて、この中心部分を支点に折れ曲がる二つ折れ式である。これにより、外蓋112は、枠体111の上下方向の連通部分の上側、すなわち枠体111の開口を開閉する。
【0011】
また、後カバー113は、例えば合成樹脂製などで構成されている。この後カバー113は、左右方向に長い矩形の板状に形成された上面部と、この上面部と同様に板状に形成されて上面部の後端部に直角に設けられた背面部と、を一体にして構成されている。この後カバー113は、枠体111の上側であって外蓋112の後方に固定され、外蓋112とともに枠体111の上側を覆い、さらに枠体111の後側を覆っている。
【0012】
操作パネル114は、左右方向に長い矩形の板状に形成され、外蓋112に対して後カバー113とは反対側に設けられている。これら外蓋112、後カバー113、および操作パネル114は、トップカバー11の上面を構成している。操作パネル114は、詳細は図示しないが、操作部や表示部などを有し、洗濯機10の作動全般を司る図示しない制御装置に接続されている。使用者は操作パネル114の操作部を操作して、例えば洗い運転や乾燥運転などの運転モードを選択する。そして、その選択結果や運転状態などは表示部に表示される。
【0013】
外箱12は、鋼板などによって、上側が開口した矩形の箱体に形成されている。トップカバー11は、外箱12の上側に設けられ、外箱12の上側の開口を覆っている。この場合、トップカバー11および外箱12は、洗濯機10の外殻を構成している。外箱12の内部には、槽として水槽13および回転槽14が設けられている。水槽13は、中心軸が上下方向へ延びる円筒状に形成されて、外箱12の内部に収容されている。水槽13の上面には、図3に示す水槽カバー15が設けられている。
【0014】
水槽カバー15には、図3に示すように開口部151が形成されており、さらに図2に示すように、この開口部151を開閉する内蓋152が設けられている。また、水槽カバー15には、図3に示すように、開口部151の後方において、給気口16、排気口17、および注水口18が設けられている。この場合、給気口16の右側に排気口17が配置され、給気口16の左側に注水口18が配置されている。これら給気口16、排気口17、および注水口18は、水槽カバー15を貫いて水槽13の内部に連通している。そして、この水槽13は、詳細は図示しないが、外箱12の四隅から垂れ下がる防振装置に吊り下げられている。これにより、水槽13は外箱12に対して弾性的に支持されている。
【0015】
回転槽14は、上側が開口した円筒状に形成されて、水槽13の内部に収容されている。そして、回転槽14は、上下方向へ延びる回転軸を水槽13の中心軸と一致させて、この回転軸を中心に水槽13に対して回転可能に構成されている。この場合、詳細は図示しないが、回転槽14の底部付近には、撹拌羽根いわゆるパルセータが回転槽14に対して相対回転可能に設けられている。このパルセータは、回転されることにより回転槽14内の洗濯水に水流を起こし、これにより回転槽14内に収容された洗濯物が撹拌される。
【0016】
水槽13の下面外側には、パルセータおよび回転槽14を回転駆動する駆動装置が設けられている。駆動装置は、モータやクラッチなどで構成されている。この駆動装置は、洗濯、すすぎ運転時には、回転槽14に対して図示しないパルセータを相対的に回転させて、回転槽14内部の洗濯水に水流を起こす。また、脱水運転時には、回転槽14および図示しないパルセータを一体的に一方向へ高速回転させて、これにより洗濯物を遠心脱水する。この場合、モータは、例えばその回転力を回転槽14およびパルセータに対して直接伝達する、いわゆるダイレクトドライブモータでもよいし、また、例えばブラシレスモータと減速機とを組み合わせたものでもよい。
【0017】
この構成において、洗濯物は、外蓋112および内蓋152を開放した状態で、枠体111の内側、水槽カバー15の開口部151、および回転槽14の開口を通して出し入れされる。また、回転槽14は、詳細は図示しないが、円筒状の筒状部分の全域に複数の孔が形成されている。この複数の孔は、洗濯運転時および脱水運転時には水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。
【0018】
また、洗濯機10は、温風供給装置19および給水装置20を備えている。これら温風供給装置19および給水装置20は、トップカバー11の後部である後カバー113の内側において、左右に並べて配置されている。この場合、温風供給装置19は、図2に示すように、後カバー113の右側部分に位置してトップカバー11の内部に設けられている。温風供給装置19は、詳細は図示しないが、給気口16および排気口17に接続されて、これにより、温風供給装置19と、水槽13および回転槽14とを循環する風路が形成されている。この温風供給装置19は、内部に図示しない送風機やヒータなどを有しており、これにより、水槽13および回転槽14内へ洗濯物の乾燥用の温風を供給する。
【0019】
給水装置20は、図2および図3に示すように、水槽13および回転槽14の上方後部の左側部分、すなわち後カバー113の左側部分に位置してトップカバー11の内部に設けられている。この給水装置20は、注水ケース21に、給水弁22およびポンプ装置23などが取付けられて構成されている。具体的には、注水ケース21は、図4に示すケース本体24と、図3に示す投入ケース25とから構成されている。ケース本体24は、図4〜図7に示すように、下から順に、下部ケース26、上部ケース27、および覆い部材28を有して構成されている。この場合、ケース本体24および投入ケース25は、合成樹脂などで構成されている。
【0020】
ケース本体24の内部には、図5に示すように、主に上下二層の空間が形成され、この空間内に、水を流す複数の経路、すなわち、第一経路29と、第二経路30と、第三経路31と、接続経路32とが形成されている。この場合、第一経路29、第三経路31、および接続経路32は、図9にも示すように、上層の空間すなわち上部ケース27の内側に形成されている。これに対し、第二経路30は、図10にも示すように、下層の空間すなわち下部ケース26の内側に形成されている。また、ケース本体24には、図4に示すように、下部ケース26と上部ケース27とに跨って、矩形の投入口241が形成されている。そして、投入ケース25は、詳細は図示しないが、箱状に形成され、その内部に仕上げ剤などの助剤が投入されて、投入口241を通して注水ケース21内へ、前方からスライド可能に差し込まれる。これにより、仕上げ剤などの助剤は、ケース本体24の内部すなわち第二経路30内に投入される。
【0021】
この場合、下部ケース26は、図5および図10に示すように、全体として上方が開口した箱状に形成されている。具体的には、下部ケース26は、前後方向に長い矩形に形成された第一矩形部261および第一矩形部261の後部から直角に曲がって右方へ延び出た第二矩形部262が組み合わされた、いわゆるL字の箱状に形成されている。そして、下部ケース26の上側を上部ケース27で覆うことによって、下部ケース26と上部ケース27との間、すなわち下部ケース26の内側に空間が形成されている。この下部ケース26の内側の空間は、第二経路30を構成している。
【0022】
また、図5に示すように、下部ケース26には、第一矩形部261の前部が矩形に切欠かれて、投入口241の下側部分が形成されている。さらに、第二矩形部262の前部には、吐出口33が一体に設けられている。吐出口33は、円筒形に形成され、下部ケース26の前部の壁を貫いている。この吐出口33によって、下部ケース26の内部この場合第二経路30と外部とが連通している。また、吐出口33は、前方へ向かって開口し、投入ケース25の出し入れ方向に対して平行に設けられている。
【0023】
この吐出口33は、図11に示すように、注水ホース34を介して、前記注水口18に接続されている。これにより、注水ケース21の内部と水槽13の内部とは、注水ホース34を介して接続されている。この場合、注水ホース34は、例えば可撓性を有する蛇腹形状のホースによって、いわゆるエルボ形状に構成されている。つまり、注水ホース34は、吐出口33から水平方向の前方へ延びた後、下方へ折れ曲がって注水口18に接続されている。これにより、水槽13は、注水ケース21に対して水平および垂直方向への移動が許容されている。この場合、注水ホース34は、脱水時などにおける水槽13の激しい振動にも追従することができる。
【0024】
上部ケース27は、図4などに示すように、下部ケース26の上側を覆っている。この上部ケース27には、図5に示すように、投入口241の上側部分が設けられており、下部ケース26と組み合わせることで、投入口241が構成される。また、上部ケース27には、図7に示すように、その一部つまり左後部が窪んだ形状の窪み部273が形成されている。図6に示すように、この窪み部273には、給水弁22が取付けられる。給水弁22は、二個の電磁弁を一体に構成したいわゆる二連式の電磁弁であり、図9に示すように二個の出水口すなわち第一出水口221および第二出水口222と、図6などに示すように一個の入水口223と、を有している。この給水弁22は、図7に示す上部ケース27に一体に形成された二箇所の取付部275、276に、ねじをねじ込んで取付けられている。
【0025】
この場合、図7に示すように、上部ケース27には、第一接続部35および第二接続部36が一体に設けられている。これら第一接続部35および第二接続部36は、円筒形に形成されて、上部ケース27の側壁を、窪み部273側から左右方向へ貫いている。このため、第一接続部35および第二接続部36は、注水ケース21の外部と内部とを連通している。そして、給水弁22は、図9に示すように、第一出水口221および第二出水口222が、それぞれ上部ケース27の第一接続部35および第二接続部36に差し込まれている。これにより、給水弁22と注水ケース21とが接続されている。
【0026】
一方、入水口223は、図1に示すように、トップカバー11の後カバー113から上方へ露出されている。そして、この入水口223は、詳細は図示しないが、給水ホースを介して外部の水源である水道の蛇口に接続される。これにより、給水弁22は、外部の水源と注水ケース21の内部との間の経路を開閉可能に接続し、注水ケース21に対して外部の水源からの水の供給および停止を切替える。また、図7に示すように、上部ケース27には、第三接続部37が一体に設けられている。この第三接続部37は、円筒形に形成されて、上部ケース27の左壁を貫いて設けられている。これにより、第三接続部37は、上部ケース27の内部と外部とを連通している。
【0027】
上部ケース27は、図5および図9に示すように、その内部に、第一隔壁271および第二隔壁272を有している。第一隔壁271は、第一接続部35と第二接続部36との間にあって左右方向に延びて設けられている。これにより、第一隔壁271は、上部ケース27の内部を前後方向に区分している。この場合、上部ケース27の内部において、第一隔壁271の後方の空間は第一経路29を構成している。そして、図9に示すように、第一経路29の上流側すなわち入口側は、第一接続部35を介して、給水弁22の第一出水口221に接続されている。
【0028】
また、第二隔壁272は、第一隔壁271の左右方向の中央部分から延び出て、上部ケース27の右側および前側の壁に沿って、左側の壁まで延びるようにして設けられている。これにより、第二隔壁272は、第一隔壁271の前方の空間をさらに前後に区分けしている。この場合、第二隔壁272に対して後方の空間は、接続経路32を構成している。そして、図9に示すように、接続経路32の上流側すなわち入口側は、第二接続部36を介して、給水弁22の第二出水口222に接続されている。また、接続経路32の下流側すなわち出口側には、接続経路32と前記第二経路30とを連通する落下穴274が形成されている。接続経路32を流れる水は、落下穴274から、下部ケース26内すなわち第二経路30内に配置された投入ケース25へ落下する。
【0029】
また、第二隔壁272に対して前方の空間は、第三経路31を構成している。この場合、第一経路29の出口291および第三経路31の出口311は、図5に示すように上部ケース27の右後部に設けられている。そして、これら出口291、311は、図11にも示すように、吐出口33とほぼ同じ方向を向く形態で、吐出口33に後方から臨むように形成されている。
具体的には、図5に示すように、出口291、311は、上部ケース27の下面から下方へ突出し、前方へ向かって開口している。そして、下部ケース26および上部ケース27を組み合わせると、図11に示すように、出口291、311は、第二経路30内にあって吐出口33の後方に配置される。この場合、図11に示すように、出口291、311は、吐出口33とともにほぼ水平方向の前方を向いて、吐出口33から外方すなわち注水ホース34側を臨んでいる。つまり、図8に示すように、洗濯機10の前方から水平方向に吐出口33を見た場合に、出口291および出口311は、そのほとんどが吐出口33の円筒の内側に配置されている。
【0030】
この上部ケース27の上側は、図7などに示すように、覆い部材28によって水密に覆われている。そして、覆い部材28には、第一経路29の入口側の上方に位置して、呼び水ホース接続部38が設けられている。呼び水ホース接続部38は、覆い部材28に一体に形成されている。この呼び水ホース接続部38は、覆い部材28の上側面から上方へ突出し、さらにそこから円筒形の部材が前方へ突出して構成されている。この場合、呼び水ホース接続部38は、注水ケース21の内部つまり第一経路29内と、外部とを連通している。
【0031】
ポンプ装置23は、図6に示すように、載置台39の上側に載置されている。載置台39は、図7にも示すように、底壁391、囲い壁392、弾性変形部393、および二個の爪部394などを有して構成され、下部ケース26の左側に一体に設けられている。底壁391は、前後方向に長い矩形の板状に形成され、ケース本体24の左側すなわち下部ケース26の左側に設けられている。
【0032】
囲い壁392は、底壁391に対して直角に配置され、底壁391の前側の縁部および左側の縁部の一部に沿って設けられている。弾性変形部393は、底壁391の後側において左右方向の中央部付近に設けられている。この弾性変形部393は、上下方向に長い矩形の板状に形成されて、底壁391に対して直角に設けられている。この場合、弾性変形部393は、下端部が底壁391に繋がって、囲い壁392の前側部分に対して平行に設けられている。この弾性変形部393は、底壁391との接続部分を支点にして、前後方向へ弾性変形する。
【0033】
そして、二個の爪部394は、囲い壁392および弾性変形部393において、対向する位置に設けられている。この場合、ポンプ装置23は、図6に示すように、矩形の板状に形成された基台231に、ポンプ本体232およびタンク233などを取付けて構成されている。このポンプ装置23は、基台231の上側面の前後部分が載置台39の二個の爪部394に係止されている。これにより、ポンプ装置23は、載置台39に取外し可能に固定されている。
【0034】
ポンプ装置23のタンク233は、図4および図6に示すように、呼び水取水口234、風呂水取水口235、および風呂水給水口236を有している。この場合、呼び水取水口234は、呼び水ホース40を介して呼び水ホース接続部38に接続されている。また、風呂水給水口236は、接続ホース41を介して、図7および図9に示す第三接続部37に接続されている。一方、風呂水取水口235は、図1に示すように、トップカバー11の後カバー113から上方へ露出されている。そして、この風呂水取水口235は、詳細は図示しないが、例えば風呂水を利用する際など必要に応じて風呂水ホースが接続される。これにより、風呂水取水口235は、図示しない風呂水ホースを介して浴槽内と接続される。
【0035】
この注水ケース21は、例えば、ねじなどによってトップカバー11の枠体111に取付けられている。つまり、図2および図9に示すように、注水ケース21は、取付部42、43、44を有している。この場合、図5および図10などに示すように、取付部42は、下部ケース26の右側部分に設けられ、取付部43は、載置台39の左後側の角部に設けられている。また、図5および図9などに示すように、取付部44は、上部ケース27の後側のほぼ中央部分に設けられている。そして、給水装置20は、これら取付部42、43、44に、ねじをねじ込んで、枠体111に取付けられている。
【0036】
このように構成された注水ケース21は、給水弁22およびポンプ装置23から供給される水を受けて、その水を水槽13内へ注水する。次に、注水ケース21内に形成された各経路29、30、31、32について、水の流れに従って説明する。
第一経路29は、給水弁22を介して外部の水源この場合水道から供給される水を、そのまま水槽13内へ注水するための主注水経路として機能する。この第一経路29は、図9〜図11に矢印D1で示されている。第一出水口221から第一経路29内に供給された水は、その大部分が、図11の矢印D1に示すように、第一隔壁271付近で落下し、その後、第一経路29の出口291から前方へ向かって吐出される。そして、出口291から吐出された水は、吐出口33を通り、注水ホース34を流れて水槽13内へ注水される。
【0037】
また、第一経路29の入口付近の上方には呼び水ホース接続部38が設けられている。そのため、第一出水口221から第一経路29内に供給された水は、その一部が、図8および図11の矢印Eに示すように、呼び水ホース接続部38から呼び水ホース40へ流れる。そして、呼び水ホース40へ流入した水は、呼び水取水口234およびタンク233を介してポンプ本体232内へ供給される。この場合、呼び水取水口234からポンプ本体232へ供給される水は、ポンプ本体232が風呂水を汲み上げる際の呼び水として機能する。
【0038】
接続経路32は、給水弁22と第二経路30とを接続し、給水弁22を介して外部の水源この場合水道から供給される水を、第二経路30に対して供給するための接続経路として機能する。この接続経路32は、図9に矢印D2で示されている。第二出水口222から第二経路30内に供給された水は、図9の矢印D2に示すように、第二隔壁272に対して給水弁22側の空間を通り、そして、落下穴274から、この落下穴274の下方に位置する投入ケース25内すなわち第二経路30内へ落下する。
【0039】
第二経路30は、接続経路32から供給される外部の水源の水に、仕上げ剤などの助剤を溶かし、その水を水槽13内へ注水するための助剤供給経路として機能する。この第二経路30は、図10および図11に矢印D3で示されている。この場合、落下穴274から投入ケース25内すなわち第二経路30内に供給された水は、詳細は図示しないが、投入ケース25内に予め投入されていた仕上げ剤などの補助剤を溶かした後、図10および図11の矢印D3に示すように、第二経路30の出口301から吐出される。そして、出口301から吐出された水は、吐出口33を通り、注水ホース34を流れて水槽13内へ注水される。
【0040】
第三経路31は、ポンプ装置23によって汲み上げられた風呂水などを水槽13内へ注水するための風呂水注経路として機能する。この第三経路31は、図8、図9、および図11に矢印D4で示されている。ポンプ装置23によって汲み上げられて、風呂水給水口236から第三経路31内に供給された風呂水は、図9の矢印D4に示すように、第二隔壁272に対して給水弁22とは反対側の空間を通る。そして、図11の矢印D4に示すように、第一隔壁271付近で落下し、その後、第三経路31の出口311から吐出される。そして、出口311から吐出された風呂水は、吐出口33を通り、注水ホース34を流れて水槽13内へ注水される。
【0041】
この構成によれば、第一経路29の出口291は、吐出口33とほぼ同じ方向を向く形態で、この吐出口33に臨むように形成されている。これによれば、第一経路29を流れて出口291から吐出された水は、直ぐに吐出口33から注水ホース34側へ吐出され、注水ホース34を通って水槽13内に注水される。このため、外部の水源から供給される水が高圧のまま出口291から吐出されても、その水は、出口301から第二経路30内に流入し難い。従って、第二経路30の容積を大きくすることなく、第一経路29を流れる水が第二経路30に流入することを低減することができる。これにより、投入口241から水が溢れ出て、その水が水槽カバー15にかかったり、意図しないタイミングで第二経路30内に配置した助剤が水槽13内へ流れ出たりすることが抑制される。
【0042】
このように、洗濯機10は、注水ケース21の内部に、外部の水源からの水をそのまま水槽13内へ注水する第一経路29、および外部の水源からの水に助剤を溶かして水槽13内へ注水する第二経路30を有するものであっても、注水ケース21ひいては洗濯機10全体を大型化することなく、第一経路29を流れる水が第二経路30に流入することを抑制することができる。
【0043】
また、注水ケース21は、水槽13および回転槽14の上方後部に設けられている。そして、第一経路29の出口291および吐出口33は、ともに前方を向いている。これによれば、注水ホース34を、いわゆるエルボ形状に構成して吐出口33と注水口18とを接続することができる。そのため、注水ホース34は、注水ケース21と水槽13との高さ方向の距離を長くすることなく、水槽13の振動に追従するための蛇腹形状の長さを十分に確保することができる。従って、洗濯機10は、高さ方向の大きさが抑制され、全体としての小型化が図られる。
【0044】
そして、注水ケース21は、第二経路30を有する下部ケース26と、第一経路29および第一経路29の出口291を有する上部ケース27と、を組み合わせて構成されている。これによれば、第一経路29および第二経路30は、複数の部材に跨って構成されていないため、第一経路29および第二経路30を簡易な構成とすることができ、その結果、下部ケース26と上部ケース27との組み合わせに係る作業が容易となる。
【0045】
なお、給水装置20において、ポンプ装置23は、左右逆に配置してもよい。つまり、載置台39およびポンプ装置23は、注水ケース21の右側に設けてもよい。
また、温風供給装置19および給水装置20は、左右逆に配置してもよい。つまり、トップカバー11の後カバー113の内部において、温風供給装置19を左側に配置し、給水装置20を右側に配置してもよい。
また、吐出口33と注水口18とを注水ホース34で接続せずに、吐出口33から吐出される水を、直接水槽13内へ注水する構成としてもよい。
さらに、吐出口33、第一経路29の出口291、および第三経路31の出口311は、厳密に水平方向を向いている必要はなく、例えば前方へ向かって下降傾斜する構成でもよい。また、吐出口33、第一経路29の出口291、および第三経路31の出口311は、下方へ向かって開口する構成でもよい。
そして、吐出口33は、投入口241と同様に、下部ケース26と上部ケース27とに跨って形成され、下部ケース26と上部ケース27とを組み合わせることによって、円筒形の吐出口33が形成される構成でもよい。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、第一経路の出口を、吐出口とほぼ同じ方向を向く形態で、この吐出口に臨むように形成することで、注水ケースひいては洗濯機全体を大型化することなく、第一経路を流れる水が第二経路に流入することを抑制することができる。
【0047】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、10は洗濯機、12は外箱、13は水槽(槽)、14は回転槽(槽)、21は注水ケース、22は給水弁、26は下部ケース、27は上部ケース、29は第一経路、291は第一経路の出口、30は第二経路、301は第二経路の出口、33は吐出口を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられる槽と、
外部の水源に接続されて、前記水源からの水の供給および停止を切替える給水弁と、
前記給水弁から供給される水を受けて前記槽内へ注水する注水ケースと、を備え、
前記注水ケースは、前記給水弁から供給される水をそのまま流す第一経路と、前記給水弁から供給される水に助剤を溶かして流す第二経路と、前記第一経路の出口および前記第二経路の出口から出る水を流して前記槽内へ注水する吐出口と、を有し、
前記第一経路の出口は、前記吐出口とほぼ同じ方向を向く形態で、前記吐出口に臨むように形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記注水ケースは、前記槽の上方後部に設けられ、前記吐出口が前方へ向いていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記注水ケースは、前記第二経路を有する下部ケースと、前記第一経路および前記第一経路の出口を有する上部ケースと、を組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85566(P2013−85566A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225837(P2011−225837)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】