説明

洗濯物干し具

【課題】 従来は洗い上がった洗濯物をハンガーなどで 干してからアイロンがけでシワを伸ばしていた。しかしアイロンがけは大変面倒である。アイロン不要の物干し 具として洗濯衣類の乾燥具(特開2002-33659 9)が出願されている衣類の中に干し具をセットした後 内部に空気を注入して膨らませる必要があり面倒である 。ここでは簡単に使えて干すだけでピンと伸びるアイロ ン不要の洗濯物干し具を提供する。
【解決手段】 最初からシワが出来ない様に洗濯物を干す事ができたらアイロンがけが不要となる。その為には 衣類をピンと引っ張った状態で干せばよい。本発明では 内側から外側に向かって衣類を押し広げる力でシワを防ぐ干し具を提供する。具体的には弾力のある樹脂板等を 用いた平面的なボディ(人体型)や衣類の外周に近似の 棒状外枠ボディを持つ事を要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯衣類の干し具に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯した衣類は、普通物干し用の竿やハンガーなどに掛けて干し、乾燥後シワが気になる物についてはアイロンがけを行う。しかしアイロンがけは大変に手間がかかる家事である。アイロン不要の物干し具として洗濯衣類の乾燥具(特開2002ー336599)が出願されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最初からシワが出来ない様に洗濯物を干すことができればアイロンがけの枚数が減る。その為には干している間、衣類の生地を少し引っ張った状態に保てばよい。
【0004】
前々項の出願例では衣類の中に干し具をセットした後内部に空気を注入して膨らませる必要がある。その方法ではアイロンは不要であるが洗濯物ごとにそういった作業を行う事は面倒である。
【0005】
そこで、本発明では、干している間に自然に衣類のシワを防ぐ事ができ、しかも干すための作業が簡単なアイロンがけ不要の洗濯物干し具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、本発明では樹脂や金属などの弾力のある薄い板状の材料や線材などを用い、衣類やその外周の形状に近似のボディを形成する。このボディの上部に吊り下げ用のフックやひも状の吊り具を備える。尚、本発明におけるボディは概ね人体よりは平らな物ではあるが洋服の縫製の際に使用する立体ボディに因みボディと呼ぶこととする。また印刷という表現にはインクを用いた物に加え、エッチングなどの凹凸や樹脂そのものの色づけによる見た目の変化も含める。本発明において棒状の素材とは丸棒、角棒、板バネ、パイプ状のものなど細長い形状のあらゆる素材を含み、またその弾性の有無その他あらゆる性質についてはこれを問わない事とする。本出願書類における衣類あるいはその外周の形状に近似といった表現は図に示したすべての干し具が相当するもので、非常に大まかな衣類の外形を指すのであって衣類ごとの細かい形を指すのではない。本発明の実施例の中にはボディ部分をいくつかのパーツに分割したものが多いが、これらすべては必要に応じて適切な連結方法を持って連結されるものとする。
【0007】
本発明においては、胴体部ボディと腕部ボディを1枚の素材でつないで作ることも出来る(実施例1)。しかし長袖に対応させるためには別体として形成し腕部のボディを胴体部に重ねて収納できる様にすると便利である(図3)。
【0008】
この場合胴体部と腕部のそれぞれのボディの互いの位置関係を調節できるようにアジャスター機能付きのコネクターを用いる必要がある。これは長い穴とボタン状の突起を組み合わせてスライドさせたり、高さ調節可能なカーテンフックやカッターナイフなどに見られるようなスライドさせた位置に固定できる構造を採用すると良いが、同様の機能を持つ既存のあらゆる仕組みを利用する。この仕組みは実施例3などで中心部と体側部のボディをつなぐのにも用いられる。
【0009】
また半袖や袖無しの衣類を干す際には腕部のボディは小さくても十分である。実際に使用した例では半袖の袖部分に関してはボディの長さが不十分でも気になるほどのシワが発生しなかった。また多少のシワが発生していても着用時には肩でのばし気味になる為にシワの存在がわかりにくい事も多かった。
【0010】
ボディ全体又は一部に何カ所か穴を設ける事により乾燥を早め、更に材料の弾性を調節する役割を持たせる。通気性のある素材があればそれを用いるのもよい。乾きにくい脇下位置にのみ孔を開けても良い。実施例1などでは通気性が良くないという欠点もあるが、衣類の片方の面に樹脂板が張り付いた状態で干すことになるのでとても綺麗に干し上がる。また実際に乾燥が完了するまでに余分に時間がかかる事はあまりないので、むしろ広がった状態で干すことによって乾きやすい状況が作られるために差し引き同じ程度の時間で乾燥が完了するものと思われる。ボディに用いる合成樹脂板等の厚みは概ね0.3mm〜3mm程度が使いやすい。ボディの実際の厚みは、干すものの重さや大きさ、弱さにより加減することが望ましい。例えば子供のTシャツを干すためであればボディは薄いもので良いが、セーターなどを干すには重さに耐えることや更にその質量のものに張力を与える必要からボディの厚みが十分でなくてはならない。重たい物用には上部に一般のハンガーに近いハンガーを組み合わせると良い(実施例7,8,9)。肩の部分の部品を左右に向かってスライドさせる事が出来るものにすると、重量にも耐えまた型くずれを起こしにくいので扱いやすい。この場合ハンガーを衣類に装着してから肩部分を両外側に向かってスライドさせる。
【0011】
本干し具は長く使用していると素材の復元力が落ちてくる事も考えられるので素材として形状記憶樹脂などを選ぶ事も大切である。また板が薄い場合にボディの周囲の切断面が鋭くなって衣類の生地を傷める可能性があるので周囲をコード状の物でカバーするのも良い方法である。他に肩先、袖下、胴両サイドの下端、両脇など板のエッジが鋭い位置には衣類に干し跡が付く事を避けるため厚みのある曲線的なカバーを設けるとよい(実施例10)。
【発明の効果】
【0012】
・洗濯物のシワが圧倒的に少なくなる。
・衣類装着の作業が簡単である。
・ほぼ平面状なので収納場所を取らない。
・シンプルなので製造コストが安い。
・ピンと張った状態で干すので速く乾く。
・アイロンをかけなくて良いので省エネである。
・お年寄りや乳幼児のアイロン事故回避に繋がる。
・プリントの種類などによりアイロンがけできない衣類もシワなしで着られる。
・カラフルな樹脂板などで簡単に製造できるので意匠性が高い。
・干したまま洋服ダンスにしまっても薄いのでかさばらない。
・収納にも使用すると時間がたっても型くずれしない。
・実施例4はラインが模様となってかわいらしい。
・下記の通りアイロンがけが難しい厚手の衣類に使っても十分役に立つ。
・そのためクリーニング代を大幅に節約できる。
実験で裏付きの厚めの上着に本発明の干し具を使用して乾燥させた。よそ行きの洋服をあまり強く引っ張りたくないので衣類より僅かに大きいだけの干し具を使用したが、全体にシワが非常に少なく仕上がった。ポケットなど気になるところだけ軽くアイロンの部分がけをすれば十分といった仕上がりであった。スラックスやスカートについても同様にスカートの形のボディを作って実験した(図5)が、シワがほとんど無くきれいに干すことが出来た。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施例を順に図に従って説明する。
【0014】
実施例1の洗濯物干し具1は、弾力のある板状の素材でボディ3を形成し、ボディ3の上部に吊り下げ用のフック4を備えている。(図1)
ボディ3は、衣類の形状に近似で少し大きめのサイズの胴部5と、この胴部5の両側に連なる腕部6、胴部5の上部中央に連なる首部7からなり、この首部7の上端にフック4を設ける。
【0015】
吊り下げ用のフック4は、ボディ3との一体成型が綺麗である。この場合厚みや材質の工夫により吊り下げ重みに耐えうる強度にする。別個に成形したフック4をボディ首部7に溶着すると既製のハンガー部品を流用できてコストを抑える事もできる。また、実施例1とは異なる構造であるが、ボディを板状のものではなく外周のみを持つ構造とし、形状記憶素材や樹脂バネ、ワイヤー、平バネなど弾力のある素材で形作る事も出来る。(実施例11,12)
【0016】
次に実施例1の干し具の使用方法を説明する。洗濯をした衣類の下側の開口部から本発明の干し具を挿入する。その際、左右両側のボディ部分を丸めるようにすると簡単である。
【0017】
吊り下げ用フック4を持って首部7を衣類の首部から出し、フック4を物干し竿等に係止する。丸めたボディを伸ばしながら衣類に沿わせて形を整えて乾燥を待つ。図2に衣類を装着した状態を示す。シワの延びた状態で干す事になるので、乾燥後ボディ3を取り外せば、アイロン無しでそのまま着ることが出来る。実施例1は衣類以上の大きさがそのまま必要なので輸送時にじゃまになるという欠点があるがボディを上下2〜3個に分割して折りたためる様にしてもよい。衣類装着時に加わる力は横方向なので横線の折り目があっても皺伸ばし機能に支障はない。
【0018】
次に実施例2について説明する。この実施例は長袖の衣類に使用する。図3(a)に示す様な別体に作った腕部8をアジャスター機能付きのコネクター2で胴部5に連結する。図3(b)は胴部5とコネクターの突起部10の背面図を示す。突起部10は乾燥後に多少とも跡が残る心配を避けるためボディの背面側に配す。
【0019】
次に実施例2の使用法を述べる。まず実施例1と同様に衣類に干し具を挿入する。腕部8は胴部5の幅内に収まっているので実施例1の様に丸めなくても挿入できる。その後衣類の袖口から手を入れて腕部8の手首側11を持ちコネクターをスライドさせながら袖にそって引っ張る。袖の太さや長さにより丁度良いと思われる位置まで引っ張り固定する。
【0020】
この時素材によっては腕部8の重みで衣類の袖部分が下垂して形崩れを起こす可能性があるのでそれを避けるために胴体部の脇の下位置に腕部8の手首側が下がらない為のストッパー14を設けるとよい。また腕部分の板厚を変えたり芯を入れるなどして強度を増す方法も考えられる。
【0021】
続いて実施例3について説明する。この例はボディを中心部ボディ15及び左右の体側部ボディ16の合計三つに分割し(図4ーa)アジャスター機能付きコネクター2で連結させたものである。
【0022】
使用法はまず左右の体側部ボディ16を中心部ボディ15に重ねる向きにスライドさせる(図4ーb)。この状態で衣類に挿入する。その後左右の体側部ボディ16を両外側に向けて引っ張り衣類にあった位置でスライドを止め固定し(図4c)衣類の乾燥を行う。乾燥後は再び体側部ボディ16を中心部ボディ15に重ねる様にスライドさせてから衣類をはずす。尚、図4−bの状態で保管すると場所を取らない。
【0023】
実施例3は衣類に挿入する作業が簡単になる点、及び衣類に合わせてボディの幅を調節できる点が特徴である。大きめに、そしてコネクター溝9を長く設計しておけばあらゆるサイズの衣類に使用できる。
【0024】
実施例2、3に必要なアジャスター機能付きコネクター2については既存の技術でその機能を果たすものは多数存在する。ここでは一例としてコネクター溝9とコネクター突起10を持つものを採用する。この突起部10がコネクター溝9内を移動できる様に設計する。また、アジャスター機能のあるカーテンフックやカッターナイフなどのスライド機構などに使いうるあらゆる技術を用いて任意の位置に固定できる様にする。
またバネやゴムを用いて引っ張り機構25を作り、2つのボディパーツが互いに外向きに広がろうとする力を与えると様々な衣類の大きさに対応可能なものができる。図(4−d)は対側部ボディ16と中心部ボディ15の間にバネを用いた引っ張り機構25を設けた状態を示す。引っ張り機構25は対側部ボディ16と中心部ボディ15にそれぞれ固定部位38において固定されている。バネあるいはゴムなどの引っ張り素材がこの両固定部位間を引っ張るので、結果として対側部ボディ16と中心部ボディ15は両外側に広がる事となる。図4−e、図4−fには引っ張り機構25の部分を拡大して示した。図4−d、図4−eは衣類に装着する際に両側から力を加わっている状態で、対側部16と中心部ボディ15の重なりが大きい。一方、図4−fは重なりが小さくほとんど外力の加わらない自然の状態を示している。衣類をちょうど良くのばしながら乾燥させる際には、図4−eと図4−fの間の状態で使用する事となる。
引っ張り機構25がうまく働くためには対側部ボディ16と中心部ボディ15の面がほぼ接触している状態が望ましいので、アジャスター機能付きコネクター2やその他のスライド機構とともに用いるとよい。この引っ張り機構25は本発明の多くの干し具に設けることができる。また引っ張り機構25に用いる素材はゴム、バネに限定しない。
【0025】
複雑になるが実施例2、3の複合型で腕部、胴体中心部、体側部にパーツ分けした干し具は応用範囲が広く実用的である。
【0026】
ボディの形状は乾かそうとする衣類より多少大きい事が望ましい。実施例1,2の実験では幅が衣類の幅より2cmから8cm程度広いと無理なく綺麗に乾燥できる事がわかった。しかし衣類が小さくても十分に使用できる。薄い板状のボディを少し丸めると衣類が多少小さくても丁度良く干せるのである。丸くなったボディと、その反対側の衣類で囲まれた空間の周囲が、ボディの幅の2倍より小さくなるからである。また、最初から少しカーブを持つように整形しても良い。こうすると衣類の乾燥が早くなるメリットもある。
【0027】
一方、本発明干し具のボディの方が衣類より小さい場合は当然シワ伸ばし効果は落ちるのであるが、型くずれ防止程度には役に立った。
【0028】
衣類に合わせた多くの大きさや形の干し具を製品として用意するのは大変なので、サイズやタイプに合わせて洋服の外周をボディに印刷しておくと便利である(実施例4)。洋服用の既製型紙のように1枚のボディの上に沢山のラインが引かれることになる(図6)。また上記の印刷位置に点線状に切り目を入れたり、樹脂板の表面だけに切り目や凹凸を付けたりするとカットしやすい。使用するときは例えば婦人用Mサイズのウエストシェイプ型だとかいう風に選び、また実際に自分の洋服に合わせてカットすればよい。ラインは色や線の種類などを変えてわかりやすく印刷しカットする際に間違えにくい工夫をする。このラインの印刷を分厚くして十分な厚みを持たせるとカットした後の切断面で衣類を傷めにくく一石二鳥である。印刷はボディ外周のラインにとどまらず、装着する衣類のデザインと揃えたり、キャラクターを印刷したりと楽しい商品開発が行える。
【0029】
図5はスカート用の干し具を示す(実施例5)。実施例1と同様の考え方に基づいており、シンプルな形状ではあるが実用性は高い。この例も実施例4と同様に衣類の大きさに合わせた外周のラインを印刷することにより汎用性を高める事が出来る。
【0030】
図7にはメッシュ生地や布などでボディ面21を形成した実施例6を示す。ボディ面21の外周に沿って樹脂や金属などを素材とする線状のボディ枠20を配置する。このボディ枠20はボディ面21の外周に沿って設けられたトンネル状の縫い代22内部に納められている。実施例6例の特徴は、通気性が高い事と、使用しない際にくるっとねじって小さくまとめて保管できる点である。
【0031】
図8は実施例7を示し、ハンガー両側部24がハンガー中央部23に納められていることが特徴である。上着など重さの大きい洗濯物を干す際にハンガー両側部24を外側にスライドさせて(図8−b)用いるとボディが反ることなく干す事ができる。ハンガー両側部24が中央部23に納められるので衣類を装着する際に扱いやすい。Tシャツなどはハンガー両側部24を中央部23に納めたままの状態(図8−a)で干す事も可能である。
【0032】
図9に示された実施例8は一般的なハンガーとスライド機能を持つ樹脂板を組み合わせたものである。実施例7と逆でハンガー両側部24はハンガー中央部23に固定されており外側に向かってスライドするのは樹脂板ボディの方である。
【0033】
図10には実施例9を示す。樹脂板ボディを左右二つに分割しハンガー両側部24と一体化させてバー付き半身ボディ39とし、ハンガー中央部23を基準に両側にスライドする仕組みである。下部にもバー状のものを取り付けさらにそのバーにスライド機能を持たせると動きがより安定する。バー付き半身ボディは上端以外に少なくとも一カ所以上で左右の連結を行う必要がある。幅を縮めた状態では実施例7,8よりコンパクトになるため、衣類への装着が楽である。引っ張り機構25を設けると更に使いやすいものができる。このバーは他の実施例にも取り付ける事ができる。
【0034】
図11には実施例10を示す。樹脂板は薄いため、装着した衣類をボディの角部分などで衣類に干し跡が付くおそれがある。それをさけるために肩先、袖下、胴両サイドの下端、両脇など板のエッジが鋭い位置には厚みのある曲線的なエッジカバー26を設けるとよい。また特に肩先の角は大きなアールのカーブにすると良い。
【0035】
図12は実施例11を示す。弾力のある線材で衣類の外周に近い形状を形作ったものである。外枠だけで構成されるので通気性が良い。部分によって素材の弾力や太さをうまく組み合わせてもよい。また、別体で長袖用の腕部を作り取り外しやスライド移動できるようにしてもよい。図12−bは胴体下部を火ばさみの様に開口させた例である。広がる力を利用して衣類の皺を防止できる。左右対称の2パーツをフック4下部で回転可能に係合すると未使用時には回転させて重ねる事により縦半分のサイズにたたむことができる(図12−c)。この場合回転が完全に自由だと衣類をうまく干すことができないのでストッパーの役割を果たす仕組みを取り入れる。
【0036】
図13は実施例12を示す。実施例11とにているが、ボディ枠が二つに分かれており左右にスライドさせて幅を調節できる点が特徴である。スライドさせることによって大きさを調整するので実施例11より固い素材が向いている。図12−aはハンガーフック部分とボディ枠上部とが互いにスライドし、ボディ枠はフック部分を中心に左右にスライドする仕組みである。ボディ枠の下部にも互いにスライドできる構造があると動きが安定するが必ずしも必要はない。図示の通り、下部においてはボディ枠は閉じていなくても良い。図13−bはパイプ状のボディ枠20が左右に分かれておりボディ枠上下の継ぎ目部分において一方の端が他方の端の開口部から内部に入っている。図では左のボディ枠がパイプ状であり右のボディ枠が左のボディ枠の中に挿入されている。内部にはバネなどが仕込まれているので左右から内側に向かって力を加えると幅が小さくなる。衣類を装着するとバネの力で外に向かって押し出され、しわを防ぐ。この同様の継ぎ目を袖の上下方向の中程に設けると袖幅の調節も可能である。首部分に吊り下げ用フックを設けて普通に干しても良いが、横向きにして干すとボディ枠20の重さで洗濯物がちょうど良く伸ばされる(図13−c)。この場合には内部のバネは必ずしも必要ではないが、バネがある時には押し出すのではなく縮める力が働き、身頃幅が伸びすぎない効果を生む。ボディ枠20が脱落しないように互いの間でストッパー機能が必要である。実施例11,12はボディの外枠だけで作られているため通気性が高いという特徴がある。
【0037】
図14は実施例13を示す。脇の下や首の付け根などにダーツ状の切り込み28が入っている。図14−bは図14−aの円で囲んだ切り込み28部分を拡大したものであるが図14−cに拡大して示すとおりいろいろな形状が考えられる。この切り込みによって胴体部、袖部それぞれが異なる向きに曲がりうる状況となり、衣類と干し具のサイズの不一致を各部分で吸収しやすい。
【0038】
図15ーaは実施例14のスラックス用の干し具で,図15−bはスラックスを装着して物干し竿に干している状態を示した。台形に近似の形状を持つ二つ一組のパーツをスラックスの脚部分内側に胴側から挿入し足先から該パーツを引き出してそれぞれ吊す事によりスラックスのシワが伸ばされる。且つスラックスの前後にきれいに折り目がつく事も特徴である。この例はスラックスの形状が変わると対応し難い欠点がある。
図15−cには一つのパーツに樹脂板を二枚用い引っ張り機構25を設けた実施例15を示した。同時にスライド機構も設けるがここでは直線的にではなく円弧に沿ってスライドさせる。スラックスの幅に合わせて幅と角度が変わるので一つの干し具で様々なタイプのスラックスに対応可能である。この場合二つのパーツは上部で完全には固定せず回転できる仕組みにした。
【0039】
図16は実施例16を示す。スラックス用である。L字型の2つのパーツ31を向かい合わせにフック付きバーにつるす。図16−cに示すとおり、重い素材で作るとL字型パーツ31は垂直ではなく外側に振れた位置にぶら下がる。結果としてスラックス30を両外側に押し広げる。
【0040】
図17にはスラックス用干し具を様々なタイプのスラックスに対応するための構造を示した(実施例17)。支柱36とスライド式支柱37との間に桟34と引っ張り機構付き桟35がわたされている。二つの桟34は一端がそれぞれ、スライドレール32スライドランナー33にネジで固定されている。残りの一端は二つとも支柱36の同じ位置にネジなどで固定されている。桟34の固定は回転が可能な方法でなされている。スライドレール32とスライドランナー33をスライドさせると支柱36とスライド式支柱37との距離が小さくなる。また引っ張り機能付き桟35は外側に広がろうとする力を働かせるのでスラックスの幅一杯に広がりしわ伸ばし効果を発揮する。使用時には二つ1組の干し具をスラックスに差し込みスライドランナー33とスライドレール32をスライドさせて幅合わせを行い引っ張り機構付き桟35で調整する。図17では記載していないがここに吊り下げるためのフックや必要に応じて可動部分がスラックスに跡を付けないためのカバーなども考慮する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明干し具の実施例1の(a)正面図(b)側面図
【図2】実施例1の干し具に衣類を装着した状態を示す正面図
【図3】実施例2(a)腕部8(b)胴部及びフック部(c)保管時背面図(d)衣類を被せた状態(e)乾燥時正面図(f)乾燥時の干し具の状態
【図4】実施例3(a)各パーツ背面図(b)体側部ボディ16を中央にスライドさせた状態の背面図(c)体側部ボディ16を両外側に広げた状態の背面図(c−1)及び正面図(c−2)(d)引っ張り機構25を設けた場合の底面図(e)図4−dの部分拡大図(f)引っ張り機構25に外力が加わらない状態の図4−dの部分拡大図
【図5】(a)実施例5スカート用干し具(b)使用状態
【図6】実施例4正面図
【図7】(a)実施例6正面図(b)実施例6肩部分拡大正面図
【図8】実施例7正面図(a)ハンガー両側部をハンガー中央部に納めた状態(b)ハンガー両側部を両外側にスライドさせた状態
【図9】実施例8正面図(a)体側部ボディ16を中央にスライドさせた状態(b)体側部ボディ16を両外側に広げた状態
【図10】実施例9正面図(a)実施例9主なパーツ(b)幅を縮めた状態(c)幅を広げた状態
【図11】実施例10正面図
【図12】実施例11正面図(a)基本型(b)実施例11のうち胴体下部が開口している例(c)図b例における収納時の状態
【図13】実施例12正面図(aー1)両側に広げている状態(aー2)左右から押し縮めている状態(b)パイプ状のボディ枠の例(c)図13−bを物干し竿に横向きに干している状態
【図14】実施例13正面図(a)実施例13全体図(b)ダーツ状切り込み部分拡大図(c−1)(c−2)形の異なる切り込みの例
【図15】(a)実施例14正面図(b)実施例14使用状態斜視図(c)実施例15正面図
【図16】実施例16正面図(a)L字型パーツ31(b)全体図(c)吊り下げた状態の全体図
【図17】実施例17正面図
【符号の説明】
【0042】
1 干し具
2 コネクター
3 ボディ
4 フック
5 胴部
6 腕部
7 首部
8 別体腕部
9 コネクター溝
10 コネクター突起
11 腕部手首側
12 腕部肩側
13 衣類
14 ストッパー
15 中心部ボディ
16 体側部ボディ
17 スカート用ボディ
18 スカート
19 外周カット用印刷ライン
20 ボディ枠
21 ボディ面
22 ボディ縫い代
23 ハンガー中央部
24 ハンガー両側部
25 引っ張り機構
26 エッジカバー
27 継ぎ目
28 切り込み
29 スラックス用ボディ
30 スラックス
31 L字型パーツ
32 スライドレール
33 スライドランナー
34 桟
35 引っ張り機構付き桟
36 支柱
37 スライド式支柱
38 固定部位
39 バー付き半身ボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服のおおまかな形状に合わせたボディを持ち、ボディの周囲を弾力のある線状体で形成し、ボディ内部を柔らかい素材で略平面に形成することを特徴とし、周囲の線状体は少なくとも二重に巻いてまとめることができる洗濯衣類の干し具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−464(P2011−464A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216712(P2010−216712)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【分割の表示】特願2005−250234(P2005−250234)の分割
【原出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(300056598)