説明

洗濯装置

【課題】 他人の洗濯物と混ざり合わないように洗濯することが出来る洗濯装置の提供。
【解決手段】 洗濯液7を満たすことが出来る洗濯槽2,2・・を複数設け、この洗濯槽2,2・・には個々の洗濯物6,6・・を入れる洗濯バケットボビン1,1・・をほぼ水平に取付け、該洗濯バケットボビン1,1・・は網目又は多数のパンチング穴を形成した筒形で、そして洗濯槽2の洗濯液7の中で回転するように回転駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は他人の洗濯物が混じらないように、個々に洗濯することが出来る洗濯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗濯装置にも色々な形態があるが、本発明は家庭用としての利用価値もあるが、むしろ業務用を対象としている。業務用の洗濯装置は大きな回転ドラムに大量の洗濯物を入れて洗濯液と共に回転し、一度に効率よく洗濯することが可能である。従来にも、洗濯装置に関して色々な技術が知られているが、洗濯効率の向上、洗濯品質に関するものが大半である。
【0003】
例えば、特開2001−224890号に係る「洗濯機および洗濯物量の検出方法」は、大型の業務用洗濯機に適用して、洗濯物の入れ過ぎによる洗濯品質の低下の防止を図ることができる洗濯機および洗濯物量の検出方法である。
すなわち、一度に多量の洗濯物を洗濯処理する業務用洗濯機において、上記洗濯物の出し入れ用のドアの天地方向に、洗濯物検知センサーを複数個設け、上記洗濯槽内の回転ドラム内に収納された洗濯物の量を、洗濯物検知センサーの検出に基づいて洗濯物の嵩高さで測定し、洗濯液量,洗剤量,洗濯時間等の条件を最適値に自動設定する制御装置を設けている。
【0004】
特開2002−306886号に係る「業務用洗濯方法及びそれに用いる業務用洗濯装置」は、水を主体として業務用の洗濯を行う際に、洗濯物の収縮や傷みを有効に防止することのできる業務用洗濯方法及びそれに用いられる洗濯装置である。
【0005】
すなわち、洗濯槽内に入れられた洗濯物の下方から気泡を導入し、かつ洗濯槽の動作は静止状態を基本とするように動作制御するようにしている。これにより、気泡の上昇作用により水及び洗剤を用いた洗濯は、より効果的なものとなる。すなわち、微少な気泡は、洗濯物を下方から通過しこれにより水及び洗剤もその気泡の動作につれて洗濯物を通過する。また、洗濯のために洗濯物に機械的な力を加えてこれを動かすことはせず、洗濯槽の動作は静止状態を基本とするように動作制御している。
【0006】
特開2006−328762号に係る「洗濯水の再利用装置および方法」は洗濯水の有効利用に関するものである。
すなわち、業務用洗濯機で使用された水のうち、前すすぎ工程で使用された水を処理するために溜める処理槽を設け、処理槽には溜められた水を電気分解するためのアルミ電極ユニットを設ける。また、マイクロバブル吐出口を設け、マイクロバブルを発生させて不純物の凝集、沈殿を促進する。処理槽で処理された後の水を溜めるための貯水槽を設け、貯水槽には溜められた水を脱色、脱臭するためのオゾン吐出口を設ける。そして、貯水槽に溜められた水は、ポンプで汲み出し、返送管を通って業務用洗濯機へ送られる。返送管には、水を除菌するための電解次亜発生器を設けている。
【0007】
このように、従来の業務用洗濯装置は色々知られているが、各人の洗濯物を夫々別々に分けて洗濯することが出来る洗濯装置は知られていない。従来の業務用洗濯装置は、多種多様な洗濯物が混ざり合って一度に洗濯されることから、この洗濯方法を嫌う人も多い。特に、女性にとって、見知らぬ人の衣類と一緒に洗濯させることに抵抗を感じる人は多い。洗濯物は一般に汚れが付着していることは事実であるが、その汚れにも程度があり、しかも他人の汚れた衣類と一緒に洗濯されることに違和感がある。
【特許文献1】特開2001−224890号に係る「洗濯機および洗濯物量の検出方法」
【特許文献2】特開2002−306886号に係る「業務用洗濯方法及びそれに用いる業務用洗濯装置」
【特許文献3】特開2006−328762号に係る「洗濯水の再利用装置および方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように従来の業務用洗濯装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決使用とする課題はこの問題点であり、他人の洗濯物が混ざり合わないように洗濯することが出来る洗濯装置を提供する。本発明は一般に業務用洗濯装置であるが、家庭用として使用することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る洗濯装置は洗濯バケットボビンを有し、この洗濯バケットボビンは網製筒、パンチング筒などのように周囲に多数の穴を形成している円筒である。この洗濯バケットボビンに洗濯物を入れて回転するが、洗濯バケットボビンはほぼ水平に取付けられ、洗濯液が満たされている容器(洗濯槽)内で回転することが出来るようにしている。ここで、洗濯バケットボビンは一般に上記洗濯槽から取外し可能な構造としており、洗濯槽外で洗濯物を入れた状態で該洗濯槽にセットされる。
【0010】
洗濯バケットボビンの後方には回転駆動部と連結可能な連結手段を有し、そして回転する支持ローラにて支持される。洗濯バケットボビンを支持する支持ローラを回転駆動手段とすることも可能である。本発明の洗濯装置には上記洗濯バケットボビンが複数個設けられ、該洗濯バケットボビンがセットされる洗濯槽も複数設けている。従って、同時に複数の洗濯バケットボビンが回転して各々の洗濯物を混ざり合うことなく洗濯出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る洗濯装置は比較的小さな複数の洗濯バケットボビンを有し、この筒状洗濯バケットボビンに洗濯物を入れることが出来る。従って、他人の洗濯物が混ざり合って洗濯されることなく、個々の洗濯物は各々の洗濯バケットボビンにて別々に洗濯される。業務用の洗濯装置の場合、多数の洗濯バケットボビンを備えることで、一度に多くの客の洗濯を効率よく行うことが出来ると共に、洗濯後に客ごとの洗濯物を分ける作業が不要となる。
【0012】
一方、本発明の洗濯装置では、複数の洗濯バケットボビンを備えることで、生地質に適した洗濯を行うことが可能と成る。すなわち、大きなドラムに収容して洗濯するのでは、生地質に最適な条件を設定することは容易でないが、該洗濯バケットボビンはその大きさが小さいために夫々の生地質に適した洗濯条件にて行うことが出来る。
【0013】
又、本発明の洗濯装置は複数の洗濯バケットボビンを備えていても、比較的コンパクトに構成され、その為にトラックの荷台に載せて運ぶことが出来る。近年、全国の各地で大きな災害が発生しており、災害地へこの洗濯装置を載せて運び、被災者の衣類を洗濯することが出来る。勿論、各家庭においても本発明の洗濯装置を用いて、質の異なる衣類又は種類の違う衣類を分けて洗濯バケットボビン入れて洗濯することが出来る。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係る洗濯装置の概略図を示している。同図の1は洗濯バケットボビン、2は洗濯槽、3は脱水機、4は本体、5は正面扉を夫々表している。同図はあくまでも概略図であり、洗濯バケットボビン1には汚れた洗濯物6,6・・が入れられ、洗濯槽2内で回転する。本体4には3箇所に洗濯槽2,2・・が設けられ、各々の洗濯槽2,2・・には洗濯バケットボビン1,1・・が取付けられている。
【0015】
ここで、上記洗濯バケットボビン1は網目、又は多数のパンチング穴を設けた筒であり、この洗濯バケットボビン1は洗濯槽2内でゆっくり回転する。回転軸は筒の中心軸とし、回転に伴って内部に収容している洗濯物6,6・・は洗濯される。洗濯槽2には洗濯液が満たされ、この洗濯液は網目又はパンチング穴を形成している洗濯バケットボビン1の内部に流れ込み、洗濯物6,6・・は洗濯バケットボビン1の回転に伴って洗濯液内で攪拌される。
【0016】
ところで、上記洗濯バケットボビン1は洗濯槽2の内部に取付けられ、そして回転することが出来るように成っている。本発明では該洗濯バケットボビン1の具体的な支持手段並びに回転駆動手段は限定しないことにする。又、同図の洗濯槽2は半円弧断面と成っていて、この内部に水と洗剤を混合した洗濯液が満たされているが、洗濯槽2を筒形とすることもある。
【0017】
図2は半円弧断面の洗濯槽2の内部に支持されている洗濯バケットボビン1の縦断面を表している。洗濯液7は洗濯槽2に満たされ、この状態で洗濯バケットボビン1が回転するならば、回転と共に洗濯バケットボビン1内部の洗濯物は攪拌されて、付着している汚れが落ちる。ここで、洗濯バケットボビン1の回転時に洗濯槽2内の洗濯液が隣の洗濯槽2へ流れないように、仕切り8はある程度高くしている。本発明は他人の洗濯物と別々に洗濯することを目的としている訳であることから、洗濯液7が仕切り8を越えて隣の洗濯槽2へ流れるようでは本発明の趣旨に反する。
【0018】
図3は筒形洗濯槽2を設けた場合である。このように洗濯槽2を円筒形状とすれば、洗濯液7が隣の洗濯槽2へ流れることはない。そして、該実施例では洗濯バケットボビン1の外周に3枚の堰板9,9・・を設けている。該堰板9,9・・は外側へ延びており、洗濯バケットボビン1と共に回転するが、回転に伴って洗濯槽2内の洗濯液7を攪拌し、同時に掬い上げる。
【0019】
そして、ある高さまで回転上昇したところで流れ落ちて洗濯物6に当る。これの繰り返し動作で、洗濯効率が向上する。しかも、堰板9,9・・は洗濯バケットボビン1の外周に取付けられていることで、洗濯物6に直接当ることはなく、洗濯物6を損傷する虞もない。又、堰板9,9・・を平坦な形状ではなく、回転に伴って洗濯液7を汲み上げることが出来る湾曲形状(お椀形)とすることも可能である。
【0020】
図4は洗濯槽2の具体例であり、該洗濯槽2は筒形を成し、正面には正面蓋10を開閉可能に備えている。勿論、内部には洗濯液7が満たされ、洗濯バケットボビン1を有している。洗濯槽2はテーブル12の上に脚11,11を介して取付けられ、後方へは軸14を延ばして軸先端にスプロケット13を取着している。そして該スプロケット13にはチェーン15が巻き掛けられて、モータ(図示なし)によって軸14は回転する。
【0021】
この軸14にて洗濯槽2内の洗濯バケットボビン1が回転することが出来る構造としている。図4(a)が外観図であるが、(b)に内部構造を示しているように、筒形洗濯槽2内部には洗濯槽ロータ16とその内部に洗濯バケットボビン1が取付けられている。上記スプロケット13を取付けている軸14は洗濯槽2の内部へ延び、洗濯槽ロータ16に連結している。従って、軸14にて洗濯槽ロータ16が回転し、該洗濯槽ロータ16と共に洗濯バケットボビン1が回転する。
【0022】
上記洗濯槽ロータ16はその後方が軸14と連結し、正面側は支持ローラ17,17・・にて支持されている。該支持ローラ17,17・・は洗濯槽2に取着されて回転する洗濯槽ロータ16の正面側を支持している。その為に洗濯槽ロータ16は安定して回転することが出来、この洗濯槽ロータ16の内部に取付けられている洗濯バケットボビン1も同時に回転する。
【0023】
ここで、洗濯槽ロータ16はその正面側と背面側を除いた側面は網目を構成している。又は多数のパンチング穴を形成し、洗濯槽2に満たされる洗濯液7は洗濯槽ロータ16及び洗濯バケットボビン1の内部へ流れ込むことが出来る。そして、この洗濯槽ロータ16の外周には堰板9,9・・を設けている。
【0024】
図5は洗濯バケットボビン1の具体例である。この洗濯バケットボビン1は筒形を成し、後端には洗濯槽ロータ16に設けた嵌合部が嵌る嵌合穴18が中心に設けられ、該嵌合穴18が嵌合部に嵌って位置決め支持されると共に回転力を伝えるX溝が形成されている。すなわち、嵌合部端面にはX溝に嵌るX片が形成されている。そして、正面側には蓋20を有し、該蓋20は正面リング21の穴に嵌っている。すなわち、穴内周に形成したネジに螺合して蓋20が取付けられている。
【0025】
従って、この蓋20は取外すことができ、取外した状態で中に洗濯物6,6・・を入れることが出来る。蓋20の開閉は正面に備わっている持ち手22を介して行うことが出来、洗濯物6,6・・を入れた洗濯バケットボビン1は洗濯槽2の正面扉10を開いて洗濯槽ロータ16内にセットされる。正面扉10には覗き窓23が設けられ、覗き窓23から洗濯槽ロータ16及び洗濯バケットボビン1の回転状態が分かる。そして、洗濯バケットボビン1の正面側は持ち手22が洗濯槽ロータ16に支持される。
【0026】
図4に示している実施例は洗濯バケットボビン1を洗濯槽ロータ16に収容した構造としているが、図1に示した概略図のように、洗濯槽2に直接取付けることもある。そして、洗濯された洗濯物6は、洗濯槽2又は洗濯槽ロータ16から洗濯バケットボビン1を外して取出し、その後は脱水機3に入れて脱水され、その後は乾燥することが出来る。
【0027】
ところで、洗濯槽2には洗濯液7が満たされるが、本発明では該洗濯槽2に水を入れるための手段、並びに洗濯槽2から洗濯後の洗濯液7を排水する為の具体的な手段は限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る洗濯装置の概略図。
【図2】半円弧断面の洗濯槽に取付けられる洗濯バケットボビンの縦断面図。
【図3】円形断面の洗濯槽に取付けられる洗濯バケットボビンの縦断面図。
【図4】洗濯バケットボビンを取付けた洗濯槽の具体例。
【図5】洗濯バケットボビンの具体例。
【符号の説明】
【0029】
1 洗濯バケットボビン
2 洗濯槽
3 脱水機
4 本体
5 正面扉
6 洗濯物
7 洗濯液
8 仕切り
9 堰板
10 正面扉
11 脚
12 テーブル
13 スプロケット
14 軸
15 チェーン
16 洗濯槽ロータ
17 支持ローラ
18 嵌合穴
19 溝
20 蓋
21 正面リング
22 持ち手
23 覗き窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他人の洗濯物と混ざり合わないように洗濯することが可能な洗濯装置において、洗濯液を満たすことが出来る洗濯槽を複数設け、この洗濯槽には個々の洗濯物を入れる洗濯バケットボビンをほぼ水平に取付け、該洗濯バケットボビン網目又多数のパンチング穴を形成した筒形であり、そして洗濯槽の洗濯液が内部に流れ込んで回転するように回転駆動されることを特徴とする洗濯装置。
【請求項2】
上記洗濯槽に回転する洗濯槽ローラをほぼ水平に取付け、この洗濯槽ローラは網目又はパンチング穴を形成した筒形であり、この洗濯槽ローラ内に上記洗濯バケットボビンを取着した請求項1記載の洗濯装置。
【請求項3】
上記洗濯槽を概略半円弧状断面とした請求項1、又は請求項2記載の洗濯装置。
【請求項4】
上記洗濯槽を概略円筒形とし、その正面には開閉可能な正面扉を取付け、後端部には洗濯バケットボビン又は洗濯槽ローラを回転する軸を設けた請求項1、又は請求項2記載の洗濯装置。
【請求項5】
上記洗濯バケットボビン又は洗濯槽ローラの正面側を回転可能に支持する支持ローラを設けた請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の洗濯装置。
【請求項6】
上記洗濯バケットボビンを取外し可能な取付け構造とした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、又は請求項5記載の洗濯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−56206(P2009−56206A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227603(P2007−227603)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(507295532)
【出願人】(507295543)株式会社 トヨダプラス (3)
【Fターム(参考)】