説明

洗眼容器

【課題】 眼球から除去した汚れ等の異物が眼球に再付着することを防止することができ、洗浄効果が大きい洗眼容器を提供する。
【解決手段】 容器本体10と、容器本体10の上部に接合され眼の周縁に密着する当接端部31を有するガイド部30とを備え、容器本体10は、容器本体10に貯留した洗浄液を噴出する噴出部11、及び、噴出した洗浄液を収容する異物回収部12,12を備え、噴出部11は、底壁または側壁の少なくともいずれかが可撓性を有することを特徴とする洗眼容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗眼容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズを外した時や、花粉、埃等の異物が眼に入った時等の洗眼に使用される洗眼容器として、例えば、特許文献1に開示されているような洗眼容器が知られている。特許文献1に開示されている洗眼容器は、図8の斜視図に示すように、弾力性樹脂により形成されており、眼の周縁に密着する当接端部101を上部に有する容体であり、洗眼容器100の側壁下部には内部空間を有する弾性変形可能な把持部102が設けられている。
【0003】
このように構成された洗眼容器100を使用して洗眼を行なうには、まず、洗眼容器100に洗浄液を注入し、次いで、図9に示すように、顔面110を下に向けたままで洗眼容器100の当接端部101を眼の周縁に押し当て、把持部102を繰り返し押圧する。把持部102の押圧によって、把持部102の内部に収容されている洗浄液が噴出して洗眼容器100内の洗浄液に矢印Sで示すような対流を生じさせ、眼球105に付着した汚れや、花粉、埃等の異物を洗い流すことにより眼球105を洗浄することができる。
【特許文献1】特開2001−190635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている洗眼容器を用いて洗眼を行なった場合、洗浄液の対流により洗い流された異物は、把持部の繰り返しの押圧により生じる対流の流れに乗り、再度、眼球側に向かって流れ眼球に再付着するおそれがあり、洗浄効果が小さいという問題があった。更に、異物が眼球側に流れることによって、眼球を傷つけるおそれもあった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、眼球から除去した汚れ等の異物が眼球に再付着することを防止することができ、洗浄効果の大きい洗眼容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、容器本体と、該容器本体の上部に接合され眼の周縁に密着する当接端部を有するガイド部とを備え、前記容器本体は、該容器本体に貯留した洗浄液を噴出する噴出部、及び、噴出した洗浄液を収容する異物回収部を備え、前記噴出部は、底壁または側壁の少なくともいずれかが可撓性を有することを特徴とする洗眼容器により達成される。
【0007】
この洗眼容器において、前記噴出部は、前記洗浄液を貯留可能に構成されていることが好ましい。また、前記噴出部は、前記容器本体の略中央に配置されていることが好ましい。
【0008】
また、前記異物回収部は、前記噴出部を挟んだ両側にそれぞれ配置されていることが好ましい。この構成において、前記異物回収部は、側壁における前記噴出部及び前記異物回収部の隣接方向に沿った外側部分が、可撓性を有する把持部とされていることが好ましい。この場合、前記異物回収部の側壁が、前記噴出部との間を隔てる部分の肉厚よりも前記把持部の肉厚の方が薄くなるように形成されていることがより好ましい。
【0009】
或いは、前記異物回収部が前記噴出部を挟んだ両側にそれぞれ配置されている構成において、前記噴出部の側壁における前記噴出部及び前記異物回収部の隣接方向に垂直な方向に沿った両側部分が、可撓性を有する把持部とされていることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、眼球から除去した汚れ等の異物が眼球に再付着することを防止することができ、洗浄効果の大きい洗眼容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の洗眼容器について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る洗眼容器を示しており、図1(a)は、本発明の一実施形態に係る洗眼容器の平面図、図1(b)は、A−A断面図、図1(c)は、B−B断面図である。図1に示すように、洗眼容器1は、柔軟で弾力性に富む可撓性の樹脂により一体成形されており、容器本体10、被覆部20及びガイド部30を備えている。
【0012】
容器本体10は、洗浄液を貯留する噴出部11、及び、噴出された洗浄液を収容する異物回収部12,12を備えている。噴出部11は、容器本体10の略中央部に設けられており、内周面が平面視長円状に形成されている。
【0013】
異物回収部12,12は、噴出部11の両側に設けられており、内周面が平面視半月状に形成されている。また、異物回収部12,12の側壁15,15において、噴出部11及び異物回収部12,12の隣接方向に沿った外側部分が、洗眼容器1を把持押圧するための把持部13,13を構成している。
【0014】
被覆部20は、筒状に形成されており、洗眼容器1を机上等に安定して載置することができるよう下端は、同一平面上に形成されている。
【0015】
ガイド部30は、容器本体10の上部周縁に接合して形成されており、平面視略楕円形状の当接端部31を上部周縁に備えている。当接端部31の側面視形状は、図1(c)の断面図に示すように、使用者の目の周縁形状に合せるため、中央部が下方に湾曲する滑らかな曲線形状に形成されると共に、目尻側頂点32が目頭側頂点33よりも高くなるように形成されている。また、ガイド部30の周壁部34は、上方に向かって外側に拡がるフレア状に形成されている。
【0016】
洗眼容器1を形成する可撓性の樹脂は、柔軟で弾力性に富む材質であれば特に限定されず、例えば、シリコンゴム、ブチルゴム、低密度ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体又は低密度ポリエチレンとエチレン‐酢酸ビニル共重合体の混合物等を用いることができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る洗眼容器1を使用して洗眼を行なう方法について説明する。洗眼を行なうには、まず、洗眼容器1に所定量の洗浄液を注いだ後、ガイド部30の当接端部31の目尻側頂点32を目尻側に、目頭側頂点33を目頭側となるようにして容器本体10を手指で支持しながら、顔面を下に向けたままで、当接端部31を眼の周縁に押し当てる。ガイド部30は、可撓性の樹脂により形成されているため、眼の周縁に当接端部31を押し当てる押圧力を適宜調節することにより、使用者の眼の周縁形状に密着する最適な状態に調整することができる。
【0018】
次いで、眼を開けた状態のままで、被覆部20を介して把持部13,13を押圧する。この押圧により、噴出部11が変形し、噴出部11内の洗浄液が眼球側に押し出される。そして、把持部13,13の押圧を解除することにより、噴出部11は弾性復元力により元の形状に戻る。これにより、図2の矢印Tで示すように、洗眼容器1内において、噴出部11から眼球40側、次いで周壁部34側を通過し噴出部11の上部に戻る洗浄液の対流を生じさせることができ、眼球40に付着した汚れや、花粉、埃等の異物は洗い流される。
【0019】
洗い流された異物は、容器内の洗浄液の流れに乗って、容器の周壁部34側を通過し、重力の作用により異物回収部12,12の底部14に沈殿する。また、洗浄液は異物回収部12,12に収容されると共に、噴出部11にも再び貯留される。このような把持部13,13の押圧及びその解除を繰り返すことによって洗眼を行なう。
【0020】
異物回収部12,12の底部14,14は、噴出部11の押圧により生じる対流領域と離れているため、対流の流れの影響をほとんど受けることはない。したがって、異物回収部12,12の底部14,14に沈殿収容された異物が、対流の流れに乗って異物回収部12,12から流出することを防止することができる。
【0021】
また、被覆部20を介して把持部13,13を押圧することにより、図3に示すように、異物回収部12,12が変形し上部開口を閉塞させるため、異物回収部12,12の底部14,14に沈殿した埃等の異物が眼球側に流れ出ることを防止することができる。
【0022】
このように、本実施形態の洗眼容器1によれば、洗浄液の対流により一端洗い流された異物を確実に異物回収部12,12に収容することができ、眼球側に流れ出ることを防止することができる。したがって、異物が眼球に再付着することや、異物による眼球の損傷を確実に防止することができ、確実な洗眼を行なうことができる。
【0023】
ここで、把持部13,13を構成している部分の異物回収部12,12の肉厚は、異物回収部12,12と噴出部11との間を隔てる部分の肉厚よりも薄いことが好ましい。このような構成により、被覆部20を介して把持部13,13を押圧した場合、異物回収部12,12は、噴出部11よりも変形しやすくなるため、異物回収部12,12を押圧変形させて上部開口を確実に閉塞させた後に、噴出部11を押圧変形させて噴出部11内部の洗浄液を押し出すことができる。したがって、異物回収部12,12の底部14,14に沈殿した埃等の異物が眼球側に流れ出ることを確実に防止することができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、図4に示すように、異物回収部12,12の内周面上に複数の突状部17を設けてもよい。このような構成により、異物回収部12,12の底部14,14に沈殿した異物が把持部の押圧により上昇しても、突状部17で捕獲することができるので、異物回収部12,12から異物が流出することを確実に防止することができる。
【0025】
また、本実施形態において、図1に示すように、噴出部11及び異物回収部12,12の隣接方向に沿った異物回収部12,12の側壁15,15の外側部分を把持部13,13としているが、例えば、図5に示すように、噴出部11及び異物回収部12,12の隣接方向に垂直な方向に沿った噴出部11の側壁の両側部分を把持部13,13としてもよい。これにより、被覆部20を介した把持部13,13の押圧により、異物回収部12,12を変形させることなく、噴出部11内の洗浄液を眼球側に押し出すことができ、異物回収部12,12からの異物の流出を確実に防止することができる。
【0026】
また、本実施形態においては、噴出部11の両側に異物回収部12,12を配置しているが、異物回収部12,12は、眼球から除去した異物を効率よく収容できるように噴出部11に隣接して配置されていればよく、例えば、図6に示すように、噴出部11の水平断面形状を略十文字形状となるように形成し、当該噴出部11に隣接して異物回収部12,12,12,12を配置してもよい。このような構成により、被覆部20を介した把持部13,13の押圧により、異物回収部12,12を変形させることなく、噴出部11内の洗浄液を眼球側に押し出すことができ、異物回収部12,12,12,12からの異物の流出を確実に防止することができる。
【0027】
また、図7に示すように、異物回収部12の水平断面形状をリング状に形成して、噴出部11の周囲に配置してもよい。このような構成により、広い範囲で確実に埃等の異物を回収することができる。また、被覆部20を介した把持部13,13の押圧により、異物回収部12の上部開口を閉塞させることができるため、異物回収部12の底部に沈殿した異物が、異物回収部12から流出することを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態において、洗眼容器1は一体成形により形成されているが、洗眼容器1を構成する噴出部11、異物回収部12,12、被覆部20及びガイド部30をそれぞれ別体により形成して、組み立てることにより洗眼容器1を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗眼容器を示す(a)平面図、(b)A−A断面図、及び(c)B−B断面図である。
【図2】本発明に係る洗眼容器の使用説明図である。
【図3】本発明に係る洗眼容器の使用説明図である。
【図4】本発明に係る洗眼容器の他の実施例を示す要部断面図である。
【図5】本発明に係る洗眼容器の他の実施例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る洗眼容器の他の実施例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る洗眼容器の他の実施例を示す平面図である。
【図8】従来の洗眼容器を示す斜視図である。
【図9】従来の洗眼容器の使用説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 洗眼容器
10 容器本体
11 噴出部
12 異物回収部
13 把持部
14 底部
15 側壁
16 側壁
17 突状部
20 被覆部
30 ガイド部
31 当接端部
32 目尻側頂点
33 目頭側頂点
34 周壁部
40 眼球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体の上部に接合され眼の周縁に密着する当接端部を有するガイド部とを備え、
前記容器本体は、該容器本体に貯留した洗浄液を噴出する噴出部、及び、噴出した洗浄液を収容する異物回収部を備え、
前記噴出部は、底壁または側壁の少なくともいずれかが可撓性を有することを特徴とする洗眼容器。
【請求項2】
前記噴出部は、前記洗浄液を貯留可能に構成されている請求項1に記載の洗眼容器。
【請求項3】
前記噴出部は、前記容器本体の略中央に配置されている請求項1又は2に記載の洗眼容器。
【請求項4】
前記異物回収部は、前記噴出部を挟んだ両側にそれぞれ配置されている請求項1から3のいずれかに記載の洗眼容器。
【請求項5】
前記異物回収部は、側壁における前記噴出部及び前記異物回収部の隣接方向に沿った外側部分が、可撓性を有する把持部とされている請求項4に記載の洗眼容器。
【請求項6】
前記異物回収部の側壁は、前記噴出部との間を隔てる部分の肉厚よりも前記把持部の肉厚の方が薄くなるように形成されている請求項5に記載の洗眼容器。
【請求項7】
前記噴出部の側壁における前記噴出部及び前記異物回収部の隣接方向に垂直な方向に沿った両側部分が、可撓性を有する把持部とされている請求項4に記載の洗眼容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate