説明

洗面器置台、及び、それを備えた浴室構造

【課題】シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態でのシャワーホースの収まりを良くした洗面器置台、及び、それを備えた浴室構造を提供することを課題とする。
【解決手段】洗面器置台10は、壁付水栓22からシャワーホース26が下方に延び出している洗い場14に、壁付水栓22よりも下方位置の壁面16に設けられている。そして、シャワーホース26の先端に取付けられたシャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させたときに、壁付水栓22から延び出したシャワーホース26が入り込む切欠部34A、34Bが洗面器置台10の両サイド側に形成されている。これにより、ダブついたシャワーホース26が洗面器置台の切欠部に入り易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い場の壁面に設けられた洗面器置台、及び、それを備えた浴室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内の洗い場などには、鏡などが壁面に設けられて湯や水を吐出する壁付水栓が設けられている。この壁付水栓の下方には、洗面器などを置く洗面器置台が壁面側に取付けられていることが多い(例えば特許文献1〜3参照)。なお、洗い場側と浴槽側とにそれぞれ水栓が設けられたいわゆる2水栓仕様の場合、腰を捻って使用することを避けるために洗い場側の水栓の下方に洗面器置台を配置することが多い。
【0003】
また、壁付水栓には、通常、下方に延び出すシャワーホースが設けられている。そして、壁付水栓の近くには、シャワーホースの先端に取付けられたシャワーヘッドを保持するヘッド保持部が壁面側に設けられている。
【特許文献1】特開平8−280558号公報
【特許文献2】特開2006−187542号公報
【特許文献3】特開2008−136676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シャワーホースの長さは、シャワーを使用する際に短過ぎないような長さとされている。このため、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態ではシャワーホースがダブつく。この結果、洗面器置台の上にシャワーホースが位置して洗面器を置くスペースが減ってしまうことや、洗面器置台の周囲にシャワーホースが位置して洗面器を載置し難いことがあった。
更に、使用者がシャワーヘッドを手に持って移動させると、洗面器にシャワーホースが引っかかって洗面器を洗面器置台から落下させることも考えられる。
【0005】
このような壁付水栓を使用する際には、通常、使用者は椅子に腰掛けて使用する。そして、洗面器置台と椅子との組合せにより、使用する際に膝、腰を屈める動作が著しく軽減される。従って、特に高齢者向けの住宅では壁付水栓の下方に洗面器置台を設置することが多い。このため、使い勝手が良いことが重要である。
【0006】
なお、水栓と洗面器置台とを一体に形成してシャワーホースを洗面器置台の下側から出してシャワーホースの収まりを良くする構成にすることが特許文献3に開示されているが、特殊な仕様となるため高価になり、しかも洗面器置台の取替えを容易に行えないという難点がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態でのシャワーホースの収まりを良くした洗面器置台、及び、それを備えた浴室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、シャワーホースの下流端に接続されたシャワーヘッドがヘッド保持位置に保持されたときに、壁付水栓から垂れている前記シャワーホースが入り込む切欠部が両サイド側の少なくとも一方に形成され、前記壁付水栓が設けられた壁面に固定され得る洗面器置台である。
【0009】
ヘッド保持部は、通常、壁面側に取付けられている。従って、シャワーヘッドをヘッド保持位置に保持させると、シャワーホースは壁面に沿った位置に配置され易い。よって、請求項1に記載の発明では、ダブついたシャワーホースが洗面器置台の切欠部に入り易く、これにより、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態でのシャワーホースの収まりを良くした洗面器置台とすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記切欠部の使用者側の切欠壁は、前記壁面に接する壁面側縁に対して25°以内の角度をなす。
これにより、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態でシャワーホースが切欠部に更に収まり易いとともに、シャワーヘッドをヘッド保持部から取り出すときに切欠部からシャワーホースを容易に引き出すことができる。
なお、切欠部の使用者側の切欠壁の少なくとも上側の縁部が、壁面に対して10°以内の角度をなすことが更に好ましい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記切欠部の壁面側の切欠壁及び使用者側の切欠壁の少なくとも一方に凸部が形成されている。
上記の凸部が形成されていることにより、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態では凸部によってシャワーホースが切欠部から意図せずに抜けることを防止することができる。凸部の寸法は、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させたときにシャワーホースが凸部を経由して切欠部の奥側に入る上で大きな妨げとならない寸法とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記切欠部の壁面側の切欠壁及び使用者側の切欠壁の少なくとも一方に凹部が形成されている。
上記の凹部が形成されていることにより、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態ではシャワーホースが凹部に入り、切欠部から安易に抜けない構成にすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記切欠部に向けて下降する勾配が上面に付けられている。
これにより、洗面器置台上に溜まったいわゆる死に水が切欠部に向けて流れる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記切欠部の切欠壁が、前記壁付水栓から垂れた前記シャワーホースをサイド側に案内するように湾曲凹状にされている。
請求項6に記載の発明では、シャワーホースが洗面器置台の下方側に位置しない構成にすることが可能になる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の洗面器置台が設けられた浴室構造である。
この浴室構造は、例えばユニットバスで形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シャワーヘッドをヘッド保持部に保持させた状態でのシャワーホースの収まりを良くした洗面器置台、及び、それを備えた浴室構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態に係る洗面器置台10は、浴室12の洗い場14の壁面16に固定されたものである。なお、図1では、浴槽18の近くに洗い場14が設けられている例で図示している。なお、浴室12は、例えばユニットバスで形成されている。
洗い場14には、鏡20と、鏡20の下方に壁付水栓22とが壁面16に設けられている。
【0019】
壁付水栓22には、湯や水を吐出する蛇口24が設けられている。そして、シャワーホース26が壁付水栓22から下方に延び出しており、シャワーホース26の下流端(先端)にはシャワーヘッド28が取付けられている。壁面16には、シャワーヘッド28を保持するヘッド保持部30が洗面器置台10の上方でやや右方に設けられている。
【0020】
そして、壁面16には、壁付水栓22の下方位置に上記の洗面器置台10が設けられている。洗面器置台10の床からの高さは、使用者Pが椅子Cに腰掛けたときに、洗面器置台10上に置いた洗面器Vの湯水を洗顔や洗体などに使い易いような高さとされている。
洗面器置台10の寸法は、やや大きめの寸法の洗面器V(例えば直径30cm)を置き易い寸法にされている。
【0021】
また、洗面器置台10には、ヘッド保持部30にシャワーヘッド28を保持させたときに、壁付水栓22から垂れたシャワーホース26が入り込む切欠部34A、34Bが両サイド側に形成されている。
【0022】
切欠部34Aの壁面16からの位置は、壁付水栓22から延び出して自然に垂れたシャワーホース26が、ヘッド保持部30にシャワーヘッド28を保持させたときに入り易い位置とされている。本実施形態では、切欠部34Aの壁面側の切欠壁35Gが、壁面16に接する壁面側縁15から5cm〜10cm程度の距離dで離れた位置とされており、切欠部34Bの壁面側の切欠壁35Hも同様である。
【0023】
切欠部35Aの使用者側の切欠壁35I、及び、切欠部35Bの使用者側の切欠壁35Jは、何れも、壁面側縁15に対して25°以内(すなわち壁面16に対して25°以内)の角度θ(図3参照)をなしている。
【0024】
また、洗面器置台10の上面側には、載置面11と、載置面11の外周に形成された縁面部13と、が形成されている。縁面部13は、載置面11よりも僅かに高くされている。そして載置面11には、切欠部34A、34Bに向けて下降する勾配が形成されている。
【0025】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。
【0026】
ヘッド保持部30は壁面16に設けられている。従って、シャワーヘッド28がヘッド保持部30に保持されている状態では、シャワーホース26は壁面に沿った位置に配置され易い。よって、ダブついたシャワーホース26が洗面器置台10の切欠部34Aに入り易い。従って、特殊な水栓構造にすることなく、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させた状態でシャワーホース26の収まりを良くすることができる。
【0027】
また、切欠部34Aの使用者側の切欠壁35Iは、壁面16に対して25°以内の角度θをなしている。これにより、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させた状態でシャワーホース26が切欠部34Aに収まり易く、しかも、シャワーヘッド28をヘッド保持部30から取り出すときに切欠部34Aからシャワーホース26を容易に引き出すことができる。
【0028】
更に、洗面器置台10の載置面11には、切欠部34A、34Bに向けて下降する勾配が形成されている。これにより、載置面11上に溜まったいわゆる死に水が切欠部34A、34Bに向けて流れる(図3の矢印F参照)。
【0029】
また、洗面器置台10の両サイドに切欠部34A、34Bが形成されている。従って、ヘッド保持部30を洗面器置台10の右方側に配置する場合にはシャワーホース26は切欠部34Aに入り、左方側に配置する場合にはシャワーホース26は切欠部34Bに入る。よって、ヘッド保持部30を洗面器置台10の右方側、左方側の何れに配置する場合であっても、本実施形態の洗面器置台10を有効に用いることができる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る洗面器置台40では、第1実施形態に比べ、切欠部34A、34Bに代えて切欠部44A、44Bが両サイド側に形成されている。
【0031】
切欠部44Aのサイド側の開口46Aの近くでは、切欠部44Aの使用者側の切欠壁45Iの側に凸部48Pが形成され、切欠部44Aの壁面側の切欠壁45Gの側にも凸部48Qが形成されている。凸部48Pと凸部48Qとは互いに対向する位置に配置されており、凸部48Pと凸部48Qとの間では切欠幅が狭くなっている。凸部48P、48Qの寸法は、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させたときにシャワーホース26が凸部48Pと凸部48Qの間を経由して切欠部44Aの奥側に入る上で大きな妨げとならない寸法とされている。切欠部44Bも同様の構成にされている。
【0032】
本実施形態により、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させた状態では、凸部48P、48Qによってシャワーホース26が切欠部44Aから意図せずに抜けることを防止することができる。そして、立位時にシャワーを使用する際には、シャワーヘッド28をやや強く引っ張ることによりシャワーホース26を凸部48Pと凸部48Qとの間から抜き出して切欠部44Aの外方に出すことができる。
【0033】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態に係る洗面器置台50では、第1実施形態に比べ、切欠部34A、34Bに代えて切欠部54A、54Bが両サイドに形成されている。
【0034】
切欠部54Aの壁面側の切欠壁55Gの側には凸部58Qが形成されている。本実施形態では、切欠壁55Gに対向する切欠壁(使用者側の切欠壁)55Iの側には凸部は形成されていない。切欠部54Bも同様の構成にされている。
【0035】
本実施形態によっても、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させた状態では凸部58Qによってシャワーホース26が切欠部54Aから安易に抜けない構成にすることができる。
【0036】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図6に示すように、本実施形態に係る洗面器置台60では、第1実施形態に比べ、切欠部34A、34Bに代えて切欠部64A、64Bが両サイドに形成されている。
【0037】
切欠部64Aのサイド側の開口66Aの近くには、切欠部64Aの使用者側の切欠壁65Iの側に凹部68Pが形成され、切欠部64Aの壁面側の切欠壁65Gの側にも凹部68Qが形成されている。凹部68Pと凹部68Qとは互いに対向する位置に配置されている。凹部68Pの寸法は、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させたときにシャワーホース26が凹部68Pに引っかかり易い寸法にされている。凹部68Qも同様の構成にされている。
【0038】
本実施形態により、シャワーヘッド28をヘッド保持部30に保持させた状態では凹部68P、68Qによってシャワーホース26が切欠部64Aから安易に抜けない構成にすることができる。
【0039】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態に係る洗面器置台70では、第1実施形態に比べ、切欠部34A、34Bに代えて切欠部74A、74Bが両サイドに形成されている。
【0040】
切欠部74Aの切欠壁76は、壁付水栓22(図1、図2参照)から延び出したシャワーホース26(図1、図2参照)をサイド側に案内するように、くり抜かれたような湾曲凹状にされている。切欠部74Bも同様の構成にされている。
【0041】
本実施形態では、シャワーホース26が洗面器置台70の下方側に位置しないようにすることができる。また、切欠部74Aでシャワーホース26に強力な変形力が加えられることがない。
【0042】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。図8に示すように、本実施形態に係る洗面器置台80では、第1実施形態に比べ、切欠部34A、34Bに代えて切欠部84A、84Bが両サイドに形成されている。
【0043】
切欠部84Aの上端側の縁部は、全縁にわたって角部が丸くされた湾曲凸部88とされている。これにより、切欠部84Aでシャワーホースに損傷が加えられることが確実に回避される。切欠部84Bも同様の構成にされている。
【0044】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
また、第2実施形態以下では、洗面器置台の両サイド側にそれぞれ切欠部が形成されていることによる効果の記載を省略しているが、このことに関しては第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る洗面器置台が浴室の洗い場に設けられていることを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態で、洗面器置台を使用者が使用していることを示す側面図である。
【図3】図3(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態の洗面器置台の平面図及び斜視図である。
【図4】第2実施形態の洗面器置台の平面図である。
【図5】第3実施形態の洗面器置台の平面図である。
【図6】第4実施形態の洗面器置台の平面図である。
【図7】第5実施形態の洗面器置台の斜視図である。
【図8】第6実施形態の洗面器置台の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 洗面器置台
14 洗い場
15 壁面側縁
16 壁面
22 壁付水栓
26 シャワーホース
28 シャワーヘッド
34A、B 切欠部
35G、H、I、J 切欠壁
θ 角度
40 洗面器置台
44A、B 切欠部
45G、I 切欠壁
48P、Q 凸部
50 洗面器置台
54A、B 切欠部
55G、I 切欠壁
58Q 凸部
60 洗面器置台
64A、B 切欠部
65G、I 切欠壁
68P、Q 凹部
70 洗面器置台
74A、B 切欠部
46 切欠壁
80 洗面器置台
84A、B 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーホースの下流端に接続されたシャワーヘッドがヘッド保持位置に保持されたときに、壁付水栓から垂れている前記シャワーホースが入り込む切欠部が両サイド側の少なくとも一方に形成され、前記壁付水栓が設けられた壁面に固定され得る、洗面器置台。
【請求項2】
前記切欠部の使用者側の切欠壁は、前記壁面に接する壁面側縁に対して25°以内の角度をなす、請求項1に記載の洗面器置台。
【請求項3】
前記切欠部の壁面側の切欠壁及び使用者側の切欠壁の少なくとも一方に凸部が形成されている、請求項1又は2に記載の洗面器置台。
【請求項4】
前記切欠部の壁面側の切欠壁及び使用者側の切欠壁の少なくとも一方に凹部が形成されている、請求項1又は2に記載の洗面器置台。
【請求項5】
前記切欠部に向けて下降する勾配が上面に付けられている、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の洗面器置台。
【請求項6】
前記切欠部の切欠壁が、前記壁付水栓から垂れた前記シャワーホースをサイド側に案内するように湾曲凹状にされている、請求項1に記載の洗面器置台。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の洗面器置台が設けられた、浴室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94428(P2010−94428A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269924(P2008−269924)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】