説明

洗髪機

【課題】被洗髪者の頭部、髪の洗髪を妨げることなく、シンクに収められた後頭部を支持することによって被洗髪者の快適性の向上する。
【解決手段】自動洗髪機1に、仰向け姿勢の被洗髪者の首を前記シンクの内側に臨ませた状態で被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネット70を設け、この頭部支持ネット70の外枠99を、頭部支持ネット70に支持された後頭部に沿った形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクに収めた頭部の髪を自動で洗髪する洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被洗髪者の頭部を収めるシンクの内側に、頭部に向けて洗浄水を噴射するノズルリンクを備え、このノズルリンクによって被洗髪者の頭部や髪に洗浄水を噴射することにより自動で洗髪を行えるようにした自動洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような自動で頭部の髪を洗髪する自動洗髪機において、シンク内に後頭部を支持する頭部支持部を設け、この頭部支持部により被洗髪者の後頭部を支持しつつ自動洗髪を行うことにより、自動洗髪中の被洗髪者を快適化することを想定する。
この場合、被洗髪者の快適化を実現しつつ、頭部支持部により被洗髪者の頭部、髪の洗髪が妨げられることをできるだけ防止する必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、被洗髪者の頭部、髪の洗髪を妨げることなく、シンクに収められた後頭部を支持することによって被洗髪者の快適性の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、このシンクに収めた頭部を洗髪する洗髪機において、仰向け姿勢の被洗髪者の首を前記シンクの内側に臨ませた状態で被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネットを設け、この頭部支持ネットの外枠を、前記頭部支持ネットに支持された後頭部に沿った形状としたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記頭部支持ネットの前記外枠を、前記頭部支持ネットに支持された頭部の頭頂から顎方向へ延びる方向が短手方向となる略長方形に構成し、前記頭部支持ネットの4隅のうち、少なくとも、短手方向頭頂側の2隅に丸みを持たせたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記頭部支持ネットの前記外枠を構成する4つの枠体のうち、短手方向に延びる2つの枠体について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記頭部支持ネットを、前記外枠内で、短手方向に延びる複数の縦支持部材と、これら縦支持部材に直交して長手方向に延びる1つの横支持部材とによって形成された格子状のネットによって形成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記横支持部材は、前記外枠における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記頭部支持ネットに支持された頭部の首元の下方で長手方向に延在し、間隔をあけて設けられたノズルから首元に向かって洗浄水を噴射する首元用ノズルリンクを設け、前記頭部支持ネットと、前記首元用ノズルリンクとを首元と逆側に向かって湾曲する立上り部によって連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被洗髪者の頭部の洗髪を妨げることなく、シンクに収められた後頭部を支持することによって被洗髪者の快適性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自動洗髪機の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】自動洗髪機に使用する水の流れを示す水路図である。
【図3】首元用ノズルリンクに支持された頭部支持ネットの斜視図である。
【図4】(A)は、首元用ノズルリンクに支持された頭部支持ネットの上面図、(B)は、側面図である。
【図5】首元用ノズルリンクに支持された頭部支持ネットの正面図である。
【図6】首元用ノズルリンクに支持された頭部支持ネットの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は自動洗髪機1の斜視図であり、図2は自動洗髪機1の水の流れを概略的に示す水路図である。
【0014】
図1に示すように、自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4と、椅子4を保持する椅子保持台5とを備えている。
【0015】
シンク2は、図1に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネット70(頭部支持部)が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支持ネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0016】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて洗浄水(温水、シャンプー液が混入された温水、トリートメント液が混入された温水など)を噴射するための上ノズルリンク11(ノズルリンク)及び下ノズルリンク12(ノズルリンク)が配置されている。上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。
下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。この下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後頭部と後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪を洗浄する。また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0017】
上下ノズルリンク11、12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上下ノズルリンク11,12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた洗浄水が各ノズルから噴射される。上下ノズルリンク11,12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。オペレーター(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0018】
自動洗髪機1で使用する水は、図2に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するためのサーミスター19が配置されている。サーミスター19の検知結果に基づいてモーター20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モーター20で調整される電動タイプである。モーター20は、DCモーターまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0019】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図1)が設けられており、設定温度は、オペレーター(ユーザー)が操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(サーミスター19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0020】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサー26および第2水位センサー27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の水位に達したことが第2水位センサー27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサー26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、所定の水位以上に、常に温水が貯められた状態となっている。
【0021】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサー26よりも上方)には、第1水位センサー26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンクの外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバーフロータンク29によって受けられ、このオーバーフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバーフロータンク29内にはオーバーフローセンサー31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバーフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバーフローセンサー31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0022】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバータ(図示せず)から交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、トリートメント液が収容されたトリートメント容器36に至るトリートメント供給管37とが接続されている。シャンプー供給管35およびトリートメント供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびトリートメント用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびトリートメント用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびトリートメント液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
【0023】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、4つの分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルター41が設けられていて、その下流側の4つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、及び、排水バルブ44の4つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、及び、排水バルブ44が設けられた4つの分路には、それぞれ、分岐路46、47、75、48が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
【0024】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排水口50が形成されていて、この排水口50は、下水の臭気の逆流を防止するための排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排水口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、排水トラップ51に接続されている。
【0025】
図3は、頭部支持ネット70に支持された首元用ノズルリンク80の斜視図である。
図4(A)は、頭部支持ネット70に支持された首元用ノズルリンク80の上面図であり、図4(B)は、図4(A)の右側面図である。
図5は、頭部支持ネット70に支持された首元用ノズルリンク80の正面図(図4(A)において、各部材を縦方向頭頂側へ向かって見た図)である。
図6は、頭部支持ネット70に支持された首元用ノズルリンク80の背面図(図4(A)において、各部材を縦方向顎側へ向かって見た図)である。
【0026】
上述したように、頭部支持ネット70は、被洗髪者の後頭部を支持する部材である。図4(A)を参照し、頭部支持ネット70によって被洗髪者の後頭部を支持した場合、被洗髪者の後頭部の下方に頭部支持ネット70が位置し、頭部支持ネット70によって、後頭部が支えられた状態となる。これにより、被洗髪者は、頭部支持ネット70により後頭部が支持されつつ、シンク2内に頭部を延在させることができ、頭部を支えるため自身の首に力を入れるといった動作が必要なくなり、被洗髪者の快適性が向上する。一方で、各ノズルリンクと頭部との間に頭部支持ネット70が介在するため、各ノズルリンクから噴射される洗浄水が頭部に噴射されるのを妨げないような設計を行う必要がある。
これを踏まえ、本実施形態では、頭部支持ネット70、及び、これに付随する部材が、以下のような形状を有している。
以下、頭部支持ネット70や、この頭部支持ネット70を支持する首元用ノズルリンク80等の構成について詳述する。
なお、以下の説明において、図4(A)に示すように、頭部支持ネット70によって被洗髪者の頭部を支持した状態において、頭頂部から顎部へと延びる方向を「縦方向」と、また、この縦方向に直行する方向を「横方向」と表現するものとする。
【0027】
首元用ノズルリンク80は、上述したように、シンク2に収めた頭部の首元に対して洗浄水を噴射するノズルリンクである。
首元用ノズルリンク80は、図に示すように、横方向に延びる管状の部材であって、2つの隅部にブラケット81、81が溶接で固定され、このブラケット81,81を介してシンク2の前側の内壁に固定されている。首元用ノズルリンク80の筒部82は、被洗髪者の首元の形状に倣って下に凸に湾曲しており、上部の中央寄りには、所定の間隔をあけて、3つのノズル83、83、83が取り付けられている。
【0028】
首元用ノズルリンク80において、ブラケット81の近傍には、上方へ向かって立ち上がった立上り部90の一端が接続されている。立上り部90は、図3、及び、図4(B)に示すように、側面視略L字形状の部材であり、頭部支持ネット70により頭部を支持した場合における首元が存在する方向と、逆側に向かって湾曲する湾曲部90aが形成されている。
立上り部90に湾曲部90aを形成したのは、以下の理由による。
図4(B)を参照して、立上り部90の湾曲部90aにより、頭部と湾曲部90aとの間に、スペースQが形成されることとなる。そして、このスペースQの存在により、ユーザー(自動洗髪機1を利用したサービスを被洗髪者に提供する美容師等)は、スペースQを介して、自身の手を、被洗髪者の首元付近に届かせることができる。これにより、ユーザーは、例えば、頭部支持ネット70により頭部を支持した状態のままユーザーの首下付近を自身の手によって洗髪したり、また、ユーザーの首元付近を自身の手で支えつつユーザーの上半身を立ち起こしたり、また、ユーザーの首元付近を自身の手で支えつつ、被洗髪者の頭部を頭部支持ネット70にセットしたりといったことが可能となり、ユーザーの利便性、被洗髪者の快適性が向上する。
【0029】
立上り部90の他端には、所定の範囲内で回動可能な状態で、立上り部90に対して頭部支持ネット70を接続するための接続部93が設けられている。
頭部支持ネット70は、図3、及び、図4に示すように、上面視において、縦方向が短手方向となり、横方向が長手方向となる略長方形の形状を有する外枠99を有している。
外枠99は、縦方向(短手方向)に延び、所定の距離だけ間隔をあけて対向する2本の右縦外枠100、左縦外枠101(短手方向に延びる2つの枠体)を備えている。
右縦外枠100、及び、左縦外枠101は、金属等の強度の高い素材によって構成されており、これら枠体に対して、柔軟性、緩衝性があり、かつ、強度の強い部材によって形成されたネット部105が支持されている。
より具体的には、ネット部105において、右縦外枠100、及び、左縦外枠101に対応する位置には、これら枠体に嵌め込まれる嵌め込み部105aが設けられており、この右縦外枠100、及び、左縦外枠101のそれぞれに嵌め込み部105aが嵌め込まれることにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101にネット部105が支持されている。上述したように、ネット部105は、柔軟性、緩衝性を有する部材によって形成されているため、右縦外枠100、及び、左縦外枠101に嵌め込み部105aが嵌め込まれることにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101が、柔軟性、緩衝性を有する部材によりガードされた状態となる。これにより、頭部が右縦外枠100、及び、左縦外枠101に対応する場所に触れた場合であっても、頭部に対して衝撃が加わることはない。
【0030】
このネット部105は、図4に示すように、右縦外枠100、左縦外枠101の一端106のそれぞれを結ぶ上横外枠103と、右縦外枠100、左縦外枠101の他端107のそれぞれを結ぶ下横外枠102と、を備えている。なお、右縦外枠100、左縦外枠101、上横外枠103、及び、下横外枠102により、上面視略長方形の外枠99が構成されている。
そして、右縦外枠100、左縦外枠101、上横外枠103、及び、下横外枠102で囲まれる領域において、縦方向に延びる縦支持部材110が所定の間隔を開けて複数(6つ)設けられている。これら縦支持部材110は、その両端部が上横外枠103、及び、下横外枠102のそれぞれに接続されている。
さらに、右縦外枠100、左縦外枠101、上横外枠103、及び、下横外枠102で囲まれる領域において、縦支持部材110に直交する1つの横支持部材111が設けられている。すなわち、外枠99内において、横支持部材111と、縦支持部材110とが格子状に配置されている。
横支持部材111は、図3、及び、図4に示すように、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられている。横支持部材111が1本であり、かつ、図4に示すように、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられていることの理由については、後述する。
【0031】
図4を参照し、本実施形態では、頭部支持ネット70において、頭部支持ネット70の4隅のうち、短手方向頭頂側の2つの隅115が丸まった形状となっている。
さらに、本実施形態では、右縦外枠100、及び、左縦外枠101について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成となっている。
これらは、以下の理由による。
すなわち、上記のような構成とすることにより、図4に示すように、頭部支持ネット70の右縦外枠100、及び、左縦外枠101の形状が、頭部支持ネット70に支持される後頭部の形状に沿った状態となる。これにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側から下方に向かって鉛直下方へ延びる被洗髪者の髪は、右縦外枠100、及び、左縦外枠101にほとんど触れることなく、従って、これら枠体の接触により屈曲したり、分散したりすることなく、重力に従って鉛直下方へ向かって延びた状態となる。特に、短手方向頭頂側の2つの隅115が丸まっており、かつ、右縦外枠100、及び、左縦外枠101について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成となっているため、図4(A)に示すように、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側に、頭部支持ネット70に係る部材が存在しない髪垂下部117が形成される。この髪垂下部117の存在により、髪垂下部117に対応する被洗髪者の髪は、頭部支持ネット70に係る部材に触れることなく、鉛直下方へ向かって垂れ下がった状態となる。
ここで、被洗髪者の頭部から鉛直下方へ垂れ下がる髪が頭部支持ネット70の接触により屈曲したり、分散したりしている状態の場合、髪がまとまって鉛直下方へ垂れ下がるのではなく、分散してばらばらに鉛直下方へ垂れ下がった状態となり、各ノズルリンクから頭部に向かって噴射される洗浄水により、髪が絡まる可能性が高くなり、また、効率的な洗浄を妨げる原因となる。しかしながら、本実施形態では、頭部支持ネット70の右縦外枠100、及び、左縦外枠101の形状が、頭部支持ネット70に支持される後頭部の形状に沿った状態となっており、これにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側から下方に向かって鉛直下方へ延びる被洗髪者の髪は、右縦外枠100、及び、左縦外枠101にほとんど触れることなく、つまり、これら枠体の接触により屈曲したり、分散したりすることなく、重力に従って鉛直下方へ向かって延びた状態となるため、各ノズルリンクから噴射された洗浄水による髪の絡まりを防止でき、かつ、効率的な洗浄を実現できる。
【0032】
また、上述したように、本実施形態では、頭部支持ネット70の外枠99内において、横支持部材111は、1本であり、かつ、図4に示すように、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられている。これは、以下の理由による。
一般に、人間の後頭部において、髪は、後頭部から首元へ向かう方向に向かって生えているため、横支持部材111を必要最低限の本数である1本しか設けないことにより、頭部支持ネット70の強度を維持しつつ、縦支持部材110のそれぞれの間に形成された縦方向に延びる隙間を縦方向に大きくし、これら隙間から髪を垂らし易くしている。これにより、頭部支持ネット70において髪が束になり、また、からまり、これらに起因して、後頭部に対する洗浄水の噴射が阻害される、といった事態が発生することを好適に防止している。
【0033】
さらに、横支持部材111を、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けている。
これは、被洗髪者の頭部は、首と連結し、この首によって支えられている関係上、頭部支持ネット70に対しては、縦方向頭頂側よりも、縦方向顎側の方に、重み(鉛直下方へ向かう力)が加わる傾向にある。これを踏まえ、本実施形態では、横支持部材111を、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けることにより、頭部支持ネット70により頭部を支持した場合における力の加わり方の偏りを考慮して、適切に、頭部支持ネット70の強度を向上している。
特に、頭部支持ネット70に対して縦方向頭頂側よりも、縦方向顎側の方に、重み(鉛直下方へ向かう力)が加わる傾向にある状況下において、横支持部材111を、外枠99における短手方向の中央部よりも短手方向顎側に設けることにより、上横外枠103、及び、下横外枠102のいずれかが切断された場合であっても、頭部が支持された状態を確実に維持することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る自動洗髪機1では、仰向け姿勢の被洗髪者の首を前記シンクの内側に臨ませた状態で被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネット70を設け、この頭部支持ネット70の外枠99を、頭部支持ネット70に支持された後頭部に沿った形状としている。
より具体的には、頭部支持ネット70において、頭部支持ネット70の4隅のうち、短手方向頭頂側の2つの隅115が丸まった形状となっており、かつ、右縦外枠100、及び、左縦外枠101について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成となっている。
これにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側から下方に向かって鉛直下方へ延びる被洗髪者の髪は、右縦外枠100、及び、左縦外枠101にほとんど触れることなく、従って、これら枠体の接触により屈曲したり、分散したりすることなく、重力に従って鉛直下方へ向かって延びた状態となる。特に、短手方向頭頂側の2つの隅115が丸まっており、かつ、右縦外枠100、及び、左縦外枠101について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成となっているため、図4(A)に示すように、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側に、頭部支持ネット70に係る部材が存在しない髪垂下部117が形成される。この髪垂下部117の存在により、髪垂下部117に対応する被洗髪者の髪は、頭部支持ネット70に係る部材に触れることなく、鉛直下方へ向かって垂れ下がった状態となる。
ここで、被洗髪者の頭部から鉛直下方へ垂れ下がる髪が頭部支持ネット70の接触により屈曲したり、分散したりしている状態の場合、髪がまとまって鉛直下方へ垂れ下がるのではなく、分散してばらばらに鉛直下方へ垂れ下がった状態となり、各ノズルリンクから頭部に向かって噴射される洗浄水により、髪が絡まる可能性が高くなり、また、効率的な洗浄を妨げる原因となる。しかしながら、本実施形態では、頭部支持ネット70の右縦外枠100、及び、左縦外枠101の形状が、頭部支持ネット70に支持される後頭部の形状に沿った状態となっており、これにより、右縦外枠100、及び、左縦外枠101の外側から下方に向かって鉛直下方へ延びる被洗髪者の髪は、右縦外枠100、及び、左縦外枠101にほとんど触れることなく、つまり、これら枠体の接触により屈曲したり、分散したりすることなく、重力に従って鉛直下方へ向かって延びた状態となるため、各ノズルリンクから噴射された洗浄水による髪の絡まりを防止でき、かつ、効率的な洗浄を実現できる。すなわち、被洗髪者の頭部の洗髪を妨げることなく、シンクに収められた後頭部を支持することによって被洗髪者の快適性の向上できる。
【0035】
また、本実施形態では、頭部支持ネット70を、外枠99内で、短手方向に延びる複数の縦支持部材110と、これら縦支持部材110に直交して長手方向に延びる1つの横支持部材111とによって形成された格子状のネットによって形成している。
一般に、人間の後頭部において、髪は、後頭部から首元へ向かう方向に向かって生えているため、横支持部材111を必要最低限の本数である1本しか設けないことにより、頭部支持ネット70の強度を維持しつつ、縦支持部材110のそれぞれの間に形成された縦方向に延びる隙間を縦方向に大きくし、これら隙間から髪を垂らし易くしている。これにより、頭部支持ネット70において髪が束になり、また、からまり、これらに起因して、後頭部に対する洗浄水の噴射が阻害される、といった事態が発生することを好適に防止している。
【0036】
また、本実施形態では、外枠99において、横支持部材111は、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられている。
ここで、被洗髪者の頭部は、首と連結し、この首によって支えられている関係上、頭部支持ネット70に対しては、縦方向頭頂側よりも、縦方向顎側の方に、重み(鉛直下方へ向かう力)が加わる傾向にある。これを踏まえ、本実施形態では、横支持部材111を、外枠99における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けることにより、頭部支持ネット70により頭部を支持した場合における力の加わり方の偏りを考慮して、適切に、頭部支持ネット70の強度を向上している。
特に、頭部支持ネット70に対して縦方向頭頂側よりも、縦方向顎側の方に、重み(鉛直下方へ向かう力)が加わる傾向にある状況下において、横支持部材111を、外枠99における短手方向の中央部よりも短手方向顎側に設けることにより、上横外枠103、及び、下横外枠102のいずれかが切断された場合であっても、頭部が支持された状態を確実に維持することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1では、頭部支持ネット70に支持された頭部の首元の下方で長手方向に延在し、間隔をあけて設けられたノズル83から首元に向かって洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80を設け、頭部支持ネット70と、首元用ノズルリンク80とを首元と逆側に向かって湾曲する立上り部90によって連結した。
これは、以下の理由による。すなわち、図4(B)を参照して、立上り部90の湾曲部90aにより、頭部と湾曲部90aとの間に、スペースQが形成されることとなる。そして、このスペースQの存在により、ユーザー(自動洗髪機1を利用したサービスを被洗髪者に提供する美容師等)は、スペースQを介して、自身の手を、被洗髪者の首元付近に届かせることができる。これにより、ユーザーは、例えば、頭部支持ネット70により頭部を支持した状態のままユーザーの首下付近を自身の手によって洗髪したり、また、ユーザーの首元付近を自身の手で支えつつユーザーの上半身を立ち起こしたり、また、ユーザーの首元付近を自身の手で支えつつ、被洗髪者の頭部を頭部支持ネット70にセットしたりといったことが可能となり、ユーザーの利便性、被洗髪者の快適性が向上する。
【0038】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、自動洗髪機1は、上ノズルリンク11と下ノズルリンク12を備え、これらが協働する構成であったが、ノズルリンクの数や、形状は実施形態の例に限定されない。すなわち、シンク2内で頭部を支える自動洗髪機1に広く本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 自動洗髪機
2 シンク
70 頭部支持ネット
80 首元用ノズルリンク
83 ノズル
90a 湾曲部
99 外枠
100 右縦外枠
101 左縦外枠
102 下横外枠
103 上横外枠
110 縦支持部材
111 横支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、このシンクに収めた頭部を洗髪する洗髪機において、
仰向け姿勢の被洗髪者の首を前記シンクの内側に臨ませた状態で被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネットを設け、
この頭部支持ネットの外枠を、前記頭部支持ネットに支持された後頭部に沿った形状としたことを特徴とする洗髪機。
【請求項2】
前記頭部支持ネットの前記外枠を、
前記頭部支持ネットに支持された頭部の頭頂から顎方向へ延びる方向が短手方向となる略長方形に構成し、
前記頭部支持ネットの4隅のうち、少なくとも、短手方向頭頂側の2隅に丸みを持たせたことを特徴とする請求項1に記載の洗髪機。
【請求項3】
前記頭部支持ネットの前記外枠を構成する4つの枠体のうち、短手方向に延びる2つの枠体について、短手方向顎側から短手方向頭頂側へ向かうに従って、これら枠体の間の距離が縮まる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の洗髪機。
【請求項4】
前記頭部支持ネットを、
前記外枠内で、短手方向に延びる複数の縦支持部材と、これら縦支持部材に直交して長手方向に延びる1つの横支持部材とによって形成された格子状のネットによって形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の洗髪機。
【請求項5】
前記横支持部材は、前記外枠における短手方向の中央部よりも、短手方向顎側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の洗髪機。
【請求項6】
前記頭部支持ネットに支持された頭部の首元の下方で長手方向に延在し、間隔をあけて設けられたノズルから首元に向かって洗浄水を噴射する首元用ノズルリンクを設け、
前記頭部支持ネットと、前記首元用ノズルリンクとを首元と逆側に向かって湾曲する立上り部によって連結したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の洗髪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−24333(P2012−24333A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165794(P2010−165794)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】