説明

洗髪機

【課題】ステッピングモーターの特性を利用して、適宜、ノズルリンクの位置を保持する。
【解決手段】頭部に洗浄水を噴射する上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を、ステッピングモーター91に接続された動力伝達機構101を介して移動可能に構成し、リンク保持スイッチ127を設け、ステッピングモーター91に通電されていない状況で、リンク保持スイッチ127が操作された場合、ステッピングモーター91に通電して上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置を保持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクに収めた頭部を自動で洗髪する洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被洗髪者の頭部を収めるシンクの内側に、頭部に向けて洗浄水を噴射するノズルリンクを備え、このノズルリンクによって被洗髪者の頭部や髪に洗浄水を噴射することにより自動で洗髪を行えるようにした自動洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような自動洗髪機において、ノズルリンクをステッピングモーターの駆動により移動することを想定する。この場合、ステッピングモーターの特性を考慮して、ステッピングモーターに通電されておらず、当該モーターの駆動に伴うノズルリンクの移動が行われていない場合であっても、適宜、ノズルリンクの位置を保持したいとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ステッピングモーターの特性を利用して、適宜、ノズルリンクの位置を保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、このシンクに収めた頭部を洗髪する洗髪機において、頭部に洗浄水を噴射するノズルリンクを、ステッピングモーターに接続された動力伝達機構を介して移動可能に構成し、リンク保持スイッチを設け、前記ステッピングモーターに通電されていない状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターに通電して前記ノズルリンクの位置を保持することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記ステッピングモーターに通電されていない状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、所定の期間、前記ステッピングモーターに通電して前記ノズルリンクの位置を保持することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記ステッピングモーターに通電されて前記ノズルリンクの位置が保持されている状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターへの通電を停止して、前記ノズルリンクの位置の保持を解除することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、洗髪に係る運転を一時的に停止可能な構成とすると共に、洗髪に係る運転の一時停止に伴って、前記ノズルリンクの位置が保持される構成とし、洗髪に係る運転の一時停止に伴って前記ノズルリンクの位置が保持されている間に、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターへの通電を停止して、前記ノズルリンクの位置の保持を解除することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記リンク保持スイッチを、ユーザーが自動洗髪に関する指示入力を行うための指示入力スイッチが複数設けられた操作パネルに配置したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記動力伝達機構は、前記ステッピングモーターの駆動に従って回転するギアを備え、前記ステッピングモーターの駆動に伴う前記ギアの回転を利用して、前記ノズルリンクが回動する構成とすると共に、前記ギアが所定の範囲を超えて回動することを防止するストッパーを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ステッピングモーターの特性を利用して、適宜、ノズルリンクの位置を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自動洗髪機の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】(A)は、図1の要部拡大図であり、(B)は、上ノズルリンク、下ノズルリンクの動きを説明するための図である。
【図3】自動洗髪機に使用する水の流れを示す水路図である。
【図4】自動洗髪機の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】操作パネルを示す図である。
【図6】(A)は、駆動機構が露出した状態のシンクの左側面図であり、(B)は、シンクの正面図である。
【図7】駆動機構の斜視図である。
【図8】自動洗髪機の動作を示すフローチャートである。
【図9】自動洗髪機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1において、1は自動洗髪機を示している。
この自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4と、椅子4を保持する椅子保持台5とを備えている。
【0014】
シンク2は、図1、及び、図2に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支えネット70が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支えネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0015】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて洗浄水(温水、シャンプー液が混入された温水、トリートメント液が混入された温水など)を噴射するための上ノズルリンク11および下ノズルリンク12が配置されている。
上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。
下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。この下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪(想像線で示す。)を洗浄する。また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0016】
上下ノズルリンク11、12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上下ノズルリンク11、12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた洗浄水が各ノズルから噴射される。上下ノズルリンク11、12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。オペレーター(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0017】
自動洗髪機1で使用する水は、図3に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するための第1サーミスター19が配置されている。第1サーミスター19の検知結果に基づいてモーター20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モーター20で調整される電動タイプである。モーター20は、DCモーターまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0018】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図2)が設けられており、設定温度は、オペレーター(ユーザー)が操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(第1サーミスター19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0019】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサー26および第2水位センサー27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の水位に達したことが第2水位センサー27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサー26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、所定の水位を上回る温水が常に貯められた状態となっている。
【0020】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサー26よりも上方)には、第1水位センサー26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンク25の外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバーフロータンク29によって受けられ、このオーバーフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバーフロータンク29内にはオーバーフローセンサー31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバーフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバーフローセンサー31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0021】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバーターから交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、コンディショナー液が収容されたコンディショナー容器36に至るコンディショナー供給管37とが接続されている。なお、コンディショナー容器36には、トリートメント液が収容されていてもよい。シャンプー供給管35およびコンディショナー供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびコンディショナー液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
【0022】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、複数(たとえば、4つ)の分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルター41が設けられていて、その下流側の4つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44の4つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74および排水バルブ44が設けられた4つの分路には、それぞれ、分岐路46、47、75、48が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
【0023】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排出口50が形成されていて、この排出口50は、下水の臭気の逆流を防止するための排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排出口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、排水トラップ51に接続されている。
【0024】
図4は、自動洗髪機1の機能的構成を示すブロック図である。
自動洗髪機1の動作は、マイクロコンピューター92により制御される。マイクロコンピューター92には、第1水位センサー26、第2水位センサー27、オーバーフローセンサー31、第1サーミスター19が接続されており、各センサーから適宜検出値が入力される。また、マイクロコンピューター92には、当該自動洗髪機1の動作内容を設定操作するための操作パネル60からの信号が入力されるようになっている。操作パネル60の構成については、後述する。
また、マイクロコンピューター92には、モーター20、貯湯バルブ24、シャンプー用ポンプ38、コンディショナー用ポンプ39、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、及び、排水バルブ44などが制御対象として接続されている。モーター20にはミキシングバルブ15が接続されていて、マイクロコンピューター92は、モーター20を駆動制御してミキシングバルブ15を開閉させることにより、給水管16へと送られる温水の温度を調節することができる。
【0025】
また、図4に示すように、マイクロコンピューター92には、メインポンプ32に交流電流を供給することにより、メインポンプ32から吐出される洗浄水の吐出圧力を制御するインバーター64が接続されている。図3に示すように、メインポンプ32から吐出された洗浄水は、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43を介して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12のノズルから噴射される。従って、マイクロコンピューター92は、インバーター64を制御することにより、各ノズルリンクのノズルから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御することができる。
また、マイクロコンピューター92には、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御するステッピングモーター91が接続されている。ステッピングモーター91は、マイクロコンピューター92から入力された駆動信号に基づいて、後述する駆動機構89を介して上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する。マイクロコンピューター92は、ステッピングモーター91を制御することにより、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動速度を変更したり、これら上下ノズルリンク11、12を一時停止したりするなど、これら上下ノズルリンク11、12に複雑な移動をさせることができる。自動洗髪機1の自動洗髪時における上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きの具体的な動作については、後述する。
【0026】
図5は、操作パネル60を示す図である。
この操作パネル60は、自動洗髪機1に対して自動洗髪に関する指示入力を行うためのスイッチが複数設けられたパネルであり、ユーザーの操作性、アクセス性がよい場所に設けられている。
図5を参照し、操作パネル60の左上に配置された電源スイッチ120は、自動洗髪機1の電源をオン/オフするスイッチである。
電源スイッチ120に右方に配置されたタンク温度調整スイッチ121は、貯湯タンク25に貯留される水の温度を設定するためのスイッチである。このタンク温度調整スイッチ121が操作されることにより設定された設定温度は、電源スイッチ120と、タンク温度調整スイッチ121との間に形成された設定温度表示パネル126に液晶表示される。マイクロコンピューター92は、貯湯タンク25に貯留される水の温度が設定温度となるよう、モーター20を制御して、ミキシングバルブ15の開閉状態を調整し、水と湯との混合割合を調整する。なお、貯湯タンク25内にヒーターを設け、このヒーターによって貯湯タンク25に貯留された水の温度を調整する構成としてもよい。
【0027】
電源スイッチ120の下方には、貯湯タンク25に水を貯留することを指示する給湯スイッチ122が配置され、この給湯スイッチ122の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を排水することを指示するタンク排水スイッチ123が配置されている。
このタンク排水スイッチ123の右方には、リンク保持スイッチ127が配置されている。このリンク保持スイッチ127については、後述する。
リンク保持スイッチ127の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を使い切ることを指示する使い切りスイッチ124が配置されている。また、給湯スイッチ122の下方には、吸込管33や、分岐路46、47、75、48に滞留した水(すなわち、冷めた可能性のある水)を各ノズルリンクから排出することを指示する初期排水スイッチ125が配置されている。
【0028】
初期排水スイッチ125の右方には、容器選択エリア128が形成されており、容器選択エリア128には、複数の容器選択スイッチ129が配置されている。これら容器選択スイッチ129は、後述するコース運転の実行に際し、コースに含まれる動作行程(後述)のそれぞれにおいて、シャンプー容器34、コンディショナー容器36を含む複数の容器のうち、どの容器に収容された薬液を使用するのかを指示するためのスイッチである。
【0029】
容器選択エリア128の左下方には、フルコーススイッチ130が配置されている。フルコーススイッチ130は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるフルコースを選択するためのスイッチである。
運転コースとは、所定の動作行程が、所定の順序で並べられたものであり、1の運転コースの実行が指示された場合、この運転コースに含まれる一連の動作行程が順番通りに実行される。
動作行程には、例えば、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程や、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程等がある。
本実施形態では、それぞれ内容が異なる複数の運転コース(フルコースや、パワフルコース、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、ヘアケアコースII等)が準備されている。
【0030】
フルコーススイッチ130の右方には、実行する動作行程として、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程を選択するためのスイッチであるシャンプースイッチ131が配置されており、このシャンプースイッチ131の右方には、実行する動作行程として、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程を選択するためのコンディショニングスイッチ132が配置されている。また、シャンプースイッチ131の下方には、実行する行程として、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程を選択するためのすすぎスイッチ133が配置されている。
本実施形態では、シャンプー行程、コンディショニング行程、及び、すすぎ行程のいずれかのみの実行を指示することが可能である。
また、すすぎスイッチ133の右方には、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるパワフルコースを選択するためのパワフルコーススイッチ134が配置されている。
【0031】
上記のコンディショニングスイッチ132の右斜め下方には、デリケートスイッチ136が配置されている。デリケートスイッチ136は、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人を洗髪する場合に操作されるスイッチであり、このデリケートスイッチ136が操作された場合、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人に対応した洗い方による洗髪が実行される。
【0032】
スキャルプケアスイッチ138は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるスキャルプケアコースを選択するためのスイッチであり、ヘアケアスイッチ139は、実行する運転コースとして、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIを選択するためのスイッチである。
【0033】
これらスキャルプケアスイッチ138、及び、ヘアケアスイッチ139の下方には、髪長選択スイッチ141が配置されている。髪長選択スイッチ141は、被洗髪者の髪の長さを選択するスイッチである。本実施形態では、髪の長さが4段階に区分されており、4段階のうちのいずれかの段階を選択可能である。マイクロコンピューター92は、髪の長さに応じて、各ノズルリンクの移動を制御し、また、ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御する。
【0034】
髪長選択スイッチ141の下方には、残り時間表示パネル142が形成され、この残り時間表示パネル142の右方には、残り時間調整スイッチ143が配置されている。
残り時間表示パネル142には、運転コースが実行されている場合には、運転コースの実行が終了するまでの残り時間が表示され、1つの動作行程の実行が指示されている場合は、当該動作行程が終了するまでの残り時間が表示される。また、残り時間調整スイッチ143は、残り時間を延長し、また、短縮する際に操作されるスイッチである。
残り時間調整スイッチ143の下方には、水圧調整スイッチ144が配置されている。水圧調整スイッチ144は、各ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を調整するためのスイッチである。
【0035】
この水圧調整スイッチ144の下方には、スタート/ストップ指示スイッチ145が配置されている。
このスタート/ストップ指示スイッチ145は、実行する運転コースとして1つの運転コースが選択されている場合や、実行する動作行程として1つの動作行程の実行が指示された場合において、実際に運転コースの実行の開始をする際や、実際に1つの動作行程の開始を指示する際に操作されるスイッチであり、このスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されることにより運転コースに係る動作や、1つの動作行程に係る動作の実行が開始される。また、スタート/ストップ指示スイッチ145は、運転コースに係る動作や、1の動作行程に係る動作の実行中に、当該動作を一時的に中止する際に操作されるスイッチであり、自動洗髪機1の動作中にこのスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が一時的に中断され、再び、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が再開する。
【0036】
次いで、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の動作について詳述する。
上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、共に片持ち支持した状態で、同期して反復移動可能に構成されている。
具体的には、図2(B)を参照して、上ノズルリンク11は、回転軸Aを中心に矢印C方向に回転を開始し、図2に示す頭頂位置T1から回転して、後頭位置T2に至り、そこから矢印E方向に逆回転して頭頂位置T1に戻るという反復移動が可能である。ここで、上ノズルリンク11が頭頂位置T1にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y1方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の頭頂部付近に洗浄水が噴射されることとなるため、頭頂位置T1は、被洗髪者の頭部の頭頂部に対応した位置である。また、上ノズルリンク11が後頭位置T2にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y2方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水が噴射されることとなるため、後頭位置T2は、被洗髪者の頭部の後頭部に対応した位置である。
【0037】
一方、下ノズルリンク12は、回転軸Bを中心に矢印D方向に回転を開始し、図2に示す髪位置T3から回転して、首元位置T4に至り、そこから矢印F方向に逆回転して髪位置T3に戻るという反復移動が可能である。ここで、下ノズルリンク12が髪位置T3にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y3方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の垂れ下がった髪に洗浄水が噴射されることとなるため、髪位置T3は、シンク2に収められた頭部から垂れ下がる髪に対応する位置である。また、下ノズルリンク12が首元位置T4にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y4方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の首元付近に洗浄水が噴射されることとなるため、首元位置T4は、被洗髪者の首元に対応した位置である。
【0038】
本実施形態では、後述する駆動機構89(図6、図7)により、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、以下のように同期して移動する。
すなわち、図2(B)を参照して、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している場合、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置する構成となっている。そして、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置し、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置しているものとして、上ノズルリンク11が矢印C方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印D方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったときに略同時に下ノズルリンク12が首元位置T4に至る。さらに、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至り、下ノズルリンク12が首元位置T4に至った後は、これらノズルリンクのそれぞれは反転して移動する。すなわち、上ノズルリンク11が後頭位置T2に、下ノズルリンク12が首元位置T4にあるとして、上ノズルリンク11が矢印Cと逆方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印Dと逆方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったときに同時に下ノズルリンク12が髪位置T3に至る。
【0039】
ここで、例えば、上ノズルリンク11が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと同じ方向へ移動する一方、下ノズルリンク12が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと逆方向へ移動する等、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が異なる場合、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれが、髪の生える向きに対してそれぞれ異なる方向から被洗髪者の頭部および髪に対して洗浄水を噴射することになり、髪がからまるという事態が生じることがある。
しかしながら、上述したように、上ノズルリンク11と、下ノズルリンク12とが同期して同じ方向に動くよう構成されているため、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が常に一致し、髪がからまるという事態が発生することを防止することができる。
さらに、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動中、これらノズルリンクが確実に接触しないようにすることができる。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、マイクロコンピューター92の制御の下、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能である。
【0040】
次いで、上述したような上ノズルリンク11と下ノズルリンク12との同期した動きを実現する駆動機構89について説明する。
【0041】
図6(A)は、シンク保持台3を取り外してシンク2の側面を露出させた状態におけるシンク2の左側面図である。この図では、マイクロコンピューター92を模式的に示している。また、図6(B)は、当該状態におけるシンク2の正面図(正面視で略左半分を示す正面図)である。
図7は、駆動機構89の斜視図である。
【0042】
図6(A)に示すように、シンク2の左側面90において、下部には、ステッピングモーター91が設けられている。このステッピングモーター91は、モーター駆動回路(不図示)に接続されており、マイクロコンピューター92の制御の下、モーター駆動回路から駆動パルスが入力され、入力された駆動パルスに基づいて所定方向に所定の距離だけ回動する。周知のように、ステッピングモーター91は、駆動パルスの数に比例してその運動量が規定されるため、マイクロコンピューター92による正確な位置決め制御を実現可能である。
【0043】
ステッピングモーター91には、ステッピングモーター91の回転駆動力を、上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12に伝達する動力伝達機構101が接続されている。
以下、動力伝達機構101について詳述する。
【0044】
ステッピングモーター91の上方には、下ギア93が設けられている。この下ギア93と、ステッピングモーター91のローター軸に取り付けられたプーリー(不図示)とには、ステッピングモーター91の回転駆動力を下ギア93に伝達するための下タイミングベルト94が巻き回されており、ステッピングモーター91の回転に応じて、所定の減速比で減速されて下ギア93が回転する。
この下ギア93の出力軸には、下ノズルリンク12が接続されており、下ノズルリンク12は、下ギア93の回転に応じて回動する。具体的には、下ギア93が図6(A)に示す矢印X方向に回転した場合、下ノズルリンク12は、髪位置T3から首元位置T4へ向かう方向(矢印Dに示す方向)へ回動し、また、下ギア93が図6(A)に示す矢印Y方向に回転した場合、下ノズルリンク12は、首元位置T4から髪位置T3へ向かう方向(矢印Fに示す方向)へ回動する。下ノズルリンク12は、マイクロコンピューター92の制御の下、上ノズルリンク11と同期して、髪位置T3と、首元位置T4との間を回動する構成となっているが、これについては後述する。
【0045】
下ギア93の上方には、この下ギア93に噛合する上ギア96が設けられている。上ギア96は、下ギア93の回転に応じて、下ギア93の回転方向と逆方向に回転する。
この上ギア96の上方には、プーリー97が設けられており、上ギア96と、プーリー97とには、上ギア96の回転駆動力をプーリー97に伝達するための上タイミングベルト98が巻き回されており、上ギア96の回転に応じて、プーリー97が回転する構成となっている。
このプーリー97の出力軸には、上ノズルリンク11が接続されており、上ノズルリンク11は、上ギア96の回転に応じて回動する。具体的には、上ギア96が図6(A)に示す矢印Y方向に回転した場合(このとき下ギア93は矢印X方向に回転している)、上ノズルリンク11は、頭頂位置T1から後頭位置T2へ向かう方向(矢印Cに示す方向)へ回動し、また、上ギア96が図6(A)に示す矢印X方向に回転した場合(このとき下ギア93は矢印Y方向に回転している)、上ノズルリンク11は、後頭位置T2から頭頂位置T1へ向かう方向(矢印Eに示す方向)へ回動する。上ノズルリンク11は、マイクロコンピューター92の制御の下、下ノズルリンク12と同期して、頭頂位置T1と、後頭位置T2との間を回動する構成となっているが、これについては後述する。
【0046】
次いで、駆動機構89の駆動に伴う上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12の同期した動きについて詳述する。
まず、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置し、かつ、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置しているものとする。この場合において、マイクロコンピューター92は、ステッピングモーター91を図6(A)の矢印X方向に回転する。このステッピングモーター91の矢印X方向への回転に伴って、下ギア93が矢印X方向へ回転し、この下ギア93の矢印X方向への回転に伴って、髪位置T3に位置する下ノズルリンク12が矢印D方向へ回動する。
さらに、下ギア93の矢印X方向への回転に伴って、上ギア96が矢印Y方向へ回転し、この上ギア96の矢印Y方向への回転に伴って、プーリー97が矢印Y方向へ回転し、このプーリー97の矢印Y方向への回転に伴って、頭頂位置T1に位置する上ノズルリンク11が矢印C方向へ回動する。
このようにして、上ノズルリンク11が頭頂位置T1から後頭位置T2へ向かって移動するのと同期して、下ノズルリンク12が髪位置T3から首元位置T4へ向かって移動する。
【0047】
さらに、下ノズルリンク12がの矢印D方向へ回動した結果、下ノズルリンク12が首元位置T4に至ると、これと同時に、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至る構成となっている。すなわち、本実施形態では、下ノズルリンク12が首元位置T4に至るのと同時に、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至るよう、上ギア96や、下ギア93、プーリー97、その他のノズルリンクの回動に係る部材が設計されている。
そして、下ノズルリンク12が首元位置T4に至り、これと併せて上ノズルリンク11が後頭位置T2に至った場合、マイクロコンピューター92の制御の下、ステッピングモーター91が図6(A)における反時計回り(図6(A)において矢印Yで示す方向)に回転する。
このステッピングモーター91の矢印Y方向への回転に伴って、下ギア93が矢印Y方向へ回転し、この下ギア93の矢印Y方向への回転に伴って、首元位置T4に位置する下ノズルリンク12が矢印F方向へ回動する。
さらに、下ギア93の矢印Y方向への回転に伴って、上ギア96が矢印X方向へ回転し、この上ギア96の矢印X方向への回転に伴って、プーリー97が矢印X方向へ回転し、このプーリー97の矢印X方向への回転に伴って、後頭位置T2に位置する上ノズルリンク11が矢印E方向へ回動する。
このようにして、上ノズルリンク11が後頭位置T2から頭頂位置T1へ向かって移動するのと同期して、下ノズルリンク12が首元位置T4から髪位置T3へ向かって移動する。
【0048】
また、図6(A)に示すように、上ギア96には、ギア位置検知スイッチ100が設けられている。このギア位置検知スイッチ100は、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったこと、また、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったことを検出するためのマグネット式センサーである。上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至る位置に、上ギア96が位置した場合、上ギア96に設けられた図示せぬマグネットにより、ギア位置検知スイッチ100の接点が導通し、マイクロコンピューター92の所定のポートにその旨の信号が出力される。当該信号が入力されたマイクロコンピューター92は、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったことを検出する。これと同時に、マイクロコンピューター92は、上ノズルリンク11と同期して動く下ノズルリンク12が髪位置T3に至ったことを検出する。
同様に、上ノズルリンク11が後頭位置T2至る位置に、上ギア96が位置した場合、上ギア96に設けられた図示せぬマグネットにより、ギア位置検知スイッチ100の接点が導通し、マイクロコンピューター92の所定のポートにその旨の信号が出力される。当該信号が入力されたマイクロコンピューター92は、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったことを検出する。これと同時に、マイクロコンピューター92は、上ノズルリンク11と同期して動く下ノズルリンク12が首元位置T4に至ったことを検出する。
【0049】
なお、マイクロコンピューターは、ステッピングモーター91に出力した駆動パルス数から算出される回転ステップ数、及び、ギア位置検知スイッチ100の検出値に基づいて、絶えず、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置を管理しつつ、これらノズルリンクを移動させる。
【0050】
さらに、上ギア96には、扇状に切り欠かれて形成された切り欠き部110が形成されている。この切り欠き部110は、上ギア96において、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を上述した範囲で回動した場合に、下ギア93と噛合、接触することがないことが確実な部位に設けられている。
そして、上ギア96の切り欠き部110に対応する部分には、右ストッパー111、及び、左ストッパー112が設けられている。
これら右ストッパー111、及び、左ストッパー112は、上ノズルリンク11が頭頂位置T1を超えて矢印E方向へ回動することを機械的に規制すると共に、上ノズルリンク11が後頭位置T2を超えて矢印C方向へ回動することを機械的に規制するための部材である。
具体的には、上ノズルリンク11が頭頂位置T1を超えて矢印E方向へ回動するように、上ギア96が矢印X方向へ回転した場合、左ストッパー112に、上ギア96の切り欠き部110において左ストッパー112に対応する面114(図7参照)が当接する。これにより、上ギア96の回動が規制され、これに伴って、上ノズルリンク11が頭頂位置T1を超えて矢印E方向へ回動することが機械的に規制される。なお、これと同時に、上ノズルリンク11と同期して動く下ノズルリンク12が髪位置T3を超えて矢印F方向へ回動することが規制される。
同様に、上ノズルリンク11が後頭位置T2を超えて矢印C方向へ回動するように、上ギア96が矢印Y方向へ回転した場合、右ストッパー111に、上ギア96の切り欠き部110において右ストッパー111に対応する面115(図7参照)が当接する。これにより、上ギア96の回動が規制され、これに伴って、上ノズルリンク11が後頭位置T2を超えて矢印C方向へ回動することが機械的に規制される。これと同時に、上ノズルリンク11と同期して動く下ノズルリンク12が首元位置T4を超えて矢印D方向へ回動することが規制される。
このように、本実施形態では、上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12が所定の範囲を超えて回動することを機械的に規制することにより、確実に、当該回動を防止している。
なお、右ストッパー111、及び、左ストッパー112にゴム等の柔軟性、緩衝性を有する部材を巻き回すことにより、これらストッパーに上ギア96が当接したときのショックを和らげる構成としてもよい。
【0051】
次いで、リンク保持スイッチ127について詳述する。
【0052】
上述したように、本実施形態では、ステッピングモーター91に、動力伝達機構101を介して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12が接続されており、ステッピングモーター91の駆動に伴って、これらノズルリンクが回動する構成となっている。
このように駆動モーターとしてステッピングモーター91を採用するのは、自動洗髪を実行する自動洗髪機1では、マッサージ効果を実現し、また、効率的な洗浄を実現するために、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12に複雑な動きをさせることが求められるからである。ステッピングモーター91は、正確な位置決め制御を実現できるため、例えば、各ノズルリンクを短時間の間に所定の範囲を往復させたり、各ノズルリンクを速度を変更しつつ移動させたりする等の、複雑な動作を実現できる。
一方で、ステッピングモーター91は、通電されていない間は、その出力軸の位置(=各ノズルリンクの位置)が保持されないという特性がある。
そして、リンク保持スイッチ127は、ステッピングモーター91の当該特性を考慮して設けられたスイッチである。
【0053】
図8は、ステッピングモーター91に対して通電されていない状況下において、リンク保持スイッチ127が操作された場合における自動洗髪機1の動作を示すフローチャートである。
ステッピングモーター91に対して通電されていない状況下では、ステッピングモーター91による各ノズルリンクの位置の保持がなされず、従って、各ノズルリンクは位置決めされていないフリーな状態となる。この場合、ユーザーは、各ノズルリンクを把持しつつ、所望の位置に各ノズルリンクを移動させることができる。
なお、上述したように、上ノズルリンク11と、下ノズルリンク12とは同期して動くため、上ノズルリンク11を所定の位置に移動させた場合、下ノズルリンク12も同期して、当該所定の位置に対応する位置に移動する。
【0054】
図8を参照し、ステッピングモーター91に対して通電されていない状況下で、リンク保持スイッチ127が操作された場合(ステップSA1)、マイクロコンピューター92は、位置保持のために通電する(ステップSA2)。これにより、ステッピングモーター91の出力軸の位置が保持され、これに伴って、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置が保持される。
次いで、マイクロコンピューター92は、予め定められた所定期間のカウントダウンを開始する(ステップSA3)。この所定期間とは、ステッピングモーター91に対して位置保持のための通電を継続して実行することによるステッピングモーター91の過度の発熱を防止するために設けられた期間である。
次いで、マイクロコンピューター92は、再び、リンク保持スイッチ127が操作されたか否かを監視しつつ(ステップSA4)、所定期間が経過したか否かを監視する(ステップSA5)。
所定期間が経過した場合(ステップSA5:YES)、又は、所定期間の経過の前にリンク保持スイッチ127が操作された場合(ステップSA4:YES)、マイクロコンピューター92は、位置保持のための通電を停止する(ステップSA6)。これにより、ステッピングモーター91の出力軸の位置の保持が解除され、これに伴って、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置の保持が解除され、これらノズルリンクがフリーな状態となる。
なお、上述した所定期間が経過する前(例えば、数秒前)に、しばらくした後に位置保持のための通電が停止され、上ノズルリンク11や、下ノズルリンク12の保持が解除される旨の警告を行うことにしてもよい。これにより、ユーザーが認識することなく、突然、上ノズルリンク11や、下ノズルリンク12の保持が解除されるといった事態が発生することを防止できる。上記警告は、例えば、操作パネル60に設けられた表示パネルに表示したり、また、図示せぬ音声出力部によって音声出力したりして行うことができる。
【0055】
このように、ステッピングモーター91に対して通電されていない状況下で、リンク保持スイッチ127が操作された場合は、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置の保持が開始される。そして、所定期間が経過するか、又は、再びリンク保持スイッチ127が操作された場合、各ノズルリンクの位置の保持が解除される。
【0056】
リンク保持スイッチ127は、例えば、以下のような状況で利用される。
例えば、シンク2に対して被洗髪者の頭部をセットする場合において、シンク2内に被洗髪者の髪を垂らす場合に、シンク2内で垂れ下がる髪の邪魔にならないような位置に上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を一時的に固定したいとユーザーが考えたとする。この場合、ユーザーは、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12のいずれか一方のノズルリンクを把持し、垂れ下がる髪の邪魔にならないような位置に上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を移動し、当該位置に各ノズルリンクが位置している状態を維持しつつ、リンク保持スイッチ127を操作する。
すると、リンク保持スイッチ127の操作をトリガーとして、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置が保持される。すなわち、ユーザーがノズルリンクの把持を解除しても、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12が、垂れ下がる髪の邪魔にならないような位置に位置した状態が保持される。
各ノズルリンクをこのような状態とした後、ユーザーは、自身の両手を利用して、被洗髪者の頭部をシンク2内にセットする。その際、ユーザーは、自身の両手を利用できるため、非常に効率よく被洗髪者の頭部をシンク2内にセットできると共に、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12が、垂れ下がる髪の邪魔にならないような位置に位置した状態が保持されるため、スムーズに被洗髪者の頭部をシンク2内にセットできる。
【0057】
また例えば、シンク2から被洗髪者の頭部を取り外す場合において、シンク2内で垂れ下がる髪をシンク2から引き抜く際に邪魔にならないような位置に上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を一時的に固定したいとユーザーが考えたとする。この場合、ユーザーは、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12のいずれか一方のノズルリンクを把持し、垂れ下がる髪を引き抜く際に邪魔にならないような位置に上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を移動し、当該位置に各ノズルリンクが位置している状態を維持しつつ、リンク保持スイッチ127を操作する。
すると、リンク保持スイッチ127の操作をトリガーとして、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置が保持される。すなわち、ユーザーがノズルリンクの把持を解除しても、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12が、垂れ下がる髪を引き抜く際に邪魔にならないような位置に位置した状態が保持される。
各ノズルリンクをこのような状態とした後、ユーザーは、自身の両手を利用して、被洗髪者の頭部をシンク2から取り外す。その際、ユーザーは、自身の両手を利用できるため、非常に効率よく被洗髪者の頭部をシンク2から取り外すことができると共に、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12が、垂れ下がる髪を引き抜く際に邪魔にならないような位置に位置した状態が保持されるため、スムーズに被洗髪者の頭部をシンク2内から取り外せる。
【0058】
次いで、自動洗髪機1による自動洗髪に係る動作の一時停止中に、リンク保持スイッチ127が操作された場合における自動洗髪機1の動作について説明する。
【0059】
図9は、上記動作の実行時における自動洗髪機1の動作を示すフローチャートである。
上述したように、自動洗髪機1の動作中に、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作される(ステップSB1)と、自動洗髪機1の動作が一時停止される。この場合、ステッピングモーター91は、通電された状態が維持され、一時停止が開始したときの上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12の位置が保持される。その際、マイクロコンピューター92は、RAM等の記憶領域に、これらノズルリンクの位置を示す情報を記憶する。
なお、ユーザーが自動洗髪機1を一時停止する場合には、例えば、自動洗髪機1に一時停止をすべきような問題が発生したり、また、被洗髪者の要望があったりすることにより、一時停止する必要が生じた場合等がある。
次いで、マイクロコンピューター92は、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたか否か(ステップSB2)、及び、リンク保持スイッチ127が操作されたか否か(ステップSB3)を監視する。
【0060】
スタート/ストップ指示スイッチ145が操作された場合(ステップSB2:YES)、マイクロコンピューター92は、復帰動作を実行する(ステップSB4)。復帰動作とは、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を、自動洗髪機1が一時停止されたときの位置に移動させる動作であり、マイクロコンピューター92は、RAM等の記憶領域に記憶されたノズルリンクの位置を示す情報、ステッピングモーター91に出力した駆動パルス数から算出される回転ステップ数、及び、ギア位置検知スイッチ100の検出値に基づいて、これらノズルリンクを、自動洗髪機1が一時停止されたときの位置に移動させる。
この復帰動作は、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置がユーザーによって移動されることもあり得るため(例えば、後述するように、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置保持が解除された上でこれらノズルリンクが移動される場合がある)、このような場合であっても、これらノズルリンクの位置を、一時停止時の位置に戻した上で、自動洗髪に係る動作を再開するために行われる動作である。
次いで、マイクロコンピューター92は、一時停止した状態から動作を再開する(ステップSB5)
このように、本実施形態では、一時停止後にスタート/ストップ指示スイッチ145が操作された場合は、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12が、一時停止したときの位置に戻された上で、動作を再開する。
【0061】
一方、一時停止中、リンク保持スイッチ127が操作された場合(ステップSB3:YES)、マイクロコンピューター92は、ステッピングモーター91に対する通電を停止し、これにより、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を、その位置が保持されていない状態とする(ステップSB6)。
ここで、一時停止中にリンク保持スイッチ127が操作される場合には、以下のようなケースがある。例えば、自動洗髪機1に一時停止をすべきような問題が発生し、被洗髪者の頭部をシンク2から取り外す必要が生じた場合に、ユーザーは、自動洗髪機1の動作を一時停止し、これにより、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の移動を一旦停止した上で、被洗髪者の頭部をシンク2から取り外し、さらに、リンク保持スイッチ127を操作して、これノズルリンクの位置の保持を解除するようなケースである。
【0062】
ステップSB6においてステッピングモーター91に対する通電を停止した後、マイクロコンピューター92は、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたか否かを監視する(ステップSB7)
スタート/ストップ指示スイッチ145が操作された場合(ステップSB7:YES)、マイクロコンピューター92は、復帰動作を実行し(ステップSB4)、自動洗髪機1による自動洗髪に係る動作を再開する。
これにより、例えば、自動洗髪機1に発生したエラーが解消した後、再び、被洗髪者をシンク2にセットし、自動洗髪に係る動作を再開する、といったことが可能となる。
【0063】
このように、本実施形態では、自動洗髪機1の動作の一時停止中に、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作された場合は、動作が再開され、一方、リンク保持スイッチ127が操作された場合は、各ノズルリンクの保持が解除される構成となっている。
これにより、ユーザーは、自動洗髪機1の動作の一時停止後、状況に応じて、動作を再開させることもでき、また、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置の保持を解除させることもできる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る自動洗髪機1では、頭部に洗浄水を噴射する上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を、ステッピングモーター91に接続された動力伝達機構101を介して移動可能に構成している。そして、操作パネル60にリンク保持スイッチ127を設け、ステッピングモーター91に通電されていない状況で、リンク保持スイッチ127が操作された場合、ステッピングモーター91に通電して各ノズルリンクの位置を保持する。
これによれば、ステッピングモーター91に通電されていない状況であっても、リンク保持スイッチ127を操作することにより、ステッピングモーター91の特性を利用して、適宜、各ノズルリンクの位置を保持できる。
【0065】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1では、ステッピングモーター91に通電されていない状況で、リンク保持スイッチ127が操作された場合、所定の期間の間、ステッピングモーター91に通電して上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置を保持する。
これによれば、所定の期間を超えてステッピングモーター91に継続して通電され、ステッピングモーター91が過度に発熱する、といった事態が発生することを防止できる。
【0066】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1では、ステッピングモーター91に通電されて上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置が保持されている状況で、リンク保持スイッチ127が操作された場合、ステッピングモーター91への通電を停止して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の位置の保持を解除する。
これによれば、各ノズルリンクの保持を開始するために設けられたリンク保持スイッチ127を利用して、適切に、各ノズルリンクの保持を解除できる。特に、各ノズルリンクの保持を解除するための専用のスイッチを設ける必要がないため、製造コストの削減を実現できる。
【0067】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1では、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12の移動を一時的に停止可能な構成となっている。そして、各ノズルリンクの移動の一時停止中に、リンク保持スイッチ127が操作された場合、ステッピングモーター91への通電が停止されて、各ノズルリンクの位置の保持が解除される。
これによれば、各ノズルリンクを一時停止した後、各ノズルリンクの位置の保持を解除した方がよいような状況では、リンク保持スイッチ127を操作することにより、各ノズルリンクの位置の保持を解除できる。
【0068】
また、本実施形態では、リンク保持スイッチ127を、ユーザーが自動洗髪に関する指示入力を行うための指示入力スイッチが複数設けられた操作パネル60に配置している。
これによれば、リンク保持スイッチ127は、ユーザーの操作性、アクセス性がよい場所に設けられることとなり、ユーザーは、必要に応じて、適切にリンク保持スイッチ127を操作できる。さらに、ユーザーは、自身の片手で、各ノズルリンクを把持しつつ、リンク保持スイッチ127を操作する、といった動作を実行できる。
【0069】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1では、動力伝達機構101は、ステッピングモーター91の駆動に従って回転する上ギア96を備え、ステッピングモーター91の駆動に伴う上ギア96の回転を利用して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12が回動する構成となっている。そして、動力伝達機構101が備える上ギア96が所定の範囲を超えて回動することを防止する右ストッパー111、及び、左ストッパー112を設けている。
これによれば、上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12が所定の範囲を超えて回動することを機械的に規制でき、確実に、当該回動を確実に防止できる。
【0070】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、上ノズルリンク11と下ノズルリンク12とを備えていたが、ノズルリンクの形状、動き、本数等は、上述した実施形態で説明したものに限らない。すなわち、複数のノズルリンクを備える自動洗髪機1に広く本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 自動洗髪機
2 シンク
11 上ノズルリンク(ノズルリンク)
12 下ノズルリンク(ノズルリンク)
60 操作パネル
91 ステッピングモーター
93 下ギア(ギア)
96 上ギア(ギア)
101 動力伝達機構
111 右ストッパー(ストッパー)
112 左ストッパー(ストッパー)
127 リンク保持スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、このシンクに収めた頭部を洗髪する洗髪機において、
頭部に洗浄水を噴射するノズルリンクを、ステッピングモーターに接続された動力伝達機構を介して移動可能に構成し、
リンク保持スイッチを設け、
前記ステッピングモーターに通電されていない状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターに通電して前記ノズルリンクの位置を保持することを特徴とする洗髪機。
【請求項2】
前記ステッピングモーターに通電されていない状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、所定の期間、前記ステッピングモーターに通電して前記ノズルリンクの位置を保持することを特徴とする請求項1に記載の洗髪機。
【請求項3】
前記ステッピングモーターに通電されて前記ノズルリンクの位置が保持されている状況で、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターへの通電を停止して、前記ノズルリンクの位置の保持を解除することを特徴とする請求項1又は2に記載の洗髪機。
【請求項4】
洗髪に係る運転を一時的に停止可能な構成とすると共に、洗髪に係る運転の一時停止に伴って、前記ノズルリンクの位置が保持される構成とし、
洗髪に係る運転の一時停止に伴って前記ノズルリンクの位置が保持されている間に、前記リンク保持スイッチが操作された場合、前記ステッピングモーターへの通電を停止して、前記ノズルリンクの位置の保持を解除することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の洗髪機。
【請求項5】
前記リンク保持スイッチを、ユーザーが自動洗髪に関する指示入力を行うための指示入力スイッチが複数設けられた操作パネルに配置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の洗髪機。
【請求項6】
前記動力伝達機構は、前記ステッピングモーターの駆動に従って回転するギアを備え、前記ステッピングモーターの駆動に伴う前記ギアの回転を利用して、前記ノズルリンクが回動する構成とすると共に、前記ギアが所定の範囲を超えて回動することを防止するストッパーを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の洗髪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−24334(P2012−24334A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165795(P2010−165795)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】