説明

活動量計

【課題】活動量を評価する情報を出力する活動量計を提供する。
【解決手段】活動量計は、被測定者の身体の活動量を取得する活動量取得部11を有する。そして、単位期間の目標消費カロリーと、活動量取得部11が単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得し、体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得する。取得した第1指標と第2指標とに基づく活動量の評価情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定者の身体の活動量を測定する活動量計に関し、特に、身体活動量に関する情報を出力する活動量計に関する。
【背景技術】
【0002】
活動量計としては、特許文献1と2には、加速度センサを利用して身体活動の運動強度または消費カロリーを計測する方法が示される。特許文献1の活動量計では、加速度センサの出力信号から、一定時間twにおける加速度の標準偏差Swが算出され、予め用意された換算式を用いて標準偏差Swから運動強度wiが算出される。また、特許文献2の装置では、3軸の加速度からベクトル合成によって運動質量の力積が計算され、運動種類に対応して力積から消費エネルギーが計算される。運動種類は、合成ベクトルによる力積と、前後、左右、上下方向の力積との比に基づいて判定される。
【0003】
特許文献3では、消費エネルギー履歴と基準データとを比較して、ユーザの活動状態がどの年代の活動パターンに相当するかが算出される。
【0004】
特許文献4では、算出した活動量から食事摂取量を判定し、その結果を表示する構成が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−204446号公報
【特許文献2】特開2001−258870号公報
【特許文献3】特開2010−17525号公報
【特許文献4】特開2008−250967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1または2の活動量計は、被測定者の活動量を消費カロリーとして出力するが、消費カロリーが同年齢の人に比較して多いのか少ないのか、また、何歳ぐらいの人の消費カロリーに相当するのかわかりにくい。これを補うために、特許文献3では、ユーザの活動状態がどの年代の活動パターンに相当するかが算出される。
【0007】
その一方で、近年の健康志向の高まりから、ユーザは個人毎に、活動量(消費カロリー)を評価し、健康志向を満足させるようなアドバイスを求めているが、上述の従来の技術は、その要求に応えるものではなかった。
【0008】
それゆえに、この発明の目的は、活動量を評価する情報を出力する活動量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る活動量計は、被測定者の身体の活動量を取得する活動量取得手段と、単位期間の目標消費カロリーと、活動量取得手段が単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得する手段と、体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得する手段と、取得された第1指標と第2指標とに基づく活動量の評価情報を出力する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、活動量を評価する情報を出力することができる活動量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る活動量計の外観と装着態様を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る活動量計を含むシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る活動量計の機能構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るメモリの記憶内容例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る表示の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る表示の他の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る老化指数の算出のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る老化指数に対応したメッセージのテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては同一または対応する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰返さない。
【0013】
まず、本実施の形態で用いる用語について説明する。本実施の形態では、「活動年齢」とは、所定期間において活動した場合の被測定者の消費カロリーの総量を、同一の期間で活動することにより消費する人の標準的(または平均的)年齢を表している。ここでは、説明を簡単にするために、所定期間は1日単位とする。
【0014】
また、「実年齢」とは、暦に従う年齢(生まれた時から数えた年齢)を指す。
また、「体年齢」とは、身体の年齢を、より特定的には身体組成に基づく体の年齢を指す。身体組成の情報としては、代表的には、基礎代謝量を用いるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
本実施の形態では、身体の活動強度を指す指標としてMETs(METs:Medical Evangelism Training & Strategies)を用いる。METsとは、身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す単位であり座って安静にしている状態が1METs、普通歩行が3METsに相当する。
【0016】
また、エクササイズ(Ex)とは身体の活動量を表す単位であり、身体の活動強度(METs)に身体活動の実施時間(時:Hour)をかけたものである。
【0017】
本実施の形態では、活動量計として歩数を計測するものを例示するが、歩数計測によるものに限定されない。つまり、運動や生活活動(たとえば、掃除機をかける、荷物運び、炊事など)を含む身体活動による活動量を測定することができる機能を有する装置であればよい。活動量計は複数の被測定者により共用可能であるが、ここでは説明を簡単にするために使用する被測定者は1人であると想定する。
【0018】
図1の(A)を参照して、活動量計100の筐体には、カウントされた歩数、活動強度、活動年齢などの各種情報が表示可能なディスプレイ20、および被測定者による操作を受け付けるための各種のボタンを有する操作部30が設けられる。操作部30は、活動年齢の出力を要求するために被測定者が操作するボタン31を含む。
【0019】
被測定者は、図1の(B)に示されるように、衣服のポケット等に活動量計100を収容した状態で運動や生活活動を含む身体活動を行う。
【0020】
図2を参照して、活動量計100を含むシステムを参照しつつ、ハードウェア構成を説明する。システムは、活動量計100、外部の装置200および300を含み、これらは相互に通信する。
【0021】
活動量計100はハードウェアとして、たとえば、全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)10、ディスプレイ20、操作部30、加速度センサとMPU(Micro-Processing Unit)を含む加速度センサ部40、CPU10で実行されるプログラム、データなどを記憶するためのメモリ50、外部装置と無線または有線により通信するための通信I/F(Interfaceの略)60、電池等の電源70、音声を出力するための音声出力部80、および計時して時間データを出力するタイマ90を含む。
【0022】
活動量計100は、通信I/F60を介して外部の装置200および300と無線または有線により通信する。装置200は、たとえば携帯型端末(PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話など)、または据置き型のコンピュータに相当し、装置300は、被測定者の体重および体組成を測定する機能を有する。ここでは、体組成は身体の筋肉量、骨量、脂肪量など身体の組成を指す。
【0023】
装置200はハードウェアとして、たとえば、CPU201、メモリ202、出力部203、入力部204、通信I/F205、およびCD−ROM(compact disk read only memory)206のデータをアクセスするためのデバイスドライバ207を含む。デバイスドライバ207は、CD−ROM206が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM206のデータ(プログラムを含む)を読出し、または、装着されたCD−ROM206にデータを書込む。
【0024】
装置300は、被測定者の身長、体重および体組成(体脂肪など)を測定する体重・体組成測定部301、これら測定された情報を外部に送信するための通信I/F302、およびタイマ303を含む。測定された体重と体組成情報とは、タイマ303が計時する測定時間を指す計時データがそれぞれ付加された体重データと体組成データとして、通信I/F302および60を介し、活動量計100に送信される。タイマ303とタイマ90とは、同期した計時動作をするように調整される。体重・体組成測定部301は、体重計の機能を有し、被測定者の体重を測定する。また、被測定者から測定した生体インピーダンスに基づき体組成値を算出する機能を有する。
【0025】
図3には、CPU10の制御の下に動作する機能の構成が示される。機能として、被測定者の身体の活動量を取得するための活動量取得部11、取得される活動量に基づく所定期間の総消費カロリーを算出するための消費カロリー算出部12、算出される所定期間の消費カロリーから活動年齢を取得するための活動年齢取得部13、基礎代謝量を取得するための基礎代謝量取得部15、体年齢を取得するための体年齢取得部16、および活動量を評価する情報を取得するための評価取得部17、および各種の情報を外部に出力するための出力処理部18を含む。出力処理部18が出力する情報には画像が含まれて、出力処理部18は、当該画像を生成する画像生成部19を含む。これら各部は、プログラム、またはプログラムと回路モジュールの組合わせに相当する。
【0026】
(活動量による消費カロリーの算出)
活動量取得部11は、加速度センサ部40からの活動強度の入力とタイマ90からの時間データの入力とを受付ける。加速度センサ部40からの活動強度と、タイマ90からの時間データとを関連付けた活動強度データMi(後述する)を取得し、取得した活動強度データMiを、メモリ50に格納する。活動強度に関連付けされた時間データは、活動強度が測定された運動の実施日時を指す。
【0027】
加速度センサ部40は、一般的な歩数計による歩数の測定と同様に歩数を測定する。加速度センサは、活動量計100に加えられる加速度を検出する。検出した加速度は電圧信号として導出される。MPUは、加速度センサからの出力信号を処理する。たとえば、加速度センサから逐次出力される信号に基づき、しきい値以上の加速度が検知された場合に、その回数を1歩としてカウントするように処理する。
【0028】
加速度センサ部40のMPUは、測定動作として、予め規定されている所定の時間間隔(たとえば20秒間隔等)を単位時間として、加速度センサから入力する加速度信号に基づき測定された加速度データを用いて、単位時間あたりの活動強度(単位:METs)を算出する。活動強度の具体的な算出方法は、たとえば、出願人による特開2009−28312号公報に開示されている手法など、公知の手法を用いて算出することができる。
【0029】
活動強度は、歩行のピッチ(単位時間当たりの歩数)および予め入力されている被測定者の身長に依存する、身体活動の強さを表わす指標である。たとえば、安静にしている状態は1METsに相当し、普通歩行(4km/時)は3METsに相当し、掃除機をかけるは3.5METsに相当し、ジョギングは7METsに相当する(健康づくりのための運動指針「エクササイズガイド2006」(厚生労働省)より)。
【0030】
活動強度は、上述した加速度信号に従い検出される体動に基づき算出する方法に代替して、被測定者から検出する心拍数と所定の演算式とを用いて算出する方法であってもよい。
【0031】
図4には、メモリ50の記憶内容が例示される。図4を参照してメモリ50は、活動強度データMi(i=1、2、3、…n)が格納される領域E1、総消費カロリーを活動年齢に換算するための換算式に用いられる複数種類の係数からなる係数データ群51が格納される領域E2、領域E3、およびテーブル60と画像データ61とを格納するための領域E4を含む。係数データ群51の各係数は、実験により予め算出されて格納されていると想定する。
【0032】
活動強度データMiは、測定された活動強度と、当該活動が実施された時間を指す測定時間とを含む。係数データ群51の各係数の値は、操作部30を介した被測定者の操作により可変であるとしてもよい。
【0033】
領域E3には、被測定者について算出された消費カロリー52、算出された基礎代謝量53、取得された活動年齢54が格納され、さらに、被測定者の実年齢56、被測定者の体重、身長などを含む体格データ57、被測定者の性別を指す性別データ58、および被測定者の体年齢59が格納される。実年齢56、体格データ57および性別データ58は被測定者の身体に関する身体情報を表す。
【0034】
領域E4の画像データ61は、ディスプレイ20に表示される画像を生成するために用いるデータ、および生成されて表示されるべきデータを含む。
【0035】
図5には、本実施の形態に係る処理フローチャートが示される。この処理フローチャートに従う処理は、CPU10が、メモリ50から所定プログラムを読出し、読出したプログラムの各命令を実行することにより実現される。図5のフローチャートに従って被測定者の活動年齢および体年齢の算出と、情報の出力について説明する。なお、メモリ50の領域E1には十分な件数の活動強度データMiが格納されていると想定する。
【0036】
被測定者が操作部30のボタン31を操作すると、CPU10は当該操作を受付ける。具体的には、当該ボタン31の操作により操作部30から出力される操作信号に基づき、CPU10は図5の処理を開始する。処理が開始されると、活動量取得部11は、メモリ50の領域E1から読出す活動強度データMiに基づき、所定期間の活動量を取得する(ステップS1)。続いて、基礎代謝量取得部15は、被測定者の所定期間の基礎代謝量を算出する(ステップS3)。基礎代謝量の算出手順の詳細は後述する。そして、消費カロリー算出部12は、取得された活動量に基づき、上述の算出式に従って所定期間の消費カロリーを算出する(ステップS5)。
【0037】
活動年齢取得部13は、算出された消費カロリーおよび基礎代謝量、ならびに係数データ群51の係数を用いて所定換算式に従って、活動年齢を算出する(ステップS7)。活動年齢の算出手順の詳細は後述する。
【0038】
体年齢取得部16は、後述する手順に従って体年齢を算出する。算出された活動年齢および体年齢は、出力処理部18に与えられる。出力処理部18の画像生成部19は、入力する活動年齢と体年齢とに基づき、画像データを生成する。生成した画像データは、領域E4に格納される。出力処理部18は、領域E4の生成された画像データなど、各種の情報をディスプレイ20に表示する(ステップS13)。以上により、処理は終了する。
【0039】
次に、上述の各部の算出手順について説明する。
(基礎代謝量の算出方法)
基礎代謝量取得部15による基礎代謝量の算出(ステップS3)について説明する。基礎代謝量取得部15は、理論的基礎代謝量531と、体組成情報に基づく基礎代謝量532とを算出する。
【0040】
理論的基礎代謝量531の算出について説明する。理論上の1日の基礎代謝量は(式1)で算出できることが知られており、基礎代謝量取得部15は、(式1)を用いて理論的基礎代謝量531を算出する。なお、(式1)は、European Journal of Clinical Nutrition (2007), 1-6 Ganpule AA, et al. Interindividual variability in sleeping metabolic rate in Japanese subjects.により提案されるものである。
【0041】
理論的基礎代謝量531=(0.0481×W+0.0234×H-0.0138×R-0.5473×F+0.1238)×239 (式1)ただし、Wは体重、Hは身長、Rは実年齢、およびFは性別を指す。Wの体重の単位はkgを指し、Hの身長の単位はcmを指す。Fは男の場合は1を指し、女の場合は2を指す。
【0042】
なお、基礎代謝量の算出式は(式1)に限定されるものではなく他の演算式であってもよい。また、算出式に用いるパラメータの種類および値も(式1)に示すものに限定されるものではなく、たとえば、基礎代謝量を生体情報から算出し、算出した基礎代謝量から実験的にパラメータの種類および値を決定するようにしてもよく、係数データ群51から所定の値を読出すようにしてもよい。
【0043】
体組成情報に基づく基礎代謝量532は、体重・体組成測定部301により被測定者について測定された体組成情報から算出する。体組成情報から算出する方法としては、体重・体組成測定部301により測定された除脂肪量を用いて、基礎代謝量532=A×FFM+Bの式に従って算出することができる(FFM:除脂肪量、A,B:定数)。
【0044】
(消費カロリーの算出方法)
消費カロリー算出部12による消費カロリーの算出(ステップS5)について説明する。消費カロリー算出部12は、理想的消費カロリー521と、測定消費カロリー522とを算出する。
【0045】
まず、理想的消費カロリー521は、1日の身体活動レベルPAL(PAL:Physical Activity Level)を用いて算出する。PALは、1日の総消費カロリー(単位:kcal)/1日の基礎代謝量(単位:kcal)から算出されることが知られており、活動量が“ふつう”であれば身体活動レベルPALは1.60〜1.90であることが知られている。ここでは、その代表値として中間値である1.75を採用する。
【0046】
したがって、PALを用いれば、「理想的消費カロリー」[kcal/日]=理論的基礎代謝量531[kcal/日]×1.75の式が成立し、この式から理想的消費カロリー521を導出するする。
【0047】
次に、測定消費カロリー522の算出を説明する。測定消費カロリー522は、被測定者の運動による消費カロリーを指す。消費カロリー算出部12は、次の式に従って測定消費カロリー522を算出する。測定消費カロリー(kcal/日)=活動強度(METs)×体重(kg)×1日の活動継続時間(Hour)×1.05(厚生労働省 健康づくりのための運動指針「エクササイズガイド2006」より)。ここで、活動強度と活動継続時間は活動強度データMiから取得でき、体重はメモリ50の体格データ57から取得することができる。
【0048】
(活動年齢の算出方法)
活動年齢取得部13による活動年齢の取得(ステップS7)について説明する。
【0049】
活動年齢取得部13は、以下の式に従って活動年齢を算出する。なお、式の係数k1は係数データ群51から読出される。
【0050】
活動年齢[歳]
=実年齢[歳]+k1(理想的消費カロリー521−測定消費カロリー522)
この式が、活動年齢は、所定期間における被測定者の消費カロリーの総量を、同一の期間で活動することにより消費する人の標準的(または平均的)年齢を表わしている。
【0051】
なお、活動年齢取得部13は、活動年齢を演算式で算出するのに代替して、テーブルを検索することにより取得してもよい。つまり、実年齢毎に、(理想的消費カロリー521−測定消費カロリー522)の値と、上述の式に従って算出される活動年齢とを対応付けて格納したテーブルをメモリ50に予め格納しておく。活動年齢取得部13は、被測定者の実年齢と、(理想的消費カロリー521−測定消費カロリー522)とに基づき、テーブルを検索して活動年齢を読出すようにしてもよい。
【0052】
(体年齢の算出方法)
体年齢取得部16は、次の式に従って体年齢を算出する。なお、式の係数k2は係数データ群51から読出される。
【0053】
体年齢[歳]
=実年齢[歳]+k2(理論的基礎代謝量531−体組成情報に基づく基礎代謝量532)
この式によれば、体年齢とは、基礎代謝をもとに算出される体の年齢を表わす。したがって、(理論的基礎代謝量531=体組成情報に基づく基礎代謝量532)の場合には、体年齢は実年齢を指し、体は年相応の年齢であることを表わすことができ、(理論的基礎代謝量531>体組成情報に基づく基礎代謝量532)の場合には、体組成情報に基づく基礎代謝量532が少ないために、体年齢は実年齢を超えてしまい、体は実年齢よりも老化傾向にあることを表す。
【0054】
また、(理論的基礎代謝量531<体組成情報に基づく基礎代謝量532)の場合には、体組成情報に基づく基礎代謝量532が多く、体年齢は実年齢未満となり、体は実年齢よりも若い傾向にあることを表す。
【0055】
(画像の生成と表示)
上述の手順に従って、各種年齢が取得されると、取得された年齢は領域E3に格納される。画像生成部19は、領域E3から各種年齢を読出し、領域E4の画像データ61を用いて図6に示す表示用の画像データを生成する。
【0056】
画像生成部19は、体年齢と実年齢の差または活動年齢と実年齢の差に基づいた、食事や活動に関するアドバイスのメッセージを含む画像データを生成し、出力処理部18に出力する。出力処理部18は、入力する画像データに基づきディスプレイ20に画像を表示する。表示の一例が、図6に示される。
【0057】
図6には、活動年齢を表わす軸と、この軸に直交する体年齢を表わす軸とを用いて規定される二次元の座標平面において、2軸の直交点に実年齢を位置づけている。図6の二次元平面は、直交する2軸により4つの領域70A〜70Dに区分される。領域70A〜70Dでは、体年齢と活動年齢の両者の相互の関連性に基づいた活動量を評価することによるアドバイス情報が提示される。
【0058】
領域70Aは活動量不足の領域を指す。具体的には、実年齢に比較し体年齢は若いけれども活動年齢が高い(老齢)から活動量不足であり、日々の活動で健康体質へ改善可能である旨のアドバイスが表示される。
【0059】
領域70Bは老化体質の領域を指す。具体的には、実年齢に比較し体年齢および活動年齢ともに老齢(年齢が高い)から老化体質であり、早急に日常生活における活動量または体質の改善をしなければならない旨のアドバイスが表示される。
【0060】
領域70Cは体脂肪率過多の領域を表わす。具体的には、実年齢に比較し体年齢は老齢(高い)であるけれども活動年齢は若いから体脂肪率過多であり、日々の食生活で健康体質への改善が可能である旨のアドバイスが表示される。
【0061】
領域70Dは健康体質の年齢領域を表わす。具体的には、実年齢に比較し体年齢および活動年齢は若いから、今後も健康体であり続ける理想状態である旨のアドバイスが表示される。
【0062】
各領域に表示されるアドバイスの情報は、テーブルを検索することで取得してもよい。つまり、体年齢59と実年齢56の差と活動年齢54と実年齢56の差に対応付けてメモリ50の所定テーブル(図示せず)に予めアドバイスの情報が格納されており、画像生成部19は、体年齢59と実年齢56の差または活動年齢54と実年齢56の差を算出し、算出した差に基づきテーブルを検索することで、対応するアドバイスの情報を取得する、としてもよい。
【0063】
図6では、各領域の表示色を異ならせることで区分を明瞭化してもよい。また、被測定者の活動年齢および体年齢が該当する領域(図6の場合、領域70B)を、被測定者の注意を惹くようにブリンク表示などして、他の領域とは異なる態様で表示してもよい。
【0064】
また、図6では、領域70D向きの矢印を表示することにより、被測定者に対して、活動年齢および体年齢が領域70Dの健康体質へ向かうように生活改善するように注意を喚起することができる。
【0065】
なお、図6では、ステップS7とS9で取得した活動年齢54および体年齢59を表示するようにしてもよく、または、体年齢59と実年齢56の差および活動年齢54と実年齢56の差を表示するようにしてもよい。
【0066】
体年齢、活動年齢および実年齢に基づいた、食事や活動量に関するアドバイスの表示態様は、図6に限定されない。
【0067】
つまり、活動年齢、体年齢および実年齢の3種類の年齢は、体組成情報の観点から捉えると、活動年齢は上述の算出式に示すように総消費カロリー(=運動量)の指標と見なすことができる。
【0068】
また、体年齢は体脂肪率(≒食生活)の指標と見なすことができる。つまり、上述の算出式に従えば体年齢は体組成情報(より、特定的には除脂肪量)を用いて算出されるから、体脂肪率が高いと体年齢は大きくなり、体脂肪率が低いと体年齢は小さくなる。したがって、体年齢を体脂肪率と見なすことができる。ここで、体脂肪率は、食生活を脂肪の少ない内容に変更することで改善することができるから、体年齢に従えば、食事内容のアドバイス提示が可能になる。
【0069】
図7には、図6の活動年齢の軸を総消費カロリー、体年齢の軸を基礎代謝量もしくは体脂肪率のパラメータに置き換えて、領域70A〜70Dを領域80A〜80Dに代替した表示例が示される。
【0070】
図7は実年齢:40歳、体年齢:45歳および活動年齢:35歳の場合において、取得された活動年齢と体年齢とが表示されて、この2つの年齢により該当する領域にマーク81がプロットされて表示される。マーク81が表示される領域を確認することで、被測定者は自己の基礎代謝量(体脂肪率)が実年齢のそれよりも多い/少ないを確認することができるとともに、自己の総消費カロリーが実年齢のそれよりも多い/少ないを確認することができて、食生活の改善および活動量の改善の動機づけを得ることができる。
【0071】
また、被測定者が、表示されたマーク81を操作部30を介してクリック操作などして指定すると、出力処理部18は当該領域に対応のアドバイスを、図6で説明したテーブルから検索して読出し、ディスプレイ20に表示する。たとえば、“日々の活動量は問題ありません。食生活をコントロールすることで、さらに若々しい体を目指しましょう”のアドバイスが表示される。
【0072】
図6と7で表示されるアドバイスは、表示とともに、または表示に代替して音声出力部80から音声で出力されるとしてもよい。
【0073】
(老化指数の取得)
本実施の形態では、評価取得部17は、体年齢59と実年齢56の差、および活動年齢54と実年齢56の差を用いて、被測定者の体年齢の評価、すなわち老化の程度を評価する。ここでは、評価取得部17が算出する当該評価値を、「老化指数」と呼ぶ。
【0074】
算出された老化指数は、出力処理部18によりディスプレイ20または音声出力部80を介して出力される。出力処理部18は、「老化指数」を、このままの生活(活動量、食生活など)を継続する場合には、体年齢が改善するか悪化するかを表す生活改善のアドバイス情報として出力する。老化指数の算出と、生活改善のアドバイス情報の出力について、以下に説明する。
【0075】
まず、図8のフローチャートに従って老化指数の算出手順を説明する。図8を参照して、評価取得部17はメモリ50から体年齢59、実年齢56および活動年齢54を読出し、B=(体年齢59−実年齢56)を算出し(ステップS90)、A=(活動年齢54−実年齢56)を算出する(ステップS91)。
【0076】
そして、評価取得部17は値Aと値Bの符号が同じであるか否かを判する(ステップS93)。符号が同じと判定すると(ステップS93でYES)、老化指数=A+Bを算出し(ステップS95)、符号が同じではなく相違すると判定すると(ステップS93でNO)、老化指数=Aと算出する(ステップS97)。以上で老化指数の算出が終了する。
【0077】
本実施の形態では、老化指数が算出されると、算出された老化指数に応じた生活改善のアドバイスが出力される。図9には、老化指数に応じた生活改善のアドバイスのデータを格納するテーブル60の一部が抜粋して例示される。
【0078】
図9を参照してテーブル60には、老化指数の値601と、老化指数の値のそれぞれに対応したアドバイスのデータ602とを有するレコードR1〜R8が格納される。図9では、説明のために、各レコードに関連付けて、当該レコードの老化指数の算出に用いた実年齢56、体年齢59および活動年齢54が例示される。
【0079】
評価取得部17が算出した老化指数は、出力処理部18に与えられる。出力処理部18は、入力する老化指数の値に基づきテーブル60を検索して、該当するレコードを特定する。特定したレコードに格納されるアドバイスのデータ602を読出し、読出したアドバイスのデータ602をディスプレイ20または音声出力部80を介して出力する。これにより、被測定者に対して、活動年齢および体年齢に基づく生活改善の気づきを与えることができる。
【0080】
図9に示すように、老化指数の値の符号により体年齢が改善するか、または悪化するかのアドバイスを出力する。具体的には、+:悪化、0:年相応、−:改善に区分したアドバイスが出力される。
【0081】
老化指数の表示態様は、これに限定されず、他の表示態様であってもよい。たとえば、老化指数が算出される毎に、算出した老化指数を測定日時とともに蓄積して格納し、格納された情報に基づき、老化指数の時系列の変化を、トレンドグラフなどで表示するようにしてもよい。
【0082】
図9の老化指数に基づくアドバイスは、単独で出力されてもよく、図6または図7の表示とともに出力されるとしてもよい。
【0083】
(取得した年齢の他の表示例)
活動年齢または体年齢の情報の出力は、図6と図7の出力態様に限定されない。たとえば、出力処理部18は、図1の(A)に示すように、ディスプレイ20において、消費カロリー算出部12が算出した1日分の消費カロリーとともに、活動年齢取得部13が算出した活動年齢を表示する。被測定者は、表示された活動年齢が実年齢を指す、または実年齢に近い場合には、活動(運動)量が適当であることを判断でき、実年齢を大きく超えていれば活動(運動)量が足りないことを判断できて、適量の活動(運動)を継続しようという動機付けを得ることができる。
【0084】
図1の(A)では活動年齢を表示したが、これに代替して、または活動年齢とともに、体年齢取得部16が取得する体年齢を表示するようにしてもよい。
【0085】
出力される年齢に関する情報はこれに限定されない。たとえば、実年齢から活動年齢(または体年齢)を差引いた値(+5歳など)、または活動年齢(または体年齢)が属する年代(20代など)を指す情報であってもよい。
【0086】
(他の実施の形態)
上述したフローチャートを用いて説明した活動年齢を算出し出力するための方法は、プログラムとして提供することもできる。方法を実現するためプログラムは、予め活動量計100のメモリ50に格納されており、CPU10がメモリ50から当該プログラムを読出し、命令コードを実行することにより処理が実現される。このプログラムは、通信I/F60を介して、通信回線を経由し、装置200を含む外部の情報処理装置からメモリ50にダウンロードされることにより供給されてもよい。
【0087】
また、装置200は、このようなプログラムおよび図4のデータを、メモリ202に格納し、CPU201がメモリ202から当該プログラムを読出し、命令コードを実行することにより装置200において活動年齢、体年齢の算出がされて、出力部203を介して図7または図8の表示がされてもよい。図4のデータは、通信I/F60を介して活動量計100から装置200に送信される。装置200により算出された活動年齢および体年齢、ならびに図7〜図9の出力情報は、活動量計100に送信されて、活動量計100のディスプレイ20に表示されてもよい。
【0088】
装置200に活動年齢を算出させるために、プログラムは、装置200に付属する図示のないフレキシブルディスク、CD−ROM206、メモリ202のROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されたプログラム製品として、装置200に提供される。あるいは、装置200が内蔵する図示のないハードディスクなどの記録媒体に予めプログラムを記録させておくことにより、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介した他の情報処理装置から装置200へのダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
11 活動量取得部、12 消費カロリー算出部、13 活動年齢取得部、15 基礎代謝量取得部、16 体年齢取得部、17 評価取得部、18 出力処理部、19 画像生成部、20 ディスプレイ、30 操作部、31 ボタン、40 加速度センサ部、54 活動年齢、56 実年齢、59 体年齢、100 活動量計、301 体重・体組成測定部、521 理想的消費カロリー、522 測定消費カロリー、531 理論的基礎代謝量、532 体組成情報に基づく基礎代謝量、Mi 活動強度データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の身体の活動量を取得する活動量取得手段と、
単位期間の目標消費カロリーと、前記活動量取得手段が前記単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得する手段と、
体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得する手段と、
取得された前記第1指標と前記第2指標とに基づく活動量の評価情報を出力する手段と、を備える、活動量計。
【請求項2】
前記第1指標を取得する手段は、
前記目標消費カロリーと前記算出消費カロリーとの差分、および被測定者の実年齢を用いて、前記単位期間で取得される活動量と同じ量の活動をする人の標準年齢を表す活動年齢を、前記第1指標として取得し、
前記第2指標を取得する手段は、
体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分、および被測定者の実年齢を用いて、被測定者の身体の年齢を指す体年齢を、前記第2指標として取得する、請求項1に記載の活動量計。
【請求項3】
前記評価情報を出力する手段は、
被測定者の実年齢、前記活動年齢および前記体年齢とに基づく活動量の評価情報を出力する、請求項2に記載の活動量計。
【請求項4】
前記評価情報を出力する手段は、
前記活動年齢の軸と、当該軸に直交し且つ体年齢の軸で規定される座標平面において、被測定者について取得された前記活動年齢および前記体年齢により指示される位置に関連付けて、前記評価情報を出力する、請求項2または3に記載の活動量計。
【請求項5】
前記評価情報を出力する手段は、
前記活動年齢の軸を消費カロリーの軸に代替し、前記体年齢の軸を前記体組成を表す値の軸に代替し、前記座標平面において、被測定者について取得された前記活動年齢および前記体年齢により指示される位置に関連付けて、前記評価情報を出力する、請求項4に記載の活動量計。
【請求項6】
前記体組成を表す値は、基礎代謝量を指す、請求項1から5のいずれかに記載の活動量計。
【請求項7】
前記体組成を表す値は、体脂肪率を指す、請求項1から5のいずれかに記載の活動量計。
【請求項8】
前記評価情報を出力する手段は、
前記活動年齢と前記実年齢の差および前記体年齢と前記実年齢の差に基づき、活動量の評価情報を出力する、請求項2に記載の活動量計。
【請求項9】
プロセッサを用いて被測定者の活動量を管理する活動量管理方法であって、
プロセッサが、被測定者の身体の活動量を取得するステップと、
プロセッサが、単位期間の目標消費カロリーと、前記活動量を取得するステップにおいて前記単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得するステップと、
プロセッサが、体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得するステップと、
プロセッサが、取得された前記第1指標と前記第2指標とに基づく活動量の評価情報をディスプレイに出力するステップと、を備える、活動量管理方法。
【請求項10】
プロセッサに活動量管理方法を実行させるためのプログラムであって、
前記活動量管理方法は、
プロセッサが、被測定者の身体の活動量を取得するステップと、
プロセッサが、単位期間の目標消費カロリーと、前記活動量を取得するステップにおいて前記単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得するステップと、
プロセッサが、体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得するステップと、
プロセッサが、取得された前記第1指標と前記第2指標とに基づく活動量の評価情報をディスプレイに出力するステップと、を備える、プロセッサに活動量管理方法を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
被測定者の活動量を測定する測定装置と、情報処理装置とを備えるシステムであって、
前記測定装置は、
被測定者の活動強度を測定する手段と、
活動強度と、測定日時とが関連付けされた測定データを出力する手段と、を含み、
前記情報処理装置は、
前記測定装置から出力される前記測定データを受理する手段と、
前記測定データから、被測定者の身体の活動量を取得する活動量取得手段と、
単位期間の目標消費カロリーと、前記活動量取得手段が前記単位期間で取得する活動量から算出される算出消費カロリーとの差分に関する第1指標を取得する手段と、
体組成を表す目標値と、被測定者について測定される体組成を表す測定値との差分に関する第2指標を取得する手段と、
取得された前記第1指標と前記第2指標とに基づく活動量の評価情報を出力する手段と、を含む、システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−187348(P2012−187348A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55468(P2011−55468)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)