説明

流し台のシンク

【課題】排水口を隠蔽して見た目のイメージを綺麗にすることができ、かつ、シンク内のものを置くスペースを最大限に確保でき、底面にものを安定して置くことができる流し台のシンクを提供する。
【解決手段】フラットな片流れにしたシンク3の底面に、底面と連続した窪み部4と、この窪み部4の底部に位置する排水口5を設け、前記窪み部4の上面を前記シンク3の底面と略同一面となる着脱可能な蓋板6で閉塞し、この蓋板6の前記シンク3の一方側面側に位置する端部と前記シンク3の一方側面の間に排水スリット7を形成し、この排水スリット7を隠蔽側板9で上部から平面的に隠蔽している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水口を隠蔽して目立たなくすることにより、外観のイメージを向上させることができるようにした流し台のシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に従来の流し台は、シンクの中央後部やコーナの位置に排水口を設け、シンクの底面を排水口に向けて下がり傾斜にすると共に、排水口に排水トラップを接続した構造を有し、調理や後片付けの際の水を排水するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、流し台のシンクにおける排水口は、汚水を流す関係上従来の流し台のように露見していると、どうしても汚いというイメージがあり、特に、対面キッチンやアイランドキッチンでは、シンクの排水口もよく見えるようになり、流し台に外観上綺麗なイメージを感じにくいという問題がある。
【0004】
また、調理時や後片付けの時に、シンク内をできるだけ広くして多くのものを置きたいが、シンクの底面に排水口が露見する構造では、排水口を避けてものを置くことになり、その分ものを置くスペースが少なくなっているという問題がある。
【0005】
更に、従来のシンクは、その底面が排水口に向けて下がり傾斜の曲面になっているので、ものを安定して置きにくいという問題もある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決するため、排水口を隠蔽することにより、見た目のイメージを綺麗にすることができ、しかも、シンク内のものを置くスペースを最大限に確保でき、底面にものを安定して置くことができる流し台のシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明は、シンクの底面をフラットな片流れにし、シンクの底面で前記片流れの下流側となる一方側面側の位置に、底面と連続した窪み部と、この窪み部の底部に位置する排水口を設け、前記窪み部の上面を前記シンクの底面と略同一面となる着脱可能な蓋板で閉塞し、この蓋板の前記シンクの一方側面側に位置する端部と前記シンクの一方側面の間に排水スリットを形成し、この排水スリットを上部から平面的に隠蔽した構成を採用したものである。
【0008】
上記窪み部は、シンクと略同一の奥行きを有し、シンクの側面を除くその周縁部に蓋板の支持段部が設けられ、前記支持段部のシンク奥行き方向に位置する部分の両端部が、蓋板のシンク側面側を押し下げたときにこの蓋板のシンク中央側端部が浮き上がるようにする端部下がりの傾斜部になっている構造とすることができる。
【0009】
また、上記排水スリットが、蓋板の上面側に起立する複数の突起上に設けた水平隠蔽板で覆われているようにしたり、上記排水スリットが、シンクの一方側面に着脱可能となるよう吊り下げ状に取付けられ、その下縁と蓋板の上面の間に通水隙間を形成する隠蔽側板で覆われているようにすることができる。
【0010】
更に、上記蓋板の隠蔽側板で覆われた端部に、上面側に起立する複数の突起が設けられているようにするか、上記蓋板の隠蔽側板で覆われた端部に、複数の孔があいた樋状の流下物受けが設けられている構造とすることができる。
【0011】
ここで、シンクは、人造大理石を用いて形成し、流し台トップ面に合わせたカラーとすることにより、外観上綺麗なイメージが得られると共に、シンクの底面は蓋板を含めて全体をフラットにすることにより、シンク内のものを置くスペースを最大限に確保でき、しかも、底面にものを安定して置くことができることになる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、フラットな片流れにした底面で片流れの下流側となる一方側面側の位置に窪み部と排水口を設け、前記窪み部の上面を前記シンクの底面と略同一面となる着脱可能な蓋板で閉塞し、この蓋板の端部と前記シンクの一方側面の間に上部から平面的に隠蔽された排水スリットを形成したので、シンクの平面視で排水口が見えず、蓋板もシンクの窪み部の形状に沿った底板を兼ねるため目立たず、排水口の存在を感じにくくなり、排水口の汚いイメージを隠蔽することにより、流し台の見た目のイメージを綺麗にすることができ、特に、対面キッチンやアイランドキッチンの商品的価値の向上を図ることができる。
【0013】
また、窪み部を蓋板で閉塞することにより、排水口の上にもものを載せることができるので、シンク内のものを置くスペースを最大限に確保でき、しかも、シンクの底面を蓋板も含めて全体をフラットにすることで、シンクの底面にものを安定して置くことができることになる。
【0014】
更に、窪み部の蓋板は、シンク側面側を押し下げると浮き上がるので、蓋板を簡単に取外すことができ、排水トラップ等のメンテナンスが簡単に行えるだけでなく、蓋板を外すための孔や把手が不要となり、外観がスッキリとなり、周辺の洗浄等の掃除がしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0016】
図示のように、流し台1は、流し台本体2の上面にシンク3を設けて形成され、シンク3は横長矩形状の凹入する容器になっている。
【0017】
このシンク3は、底面3aがフラットで緩い傾斜角度の片流れになり、シンク3の底面3aで前記片流れの下流側となる一方側面3b側の位置に、シンク3と略同一の奥行きを有する矩形状で、シンク3の底面3aと連続した窪み部4と、この窪み部4の底部に位置する排水口5が設けられている。
【0018】
上記窪み部4の上面は、前記シンク3の底面3aと略同一面となる着脱可能な蓋板6で閉塞され、この蓋板6の前記シンク3の一方側面3b側に位置する端部と前記シンク3の一方側面3bの間に、上部から平面的に隠蔽された排水スリット7が形成されている。
【0019】
上記窪み部4は、シンク3の一方側面3bを除くその周縁部に蓋板6の支持段部8が設けられ、この支持段部8のシンク3奥行き方向に位置する部分の両端部が、蓋板6のシンク側面3b側を押し下げたときにこの蓋板6のシンク中央側端部が浮き上がるようにする端部下がりの傾斜部8aになっている。
【0020】
図1乃至図4は上記排水スリット7を上部から平面的に隠蔽するための第1の実施の形態を示し、シンク3の一方側面3bに、隠蔽側板9を着脱可能となるよう吊り下げ状に取付け、この隠蔽側板9は、上部が湾曲してシンク3の前記一方側面3bと間隔を保つ状態で下縁が蓋板6の上部に臨み、その下縁と蓋板6の上面の間に適宜間隔の通水隙間10を形成している。
【0021】
上記のように、排水口5は蓋板6で覆われ、蓋板6の端部と上記シンク3の一方側面3bの間に形成された排水スリット7は、シンク3の一方側面3bに取付けた隠蔽側板9によってシンク3の上部から見えないように隠蔽され、これによって、排水口5の存在を感じにくくなり、排水口5の汚いイメージを隠蔽することにより、流し台1の見た目のイメージを綺麗にすることができる。
【0022】
また、上記蓋板6の上面は、排水口5を覆う状態でシンク3の底面3aに対して延長状の水平となり、これにより、シンク3の底面3aを蓋板6も含めて全体をフラットにすることで、シンク3の底面3aにものを安定して置くことができ、しかも、窪み部4を蓋板6で閉塞することにより、排水口5の上にもものを載せることができるので、シンク3内のものを置くスペースを最大限に確保できる。
【0023】
図5(a)と図6(a)は上記通水隙間10から排水スリット7に箸やスプーン等が流れ込まないようにするため、上記蓋板6の隠蔽側板9で覆われる端部の長さ方向に、上面側に起立する複数の突起11を並べて設け、隠蔽側板9の下縁をこの突起11の上端に載るようにしている。
【0024】
同じく、図5(b)と図6(b)は、上記蓋板6の隠蔽側板9で覆われる端部に、複数の孔12があいた樋状の流下物受け13を設けている。
【0025】
図5(c)と図6(c)は上記排水スリット7を上部から平面的に隠蔽するための第2の実施の形態を示し、蓋板6の上面でシンク3の一方側面3b側に位置する端部に、起立する複数の突起14を長さ方向に沿って並べ、この突起14群の上にシンク3の一方側面3b側に当接し、蓋板6との対向面間に通水隙間10を形成する水平隠蔽板15を設け、この水平隠蔽板15で排水スリット7を上から隠蔽するようにしている。
【0026】
ここで、上記シンク3は、人造大理石やステンレスを用いて形成されるが、人造大理石を用いると、流し台1のトップ面に合わせたカラーとすることにより、外観上綺麗なイメージが得られることになる。
【0027】
この発明の流し台1は、上記のような構成であり、図のように、シンクの底面に設けた窪み部に蓋板を嵌め込み、シンクの一方側面に隠蔽側板を取付ければ、図に示すように、窪み部に設けた排水口が蓋板で隠蔽され、排水口が見えないので流し台の見た目のイメージを綺麗にすることができ、特に、対面キッチンやアイランドキッチンの商品的価値の向上を図ることができる。
【0028】
また、窪み部を蓋板で閉塞することにより、排水口の上にもものを載せることができるので、シンク内のものを置くスペースを最大限に確保でき、シンクの底面を蓋板も含めて全体をフラットにすることで、シンクの底面にものを安定して置くことができることになる。
【0029】
更に、窪み部の蓋板は、図4に一点鎖線で示すように、支持段部の傾斜部上に位置するシンク側面側を上から押し下げると、シンクの中央側の端部が浮き上がるので、蓋板を簡単に取外すことができ、排水トラップ等のメンテナンスが簡単に行えるだけでなく、蓋板を外すための孔や把手が不要となり、外観がスッキリとなり、排水口や窪みの洗浄等の掃除がしやすくなる。
【0030】
なお、シンクで使用した水は、図6(a)乃至(c)の各々に矢印で示したように、シンク底面のフラットな片流れ傾斜に沿って蓋板上に流れ、この蓋板上を通水隙間から排水スリットを通り、窪み部から排水口に流れ出ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明のシンクを用いた流し台の斜視図
【図2】この発明のシンクの蓋板と隠蔽側板を分解した斜視図
【図3】この発明のシンクを示す平面図
【図4】図3の矢印IV−IVの拡大した縦断正面図
【図5】(a)は端部に突起を設けた蓋板の斜視図、(b)は端部に樋状の流下物受けを設けた蓋板の斜視図、(c)は端部に水平隠蔽板を設けた蓋板の斜視図
【図6】(a)は図5(a)の蓋板を用いたシンクの排水スリット部分の構造を示す縦断正面図、(b)は図5(b)の蓋板を用いたシンクの排水スリット部分の構造を示す縦断正面図、(c)は図5(c)の蓋板を用いたシンクの排水スリット部分の構造を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0032】
1 流し台
2 流し台本体
3 シンク
3a 底面
3b 一方側面
4 窪み部
5 排水口
6 蓋板
7 排水スリット
8 支持段部
8a 傾斜部
9 隠蔽側板
10 通水隙間
11 突起
12 孔
13 流下物受け
14 突起
15 水平隠蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの底面をフラットな片流れにし、シンクの底面で前記片流れの下流側となる一方側面側の位置に、底面と連続した窪み部と、この窪み部の底部に位置する排水口を設け、前記窪み部の上面を前記シンクの底面と略同一面となる着脱可能な蓋板で閉塞し、この蓋板の前記シンクの一方側面側に位置する端部と前記シンクの一方側面の間に排水スリットを形成し、この排水スリットを上部から平面的に隠蔽した流し台のシンク。
【請求項2】
上記窪み部は、シンクと略同一の奥行きを有し、シンクの側面を除くその周縁部に蓋板の支持段部が設けられ、前記支持段部のシンク奥行き方向に位置する部分の両端部が、蓋板のシンク側面側を押し下げたときにこの蓋板のシンク中央側端部が浮き上がるようにする端部下がりの傾斜部になっている請求項1に記載の流し台のシンク。
【請求項3】
上記排水スリットが、蓋板の上面側に起立する複数の突起上に設けた水平隠蔽板で覆われている請求項1又は2に記載の流し台のシンク。
【請求項4】
上記排水スリットが、シンクの一方側面に着脱可能となるよう吊り下げ状に取付けられ、その下縁と蓋板の上面の間に通水隙間を形成する隠蔽側板で覆われている請求項1又は2に記載の流し台のシンク。
【請求項5】
上記蓋板の隠蔽側板で覆われた端部に、上面側に起立する複数の突起が設けられている請求項4に記載の流し台のシンク。
【請求項6】
上記蓋板の隠蔽側板で覆われた端部に、複数の孔があいた樋状の流下物受けが設けられている請求項4に記載の流し台のシンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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