説明

流れ媒体の湿度および温度の測定装置

内部の湿度および流れ媒体(M)の温度を検出するための測定装置を規定する。流れ媒体(M)を混合し、所望の方向に向ける流れ誘導要素(4,5)が測定装置に配置される。こうして、媒体の平均温度は、適切に配置された温度センサ(2)を用いて検出することができる。加えて、湿度センサ(1)は、媒体Mの限定的な湿度が検出されるような態様で配置されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
流れ媒体の湿度を測定するための測定装置を規定する。
【背景技術】
【0002】
文献DE 102006021528 B3は、空気流の温度を測定するためのセンサを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成すべき一目的は、流れ媒体の湿度を可能な限り簡潔に決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
流れ媒体中の湿度を検出するための湿度センサを備えた測定装置を規定する。湿度センサは担体上に配置される。また、媒体の温度を検出することのできる温度センサが、好ましくは担体上に位置している。
【0005】
担体は、好ましくは、上述の1つまたは両方のセンサの方向に流れ媒体を向けるのに適した流れ誘導要素を備える。
【0006】
たとえば、担体は、流れ媒体のための入口開口部および出口開口部を備えたチャネルを有する。流れ誘導要素は、たとえば、偏向面の形状または溝状の窪みの形状で、チャネル内部に位置してもよい。
【0007】
好ましい一実施例においては、流れ誘導要素は、湿度センサが媒体中の平均湿度を検出することができるように設計および配置されている。
【0008】
流れ誘導要素は、たとえば、センサの方向に流れ媒体を集中させる。
これは、さまざまな部分的な流れ、特に流れ媒体のうち流れの端を流れる部分、が組合わされて、センサの方向に導かれることを意味する。
【0009】
たとえば、流れ媒体は、媒体の流れる方向に沿ったチャネルの断面のうち先細の部分によって集中させることができる。この場合、媒体は入口開口部を通ってチャネルに流れ込み、流れ誘導要素によって狭窄領域へと導かれる。この狭窄領域の断面は、入口開口部の断面よりも小さくなっている。これにより、結果として、媒体の部分的な流れが組合わされることとなる。一実施例においては、媒体はチャネルの狭窄部によって圧縮され、圧縮された状態で湿度センサに当たる。媒体が圧縮されていない状態である場合の平均湿度は、圧縮された状態の媒体中で測定された湿度から得ることができる。
【0010】
チャネルは、漏斗の形状であってもよい。たとえば、湿度センサは、流れ媒体が集中した状態で存在している漏斗首部の領域に位置している。
【0011】
媒体を集中させる代わりに、またはそれに加えて、流れ誘導要素は、そこを流れ過ぎる大量の媒体を混合し得る。この場合、媒体は好ましくは圧縮されない。
【0012】
別の実施例においては、流れ誘導要素および湿度センサは、媒体が集中も混合もされずに湿度センサの方向に向けられるような態様で配置される。次いで、湿度センサは、媒体中の湿度を限定的に決定することができる。この場合、「限定的に(punktuell)」という語は、集中させられていない媒体の湿度が或る時点で検出されることを意味している。
【0013】
この目的のために、湿度センサは、測定装置のうち、流れ媒体が集中も混合もされない状態で存在している領域に配置される。たとえば、湿度センサは、断面が入口開口部の断面と等しくなっているチャネルの非狭窄領域に配置される。また、湿度センサが、チャネルの入口に、直接、配置されてもよい。
【0014】
湿度センサと同様に、温度センサは、媒体の平均温度または限定的温度を検出することができるような態様で配置されてもよい。
【0015】
一実施例においては、温度センサおよび湿度センサは共通のセンサ要素に一体化される。
【0016】
この配置では、媒体の湿度および媒体の温度は、同じ箇所で単純な態様で検出することができる。
【0017】
代替的な実施例においては、温度センサおよび湿度センサは、別個の構成要素として形成される。これらの構成要素は担体のさまざまな箇所に配置されてもよい。
【0018】
この実施例では、湿度センサは、たとえば、媒体の平均湿度を決定することができるのに対して、温度センサは、媒体の限定的な温度を検出する。この目的のために、湿度センサは、担体のうち、集中または混合された大量の媒体が流れている領域に配置される。温度センサは、担体のうち、そこを流れ過ぎる媒体が集中も混合もされていない領域に配置されてもよい。たとえば、温度センサはチャネルの入口に配置され、湿度センサは、入口開口部よりも断面が小さいチャネルの狭窄領域に配置される。
【0019】
代替的な実施例においては、湿度センサおよび温度センサは、媒体中の湿度が限定的に検出されるように、かつ、媒体の温度が量に対して平均化された態様で検出されるように、配置される。
【0020】
装置はまた、熱伝導性材料を含む要素を備えてもよい。これらの要素は、流れ媒体が少なくとも部分的に当該要素のまわりにまたは当該要素を通って流れるような態様で、測定装置に配置される。この場合、材料の熱伝導性は、平均温度が少なくとも当該要素の部分的な領域において短期間のうちに達成されるほどに高いものでなければならず、その温度は流れ媒体の平均温度に相当するか、または、そこから媒体の平均温度を単純な態様で得ることもできる。たとえば、要素は測定装置のチャネルへと突出ており、媒体は部分的に当該要素のまわりを流れる。一実施例においては、要素は、測定装置のチャネルに位置しつつチャネルの断面にわたって延在する格子の形状である。
【0021】
温度センサは、好ましくは、この要素に熱的に接続され、要素の温度を検出する。結果として、媒体の平均温度は、媒体を集中させたり混合させたりする必要なしに単純な態様で決定することができる。加えて、温度センサは、もはや、測定装置のうち媒体が真直ぐに流れて通り過ぎる領域に配置される必要がなくなり、こうして、機械的損傷からより適切に保護される。
【0022】
湿度センサまたは温度センサをシールドするための要素が、好ましくは測定装置に設けられる。これらの要素は、たとえば測定装置の入口開口部において、センサ要素の上方に配置されてもよい。
【0023】
シールド要素は、媒体がセンサ要素に直接当たるのを防ぐ。これは、一方では、センサ要素を保護するのに用いられる。シールド要素はまた、媒体が集中させられるかまたは混合されてからセンサ要素に当たることを確実にし得る。これは、平均湿度または平均温度を決定する際に特に有利である。
【0024】
好ましい一実施例においては、センサ要素は、センサ信号を他の電子信号、たとえば電流、電圧、周波数、またはデジタルプロトコル、に変換する電子回路に接続される。この目的のために、センサ要素は、たとえばプリント回路基板上に配置され、電子回路に接続される。
【0025】
電子回路は、好ましくは、センサ要素を較正することができるような態様で設計されている。媒体が圧縮された状態で湿度センサに当たる場合、圧縮されていない媒体の平均湿度についての正確な値は、たとえば適切に較正を行なうことによって出力することができる。
【0026】
好ましい一実施例においては、流れ媒体は、流動するガス、特に空気である。
規定された測定装置およびその有利な改善例を、添付の概略図を用いて以下に説明する。添付の概略図は縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】湿度センサおよび温度センサが一体化されている測定装置の断面を示す図である。
【図2】湿度センサおよび別個の温度センサを備えた測定装置の断面を示す図である。
【図3】湿度センサおよび別個の温度センサを備え、熱伝導性材料からなる要素によって囲まれている測定装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は測定装置を示しており、そこを通って、流れ媒体Mが流れる。測定装置は担体3を備え、その長手方向軸31が、流れ媒体Mの流れ方向(矢印)に対して垂直に配向されている。入口開口部71および出口開口部72を有するチャネル7は測定装置に位置している。温度センサ2が一体化されている湿度センサ1がチャネルに配置される。流れ媒体Mは、入口開口部71を通って測定装置に流れ込み、センサ1および2を通り過ぎて、出口開口部72を通って測定装置から出ていく。
【0029】
媒体Mは、流れ誘導要素4によってセンサ1および2の方向に集中させられる。流れ誘導要素4は、担体3の長手方向軸31に対して傾けられた偏向面の形状をなしており、これらは、センサ1および2が位置している首部75において漏斗状をなしている。漏斗状の構成により、流入する媒体Mがセンサ1および2の方向に向けられる。漏斗がセンサ要素1、2の方に向かって先細になっているので、媒体Mの部分的な流れは漏斗首部75の方向へと組合わされ、好ましくは混合される。こうして、チャネル7の狭窄領域73に位置しているセンサ1および2は、媒体Mの平均湿度および媒体Mの平均温度を検出することができる。
【0030】
センサ1および2を遮るシールド要素5は、チャネル7の入口開口部71に配置される。シールド要素5は、流入する媒体Mがセンサ1および2へと直接流れ込むのを防ぐ。
【0031】
測定装置は、コネクタ6によって電気的に接続可能である。コネクタ6は、たとえばプリント回路基板によって、センサ1、2と電気的に接触している。測定装置を電気的に接続する際に、得られた測定データがまた、好ましくは出力され、さらに処理される。
【0032】
図2に示される測定装置においては、湿度センサ1および温度センサ2がチャネル7の別々の領域に配置されている。図1と同様に、チャネル7はこの場合には漏斗の形状をなしている。湿度センサ1は、ここでも漏斗首部75に配置され、流れ媒体Mの平均湿度を決定するのに用いられる。湿度センサ1は、シールド要素5によって媒体Mの直接的な流れから保護される。温度センサ2は、シールド要素5のうち湿度センサ1とは反対側に位置しており、媒体Mは、温度センサに直接流れ込んでいる。温度センサ2は入口開口部71の高さに配置される。媒体Mは、この非狭窄領域74においては集中も混合もされない状態で存在している。こうして、流れ媒体Mの限定的な温度をこの箇所で決定することができる。すなわち、温度は、量に対して平均化されていない。
【0033】
図3は、漏斗状のチャネル7を備えた測定装置を示しており、この装置においては、湿度センサ1が漏斗首部75に配置されている。温度センサ2は、入口開口部71の領域に位置しており、熱伝導性材料を含む格子8によって囲まれている。格子8は、チャネル7の入口開口部71の断面にわたって延在しており、流れ媒体Mは格子を通って流れる。格子8は工程中に加熱される。格子8の熱伝導性が良好であるために、温度センサ2の領域において短期間のうちに平均温度が達成される。温度センサ2は、この温度を測定し、入口開口部71の断面に対して平均化された流れ媒体Mの温度を決定するのに用いることができる。加えて、格子8は媒体Mを混合し、こうして、流れ誘導要素をも構成する。シールド要素5は、好ましくは格子8において一体化され、湿度センサ1および温度センサ2を遮る。
【0034】
代替的な実施例においては、温度センサ2はチャネル7の外側に配置されてもよく、結果として、流れ媒体Mとは接触しなくなる。
【0035】
具体的な実施例を用いて説明してきたが、この発明は上述の具体的な実施例には限定されず、如何なる新しい特徴および特徴の如何なる組合せをも含む。これは、特に、この特徴またはこの組合せ自体が添付の特許請求の範囲または具体的な実施例に明確に記載されていなくても、添付の特許請求の範囲における如何なる特徴の組合せをも含む。
【符号の説明】
【0036】
1 湿度センサ、2 温度センサ、3 担体、31 担体の長手方向軸、4 流れ誘導要素、5 シールド要素、6 コネクタ、7 チャネル、71 入口開口部、72 出口開口部、73 狭窄領域、74 非狭窄領域、75 漏斗首部、8 熱伝導性材料からなる要素、M 流れ媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置であって、
流れ媒体(M)における湿度を検出するための湿度センサ(1)を備え、
流れ媒体(M)の温度を検出するための温度センサ(2)を備え、
湿度センサ(1)および温度センサ(2)が共通の担体(3)上に配置されており、
担体(3)が流れ誘導要素(4,5)を備える、測定装置。
【請求項2】
流れ誘導要素(4,5)は、湿度センサ(1)および温度センサ(2)の組のうち少なくとも1つのセンサの方向に流れ媒体(M)を向けるのに適している、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
流れ誘導要素(4,5)は、流れ媒体(M)を集中させるのに適している、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
流れ誘導要素(4,5)は流れ媒体(M)を混合するのに適している、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
担体(3)は、入口開口部(71)を有するチャネル(7)を備え、前記入口開口部(71)を通って流れ媒体(M)が前記チャネル(7)に流れ込む、請求項1から4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
チャネル(7)が狭窄領域(73)を備え、前記狭窄領域(73)の断面は入口開口部(71)の断面よりも小さく、
湿度センサ(1)および温度センサ(2)の組のうち少なくとも1つのセンサが、狭窄領域(73)に配置される、請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
チャネル(7)は非狭窄領域(74)を備え、前記非狭窄領域(74)の断面は入口開口部(71)の断面と等しく、
湿度センサ(1)および温度センサ(2)の組のうち少なくとも1つのセンサが、非狭窄領域(74)に配置される、請求項5または6に記載の測定装置。
【請求項8】
チャネル(7)は漏斗の形状であり、漏斗首部(75)を備える、請求項5から7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
湿度センサ(1)が入口開口部(71)の領域に配置され、温度センサ(2)が漏斗首部(75)の領域に配置される、請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
温度センサ(2)が入口開口部(71)の領域に配置され、湿度センサ(1)が漏斗首部(75)の領域に配置される、請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
熱伝導性材料を含み、温度センサ(2)に熱的に接続される要素(8)を備える、請求項1から10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
要素(8)は格子であり、前記格子を通って流れ媒体(M)が流れる、請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
流れ媒体(M)が湿度センサ(1)および温度センサ(2)の組のうち少なくとも1つのセンサに直接流れ込むのを防ぐシールド要素(5)を備える、請求項1から12のいずれかに記載の測定装置。
【請求項14】
内部の湿度およびそこを流れる空気の温度を測定するのに用いられる、請求項1から13のいずれかに記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−515669(P2011−515669A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500167(P2011−500167)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053026
【国際公開番号】WO2009/115471
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】