説明

流体ディスペンサ

流体ディスペンサであって、本体(1)と、流体貯蔵器(2)と、前記流体貯蔵器(2)に設置されたポンプまたは弁などの投与部材と、そして、前記貯蔵器から投与された流体または未投与で残っている流体のドーズ数を示すドーズインジケータ装置と、を有し、特徴となるのは、前記ドーズインジケータ装置が第1の安全システムを有し、当該システムは、ディスペンサが駆動ストロークの実行を完全に終えていない状態でも、所定位置までの部分的な駆動ストロークをディスペンサが実行し終えた時点で、ドーズインジケータ装置が駆動されるようにするものであること、という前記ディスペンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体ディスペンサに関し、さらに具体的に言えば、前記流体ディスペンサの貯蔵器から投与済みのドーズ数または未投与で貯蔵器に残っているドーズ数をユーザに示すためのドーズインジケータ装置を有するディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ドーズインジケータ装置は公知であり、投与済みまたは未投与のドーズ数に対応した数字を表示するカウンタ、あるいは、投与済みまたは未投与のドーズ数に関する情報を、記号、カラーコード、または、同様の数字を用いてユーザに通知するインジケータを有する。ドーズインジケータ装置については、特に、薬剤を格納した流体ディスペンサで用いる場合、信頼性の高い様態で機能することが重要である。それは、具体的に言えば、流体が投与される際、1ドーズ分が完全に投与されたか不完全であったかに関わりなく1ドーズの投与をカウントする、ということである。不完全な投与とは、意図しない形での駆動や、駆動サイクルの完了前に中断された駆動から生じるものである。一般的に、1ドーズが完全に投与されなかった場合については、全くカウントしないよりも、完全な1ドーズとしてカウントする方が好ましい。カウント漏れは、貯蔵器の内容量が実際よりも大きくユーザに通知されてしまう、という重大な危険をユーザにもたらすからである。そのため、一般的には、薬剤のディスペンサでは、過少カウントの生じる危険を完全に排除するのが望ましく、その具体的な方法としては、有効物質の放出直前にカウントを開始するというやり方がある。また、それとは別に、薬剤のディスペンサ用のドーズインジケータ装置に関して重要な点として、駆動が行われて1ドーズが投与された後、ディスペンサが休止状態に戻ろうとしている途中にさらなる駆動が生じて、それがディスペンサの戻りストローク完了前に実施され、1ドーズが完全または不完全な形で投与されるものである場合には、その駆動もインジケータ装置がカウントすべきであり、これはやはり過少カウントの危険を排除するためである。ほとんどの流体ディスペンサでは、1ドーズが投与された後、ディスペンサが休止位置に戻る間に、ディスペンサ部材(ポンプまたは弁)のチャンバに次のドーズが充填される。ディスペンサの戻りストロークの間に過少カウントが生じる危険を排除するためには、戻りストロークによってチャンバの充填が可能となった直後からインジケータ装置が再びディスペンサの駆動をカウントできるようになるまでの間、流体ディスペンサをブロックするのが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した条件の1つまたは複数を満たす流体ディスペンサを提供することを目的とする。
具体的に言えば、本発明は、過少カウントのあらゆる危険を防ぐドーズインジケータ装置を有する流体ディスペンサ(すなわち、流体ディスペンサによって流体が投与されるたびにインジケータ装置が確実に駆動されるもの)を提供することを目的とする。
【0004】
また、ディスペンサが駆動しても流体が全く投与されない、という状況にある場合にはドーズ投与がカウントされるのを防止する(すなわち、ドーズインジケータ装置が駆動されることを防止する)、というディスペンサを提供することも本発明の目的となる。
本発明はさらに、製造および組立が簡単かつ安価であり、使用にあたっての信頼性が高い流体ディスペンサを提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0005】
こうした目的の達成のために本発明が提供するのは、流体ディスペンサであって、本体と、流体貯蔵器と、前記流体貯蔵器に設置されたポンプまたは弁などの投与部材と、そして、前記貯蔵器から投与された流体または未投与で残っている流体のドーズ数を示すドーズインジケータ装置と、を有し、特徴となるのは、前記ドーズインジケータ装置が第1の安全システムを有し、当該システムは、ディスペンサが駆動ストロークの実行を完全に終えていない状態でも、所定位置までの部分的な駆動ストロークをディスペンサが実行し終えた時点で、ドーズインジケータ装置が駆動されるようにするものであること、という前記ディスペンサである。
【0006】
また、前記ドーズインジケータ装置は第2の安全システムを有し、当該第2安全システムは、1ドーズ投与後のディスペンサの戻りストロークの間、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでは、薬剤が再び放出されないようにするものであり、前記ディスペンサおよび前記ドーズインジケータ装置は、所定位置までの部分的な戻りストロークが実行された後であれば、ディスペンサが戻りストロークの実行を完全に終えていなくても、再び駆動させることが可能となり、前記ディスペンサは休止位置に戻る前に再び駆動される、とするのが好ましい。
【0007】
また、前記貯蔵器は本体に対して軸方向に移動可能であり、前記本体は少なくとも1つの静止ギアを有し、前記ドーズインジケータ装置は、前記本体に対して回転運動および軸方向移動の可能なカウンタ要素を有し、前記カウンタ要素は、ディスペンサが駆動されている間に、第1に前記本体の前記少なくとも1つの静止ギアと、第2に前記貯蔵器と協働する、とするのが効果的である。
【0008】
また、本発明の第1の実施の形態では、前記本体は前記カウンタ要素の第1ギアと協働する静止ギアを有し、前記カウンタ要素はディスペンサの駆動部材の駆動ギアと協働する第2ギアを有し、前記第2ギアおよび/または前記駆動ギアの歯は、駆動部材の軸方向移動によって前記カウンタ要素が軸方向に移動させられ、そして回転運動させられる、という形に作られており、静止ギアは前記カウンタ要素の回転を防止し、その防止は、ディスペンサの前記所定位置までの部分的な駆動ストロークに対応して前記カウンタ要素が所定分だけ軸方向に移動した後、前記カウンタ要素がもはや前記静止ギアと協働していない状態になるまで行われること、とする。
【0009】
また、効果的な構成として、静止ギアは受け手段を有し、当該手段は、前記カウンタ要素が少なくとも部分的に回転した後、前記カウンタ要素の回転を防止し、前記カウンタ要素を続けて回転させるため、および/または、インジケータ装置を休止位置に戻すためには、前記カウンタ要素をさらに軸方向に移動させる必要があること、とする。
これらの受け部によりカウンタ要素の第2ギアは位置決めされるが、その様態は、ディスペンサの戻り行程におけるチャンバの充填前、休止位置までの間ディスペンサがブロックされる、というものである。
【0010】
また、前記受け手段は軸方向の突起で成ること、とするのが効果的である。
また、前記静止ギアおよび/または前記カウンタ要素は、ブロック手段を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサが再び駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動が終わった後にカウンタ要素が休止位置に戻る間、そして、ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでの間であり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になること、とするのが効果的である。
【0011】
また、前記ブロック手段は、本体およびカウンタ要素のそれぞれに設けられた軸方向突起で成り、前記突起の各々は平らな軸方向端部プロフィールを有し、前記突起はまた、前記突起を位置のずれた状態にするのに充分なだけカウンタ要素が回転するまでは、少なくとも部分的には対向する位置にあり、当該充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応していること、とするのが効果的である。
【0012】
また、カウンタ要素の第2ギアの歯は中間ステップを有し、駆動部材は、ディスペンサが駆動されている間は前記ステップと協働しており、駆動が終わってから休止位置に戻る間は前記第2ギアの端壁と協働しており、中間ステップと端壁との間での移動は前記カウンタ要素の回転によって実現される、とするのが効果的である。
また、所定位置まで部分的に戻りストロークの実行が完了すると、駆動部材は、カウンタ要素の第2ギアの次の歯に対向する位置に来て、ディスペンサおよびドーズインジケータ装置を再び駆動することが可能となる、とするのが効果的である。
【0013】
また、本発明の第2の実施の形態では、前記本体は第1の静止ギアと第2の静止ギアとを有し、前記カウンタ要素は、前記第1の静止ギアと協働する第1ギアと、前記第2の静止ギアと協働する第2ギアとを有し、前記カウンタ要素は、戻しスプリングの力でディスペンサの駆動要素と軸方向に接触させられるものであり、さらに、前記駆動要素に対して回転可能であり、前記第2ギアおよび前記第2の静止ギアの歯は少なくとも部分的に傾斜しており、それによって、駆動部材が軸方向に移動すると先ず、前記カウンタ要素は、カウンタ要素の前記第2ギアの傾斜部分が前記第2の静止ギアの前記傾斜部分と協働する状態になるまで、所定位置までの部分的な駆動ストロークの分だけ軸方向に移動させられ、それによって、カウンタ要素は回転サイクルの第1の部分にわたって回転させられることになり、前記第1ギアおよび前記第1の静止ギアの歯も少なくとも部分的に傾斜しており、そのため、カウンタ要素は、その休止位置に戻る際に回転させられて回転サイクルを完了するが、それは、カウントされるディスペンサの1回の駆動に対応している、とする。
【0014】
また、本体の前記第1および第2の静止ギアおよび/またはカウンタ要素の前記第1および第2ギアはお互いに対して位置がずれており、そのため、カウンタ要素が回転運動可能な場合は常に、ディスペンサの駆動ストロークを終了することなく前記カウンタ要素を休止位置に戻すことで、カウンタ要素はその全回転サイクルの終わりまで回転することとなり、前記所定位置まで部分的に駆動ストロークが進んだ後にはディスペンサの駆動が確実に1回カウントされる、とするのが効果的である。
【0015】
また、本体の前記第2の静止ギアおよび/またはカウンタ要素の前記第2ギアはブロック手段を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサがもう一度駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動の後にカウンタ要素が休止位置に戻る間、そして、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでであり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になる、とするのが効果的である。
【0016】
また、前記ブロック手段は、少なくとも部分的には平らな軸方向端部プロフィールを有し、当該端部プロフィールは、本体の前記第2の静止ギアの歯およびカウンタ要素の前記第2ギアの歯に形成されており、前記歯の前記平らなプロフィールは、カウンタ要素が、前記歯に対して位置のずれた状態になるのに充分なだけ回転し終えるまでは、少なくとも部分的には互いに対向しており、当該充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応している、とするのが効果的である。
【0017】
また、ディスペンサの前記駆動部材は前記貯蔵器に固定されており、それと共に軸方向に移動させられる、とするのが効果的である。
また、本発明の第3の実施の形態では、前記本体は第1の静止ギアおよび第2の静止ギアを有し、前記カウンタ要素は、前記第1の静止ギアと協働する第1ギアと、前記第2の静止ギアと協働する第2ギアと、そして、ディスペンサの駆動部材に固定された駆動ギアと協働する第3ギアとを有し、前記第3ギアおよび/または前記駆動ギアの歯は、駆動部材の軸方向移動によって前記カウンタ要素が軸方向に移動させられるとともに、回転の形でも運動させられる、という様態に作られており、前記第1の静止ギアは、前記カウンタ要素がディスペンサの前記所定位置までの部分的な駆動ストロークに対応する所定量だけ軸方向移動した後、前記カウンタ要素がもはや前記静止ギアと協働していない状態になるまで、前記カウンタ要素の回転を防止すること、とする。
【0018】
また、本体の前記第2の静止ギアおよび/またはカウンタ要素の前記第2ギアはブロック手段を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサが再び駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動の後にカウンタ要素が休止位置に戻る間、そして、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでであり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になる、とするのが効果的である。
【0019】
また、前記ブロック手段は平らな軸方向端部プロフィールを有し、当該端部プロフィールは、前記第2の静止ギアの歯および前記第2ギアの歯に形成されており、カウンタ要素が、前記歯を位置のずれた状態にするのに充分なだけ回転するまでは、前記歯は少なくとも部分的には対向しており、前記充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応していること、とするのが効果的である。
【0020】
また、前記駆動ギアはカウンタ要素の回転できる範囲を制限する受け手段を有し、当該制限は、駆動部材が前記所定位置までの部分的な戻りストロークの実施を完了するまで行われる、とするのが効果的である。
また、前記受け手段は前記駆動ギアに形成された軸方向突起で成ること、とするのが効果的である。
【0021】
また、ディスペンサの前記駆動部材は前記貯蔵器に固定されており、それと共に軸方向に移動させられる、とするのが効果的である。
本発明に関する他の特徴および効果については、非限定的な例として示す3つの実施の形態について以降の部分で述べる詳細な説明を、添付図面を参照しながら読むことで、いっそう明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の3つの実施の形態を対象とする説明は、ディスペンサの駆動サイクルに関するものであり、そして、インジケータ装置の様々な機能的特徴(前記インジケータ装置の動作上の信頼性およびカウントの信頼性に対する保証を可能にするもの)に関する。そこで、本説明が参照する図面については、大幅に単純化した略図となっており、流体ディスペンサの詳細を示すものではない。ただし、非常に概略化された形ではあるが、互いに対して相対的に移動する各種部分についても触れることで、前記ディスペンサおよび前記インジケータ装置について説明している。そのため、例えば投与部材(例:ポンプまたは弁)は図示していない。さらに、投与開口部を有する投与ヘッドも図には示されていない。これら要素は本発明に直接的には関与しないからである。
【0023】
留意すべき点として、本発明のより具体的な適用対象は「定量式吸入器(MDI)」装置である。これは定量弁を有し、当該弁が、流体と推進ガスとが格納された貯蔵器の上に取り付けられ、貯蔵器が弁部材に対して相対的に移動することで、1ドーズの流体が前記推進ガスによって投与されることになる、というものである。ただし、本発明はこの特定の用途に限定されるわけではなく、前記用途はあくまでも本発明の好適な用途として挙げたものである。
【0024】
先ず、図1〜8を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。この第1の実施の形態におけるディスペンサは、本体1の内部で軸方向に移動可能な貯蔵器2を有するが、これ以降、当該本体1はディスペンサの静止部分として考える。貯蔵器2が本体1に対して軸方向移動することで投与部材が駆動され、それにより、1ドーズの流体が前記貯蔵器から投与されることになる。この第1の実施の形態では、ディスペンサは駆動部材30を有し、ユーザは当該部材に軸方向の駆動力を加えることでディスペンサを駆動し、前記貯蔵器2を本体1に対して移動させる。ディスペンサはさらにドーズインジケータ装置を有し、これは、ディスペンサが駆動される度に流体1ドーズの投与をカウントまたは提示するものである。従って、ユーザはインジケータ装置により、前記貯蔵器2からこれまでに投与されたドーズ数、あるいは、前記貯蔵器2内部に残っているドーズ数を知ることができる。この情報は、特に流体が薬剤である場合には非常な正確さが求められ、過少カウントの危険は排除されなければならない。過少カウントが生じた場合、すなわち、1ドーズの流体が完全または部分的に投与されたにもかかわらずインジケータ装置がカウントを失敗する事態が1回以上発生した場合、貯蔵器に1ドーズ以上残っていると示されているにもかかわらず、実際には貯蔵器は空になっている、という状態のディスペンサがユーザの手元に残る事態となりうる。そうすると、喘息の発作の場合、もはや機能しないディスペンサしか持っていないユーザは薬を摂取できない、ということになりかねない。
【0025】
本発明は過少カウントの危険を完全に排除することを可能にする。そのために、本発明のドーズインジケータ装置は、少なくとも1つ(好ましくは2つ)の安全システムを有する。第1の安全システムは、駆動されたディスペンサがストローク途中の予め決められ位置まで部分的に進んだ時点でただちに、ドーズインジケータ装置が駆動されて1ドーズの流体の投与がカウントされる、ということを保証するものである。第2の安全システムは、ディスペンサの戻りストロークにおいて、ドーズインジケータ装置が次のドーズをカウントする準備ができるまでの間、ドーズの放出を防止することを目的とする。ディスペンサのドーズ用チャンバの充填は、先の駆動が行われた後、ディスペンサが休止状態に戻っていく間に行われるのが一般的である。戻りストロークが完了していないにもかかわらず、装置が休止状態に戻る前に再び駆動された場合には、いくらかの流体が投与されてしまう可能性がある。しかし、ドーズインジケータ装置は、休止位置に戻っているか、その近くまで達していない限り、こうした流体投与をカウントすることはできない。過少カウントはこうして発生する。これを回避するために、第2の安全システムは、新たな駆動、または、少なくとも新たな流体投与をブロックする。ブロックが行われるのは、ドーズインジケータ装置が再び駆動して次のドーズをカウントできる、という状態になるまで戻りストロークが進む間のことである。
【0026】
つまり、本発明は、インジケータ装置の過少カウントの危険を排除するための安全システムを1つまたは2つ提供する。
先ず、図1〜4を参照しながら、第1の安全システムについて説明する。
図面を参照すれば分かるように、静止本体1は静止ギア110を有し、インジケータ装置はカウンタ要素20で成る。当該要素20は第1に本体1の前記静止ギア110と、第2に駆動部材30および/または貯蔵器2と協働するものである。更に具体的に言えば、カウンタ要素20は本体1に対して、回転運動させることも、軸方向に移動させることもできる。カウンタ要素20は、本体の前記静止ギア110と協働する第1ギア210と、駆動部材30に固定された駆動ギア300と協働する第2ギア230とを有する。
【0027】
図1〜4が示すのは、ディスペンサの駆動サイクルの前半、すなわち、ディスペンサが休止状態(図1に示す)から駆動状態(図4に示す)まで遷移する様子である。図1において、ユーザが駆動部材30を押下して前記駆動部材を軸方向下向きに移動させると、駆動ギア300およびカウンタ要素の第2のギア230の歯が有する傾斜プロフィールにより、カウンタ要素20は軸方向下向きに移動させられると共に、やはり上述のギアの傾斜プロフィールによって、回転もさせられる。しかしながら、カウンタ要素20の第1のギア210が本体1の静止ギア110と協働している間、カウンタ要素20は完全に回転を禁じられる。そのため、ディスペンサの(従って駆動部材30の)駆動ストロークの開始時、カウンタ要素20は駆動部材30と共に軸方向にのみ移動させることが可能であり、回転させることはできない。システムが図2に示す状態になった時点では、カウンタ要素20の軸方向移動の結果として、貯蔵器2もまた軸方向に移動させられ、駆動ストロークの第1部分の距離だけ進んでいる。図2に示す状態において、カウンタ要素20の第1のギア210が到達した位置では、当該ギア210と本体1の静止ギア110とはもはや協働していない。その結果、駆動部材30に加わる力によって回転を強いられていたカウンタ要素は、本体1に対して回転運動することが可能となる。カウンタ要素がわずかでも回転を始めると直ちに、ドーズインジケータ装置は駆動され、流体1ドーズのカウントが開始される。カウンタ要素20のこうした部分的な(途中までの)軸方向移動ストロークは、ディスペンサ(さらに具体的に言えば貯蔵器2)の前記予め定められた部分的な駆動ストロークに対応している。こうした型のディスペンサでは、流体1ドーズは必ずしも駆動ストロークの最後に放出されるわけではなく、予め決められた部分的ストロークから始まるものであり、それ自体は、弁部材の移動の結果、または、ポンプ内でのピストンの移動の結果として生じる。カウンタ要素の第1のギア210と本体1の静止ギア110との協働をディスペンサの前記予め定められた部分的駆動ストロークに対応させることで、貯蔵器2から流体が投与される可能性が生じると直ちにインジケータ装置は1ドーズが投与されたものとしてカウントする、ということが確実になる。
【0028】
図3に示すように、本体1の静止ギア110は受け手段115を有し、当該手段は、好ましい構成として、カウンタ要素20の第1のギア210と協働する軸方向突起によって形成されている。そして、この受け手段によって、カウンタ要素は再び軸方向に移動させられる。その移動量は非常に小さいもののゼロではなく、第1ステップ(第2のギア230上の受け部235によって規定されるもの)に駆動ギア300が充分にかみ合うことを可能にする。そうして、受け部235が越えられない限り、ディスペンサのチャンバが充填されることはありえない。越えてしまえば、ディスペンサチャンバが充填されるより前に、駆動ギア300はカウンタ要素20の第2ギア230の端壁または第2ステップの位置に来ている。そうすると、薬剤の放出は図6に示すように防止される。
【0029】
駆動ストロークを継続すると、貯蔵器2は図4に示す位置まで運ばれるが、この位置で駆動ストローク全体の実施が完了したことになり、1ドーズ分が完全に貯蔵器から放出されている。ただし、留意すべき点は、駆動ストローク全体の完了前にユーザが駆動部材30に力を加えるのを止めてしまった場合でさえ、前記の部分的駆動ストロークが実施された時点で直ちにインジケータ装置は1ドーズの投与をカウントする、ということであり、その結果、過少カウントは防止される。
【0030】
次いで図5〜8を参照しながら、ディスペンサの駆動サイクルの第2段階、すなわち、投与状態から休止状態(図8参照)まで戻る過程について説明する。先ず図5を参照する。同図から見て取れるように、ユーザが駆動部材30への圧力を解放すると、ディスペンサの戻しスプリング(図示せず)が、貯蔵器2を本体1に対して軸方向に、上述した駆動時移動とは反対の向きに移動させることで、貯蔵器2を休止位置に戻す。貯蔵器2の移動によってカウンタ要素20は軸方向に移動させられ、その結果、第1のギア210が本体1の静止ギア110と再び協働することになるが、今回は傾斜部分を介してであり、そのため、前記カウンタ要素は回転することになり、その回転によってインジケータ装置のカウントサイクルを完了させる。戻りストローク中にカウンタ要素が本体1を基準に回転している間について留意すべき点は、駆動部材30がカウンタ要素20の第2ギア230の端壁と協働することになる一方、駆動段階中には、駆動ギア300が、カウンタ要素20の前記第2ギア上に受け部235によって形作られた第1のステップと協働する、ということである。
【0031】
図6は、ディスペンサの戻りストロークが完了しないうちに新たな駆動が試みられた場合を示す概略図である。留意すべきは、本体1が有する軸方向突起120が、カウンタ要素20上に形成された軸方向突起220と協働している、という点である。変形例として、軸方向突起120、220を対応する形状を有するギアに置き換えることもできる。好ましい構成として、前記突起120、220の軸方向の端部プロフィールは平面によって形成されており、また、軸方向突起120、220は、少なくとも部分的には互いに向き合う位置に置かれている。そのため、ディスペンサの戻りストロークが不充分な場合は、図6に示すように、新たなドーズ分の流体を放出することは不可能である。再びディスペンサを駆動できるようにするには、回転軸を中心にカウンタ要素20を充分に回転させること、そして、前記突起が互いに対して位置がずれた状態となるようにすること、が必要である。そうすれば、新たな駆動が可能になる。位置がずれた状態を実現するためには、カウンタ要素20の第2ギア230の端壁から駆動部材30を解放し、当該部材30を、次の歯の受け部235によって形作られた第1のステップに対向する位置にもってくる。新たな駆動は、ディスペンサが戻りストロークを完了する前であっても、インジケータ装置がディスペンサの新たな駆動を再びカウントできるようになった時点で直ちに可能となる。本発明はこうした要件を満たすことを可能にするものであり、図7に示すように、戻りストロークが完了していない状態でも、ディスペンサの駆動部材30(特に駆動ギア300)は、カウンタ要素の第2ギア230の次の歯と協働が可能な位置にある。そのため、この瞬間に新たな駆動を起こせば、カウンタ要素は前サイクルの終わりまで回転する。それによって、前記軸方向突起120、220は位置がずれた状態となるので、ディスペンサおよびドーズインジケータ装置は再び駆動することが可能となる。ここで目的としているのは、チャンバが充填されている場合でも、カウンタが次ドーズをカウントする準備ができていない限り放出を禁止する、ということである。
【0032】
図8では、装置は最初の休止状態に戻されており、新たな駆動サイクルが実行可能となっている。
図9〜12は、本発明の第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態は第1の実施の形態と以下の点で異なる。第1に、本体1は2つの静止ギア110、120を有し、カウンタ要素20は2つのギア210、220を有する。そして、ギア210、220の各々が本体の静止ギアのいずれか1つと協働する。駆動部材30は貯蔵器2に固定されており、カウンタ要素20は前記駆動部材30と共に軸方向に移動可能であると共に、前記駆動部材30に対して回転させることができる。実際、第2の実施の形態では、駆動部材と言えるものは存在せず、ユーザは貯蔵器2自体を本体1に対して移動させることで駆動を実行する、と見るのが普通であろう。本体1の第2の静止ギア120およびカウンタ要素の第2ギア220はそれぞれ、少なくとも部分的に傾斜した部分121、221を有し、前記部分は、ディスペンサが駆動されている間はお互いと協働する。両傾斜部分はカウンタ要素20を回転させ、それによって、ドーズインジケータ装置のカウントサイクルを引き起こす。図9、10に示す通り、ディスペンサの駆動中、カウンタ要素は、駆動要素30および貯蔵器2に固定されているため当初は軸方向に移動し、回転はしない。ディスペンサが所定位置までの部分的ストロークを実行し終えたところで、第2ギア120、220の傾斜部分121、221が協働して駆動部材を回転させる(図10参照)。
【0033】
留意すべき点は、図10に示す位置でユーザがディスペンサの駆動を止めてしまった場合、システムが戻しスプリング50の力で休止状態に戻り、カウントサイクルは完了する、ということである。カウントサイクルが完了するのは、カウンタ要素20の第1ギア210が第1の静止ギア110の歯と協働する状態になり、それによって、カウンタ要素20をさらに回転させ、当該要素20をカウントサイクルの終わりまで持っていくからである。第1の安全システムはこうした形で提供されており、ディスペンサが所定位置までの部分的駆動ストロークを終えた直後からドーズインジケータ装置の駆動は保証され、その時点から、流体の少なくとも一部(完全な1ドーズ分またはドーズの一部分の流体)が投与可能である。
【0034】
図11は駆動後状態を示しており、これは駆動ストロークが最後まで実行された状態である。また、図12が示すのは第2の安全手段であり、第2の静止ギア120、そして、カウンタ要素20の第2ギア220によって実現されている。これら2つのギアもそれぞれに平らな部分を有し、それら部分の各々は平らな軸方向端部プロフィールを有する。そのため、ディスペンサの戻りストロークが図12に見られるように不充分であった場合、そこからシステムを新たに駆動すると、カウンタ要素20は平らな端部分を介して第2の静止ギア120と軸方向に接触する状態となる。その結果、ディスペンサが駆動されないようになるため、薬剤の放出は防止される。第2ギア120、220の傾斜部分が互いに向き合う状態になって、ディスペンサおよびドーズインジケータ装置が再び駆動可能になるには、所定位置まで部分的に戻りストロークが実行されていなければならない。
【0035】
図13〜21は本発明の第3の実施の形態を示す。第3の実施の形態が第2の実施の形態と異なるのは、軸方向に見てカウンタ要素20が駆動要素30および貯蔵器に固定されていない、という点である。駆動部材30および貯蔵器2は、カウンタ要素20上に設けられた第3ギア230と協働する駆動ギア300を有する。そのため、第3の実施の形態では、ディスペンサの駆動ストローク中のカウンタ要素20の回転は、第2の静止ギア120によって生じるのではなく、第3のギア230と駆動ギア300とによって生じる。つまり、第3の実施の形態は、上述した第1および第2の実施の形態を組み合わせたものである。駆動の開始時、図13に示す状態では、第1の静止ギア110とカウンタ要素20の第1ギア210とが協働しているため、カウンタ要素20は回転ができなくなっており、従って前記カウンタ要素は軸方向に移動することになる。図14に示す位置では、上述の第1のギア同士はもはや協働しておらず、駆動ギア300の歯とカウンタ要素20の第3ギア230との傾斜プロフィールがカウンタ要素20を回転させる。これは、ディスペンサの前記部分的駆動ストロークの後に起こり、さらにその後、完全な1ドーズ分、または1ドーズに足らない量の流体が投与されることになる。図15が示すように、この瞬間に軸方向駆動力がなくなれば、戻しスプリング50の力を受けたカウンタ要素はカウントサイクルが完了する所まで回転する。そのため、過少カウントの危険は防がれる。
【0036】
図16が示すのは最終的な駆動後位置であり、ここでは、全駆動ストロークが完了している。この瞬間、ユーザが駆動部材30に加えていた駆動力を解放すると、システムは戻しスプリング50の力で上昇し、カウンタ要素20と本体1とがそれぞれ有する第1のギア210、110が協働することによって、カウンタ要素は回転を続けることになる。こうして継続した回転は、受け手段305によって駆動ギア300の中でブロックされる。ここで図18を参照する。同図を見れば分かるように、ここでユーザが再び駆動部材30を押さえても、ディスペンサおよびカウンタ装置の駆動は阻止される。これは、カウンタ要素の第2ギア220と本体1の第2静止ギア120とが、それぞれ有する平らな軸方向端部プロフィールにおいて対向しているからである。図19に示すのは、第2の安全システムが機能している状態で駆動の実施を試みた場合である。ディスペンサおよびドーズインジケータ装置を再び駆動させるには、所定位置まで部分的な戻りストロークを実行しておく必要があり、これは図20に示してある。この状態からユーザが再び駆動を行えば、カウンタ要素20は回転し、ディスペンサおよびインジケータ装置は再び駆動可能になる。
【0037】
最後に、図21に示すのは、前記部分的な戻りストロークが完了した後で、さらなる駆動の実施が試みられた場合の状態である。
当然のことながら、ここまでに示した3つの実施の形態に関する詳細な説明は限定的なものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱しない形で、他の実施の形態も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に関する第1の実施の形態を構成する流体ディスペンサの概略図であり、駆動サイクル中のディスペンサの連続的な状態のうち1つを示す図である。
【図2】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図3】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図4】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図5】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図6】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図7】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図8】図1と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図9】本発明に関する第2の実施の形態を構成するディスペンサの概略図であり、駆動サイクルにおけるディスペンサのいくつかの状態のうち1つを示す図である。
【図10】図9と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図11】図9と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図12】図9と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図13】本発明に関する第3の実施の形態を構成する流体ディスペンサの概略図であり、駆動サイクルにおけるディスペンサのいくつかの状態のうち1つを示す図である。
【図14】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図15】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図16】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図17】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図18】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図19】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図20】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。
【図21】図13と同様の図であり、別の状態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサであって、本体(1)と、流体貯蔵器(2)と、前記流体貯蔵器(2)に設置されたポンプまたは弁などの投与部材と、そして、前記貯蔵器から投与された流体または未投与で残っている流体のドーズ数を示すドーズインジケータ装置と、を有し、
特徴となるのは、
前記ドーズインジケータ装置が第1の安全システムを有し、当該システムは、ディスペンサが駆動ストロークの実行を完全に終えていない状態でも、所定位置までの部分的な駆動ストロークをディスペンサが実行し終えた時点で、ドーズインジケータ装置が駆動されるようにするものであること、
という前記ディスペンサ。
【請求項2】
前記ドーズインジケータ装置は第2の安全システムを有し、当該第2安全システムは、1ドーズ投与後のディスペンサの戻りストロークの間、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでは、流体が再び放出されないようにするものであり、
前記ディスペンサおよび前記ドーズインジケータ装置は、所定位置までの部分的な戻りストロークが実行された後であれば、ディスペンサが戻りストロークの実行を完全に終えていなくても、再び駆動させることが可能となり、前記ディスペンサは休止位置に戻る前に再び駆動されること、
を特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記貯蔵器(2)は本体(1)に対して軸方向に移動可能であり、前記本体(1)は少なくとも1つの静止ギア(110,120)を有し、前記ドーズインジケータ装置は、前記本体(1)に対して回転運動および軸方向移動の可能なカウンタ要素(20)を有し、前記カウンタ要素(20)は、ディスペンサが駆動されている間に、第1に前記本体の前記少なくとも1つの静止ギア(110,120)と、第2に前記貯蔵器(2)と協働すること、
を特徴とする請求項1または2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記本体(1)は前記カウンタ要素(20)の第1ギア(210)と協働する静止ギア(110)を有し、前記カウンタ要素(20)はディスペンサの駆動部材(30)の駆動ギア(300)と協働する第2ギア(230)を有し、
前記第2ギア(230)および/または前記駆動ギア(300)の歯は、駆動部材の軸方向移動によって前記カウンタ要素(20)が軸方向に移動させられ、そして回転運動させられる、という形に作られており、
静止ギア(110)は前記カウンタ要素(20)の回転を防止し、その防止は、ディスペンサの前記所定位置までの部分的な駆動ストロークに対応して前記カウンタ要素(20)が所定分だけ軸方向に移動した後、前記カウンタ要素(20)がもはや前記静止ギア(110)と協働していない状態になるまで行われること、
を特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
静止ギア(110)は受け手段(115)を有し、当該手段(115)は、前記カウンタ要素(20)が少なくとも部分的に回転した後、前記カウンタ要素(20)の回転を防止し、前記カウンタ要素(20)を続けて回転させるため、および/または、インジケータ装置を休止位置に戻すためには、前記カウンタ要素(20)をさらに軸方向に移動させる必要があること、
を特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記受け手段(115)は軸方向の突起で成ること、
を特徴とする請求項5に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記静止ギア(110)および/または前記カウンタ要素(20)は、ブロック手段(120,220)を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサが再び駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動が終わった後にカウンタ要素(20)が休止位置に戻る間、そして、ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでの間であり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になること、
を特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ブロック手段は、本体(1)およびカウンタ要素(20)のそれぞれに設けられた軸方向突起(120,220)で成り、前記突起(120,220)の各々は平らな軸方向端部プロフィールを有し、前記突起(120,220)はまた、前記突起(120,220)を位置のずれた状態にするのに充分なだけカウンタ要素が回転するまでは、少なくとも部分的には対向する位置にあり、当該充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応していること、
を特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
カウンタ要素(20)の第2ギア(230)の歯は中間ステップ(235)を有し、駆動部材(30)は、ディスペンサが駆動されている間は前記ステップ(235)と協働しており、駆動が終わってから休止位置に戻る間は前記第2ギア(230)の端壁と協働しており、中間ステップ(235)と端壁との間での移動は前記カウンタ要素(20)の回転によって実現されること、
を特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
所定位置まで部分的に戻りストロークの実行が完了すると、駆動部材(30)は、カウンタ要素(20)の第2ギア(230)の次の歯に対向する位置に来て、ディスペンサおよびドーズインジケータ装置を再び駆動することが可能となること、
を特徴とする請求項8または9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記本体(1)は第1の静止ギア(110)と第2の静止ギア(120)とを有し、前記カウンタ要素(20)は、前記第1の静止ギア(110)と協働する第1ギア(210)と、前記第2の静止ギア(120)と協働する第2ギア(220)とを有し、
前記カウンタ要素(20)は、戻しスプリング(50)の力でディスペンサの駆動要素(30)と軸方向に接触させられるものであり、さらに、前記駆動要素(30)に対して回転可能であり、
前記第2ギア(220)および前記第2の静止ギア(120)の歯は少なくとも部分的に傾斜しており、それによって、駆動部材(30)が軸方向に移動すると先ず、前記カウンタ要素(20)は、カウンタ要素(20)の前記第2ギア(220)の傾斜部分(221)が前記第2の静止ギア(120)の前記傾斜部分(121)と協働する状態になるまで、所定位置までの部分的な駆動ストロークの分だけ軸方向に移動させられ、それによって、カウンタ要素(20)は回転サイクルの第1の部分にわたって回転させられることになり、
前記第1ギア(210)および前記第1の静止ギア(110)の歯も少なくとも部分的に傾斜しており、そのため、カウンタ要素(20)は、その休止位置に戻る際に回転させられて回転サイクルを完了するが、それは、カウントされるディスペンサの1回の駆動に対応している、ということ、
を特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項12】
本体(1)の前記第1および第2の静止ギア(110,120)および/またはカウンタ要素(20)の前記第1および第2ギア(210,220)はお互いに対して位置がずれており、そのため、カウンタ要素(20)が回転運動可能な場合は常に、ディスペンサの駆動ストロークを終了することなく前記カウンタ要素を休止位置に戻すことで、カウンタ要素(20)はその全回転サイクルの終わりまで回転することとなり、前記所定位置まで部分的に駆動ストロークが進んだ後にはディスペンサの駆動が確実に1回カウントされる、ということ、
を特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
本体(1)の前記第2の静止ギア(120)および/またはカウンタ要素(20)の前記第2ギア(220)はブロック手段を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサがもう一度駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動の後にカウンタ要素(20)が休止位置に戻る間、そして、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでであり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になること、
を特徴とする請求項11または12に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記ブロック手段は、少なくとも部分的には平らな軸方向端部プロフィールを有し、当該端部プロフィールは、本体(1)の前記第2の静止ギア(120)の歯およびカウンタ要素(20)の前記第2ギア(220)の歯に形成されており、
前記歯の前記平らなプロフィールは、カウンタ要素(20)が、前記歯に対して位置のずれた状態になるのに充分なだけ回転し終えるまでは、少なくとも部分的には互いに対向しており、当該充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応していること、
を特徴とする請求項13に記載のディスペンサ。
【請求項15】
ディスペンサの前記駆動部材(30)は前記貯蔵器(2)に固定されており、それと共に軸方向に移動させられること、
を特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記本体(1)は第1の静止ギア(110)および第2の静止ギア(120)を有し、
前記カウンタ要素(20)は、前記第1の静止ギア(110)と協働する第1ギア(210)と、前記第2の静止ギア(120)と協働する第2ギア(220)と、そして、ディスペンサの駆動部材(30)に固定された駆動ギア(300)と協働する第3ギア(230)とを有し、
前記第3ギア(230)および/または前記駆動ギア(300)の歯は、駆動部材(30)の軸方向移動によって前記カウンタ要素(20)が軸方向に移動させられるとともに、回転の形でも運動させられる、という様態に作られており、
前記第1の静止ギア(110)は、前記カウンタ要素(20)がディスペンサの前記所定位置までの部分的な駆動ストロークに対応する所定量だけ軸方向移動した後、前記カウンタ要素(20)がもはや前記静止ギア(110)と協働していない状態になるまで、前記カウンタ要素(20)の回転を防止すること、
を特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項17】
本体(1)の前記第2の静止ギア(120)および/またはカウンタ要素(20)の前記第2ギア(220)はブロック手段を有し、当該ブロック手段は、ディスペンサが再び駆動されるのを防止し、そうすることで薬剤が再び放出されるのを防止するものであり、防止するのは、直前の駆動の後にカウンタ要素(20)が休止位置に戻る間、そして、前記ディスペンサが所定位置までの部分的な戻りストロークを完了するまでであり、その後、インジケータ装置は次のドーズをカウントできる状態になること、
を特徴とする請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記ブロック手段は平らな軸方向端部プロフィールを有し、当該端部プロフィールは、前記第2の静止ギア(120)の歯および前記第2ギア(220)の歯に形成されており、
カウンタ要素(20)が、前記歯を位置のずれた状態にするのに充分なだけ回転するまでは、前記歯は少なくとも部分的には対向しており、前記充分な回転はディスペンサの前記所定位置までの部分的な戻りストロークに対応していること、
を特徴とする請求項17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記駆動ギア(300)はカウンタ要素(20)の回転できる範囲を制限する受け手段(305)を有し、当該制限は、駆動部材(30)が前記所定位置までの部分的な戻りストロークの実施を完了するまで行われること、
を特徴とする請求項17または18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記受け手段(305)は前記駆動ギア(300)に形成された軸方向突起で成ること、
を特徴とする請求項19に記載のディスペンサ。
【請求項21】
ディスペンサの前記駆動部材(30)は前記貯蔵器(2)に固定されており、それと共に軸方向に移動させられること、
を特徴とする請求項16乃至20のいずれかに記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−533356(P2007−533356A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530357(P2006−530357)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001189
【国際公開番号】WO2004/101042
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)