説明

流体取入装置、使用およびリトロフィット方法

液体と気体の混合物を容器5内に導入することに適している流体取入装置1であって、流体取入装置1が、液体と気体の混合物を受けるための取入端部12を備える取入フローチャネル、および複数の曲線状のガイディング翼20を備え、各翼20が、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分22と、曲線状の翼のほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を画定する外向きに方向付けられた偏向部分25とを備え、2つの連続する翼の偏向部分25が、取入装置の排出チャネルを形成し、かつ排出チャネル内での気体流の主方向を画定しており、少なくとも1つの翼25が、気体流方向に対して斜めの液体キャッチャ40を備える流体取入装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と気体の混合物を容器内へ導入することに適した流体取入装置、このような装置の使用法、流体取入装置をリトロフィットする方法、および液体キャッチャチャネルに関する。
【背景技術】
【0002】
上流または下流の石油およびガス産業、化学および石油化学産業での多くの設備において、液体と気体の混合物を処理容器内に導入することが必要とされている。容器は、流れを、たとえば石油および/または水を含む自然の気体流を液体流および気体流に分離するように設計された、分離容器であってよい。容器はまた、その中で気体および液体が、熱または物質を交換するために対向流で接触される気体/液体接触容器であってよい。このような気体/液体接触容器の例は、分留または蒸留カラムであり、特定の例は、真空蒸留カラムである。
【0003】
明細書および特許請求の範囲において、「気体」という単語は、気体および蒸気を称するために使用される。
【0004】
英国特許明細書第1 119 699号は、液体と気体の混合物を蒸留カラム内へ導入するための、流体取入装置を開示している。
【0005】
知られている流体取入装置は、液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および取入フローチャネルに沿って前後に配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼は、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分、および外向きに方向付けられた偏向部分を備える。各翼の遮断および偏向部分は、翼が、混合された供給流の一部を遮断および偏向するように、かつ慣性および遠心力によって液体と蒸気の間の分離を行うことが可能であるようにして配置される。
【0006】
通常動作中、気体と液体の混合物が、取入装置の取入端部と流体的に連通している、カラムの取入ノズルに供給される。翼は、混合物を外向きに偏向させるように曲げられている。流れの方向の変化は、液体が翼の凹状の表面上へ押しやられ、それによって、凹状の表面上に液体に富んだ流れを、および2つの翼の間の排出チャネルの残りの部分の中に気体に富んだ流れを形成することで、混合物の(事前の)分離を生じさせる。流れが排出チャネルを離れた後、液体に富んだ流れが重力の影響下でカラム内を下向きに移動し、一方、気体に富んだ流れがカラム内を上向きに流れる。知られている装置の特定の実施形態では、液体捕捉チャネルが、翼に沿った主流方向に対して垂直に、翼の後縁に配置されている。このチャネルは、横向きに、すなわち主流方向に対して垂直に、翼によって分離された液体のすべてを排出する働きをする。
【0007】
分離流取入装置の重要なパラメータは、気体内の全残存液体巻込み量、すなわち、上向きに流れる気体の残存液体含有量である。液体含有量の一部分は、取入装置内での不完全な分離によるものである。しかし、別の部分は、すでに分離された液体の再巻込みによるものであり、この再巻込みは、気体および液体の流れが取入装置を離れる領域内で一般に生じる。
【0008】
再巻込みは、下流装置に対するより大きな液体負荷を呈するため、蒸留および分離の適用例を含めて、一般の関心事である。翼の凹状の側面上ですでに分離された、理想的には容器の底部へ向かって進むべきである液体が、まだ気体とともに上向きに搬送されるため、再巻込みは、取入装置の全体的な分離効率を低下させる。
【0009】
一般に、再巻込みは、高速では増加することが予想される。このことは、たとえば沖合施設での、コストおよび占有面積の視点での、たとえば容器サイズの減少の結果となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
知られている流体取入装置が、その発明以来成功して適用されてきたが、低い巻込み量で、およびしたがって現在可能であるよりも良好な全体分離効率で動作することができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、液体と気体の混合物を容器内に導入することに適した流体取入装置であって、
液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および
取入フローチャネルに沿って前後に並べて配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼が、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分と、長手方向の縁部の間に延びる後縁部を有し、曲線状の翼がほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を有する外向きに方向付けられた偏向部分とを備え、2つの連続する翼の偏向部分が、取入装置の排出チャネルを形成し、
少なくとも1つの翼が、その偏向部分の長手方向の縁部の1つまたは両方の少なくとも一部分に沿って液体キャッチャチャネルを備える。
【0012】
出願人は、すでに分離された液体を気体内に再巻込みする顕著なメカニズムが知られている翼の縁部で、特に翼の偏向部分の後端部で生じることを理解した。
【0013】
この再巻込みは、液体膜が翼上に存在するおよび/またはその縁部から液体が翼を離れるところの、縁部を横切る気体流によって生じる。
【0014】
知られている取入装置内の気体の大部分は、主気体流がほぼ水平方向であるとき鉛直方向である、翼の端縁部を横切って流れる。従来技術では、たとえば、GB 1 119 699および国際公開第WO2005/018780号において、鉛直方向後縁部に沿って鉛直方向の液体キャッチャチャネルを配置することによって巻込量を低下させることが試みられていた。しかし、このような鉛直方向の構造の存在自体が、気体流の主方向に対して垂直な配向による気体流の撹乱のため、再巻込みの原因となることを出願人は見出した。また、チャネルの上側端部が閉鎖されている場合でさえも、液体が鉛直方向のチャネルの上側の部分から押し出され、再巻込みされることに至る、鉛直方向のキャッチャカナル内の液体上に上向きの力があることを、出願人は見出した。
【0015】
縁部はまた、長手方向縁部、すなわち、実質上翼に沿った気体流の主方向内にある縁部であってもよい。長手方向縁部上での気体の直交流が、特に高い取入速度で、実用上主流である複雑な流れパターンで生じる可能性がある。たとえば、供給混合物を水平方向に受け、カラム内で実質上水平方向に分離された気体と液体の流れを導入する、流体取入装置の特に実用上重要な場合では、翼の長手方向上側のおよび下側縁部が、同様に実質上水平方向に方向付けられ、長手方向縁部を上向きに横切る気体流が、翼上の液体膜からいくらかの液体を解放することができる。0.1から数ミリメートルの直径を有する比較的大きな液体小滴が、局所的に高い気体速度によってこのようにして再巻込みされることがある。
【0016】
ドイツ国特許出願第DE 10 2004 018 341 A1号は、その中に液体キャッチャポケットが、翼の上側の水平方向の縁部に沿って配置されているほぼ水平方向の翼取入装置を開示している。これは、翼上を上向きに流れる流体が上向きの方向に翼を離れることを防止するためである。
【0017】
出願人は、液体キャッチャチャネルが再巻込みを防止するための適切な手段であることをさらに理解した。液体が捕捉され、かつ気体の少なくとも一部分が液体がそこから運び去られることができる縁部上を直交して流れないように、キャッチャ縁部によって翼の側面に向かって少なくとも部分的にガイドされる。液体キャッチャチャネルという表現は、チャネル様の構造によって定義されるような方向に翼上の液体流を気体流の主方向からそれさせる、何らかの手段を含むものである。
【0018】
適切には、仮想線が、せいぜい75度以下、好ましくは65度以下の角度だけ、気体流の主方向からそれる。75度よりも大きい角度では、気体流の撹乱によるおよび/または上向きの方向にキャッチャチャネルから押し出される液体による再巻込量の機会が、高くなりすぎる。適切には、角度は、少なくとも10度以上、好ましくは20度以上、より好ましくは、35度以上などの、30度以上である。
【0019】
適切には、キャッチャチャネルの少なくとも上流位置が、実質上翼の縁部である。上流端部は、翼から外側にいくらか延びてもよい。
【0020】
好ましくは、液体キャッチャチャネルが、翼の縁部の少なくとも一部分に沿って延びている。
【0021】
特定の実施形態では、通常動作中の気体流の主方向が、水平方向であり、かつ翼の偏向部分が上側縁部および下側縁部の間に延び、上流位置が下側縁部から第1の距離にあり、下流位置が下側縁部から第2の、より小さい距離にある。
【0022】
好ましい実施形態では、流体取入装置が、箱様の構造を画定する壁を備え、液体キャッチャチャネルが、箱様の構造から延びる翼の部分上に配置され、かつ、その上流位置でのキャッチャチャネルが、壁の1つに対して密封的に配置されている。
【0023】
適切には、翼の偏向部分の幅が下流方向に減少している。
【0024】
特定の実施形態では、複数の液体キャッチャチャネルが、翼上に配置されている。
【0025】
さらなる特定の実施形態では、気体流の主方向と異なる方向にずれた2つの液体キャッチャチャネルが配置されている。この実施形態は、たとえば、液体が翼の中央線に向かって2つの液体キャッチャチャネルによってガイドされることができるように、それらの排出チャネル開口が下向きに配置されている流体取入装置内の翼の特定の使用法のものであってよい。
【0026】
あるタイプの実施形態では、液体キャッチャチャネルが、翼の凸状の側面の後ろの第1チャネル縁部から、翼の偏向部の平面内の第2のチャネル縁部へ、またはその平面を越えて翼の凹状の側面に向かって延びてもよい。
【0027】
翼の凸状の表面の後ろのチャネル縁部が、凸状の表面に取り付けられてもよい、特に密封的に取付または接続されてもよい。
【0028】
翼の凸状の表面の後ろの長手方向チャネル縁部が、凸状の表面とともにスリットを形成することも可能である。このような実施形態では、縁部が翼の上側縁部である場合、捕捉された液体はまだ、チャネルに沿って搬送および排出されることになるが、気体は、スリットを通って下向きに逃げることができる。縁部が下側縁部である場合、スリットは液体キャッチャチャネルが液体でいっぱいになる可能性がある場合にオーバーフロー排出口を提供することができる。
【0029】
別のタイプの実施形態では、液体キャッチャチャネルが、翼の縁部と接続または一体に形成されている。
【0030】
また、適切には、液体キャッチャチャネルが、翼の後端部の下流端部まで、または翼の後縁を越えて延びる下流端部を有する。液体キャッチャチャネルを翼を越えて延長することによって、液体が、気体速度がずっと小さい領域内へガイドされることができる。液体キャッチャチャネルの下流部分もまた、容器内への液体解放の方向を変更するように配置されてもよい。たとえば、流体取入装置内の主流方向が水平方向である場合、適切には急ではないが、下流部分が下向きに方向付けられることができる。
【0031】
チャネルは、角度の付いた輪郭形状、たとえば、逆L字、V字、またはU字形状によって特に形成されることができる。別の可能性は、チャネルが、その長手方向部分がその長さに沿って切り取られた管である、管状のセクションの形状を有することである。
【0032】
本発明による流体取入装置では、翼の少なくとも1つの偏向部分が、液体キャッチャチャネルを備える長手方向縁部を有してもよい。
【0033】
本発明の流体取入はまた、上下に重ねられた少なくとも2つの翼の梯子を有してもよく、液体キャッチャチャネルが、上側の翼の下側縁部、下側の翼の上側縁部のうちの少なくとも1つに沿って配置されている。
【0034】
本発明による流体取入装置は、液体と気体の混合物を、気体液体接触容器内に、特に特に蒸留カラム、より詳細には高真空蒸留カラム内または、分離容器内に導入するための流体取入装置として使用されてもよい。
【0035】
本発明は、流体取入装置が、液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および取入フローチャネルに沿って前後に並べて配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼が、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分、曲線状の翼のほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を画定する外向きに方向付けられた偏向部分を備え、2つの連続する翼の偏向部分が、取入装置の排出チャネルを形成し、かつ排出チャネル内での気体流の主方向を画定している、
液体と気体の混合物を容器内に導入することに適した流体取入装置をリトロフィットする方法であって、
少なくとも1つの翼に、翼に対して上流位置から下流位置へ延びる液体キャッチャチャネルを提供するステップを含み、上流位置と下流位置の間の翼に沿った仮想線が、気体流の主方向からずれている、方法をさらに提供する。
【0036】
適切には、このことは、翼に翼端部部分を接続し、液体キャッチャチャネルの少なくとも一部分が、翼端部部分上に配置されることによって行われる。
【0037】
本発明は、本発明のリトロフィットする方法において、既存の流体取入装置の翼上に装着されるように構成された複数の液体キャッチャチャネルをさらに提供する。
【0038】
本発明を、より詳細に、添付の図面を参照にして説明する。
【0039】
同じ符号が、異なる図面で使用されているところでは、ときどきa、b、c、d、eを追加することによって、これらは、同じまたは類似の対象を称する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
鉛直カラム5内に装着された、事前に分離され、かつ断面上に比較的均一に分布された液体/気体混合物をカラムの処理ゾーン6内に導入する働きをする流体取入装置1を概略的に示している図1を参照する。
【0041】
流体取入装置1は、それを通って液体と気体の混合物が受け入れられることができるカラム5の取入ノズル12と流体的に連通している取入端部10を有する、細長い取入フローチャネル8を備える。図示されている実施形態の取入フローチャネルは、上側および下側壁板14、15の間で鉛直カラム5内を水平方向に延びている。曲線状のガイディング翼20が、その2つの側面が一連の翼を備える箱様の構成が得られるように、取入フローチャネル8に沿った両横側面に2列で前後に並んで配置されている。各翼は、取入フローチャネルの取入端部10に向かって延びている遮断部分22、および上側縁部30と下側縁部31の間を後縁32へ延びている後端部27を有する、外向きに(流体取入装置から出て容器内部へ)方向付けられた偏向部分25を備える。後端部は一般に、流体分離の大部分がそこで行われた、その下流部分であり、しばしば、これは、壁14、15によって画定された箱様の構造から延びる部分である。
【0042】
偏向部分25が、各翼の凸状および凹状の側面を画定している。図1における凹状の側面は、一般に、流体取入装置の取入端部に面した側面である。2つの連続する翼20の偏向部分25が、取入装置の排出チャネル35を形成する。排出チャネルは、翼に沿った気体流37の主方向を画定し、主方向は、図示されているように、取入装置内の水平平面内にある。翼の前端部および後端部は、平面状であってよいが、それらのそれぞれまたは両方はまた、曲線状であってもよい。
【0043】
本明細書で使用されるときの「気体流の主方向」という表現は、流出中の気体および液体の経路が周囲の装置によって影響されないように、流体取入装置が大きな開空間内に配置されたとき、気体流が翼の凹状の側面に沿って動作中に流れる方向を示す。鉛直カラム内での動作中、翼の排出部分内の気体流の方向が、カラム内の圧力分布および近くのカラム壁の存在によってすでに影響されていることは明らかであろう。通常、気体は、水平方向にではなく、カラム内での翼の正確な位置および動作パラメータに依存する上向きの速度成分を有して離れる。
【0044】
矢印37はまた、特定の翼に対する下流方向を概ね示している。
【0045】
本発明による液体キャッチャチャネルの例が、図1で符号40によって全体的に示されており、かつ図2〜8を参照にしてより詳細に説明される。
【0046】
他の内部部品(図示せず)が、特定の用途に応じてカラム5内に配置されることができる。分離カラムの場合、1つまたは複数のワイヤメッシュ、翼パック、および/または遠心液体分離器のような一体化装置が、たとえば、欧州特許第EP 0 195 464 B1号から知られている構成で設置されてもよい。
【0047】
高真空カラム内に流体取入装置を設置する場合、装置は、ウォッシュベッドの下に設置されてもよい。
【0048】
流体取入装置1の通常動作中、気体と液体の混合物が、取入ノズル12を通り取入端部10を介して、ほぼ水平方向に延びるチャネル8内に供給される。翼20のそれぞれが、供給流の部分を遮断し、かつ横方向外向きに偏向させる。両側面上の第1の翼すなわち、取入端部10に最も近い翼が、混合された供給流内に配置されているため、翼が供給流の部分を遮断および偏向させ、一方、供給流の残りの部分が、取入チャネル8に沿って持続する。この残りの部分が、次の翼とうまく出会い、次の翼がそれぞれ、供給流の一部分を遮断および偏向させる。流れが、最後の翼によって最終的に捕捉および偏向されるまで徐々に小さくなるように、次の各翼の前縁部は、前のものとずれている。
【0049】
翼が曲線状の形状を有するため、慣性および遠心力の結果、液体粒子が翼表面に当たり、液体と蒸気の分離が同時に行われる。液体が、翼の凹状の表面上のかなりの液体流に集まる。
【0050】
図1に示されている2方向に動作する実施形態では、気体の主流方向は、一般に水平面内である。
【0051】
本発明による翼20の実施形態を翼の凹状の側面上への透視図で示している図2を参照する。
【0052】
翼20は、真直ぐな遮断部分22と、曲線状の部分および真直ぐな後端部27を備える偏向部分25とを有する。曲率半径は、一般に取入ノズルのサイズに応じて選択される。上流および訓練端部の間の角度は、通常、70から110度の間、好ましくは、実質上90度など、80から100度の間である。液体キャッチャチャネル40が、その上側縁部30の所の翼20上の上流位置42から、後縁32の所の下流位置44aへ、延びている。上流および下流位置は、気体流の主方向37に沿って分離されている。チャネルはまた、破線で示されているように後縁を越えて下流位置44bへ延びることができる。チャネルは、44cで示されているように下側縁部31の下にさらに配置されてよい。後縁を越えて延びる端部部分はまた、部分的に曲線状であってよく、および/または翼の後端部の平面から出る液体をガイドしてもよい。流体取入装置からさらに横方向に離れると、局所的な気体速度が低下し、その結果その箇所での再巻込みの機会がさらに最小化される。翼の後縁32を越えて延びる部分が、その端部に排出口を有する完全に密閉された管によって適切に形成されるが、もちろん、その下側側面などで部分的に開いたままにされてもよい。後縁を越えて延びる部分の、下向きの屈曲などの屈曲は、カラム壁上に高速で液体流が当たることによる再巻込みのメカニズムを抑制するために、カラム壁に近い翼の端部で有利になり得る。
【0053】
液体キャッチャチャネルの上方の翼の隅部部分47は、好ましくは切り取られ、したがって破線で描かれており、かつその場合、液体キャッチャチャネルは、翼の上側縁部に沿って延びる。そのとき、翼の偏向部分の幅もまた、下流方向に減少する。しかし、隅部部分47がその位置に残ってもよい。
【0054】
上流位置42は、下側縁部31から第1の距離にあり、距離は方向37に対して垂直に測定される。下流位置は、すべての場合において、下側縁部から小さい距離での44a、b、cであり、位置44cの場合負の距離もまた、より小さい距離であることは明らかであろう。
【0055】
いずれにしても、上流位置42と下流位置44a、b、cの間の翼に沿った仮想線は、下側縁部31とほぼ平行である気体流の主方向からずれている。
【0056】
図2に示されている真直ぐな液体キャッチャチャネル40と平行である流れの主方向37と仮想線の間の角度は、適切には10度以上、好ましくは、30度以上、たとえば45度などの、20度以上である。角度は、適切には75度未満、好ましくは60度以下などの、65度以下である。
【0057】
図3は、キャッチャチャネル40が曲線状である実施形態を示している。仮想線46が、示されている。好ましくは、曲線状のキャッチャチャネルの接線48と主流方向37によって形成される最大の角度もまた、適切には10度以上、好ましくは、30度以上、たとえば45度などの、20度以上である。角度は、適切には80度未満、好ましくは75度以下、より好ましくは、60度以下などの、65度以下である。
【0058】
図3の実施形態の別の態様は、図1および2において32で示されているような有限の端縁部がないように、キャッチャチャネルの下流位置44が下側縁部31上にあることである。この態様はもちろん、図2の実施形態などの他の実施形態にも適用されることができる。
【0059】
図4は、本発明による翼50の別の実施形態を示している。翼が比較的高い場合、本発明によるキャッチャ縁部を急勾配すぎない角度で翼上に配置するために不十分な空間がある可能性がある。この場合、1つよりも多く、たとえば、2、3、4以上のキャッチャ縁部が配置されてもよい。図4の例では、3つのキャッチャ縁部51、52、53が示されており、上流位置55、56、57から下流位置61、62、63へ延びている。最も高いキャッチャ縁部の上流位置は、翼50の上側縁部30にある。キャッチャチャネルは、縁部52の上流位置56が縁部51の下流位置61よりも高く、かつ縁部55の上流位置57が縁部52の下流位置62よりも高いように、気体流の主方向37と重なっている。キャッチャ縁部の影の中にある翼のほぼ三角形の部分が、図示されているように切り取られてもよいが、存在してもよい。下流位置を越える破線は、キャッチャチャネルが、図1を参照にしてすでに説明されたように、たとえば、カラム壁との距離が許す場合、それらのすべてが液体を同じ鉛直方向高さで解放するように、延長されることができることを示している。翼の端部を越えるチャネルおよび/または考えられる端部部品は、必ずしも図示されているように平行に走る必要はなく、少なくとも部分的に曲げられてよい。
【0060】
流体取入装置はときどき、たとえば、いわゆる二重の(または複数の)梯子構成で、2つ以上の曲線状の翼の積み重ねられた列を備える。そうしない場合にカラム内への設置のために翼がマンホールを通過するために大きすぎるとき、このことが通常行われる。このようなスタック内の様々な梯子の翼が本発明によるキャッチャチャネルを備える場合、図4の構成と同様の構成が得られる。
【0061】
流体取入装置の上部壁板75の下に装着された3つの曲線状の翼71、72、73を概略的に示している図5を、ここで参照する。翼71、72のキャッチャ縁部81、82の上流端部77、78が、上部板75の縁部に配置されている。好ましくは、上部板とキャッチャチャネルの間に翼からの液体のための通路がない。適切には、上流端部77、78が、上部板に密封的に接続または取付されている。特に、上流端部が、たとえばもう少し内側に翼を切り取り、上流端部を、上部板と嵌合し、かつそれと溶接されることができるように配置することによって、上部板(上部板への水平方向の延長部の下を含む)の下に配置されてもよい。
【0062】
翼73内では、キャッチャ縁部はまた、翼の上側縁部が上部板75から延びる所の位置から延びている。キャッチャチャネルの第1の部分85が、キャッチャチャネルが下向きに曲がるまで、翼73の上側の長手方向縁部に沿ってほぼ水平方向に走っている。第1の部分85はまた、分離導管であってよい、または省略されてもよい。
【0063】
破線88を越える翼83の端部部分87は、翼と一体に形成されてはいないが、上流部分89と接続されている、翼73の延長部であってよい。このような端部部分がたとえば、その性能を適応させる/改善するために、既存の流体取入装置をリトロフィットする過程で装着されてよい。接続は、いずれかの適切な方法、たとえば溶接によって行われてもよい。上側の長手方向縁部部分85もまた、必要に応じて装着されてもよい。別法として、適切には隅部を切り取った後、キャッチャ縁部を既存の翼上に配置することによって、リトロフィットが行われてもよい。
【0064】
上流方向で見たそれらの各後端部を通る、翼の2つの実施形態20aおよび20cの断面を示している図6を、ここで参照する。図1を参照にして導入される参照番号が、相応に使用される。図6は、本発明による液体キャッチャチャネルの様々な実施形態のいくつかの態様を示している。
【0065】
液体キャッチャチャネル40aが、翼の凸状の側面106aに取り付けられた第1の長手方向チャネル縁部104aから、凹状の側面109aに向けて上側縁部30aを越えて、すなわち曲線状の翼の後端部27によって画定される平面を越えて配置された第2の長手方向チャネル縁部108aへ延びる管状のセクションによって形成されている。
【0066】
気体流の主方向に沿って流れる液体が、チャネル内で捕捉され、液体キャッチャチャネル40aの下流端部に向かってガイドされ、かつこのようにして、再巻込みが抑制される。
【0067】
液体キャッチャチャネル40cが、管状のセクションの代わりに角度を付けられた輪郭形状によって形成される。翼の後ろの長手方向チャネル縁部44cは、スリット110cが形成されるように、凸状の表面46cとは接続されない。この実施形態の液体キャッチャチャネルもまた、液体を捕捉するが、気体が、スリット110cを通って下向きに逃げることができる。
【0068】
上側縁部で示されている液体キャッチャチャネルの変形形態が、カラム内の別の配向を有する縁部でも同様に適用できることが理解されよう。本発明に従って気体流の主方向に対して傾斜されているキャッチャチャネルに加えて、気体流の主方向とほぼ平行に、上側または下側縁部の、少なくとも一部に沿って長手方向に走るキャッチャチャネルなどの他のキャッチャチャネルもまた、配置されてもよい。
【0069】
図面のいずれにも図示されていないが、液体キャッチャカナルが、翼の下流端部の前にその下流端部を有することも可能である。このことはたとえば、翼の後縁の上流で気体速度がすでに十分低いところの翼の偏向部分の後端部が、容器の内部深くに延びるとき、十分であろう。
【0070】
図3の断面と等しい断面内の液体キャッチャチャネルのいくつかのさらなる実施形態を概略的に示している図7を、参照する。
【0071】
液体キャッチャチャネル111が、一般に40aと同様である管状のセクションによって形成されているが、チャネルは、翼の後縁によって画定される平面まで延びているが、その凹状の側面に向かう翼の長手方向縁部を越えて延びていない。
【0072】
液体キャッチャチャネル113は他方では、比較的小さい取入スリット114のみが得られるような距離で、翼の凹状の側面に向かって延びている。
【0073】
液体キャッチャチャネル115は、管状のセクションで形成されているが、しかし、スリット110cと機能的に同様であるスリット116が形成されるように、翼の凸状の表面に、全長にわたっては少なくとも接続されていない。
【0074】
液体キャッチャチャネル117および119が、角度を付けられた輪郭形状で形成され、翼の凸状の側面に密封的に取り付けられている。
【0075】
液体キャッチャチャネル121が、半円形のチューブセクションがそれと接続されているL字型の輪郭形状で形成されている。
【0076】
液体キャッチャチャネル(管状、角度付き、またはその他の輪郭形状)が翼の凸状の表面と接続されている場合でも、分離気体排出開口が、必要に応じて凸状の側面の後ろのチャネルの下側部分内に配置されることができることを理解すべきである。
【0077】
液体キャッチャチャネル123、125、127、129、131および133はすべて、翼と一体に形成されており、このことは、効率的でありかつコスト効果のある製造を可能にすることができる。
【0078】
好ましくは、各翼の遮断部分が、取入端部を通る流れの主方向の方向と角度をなしてもよい。適切には、角度は、10度以下である。
【0079】
どのタイプの液体キャッチャチャネルが選択されるかは、実用的な状況の特定の態様に依存することになる。
【0080】
一般に、それらの排出口端部上で測定される翼の間の相互距離は、ある限界内で好ましくは保持される。この距離は、好ましくは5cm以上60cm未満であり、たとえば、約10cmまたは約40cmである。
【0081】
翼の最大高さ(または幅)は、容器の取入ノズルのサイズに応じて選択され、かつ通常10〜80cmの範囲にある。より大きな取入ノズルに対しては、二重のまたは複数の翼梯子が、上記で説明されたように積み重ねられる。
【0082】
選択される液体キャッチャチャネルのサイズは、移送される液体の量に主に依存することになり、この液体の量は、翼の取入高さに特に依存する。本発明によるチャネルでは、多くの場合、翼上で分離された液体の大部分が、遠くに移送されなければならず、かつチャネルがそのような寸法にされる必要がある。管状のセクションの直径、または角度を付けられた輪郭形状の幅または高さなどのチャネルの典型的な寸法は、通常3から50mm適切には5から30mmの範囲、特に5から20mmの範囲にある。上記で説明されたように縁部にチャネルを配置することは、チャネルの一部が翼の凸状の側面に容易に配置されることができるという利点を有し、ここでは、チャネルが気体流を最小に撹乱し、その結果、最高の気体速度が優勢であるその凹状の側面に向かう延長部を最小にすることができる。
【0083】
液体キャッチャチャネルは、翼の各長手方向の縁部に沿って、好ましくは長手方向スリットの形態である液体のための取入開口を有し、この取入開口は、適切には1から20mmの間、好ましくは1から12mmの間、より好ましくは2から10mmの間の幅を有する。
【0084】
図1に概略的に示されている実施形態は、翼タイプの流体取入装置の典型的な構成である。しかし、図1に示されている流体取入装置のタイプから離れて、本発明による流体キャッチャチャネルは、GB1 119 699の図1〜3を参照にして説明された実施形態などの他のタイプにも適用されることができる。この実施形態では、翼が、混合物供給流を一方の側に偏向させるようにして配置され、翼の他方の側の空間が側壁と接続された壁によって画定され、それによって、その一方の側面が一連の翼によって形成されている箱様の構成が得られる。一連の翼は、この場合下向きの方向を有してもよく、それによって液体相が、下のトレイ上へのいくつかの流れで下向きに流れる、またはカラムの底部部分に直接集まる。この英国明細書の図4および5が、本明細書の図1の一般的なタイプであるが、本発明による流体キャッチャチャネルがないことが、観察される。
【0085】
本発明による翼のさらなる実施形態を示している図8を、ここで参照する。翼90は、下向きに流れる流体取入装置に特に適している。
【0086】
翼90は、2つの上流位置94、95から下流位置96、97へ延びる、図示されている例ではほぼ一致している2つのキャッチングチャネル92、93を備える。図示されているように真直ぐ、または適切な排出口位置に向かって曲線状である、図示されているような共通の液体ガイダンスチャネル99を配置することが、さらに可能である。図5を参照にした説明と同様に、上流端部は、取入チャネルを画定している壁/板(図示せず)に、好ましくは密封的に接続または取付されている。
【0087】
液体キャッチャチャネルは、いかなる適切な材料から、適切には翼と同じ金属から作製されてもよく、溶接、ネジ締め、曲げ加工を含む、知られている技術を使用して翼と接続または一体化されてもよい。
【0088】
本発明に従って、気体とともに上向きに搬送される液体の巻込み量を減少させることによって、上方の内部部品内の分離義務が最小化される。
【0089】
本発明の流体取入装置は、高真空蒸留カラム内で有利に使用されることができる。通常、このようなカラム内では、供給混合物は、30〜50wt%の液体を含む。100m/sを超える取入速度では液体巻込量が大きくなることがあり、それによって、流体取入装置に入り、かつ気体とともに上向きに搬送される全液体の相対的な割合は、10%を超えることがわかっている。取入速度がより高くなると、巻込量がさらに高くなる。高い巻込量の形態は、流体取入装置上に通常設置されるウォッシュベッドについての問題を呈する。本発明は、巻込量を著しく減少させる。
【0090】
本発明の流体取入装置はまた、分離容器内で有利に使用されることができる。取入装置の全体分離効率が良いほど、コアレッサ、メッシュパッド、翼パック、または遠心液体分離器(スワールデック、サイクロン、マルチサイクロン)などのカラム内の他の分離内部部品に対するタスクが容易になる。このことは、このような他の内部部品に対する緩い設計基準を可能にする、かつ/または、より高いスループットを可能にする、かつ/または小さいおよび/または低価格の分離器を構成することを可能にする。
【0091】
容器は、鉛直カラムであっても、別のタイプの容器であってよい。
【実施例】
【0092】
流体取入装置が、本発明による流体キャッチャチャネルによってリトロフィットする前および後で試験された。流体取入装置が、全体的に図1に示されているように直径1mのカラム内に水平方向に装着されたが、14の翼が、それぞれ7つの翼の2つのスタック列で両側に配置されている、全体で28の翼を有する二重梯子構成を有した。各翼は、0.144mの高さであり、カラム取入口へのフィードパイプは、0.28mの直径を有した。
【0093】
液体キャッチャチャネルの装着の前に、流体取入装置が試験された。水/空気混合物が、その中で高真空ユニットへの移送ライン中に通常存在するのと同じサイズを有する小滴として水が空気中に散布される、フィードパイプに供給された。30〜60m/sの空気取入速度の範囲にわたって、および0.3の水対空気の質量比を使用して、試験が行われた。
【0094】
気体内の巻込の量が、翼取入装置の上方に装着された翼パックを使用して決定された。翼パック内で捕捉された水が排出され、量が測定された。巻込量は、気体の体積当たりの翼パックによって回収された液体の重量として定義されることができる。
【0095】
次に、流体取入装置、水平な気体流の主方向に対して45度の縁部が得られるように、0.144mの等しい高さおよび長さを有する87(図5)のような三角形の翼端部部分を装備された。この縁部に沿って、キャッチャチャネル83が配置され、それによって、気体流の主方向と45度の角度を有した。チャネル部分83の長さは、0.22mであった。チャネルが、元の翼の水平方向の上側縁部に沿って、図5で符号85によって示されているように流体取入装置の上部壁板へさらに延びた。
【0096】
キャッチャチャネルは、図7に示されているような形状121を有した。上部での半円形の管の直径は、10mmであった。翼の上側縁部とチャネルの縁部の間の翼の凹状の側面上のスリットのサイズは、3mmであった。
【0097】
それ以外は同一の条件を使用して本発明によるキャッチャチャネルの設置後に行われた試験は、巻込量が空気取入速度の範囲にわたって2から3分の1だけ減少されることを示した。
【0098】
すでに説明されたように、気体流の主方向とほぼ平行である、上側のまたは下側縁部の、少なくとも一部分に沿って長手方向に走るキャッチャチャネルなどの、他のキャッチャチャネルが配置されてもよい。これらは、リトロフィットによる傾斜したキャッチャチャネルの設置は可能ではないが、長手方向チャネルのリトロフィットは可能である、たとえば取入装置の特定の翼上などに、気体流の主方向に対して傾斜されたキャッチャチャネルに加えて、またはまさにその代わりに設置されてもよい。
【0099】
このような長手方向キャッチャチャネルが有用であるところの特定の状況は、いわゆる二重の(または複数の)梯子翼取入装置である。これらは、図1に示されているものとほぼ同様であるが、2つ(2つ以上)の翼の梯子または層が、上下に重ねられている。このことは、そうしない場合にカラム内への設置のためにマンホールを通過するために翼が大きくなりすぎるとき、通常行われる。たとえば、図4の翼が、1つの傾斜されたキャッチャチャネル51、52、53をそれぞれ有する、3つの重ねられた翼で形成されてもよい。
【0100】
二重梯子または多梯子翼取入装置では、より高くに装着された翼が、それらの下側の長手方向縁部で、下側翼梯子から出る気体から上向きの直交流を受ける。上側の翼の下側長手方向縁部での液体キャッチャチャネルが、下側縁部で液体を集めることになり、それと同時に上向きの流れる気体から下側縁部を遮断し、それによって再巻込みの機会が最小化される。翼取入装置の一番下の長手方向縁部でも、液体キャッチャチャネルが有用であることを証明することができる。
【0101】
明らかに、二重または多梯子構成では、上側の翼の下側縁部と下側の翼の上側縁部が両方、液体キャッチャチャネルを備えてもよい。特定の実施形態では、このことは、翼の間に使用可能な空間がほとんどないときに有用である、2つの隣接する長手方向チャネルが、互いに接続または一体化されることができる。これの特定の実施形態が、図9に概略的に示されており、ここで、図6のように上側の翼181の下側部分の後端部と下側の翼182の上側の部分の断面図が示され、この中で、上側の翼の下側縁部188および下側翼の上側縁部189の、組み合わせられた液体キャッチャチャネル185、186の1つの可能な実施形態が、それぞれ示されている。
【0102】
したがって、液体と気体の混合物を容器内に導入することに適した流体取入デバイがまた提供され、この流体取入装置は、液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および取入フローチャネルに沿って前後に並べて配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼は、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分、および長手方向縁部の間に延びる後端部を有する外向きに方向付けられた偏向部分を備え、曲線状の翼が、ほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を有し、2つの連続する翼の偏向部分が、取入装置の排出チャネルを形成し、かつ少なくとも1つの翼が、その偏向部分の一方または両方の長手方向縁部の少なくとも一部分に沿った液体キャッチャチャネルを備えて、提供される。
【0103】
高い供給速度は、翼の長手方向縁部で、特に、翼の偏向部分の後端部で生じる、すでに分離された液体を気体内に再巻込みする顕著なメカニズムになり得る。実質上翼に沿った流体流の主方向の方向を称す長手方向という表現が、本明細書で使用され、図1のような方向の装置での通常動作中の、通常水平方向である。
【0104】
このようなキャッチャ縁部は、長手方向縁部と交差する角度で流れる気体によって生じる再巻込みを抑制する。
【0105】
図10をここで参照する。図10は、流体取入装置201の拡大部分を概略的に示し、翼の後端部227a、b、c、dに沿った水平方向の上側および下側縁部230a、b、c、dおよび231a、b、c、dを有して示されている、翼220a、220b、220c、および220dを備える。装置201は、図1の示されているものと全体的にほぼ類似であるが、図10は、様々な翼に関して、長手方向液体キャッチャチャネル240a、b、c、d、eの様々な実施形態のいくつかの態様を示している。図6は、矢印Aに沿って見られたときの後縁を通る断面を表しており、その目的のために、200が、図10の対応する参照番号に達するために図6の参照番号に加えられるべきである。以前の図6に関する説明がさらに参照され、これがここでも同様に適用される。
【0106】
縁部上を上向きに流れる気体に沿って取得された液体、たとえば230aが、チャネル240a内に捕捉され、かつ液体キャッチャチャネル240aの下流端部252aに向かってガイドされ、このようにして再巻込みが抑制される。
【0107】
液体キャッチャチャネル240bは、下流端部252bが後縁部232bを越えて延びていることを除いて同様である。流体取入装置からさらに横方向に離れると、局所的な気体速度が低下し、その結果、その箇所での再巻込みの機会がさらに最小化される。翼の後縁部232bを越えて延びるセクションが、その端部に排出口252cを有する完全に密閉された管によって適切に形成される。
【0108】
液体キャッチャチャネル240cが、図6に関してすでに説明されたように、管状のセクションの代わりに角度を付けられた輪郭形状によって形成される。
【0109】
液体キャッチャチャネル240dもまた、管状のセクションによって形成されるが、しかし、翼を越えて延びる部分258dが、液体を所望の方向にガイドするように、下向きに曲げられている。このことは、高速でのカラム壁への液体流の衝撃による再巻込みの機構を抑制するためにカラム壁に近い翼端部で有利であることができる。
【0110】
上側の長手方向縁部で示されている液体キャッチャチャネル変形形態が、下側長手方向縁部に、または、他の形状またはカラム内での配向での、水平方向でない翼の長手方向縁部に同様に適用されることができること理解されよう。
【0111】
翼220dの下側長手方向縁部での液体キャッチャチャネル240eが、一例である。下側縁部では、重力が、縁部上で下向きに液体のいくらかを引き出す。他方では、下側縁部に、気体の直交流の可能性があることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】鉛直カラム内の流体取入装置を示す概略図である。
【図2】本発明による翼の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明による翼の実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明による翼の実施形態を示す概略図である。
【図5】流体取入装置の壁とともに本発明による翼のいくつかの実施形態を示す概略図である。
【図6】本発明による2つの翼の後部部分を通る略断面図である。
【図7】本発明によるさらなる翼の後部部分を通る略断面図である。
【図8】本発明による翼のさらなる実施形態を示す概略図である。
【図9】本発明による特定の実施形態を示す略断面図である。
【図10】本発明による流体取入装置の拡大部分を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体の混合物を容器内に導入することに適した流体取入装置であって、
液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および
取入フローチャネルに沿って前後に並べて配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼が、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分と、曲線状の翼のほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を画定する外向きに方向付けられた偏向部分とを備え、2つの連続する翼の偏向部分が、取入装置の排出チャネルを形成し、かつ排出チャネル内での気体流の主方向を画定しており、
少なくとも1つの翼が、翼に対して上流位置から下流位置へ延びる液体キャッチャチャネルを備え、かつ上流位置と下流位置の間の翼に沿った仮想線が、気体流の主方向からずれている、流体取入装置。
【請求項2】
仮想線が、少なくとも10度以上、好ましくは20度以上、および大きくても75度以下、好ましくは65度以下の角度だけ、気体流の主方向からずれている、請求項1に記載の流体取入装置。
【請求項3】
少なくとも上流位置が、翼の縁部にある、請求項1または2に記載の流体取入装置。
【請求項4】
液体キャッチャチャネルが、翼の縁部の少なくとも一部分に沿って延びている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項5】
通常動作中の気体流の主方向が水平方向であり、かつ翼の偏向部分が上側縁部と下側縁部の間に延び、上流位置が下側縁部から第1の距離にあり、かつ下流位置が、下側縁部から、第2の、より小さい距離にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項6】
流体取入装置が、箱様の構造を画定する壁を備え、液体キャッチャチャネルが、箱様の構造から延びる翼の一部に配置され、かつ、その上流位置でのキャッチャチャネルが、壁の1つに対して密封的に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項7】
翼の偏向部分の幅が下流方向に減少している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項8】
複数の液体キャッチャチャネルが、翼上に配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項9】
気体流の主方向と異なる方向にずれた2つの液体キャッチャチャネルが配置されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項10】
液体キャッチャチャネルが、翼の凸状の側面の後ろの第1チャネル縁部から、曲線状の翼によって画定された平面内に配置された第2の長手方向チャネル縁部へ、またはその平面を越えて翼の凹状の側面に向かって延びている、請求項4に記載の流体取入装置。
【請求項11】
液体キャッチャチャネルが、曲線状の翼の長手方向縁部と接続または一体に形成されている、請求項4または10に記載の流体取入装置。
【請求項12】
液体キャッチャチャネルが、翼の後端部の下流端部まで、または下流端部を越えて延びる下流端部を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項13】
翼の少なくとも1つの偏向部分が、液体キャッチャチャネルを備える長手方向縁部を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項14】
少なくとも2つの翼の梯子が、上下に重ねられ、かつ、液体キャッチャチャネルが、上側の翼の下側縁部、下側の翼の上側縁部のうちの少なくとも1つに沿って配置されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の流体取入装置。
【請求項15】
液体と気体の混合物を、気体液体接触容器内に、特に特に蒸留カラム、より詳細には高真空蒸留カラム内または、分離容器内に導入するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の流体取入装置の使用。
【請求項16】
流体取入装置が、
液体と気体の混合物を受けるための取入端部を有する取入フローチャネル、および
取入フローチャネルに沿って前後に並べて配置された複数の曲線状のガイディング翼を備え、各翼が、取入フローチャネルの取入端部に向かって延びる遮断部分、曲線状の翼のほぼ凸状の側面およびほぼ凹状の側面を画定する外向きに方向付けられた偏向部分を備え、2つの連続する翼の偏向部分が、取入装置の排出チャネルを形成し、かつ排出チャネル内での気体流の主方向を画定している、
液体と気体の混合物を容器内に導入することに適した流体取入装置をリトロフィットする方法であって、
少なくとも1つの翼に、翼に対して上流位置から下流位置へ延びる液体キャッチャチャネルを提供するステップを含み、上流位置と下流位置の間の翼に沿った仮想線が、気体流の主方向からずれている、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの翼に液体キャッチャチャネルを提供するステップが、翼に翼端部部分を接続するステップを含み、液体キャッチャチャネルの少なくとも一部分が、翼端部部分上に配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の方法において、既存の流体取入装置の翼上に装着されるように構成された複数の液体キャッチャチャネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−540111(P2008−540111A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511696(P2008−511696)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062354
【国際公開番号】WO2006/122940
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】