流体吐出装置を取り付けるためのクリップ
流体吐出装置をエンクロージャの壁のそばに取り付けるためのクリップを開示する。一実施形態では、装置は、ベースと、壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、ベースを回転させる手段と、を含む。加えて、流体吐出装置を便器のそばに取り付けるためのクリップを取り付ける方法を開示する。この方法は、フックをリムに固定するステップと、ベースのタブを、リムの下面と、接触面で嵌合させるステップと、接触面に対してベースを回転させて、ベースのタブとリムの下面とを実質的に嵌合させるステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)の内側表面に流体(洗剤や脱臭剤など)を噴霧する流体吐出装置を取り付けるためのクリップに関し、このクリップの本体は、一定量供給される流体をエンクロージャの内側表面に導くために、クリップのフックに対して回転可能に調節することが可能である。
【背景技術】
【0002】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【0003】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。(参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている)米国特許第4,777,670号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【0004】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第6,178,564号および第6,230,334号、ならびにPCT国際公開第99/66139号および第99/66140号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および/または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって、便器リムからつり下げられたベースで支持されているディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【0005】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および/または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第3,178,070号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第6,029,286号および第5,862,532号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【0006】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の1つは、これらの装置が、脱臭剤および/または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【0007】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第2007/0136937号は、特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。このの出願で例示されている一実施形態では、導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能なノズルの中で終わっている。ノズルは、便器のリムのそばに取り付けられる。
【0008】
便器のリムに取り付けられた装置に対して、限定された調節を行う場合は、いくつかの手法が利用可能である。調節は、主に、(1)米国特許第6,029,286号に示された、フックの2つの部材の間のラチェット機構を用いて、様々なリム幅に対してフックを調節することのように、様々な幅の便器リムに対応すること、または、(2)リム下における装置の垂直位置を調節することによってリムおよび便器の形状の深さに対応しようとすることのいずれかに限定されてきた。たとえば、米国特許第Re.32,017号、ならびに米国特許第6,898,806号および第7,114,199号では、フックと本体との間にラチェット機構を組み込んで、便器のリム下における装置の垂直方向の個々の調節を可能にしている。さらに、米国特許第6,675,396号では、本体内に形成された中空溝に平棒フックを押し込む摩擦嵌合を用いて、リムに対する本体の連続的調節を可能にしている。
【0009】
しかしながら、前述の調節手段は、便器が非対称形の(あるいは細長い)リム/内側表面構成を有する場合には、一定量供給された流体が便器の内側表面の隅々まで達するようにノズルを適切に位置決めすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4777670号
【特許文献2】米国特許第6178564号
【特許文献3】米国特許第6230334号
【特許文献4】米国特許第3178070号
【特許文献5】米国特許第6029286号
【特許文献6】米国特許第5862532号
【特許文献7】米国特許第6898806号
【特許文献8】米国特許第6675396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、便器のリムのそばにノズルを取り付けるための、改良されたクリップが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
先述の要件は、流体吐出装置を取り付けるための、本発明によるクリップによって満たすことが可能である。このクリップは、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)を洗浄する自動または手動の洗浄システムでの使用に好適である。本明細書で用いる用語「洗浄」は、殺菌および/または消毒も含み、用語「脱臭」は、清浄化も含み、用語「流体」は、洗浄流体、殺菌流体、消毒流体などを含む。さらに、用語「流体」は、液体、ゲル、流動性粉末、蒸気などを含むように広く解釈される。本発明の例示的実施形態の説明は、便器に関して行うが、これに限定されるわけではない。
【0013】
クリップは、使用中の流体吐出装置の安定および向きを維持することにより、流体が確実に所望のエンクロージャ表面に一定量供給されることを支援する。不注意の、または偶発的なクリップの動きによってセンサから不要な信号が発生したり、および/または一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変わったりすることを防ぐために、クリップはエンクロージャに固定される。さらに、クリップは、リムの高さ、奥行き、角度、および曲率に合わせた調節によって、様々な便器のサイズおよび形状に対応する。角度調節は、クリップをリムに取り付けたときに、ほぼ自動的に行われることが可能である。フック上の把持部は、いったん設定されたクリップの向きが確実に維持されることを支援する。さらに、流体導管をクリップに固定して、流体導管が挟まれたり、よじれたりするのを防ぐために、溝が存在する。
【0014】
本発明は、流体吐出装置をエンクロージャの壁のそばに取り付けるためのクリップを提供する。一実施形態では、クリップは、ベースと、エンクロージャの壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタと、を含む。
【0015】
一態様では、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段は、本体から延びるアームを含むことが可能である。さらに、アームは、流体吐出装置を支持するために、支持部分を含むことが可能であり、支持部分の遠位端にバレルを含むことが可能である。
【0016】
別の態様では、ベースは、流体注入口を含むことが可能であり、クリップは、流体注入口と流体連通しているノズルを含む流体吐出装置を含むことが可能である。ノズルは、偏向板と、上端において流体注入口と流体連通していて流体注入口と偏向板との間を延びる通路と、通路の下端と流体連通している溝と、溝の両側に位置し、偏向板から上方に延び、流体が当たるとノズルを回転させる、一対のフィンと、を含むことが可能である。
【0017】
一構成では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されて、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを備え、リブを受けるスリットと、を含む。さらに、スリットの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、スリットの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。フックは、ラチェット歯を含むことが可能であり、溝は、フックとベースとの間の滑る動きを抑えるために、ラチェット歯と噛み合う1つまたは複数の突起を備えることが可能である。
【0018】
別の構成では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されてフックのリブを受けるくぼみと、を含む。くぼみは、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを含む。くぼみの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、くぼみの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。コネクタの一形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面に突起を含むことが可能であり、ベースは、ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含むことが可能である。ベースがフックに対して回転する際に、フック上の少なくとも1つの突起が、少なくとも1つの弧状隆起に隣接する弧状経路を移動する。コネクタの別の形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面に突起を含み、ベースは、ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、隣接する弧状隆起同士がそれらの間に溝を画定する。ベースがフックに対して回転する際に、少なくとも1つの突起が、溝内の弧状経路を移動する。コネクタのさらに別の形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、ベースは、ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含む。これらの隆起は、丸い上面を有することが可能であり、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定することが可能である。ベースがフックに対して回転する際に、少なくとも1つの突起が、くぼんだ溝の中の弧状経路を移動する。突起は、フックの表面の中央に位置し、直線的に並ぶことが好ましい。
【0019】
別の態様では、フックは、流体導管をフックに取り付ける手段を備えることが可能である。さらに、この、流体導管をフックに取り付ける手段は、溝を含むことが可能である。さらなる態様では、流体導管は、流体を流体吐出装置に供給するための流体注入口の中まで延びる。
【0020】
本発明の別の実施形態では、流体吐出装置をエンクロージャの壁のそばに取り付けるためのクリップが、ベースと、壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、ベースまたはフックに取り付けられたセンサと、を含む。一態様では、センサは、動きセンサ、近接センサなどであってよい。
【0021】
別の態様では、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段は、ベースから下方に延びて流体吐出装置を回転可能に支持する弧状アームを備える。さらに別の態様では、センサは、ベースの、フックと反対側の面に取り付けられる。
【0022】
さらなる実施形態では、エンクロージャの内側表面に流体を噴霧する装置が、流体の容器と、流体をエンクロージャの内側表面に当てることが可能な流体吐出装置と、容器および流体吐出装置と流体連通している流体導管と、流体を、容器から流体導管を介して流体吐出装置に供給する手段と、エンクロージャの内側表面のそばに流体吐出装置を取り付けるためのクリップと、を含み、クリップは、ベースと、内側表面のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタと、を備える。一態様では、エンクロージャは、浴槽、シャワー、便器などのいずれかである。
【0023】
さらなる態様では、クリップは、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されて、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを備え、リブを受けるスリットと、を備え、スリットの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、スリットの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。
【0024】
別の態様では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されてフックのリブを受けるくぼみと、を含む。くぼみは、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを含む。くぼみの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、くぼみの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。
【0025】
さらに別の態様では、フックまたはベースにセンサが取り付けられる。さらに、センサは、動きセンサ、近接センサなどであってよい。
【0026】
さらなる実施形態では、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを、下面を含むリムを有する便器のそばに取り付ける方法が、タブを備えるベースを設けるステップと、リムのそばでベースを支持するように構成されたフックを設けるステップと、ベースを回転させる手段を設けるステップと、フックをリムに固定するステップと、ベースのタブを、リムの下面と、接触面で嵌合させるステップと、接触面に対してベースを回転させて、ベースのタブとリムの下面とを実質的に嵌合させるステップと、を含む。
【0027】
したがって、本発明の利点は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供することであり、このクリップの本体は、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯には、フックまたはベースに取り付けられたセンサが、供給の停止を支援する。
【0028】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付の特許請求の範囲を検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】便器に取り付けられた、本発明による、流体吐出装置を取り付けるためのクリップの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1のクリップを示す、図1の線2−2に沿った部分の斜視図である。
【図3】図1のクリップの内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図4】図1のクリップの背面斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるクリップのフックを示す、図1のクリップの一部の正面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるクリップのベースを示す、図1のクリップの一部の背面図である。
【図7】回転した後の向き(一点鎖線)および回転していない向き(実線)のクリップを示す、図1のクリップの正面図である。
【図8】図3の線8−8に沿った、クリップのノズルの一部分の上面図である。
【図9】本発明による、流体吐出装置を取り付けるためのクリップの別の実施形態の斜視図である。
【図10】図9のクリップの側面図である。
【図11】フックを取り外した状態での図9のクリップの正面図である。
【図12】図9のクリップの流体注入口、ノズル、および支持アームの垂直断面図である。
【図13】図10の線13−13に沿った、クリップのノズルの一部分の上面図である。
【図14】本発明における使用に好適な、さらに別のノズルの正面図である。
【図15】図14のノズルの側面図である。
【図16】図9のクリップにおける使用に好適な別のフックの側面図である。
【図17】図9の線17−17に沿った、図9のクリップの断面図である。
【図18】フックを取り外した状態での図9のクリップの背面図である。
【図19】フックを取り外した状態での図9のクリップの上面図である。
【図20】図19の線20−20に沿った、図19のクリップハウジングの断面図である。
【図21】図20のクリップハウジングの断面図の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたる類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【0031】
流体吐出装置を取り付けるための、本発明によるクリップは、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)の内側表面に流体を一定量供給する種々の装置において使用可能である。以下、図面を参照しながら、本発明の様々な実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【0032】
図1および2は、エンクロージャ(ここでは便器12)に流体吐出装置を取り付けるためのクリップ10の一例示的実施形態を示している。クリップ10は、フック16によって、便器12のリム14に固定されている。ベース18が、フック16で支持され、流体吐出装置(ここではノズル20)を収容している。流体が、容器22から流体導管24を介して流体吐出装置20に供給され、便器12の内側表面26に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器22から流体吐出装置20へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、ポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器22からの流体吐出の実行は、様々な方法/装置で制御可能であり、その1つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【0033】
図3、4、および5を参照すると、フック16は、ベース18を支持し、クリップ10を便器12に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分28、上部リム部分30、および内側リム部分32である。3つの部分28、30、32のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック16を形成する。便器部分28は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12へのクリップ10の固定を支援するために、エラストマー製リブ37が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部34を下端に有する。把持用足部34およびリブ37に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。便器部分28は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部35において上部リム部分30とつながっている。フレキシブル肘部35により、フック16は、主に(図3に示した)F−F方向に曲がることによって、クリップ10を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分30は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12のリム14の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部36で内側リム部分32とつながり、ここでもフレキシブル肘部36によってフック16を曲げることが可能である。内側リム部分32は、肘部36から垂直に下方に延び、ベース18を連結して支持するように構成されている。
【0034】
フック16の内側リム部分32は、前面38と背面40とが、2つの短い側面42で連結されている。内側リム部分32の背面40からリブ44が突出し、内側リム部分32の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ44は、フック16に対するベース18の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ44は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ44は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている2つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ44は、ベース18の所望の調節可能範囲にわたってベース18と嵌合されていれば、内側リム部分32の長さまで延びていなくてもよい。短い側面42は、ラチェット歯46を有し、ラチェット歯46は、ベース18と連結されて、ベース18の垂直方向の動きを、垂直軸48に沿うように制限する。他の制限、たとえば、フック16とベース18との間の摩擦嵌合なども可能である。
【0035】
便器部分28および上部リム部分30は、一連のC字形溝50を含んでおり、溝50は、導管24がフック16の周辺部を引き回されてベース18のノズル20に達するように、導管24を拘束している。本実施形態の便器部分28は、開口部が互い違いである3つのC字形溝50を含んでいる。導管24は、C字形溝50に押し込まれているが、溝50は、導管24を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分30では、好ましくは1つの溝50が導管24の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝50を用いてよい。
【0036】
図3、4、および6を参照すると、ベース18は、背面52と、背面52から前方に延びる、互いに離れている一対の側面54と、側面54の間に延びる上面56および前面58と、側面54、上面56、および前面58の間に延びる曲面60と、を有している。面52、54、56、58、60は、ノズル20の一部を収容する部分キャビティ62を画定している。ベース18は、ベース18の背面52から後方に延びるタブ53を有している。タブ53は、後述するように、クリップ10が便器12に取り付けられる際に、リム14に対するベース18の方向づけを支援する。タブ53は、本例示的実施形態に示すように、連続した1つの部材であってよい。代替として、タブ53は、ベース18から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース18は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0037】
図6を重点的に参照すると、ベース18は、フック16の内側リム部分32を受ける溝64を含んでいる。溝64は、リブ44を受けるスリット66を含んでおり、スリット66は、入口68と、出口70と、中間位置72とを有している(中間位置72は、入口68および出口70から等距離にあってもなくてもよい)。スリット66の幅は、入口68から中間位置72にかけて狭まっており、中間位置72から出口70にかけて広がっている。一実施形態では、中間位置72は、入口68と出口70とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口68と出口70との中間でなくてもよく、スリット66の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット66の最大幅は、フック16に対するベース18の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース18の所望の回転調節度合がより大きければ、入口68および出口70におけるスリット66の最大幅を増やすことが可能であり、代替として、または追加でリブ44の幅を減らすことが可能である。
【0038】
溝64は、溝64の短い側面65の壁から延びる一対の突起74を含んでおり、突起74は、内側リム部分32が溝64内をスライドするときにフック16のラチェット歯46と噛み合う。突起74は、ラチェット歯46と噛み合うことによって、ベース18がフック16に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起74は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝64内に形成されたキャビティに収容されていて、溝64の外形(たとえば、ラチェット歯46)に対して押し出される構造によって可能である。突起74とラチェット歯46との噛み合いは、突起74とラチェット歯46との噛み合いが外れることなくベース18の所望の回転(後述)が可能であるように行われる。
【0039】
ベース18はさらに、流体吐出装置20(例えば、ノズル20)を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル20は、流体注入口80とバレル78との間で横方向に拘束されている。ベース18は、ベース18から下方に延びるアーム76を含んでいる。アーム76は、J字形に曲がって先に延びる平棒支持部分77を有し、支持部分77の遠位端にバレル78がある。バレル78は、ノズル20の底部を受ける管状のくぼみを含んでいる。さらに、ベース18の曲面60の中に流体注入口80があり、流体注入口80は開口部から先細りになっている(図3に示す)。流体注入口80とバレル78との組み合わせによって、ノズル20の横方向の動きが制限されているが、ノズル20がノズル軸82のまわりを回転することは可能である。
【0040】
クリップ10を取り巻く環境を感知するセンサ98を、ベース18またはフック16に取り付けることが可能である。センサ98は、実質的に前面58に取り付けることが好ましいが、角度が付いた面60、または他の任意の好適な(たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる)場所に取り付けることが可能である。センサ98は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ98は、所定の論理に基づいて、便器12に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器22および/または制御装置(図示せず)と電気的に接続されていることが好ましい。実施形態によっては、センシング機能が不要であればクリップ10からセンサを省略できることを理解されたい。
【0041】
図8を参照して、流体吐出装置20の一実施形態を説明する。流体吐出装置20は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル20は、円形偏向板84と、偏向板84から上方に延びていて流体注入口80と流体連通している通路86とを含んでいる。偏向板84のそばの通路86から半径方向に外に向かって溝88が延びており、溝88は、図8に示すように、点Aで、溝88の最初の通り道から曲げられている。溝88の両側に、偏向板84から上方に延びる一対のフィン90が位置する。溝88およびフィン90の外形は、ノズル20の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【0042】
図3および8に最も明確に示すように、偏向板84の下側から延びるスピンドル92をアーム76のバレル78のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口80の先細った端部を通路86に差し込んで、通路86内に形成された棚状突起94に当てることによって、ノズル20は、ベース18内で横方向に拘束されている。ノズル20は、ノズル軸82のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0043】
流体吐出装置を取り付ける手段は、アーム76を使用せずに、流体吐出装置20をベース18からつり下げることを含んでよい。流体吐出装置(ここではノズル20)は、ベース18にパチンとはめ込んでもよく、ベース18にねじ留めしてもよく、ベース18に押し込んでもよい。さらに、ベース18から弧状アーム(図示せず)を延ばして流体吐出装置20を支持してもよい。
【0044】
稼働時には、流体は、容器22から、フック16に沿って溝50内を引き回された導管24を通って、ベース18の流体注入口80に移動する。流体は、ノズル20の上部に流れ込み、通路86を下り、溝88によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝88を出ると、流体の経路は、溝88の両側に位置する、角度を付けられたフィン90によって変更される。その反動によって、ノズル20は、図8に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル20から半径方向に外に向けて吐出され、便器12の内側表面26に当たる。
【0045】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース18を回転させて調節する手段に着目する。図4および6に戻り、かつ、図7を参照すると、ベース18は、垂直軸48とベース18の背面52とで画定される面からほぼ垂直に延びる水平軸96のまわりを、フック16に対して回転することが可能である。溝64に形成されたスリット66は、入口68および出口70においてフレアー状になっている。これにより、ベース18は、フック16から突出しているリブ44が、背面52に形成されたスリット側面45に当たるまで、中間位置72の近辺で、水平軸96のまわりを回転することが可能になる。
【0046】
たとえば、図7を参照すると、ベース18が垂直軸48に対して(一点鎖線で示すように)角度R1だけ回転した場合、ノズル20の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース18が反対方向に角度R2だけ回転すると、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース18が回転するにつれて、突起74は、ラチェット歯46のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起74とラチェット歯46との噛み合いは、ベース18を自由に回転させながら、なおかつ、ベース18の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ10は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【0047】
ベース18を回転させる手段は、前述したスリット66を含まなくてもよい。たとえば、背面52は、フック16のリブ44の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面52で画定された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース18は、リブ44が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット66は、入口から出口にかけて(または出口から入口にかけて)先細るV字形であることが可能である。したがって、ベース18の回転点は、スリット66の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース18の回転は、リブ44とスリット側面45との噛み合いによって制限される。
【0048】
ベース18の回転調節は、クリップ10のユーザが手動で行ってもよく、クリップ10をエンクロージャ(ここでは便器12)に取り付ける際に自動で行われてもよい。図1から4、6、および7を全体的に参照すると、クリップ10の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器12のリム14にクリップ10を固定する。そのためには、フック16をベース18から離すようにF−F方向に押し広げて、クリップ10をリム14にかぶせる。フック16を固定したら、タブ53がリム14の下側と嵌合するまで、ベース18を、垂直軸48に沿って、フック16およびラチェット歯46の上方へスライドさせる。ベース18のタブ53はリム14の下側と嵌合し続けるため、ベース18は、水平軸96のまわりを回転し、これによって、ノズル20がリム14の下側の面と並び、ノズル20からの流体が確実に便器12の内側表面26に一定量供給されることを支援する(リム14の下側の面は、リム14の上部側面によって画定される面と平行であると仮定している)。タブ53はさらに、タブ53の遠位端から突出するエラストマー製把持部51を含むことが可能であり、把持部51は、ベース18をリム14上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース18は、タブ53を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース18は、ユーザが手動で回転させることによって、フック16に対して調節可能である。
【0049】
次に、図9〜13および図17〜21は、エンクロージャ(便器など)に流体吐出装置を取り付けるためのクリップ110を、別の例示的実施形態として示している。クリップ110は、図1から8のクリップ10の場合と同様に、フック116(図11および図18〜21では省略されている)で便器のリムに固定されている。ベース118が、フック116で支持され、流体吐出装置(ここではノズル120)を支持している。図1〜8のクリップ10の場合と同様に、流体が、容器から流体導管を介して流体吐出装置120に供給されて、便器の内側表面に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器から流体吐出装置120へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、手動または電動のポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器からの流体吐出の実行は、様々な方法/装置で制御可能であり、その1つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【0050】
図9〜13、および図17〜21をさらに参照すると、フック116は、ベース118を支持し、クリップ110を便器に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分128、上部リム部分130、および内側リム部分132である。3つの部分128、130、132のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック116を形成する。図1から8のクリップ10の場合と同様に、便器部分128は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのクリップ110の固定を支援するために、エラストマー製リブ137が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部134を下端に有する。把持用足部134およびリブ137に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
便器部分128は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部135において上部リム部分130とつながっている。フレキシブル肘部135により、フック116は、(図17のG方向と同様に)曲がることによって、クリップ110を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分130は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部136で内側リム部分132とつながり、ここでもフレキシブル肘部136によってフック116を曲げることが可能である。内側リム部分132は、肘部136から垂直に下方に延び、ベース118に嵌合して支持するように構成されている。便器部分128および上部リム部分130は、C字形溝150を含んでおり、溝150は、流体導管がフック116の周辺部を引き回されてベース118のノズル120に達するように、流体導管を拘束している。流体導管は、図1から8のクリップ10の場合と同様に、C字形溝150に押し込まれている。
【0052】
ベース118は、背面152と、背面152から前方に延びる、互いに離れている一対の側面154と、側面154の間に延びる上面156および前面158と、を有している。面152、154、156、158は、キャビティを画定している。ベース118は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0053】
図17、19、20、および21を参照すると、フック116の、中央に位置し、一直線に並んだドーム状突起173と、ベース118の後壁の内側表面171の中央の弧状隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fとの噛み合いにより、ベース118は、フック116上で垂直方向に拘束されている。ベース118は、フック116の内側リム部分132を受ける溝164を含んでいる。溝164の寸法は、フック116に力をかけたときにフック116の内側リム部分132が溝164内をスライドできるように、フック116の内側リム部分132と相補形になるように決められている。溝164の内側にあるくぼみ166が、フック116のリブ144を受ける。くぼみ166は、後壁167の中で終わっている。
【0054】
フック116を、溝164内で下方に動かすと、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175aの丸い上部表面を乗り越えて、隆起175aと隆起175bとの間の溝174aに入る。フック116をさらに下方に動かすと、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175bを乗り越えて、隆起175bと隆起175cとの間の溝174bに入り、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起に隣接し、その上にあるドーム状突起が、隆起175aを乗り越えて、隆起175aと隆起175bとの間のくぼんだ溝174aに入る。フックをさらに下方に動かすにつれて、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175c、175d、175eの丸い上部表面を乗り越えて、それぞれ、くぼんだ溝174c、174d、174eに入る。後に続くドーム状突起も、順に隆起を乗り越えて溝に入る。ドーム状突起群173が溝174a、174b、174c、174d、174eにあるときには、ベース118をフック116上で垂直方向に拘束することが可能であり、そこからさらにフック116に下向きの力をかけると、ドーム状突起群173は、下方に隣接する隆起を乗り越える。
【0055】
クリップ110は、ベース118を回転させることによって、ノズル120から一定量供給される流体でカバーされる範囲を調節する手段を含んでいる。図17〜21を参照すると、ベース118は、垂直軸148とベース118の背面152とで画定される面からほぼ垂直に延びる水平軸196のまわりを、フック116に対して回転することが可能である。溝164に形成されたくぼみ166は、入口168および出口170においてフレアー状になっている。これにより、ベース118は、フック116から突出しているリブ144が、ベース118に形成されたくぼみ側面145に当たるまで、中間位置172の近辺で、水平軸196のまわりを回転することが可能になる。
【0056】
たとえば、図17および20を参照すると、ベース118が垂直軸148に対して(一点鎖線で示すように)角度R3だけ回転した場合、ノズル120の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル120から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース118が反対方向に角度R4だけ回転すると、ノズル120から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース118が回転するにつれて、フック116のドーム状突起群173は、互いに離れている弧状隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fによってベース118の内側表面に形成された弧状溝174a、174b、174c、174d、174eの中の弧状経路(図20のX)を移動する。隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fはまた、前述のように、ベース118の垂直方向の動きを抑えている。このように回転を調節することにより、クリップ110は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。ここでは6個の隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fを示したが、フック116上におけるベース118の垂直方向および回転の調節のためには、1つまたは複数の隆起を用いることが好適でありうることを理解されたい。
【0057】
ベース118の回転調節は、クリップ110のユーザが手動で行ってもよく、またはクリップ110をエンクロージャ(たとえば、便器)に取り付ける際に自動で行われてもよい。クリップ110は、フック116をベース118から離すようにG方向(図17を参照)に押し広げて、クリップ110を便器のリムにかぶせることによって、リムに固定する。フック116を固定した後、タブ153がリムの下面と嵌合するまで、ベース118を、垂直軸148に沿ってフック116の上方へスライドさせる。ベース118のタブ153はリムの下面と嵌合し続けるため、ベース118は、水平軸196のまわりを回転することにより、ノズル120と、リムの下面との位置合わせを行い、ノズル120からの流体が確実に便器の内側表面に一定量供給されることを支援する。タブ153はさらに、タブ153の遠位端から突出するエラストマー製把持部151を含むことが可能であり、把持部151は、ベース118をリム上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース118は、タブ153を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース118は、ユーザが手動で回転させることによって、フック116に対して調節可能である。必要に応じて、フック116は、フック116の端部の動きをベース118の下面159より上に限定する突出タブ157を含む。
【0058】
クリップ110を取り巻く環境を感知するセンサ198を、ベース118に取り付けることが可能である。センサ198は、実質的に前面158に取り付けることが好ましいが、他の任意の好適な(たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる)場所に取り付けることも可能である。センサ198は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ198は、所定の論理に基づいて、便器に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器および/または制御装置(図示せず)と電気的に接続されていることが好ましい。
【0059】
図12を参照すると、ベース118はさらに、流体吐出装置(たとえば、ノズル120)をベース118に取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル120は、バレル178と流体注入口180との間で横方向に拘束されている。ベース118は、ベース118から下方に延びるアーム176を含んでいる。アーム176は、J字形に曲がってバレル178に向かって前方に延びる曲線部分177を有し、バレル178は、曲線部分177の遠位端にある。流体注入口180とバレル178との組み合わせによって、ノズル120の横方向の動きが制限されているが、ノズル120がノズル軸182のまわりを回転することは可能である。管状の流体注入口180は、流路181を画定しており、ベース118に取り付けられた下部ベースフロア202から下方に延びている。ベースフロア202は、上方に延びる管状スリーブ204を含んでおり、スリーブ204は、流路205を画定している。ベース118はまた、流体供給ポート208に取り付けられており、流体供給ポート208は、流路209を画定している。流体供給ポート208および管状スリーブ204は、互いにパチンと嵌合し、それらの間でOリング211が液密な封止を形成する。流体供給ポート208は、ベースの上面156内のくぼみ213の中に位置し、流体導管(図3の導管24など)に接続可能である。
【0060】
図10、12、および13を参照して、ノズル120について、さらに詳細に示す。ノズル120は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル120は、円形偏向板184を含んでいる。偏向板184から軸スピンドル192が下方に延びている。互いに離れている、略逆T字形の壁190a、190bが、偏向板184から上方に延びている。図13の実施形態では、壁190a、190bは、偏向板184の対向する外側エッジから偏向板184の全域に延びている。壁190a、190bの間の偏向板184から、中心流体偏向ピーク191が上方に延びている。壁190aの上部には、内部に向いた(垂直断面で見れば)略U字形の凹部193aがあり、壁190bの上部には、内部に向いた(垂直断面で見れば)略U字形の凹部193bがある。壁190a、190bによって通路186が画定されており、通路186は、偏向板184から上方に延びていて、凹部193a、193bと流体連通している。偏向板184のそばの通路186から半径方向に外に向かって溝188Lが延びており、溝188Lは、図13に示すように、点Aで、溝188Lの最初の通り道から後方に曲げられている。偏向板184のそばの通路186から半径方向に外に向かって溝188Rが延びており、溝188Rは、図13に示すように、点Bで、溝188Rの最初の通り道から前方に曲げられている。溝188L、188R、ならびに壁190a、190bの外形は、ノズル120の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【0061】
図12に最も明確に示すように、アーム176のバレル178のくぼみ179にスピンドル192を差し込むことによって、かつ、流体注入口180の端部を凹部193a、193bの間に差し込むことによって、ノズル120は、横方向に拘束されている。ノズル120は、ノズル軸182のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0062】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って(たとえば、図1の容器22および導管24を参照)、流体供給ポート208に移動する。図12に示すように、流体は、流路209、205、および181を通って、流体注入口180から流れ出る(流体注入口の吐出口の直径によって圧力を決定することが可能であり、この圧力によって、ノズル120のスピン速度ならびにノズル120からの流体の飛距離を決定することが可能である)。流体は、流体偏向ピーク191の最上部に流れ、枝分かれした通路186を流れ落ち、溝188L、188Rによって半径方向に外に向かう。流体が溝188L、188Rから出る際には、流体の経路は、溝188L、188Rの両側に位置する、角度を付けられた内側表面197L、197Rによって変化している。その反動によって、ノズル120は、図13に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル120から半径方向に外に向けて吐出され、エンクロージャ(便器など)の内側表面に当たる。
【0063】
図14および15を参照して、ノズル220の別の実施形態について詳細に示す。ノズル220は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル220は、(上面から見て)円形の偏向板284を含んでいる。偏向板284から軸スピンドル292が下方に延びている。互いに離れている、略逆T字形の壁290a、290bが、偏向板284から上方に延びている。図14および15の実施形態では、壁290a、290bは、偏向板284の外側エッジ点277Lから内側に入った場所から、偏向板284の外側エッジ点277Rから内側に入った場所へ延びている。(図12および13の流体偏向ピーク191と同様の)中心流体偏向ピーク291が、壁290a、290bの間の偏向板284から上方に延びている。壁290aの上部には、(図12および13の、内部に向いた凹部193aと同様の)内部に向いた略U字形の凹部があり、壁290bの上部には、(図12および13の、内部に向いた凹部193bと同様の)内部に向いた略U字形の凹部がある。
【0064】
さらに図14および15を参照すると、(図12および13の通路186と同様の)通路286が、壁290a、290bによって画定されており、通路286は、偏向板284から上方に延びていて、壁290a、290bの凹部と流体連通している。(図12および13の溝188Lと同様の)溝が、偏向板284のそばの通路286から半径方向に外に向かって延びており、この溝は、図13の場合と同様に、最初の溝から後方に曲げられている。(図12および13の溝188Rと同様の)溝288Rが、通路286から半径方向に外に向かって延びており、溝288Rは、図15に示すように、溝288Rの最初の通り道から前方に曲げられている。偏向板284は、皿状のフロア276を有しており、フロア276は、偏向板284の上部の外側エッジにおいて抜き勾配Zを形成している(図14を参照)。抜き勾配Z、溝、および壁290a、290bの外形は、ノズル220の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【0065】
図12と同様に、アーム176のバレル178のくぼみ179にスピンドル292を差し込むことによって、かつ、流体注入口180の端部を、壁290a、290bの上部の凹部の間に差し込むことによって、ノズル220を横方向に拘束することが可能である。ノズル220は、ノズル軸のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って(たとえば、図1の容器22および導管24を参照)、図12に示すような流体供給ポート208に移動し、流路209、205、および181を通って、流体注入口180から流れ出る。流体は、ノズル220の流体偏向ピーク291の最上部に流れ、枝分かれした通路286を流れ落ちてフロア276に当たり、溝によって半径方向に外に向かう。流体が溝から出る際には、流体の経路は、溝の両側に位置する壁290a、290bの、角度を付けられた内側表面によって変化している。その反動によって、ノズル220は、図15に示すように、方向Rに適切に回転する。流体は、フロア276上を流れ続け、偏向板284のエッジにおいて抜き勾配を上ることによって、流体のやや上向きの移動経路を形成する。結果として、流体は、ノズル220から半径方向に外に向けて吐出され、便器の内側表面に当たり、流体の移動経路がやや上向きであるために、18インチ以上飛んだ後でも、便器リムの下の便器の内側表面に流体が当たることが可能である。
【0066】
図8、13、および14を比較すると、ノズル20、ノズル120、およびノズル220は、構造に違いがあり、これが動作特性の違いにつながり得る。たとえば、ノズル20は、通路86から単一の溝88が延びているが、ノズル120およびノズル220は、中央の通路から2つの溝が延びている。追加された通路は、ノズルから最大効果を引き出して効率を上げることに役立つ。ノズル120およびノズル220はさらに、効率を上げることが可能な流体偏向ピーク191、291を有する。ノズル120とノズル220を比較すると、ノズル120の壁190a、190bが、偏向板184の対向する外側エッジから偏向板184の全域に延びているのに対し、ノズル220の壁290a、290bは、偏向板284の対向する外側エッジから内側に入った場所にあることがわかる。偏向板のエッジから壁まで間隔をおくことにより、ノズル220から吐出される流体の動きをより接線方向にすることが可能である。求心力により、流体は、振り落とされ、飛び散る。さらに、ノズル220の外側エッジの抜き勾配Zにより、液体噴霧の高さを落とさないまま、約18インチの噴霧が可能である。これは、噴霧が便器リムの下の上部領域の下まで届かずに落ちることを防ぐ点で有利である。
【0067】
ノズル20、120、220の各種パラメータは、ノズルの用途に応じて様々であってよい。たとえば、便器洗浄装置での使用に好適なノズルの場合、流体の流れは、偏向板へ下りていって、偏向板の表面から離れた後は、より低速で下方に向かう噴霧になる。ノズル20、120、220の設計パラメータは、10〜20psi(69〜138キロパスカル)のような低い流体圧力、24インチ(0.6096メートル)未満の流体移動経路、10ガロン毎時(37.85リットル毎時)未満の流れ速度などに対応するように様々であってよい。したがって、圧力、体積、および流れ速度の動作パラメータは、ノズル20、120、220の設計を変えることによって対応可能である。便器の用途には、14〜15psi(96〜103キロパスカル)の流体圧力、ならびに最大18インチ(0.4572メートル)の流体移動経路が最も好ましい。
【0068】
次に、図16は、図9のクリップとの使用に好適な別のフック216の側面図である。フック216には3つの主要部分があり、それらは、便器部分228、上部リム部分230、および内側リム部分232である。3つの部分228、230、232はすべて、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。図1から8のクリップ10の場合と同様に、便器部分128は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのフック216の固定を支援するために、長方形のエラストマー製リブ237が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部234を下端に有する。把持用足部234およびリブ237に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。便器部分228は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部235において上部リム部分230とつながっている。フレキシブル肘部235により、フック216は、曲がることが可能である。上部リム部分230は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びている。
【0069】
さらに図16を参照すると、フック216の内側リム部分232は、図9〜15のクリップ110の実施形態を参照して上述したように、ベース118に嵌合および支持するように構成されている。内側リム部分232の上端には、横方向に略長方形であって、内側リム部分232を貫通して延びる通路236がある。便器部分228および内側リム部分232が互いに近づいたり離れたりできるように、通路236に、上部リム部分230の遠位端238が差し込まれている。このようにフック216を水平方向に伸ばしたり縮めたりできるため、便器の様々なリム幅サイズに、より広く対応できる。さらに、便器部分228の内側表面は、吸盤239を含んでおり、上部リム部分230の内側表面は、吸盤241を含んでいる。便器部分228は、吸盤239によって便器リム14に密着可能であり、上部リム部分230は、吸盤241によって便器リム14に密着可能である。
【0070】
このように、本発明は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供し、このクリップのベースは、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯にはセンサが供給を止める。結果として、好ましい時間帯に、エンクロージャの内側表面全体を流体でカバーすることが可能である。
【0071】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
産業上の利用可能性
【0072】
本発明は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供し、このクリップのベースは、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯にはセンサが供給を止める。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)の内側表面に流体(洗剤や脱臭剤など)を噴霧する流体吐出装置を取り付けるためのクリップに関し、このクリップの本体は、一定量供給される流体をエンクロージャの内側表面に導くために、クリップのフックに対して回転可能に調節することが可能である。
【背景技術】
【0002】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【0003】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。(参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている)米国特許第4,777,670号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【0004】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第6,178,564号および第6,230,334号、ならびにPCT国際公開第99/66139号および第99/66140号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および/または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって、便器リムからつり下げられたベースで支持されているディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【0005】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および/または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第3,178,070号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第6,029,286号および第5,862,532号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【0006】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の1つは、これらの装置が、脱臭剤および/または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【0007】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第2007/0136937号は、特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。このの出願で例示されている一実施形態では、導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能なノズルの中で終わっている。ノズルは、便器のリムのそばに取り付けられる。
【0008】
便器のリムに取り付けられた装置に対して、限定された調節を行う場合は、いくつかの手法が利用可能である。調節は、主に、(1)米国特許第6,029,286号に示された、フックの2つの部材の間のラチェット機構を用いて、様々なリム幅に対してフックを調節することのように、様々な幅の便器リムに対応すること、または、(2)リム下における装置の垂直位置を調節することによってリムおよび便器の形状の深さに対応しようとすることのいずれかに限定されてきた。たとえば、米国特許第Re.32,017号、ならびに米国特許第6,898,806号および第7,114,199号では、フックと本体との間にラチェット機構を組み込んで、便器のリム下における装置の垂直方向の個々の調節を可能にしている。さらに、米国特許第6,675,396号では、本体内に形成された中空溝に平棒フックを押し込む摩擦嵌合を用いて、リムに対する本体の連続的調節を可能にしている。
【0009】
しかしながら、前述の調節手段は、便器が非対称形の(あるいは細長い)リム/内側表面構成を有する場合には、一定量供給された流体が便器の内側表面の隅々まで達するようにノズルを適切に位置決めすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4777670号
【特許文献2】米国特許第6178564号
【特許文献3】米国特許第6230334号
【特許文献4】米国特許第3178070号
【特許文献5】米国特許第6029286号
【特許文献6】米国特許第5862532号
【特許文献7】米国特許第6898806号
【特許文献8】米国特許第6675396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、便器のリムのそばにノズルを取り付けるための、改良されたクリップが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
先述の要件は、流体吐出装置を取り付けるための、本発明によるクリップによって満たすことが可能である。このクリップは、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)を洗浄する自動または手動の洗浄システムでの使用に好適である。本明細書で用いる用語「洗浄」は、殺菌および/または消毒も含み、用語「脱臭」は、清浄化も含み、用語「流体」は、洗浄流体、殺菌流体、消毒流体などを含む。さらに、用語「流体」は、液体、ゲル、流動性粉末、蒸気などを含むように広く解釈される。本発明の例示的実施形態の説明は、便器に関して行うが、これに限定されるわけではない。
【0013】
クリップは、使用中の流体吐出装置の安定および向きを維持することにより、流体が確実に所望のエンクロージャ表面に一定量供給されることを支援する。不注意の、または偶発的なクリップの動きによってセンサから不要な信号が発生したり、および/または一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変わったりすることを防ぐために、クリップはエンクロージャに固定される。さらに、クリップは、リムの高さ、奥行き、角度、および曲率に合わせた調節によって、様々な便器のサイズおよび形状に対応する。角度調節は、クリップをリムに取り付けたときに、ほぼ自動的に行われることが可能である。フック上の把持部は、いったん設定されたクリップの向きが確実に維持されることを支援する。さらに、流体導管をクリップに固定して、流体導管が挟まれたり、よじれたりするのを防ぐために、溝が存在する。
【0014】
本発明は、流体吐出装置をエンクロージャの壁のそばに取り付けるためのクリップを提供する。一実施形態では、クリップは、ベースと、エンクロージャの壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタと、を含む。
【0015】
一態様では、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段は、本体から延びるアームを含むことが可能である。さらに、アームは、流体吐出装置を支持するために、支持部分を含むことが可能であり、支持部分の遠位端にバレルを含むことが可能である。
【0016】
別の態様では、ベースは、流体注入口を含むことが可能であり、クリップは、流体注入口と流体連通しているノズルを含む流体吐出装置を含むことが可能である。ノズルは、偏向板と、上端において流体注入口と流体連通していて流体注入口と偏向板との間を延びる通路と、通路の下端と流体連通している溝と、溝の両側に位置し、偏向板から上方に延び、流体が当たるとノズルを回転させる、一対のフィンと、を含むことが可能である。
【0017】
一構成では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されて、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを備え、リブを受けるスリットと、を含む。さらに、スリットの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、スリットの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。フックは、ラチェット歯を含むことが可能であり、溝は、フックとベースとの間の滑る動きを抑えるために、ラチェット歯と噛み合う1つまたは複数の突起を備えることが可能である。
【0018】
別の構成では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されてフックのリブを受けるくぼみと、を含む。くぼみは、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを含む。くぼみの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、くぼみの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。コネクタの一形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面に突起を含むことが可能であり、ベースは、ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含むことが可能である。ベースがフックに対して回転する際に、フック上の少なくとも1つの突起が、少なくとも1つの弧状隆起に隣接する弧状経路を移動する。コネクタの別の形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面に突起を含み、ベースは、ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、隣接する弧状隆起同士がそれらの間に溝を画定する。ベースがフックに対して回転する際に、少なくとも1つの突起が、溝内の弧状経路を移動する。コネクタのさらに別の形態では、フックは、フックの、リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、ベースは、ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含む。これらの隆起は、丸い上面を有することが可能であり、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定することが可能である。ベースがフックに対して回転する際に、少なくとも1つの突起が、くぼんだ溝の中の弧状経路を移動する。突起は、フックの表面の中央に位置し、直線的に並ぶことが好ましい。
【0019】
別の態様では、フックは、流体導管をフックに取り付ける手段を備えることが可能である。さらに、この、流体導管をフックに取り付ける手段は、溝を含むことが可能である。さらなる態様では、流体導管は、流体を流体吐出装置に供給するための流体注入口の中まで延びる。
【0020】
本発明の別の実施形態では、流体吐出装置をエンクロージャの壁のそばに取り付けるためのクリップが、ベースと、壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、ベースまたはフックに取り付けられたセンサと、を含む。一態様では、センサは、動きセンサ、近接センサなどであってよい。
【0021】
別の態様では、ベースに流体吐出装置を取り付ける手段は、ベースから下方に延びて流体吐出装置を回転可能に支持する弧状アームを備える。さらに別の態様では、センサは、ベースの、フックと反対側の面に取り付けられる。
【0022】
さらなる実施形態では、エンクロージャの内側表面に流体を噴霧する装置が、流体の容器と、流体をエンクロージャの内側表面に当てることが可能な流体吐出装置と、容器および流体吐出装置と流体連通している流体導管と、流体を、容器から流体導管を介して流体吐出装置に供給する手段と、エンクロージャの内側表面のそばに流体吐出装置を取り付けるためのクリップと、を含み、クリップは、ベースと、内側表面のそばでベースを支持するように構成されたフックと、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタと、を備える。一態様では、エンクロージャは、浴槽、シャワー、便器などのいずれかである。
【0023】
さらなる態様では、クリップは、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されて、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを備え、リブを受けるスリットと、を備え、スリットの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、スリットの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。
【0024】
別の態様では、ベースとフックとを回転可能に接続するコネクタが、フックから突出しているリブと、ベース内に形成されてフックを受ける溝と、溝内に形成されてフックのリブを受けるくぼみと、を含む。くぼみは、入口と、出口と、入口と出口との間の中間位置とを含む。くぼみの幅は、入口から中間位置にかけて狭まり、中間位置から出口にかけて広がることにより、くぼみの中間位置のそばの点を中心として、フックとベースとが相対的に回転することを可能にする。
【0025】
さらに別の態様では、フックまたはベースにセンサが取り付けられる。さらに、センサは、動きセンサ、近接センサなどであってよい。
【0026】
さらなる実施形態では、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを、下面を含むリムを有する便器のそばに取り付ける方法が、タブを備えるベースを設けるステップと、リムのそばでベースを支持するように構成されたフックを設けるステップと、ベースを回転させる手段を設けるステップと、フックをリムに固定するステップと、ベースのタブを、リムの下面と、接触面で嵌合させるステップと、接触面に対してベースを回転させて、ベースのタブとリムの下面とを実質的に嵌合させるステップと、を含む。
【0027】
したがって、本発明の利点は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供することであり、このクリップの本体は、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯には、フックまたはベースに取り付けられたセンサが、供給の停止を支援する。
【0028】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付の特許請求の範囲を検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】便器に取り付けられた、本発明による、流体吐出装置を取り付けるためのクリップの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1のクリップを示す、図1の線2−2に沿った部分の斜視図である。
【図3】図1のクリップの内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図4】図1のクリップの背面斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるクリップのフックを示す、図1のクリップの一部の正面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるクリップのベースを示す、図1のクリップの一部の背面図である。
【図7】回転した後の向き(一点鎖線)および回転していない向き(実線)のクリップを示す、図1のクリップの正面図である。
【図8】図3の線8−8に沿った、クリップのノズルの一部分の上面図である。
【図9】本発明による、流体吐出装置を取り付けるためのクリップの別の実施形態の斜視図である。
【図10】図9のクリップの側面図である。
【図11】フックを取り外した状態での図9のクリップの正面図である。
【図12】図9のクリップの流体注入口、ノズル、および支持アームの垂直断面図である。
【図13】図10の線13−13に沿った、クリップのノズルの一部分の上面図である。
【図14】本発明における使用に好適な、さらに別のノズルの正面図である。
【図15】図14のノズルの側面図である。
【図16】図9のクリップにおける使用に好適な別のフックの側面図である。
【図17】図9の線17−17に沿った、図9のクリップの断面図である。
【図18】フックを取り外した状態での図9のクリップの背面図である。
【図19】フックを取り外した状態での図9のクリップの上面図である。
【図20】図19の線20−20に沿った、図19のクリップハウジングの断面図である。
【図21】図20のクリップハウジングの断面図の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたる類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【0031】
流体吐出装置を取り付けるための、本発明によるクリップは、エンクロージャ(便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど)の内側表面に流体を一定量供給する種々の装置において使用可能である。以下、図面を参照しながら、本発明の様々な実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【0032】
図1および2は、エンクロージャ(ここでは便器12)に流体吐出装置を取り付けるためのクリップ10の一例示的実施形態を示している。クリップ10は、フック16によって、便器12のリム14に固定されている。ベース18が、フック16で支持され、流体吐出装置(ここではノズル20)を収容している。流体が、容器22から流体導管24を介して流体吐出装置20に供給され、便器12の内側表面26に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器22から流体吐出装置20へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、ポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器22からの流体吐出の実行は、様々な方法/装置で制御可能であり、その1つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【0033】
図3、4、および5を参照すると、フック16は、ベース18を支持し、クリップ10を便器12に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分28、上部リム部分30、および内側リム部分32である。3つの部分28、30、32のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック16を形成する。便器部分28は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12へのクリップ10の固定を支援するために、エラストマー製リブ37が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部34を下端に有する。把持用足部34およびリブ37に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。便器部分28は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部35において上部リム部分30とつながっている。フレキシブル肘部35により、フック16は、主に(図3に示した)F−F方向に曲がることによって、クリップ10を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分30は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12のリム14の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部36で内側リム部分32とつながり、ここでもフレキシブル肘部36によってフック16を曲げることが可能である。内側リム部分32は、肘部36から垂直に下方に延び、ベース18を連結して支持するように構成されている。
【0034】
フック16の内側リム部分32は、前面38と背面40とが、2つの短い側面42で連結されている。内側リム部分32の背面40からリブ44が突出し、内側リム部分32の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ44は、フック16に対するベース18の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ44は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ44は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている2つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ44は、ベース18の所望の調節可能範囲にわたってベース18と嵌合されていれば、内側リム部分32の長さまで延びていなくてもよい。短い側面42は、ラチェット歯46を有し、ラチェット歯46は、ベース18と連結されて、ベース18の垂直方向の動きを、垂直軸48に沿うように制限する。他の制限、たとえば、フック16とベース18との間の摩擦嵌合なども可能である。
【0035】
便器部分28および上部リム部分30は、一連のC字形溝50を含んでおり、溝50は、導管24がフック16の周辺部を引き回されてベース18のノズル20に達するように、導管24を拘束している。本実施形態の便器部分28は、開口部が互い違いである3つのC字形溝50を含んでいる。導管24は、C字形溝50に押し込まれているが、溝50は、導管24を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分30では、好ましくは1つの溝50が導管24の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝50を用いてよい。
【0036】
図3、4、および6を参照すると、ベース18は、背面52と、背面52から前方に延びる、互いに離れている一対の側面54と、側面54の間に延びる上面56および前面58と、側面54、上面56、および前面58の間に延びる曲面60と、を有している。面52、54、56、58、60は、ノズル20の一部を収容する部分キャビティ62を画定している。ベース18は、ベース18の背面52から後方に延びるタブ53を有している。タブ53は、後述するように、クリップ10が便器12に取り付けられる際に、リム14に対するベース18の方向づけを支援する。タブ53は、本例示的実施形態に示すように、連続した1つの部材であってよい。代替として、タブ53は、ベース18から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース18は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0037】
図6を重点的に参照すると、ベース18は、フック16の内側リム部分32を受ける溝64を含んでいる。溝64は、リブ44を受けるスリット66を含んでおり、スリット66は、入口68と、出口70と、中間位置72とを有している(中間位置72は、入口68および出口70から等距離にあってもなくてもよい)。スリット66の幅は、入口68から中間位置72にかけて狭まっており、中間位置72から出口70にかけて広がっている。一実施形態では、中間位置72は、入口68と出口70とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口68と出口70との中間でなくてもよく、スリット66の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット66の最大幅は、フック16に対するベース18の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース18の所望の回転調節度合がより大きければ、入口68および出口70におけるスリット66の最大幅を増やすことが可能であり、代替として、または追加でリブ44の幅を減らすことが可能である。
【0038】
溝64は、溝64の短い側面65の壁から延びる一対の突起74を含んでおり、突起74は、内側リム部分32が溝64内をスライドするときにフック16のラチェット歯46と噛み合う。突起74は、ラチェット歯46と噛み合うことによって、ベース18がフック16に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起74は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝64内に形成されたキャビティに収容されていて、溝64の外形(たとえば、ラチェット歯46)に対して押し出される構造によって可能である。突起74とラチェット歯46との噛み合いは、突起74とラチェット歯46との噛み合いが外れることなくベース18の所望の回転(後述)が可能であるように行われる。
【0039】
ベース18はさらに、流体吐出装置20(例えば、ノズル20)を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル20は、流体注入口80とバレル78との間で横方向に拘束されている。ベース18は、ベース18から下方に延びるアーム76を含んでいる。アーム76は、J字形に曲がって先に延びる平棒支持部分77を有し、支持部分77の遠位端にバレル78がある。バレル78は、ノズル20の底部を受ける管状のくぼみを含んでいる。さらに、ベース18の曲面60の中に流体注入口80があり、流体注入口80は開口部から先細りになっている(図3に示す)。流体注入口80とバレル78との組み合わせによって、ノズル20の横方向の動きが制限されているが、ノズル20がノズル軸82のまわりを回転することは可能である。
【0040】
クリップ10を取り巻く環境を感知するセンサ98を、ベース18またはフック16に取り付けることが可能である。センサ98は、実質的に前面58に取り付けることが好ましいが、角度が付いた面60、または他の任意の好適な(たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる)場所に取り付けることが可能である。センサ98は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ98は、所定の論理に基づいて、便器12に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器22および/または制御装置(図示せず)と電気的に接続されていることが好ましい。実施形態によっては、センシング機能が不要であればクリップ10からセンサを省略できることを理解されたい。
【0041】
図8を参照して、流体吐出装置20の一実施形態を説明する。流体吐出装置20は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル20は、円形偏向板84と、偏向板84から上方に延びていて流体注入口80と流体連通している通路86とを含んでいる。偏向板84のそばの通路86から半径方向に外に向かって溝88が延びており、溝88は、図8に示すように、点Aで、溝88の最初の通り道から曲げられている。溝88の両側に、偏向板84から上方に延びる一対のフィン90が位置する。溝88およびフィン90の外形は、ノズル20の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【0042】
図3および8に最も明確に示すように、偏向板84の下側から延びるスピンドル92をアーム76のバレル78のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口80の先細った端部を通路86に差し込んで、通路86内に形成された棚状突起94に当てることによって、ノズル20は、ベース18内で横方向に拘束されている。ノズル20は、ノズル軸82のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0043】
流体吐出装置を取り付ける手段は、アーム76を使用せずに、流体吐出装置20をベース18からつり下げることを含んでよい。流体吐出装置(ここではノズル20)は、ベース18にパチンとはめ込んでもよく、ベース18にねじ留めしてもよく、ベース18に押し込んでもよい。さらに、ベース18から弧状アーム(図示せず)を延ばして流体吐出装置20を支持してもよい。
【0044】
稼働時には、流体は、容器22から、フック16に沿って溝50内を引き回された導管24を通って、ベース18の流体注入口80に移動する。流体は、ノズル20の上部に流れ込み、通路86を下り、溝88によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝88を出ると、流体の経路は、溝88の両側に位置する、角度を付けられたフィン90によって変更される。その反動によって、ノズル20は、図8に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル20から半径方向に外に向けて吐出され、便器12の内側表面26に当たる。
【0045】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース18を回転させて調節する手段に着目する。図4および6に戻り、かつ、図7を参照すると、ベース18は、垂直軸48とベース18の背面52とで画定される面からほぼ垂直に延びる水平軸96のまわりを、フック16に対して回転することが可能である。溝64に形成されたスリット66は、入口68および出口70においてフレアー状になっている。これにより、ベース18は、フック16から突出しているリブ44が、背面52に形成されたスリット側面45に当たるまで、中間位置72の近辺で、水平軸96のまわりを回転することが可能になる。
【0046】
たとえば、図7を参照すると、ベース18が垂直軸48に対して(一点鎖線で示すように)角度R1だけ回転した場合、ノズル20の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース18が反対方向に角度R2だけ回転すると、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース18が回転するにつれて、突起74は、ラチェット歯46のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起74とラチェット歯46との噛み合いは、ベース18を自由に回転させながら、なおかつ、ベース18の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ10は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【0047】
ベース18を回転させる手段は、前述したスリット66を含まなくてもよい。たとえば、背面52は、フック16のリブ44の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面52で画定された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース18は、リブ44が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット66は、入口から出口にかけて(または出口から入口にかけて)先細るV字形であることが可能である。したがって、ベース18の回転点は、スリット66の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース18の回転は、リブ44とスリット側面45との噛み合いによって制限される。
【0048】
ベース18の回転調節は、クリップ10のユーザが手動で行ってもよく、クリップ10をエンクロージャ(ここでは便器12)に取り付ける際に自動で行われてもよい。図1から4、6、および7を全体的に参照すると、クリップ10の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器12のリム14にクリップ10を固定する。そのためには、フック16をベース18から離すようにF−F方向に押し広げて、クリップ10をリム14にかぶせる。フック16を固定したら、タブ53がリム14の下側と嵌合するまで、ベース18を、垂直軸48に沿って、フック16およびラチェット歯46の上方へスライドさせる。ベース18のタブ53はリム14の下側と嵌合し続けるため、ベース18は、水平軸96のまわりを回転し、これによって、ノズル20がリム14の下側の面と並び、ノズル20からの流体が確実に便器12の内側表面26に一定量供給されることを支援する(リム14の下側の面は、リム14の上部側面によって画定される面と平行であると仮定している)。タブ53はさらに、タブ53の遠位端から突出するエラストマー製把持部51を含むことが可能であり、把持部51は、ベース18をリム14上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース18は、タブ53を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース18は、ユーザが手動で回転させることによって、フック16に対して調節可能である。
【0049】
次に、図9〜13および図17〜21は、エンクロージャ(便器など)に流体吐出装置を取り付けるためのクリップ110を、別の例示的実施形態として示している。クリップ110は、図1から8のクリップ10の場合と同様に、フック116(図11および図18〜21では省略されている)で便器のリムに固定されている。ベース118が、フック116で支持され、流体吐出装置(ここではノズル120)を支持している。図1〜8のクリップ10の場合と同様に、流体が、容器から流体導管を介して流体吐出装置120に供給されて、便器の内側表面に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器から流体吐出装置120へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、手動または電動のポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器からの流体吐出の実行は、様々な方法/装置で制御可能であり、その1つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【0050】
図9〜13、および図17〜21をさらに参照すると、フック116は、ベース118を支持し、クリップ110を便器に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分128、上部リム部分130、および内側リム部分132である。3つの部分128、130、132のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック116を形成する。図1から8のクリップ10の場合と同様に、便器部分128は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのクリップ110の固定を支援するために、エラストマー製リブ137が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部134を下端に有する。把持用足部134およびリブ137に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
便器部分128は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部135において上部リム部分130とつながっている。フレキシブル肘部135により、フック116は、(図17のG方向と同様に)曲がることによって、クリップ110を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分130は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部136で内側リム部分132とつながり、ここでもフレキシブル肘部136によってフック116を曲げることが可能である。内側リム部分132は、肘部136から垂直に下方に延び、ベース118に嵌合して支持するように構成されている。便器部分128および上部リム部分130は、C字形溝150を含んでおり、溝150は、流体導管がフック116の周辺部を引き回されてベース118のノズル120に達するように、流体導管を拘束している。流体導管は、図1から8のクリップ10の場合と同様に、C字形溝150に押し込まれている。
【0052】
ベース118は、背面152と、背面152から前方に延びる、互いに離れている一対の側面154と、側面154の間に延びる上面156および前面158と、を有している。面152、154、156、158は、キャビティを画定している。ベース118は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0053】
図17、19、20、および21を参照すると、フック116の、中央に位置し、一直線に並んだドーム状突起173と、ベース118の後壁の内側表面171の中央の弧状隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fとの噛み合いにより、ベース118は、フック116上で垂直方向に拘束されている。ベース118は、フック116の内側リム部分132を受ける溝164を含んでいる。溝164の寸法は、フック116に力をかけたときにフック116の内側リム部分132が溝164内をスライドできるように、フック116の内側リム部分132と相補形になるように決められている。溝164の内側にあるくぼみ166が、フック116のリブ144を受ける。くぼみ166は、後壁167の中で終わっている。
【0054】
フック116を、溝164内で下方に動かすと、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175aの丸い上部表面を乗り越えて、隆起175aと隆起175bとの間の溝174aに入る。フック116をさらに下方に動かすと、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175bを乗り越えて、隆起175bと隆起175cとの間の溝174bに入り、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起に隣接し、その上にあるドーム状突起が、隆起175aを乗り越えて、隆起175aと隆起175bとの間のくぼんだ溝174aに入る。フックをさらに下方に動かすにつれて、6個のドーム状突起の群173のうちの一番下の突起が、隆起175c、175d、175eの丸い上部表面を乗り越えて、それぞれ、くぼんだ溝174c、174d、174eに入る。後に続くドーム状突起も、順に隆起を乗り越えて溝に入る。ドーム状突起群173が溝174a、174b、174c、174d、174eにあるときには、ベース118をフック116上で垂直方向に拘束することが可能であり、そこからさらにフック116に下向きの力をかけると、ドーム状突起群173は、下方に隣接する隆起を乗り越える。
【0055】
クリップ110は、ベース118を回転させることによって、ノズル120から一定量供給される流体でカバーされる範囲を調節する手段を含んでいる。図17〜21を参照すると、ベース118は、垂直軸148とベース118の背面152とで画定される面からほぼ垂直に延びる水平軸196のまわりを、フック116に対して回転することが可能である。溝164に形成されたくぼみ166は、入口168および出口170においてフレアー状になっている。これにより、ベース118は、フック116から突出しているリブ144が、ベース118に形成されたくぼみ側面145に当たるまで、中間位置172の近辺で、水平軸196のまわりを回転することが可能になる。
【0056】
たとえば、図17および20を参照すると、ベース118が垂直軸148に対して(一点鎖線で示すように)角度R3だけ回転した場合、ノズル120の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル120から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース118が反対方向に角度R4だけ回転すると、ノズル120から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース118が回転するにつれて、フック116のドーム状突起群173は、互いに離れている弧状隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fによってベース118の内側表面に形成された弧状溝174a、174b、174c、174d、174eの中の弧状経路(図20のX)を移動する。隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fはまた、前述のように、ベース118の垂直方向の動きを抑えている。このように回転を調節することにより、クリップ110は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。ここでは6個の隆起175a、175b、175c、175d、175e、175fを示したが、フック116上におけるベース118の垂直方向および回転の調節のためには、1つまたは複数の隆起を用いることが好適でありうることを理解されたい。
【0057】
ベース118の回転調節は、クリップ110のユーザが手動で行ってもよく、またはクリップ110をエンクロージャ(たとえば、便器)に取り付ける際に自動で行われてもよい。クリップ110は、フック116をベース118から離すようにG方向(図17を参照)に押し広げて、クリップ110を便器のリムにかぶせることによって、リムに固定する。フック116を固定した後、タブ153がリムの下面と嵌合するまで、ベース118を、垂直軸148に沿ってフック116の上方へスライドさせる。ベース118のタブ153はリムの下面と嵌合し続けるため、ベース118は、水平軸196のまわりを回転することにより、ノズル120と、リムの下面との位置合わせを行い、ノズル120からの流体が確実に便器の内側表面に一定量供給されることを支援する。タブ153はさらに、タブ153の遠位端から突出するエラストマー製把持部151を含むことが可能であり、把持部151は、ベース118をリム上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース118は、タブ153を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース118は、ユーザが手動で回転させることによって、フック116に対して調節可能である。必要に応じて、フック116は、フック116の端部の動きをベース118の下面159より上に限定する突出タブ157を含む。
【0058】
クリップ110を取り巻く環境を感知するセンサ198を、ベース118に取り付けることが可能である。センサ198は、実質的に前面158に取り付けることが好ましいが、他の任意の好適な(たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる)場所に取り付けることも可能である。センサ198は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ198は、所定の論理に基づいて、便器に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器および/または制御装置(図示せず)と電気的に接続されていることが好ましい。
【0059】
図12を参照すると、ベース118はさらに、流体吐出装置(たとえば、ノズル120)をベース118に取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル120は、バレル178と流体注入口180との間で横方向に拘束されている。ベース118は、ベース118から下方に延びるアーム176を含んでいる。アーム176は、J字形に曲がってバレル178に向かって前方に延びる曲線部分177を有し、バレル178は、曲線部分177の遠位端にある。流体注入口180とバレル178との組み合わせによって、ノズル120の横方向の動きが制限されているが、ノズル120がノズル軸182のまわりを回転することは可能である。管状の流体注入口180は、流路181を画定しており、ベース118に取り付けられた下部ベースフロア202から下方に延びている。ベースフロア202は、上方に延びる管状スリーブ204を含んでおり、スリーブ204は、流路205を画定している。ベース118はまた、流体供給ポート208に取り付けられており、流体供給ポート208は、流路209を画定している。流体供給ポート208および管状スリーブ204は、互いにパチンと嵌合し、それらの間でOリング211が液密な封止を形成する。流体供給ポート208は、ベースの上面156内のくぼみ213の中に位置し、流体導管(図3の導管24など)に接続可能である。
【0060】
図10、12、および13を参照して、ノズル120について、さらに詳細に示す。ノズル120は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル120は、円形偏向板184を含んでいる。偏向板184から軸スピンドル192が下方に延びている。互いに離れている、略逆T字形の壁190a、190bが、偏向板184から上方に延びている。図13の実施形態では、壁190a、190bは、偏向板184の対向する外側エッジから偏向板184の全域に延びている。壁190a、190bの間の偏向板184から、中心流体偏向ピーク191が上方に延びている。壁190aの上部には、内部に向いた(垂直断面で見れば)略U字形の凹部193aがあり、壁190bの上部には、内部に向いた(垂直断面で見れば)略U字形の凹部193bがある。壁190a、190bによって通路186が画定されており、通路186は、偏向板184から上方に延びていて、凹部193a、193bと流体連通している。偏向板184のそばの通路186から半径方向に外に向かって溝188Lが延びており、溝188Lは、図13に示すように、点Aで、溝188Lの最初の通り道から後方に曲げられている。偏向板184のそばの通路186から半径方向に外に向かって溝188Rが延びており、溝188Rは、図13に示すように、点Bで、溝188Rの最初の通り道から前方に曲げられている。溝188L、188R、ならびに壁190a、190bの外形は、ノズル120の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【0061】
図12に最も明確に示すように、アーム176のバレル178のくぼみ179にスピンドル192を差し込むことによって、かつ、流体注入口180の端部を凹部193a、193bの間に差し込むことによって、ノズル120は、横方向に拘束されている。ノズル120は、ノズル軸182のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0062】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って(たとえば、図1の容器22および導管24を参照)、流体供給ポート208に移動する。図12に示すように、流体は、流路209、205、および181を通って、流体注入口180から流れ出る(流体注入口の吐出口の直径によって圧力を決定することが可能であり、この圧力によって、ノズル120のスピン速度ならびにノズル120からの流体の飛距離を決定することが可能である)。流体は、流体偏向ピーク191の最上部に流れ、枝分かれした通路186を流れ落ち、溝188L、188Rによって半径方向に外に向かう。流体が溝188L、188Rから出る際には、流体の経路は、溝188L、188Rの両側に位置する、角度を付けられた内側表面197L、197Rによって変化している。その反動によって、ノズル120は、図13に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル120から半径方向に外に向けて吐出され、エンクロージャ(便器など)の内側表面に当たる。
【0063】
図14および15を参照して、ノズル220の別の実施形態について詳細に示す。ノズル220は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル220は、(上面から見て)円形の偏向板284を含んでいる。偏向板284から軸スピンドル292が下方に延びている。互いに離れている、略逆T字形の壁290a、290bが、偏向板284から上方に延びている。図14および15の実施形態では、壁290a、290bは、偏向板284の外側エッジ点277Lから内側に入った場所から、偏向板284の外側エッジ点277Rから内側に入った場所へ延びている。(図12および13の流体偏向ピーク191と同様の)中心流体偏向ピーク291が、壁290a、290bの間の偏向板284から上方に延びている。壁290aの上部には、(図12および13の、内部に向いた凹部193aと同様の)内部に向いた略U字形の凹部があり、壁290bの上部には、(図12および13の、内部に向いた凹部193bと同様の)内部に向いた略U字形の凹部がある。
【0064】
さらに図14および15を参照すると、(図12および13の通路186と同様の)通路286が、壁290a、290bによって画定されており、通路286は、偏向板284から上方に延びていて、壁290a、290bの凹部と流体連通している。(図12および13の溝188Lと同様の)溝が、偏向板284のそばの通路286から半径方向に外に向かって延びており、この溝は、図13の場合と同様に、最初の溝から後方に曲げられている。(図12および13の溝188Rと同様の)溝288Rが、通路286から半径方向に外に向かって延びており、溝288Rは、図15に示すように、溝288Rの最初の通り道から前方に曲げられている。偏向板284は、皿状のフロア276を有しており、フロア276は、偏向板284の上部の外側エッジにおいて抜き勾配Zを形成している(図14を参照)。抜き勾配Z、溝、および壁290a、290bの外形は、ノズル220の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【0065】
図12と同様に、アーム176のバレル178のくぼみ179にスピンドル292を差し込むことによって、かつ、流体注入口180の端部を、壁290a、290bの上部の凹部の間に差し込むことによって、ノズル220を横方向に拘束することが可能である。ノズル220は、ノズル軸のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って(たとえば、図1の容器22および導管24を参照)、図12に示すような流体供給ポート208に移動し、流路209、205、および181を通って、流体注入口180から流れ出る。流体は、ノズル220の流体偏向ピーク291の最上部に流れ、枝分かれした通路286を流れ落ちてフロア276に当たり、溝によって半径方向に外に向かう。流体が溝から出る際には、流体の経路は、溝の両側に位置する壁290a、290bの、角度を付けられた内側表面によって変化している。その反動によって、ノズル220は、図15に示すように、方向Rに適切に回転する。流体は、フロア276上を流れ続け、偏向板284のエッジにおいて抜き勾配を上ることによって、流体のやや上向きの移動経路を形成する。結果として、流体は、ノズル220から半径方向に外に向けて吐出され、便器の内側表面に当たり、流体の移動経路がやや上向きであるために、18インチ以上飛んだ後でも、便器リムの下の便器の内側表面に流体が当たることが可能である。
【0066】
図8、13、および14を比較すると、ノズル20、ノズル120、およびノズル220は、構造に違いがあり、これが動作特性の違いにつながり得る。たとえば、ノズル20は、通路86から単一の溝88が延びているが、ノズル120およびノズル220は、中央の通路から2つの溝が延びている。追加された通路は、ノズルから最大効果を引き出して効率を上げることに役立つ。ノズル120およびノズル220はさらに、効率を上げることが可能な流体偏向ピーク191、291を有する。ノズル120とノズル220を比較すると、ノズル120の壁190a、190bが、偏向板184の対向する外側エッジから偏向板184の全域に延びているのに対し、ノズル220の壁290a、290bは、偏向板284の対向する外側エッジから内側に入った場所にあることがわかる。偏向板のエッジから壁まで間隔をおくことにより、ノズル220から吐出される流体の動きをより接線方向にすることが可能である。求心力により、流体は、振り落とされ、飛び散る。さらに、ノズル220の外側エッジの抜き勾配Zにより、液体噴霧の高さを落とさないまま、約18インチの噴霧が可能である。これは、噴霧が便器リムの下の上部領域の下まで届かずに落ちることを防ぐ点で有利である。
【0067】
ノズル20、120、220の各種パラメータは、ノズルの用途に応じて様々であってよい。たとえば、便器洗浄装置での使用に好適なノズルの場合、流体の流れは、偏向板へ下りていって、偏向板の表面から離れた後は、より低速で下方に向かう噴霧になる。ノズル20、120、220の設計パラメータは、10〜20psi(69〜138キロパスカル)のような低い流体圧力、24インチ(0.6096メートル)未満の流体移動経路、10ガロン毎時(37.85リットル毎時)未満の流れ速度などに対応するように様々であってよい。したがって、圧力、体積、および流れ速度の動作パラメータは、ノズル20、120、220の設計を変えることによって対応可能である。便器の用途には、14〜15psi(96〜103キロパスカル)の流体圧力、ならびに最大18インチ(0.4572メートル)の流体移動経路が最も好ましい。
【0068】
次に、図16は、図9のクリップとの使用に好適な別のフック216の側面図である。フック216には3つの主要部分があり、それらは、便器部分228、上部リム部分230、および内側リム部分232である。3つの部分228、230、232はすべて、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。図1から8のクリップ10の場合と同様に、便器部分128は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのフック216の固定を支援するために、長方形のエラストマー製リブ237が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部234を下端に有する。把持用足部234およびリブ237に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあるが、これらに限定されるわけではない。便器部分228は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部235において上部リム部分230とつながっている。フレキシブル肘部235により、フック216は、曲がることが可能である。上部リム部分230は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びている。
【0069】
さらに図16を参照すると、フック216の内側リム部分232は、図9〜15のクリップ110の実施形態を参照して上述したように、ベース118に嵌合および支持するように構成されている。内側リム部分232の上端には、横方向に略長方形であって、内側リム部分232を貫通して延びる通路236がある。便器部分228および内側リム部分232が互いに近づいたり離れたりできるように、通路236に、上部リム部分230の遠位端238が差し込まれている。このようにフック216を水平方向に伸ばしたり縮めたりできるため、便器の様々なリム幅サイズに、より広く対応できる。さらに、便器部分228の内側表面は、吸盤239を含んでおり、上部リム部分230の内側表面は、吸盤241を含んでいる。便器部分228は、吸盤239によって便器リム14に密着可能であり、上部リム部分230は、吸盤241によって便器リム14に密着可能である。
【0070】
このように、本発明は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供し、このクリップのベースは、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯にはセンサが供給を止める。結果として、好ましい時間帯に、エンクロージャの内側表面全体を流体でカバーすることが可能である。
【0071】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
産業上の利用可能性
【0072】
本発明は、流体吐出装置を取り付けるためのクリップを提供し、このクリップのベースは、流体がエンクロージャの内側表面に一定量供給されるように、フックに対して回転可能であり、さらに、流体の一定量供給が不要な時間帯にはセンサが供給を止める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出装置を便器の壁のそばに取り付けるためのクリップであって、
ベースと、
前記壁のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、
前記ベースと前記フックとを回転可能に接続するコネクタと、を備え、前記コネクタは、
前記フックから突出しているリブと、
前記ベース内に形成されて前記フックを受ける溝と、
前記溝内に形成されて前記リブを受けるくぼみであって、入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の中間位置とを含む前記くぼみと、を備え、
前記くぼみの幅は、前記入口から前記中間位置にかけて狭まり、前記中間位置から前記出口にかけて広がることにより、前記くぼみの前記中間位置のそばの点を中心として、前記フックと前記ベースとが相対的に回転することを可能にする、クリップ。
【請求項2】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面に突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含み、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、少なくとも1つの弧状隆起のそばを移動する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、前記隆起は、丸い上面を有し、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定し、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、前記溝内を移動する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
前記突起は、前記フックの前記表面の中央に位置し、直線的に並ぶ、請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
前記ベースは、流体注入口を備え、
前記クリップは、前記流体注入口と流体連通しているノズルを備える流体吐出装置を含む、請求項1に記載のクリップ。
【請求項6】
前記ノズルは、
偏向板と、
上端において前記流体注入口と流体連通していて、前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
前記ノズルは、
偏向板と、
上端において前記流体注入口と流体連通していて、前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している一対の溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項5に記載のクリップ。
【請求項8】
便器の内側表面に流体を噴霧する装置であって、
前記流体の容器と、
前記流体を前記便器の前記内側表面に当てることが可能な流体吐出装置と、
前記容器および前記流体吐出装置と流体連通している流体導管と、
流体を、前記容器から前記流体導管を介して前記流体吐出装置に供給する手段と、
前記便器の前記内側表面のそばに前記流体吐出装置を取り付けるためのクリップと、を備え、前記クリップは、
ベースと、
前記便器の前記内側表面のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、を備え、
前記ベースは、前記フックに対して回転するように構成された、装置。
【請求項9】
前記フックは、前記便器の表面と嵌合するエラストマー製把持部を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フックは、互いに離れて対向する側面部分を備え、前記互いに離れて対向する側面部分の間隔が調節可能であるように、前記互いに離れて対向する側面部分は、互いに近づいたり離れたりすることが可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記フックから突出しているリブと、
前記ベース内に形成されて前記フックを受ける溝と、
前記溝内に形成されて、入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の中間位置とを備え、前記リブを受けるスリットと、をさらに備え、
前記スリットの幅は、前記入口から前記中間位置にかけて狭まり、前記中間位置から前記出口にかけて広がることにより、前記スリットの前記中間位置のそばの点を中心として、前記フックと前記ベースとが相対的に回転することを可能にする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記フックまたは前記ベースに取り付けられたセンサをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、動きセンサまたは近接センサである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ベースは、前記ベースと前記フックとを回転可能に接続するコネクタによって、前記フックに対して回転するように構成された、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面に突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含み、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、少なくとも1つの弧状隆起のそばを移動する、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、前記隆起は、丸い上面を有し、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定し、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、前記溝内を移動する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記突起は、前記フックの前記表面の中央に位置し、直線的に並ぶ、請求項16に記載の装置。
【請求項1】
流体吐出装置を便器の壁のそばに取り付けるためのクリップであって、
ベースと、
前記壁のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記ベースに流体吐出装置を取り付ける手段と、
前記ベースと前記フックとを回転可能に接続するコネクタと、を備え、前記コネクタは、
前記フックから突出しているリブと、
前記ベース内に形成されて前記フックを受ける溝と、
前記溝内に形成されて前記リブを受けるくぼみであって、入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の中間位置とを含む前記くぼみと、を備え、
前記くぼみの幅は、前記入口から前記中間位置にかけて狭まり、前記中間位置から前記出口にかけて広がることにより、前記くぼみの前記中間位置のそばの点を中心として、前記フックと前記ベースとが相対的に回転することを可能にする、クリップ。
【請求項2】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面に突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含み、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、少なくとも1つの弧状隆起のそばを移動する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、前記隆起は、丸い上面を有し、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定し、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、前記溝内を移動する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
前記突起は、前記フックの前記表面の中央に位置し、直線的に並ぶ、請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
前記ベースは、流体注入口を備え、
前記クリップは、前記流体注入口と流体連通しているノズルを備える流体吐出装置を含む、請求項1に記載のクリップ。
【請求項6】
前記ノズルは、
偏向板と、
上端において前記流体注入口と流体連通していて、前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
前記ノズルは、
偏向板と、
上端において前記流体注入口と流体連通していて、前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している一対の溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項5に記載のクリップ。
【請求項8】
便器の内側表面に流体を噴霧する装置であって、
前記流体の容器と、
前記流体を前記便器の前記内側表面に当てることが可能な流体吐出装置と、
前記容器および前記流体吐出装置と流体連通している流体導管と、
流体を、前記容器から前記流体導管を介して前記流体吐出装置に供給する手段と、
前記便器の前記内側表面のそばに前記流体吐出装置を取り付けるためのクリップと、を備え、前記クリップは、
ベースと、
前記便器の前記内側表面のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、を備え、
前記ベースは、前記フックに対して回転するように構成された、装置。
【請求項9】
前記フックは、前記便器の表面と嵌合するエラストマー製把持部を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フックは、互いに離れて対向する側面部分を備え、前記互いに離れて対向する側面部分の間隔が調節可能であるように、前記互いに離れて対向する側面部分は、互いに近づいたり離れたりすることが可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記フックから突出しているリブと、
前記ベース内に形成されて前記フックを受ける溝と、
前記溝内に形成されて、入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の中間位置とを備え、前記リブを受けるスリットと、をさらに備え、
前記スリットの幅は、前記入口から前記中間位置にかけて狭まり、前記中間位置から前記出口にかけて広がることにより、前記スリットの前記中間位置のそばの点を中心として、前記フックと前記ベースとが相対的に回転することを可能にする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記フックまたは前記ベースに取り付けられたセンサをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、動きセンサまたは近接センサである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ベースは、前記ベースと前記フックとを回転可能に接続するコネクタによって、前記フックに対して回転するように構成された、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面に突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に少なくとも1つの弧状隆起を含み、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、少なくとも1つの弧状隆起のそばを移動する、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記フックは、前記フックの、前記リブと反対側の表面にドーム状突起を含み、
前記ベースは、前記ベースの内側表面に複数の弧状隆起を含み、前記隆起は、丸い上面を有し、隣接する弧状隆起同士がそれらの間にくぼんだ溝を画定し、
前記ベースが前記フックに対して回転する際に、少なくとも1つの前記突起が、前記溝内を移動する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記突起は、前記フックの前記表面の中央に位置し、直線的に並ぶ、請求項16に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2010−526229(P2010−526229A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507412(P2010−507412)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005643
【国際公開番号】WO2008/137045
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005643
【国際公開番号】WO2008/137045
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
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