説明

流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機

【課題】1つの駆動源及び回動軸によって一対の弾性チューブを流れる流体の流通及び遮断を行うことができ、この流通及び遮断の繰り返しに耐久性のある流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機を提供すること。
【解決手段】流体用切替装置5は、互いに平行な状態でフレーム51に配設した一対の弾性チューブ6と、各弾性チューブ6に対して垂直な状態でフレーム51に軸支した駆動軸7と、駆動軸7に設けた切替器71とを備えている。流体用切替装置5は、駆動軸7を逐次90°回動させることにより、切替器71の一対のローラ73が一対の弾性チューブ6をフレーム51の対向部514に押さえ付けて、一対の弾性チューブ6を閉口する閉状態P1と、切替器71の一対のローラ73が一対の弾性チューブ6から退避して一対の弾性チューブ6を開口させる開状態P2とを繰り返し形成するよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の弾性チューブの閉塞及び開口を繰り返し行うことができる流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、吸着式冷凍機においては、2つの吸脱着器内に伝熱管を挿通させるとともに、各吸脱着器内においては、伝熱管の表面にシリカゲル等の固体吸着剤を配置している。また、各吸脱着器に対して蒸発器と凝縮器とを、ダンパの開閉を利用して個別に連通可能にしている。また、各吸脱着器、蒸発器及び凝縮器を真空状態にするとともに、これらの間に冷媒を流通可能にしている。そして、吸着式冷凍機は、吸着器として機能させる吸脱着器と、脱着器として機能させる吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転を行っている。このとき、吸着器として機能させる吸脱着器においては、この吸脱着器内に配管した伝熱管に冷却水を流し、脱着器として機能させる吸脱着器においては、この吸脱着器内に配管した伝熱管に温水を流している。
【0003】
各吸脱着器の伝熱管に対して冷却水と温水とを交互に流すために、冷却水と温水とが流れる配管の繋ぎ替えを行う多数のバルブを用いている。
例えば、特許文献1の吸着式冷凍システムの運転方法においては、複数基の吸着塔を、少なくとも一つが他と異なる工程となるように、吸着・脱着工程として切替運転することが開示されている。この吸着式冷凍システムにおいては、各吸着塔に内蔵する伝熱管に対して冷却水と熱源側熱媒とを切り替えて流すために、多数のバルブを使用している。
【0004】
また、例えば、特許文献2の発熱体の冷却システムにおいては、バルブのハウジングにおいて、2種類の熱媒体が供給される2つの入口と2つの出口とを形成し、ハウジング内に回転可能に配置した弁体に2つの熱媒体通路を形成することが開示されている。このバルブによれば、1つのバルブによって、各熱媒体を一方の出口と他方の出口とに切り替えて流通させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−58966号公報
【特許文献2】特開2004−356432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、吸着式冷凍機において、特許文献1に開示されるように、冷却水と温水との切替を行うために多数のバルブを用いると、その開閉を個別に行う駆動源の数が増加してしまう。
また、吸着式冷凍機において、特許文献2に開示されたバルブを用いると、ハウジングの各入口及び各出口と、弁体との間に設けたパッキンが、冷却水と温水とが交互に通過する熱移動、摺動による摩擦等によって劣化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、1つの駆動源及び回動軸によって一対の弾性チューブを流れる流体の流通及び遮断を行うことができ、この流通及び遮断の繰り返しに耐久性のある流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いに平行な状態でフレームに配設した一対の弾性チューブと、
該一対の弾性チューブの間であって該各弾性チューブから互いに等しい位置に、該各弾性チューブに対して垂直な状態で上記フレームに軸支した駆動軸と、
該駆動軸において上記一対の弾性チューブに対向する位置に設けた切替器とを備えており、
該切替器は、上記駆動軸からその径方向の両側に突出して設けたアーム部と、上記駆動軸から互いに等しい位置に、該駆動軸の軸方向と平行な方向に軸部を向けて上記アーム部に軸支した一対のローラと、を有しており、
上記駆動軸を逐次90°回動させることにより、上記切替器の上記一対のローラが上記一対の弾性チューブを上記フレームの対向部に押さえ付けて、該一対の弾性チューブを閉口する閉状態と、上記切替器の上記一対のローラが上記一対の弾性チューブから退避して該一対の弾性チューブを開口させる開状態とを繰り返し形成するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流体用切替装置は、一対の弾性チューブ、駆動軸及び切替器を備えており、切替器は、駆動軸に設けたアーム部に対して一対のローラを軸支してなる。
この流体用切替装置は、一対の弾性チューブに供給される流体の流れを、切替器によって同時に遮断することができるものである。具体的には、駆動軸が所定位置にあるときには、切替器の一対のローラが一対の弾性チューブから退避する。このとき、切替器が一対の弾性チューブを開口させる開状態が形成され、一対の弾性チューブに、それぞれ流体を通過させることができる。
【0010】
駆動軸を所定位置から90°回動させたときには、切替器の一対のローラが一対の弾性チューブをフレームの対向部に押さえ付ける。このとき、各ローラが各弾性チューブの表面を転がって、切替器が一対の弾性チューブを閉口させる閉状態が形成され、一対の弾性チューブにおける流体の流れを停止させることができる。
こうして、駆動軸の90°ごとの逐次回動により、一対の弾性チューブの開閉を繰り返して、一対の弾性チューブに供給される流体の流通及び遮断を行うことができる。
なお、駆動軸は、同じ方向への90°の回動を繰り返すことができ、一方向と他方向とへの90°の回動を交互に繰り返すこともできる。
【0011】
本発明においては、一対の弾性チューブの開閉を同時に行うために、駆動軸を1つの駆動源によって回動させることができる。これにより、1つの駆動源及び回動軸によって、一対の弾性チューブを流れる流体の流通及び遮断を行うことができる。
また、一対の弾性チューブを用いることにより、パッキン等の封止材を廃止することができ、その劣化の問題をなくすことができる。また、切替器の一対のローラは、一対の弾性チューブの表面を転がり接触する。そのため、流体の流通及び遮断を繰り返す際の一対の弾性チューブの耐久性を確保することができる。
さらに、一対の弾性チューブに供給する流体は、それぞれ決まった流体とすることができ、例えば、一方の弾性チューブに供給する冷却水と、他方の弾性チューブに供給する温水とすることができる。
【0012】
それ故、本発明の流体用切替装置によれば、1つの駆動源及び回動軸によって一対の弾性チューブを流れる流体の流通及び遮断を行うことができ、この流通及び遮断を繰り返す際の耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例にかかる、流体用切替装置について、駆動軸の軸方向に切替器が並ぶ状態を示す断面図。
【図2】実施例にかかる、流体用切替装置について、一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を示す図であり、図1のA−A線矢視断面図。
【図3】実施例にかかる、流体用切替装置について、他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を示す図であり、図1のB−B線矢視断面図。
【図4】実施例にかかる、2組の流体用切替装置を用い、第1の吸脱着器を吸着器とするとともに第2の吸脱着器を脱着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図5】実施例にかかる、2組の流体用切替装置を用い、第1の吸脱着器を脱着器とするとともに第2の吸脱着器を吸着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図6】実施例にかかる、2組の流体用切替装置によって、吸着式冷凍機の第1運転状態を形成した状態を示す説明図。
【図7】実施例にかかる、2組の流体用切替装置によって、吸着式冷凍機の第1回収状態を形成した状態を示す説明図。
【図8】実施例にかかる、2組の流体用切替装置によって、吸着式冷凍機の第2運転状態を形成した状態を示す説明図。
【図9】実施例にかかる、2組の流体用切替装置によって、吸着式冷凍機の第2回収状態を形成した状態を示す説明図。
【図10】実施例にかかる、図6を簡略化して示す説明図。
【図11】実施例にかかる、図7を簡略化して示す説明図。
【図12】実施例にかかる、図8を簡略化して示す説明図。
【図13】実施例にかかる、図9を簡略化して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した本発明の流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記冷却水には、常温の水を用いることができ、上記温水には、ガスエンジン、ボイラー等の排熱を利用して加熱された水を用いることができる。
【0015】
また、上記一対の弾性チューブ及び上記切替器は、上記駆動軸の軸方向の2箇所にそれぞれ配置してあり、上記駆動軸を逐次90°回動させることにより、一方の組を構成する上記一対の弾性チューブ及び上記切替器と、他方の組を構成する上記一対の弾性チューブ及び上記切替器とが、上記閉状態と上記開状態との互いに異なる状態を、交互に繰り返し形成するよう構成してあることが好ましい(請求項2)。
この場合には、1つの駆動源による1つの駆動軸の回動動作によって、一方の組を構成する一対の弾性チューブに供給される流体と、他方の組を構成する一対の弾性チューブに供給される流体との流通及び遮断を、交互に繰り返し行うことができる。
【0016】
また、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブと、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブとは、互いに平行であるとともに互いに対向して上記フレームに配設してあり、上記一方の組を構成する切替器と、上記他方の組を構成する切替器とは、位相が90°ずれて上記駆動軸に設けてあり、該駆動軸を、上記閉状態と上記開状態との互いに異なる状態を形成する位置から、45°回動させた位置において、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器とが上記開状態になるよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、2組の一対の弾性チューブをコンパクトにフレームに配設することができ、流体用切替装置をコンパクトに形成することができる。
また、流体用切替装置の使用を停止するときには、2組の一対の弾性チューブを全て開口させておくことができる。
【0017】
また、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの一端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの一端とが、一端第1接続部に接続してあり、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの一端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの一端とが、一端第2接続部に接続してあり、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの他端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの他端とが、他端第1接続部に接続してあり、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの他端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの他端とが、他端第2接続部に接続してあり、上記駆動軸が、原位置又は該原位置から180°回動した位置にあるときには、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にして、上記一端第1接続部と上記他端第1接続部とを連通させるとともに、上記一端第2接続部と上記他端第2接続部とを連通させ、上記駆動軸が、上記原位置から90°又は270°回動した位置にあるときには、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にして、上記一端第1接続部と上記他端第2接続部とを連通させるとともに、上記一端第2接続部と上記他端第1接続部とを連通させるよう構成してあることが好ましい(請求項4)。
【0018】
この場合には、2組の一対の弾性チューブを備えた流体用切替装置において、一端第1接続部と他端第1接続部とを連通させるとともに、一端第2接続部と他端第2接続部とを連通させたときには、一端第1接続部に供給される第1流体を、他端第1接続部へ通過させるとともに、一端第2接続部に供給される第2流体を、他端第2接続部へ通過させることができる。一方、一端第1接続部と他端第2接続部とを連通させるとともに、一端第2接続部と他端第1接続部とを連通させたときには、一端第1接続部に供給される第1流体を、他端第2接続部へ通過させるとともに、一端第2接続部に供給される第2流体を、他端第1接続部へ通過させることができる。
これにより、第1流体と第2流体とを、他端第1接続部と他端第1接続部とに交互に切り替えて流出させることができる。
【0019】
また、1つの駆動源によって1つの駆動軸を回動させる動作により、2組の一対の弾性チューブの開閉を同時に行うことができる。
また、2組の一対の弾性チューブにおいては、冷却水のみを流す一対の弾性チューブと、温水のみを流す一対の弾性チューブとに区別することができる。これにより、各弾性チューブに、冷却水と温水との温度差による熱移動が生じることを防止することができる。
【0020】
また、上記流体用切替装置を2組用いることにより、吸着式冷凍機における2つの吸脱着器の伝熱管に交互に供給する冷却水と温水との切替を行うことができる。
具体的には、上記流体用切替装置を2組用い、吸着器に冷却水を流すとともに脱着器に温水を流すよう構成した吸着式冷凍機において、
該吸着式冷凍機は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる2つの吸脱着器と、該2つの吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記2つの吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備え、上記伝熱管に冷却水を流して上記吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して上記脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転し、上記蒸発器内に挿通させた蒸発管内の冷水を冷却するよう構成してあり、
第1の上記流体用切替装置においては、上記一端第1接続部と上記一端第2接続部との一端接続組と、上記他端第1接続部と上記他端第2接続部との他端接続組とのいずれかの組が、冷却水タンクから冷却水が供給される冷却水入口配管と、温水タンクから温水が供給される温水入口配管とに別々に接続してあるとともに、残りの組が、第1の上記吸脱着器の上記伝熱管の入口と、第2の上記吸脱着器の上記伝熱管の入口とに別々に接続してあり、
第2の上記流体用切替装置においては、上記一端第1接続部と上記一端第2接続部との一端接続組と、上記他端第1接続部と上記他端第2接続部との他端接続組とのいずれかの組が、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の出口と、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の出口とに別々に接続してあり、残りの組が、上記冷却水タンクへ冷却水を戻すための冷却水出口配管と、上記温水タンクへ温水を戻すための温水出口配管とに別々に接続してあり、
上記2組の流体用切替装置を用いて、上記第1の吸脱着器と上記第2の吸脱着器とを、上記吸着器として機能させる場合と上記脱着器として機能させる場合とに、所定の時間間隔で交互に切り替えるよう構成することができる(請求項5)。
【0021】
この吸着式冷凍機においては、第1の流体用切替装置を、2つの吸脱着器の各伝熱管への冷却水及び温水の入口側に配置し、第2の流体用切替装置を、2つの吸脱着器の各伝熱管からの冷却水及び温水の出口側に配置する。そして、2組の流体用切替装置における各駆動軸の回動動作によって、伝熱管に冷却水を流す吸脱着器と、伝熱管に温水を流す吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替え、蒸発器内に挿通させた蒸発管内の冷水を連続して冷却することができる。そして、吸着式冷凍機として、生成する冷水を、被冷却対象へ供給することができる。
また、2つの駆動源及び駆動軸の駆動によって、吸着式冷凍機における吸着器と脱着器との切替を繰り返し行うことができる。これにより、吸着式冷凍機の省エネルギー化を図ることができる。
【0022】
また、吸着式冷凍機においては、上記第1の吸脱着器を上記吸着器とし、上記第2の吸脱着器を上記脱着器として機能させる第1運転状態を形成するときには、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸と、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸とを、原位置又は該原位置から180°回動した位置にして、上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にし、上記冷却水を、上記冷却水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記一方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記一方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記冷却水出口配管へ導き、上記温水を、上記温水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記一方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記一方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記温水出口配管へ導き、上記第1の吸脱着器を上記脱着器とし、上記第2の吸脱着器を上記吸着器として機能させる第2運転状態を形成するときには、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸と、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸とを、上記原位置から90°又は270°回動した位置にして、上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、上記冷却水を、上記冷却水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記他方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記他方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記冷却水出口配管へ導き、上記温水を、上記温水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記他方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記他方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記温水出口配管へ導くよう構成することが好ましい(請求項6)。
この場合には、2組の流体用切替装置における各回動軸を適切に回動させて、吸着式冷凍機を運転することができる。
【0023】
また、吸着式冷凍機においては、上記第1運転状態を形成した後、上記第2運転状態を形成する前には、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸のみを先に90°回動させて、第1回収状態を形成し、上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記開状態に維持するとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記閉状態に維持し、上記冷却水入口配管へ供給される冷却水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第2の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った温水を上記温水出口配管へ押し戻し、上記温水入口配管へ供給される温水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第1の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った冷却水を上記冷却水出口配管へ押し戻すよう構成することが好ましい(請求項7)。
【0024】
この場合には、第1運転状態を形成した後に、第1回収状態を形成して、第2の吸脱着器の伝熱管に繋がる配管中に残った温水を、冷却水によって押し出すことによって温水出口配管へ戻し、第1の吸脱着器の伝熱管に繋がる配管中に残った冷却水を、温水によって押し出すことによって冷却水出口配管へ戻す。これにより、冷却水出口配管への温水の混流、及び温水出口配管への冷却水の混流を可能な限り防止することができる。
なお、第1回収状態は、各吸脱着器に不要となった冷却水及び温水の回収を目的とするため、これらの回収が終わるときには、迅速に第2運転状態に切り替える。第1回収状態から第2運転状態に切り替えるタイミングは、温水を押し出す冷却水と、冷却水を押し出す温水とが、第2の流体用切替装置に到達するときとすることが好ましい。
【0025】
また、吸着式冷凍機においては、上記第2運転状態を形成した後、上記第1運転状態を形成する前には、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸のみを先に90°回動させて、第2回収状態を形成し、上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記閉状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態に維持するとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態に維持し、上記冷却水入口配管へ供給される冷却水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第1の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った温水を上記温水出口配管へ押し戻し、上記温水入口配管へ供給される温水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第2の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った冷却水を上記冷却水出口配管へ押し戻すよう構成することが好ましい(請求項8)。
【0026】
この場合には、第2運転状態を形成した後に、第2回収状態を形成して、第1の吸脱着器の伝熱管に繋がる配管中に残った温水を、冷却水によって押し出すことによって温水出口配管へ戻し、第2の吸脱着器の伝熱管に繋がる配管中に残った冷却水を、温水によって押し出すことによって冷却水出口配管へ戻す。これにより、冷却水出口配管への温水の混流、及び温水出口配管への冷却水の混流を可能な限り防止することができる。
なお、第2回収状態は、各吸脱着器に不要となった冷却水及び温水の回収を目的とするため、これらの回収が終わるときには、迅速に第1運転状態に切り替える。第2回収状態から第1運転状態に切り替えるタイミングは、温水を押し出す冷却水と、冷却水を押し出す温水とが、第2の流体用切替装置に到達するときとすることが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明の流体用切替装置及びこれを用いた吸着式冷凍機にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の流体用切替装置5は、図1〜図3に示すごとく、互いに平行な状態でフレーム51に配設した一対の弾性チューブ6と、一対の弾性チューブ6の間であって各弾性チューブ6から互いに等しい位置に、各弾性チューブ6に対して垂直な状態でフレーム51に軸支した駆動軸7と、駆動軸7において一対の弾性チューブ6に対向する位置に設けた切替器71とを備えている。切替器71は、駆動軸7からその径方向の両側に突出して設けたアーム部72と、駆動軸7から互いに等しい位置に、駆動軸7の軸方向と平行な方向に軸部731を向けてアーム部72に軸支した一対のローラ73とを有している。
流体用切替装置5は、駆動軸7を逐次90°回動させることにより、切替器71の一対のローラ73が一対の弾性チューブ6をフレーム51の対向部514に押さえ付けて、一対の弾性チューブ6を閉口する閉状態P1と、切替器71の一対のローラ73が一対の弾性チューブ6から退避して一対の弾性チューブ6を開口させる開状態P2とを繰り返し形成するよう構成してある。
【0028】
以下に、本例の流体用切替装置5及びこれを用いた吸着式冷凍機1につき、図1〜図13を参照して詳説する。
本例において、流体用切替装置5は、5A,5Bで示すことがあり、弾性チューブ6は、6A,6Bで示すことがあり、切替器71は、71A,71Bで示すことがある。
図1は、流体用切替装置5について、駆動軸7の軸方向に切替器71が並ぶ状態を示す断面図であり、図2は、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aを示す断面図であり、図3は、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bを示す断面図である。
【0029】
図1〜図3に示すごとく、本例の流体用切替装置5においては、一対の弾性チューブ6及び切替器71は、駆動軸7の軸方向の2箇所にそれぞれ配置してある。一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aと、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bとは、互いに平行であるとともに互いに対向してフレーム51に配設してある。
一方の組を構成する切替器71Aと、他方の組を構成する切替器71Bとは、駆動軸7の周方向に位相が90°ずれて駆動軸7に設けてある。各切替器71を構成するアーム部72は、一対のローラ73の軸部731をその軸方向の両側から軸支する一対のアームプレート721によって形成してある。
【0030】
流体用切替装置5においては、駆動軸7を逐次90°回動させることにより、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aと、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bとが、閉状態P1と開状態P2との互いに異なる状態を、交互に繰り返し形成するよう構成してある。駆動軸7を、閉状態P1と開状態P2との互いに異なる状態を形成する位置から、45°回動させた位置において、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aと、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bとが開状態P2になるよう構成してある。この駆動軸7を45°回動させた状態は、流体用切替装置5の使用を停止するときに形成することができる。
【0031】
フレーム51は、駆動軸7の軸方向の両側に位置する一対の軸支プレート511と、一対の軸支プレート511に直交し、2組の一対の弾性チューブ6A,6Bが伸びる方向の両側に位置する一対の保持プレート512と、一対の軸支プレート511及び一対の保持プレート512に直交し、各弾性チューブ6と平行にこの弾性チューブ6に対向して設けた一対の対向プレート513とを有している。軸支プレート511には、駆動軸7を軸支するための軸受52が設けてある。
一対の対向プレート513と切替器71との位置関係は、一対の弾性チューブ6の閉状態P1を形成するときに、切替器71におけるローラ73の最外周位置と、対向プレート513における対向部514の内面との間に、弾性チューブ6の厚みの2倍分の隙間が形成されるようにしておく。そして、各弾性チューブ6は、切替器71によって長手方向の一部の内面同士が合わさるよう潰されて、閉状態P1を形成する。
【0032】
図1に示すごとく、駆動軸7を駆動する駆動源70は、電力、空気圧等によって動作するシリンダー、モータ等とすることができる。駆動軸7は、シリンダーの出力軸を逐次90°回動させることによって駆動することができる。また、駆動軸7は、シリンダーのピストンの往復動作によって、一方向と他方向とへ交互に90°回動させることもできる。シリンダーとしては、シリンダロッドを往復移動させるもの、シリンダロッドを回動させるもの等を用いることができる。
各弾性チューブ6は、弾性変形を行う(可撓性を有する)ゴム、樹脂等から構成されている。各弾性チューブ6の内側面には、その通路を塞ぐ弾性変形を容易にするための溝を形成することができる。この溝は、各弾性チューブ6の軸方向に沿って、ローラ73によって直線状に押し潰されたときに両端に位置する部分(周方向において互いに対向する位置)に一対に形成することができる。
【0033】
以下に、吸着式冷凍機1について説明する。
図4は、第1の吸脱着器2Aを吸着器X1とするとともに第2の吸脱着器2Bを脱着器X2として運転を行う吸着式冷凍機1を示す構成図である。図5は、第1の吸脱着器2Aを脱着器X2とするとともに第2の吸脱着器2Bを吸着器X1として運転を行う吸着式冷凍機1を示す構成図である。
各図においては、冷却水Cが通過する配管を実線で示し、温水Hが通過する配管を破線で示す。
【0034】
各図に示すごとく、吸着式冷凍機1は、固体吸着剤211を表面に配置した伝熱管21を挿通させてなる2つの吸脱着器2A,2Bと、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な蒸発器31と、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な凝縮器32とを備えている。各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部には、冷媒Aが流通可能になっており、各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部は、冷媒Aが蒸発し易いように真空状態になっている。蒸発器31の内部は、1/100気圧程度になっており、凝縮器32の内部は、1/20気圧程度になっている。本例の固体吸着剤211はシリカゲルであり、冷媒Aは水である。
【0035】
蒸発器31は、2つの吸脱着器2A,2Bの一方側に隣接して設けてある。蒸発器31と各吸脱着器2A,2Bとの間に形成された連通路33には、圧力差によって開閉可能なダンパ34が配置してある。凝縮器32は、2つの吸脱着器2A,2Bの他方側に隣接して設けてある。凝縮器32と各吸脱着器2A,2Bとの間に形成された連通路33には、圧力差によって開閉可能なダンパ34が配置してある。各ダンパ34は、その自重によって連通路33を閉じるよう構成されており、各吸脱着器2A,2Bと蒸発器31及び凝縮器32との間に生ずるわずかな圧力差を動力源として開閉する。
【0036】
各吸脱着器2A,2Bと蒸発器31との間の連通路33に配置したダンパ34Aは、自重によって各吸脱着器2A,2Bの側から蒸発器31の側に向けて閉じられている。このダンパ34Aは、各吸脱着器2A,2B内の圧力が蒸発器31内の圧力よりも低くなった場合のみ開くよう構成されている。各吸脱着器2A,2Bと凝縮器32との間の連通路33に配置したダンパ34Bは、自重によって凝縮器32の側から各吸脱着器2A,2Bの側に向けて閉じられている。このダンパ34Bは、各吸脱着器2A,2B内の圧力が凝縮器32内の圧力よりも高くなった場合のみ開くよう構成されている。
【0037】
図4、図5に示すごとく、各吸脱着器2A,2Bにおける伝熱管21は、2組の流体用切替装置5A,5Bまで配管されている。
蒸発器31内には、冷水Wを通過させる蒸発管311が挿通してあり、蒸発管311は、冷水タンク44に接続されている。蒸発管311は、冷水Wを供給して冷やすための冷凍設備45に接続してある。この冷凍設備45は、空調システム、冷蔵庫等とすることができる。蒸発管311は、蒸発器31内と冷水タンク44及び冷凍設備45とを循環して配管されている。
【0038】
凝縮器32内には、冷却水Cを通過させる凝縮管321が挿通してあり、凝縮管321は、冷却水タンク41に接続されている。冷却水Cは、冷却水タンク41から第1の流体用切替装置5A、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21及び第2の流体用切替装置5Bを通過した後、凝縮管321に供給され、凝縮管321から冷却水タンク41に循環されるようになっている。
凝縮器32内には、凝縮管321によって凝縮されて液体化した冷媒A(本例では水)を受ける受皿35が設けてある。受皿35と蒸発器31との間には、受皿35に溜まった冷媒Aを蒸発器31内の蒸発管311の表面へ供給するための循環配管36が配管してある。
【0039】
各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21に供給する温水Hは、熱を発生させる発熱設備42から出される排熱を利用して加熱されるものである。この発熱設備42は、太陽熱利用システム、ガスエンジンシステム、ボイラー、あるいは蒸気ドレンを出す設備等とすることができる。温水Hは、発熱設備42による排熱を利用して作られ、温水タンク43に貯留された後、第1の流体用切替装置5Aを経由して各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の入口に供給されるようになっている。また、温水Hは、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の出口から、第2の流体用切替装置5Bを経由して発熱設備42へ循環されるようになっている。
冷却水Cは、25〜35℃(約30℃)の水であり、温水Hは、70〜90℃(約80℃)に加熱された水である。また、蒸発器31の蒸発管311内の冷水Wは、9〜14℃(約11℃)に冷却される。
【0040】
図4、図5に示すごとく、吸着式冷凍機1は、伝熱管21に冷却水Cを流して吸着器X1として機能させる吸脱着器2A(又は2B)と、伝熱管21に温水Hを流して脱着器X2として機能させる吸脱着器2B(又は2A)とを、2組の流体用切替装置5A,5Bにおける各駆動軸7の回動操作によって、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転し、蒸発器31内に挿通させた蒸発管311内の冷水Wを冷却するよう構成されている。これにより、吸着式冷凍機1は、生成する冷水Wを冷水タンク44から冷凍設備45へ連続して供給する。
なお、本例においては、固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着と脱着を行う吸脱着工程を所定の時間間隔で繰り返し行う工程間には、冷却水Cと温水Hとの混流を防ぐための回収工程を行う。
【0041】
吸着式冷凍機1の運転は、次のように行われる。
図4に示すごとく、第1の吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第1の吸脱着器2Aは吸着器X1として機能する。このとき、第1の吸脱着器2A内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が冷却されて、この固体吸着剤211に、冷媒蒸気Aが吸着反応によって吸着される。そして、第1の吸脱着器2A内の圧力が低下することにより、第1の吸脱着器2A内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも低くなる。この圧力差により、第1の吸脱着器2Aと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34Aが開くとともに、第1の吸脱着器2Aと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34Bが閉じる。そして、蒸発器31内の冷媒蒸気Aが第1の吸脱着器2A内へ流れ、蒸発器31内の蒸発管311の表面から気化熱としての熱が奪われ、蒸発管311内の冷水Wを冷却することができる。
【0042】
一方、同図に示すごとく、第1の吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第2の吸脱着器2B内の伝熱管21には温水Hが供給される。第2の吸脱着器2B内の伝熱管21に温水Hが供給されるときには、第2の吸脱着器2Bは脱着器X2として機能する。このとき、第2の吸脱着器2B内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が加熱されて、この固体吸着剤211から、冷媒蒸気Aが脱着反応によって脱着される。そして、第2の吸脱着器2B内の圧力が上昇することにより、第2の吸脱着器2B内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも高くなる。この圧力差により、第2の吸脱着器2Bと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34Aが閉じるとともに、第2の吸脱着器2Bと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34Bが開く。そして、第2の吸脱着器2B内の冷媒蒸気Aが凝縮器32内へ流れ、この冷媒蒸気Aが、凝縮器32内の凝縮管321を流れる冷却水Cによって凝縮される。そして、凝縮された冷媒蒸気Aは、循環配管36を通って蒸発器31内へ循環される。
【0043】
その後、吸着器X1として機能する第1の吸脱着器2A内の固体吸着剤211に吸着された冷媒蒸気Aの量が飽和量に近づいたときには、図5に示すごとく、2組の切替器装置5A,5Bを操作して、第1の吸脱着器2A内の伝熱管21に温水Hを流すとともに第2の吸脱着内の伝熱管21に冷却水Cを流し、第1の吸脱着器2Aを脱着器X2に切り替えるとともに第2の吸脱着器2Bを吸着器X1に切り替える。そして、第2の吸脱着器2Bを上記と同様に吸着器X1として機能させるとともに、第1の吸脱着器2Aを上記と同様に脱着器X2として機能させる。
以降は、同様にして、第1の吸脱着器2A内の伝熱管21と第2の吸脱着内の伝熱管21とに流す冷却水Cと温水Hとを交互に切り替える。これにより、2つの吸脱着器2A,2Bにおいて所定の時間間隔で吸着器X1と脱着器X2とを交互に切り替えて、蒸発管311内において生成する冷水Wを、冷水タンク44を経由して冷凍設備45へ連続して供給することができる。
【0044】
本例の流体用切替装置5は、吸着式冷凍機1において2組をセットにして用い、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21に流す流体を、冷却水Cと温水Hとに交互に切り替えて、各吸脱着器2A,2Bを吸着器X1又は脱着器X2として機能させるものである。流体用切替装置5は、1つの駆動源70による1つの駆動軸7の回動動作によって、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aに供給される流体と、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bに供給される流体との流通及び遮断を、交互に繰り返し行うものである。
【0045】
図4、図5に示すごとく、第1の流体用切替装置5Aは、2つの吸脱着器2A,2Bの各伝熱管21への冷却水C及び温水Hの入口側に配置し、第2の流体用切替装置5Bは、2つの吸脱着器2A,2Bの各伝熱管21からの冷却水C及び温水Hの出口側に配置する。そして、第1の流体用切替装置5Aにおける駆動軸7の回動動作によって、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21へ供給する流体を、冷却水Cか温水Hかに切り替え、第2の流体用切替装置5Bにおける駆動軸7の回動動作によって、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21から排水される冷却水Cと温水Hとを、それぞれ冷却水タンク41とび温水タンク43とへ戻す。
【0046】
図6〜図9は、2組の流体用切替装置5A,5Bを、第1の吸脱着器2A及び第2の吸脱着器2Bに接続し、冷却水C及び温水Hの流れの制御を行う状態を示す説明図である。図10〜図13は、図6〜図9を簡略化して示す説明図である。
各図においては、冷却水Cが通過する配管を実線で示し、温水Hが通過する配管を破線で示す。また、各弾性チューブ6A,6Bの一端をD1で示し、他端をD2で示す。
【0047】
流体用切替装置5においては、次のように各弾性チューブ6の配管を行って、2つの入口に供給される冷却水C(第1流体)及び温水H(第2流体)を、2つの出口から交互に流出させることができる。
具体的には、図6に示すごとく、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aのうちの一方側弾性チューブ6A1の一端と、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bのうちの一方側弾性チューブ6B1の一端とは、フレーム51の外部に配置した一端第1接続部61Aに接続してある。また、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aのうちの他方側弾性チューブ6A2の一端と、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bのうちの他方側弾性チューブ6B2の一端とは、フレーム51の外部に配置した一端第2接続部61Bに接続してある。
また、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aのうちの一方側弾性チューブ6A1の他端と、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bのうちの他方側弾性チューブ6B2の他端とは、フレーム51の外部に配置した他端第1接続部62Aに接続してある。また、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6Aのうちの他方側弾性チューブ6A2の他端と、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6Bのうちの一方側弾性チューブ6B1の他端とは、フレーム51の外部に配置した他端第2接続部62Bに接続してある。
【0048】
そして、図6、図9に示すごとく、駆動軸7を、原位置又は原位置から180°回動した位置にしたときには、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aが開状態P2になるともに、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bが閉状態P1になり、一端第1接続部61Aと他端第1接続部62Aとが連通されるとともに、一端第2接続部61Bと他端第2接続部62Bとが連通される。
一方、図7、図8に示すごとく、駆動軸7を、原位置から90°又は270°回動した位置にしたときには、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aが閉状態P1になるとともに、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bが開状態P2になり、一端第1接続部61Aと他端第2接続部62Bとが連通されるとともに、一端第2接続部61Bと他端第1接続部62Aとが連通される。
【0049】
図6に示すごとく、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の入口側に配置する第1の流体用切替装置5Aにおいては、一端第1接続部61Aが、冷却水タンク41から冷却水Cが供給される冷却水入口配管411に接続してあり、一端第2接続部61Bが、温水タンク43から温水Hが供給される温水入口配管431に接続してある。また、他端第1接続部62Aが、第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の入口21Aに接続してあり、他端第2接続部62Bが、第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の入口21Bに接続してある。
各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の出口側に配置する第2の流体用切替装置5Bにおいては、他端第1接続部62Aが、第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の出口22Aに接続してあり、他端第2接続部62Bが、第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の出口22Bに接続してある。また、一端第1接続部61Aが、冷却水タンク41へ冷却水Cを戻すための冷却水出口配管412に接続してあり、一端第2接続部61Bが、温水タンク43へ温水Hを戻すための温水出口配管432に接続してある。
【0050】
なお、各流体用切替装置5A,5Bは、各弾性チューブ6の軸方向の一端側と他端側とを逆にして取り付けることもできる。つまり、第1の流体用切替装置5Aにおいては、他端第1接続部62Aを冷却水入口配管411に接続するとともに、他端第2接続部62Bを温水入口配管431に接続し、かつ、一端第1接続部61Aを第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の入口21Aに接続するとともに、一端第2接続部61Bを第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の入口22Aに接続することもできる。また、第2の流体用切替装置5Bにおいては、一端第1接続部61Aを第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の出口22Aに接続するとともに、一端第2接続部61Bを第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の出口22Bに接続し、かつ、他端第1接続部62Aを冷却水出口配管412に接続するとともに、他端第2接続部62Bを温水出口配管432に接続することもできる。
【0051】
本例の吸着式冷凍機1は、2つの吸脱着器2A,2Bを吸着器X1と脱着器X2とに切り替える2つの運転状態501,503を形成する以外にも、これらの切替時に、冷却水タンク41及び温水タンク43へ冷却水Cと温水Hとが混流して回収されないように、2つの回収状態502,504を形成する。
図6、図10に示すごとく、吸着式冷凍機1の第1運転状態501においては、第1の吸脱着器2Aを吸着器X1とし、第2の吸脱着器2Bを脱着器X2として機能させる。第1運転状態501を形成するときには、第1の流体用切替装置5Aにおける駆動軸7と、第2の流体用切替装置5Bにおける駆動軸7とを原位置にする。
なお、本例においては、駆動軸7を、原位置と、原位置から一方向に90°回動した位置との間で、交互に繰り返し回動させることとする。
【0052】
そして、第1の流体用切替装置5Aにおいては、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aが開状態P2になるとともに、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bが閉状態P1になる。また、第2の流体用切替装置5Bにおいては、一方の組を構成する一対の弾性チューブ6A及び切替器71Aが開状態P2になるとともに、他方の組を構成する一対の弾性チューブ6B及び切替器71Bが閉状態P1になる。
【0053】
これらの状態の形成により、冷却水Cは、冷却水タンク41から冷却水入口配管411を経由して、第1の流体用切替装置5Aにおける一方の組を構成する一方側弾性チューブ6A1を通過し、第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の入口21Aへ供給される。そして、冷却水Cは、この伝熱管21の出口22Aから、第2の流体用切替装置5Bにおける一方の組を構成する一方側弾性チューブ6A1を通過し、冷却水出口配管412を経由して冷却水タンク41に回収される。
また、温水Hは、温水タンク43から温水入口配管431を経由して、第1の流体用切替装置5Aにおける一方の組を構成する他方側弾性チューブ6A2を通過し、第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の入口21Bへ供給される。そして、温水Hは、この伝熱管21の出口22Bから、第2の流体用切替装置5Bにおける一方の組を構成する他方側弾性チューブ6A2を通過し、温水出口配管432を経由して温水タンク43に回収される。
【0054】
次に、吸着式冷凍機1においては、第1運転状態501を形成した後、第2運転状態503を形成する前に、第1回収状態502を形成する。第1回収状態502においては、第1の流体用切替装置5Aにおける駆動軸7のみを先に90°回動させる。
そして、図7、図11に示すごとく、第1の流体用切替装置5Aにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが閉状態P1になるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが開状態P2になる。また、第2の流体用切替装置5Bにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが開状態P2に維持されるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが閉状態P1に維持される。
【0055】
これらの状態の形成により、冷却水入口配管411へ供給される冷却水Cによって、第1の流体用切替装置5Aから第2の吸脱着器2Bの伝熱管21を経由して第2の流体用切替装置5Bへと繋がる配管中に残った温水Hを温水出口配管432へ押し戻す。また、温水入口配管432へ供給される温水Hによって、第1の流体用切替装置5Aから第1の吸脱着器2Aの伝熱管21を経由して第2の流体用切替装置5Bへと繋がる配管中に残った冷却水Cを冷却水出口配管412へ押し戻す。
各図においては、冷却水C(実線)が温水H(破線)を押し出し、温水Hが冷却水Cを押し出す状態を示す。
【0056】
このように、第1回収状態502を形成することにより、第1の吸脱着器2Aに不要となった冷却水Cを温水Hによって冷却水タンク41に回収し、第2の吸脱着器2Bに不要となった温水Hを冷却水Cによって温水タンク43に回収することができる。そして、冷却水タンク41への温水Hの混流、及び温水タンク43への冷却水Cの混流を可能な限り防止することができる。
【0057】
次に、吸着式冷凍機1においては、温水Hを押し出す冷却水Cと、冷却水Cを押し出す温水Hとが第2の流体用切替装置5Bに到達する時点で、第1回収状態502から第2運転状態503に切り替える。
図8、図12に示すごとく、吸着式冷凍機1の第2運転状態503においては、第1の吸脱着器2Aを脱着器X2とし、第2の吸脱着器2Bを吸着器X1として機能させる。第2運転状態503を形成するときには、第2の流体用切替装置5Bにおける駆動軸7を90°回動させる。そして、第1の流体用切替装置5Aにおける駆動軸7と、第2の流体用切替装置5Bにおける駆動軸7とが、原位置から90°回動した位置にする。
そして、第1の流体用切替装置5Aにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが閉状態P1に維持されるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが開状態P2に維持される。また、第2の流体用切替装置5Bにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが閉状態P1になるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが開状態P2になる。
【0058】
これらの状態の形成により、冷却水Cは、冷却水タンク41から冷却水入口配管411を経由して、第1の流体用切替装置5Aにおける他方の組を構成する一方側弾性チューブ6B1を通過し、第2の吸脱着器2Bの伝熱管21の入口21Bへ供給される。そして、冷却水Cは、この伝熱管21の出口22Bから、第2の流体用切替装置5Bにおける他方の組を構成する一方側弾性チューブ6B1を通過し、冷却水出口配管412を経由して冷却水タンク41に回収される。
また、温水Hは、温水タンク43から温水入口配管431を経由して、第1の流体用切替装置5Aにおける他方の組を構成する他方側弾性チューブ6B2を通過し、第1の吸脱着器2Aの伝熱管21の入口へ供給される。そして、温水Hは、この伝熱管21の出口から、第2の流体用切替装置5Bにおける他方の組を構成する他方側弾性チューブ6B2を通過し、温水出口配管432を経由して温水タンク43に回収される。
【0059】
次に、吸着式冷凍機1においては、第2運転状態503を形成した後、第1運転状態501を形成する前に、第2回収状態504を形成する。第2回収状態504においては、第1の流体用切替装置5Aにおける駆動軸7のみを先に90°回動させる。
そして、図9、図13に示すごとく、第1の流体用切替装置5Aにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが開状態P2になるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが閉状態P1になる。また、第2の流体用切替装置5Bにおいては、一方の組を構成する切替器71Aが閉状態P1に維持されるとともに、他方の組を構成する切替器71Bが開状態P2に維持される。
【0060】
これらの状態の形成により、冷却水入口配管411へ供給される冷却水Cによって、第1の流体用切替装置5Aから第1の吸脱着器2Aの伝熱管21を経由して第2の流体用切替装置5Bへと繋がる配管中に残った温水Hを温水出口配管432へ押し戻す。また、温水入口配管432へ供給される温水Hによって、第1の流体用切替装置5Aから第2の吸脱着器2Bの伝熱管21を経由して第2の流体用切替装置5Bへと繋がる配管中に残った冷却水Cを冷却水出口配管412へ押し戻す。
各図においては、冷却水C(実線)が温水H(破線)を押し出し、温水Hが冷却水Cを押し出す状態を示す。
【0061】
このように、第2回収状態504を形成することにより、第2の吸脱着器2Bに不要となった冷却水Cを温水Hによって冷却水タンク41に回収し、第1の吸脱着器2Aに不要となった温水Hを冷却水Cによって温水タンク43に回収することができる。そして、冷却水タンク41への温水Hの混流、及び温水タンク43への冷却水Cの混流を可能な限り防止することができる。
【0062】
その後は、吸着式冷凍機1においては、温水Hを押し出す冷却水Cと、冷却水Cを押し出す温水Hとが第2の流体用切替装置5Bに到達する時点で、第2回収状態504から第1運転状態501に切り替える。
こうして、以降は、上記と同様にして、第1運転状態501、第1回収状態502、第2運転状態503、第2回収状態504を繰り返し形成し、蒸発器31の蒸発管311内の冷水Wを連続して冷却する。
【0063】
第1運転状態501及び第2運転状態503を形成する時間は、第1回収状態502及び第2回収状態504を形成する時間よりも長くなる。第1運転状態501及び第2運転状態503を形成する時間は、固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着を開始してから、固体吸着剤211に吸着される冷媒蒸気Aが飽和状態に近くなるまでの時間(例えば数分)として設定することができる。一方、第1回収状態502及び第2回収状態504を形成する時間は、配管中に残った不要な冷却水C及び温水Hを排水する時間(例えば数秒)として設定することができる。
【0064】
本例の各流体用切替装置5は、1つの駆動源70によって1つの駆動軸7を回動させる動作により、一方の一対の弾性チューブ6Aに供給される流体(冷却水C又は温水H)を流通させるとともに、他方の一対の弾性チューブ6Bに供給される流体(温水H又は冷却水C)の流通を遮断することができるものである。
そして、この流体の流通及び遮断は、一対のローラ73を有する切替器71が一対の弾性チューブ6を弾性変形させるといった極めて簡単な構造によって行うことができる。また、駆動源70によって駆動軸7を一方向又は両方向に90°ごとの逐次回動させることによって、小さな動力で、冷却水Cと温水Hとを流す配管を簡単に繰り返し切り替えることができる。
また、吸着式冷凍機1においては、2組の流体用切替装置5A,5Bを用いることによって、吸着器X1と脱着器X2との切替を小さな動力で繰り返し行うことができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0065】
さらに、各流体用切替装置5A,5Bにおける2組の一対の弾性チューブ6A,6Bにおいては、冷却水Cのみを流す一対の弾性チューブ6と、温水Hのみを流す一対の弾性チューブ6とに区別することができる。これにより、各弾性チューブ6に、冷却水Cと温水Hとの温度差による熱移動が生じることを防止することができる。
また、弾性チューブ6を用いることにより、パッキン等の封止材を廃止することができ、その劣化の問題をなくすことができる。また、切替器71の一対のローラ73は、一対の弾性チューブ6の表面を転がり接触する。そのため、冷却水C及び温水Hの流通及び遮断を繰り返し行う際の一対の弾性チューブ6の耐久性を確保することができる。
【0066】
それ故、本例の2組の流体用切替装置5A,5Bを吸着式冷凍機1に適用すれば、2つの吸脱着器2A,2Bへ供給する冷却水Cと温水Hとの切替を安価かつ省電力で行うことができ、かつ各流体用切替装置5A,5Bの耐久性を確保することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 吸着式冷凍機
2A,2B 吸脱着器
21 伝熱管
211 固体吸着剤
31 蒸発器
311 蒸発管
32 凝縮器
321 凝縮管
5A,5B 流体用切替装置
501 第1運転状態
502 第1回収状態
503 第2運転状態
504 第2回収状態
51 フレーム
514 対向部
6A,6B 弾性チューブ
61A 一端第1接続部
61B 一端第2接続部
62A 他端第1接続部
62B 他端第2接続部
7 駆動軸
70 駆動源
71A,71B 切替器
72 アーム部
73 ローラ
A 冷媒
C 冷却水
H 温水
W 冷水
X1 吸着器
X2 脱着器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な状態でフレームに配設した一対の弾性チューブと、
該一対の弾性チューブの間であって該各弾性チューブから互いに等しい位置に、該各弾性チューブに対して垂直な状態で上記フレームに軸支した駆動軸と、
該駆動軸において上記一対の弾性チューブに対向する位置に設けた切替器とを備えており、
該切替器は、上記駆動軸からその径方向の両側に突出して設けたアーム部と、上記駆動軸から互いに等しい位置に、該駆動軸の軸方向と平行な方向に軸部を向けて上記アーム部に軸支した一対のローラと、を有しており、
上記駆動軸を逐次90°回動させることにより、上記切替器の上記一対のローラが上記一対の弾性チューブを上記フレームの対向部に押さえ付けて、該一対の弾性チューブを閉口する閉状態と、上記切替器の上記一対のローラが上記一対の弾性チューブから退避して該一対の弾性チューブを開口させる開状態とを繰り返し形成するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体用切替装置において、上記一対の弾性チューブ及び上記切替器は、上記駆動軸の軸方向の2箇所にそれぞれ配置してあり、
上記駆動軸を逐次90°回動させることにより、一方の組を構成する上記一対の弾性チューブ及び上記切替器と、他方の組を構成する上記一対の弾性チューブ及び上記切替器とが、上記閉状態と上記開状態との互いに異なる状態を、交互に繰り返し形成するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体用切替装置において、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブと、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブとは、互いに平行であるとともに互いに対向して上記フレームに配設してあり、
上記一方の組を構成する切替器と、上記他方の組を構成する切替器とは、位相が90°ずれて上記駆動軸に設けてあり、
該駆動軸を、上記閉状態と上記開状態との互いに異なる状態を形成する位置から、45°回動させた位置において、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器とが上記開状態になるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の流体用切替装置において、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの一端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの一端とが、一端第1接続部に接続してあり、
上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの一端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの一端とが、一端第2接続部に接続してあり、
上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの他端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの他端とが、他端第1接続部に接続してあり、
上記一方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの他方側弾性チューブの他端と、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブのうちの一方側弾性チューブの他端とが、他端第2接続部に接続してあり、
上記駆動軸が、原位置又は該原位置から180°回動した位置にあるときには、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にして、上記一端第1接続部と上記他端第1接続部とを連通させるとともに、上記一端第2接続部と上記他端第2接続部とを連通させ、
上記駆動軸が、上記原位置から90°又は270°回動した位置にあるときには、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にして、上記一端第1接続部と上記他端第2接続部とを連通させるとともに、上記一端第2接続部と上記他端第1接続部とを連通させるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流体用切替装置を2組用い、吸着器に冷却水を流すとともに脱着器に温水を流すよう構成した吸着式冷凍機において、
該吸着式冷凍機は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる2つの吸脱着器と、該2つの吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記2つの吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備え、上記伝熱管に冷却水を流して上記吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して上記脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転し、上記蒸発器内に挿通させた蒸発管内の冷水を冷却するよう構成してあり、
第1の上記流体用切替装置においては、上記一端第1接続部と上記一端第2接続部との一端接続組と、上記他端第1接続部と上記他端第2接続部との他端接続組とのいずれかの組が、冷却水タンクから冷却水が供給される冷却水入口配管と、温水タンクから温水が供給される温水入口配管とに別々に接続してあるとともに、残りの組が、第1の上記吸脱着器の上記伝熱管の入口と、第2の上記吸脱着器の上記伝熱管の入口とに別々に接続してあり、
第2の上記流体用切替装置においては、上記一端第1接続部と上記一端第2接続部との一端接続組と、上記他端第1接続部と上記他端第2接続部との他端接続組とのいずれかの組が、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の出口と、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の出口とに別々に接続してあり、残りの組が、上記冷却水タンクへ冷却水を戻すための冷却水出口配管と、上記温水タンクへ温水を戻すための温水出口配管とに別々に接続してあり、
上記2組の流体用切替装置を用いて、上記第1の吸脱着器と上記第2の吸脱着器とを、上記吸着器として機能させる場合と上記脱着器として機能させる場合とに、所定の時間間隔で交互に切り替えるよう構成してあることを特徴とする吸着式冷凍機。
【請求項6】
請求項5に記載の吸着式冷凍機において、上記第1の吸脱着器を上記吸着器とし、上記第2の吸脱着器を上記脱着器として機能させる第1運転状態を形成するときには、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸と、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸とを、原位置又は該原位置から180°回動した位置にして、
上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する一対の弾性チューブ及び切替器を上記閉状態にし、
上記冷却水を、上記冷却水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記一方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記一方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記冷却水出口配管へ導き、
上記温水を、上記温水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記一方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記一方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記温水出口配管へ導き、
上記第1の吸脱着器を上記脱着器とし、上記第2の吸脱着器を上記吸着器として機能させる第2運転状態を形成するときには、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸と、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸とを、上記原位置から90°又は270°回動した位置にして、
上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、
上記冷却水を、上記冷却水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記他方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記第2の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記他方の組を構成する一方側弾性チューブを通過させて、上記冷却水出口配管へ導き、
上記温水を、上記温水入口配管から、上記第1の流体用切替装置における上記他方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記第1の吸脱着器の上記伝熱管の入口へ供給するとともに、該伝熱管の出口から、上記第2の流体用切替装置における上記他方の組を構成する他方側弾性チューブを通過させて、上記温水出口配管へ導くよう構成してあることを特徴とする吸着式冷凍機。
【請求項7】
請求項6に記載の吸着式冷凍機において、上記第1運転状態を形成した後、上記第2運転状態を形成する前には、上記第1の流体用切替装置における上記駆動軸のみを先に90°回動させて、第1回収状態を形成し、
上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記開状態に維持するとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記閉状態に維持し、
上記冷却水入口配管へ供給される冷却水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第2の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った温水を上記温水出口配管へ押し戻し、
上記温水入口配管へ供給される温水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第1の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った冷却水を上記冷却水出口配管へ押し戻すよう構成してあることを特徴とする吸着式冷凍機。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の吸着式冷凍機において、上記第2運転状態を形成した後、上記第1運転状態を形成する前には、上記第2の流体用切替装置における上記駆動軸のみを先に90°回動させて、第2回収状態を形成し、
上記第1の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記開状態にするとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記閉状態にし、上記第2の流体用切替装置においては、上記一方の組を構成する切替器を上記閉状態に維持するとともに、上記他方の組を構成する切替器を上記開状態に維持し、
上記冷却水入口配管へ供給される冷却水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第1の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った温水を上記温水出口配管へ押し戻し、
上記温水入口配管へ供給される温水によって、上記第1の流体用切替装置から上記第2の吸脱着器の上記伝熱管を経由して上記第2の流体用切替装置へと繋がる配管中に残った冷却水を上記冷却水出口配管へ押し戻すよう構成してあることを特徴とする吸着式冷凍機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−202584(P2012−202584A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66341(P2011−66341)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(393007444)ユニオン産業株式会社 (6)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】