説明

流体補給装置および洋上補給船

【課題】装置を構成する部品の増加、装置重量の増大、装置の設置スペースの拡大等を最少に抑えながらも、補給用ポストの高さを低くしたいとの要請や、洋上補給船と受給船との距離を離して作業したいとの要請に応えることができる、流体補給装置および洋上補給船を提供することを目的とする。
【解決手段】流体補給装置100は洋上補給船1000に設置され、補給ホース10(11f、11p等)と、補給ホース10に設置されているフリーサドル20f(21f等)およびプルバックサドル20p(21p等)と、プルバックサドル20pに連結されているサドルワイヤ30(31等)と、サドルワイヤ30を巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、前記両船間に架設されるスパンワイヤ60と、スパンワイヤ60に係止するトロリブロック70(71f、71p等)と、スパンワイヤ60等を支持する補給用ポスト90とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体補給装置および洋上補給船、とくに、補給側から受給側に向けて流体を供給する流体補給装置および該流体補給装置が設置された洋上補給船に関する。
【背景技術】
【0002】
補給側である洋上補給船に設置された流体補給装置は、洋上を航行しながら受給側である受給船にオイルや水などを補給するものである。すなわち、両船間に太いロープ(以下「スパンワイヤ」と称す)を架設し、これに複数の滑車(以下「トロリブロック」と称す)を移動自在に係止し、トロリブロックと補給ホースに所定間隔を設けて設置されているサドルとを連結することにより、補給ホースがスパンワイヤに吊り下げられた状態にする。そして、トロリブロックを受給船に向けて繰り出し、受給船との間に掛け渡した補給ホースを経由して油や水等を補給する。
このとき、前記作業等を容易にするため、サドルワイヤの巻き上げ長さ(巻き戻し長さに同じ)を制御する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−212182号公報(4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記発明は、各サドルにそれぞれ連結されているサドルワイヤの繰り出し長さを制御することにより、補給ホースを適正位置に吊り下げて保持しようとするものであるため、補給ホースの緩め過ぎによる着水あるいは引張り過ぎによる破損を防止することができ、さらに、装置のコンパクト化を図ることができるという効果を奏するものの、補給ホースを洋上補給船に収納する際、各サドルは支柱(以下「補給用ポスト」と称す)の上部に引き戻され、補給ホースは各サドル部を上に、一対のサドル設置部の略中央を下にして折り畳まれる(正確には、折り畳み部が略円弧状になる)ため、補給用ポストは、至近のサドル同士の間の補給ホースの長さの半分よりも高くする必要がある。このため、以下の問題があった。
【0005】
(あ)補給用ポストの高さを低くしたいとの要請に応えようとすると、サドルを近づける必要から、設置するサドルの数が増し、これに伴ってサドルワイヤやこれを牽引するサドルワイヤ用ウインチが増加し、装置を構成する部品の増加、装置重量の増大、装置の設置スペースの拡大等の問題があった。
(い)また、洋上補給船と受給船との距離を離して作業したいとの要請に応えようとすると、設置するサドルの数を増さない場合には、至近のサドル同士の間の補給ホースの長さが増大するため、補給用ポストが高くなるという問題がある。
(う)一方、かかる要請に応えようとすると、補給用ポストの高さを変更しない場合には、至近のサドル同士の間の補給ホースの長さが変わらないように、設置するサドルの数が増す必要から、上記(あ)と同様の問題があった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、装置を構成する部品の増加、装置重量の増大、装置の設置スペースの拡大等を最少に抑えながらも、補給用ポストの高さを低くしたいとの要請や、洋上補給船と受給船との距離を離して作業したいとの要請に応えることができる、流体補給装置および洋上補給船を提供することを目的とする。
なお、本発明において、洋上補給船とは、文字通り海上において油や水等を補給するために建造された専用船に限定するものではなく、流体補給装置が設置されている各種船舶を総称するものである。また、洋上とは海、川、湖等におけるものの総称であって、流体とは油や水等の液体に限らず、気体を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る流体補給装置は、補給側から受給側に向けて流体を補給する前記補給側に設置されるものであって、
前記補給側から前記受給側に向けて繰り出され、前記受給側に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているプルバックサドルおよびフリーサドルと、
該プルバックサドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記補給側から前記受給側に向けて繰り出され、前記補給側と前記受給側との間に架設されるスパンワイヤと、
前記補給側と前記受給側との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記プルバックサドルおよびフリーサドルのそれぞれを吊り下げる複数のトロリブロックと、を有することを特徴とする。
【0008】
(2)前記プルバックサドルが複数箇所に設置され、
該複数箇所に設置されているプルバックサドルのうちの一方のプルバックサドルと当該一方のプルバックサドルに最も近くに設置されている他方のプルバックサドルとの間に、1または複数のフリーサドルが設置されていることを特徴とする。
【0009】
(3)前記フリーサドルが、前記サドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内手段を介して吊り下げられていることを特徴とする。
【0010】
(4)前記フリーサドルを吊り下げているトロリブロックが、前記サドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内部を具備していることを特徴とする。
【0011】
(5)前記プルバックサドルと当該プルバックサドルに最も近くに設置されているフリーサドルとを連結するストレスワイヤを有し、
該ストレスワイヤの長さが、当該プルバックサドルと当該フリーサドルとの間の前記補給ホースの長さより短いことを特徴とする。
【0012】
(6)前記フリーサドルと当該フリーサドルに最も近くに設置されているフリーサドルとを連結するストレスワイヤを有し、
該ストレスワイヤの長さが、当該フリーサドル同士の間の前記補給ホースの長さより短いことを特徴とする。
【0013】
(7)前記スパンワイヤが複数本であって、
該複数本のスパンワイヤのそれぞれに、前記トロリブロックのうちの1または複数のトロリブロックが分散して係止することを特徴とする。
【0014】
(8)前記補給側が船舶であって、該船舶に設置されることを特徴とする前記(1)乃至(7)の何れかに記載のものである。
【0015】
(9)また、本発明に係る洋上補給船は、前記(1)乃至(7)の何れかに記載の流体補給装置が設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
(i)したがって、本発明によると、プルバックサドルとフリーサドルとを有し、プルバックサドルにサドルワイヤが連結され、これがサドルワイヤ用ウインチに巻き取られるだけであるから、フリーサドルを引き寄せるウインチが不要になり、装置を構成する部品の増加、装置重量の増大、装置の設置スペースの拡大等が最少に抑えられる。
【0017】
(ii)また、プルバックサドル同士の間に1または複数のフリーサドルが設置されているから、サドルワイヤ用ウインチを増設することなく、補給用ポストの高さを大幅に(略半分または略数分の一)低くすることができる。
【0018】
(iii)また、フリーサドルがサドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内手段を介して吊り下げられているため、フリーサドルがサドルワイヤから離脱して落下することがないから、フリーサドルを吊り下げているトロリブロックもサドルワイヤから離脱して落下することがないから、流体補給装置へのフリーサドルおよびトロリブロックの収納(引き寄せ)が確実になる。
【0019】
(iv)また、フリーサドルを吊り下げているトロリブロックが、サドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内部を具備しているため、該トロリブロックがサドルワイヤから離脱して落下することがないから、流体補給装置へのフリーサドルおよびトロリブロックの収納(引き寄せ)が確実になる。流体補給装置へのフリーサドルの収納(引き寄せ)が確実になる。
【0020】
(v)また、プルバックサドルとフリーサドルとを連結するストレスワイヤが設置され、該ストレスワイヤの長さが、当該プルバックサドルと当該フリーサドルとの間の補給ホースの長さより短いため、サドルワイヤを巻き取る際、同時にストレスワイヤを介してフリーサドルが手繰り寄せられるから、補給ホースに過剰な引っ張り力が作用することがない。
【0021】
(vi)同様に、フリーサドル同士が隣り合っている場合に、両者を連結するストレスワイヤが設置され、該ストレスワイヤの長さが、両者の設置された位置の間の補給ホースの長さより短いため、フリーサドル同士がストレスワイヤの長さ以上に離れることがないから、一方のフリーサドルが手繰り寄せられても、補給ホースに過剰な引っ張り力が作用することがない。
【0022】
(vii)さらに、複数本のスパンワイヤにトロリブロックが分散して係止しているため、それぞれのスパンワイヤは、補給ホースを吊り下げる負担が低減するから、細く(軽量に同じ)することができると共に、補給ホースを補給側に収納する際、トロリブロックの相互干渉が回避されるから、補給用ポストの上部構造を小型に(たとえば、受給側への張り出し量を短く)することができる。
【0023】
(viii)さらに、船舶に設置する際、前記(i)〜(vii)の効果を奏するため、補給専用船に限らず各種船舶に広く設置することができる。
このとき、受給側は航行または停泊している船舶、洋上に固定された受給設備、あるいは陸上に固定された受給設備の何れであってもよい。また、前述より、船舶に設置されない場合であっても、前記(i)〜(v)の効果を奏することは明らかである。
【0024】
(ix)また、本発明に係る洋上補給船には前記(i)〜(viii)の効果を奏する流体補給装置が設置されているから、補給用ポストを低く抑えることができると共に、その他の装備を配置する自由度が増す。また、補給ホースの延長が容易になるから、洋上補給船と受給船との距離を拡大することが可能になり、作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[実施形態1]
(洋上補給船)
以下、本発明の実施形態1に係る流体補給装置について、当該装置が設置されている洋上補給船を例に説明する。洋上補給船はこれと平行して航行する受給船に油等の流体を補給するものである。なお、当該装置は洋上補給船に限って設置されるものではなく、たとえば、洋上に固定された構造物、陸上において移動する設備や陸上に固定された構造物に設置することができるものである。
【0026】
(流体補給装置)
図1および図2は、それぞれ本発明の実施形態1に係る流体補給装置の構成を模式的に示す正面図および一部を拡大した拡大正面図である。図1において、流体補給装置100は洋上補給船1000に設置されている。なお、図中、洋上補給船1000の船尾から船首に向かう方向を正面方向とし、側舷から図示しない受給船に向かう方向を側面方向としている。
流体補給装置100は、補給ホース10と、補給ホースに設置されているフリーサドル20fおよびプルバックサドル20pと、プルバックサドル20pに連結されているサドルワイヤ30と、サドルワイヤ30を巻き取る図示しないサドルワイヤ用ウインチと、前記両船間に架設されるスパンワイヤ60と、スパンワイヤ60に係止するトロリブロック70と、スパンワイヤ60等を支持する補給用ポスト90とを有している。以下、それぞれについて説明する。
【0027】
(補給用ポスト)
補給用ポスト90は、洋上補給船1000の甲板1001に設置された所定の設備1100の設備上面1101に立設されている。補給用ポスト90は門型であって、上部が斜め上向きに側面方向に向かって延設部91が形成され、延設部91に後記する各種滑車手段が設置されている。
なお、補給用ポスト90は正面視において門型であるものに限定するものではなく、側面視において門型であっても、文字通り柱状であってもよく、さらに、甲板1001に設置された設備(図示するものよりも高いもの)に片持ち状態または両持ち状態で略水平方向に設置されたものであってもよい。
【0028】
(スパンワイヤ)
スパンワイヤ60は、図示しないスパンウインチから図示しない張力調整装置を介して繰出され、補給用ポスト90の延設部91先端に設置されているスパン用固定滑車62を介して斜め下方に傾斜して繰出され、その先端が図示しない受給船に連結されるものである。このとき、洋上補給船1000と受給船との間隔が変動したり両船が揺動したりしても、前記張力調整装置がスパンワイヤ60に作用する張力を略一定に制御しているから、スパンワイヤ60が過剰に引っ張られることも海面に着水することもない。
また、スパンワイヤ60を洋上補給船1000に収納する際、その全長が前記スパンウインチに巻き取られるものではなく、先端部の補給用ポスト90の高さに相当する範囲がスパン用固定滑車62に係止したまま垂れ下がり、その先端が甲板1001または設備1100等に設けられている図示しないスパンワイヤ先端保持手段に保持されるものである。
【0029】
(トロリブロック)
トロリブロック70はスパンワイヤ60に移動自在に係止するものである。すなわち、洋上補給船1000と図示しない受給船との間にスパンワイヤ60が架設された状態において、スパンワイヤ60に移動自在に係止(懸吊ないし懸架した状態に同じ)して、それぞれ第1プルバックサドル21p、第2プルバックサドル22p、第3プルバックサドル23pを吊り下げる第1プルバックトロリブロック71p、第2プルバックトロリブロック72p、第3プルバックトロリブロック73pとを有している(これらを「プルバックトロリブロック70p」と総称する)。
【0030】
また、それぞれ第1フリーサドル21f、第2フリーサドル22f、第3フリーサドル23fを吊り下げる第1フリートロリブロック71f、第2フリートロリブロック72f、第3フリートロリブロック73fとを有している(これらを「フリートロリブロック70f」と総称する)。そして、プルバックトロリブロック70pとフリートロリブロック70fとをまとめてトロリブロック70と称している。
なお、スパンワイヤ60が洋上補給船1000に収納されると、トロリブロック70はスパンワイヤ60に係止したまま、今度はサドル20によって吊り下げられた状態になる(これについては別途詳細に説明する)。
【0031】
(補給ホース)
補給ホース10は可撓性を具備し、先端(受給船側)には着脱自在な継手手段101が設置され、尾端(流体補給装置側)は開閉バルブ102に連結されている。そして、開閉バルブ102は洋上補給船1000に設置された図示しない補給ポンプを経由して図示しない油等タンクに連結された配管103に設置されている。
したがって、補給ホース10の先端を、前記受給船に設置されている図示しない受給装置に連結し、開閉バルブ102を開いて前記補給ポンプを運転すれば、前記油等タンクに収容された油等は前記受給船に補給されることになる。なお、補給ホース10は複数のホースから形成され、それぞれホース継手であるサドル20によって接続されたものである(これについては別途詳細に説明する)。一方、サドル20がホース継手機能を具備しない場合には、図示しないホース継手によって接続されるものである。
【0032】
(プルバックサドル、フリーサドル)
補給ホース10には先端側(受給船側)から所定の間隔をあけて、先端側(受給船側)から第1フリーサドル21f、第2フリーサドル22f、第3フリーサドル23f(これをまとめて「フリーサドル20f」と称する)が設置され、尾端(流体補給装置側)に最も近い位置にヨーヨーサドル29が設置されている。
また、第1フリーサドル21fと第2フリーサドル22fとの略中間位置に第1プルバックサドル21pが、第2フリーサドル22fと第3フリーサドル23fとの略中間位置に第2プルバックサドル22pが、第3フリーサドル23fとヨーヨーサドル29との略中間位置に第3プルバックサドル23pがそれぞれ設置されている(これをまとめて「プルバックサドル20p」と称する)。
【0033】
なお、図1または図2において、フリーサドル20f、プルバックサドル20pおよびヨーヨーサドル29(これをまとめて「サドル20」と称する)はホース継手であるから、正確には、補給ホース10は、サドル20において接続された複数のホースから構成されたものである。
すなわち、第1フリーサドル21fと第1プルバックサドル21pとの間に配置された第1フリー側補給ホース11fと、第1プルバックサドル21pと第2フリーサドル22fとの間に配置された第1プルバック側補給ホース11pと、以下同様に、第2フリー側補給ホース12fおよび第2プルバック側補給ホース12pと、第3フリー側補給ホース13fおよび第3プルバック側補給ホース13pと、ヨーヨーサドル29と開閉バルブ12との間に配置されたヨーヨー補給ホース29fと、を補給ホース10は有している。
【0034】
一方、サドル20がホース継手でない場合には、サドル20は、補給ホース10が吊り下げられた時にこれに局部的な力がかからなように把持するものであって、別途、ホース継手によって、複数のホースが相互に接続されるものである。
そして、フリーサドル20fはフリートロリブロック70fに、プルバックサドル20pはプルバックトロリブロック70pに、チェーンまたはリンク等を介してそれぞれ吊り下げられている。
【0035】
(サドルワイヤ)
第1サドルワイヤ31、第2サドルワイヤ32および第3サドルワイヤ33の先端(受給船側)が、それぞれ第1プルバックサドル21p、第2プルバックサドル22pおよび第3プルバックサドル23pに接続されている(これをまとめて「サドルワイヤ30」と総称している)。
そして、第1サドルワイヤ31および第2サドルワイヤ32は、それぞれ補給用ポスト90の延設部91に設置されている第1サドル用固定滑車81および第2サドル用固定滑車82を介して、その尾端側(洋上補給船側)がそれぞれ図示しないサドルワイヤ用ウインチ(以下「サドルウインチ」と称する)に巻き取られている。
【0036】
また、第3サドルワイヤ33は、補給用ポスト90の延設部91に設置されている第3サドル用固定滑車83およびヨーヨーサドル用固定滑車84に掛け回わされ、その尾端側(洋上補給船側)がそれぞれ図示しないサドルワイヤ用ウインチ(以下「サドルウインチ」と称する)に巻き取られている。
なお、ヨーヨーサドル29はヨーヨーサドル用昇降滑車89にチェーンまたはリンク等によって接続されているから、第3サドルワイヤ33の巻き上げによって、第3プルバックサドル23pの引き戻しと同時に、ヨーヨーサドル29は引き上げられることになる。
【0037】
すなわち、洋上補給船1000と図示しない受給船との間にスパンワイヤ60が架設された状態においてスパンワイヤ60は図示しない受給船に向かって傾斜しているため、トロリブロック70は図示しない受給船に向かって進もうとし、同様に、サドル20はトロリブロック70に引っ張られて、図示しない受給船の方向に移動しようとしている。なお、図中、サドル用固定滑車80から図示しないサドルウインチ側におけるサドルワイヤ30の記載を省略している。
【0038】
(ストレスワイヤ)
さらに、第1フリーサドル21fと第1プルバックサドル21pとを連結する第1ストレスワイヤ41が設置されている。第1ストレスワイヤ41の長さは、第1フリー側補給ホース11fの長さ(補給ホース10の第1フリーサドル21fが設置されている位置と第1プルバックサドル21pが設置されている位置との長さに同じ)よりも短くなっているため、第1フリーサドル21fは第1ストレスワイヤ41を介して第1プルバックサドル21pによって洋上補給船1000側に引き上げられている。
【0039】
また、同様に、第2フリーサドル22fと第2プルバックサドル22pとを連結する第2ストレスワイヤ42が、第3フリーサドル23fと第3プルバックサドル23pとを連結する第3ストレスワイヤ43が、それぞれ設置されている(これをまとめて「ストレスワイヤ40」と総称する)。
したがって、第1ストレスワイヤ41、第2ストレスワイヤ42、第3ストレスワイヤ43によって、それぞれ第1フリー側補給ホース11f、第2フリー側補給ホース12f、第3フリー側補給ホース13fに過剰な引っ張り力が作用しないようになっている。
【0040】
(補給ホースの設置)
次に、以上の構成された流体補給装置100(洋上補給船1000に設置されている)について、補給ホース10の設置要領を説明する。
まず、洋上補給船1000と図示しない受給船との間にスパンワイヤ60を架設する。このとき、第1フリートロリブロック71f(第1フリーサドル21fに同じ)は、第1ストレスワイヤ41の長さに略等しい分だけ、図示しない受給船側に移動している。
そして、第1サドルワイヤ31を巻き上げている図示しないワイヤウインチを巻き戻し、第1サドルワイヤ31を繰り出すと、第1プルバックサドル21pは図示しない受給船側に移動し、これに伴ってフリーサドル21fも第1ストレスワイヤ41の長さ分の略同じ間隔を維持しながら移動する。このとき、第2フリーサドル22fは、第1プルバックサドル21pに当接したまま移動している。
【0041】
やがて、第1プルバックサドル21pと第2プルバックサドル22pとの距離が離れて、第1プルバック側補給ホース11pに過剰な引っ張り力が作用する前に(第2ストレスワイヤ42には引っ張り力が作用した後または作用する前)、第2サドルワイヤ32を巻き上げている図示しないワイヤウインチを巻き戻し、第2サドルワイヤ32を繰り出す。このとき、第2サドルワイヤ32の繰り出し量に合わせて第1サドルワイヤ31も繰り出される。
そして、同様に、第2プルバック側補給ホース12pに過剰な引っ張り力が作用する前に、第3サドルワイヤ33を巻き上げている図示しないワイヤウインチを巻き戻し、第3サドルワイヤ33を繰り出す。このとき、第3サドルワイヤ33の繰り出し量に合わせて第1サドルワイヤ31および第2サドルワイヤ32も繰り出される。また、第3プルバック側補給ホース13pに過剰な引っ張り力が作用しないように第3サドルワイヤ33の繰り出し量が制限されている。
【0042】
そして、補給ホース10の先端が図示しない受給船に到達すると、第1フリーサドル21fは、図示しないライディングワイヤによって、受給船側に連結され、先端に設置した継手手段11が受給船側の継手手段に接続される。油等の補給が開始される。
【0043】
(補給ホースの収納)
一方、補給ホース10の洋上補給船1000側への収納は、前記工程を反対に進める。
すなわち、図示しないサドルウインチがサドルワイヤ30を巻き上げるから、プルバックサドル20pはサドル用固定滑車80に略当接する位置にまで引き戻される。
このとき、第3フリーサドル23fは第2プルバックサドル22pによって、また、第2フリーサドル22fは第1プルバックサドル21pによって引き戻される。
また、第2プルバックサドル22pの引き戻しによって、これを吊り下げている第2プルバックトロリブロック72pも引き戻され、さらに、第2プルバックトロリブロック72pは第3フリートロリブロック73fに当接して、これを引き戻している。そして、同様に、第2フリートロリブロック72fも第1プルバックトロリブロック71p(第2プルバックトロリブロック72pを吊り下げている)によって引き戻されている。
【0044】
したがって、かかるプルバックサドル20pの引き戻しによってトロリブロック70も又、引き戻されることになる。このとき、フリートロリブロック70fは隣り合ったプルバックトロリブロック70pによって挟まれることになる。
【0045】
次に、スパンワイヤ60の先端を図示しない受給船から切り離し、図示しないスパンウインチを巻き上げてスパンワイヤ60を洋上補給船1000側に収納する。このとき、前記切り離し後は、スパンワイヤ60が全てのトロリブロック70を貫通した状態で垂れ下がるため、最も下に位置する第1プルバックトロリブロック71p(第1サドルワイヤ31によって引き上げられている第1プルバックサドル21pに連結している)に、その他のトロリブロック70が積み重さなることになる。
すなわち、プルバックサドル20pはサドルワイヤ30によって直接吊り上げられるのに対し、フリーサドル20fはフリートロリブロック70f(第1プルバックトロリブロック71pに積み重さなっている)を介してサドルワイヤ30によって間接的に吊り上げられることになる。
【0046】
そうすると、プルバックサドル20pおよびフリーサドル20fは何れも、補給用ポスト90の延設部91に近くに引き上げられているから、補給ホース10は、第1プルバック側補給ホース11p、第2フリー側補給ホース12f・・・第3プルバック側補給ホース13pは、略二つ折り状態になって収納される。
なお、第1フリー側補給ホース11fは垂れ下がって、所定の設備1100の設備上面1101等に設けた補給ホース先端保持手段(図示しない)に保持され、引き戻されたスパンワイヤ60は、その先端が同様にスパンワイヤ先端保持手段(図示しない)に保持される。
【0047】
以上より、フリーサドル20fを設けたことにより、サドルウインチやサドル用固定滑車の設置数量を増すことなく、補給用ポスト90の高さを低く(たとえば、約半分の高さに)抑えることが可能になるから、流体補給装置が軽量かつ小型になる。また、既設の高さの補給用ポストや所定台数のサドルウインチからなる装置であっても、フリーサドルを設けることにより、補給ホースの長さを延長することが可能になり、洋上補給船と受給船との距離を拡げた補給作業が可能になる。
【0048】
(トロリブロックの例その1)
図3は本発明の実施形態1に係る流体補給装置におけるトロリブロックの例その1を模式的に示す、(a)は側面図、(b)は正面視の断面図である。図3において、トロリブロック700は、カリバーロール710、720と、カリバーロール710、720をそれぞれ保持するロールホルダ730、740と、ロールホルダ730とロールホルダ740とを接合する接合手段750と、を有している。
カリバーロール710、720のロール軸711、721は平行して配置され、それぞれのカリバー(溝)712、722は対峙して略円状の孔型を形成している。このとき、カリバーロール710、720のカリバー(溝)712、722を除く外周面713、723が近接しているため、前記孔型内に収納されたスパンワイヤ60が、前記孔型から脱落することがない。なお、かかる収納された状態を「係止」と称している。
また、ロールホルダ740には、連結孔741が形成された連結用プレート742が設置され、サドル20を吊り下げるためのシャックルやリンク等の設置が容易になっている。
【0049】
(トロリブロックの例その2)
図4および図5は本発明の実施形態1に係る流体補給装置におけるトロリブロックの例その2であって、図4は模式的に示す正面視の断面図、図5はその使用状況を模式的に示す部分正面図である。なお、図3と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明および側面図を省略する。
図4において、トロリブロック700a、700b、700cは、それぞれ一対のカリバーロール710と1本のカリバーロール720とを有している。かかるカリバーロール710、720のカリバー(溝)712、722によって、スパンワイヤ60が脱落しないように収納(係止に同じ)されている。
【0050】
図4の(a)において、トロリブロック700aは、ロールホルダ740の下部に、一方側にのみ張り出した係合凸部760aが設置され、係合凸部760aの下面に連結用プレート742が設置されている。すなわち、トロリブロック700aは、全体として略L字状を呈している。
図4の(b)において、トロリブロック700bは、ロールホルダ740の下部に、ロールホルダ740よりも幅の狭い係合凹部760bが設置され、係合凹部760bの下面に連結用プレート742が設置されている。すなわち、トロリブロック700bは、全体として略T字状を呈している。
図4の(c)において、トロリブロック700cは、ロールホルダ740の下部に、両方に張り出した係合凸部760cが設置され、係合凸部760cの下面に連結用プレート742が設置されている。すなわち、トロリブロック700aは、全体として略逆T字状を呈している。
【0051】
図5の(a)において、トロリブロックは先端から順番に、第1フリートロリブロック71fとしてトロリブロック700(図3参照)、第1プルバックトロリブロック71pとしてトロリブロック700a(図4(a)参照)、第2フリートロリブロック72fとしてトロリブロック700b(図4(b)参照)、第2プルバックトロリブロック72pとしてトロリブロック700c(図4(c)参照)、第3フリートロリブロック72fとしてトロリブロック700b(図4(b)参照)、第3プルバックトロリブロック72pとしてトロリブロック700a(図4(a)参照)がそれぞれ設置されている。
【0052】
そして、第1プルバックサドル21pの引き戻しによって、第1プルバックトロリブロック71pは第2フリートロリブロック72fに当接し、両者は一体的に引き戻されている。このとき、第1プルバックトロリブロック71pの係止突起760a(図4(a)においてB−C−Dにて示す突出部)が第2フリートロリブロック72fの係止凹部760c(図4(a)においてF−G−Hにて示す後退部)に嵌り込んでいる。
同様に、第2プルバックサドル22pの引き戻しによって、第2プルバックトロリブロック72pは第3フリートロリブロック73fに当接し、両者は一体的に引き戻されている。このとき、第2プルバックトロリブロック72pの係止突起760c(図4(c)においてR−S−Tにて示す突出部)が第3フリートロリブロック73fの係止凹部760b(図4(b)においてF−G−Hにて示す後退部)に嵌り込んでいる。
【0053】
図5の(b)において、第1プルバックサドル21pおよび第2プルバックサドル22pがさらに引き戻されているから、第2フリートロリブロック72fが第2プルバックトロリブロック72pに当接し、第3フリートロリブロック73fが第3プルバックトロリブロック73pに当接している。このとき、第3プルバックトロリブロック73pの係止突起760a(図4(a)においてB−C−Dにて示す突出部)が第3フリートロリブロック73fの係止凹部760b(図4(b)においてJ−K−Lにて示す後退部)に嵌り込んでいる。
【0054】
すなわち、トロリブロック70は相互に嵌り込んで押し合っているから、その後に、スパンワイヤ60の先端を受給船から取り外した際、スパンワイヤ60自体は垂れ下がるものの、トロリブロック70はかかる嵌合状態を維持することになる。このため、フリートロリブロック70fが落下しないから、フリーサドル20fも又、落下することがない。
よって、前記トロリブロック700によって構成された場合(図1等参照)に比較して、収納時のフリートロリブロック70fのプルバックトロリブロック70pによる拘束が確実になっている。
【0055】
(プルバックサドルの例)
図6は本発明の実施形態1に係る流体補給装置におけるプルバックサドルの例を模式的に示すは正面図である。図6において、プルバックサドル21pは、円弧状の管体部210pと、管体部210pの両端に設けられた管継手211p、212pと、管体部210pの外周面の凸側に設けられた吊り上げ用プレート213pとを有している。
管継手211p、212pにはそれぞれフリー側補給ホース11f、プルバック側補給ホース11pが接続されている。
また、吊り上げ用プレート213pの中央に形成された吊り上げ用孔214fに吊り上げ用リンク215pの下端部が連結され、吊り上げ用リンク215pの上端部は第1プルバックトロリブロック71pに形成された連結孔741pに連結されている。また、吊り上げ用プレート213pの一方側に形成されたサドルワイヤ用孔216pにサドルワイヤ31がシャックル217pを介して連結され、吊り上げ用プレート213pの他方側に形成されたストレスワイヤ用孔218pにストレスワイヤ41がシャックル219pを介して連結されている。
【0056】
以上は、プルバックサドル21pにおける説明であるが、プルバックサドル22p、23pの同一である、また、フリーサドル20fはサドルワイヤが連結されない点を除いて、プルバックサドル21pに同じである。
なお、管体部210pの外周面の凹部に吊り上げ用プレート213pに準じて、吊り下げ用孔が形成された吊り下げ用プレートを設置して、該吊り下げ用孔に、追加してプルバックサドルを連結してもよい。このとき、補給ホースは二連となる。
【0057】
[実施形態2]
(流体補給装置)
次に、本発明の実施形態2に係る流体補給装置について、実施形態1と同様に当該装置が設置されている洋上補給船を例に説明する。
図7は、本発明の実施形態2に係る流体補給装置の構成を模式的に示す一部を拡大した拡大正面図である。図7において、流体補給装置200は図示しない洋上補給船に設置されている。なお、実施形態1(図1等)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0058】
流体補給装置200は、第2フリーサドル22fが、第1サドルワイヤガイド31gを介して第2フリートロリブロック72fに吊り下げられている。すなわち、第2フリーサドル22fと第2フリートロリブロック72fとの中間に配置された第1サドルワイヤガイド31g(サドルワイヤ案内手段に同じ)を第1サドルワイヤ31が貫通している。第1サドルワイヤガイド31gは第2フリートロリブロック72fと略同様に、一対のカリバーロールを具備し、サドルワイヤ31を低い摩擦抵抗で案内している。
また、第3フリーサドル22fも同様に、第2サドルワイヤガイド32gを介して吊り上げられ、第2サドルワイヤガイド32gを第2サドルワイヤ32が貫通している(図示しない)。
【0059】
(補給ホースの収納)
次に、流体補給装置200における補給ホース10の収納について説明する。
実施形態1と同様に、図示しないサドルウインチがサドルワイヤ30を巻き上げるから、プルバックサドル20pはサドル用固定滑車80に略当接する位置にまで引き戻される。
このとき、第3フリーサドル23fは第2プルバックサドル22pによって引き戻され、第2サドルワイヤ32が第2サドルワイヤガイド32g(第3フリーサドル23fを吊り下げている)を貫通しているから、第3フリーサドル23fは第2プルバックサドル22pを吊り上げている第2サドルワイヤ32によって吊り下げられた状態になる。
同様に、第2フリーサドル22fは第1プルバックサドル21pによって引き戻され、第1サドルワイヤ31が第1サドルワイヤガイド31g(第2フリーサドル22fを吊り下げている)を貫通しているから、第2フリーサドル22fは第1プルバックサドル21pを吊り上げている第1サドルワイヤ31によって吊り下げられた状態になる。
【0060】
すなわち、流体補給装置200においては、スパンワイヤ60が緩められても、第2フリーサドル22fおよび第3フリーサドル23fは、それぞれ第2サドルワイヤガイド32gおよび第3サドルワイヤガイド33gを介して、第2サドルワイヤ32および第3サドルワイヤ33によって吊り下げられているから、垂れ下がることがない。
したがって、実施形態1において必要であったスパンワイヤ60の巻き上げによる第2フリーサドル22fおよび第3フリーサドル23fの引き上げ作業が不要になる。
【0061】
[実施形態3]
(流体補給装置)
次に、本発明の実施形態2に係る流体補給装置について、実施形態1および2と同様に当該装置が設置されている洋上補給船を例に説明する。
図8は、本発明の実施形態3に係る流体補給装置の構成を模式的に示す一部を拡大した拡大正面図である。図7において、流体補給装置200は図示しない洋上補給船に設置されている。なお、実施形態1(図1等)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
流体補給装置300は、フリートロリブロック72f、73fが、サドルワイヤ案内部を具備するフリートロリブロック900によって構成されたもの、すなわち、実施形態2における第1サドルワイヤガイド31gを第2フリートロリブロック72fに、第2サドルワイヤガイド32gを第3フリートロリブロック73fに、それぞれ一体的に設置したものである。
【0062】
したがって、補給ホース10を収納する際、実施形態2と同様に、第1サドルワイヤ31が、第1プルバックサドル21pと第2トロリブロック72f(第2フリーサドル22fを吊り下げている)とを吊り下げ、第2サドルワイヤ32が、第2プルバックサドル22pと第3トロリブロック73f(第3フリーサドル23fを吊り下げている)とを吊り下げることになる(図示しない)。
なお、サドルワイヤ30を巻き戻した際、実施形態2においては、第1サドルワイヤガイド31gが持ち上げられて第2フリートロリブロック72fに干渉したり、第2サドルワイヤガイド32gが持ち上げられて第3フリートロリブロック73fに干渉したりするおそれがあるものの、実施形態3においては、かかる干渉が防止される。
【0063】
図9は本発明の実施形態3に係る流体補給装置におけるトロリブロックの例を模式的に示す、(a)は側面図、(b)は正面視の断面図である。なお、実施の形態1(図3)と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図9において、トロリブロック900は、サドルワイヤ案内手段を形成するカリバーロール910、920を有している。すなわち、カリバーロール710とカリバーロール920がロールホルダ730に保持され、カリバーロール720がロールホルダ740に保持され、カリバーロール910がロールホルダ930に保持されている。そして、ロールホルダ730とロールホルダ740とが接合手段750によって接合され、ロールホルダ730とロールホルダ940とが接合手段950によって接合されている。
【0064】
カリバーロール910、920のロール軸911、921は平行して配置され、それぞれのカリバー(溝)912、922は対峙して略円状の孔型を形成している。このとき、カリバーロール910、920のカリバー(溝)912、922を除く外周面913、923が近接しているため、前記孔型内に収納されたサドルワイヤ30が、前記孔型から脱落することがない。なお、かかる収納された状態を「係止」と称している。
また、ロールホルダ740には、連結孔741が形成された連結用プレート742が設置され、サドル20を吊り下げるためのシャックルやリンク等の設置が容易になっている。
【0065】
[その他の実施形態]
以上は、一本のスパンワイヤ60に複数のフリートロリブロック70fおよびプルバックトロリブロック70pが係止したものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、スパンワイヤ60に複数本設置して、たとえば、一方のスパンワイヤ60にフリートロリブロック70fを、他方のスパンワイヤ60にプルバックトロリブロック70pを係止させてもよい。
また、以上は、一本の補給ホース10を具備するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、補給ホース10を複数本設置して、それぞれに同一種類の流体を流しても、それぞれ別種類の流体を流してもよい。このとき、複数のサドル20を上下に連結することになる。
さらに、以上は、洋上補給船から受給船に向けて補給する場合を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、流体補給装置が陸上にあって、移動する設備または固定された設備に設置されたものであってもよい。また、受給船についても陸上にあって、移動する設備または固定された設備であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は以上の構成により軽量かつ小型であるから、各種設備に設置して離隔した設備に流体を補給する各種流体補給装置として、また、専用または兼用の洋上補給船として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係る流体補給装置の構成を模式的に示す正面図。
【図2】本発明の実施形態1に係る流体補給装置の構成を模式的に示す拡大正面図。
【図3】図1におけるトロリブロックの例その1を模式的に示す側面図と断面図。
【図4】図1におけるトロリブロックの例その2を模式的に示す断面図。
【図5】図4に示すトロリブロックの使用状況を模式的に示す部分正面。
【図6】図1におけるプルバックサドルの例を模式的に示す正面図。
【図7】本発明の実施形態2に係る流体補給装置の構成を模式的に示す拡大正面図。
【図8】本発明の実施形態3に係る流体補給装置の構成を模式的に示す拡大正面図。
【図9】図8におけるトロリブロックの例を模式的に示す側面図と断面図。
【符号の説明】
【0068】
11f 第1フリー側補給ホース
12f 第2フリー側補給ホース
13f 第3フリー側補給ホース
11p 第1プルバック側補給ホース
12p 第2プルバック側補給ホース
13p 第3プルバック側補給ホース
21f 第1フリーサドル
22f 第2フリーサドル
23f 第3 フリーサドル
21p 第1プルバックサドル
22p 第2プルバックサドル
23p 第3プルバックサドル
29 ヨーヨーサドル
29f ヨーヨー補給ホース
31 第1サドルワイヤ
32 第2サドルワイヤ
33 第3サドルワイヤ
31g 第1サドルワイヤガイド
32g 第2サドルワイヤガイド
33g 第3サドルワイヤガイド
41 第1ストレスワイヤ
42 第2ストレスワイヤ
43 第3ストレスワイヤ
60 スパンワイヤ
61 引き戻し金具
62 スパン用固定滑車
71f 第1フリートロリブロック
72f 第2フリートロリブロック
73f 第3フリートロリブロック
71p 第1プルバックトロリブロック
72p 第2プルバックトロリブロック
73p 第3プルバックトロリブロック
81 第1サドル用固定滑車
82 第2サドル用固定滑車
83 第3サドル用固定滑車
89 ヨーヨーサドル用昇降滑車
90 補給用ポスト
91 延設部
100 流体補給装置(実施形態1)
101 継手手段
102 開閉バルブ
103 配管
200 流体補給装置(実施形態2)
300 流体補給装置(実施形態3)
1000 洋上補給船
1001 甲板
1100 設備
1101 設備上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補給側から受給側に向けて流体を補給する前記補給側に設置される流体補給装置であって、
前記補給側から前記受給側に向けて繰り出され、前記受給側に向けて流体を補給する補給ホースと、
該補給ホースに所定の間隔をあけて設置されているプルバックサドルおよびフリーサドルと、
該プルバックサドルに連結されているサドルワイヤと、
該サドルワイヤを巻き取るサドルワイヤ用ウインチと、
前記補給側から前記受給側に向けて繰り出され、前記補給側と前記受給側との間に架設されるスパンワイヤと、
前記補給側と前記受給側との間に架設された状態において前記スパンワイヤに移動自在に係止し、前記プルバックサドルおよびフリーサドルのそれぞれを吊り下げる複数のトロリブロックと、
を有することを特徴とする流体補給装置。
【請求項2】
前記プルバックサドルが複数箇所に設置され、
該複数箇所に設置されているプルバックサドルのうちの一方のプルバックサドルと当該一方のプルバックサドルに最も近くに設置されている他方のプルバックサドルとの間に、1または複数のフリーサドルが設置されていることを特徴とする請求項1記載の流体補給装置。
【請求項3】
前記フリーサドルが、前記サドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内手段を介して吊り下げられていることを特徴とする請求項1または2載の流体補給装置。
【請求項4】
前記フリーサドルを吊り下げているトロリブロックが、前記サドルワイヤが貫通するサドルワイヤ案内部を具備していることを特徴とする請求項1または2載の流体補給装置。
【請求項5】
前記プルバックサドルと当該プルバックサドルに最も近くに設置されているフリーサドルとを連結するストレスワイヤを有し、
該ストレスワイヤの長さが、当該プルバックサドルと当該フリーサドルとの間の前記補給ホースの長さより短いことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の流体補給装置。
【請求項6】
前記フリーサドルと当該フリーサドルに最も近くに設置されているフリーサドルとを連結するストレスワイヤを有し、
該ストレスワイヤの長さが、当該フリーサドル同士の間の前記補給ホースの長さより短いことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の流体補給装置。
【請求項7】
前記スパンワイヤが複数本であって、
該複数本のスパンワイヤのそれぞれに、前記トロリブロックのうちの1または複数のトロリブロックが分散して係止することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の流体補給装置。
【請求項8】
前記補給側が船舶であって、該船舶に設置されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の流体補給装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の流体補給装置が設置されていることを特徴とする洋上補給船。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−131045(P2007−131045A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323682(P2005−323682)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)