説明

流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法

【課題】 流動接触分解装置用再生塔の変形したプレナムチャンバの修復方法を提供する。
【解決手段】 プレナムチャンバ2の内壁面4から耐摩耗性被覆層5を除去する。その後プレナムチャンバ2の変形部6を矯正する。そしてプレナムチャンバ2の内壁面4上に複数の補強用リブ12A乃至13Hを溶接する。または、プレナムチャンバの外壁面121上に複数の補強用リブ125A乃至127Hを溶接する。その後複数の補強用リブをプレナムチャンバの内壁面に溶接する場合には、複数の補強用リブ12A乃至13Hを含めてプレナムチャンバ2の内壁面4を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動接触分解装置に用いられる再生塔のプレナムチャンバを修復する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平11−102204号公報「流動接触分解装置の圧力制御方法」(特許文献1)の図1及び特開平8−113788号公報「重油流動接触分解装置排ガスの燃焼装置」(特許文献2)の図5等には、流動接触分解装置において再生塔が使用されることが示されている。流動接触分解装置では、原料との接触によって流動接触分解触媒にコークが付着し、触媒が不活性化するため、流動床反応器内から抜き出された触媒を再生塔に移送し、該再生塔内にて触媒に付着したコークを外部から供給された空気の存在下に燃焼させて触媒を再生した後、再生された触媒を流動床反応器に移送することが行われる。
【0003】
触媒は、硬質摩耗性、例えばゼオライト系の粒子である。そのため金属製の部材であっても、その部材に触媒が衝突し続けると、その部材は短期間に摩耗される。そこで再生塔のプレナムチャンバの内面は、耐摩耗性被覆層で被覆されている。
【0004】
また、耐摩耗性キャスタブル被覆層は、被付着面との間の付着力が弱いので、被付着面にアンカーを溶接等で取り付け、アンカーに耐摩耗性被覆層を保持させるようにしている。逆に言えば、アンカーを取り付けないで、耐摩耗性被覆層を施工しても、非常に短時間で耐摩耗性被覆層が脱落する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−102204号公報
【特許文献2】特開平8−113788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流動接触分解装置では、再生塔内にて触媒に付着したコークを燃焼させるための空気を、エアブロアによって多量に、かつ安定的に再生塔に供給する。そして流動床反応器内の圧力は高いため、再生塔を含めた反応系全体を高圧下にする必要がある。
【0007】
使用開始から10年、20年と経過した再生塔の中には、使用条件によって、再生塔のプレナムチャンバが変形しているものがあることが最近報告されている。その原因は、完全に特定されてはいないが、プレナムチャンバの変形が大きくなると、内壁を覆う耐摩耗性キャスタブル被覆層が破壊されるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、流動接触分解装置用再生塔の変形したプレナムチャンバの修復方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内壁面が耐摩耗性被覆層によって被覆されている流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの変形を修復する方法を次の順番で実施する。
【0010】
まずプレナムチャンバの内壁面から耐摩耗性被覆層を除去する。その後プレナムチャンバの変形部を矯正する。その後プレナムチャンバの内壁面上に複数の補強用リブを溶接する。その後複数の補強用リブを含めてプレナムチャンバの内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する。このようにすると複数の補強用リブによって、プレナムチャンバの機械的強度を全体的に高めることができる。そして複数の補強用リブを含めて再度耐摩耗性被覆層でプレナムチャンバの内壁面を被覆すると、複数の補強用リブの摩耗を防止できる。よって修復後のプレナムチャンバの再変形を確実に防止することができる。
【0011】
変形部の矯正は、種々の方法で行うことができる。例えば、プレナムチャンバの変形部の変形前の正常な内壁面形状に合致した矯正面を有する治具を用意し、治具の矯正面を変形部に押し付けて変形部の内壁面を矯正面に沿わせることにより変形部を元の形状に矯正することができる。このように矯正面を備えた治具を用いると、変形部の形状をより正確に正常な形状に戻すことができる。
【0012】
またプレナムチャンバの変形部の中心部に可動部材の一端を固定し、その後可動部材の他端に力を加えて可動部材を変位させることにより変形部を矯正し、その後変形部から可動部材の一端を分離することにより、矯正を行ってもよい。この方法で矯正すると、専用の治具を用いることなく変形部の矯正を行える利点がある。
【0013】
また複数の補強用リブにより構成する補強構造は任意である。例えば、プレナムチャンバの中心点を中心とする複数の環状補強用リブと、中心点を中心として放射状に延びる複数の放射状補強用リブとから補強構造を構成してもよい。このような補強構造であれば、単純な構造で、必要な機械的強度を得ることができる。
【0014】
また複数の環状補強用リブ及び複数の放射状補強用リブには、耐摩耗性被覆層に対してアンカーとなる複数のアンカー部材を固定するのが好ましい。アンカー部材を補強用リブに設けると、耐摩耗性被覆層が補強用リブから分離するのを確実に防止できる。
【0015】
プレナムチャンバの内壁面上に複数の補強用リブを溶接して必要な機械的強度を得ることはできるが、依頼人の希望により、さらに高い機械的強度を達成することが要求される場合がある。この場合には、プレナムチャンバの外壁面上に複数の補強用リブをさらに溶接する。プレナムチャンバの外壁面上にも複数の補強リブを設ければ、内壁面側及び外壁面側の両方からプレナムチャンバの機械的強度を全体的に高めることができる。
【0016】
外壁面上への複数の補強用リブにより構成する補強構造は任意である。例えば、内壁面状の複数の補強用リブと同様に、プレナムチャンバの中心点を中心とする複数の環状補強用リブと、中心点を中心として放射状に延びる複数の放射状補強用リブとから補強構造を構成してもよい。
【0017】
外壁面に溶接する複数の補強用リブの複数の放射状補強用リブは、内壁面に溶接する複数の補強用リブの複数の放射状補強用リブと対向しない位置に溶接することが好ましい。このように構成すると、外壁面に溶接された複数の放射状補強用リブ及び内壁面に溶接された複数の放射状補強用リブは、プレナムチャンバの外壁面または内壁面に互い違いに分散して溶接されることになる。そのため、プレナムチャンバを更に強固に補強することができる。
【0018】
なお、外壁面に溶接する複数の補強用リブの複数の環状補強用リブを、内壁面に溶接する複数の補強用リブの複数の環状補強用リブと対向しない位置に溶接してもよい。このようにすれば、外壁面に溶接された複数の環状補強用リブ及び内壁面に溶接された複数の環状補強用リブは、プレナムチャンバの外壁面または内壁面に互い違いに分散して溶接される。そのため、プレナムチャンバを更に強固に補強することができる。
【0019】
プレナムチャンバの外壁面に複数の補強用リブを溶接するには、再生塔の内部に足場を組む必要がある。また、プレナムチャンバは、足場の頭上に位置することになるため、溶接作業は上を向いた状態で行う必要がある。そのため、プレナムチャンバの内壁面及び外壁面の一方のみに複数の補強用リブを溶接する場合には、溶接作業が容易で足場を組む必要のない内壁面に複数の補強用リブを溶接することが一般的である。
【0020】
しかしながら、複数の補強用リブを内壁面上にのみ溶接したプレナムチャンバと、複数の補強用リブを外壁面上にのみ溶接したプレナムチャンバとについて応力解析をすると、外壁面上に補強用リブを溶接した方が良好な解析結果が得られ易いことがわかった。
【0021】
また、複数の補強用リブを内壁面に溶接する場合には、リブの高さがライニングの厚みよりも高いと施工が難しくなるので、リブの高さをライニングの厚みよりも低くする必要がある。そのため、ライニングの厚みが薄い場合には,リブを高くすることができないため、プレナムチャンバを充分に補強できない場合がある。そこで、複数の補強用リブをプレナムチャンバの内壁面上に溶接せずに、プレナムチャンバの外壁面上のみに溶接するようにしてもよい。プレナムチャンバの外壁面には、ライニングがないので、リブの高さを高くしても施工が難しくなることがない。そのため、プレナムチャンバの内壁面に複数の補強用リブを溶接する場合に比べて、溶接作業の難度は高くなるものの、プレナムチャンバを十分に補強することができる。この場合には、複数の補強用リブの溶接の前または後に、複数の補強用リブが溶接されていないプレナムチャンバの内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の方法により修復した流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの斜視図である。
【図2】本実施の形態のプレナムチャンバの修復方法の概念を説明するための模式図である。
【図3】変形部の矯正を行う別の方法を説明するために用いる図である。
【図4】(A)及び(B)は、本発明の方法により修復した流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの他の実施の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の方法により修復した流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの斜視図を示している。そして図2は、本実施の形態のプレナムチャンバの修復方法の概念を説明するための模式図である。図2に示すように、使用開始から10年、20年と経過した再生塔1の中には、使用条件によって、プレナムチャンバ2の底壁部3が内部に向かって窪むように変形しているものがあることが報告されている。この変形は、プレナムチャンバ2に繰り返しの熱負荷がかかることによって生じるものと推測する。この変形を放置すると、プレナムチャンバ2の底壁部3の内壁面4を覆う耐摩耗性被覆層5(図2では破線で存在を示してある)が破壊されるおそれがある。そこで本実施の形態では、ステンレス鋼製のプレナムチャンバ2の底壁部の変形の修復を次の順番で実施する。
【0024】
まずプレナムチャンバ2の内壁面4から耐摩耗性被覆層5を除去する。一般的にプレナムチャンバ2の直径寸法は、5m近くあり、また上下方向の寸法は2m近くある。したがって耐摩耗性被覆層5の除去は、プレナムチャンバ2の内部に作業員が入って手作業で行うことになる。
【0025】
その後プレナムチャンバ2の底壁部3の変形部6を矯正する。本実施の形態では、プレナムチャンバ2の変形部6の変形前の正常な内壁面形状に合致した矯正面7を有する治具8を用意する。そして治具8を油圧ジャッキ9の一端に固定する。次に、治具8の矯正面7を変形部6の内壁面に当てるようにして、油圧ジャッキ9の他端を設置用治具10を介してプレナムチャンバ2の上にある再生塔1の鏡板11に固定する。その後油圧ジャッキ9を作動させて、治具8の矯正面7を変形部6に押し付け、変形部6の内壁面を矯正面7に沿わせることにより変形部6を元の形状に戻す。このように矯正面7を備えた治具8を用いると、変形部6の形状をより正確に正常な形状に戻すことができる。矯正の完了は、プレナムチャンバ2の外壁面を、外側からの目視及び正常な形状の型板を当てて、変形部6が元の形状に戻ったか否かにより判断する。矯正を完了した後は、治具8、油圧ジャッキ9及び設置用治具10をプレナムチャンバ2内から排出する。治具8、油圧ジャッキ9及び設置用治具10のプレナムチャンバ2内の搬入及び排出は、鏡板11に設けた図示しない作業用扉を開けて行う。
【0026】
その後、図1に示すように、プレナムチャンバ2の内壁面4上に複数の補強用リブ(12A乃至13H)を溶接する。複数の補強用リブにより構成する補強構造は任意である。本実施の形態では、プレナムチャンバ2の底壁部3の中心点を中心とする5本の環状補強用リブ12A乃至12Eと、中心点を中心として放射状に延びる8本の放射状補強用リブ13A乃至13Hとから補強構造14が構成されている。これらの補強用リブ(12A乃至13H)は、プレナムチャンバ2と同じステンレス鋼製であり、プレナムチャンバ2の底壁部3に溶接により固定されている。本実施の形態のような補強構造14であれば、単純な構造で、必要な機械的強度を得ることができる。
【0027】
補強構造14を設置した後、複数の補強用リブ(12A乃至13H)を含めてプレナムチャンバ2の内壁面4を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する。耐摩耗性被覆には、主として、耐摩耗性キャスタブル被覆と硬化肉盛による被覆とがあるが、耐摩耗性キャスタブルによる被覆が一般的である。耐摩耗性キャスタブル被覆層は、触媒の硬度に匹敵する硬度を備えた材料、例えば焼結アルミナ、電融アルミナ等の特殊な成分を有する粒状の混合材料をハンドパックで塗布し、その後叩き込みを行って施工されている。複数の補強用リブ(12A乃至13H)を含めて再度耐摩耗性被覆層でプレナムチャンバの内壁面を被覆すると、複数の補強用リブの摩耗を防止できる。
【0028】
また環状補強用リブ12A乃至12E及び放射状補強用リブ13A乃至13Hには、耐摩耗性被覆層に対してアンカーとなる複数のアンカー部材を固定するのが好ましい。アンカー部材については、出願人が取得した特許第3274744号公報等に記載されている種々の形状のアンカー部材を用いることができる。アンカー部材を補強用リブに設けると、耐摩耗性キャスタブル被覆層が補強用リブから分離するのを確実に防止できる。
【0029】
図3は、変形部6の矯正を行う別の方法を説明するために用いる図である。この方法では、プレナムチャンバ2の底壁部3に現れた変形部6の中心部に鉄製の可動部材15の一端を溶接により固定する。可動部材15の他端には、フレーム16が固定されている。そしてフレーム16の両端と変形部6の両側に位置する底壁部3の外壁部分との間には、油圧ジャッキ17及び19が配置されている。油圧ジャッキ17及び19の基部は設置用治具18及び20を介して底壁部3の外壁部分に支持されており、油圧ジャッキ17及び19の先端は、フレーム16に当たっている。変形部6の矯正をする際には、油圧ジャッキ17及び19を徐々に駆動して可動部材15の他端に力を加えて可動部材を変位させ、変形部6をフレーム16側に引き出す。変形部6が元の状態になった後、変形部6から可動部材15の一端を分離する。この方法で矯正すると、専用の治具を用いることなく変形部6の矯正を行える利点がある。
【0030】
図4(A)は、本発明の第2の実施の形態の方法により修復した流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの外壁面の斜視図を示しており、(B)は内壁面の斜視図を示している。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の部材に、図1乃至図3に付した符号に100の符号を加えた符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態では図4(B)に示すように、プレナムチャンバの内壁面104に補強構造114として複数の補強用リブ(112A乃至113H)が溶接されている。具体的には、プレナムチャンバ102の底壁部103の中心点を中心として6本の環状補強用リブ112A乃至112Fと、中心点を中心として放射状に延びる8本の放射状補強用リブ113A乃至113Hとから補強構造114が構成されている。
【0031】
また、図4(A)に示すように、プレナムチャンバの外壁面121に補強構造123として複数の補強用リブ(125A乃至127H)が溶接されている。具体的には、プレナムチャンバ102の底壁部103の外壁面121の中心点を中心として6本の環状補強用リブ125A乃至125Fと、中心点を中心として放射状に延びる8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hとから補強構造123が構成されている。外壁面121の6本の環状補強用リブ125A乃至125Fは、内壁面104の6本の環状補強用リブ112A乃至112Fとそれぞれ対向する位置に溶接されている。外壁面121の8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hはそれぞれ、内壁面104の8本の放射状補強用リブ113A乃至113Hの隣接する2本の放射状補強用リブの間に位置する外壁面部分に溶接されている。図4(B)には、外壁面121の8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hの一部が破線で示されている。8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hをこのように溶接すると、プレナムチャンバの内壁面104及び外壁面121に、16本の放射状補強用リブ113A乃至113H並びに127A乃至127Hが均等に溶接されているので、プレナムチャンバ102を内壁面104側及び外壁面121側からも更に補強することができる。また、放射状補強用リブの間隔を狭くすることができるので、プレナムチャンバ102の周方向の補強を更に強固なものとすることができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、外壁面121の8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hはそれぞれ、内壁面104の8本の放射状補強用リブ113A乃至113Hの隣接する2本の放射状補強用リブの間に位置する外壁面部分に溶接されているが、外壁面121の8本の放射状補強用リブ127A乃至127Hをそれぞれ、内壁面104の8本の放射状補強用リブ113A乃至113Hと対向するように、外壁面121に溶接してもよい。また本実施の形態では、外壁面121の6本の環状補強用リブ125A乃至125Fを、内壁面104の6本の環状補強用リブ112A乃至112Fとそれぞれ対向する位置に溶接しているが、外壁面121の環状補強用リブを、内壁面104の環状補強用リブと対向しない位置に溶接してもよい。この場合には例えば、内壁面104の6本の環状補強用リブ112A乃至112Fの隣接する2本の環状補強用リブの間に位置する外壁面部分に、5本の環状補強用リブをそれぞれ溶接することができる。このようにすると、環状補強用リブの間隔を狭くすることができるので、プレナムチャンバ102の底壁部103の中心点から離れる方向の補強を更に強固なものとすることができる。
【0033】
なお、プレナムチャンバの内壁面に複数の補強用リブを溶接せずに、外壁面のみに複数の補強用リブを溶接するようにしてもよいのは勿論である。この場合には、図4(A)に示した複数の補強用リブ(125A乃至127H)と同様の補強用リブを、プレナムチャンバの外壁面部分に溶接すればよい。プレナムチャンバの外壁面には、ライニングがないので、本実施例によれば、リブの高さを高くしても施工が難しくなることがない。そのため、プレナムチャンバの内壁面に複数の補強用リブを溶接する第1の実施例と比べて、溶接作業の難度は高くなるものの、プレナムチャンバを十分に補強することができる。なお本実施例では、複数の補強用リブの溶接の前または後に、複数の補強用リブが溶接されていないプレナムチャンバの内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、複数の補強用リブによって、プレナムチャンバの機械的強度を全体的に高めることができる。また複数の補強用リブをプレナムチャンバの内壁面に溶接する場合には、複数の補強用リブを含めて再度耐摩耗性被覆層でプレナムチャンバの内壁面を被覆するため、複数の補強用リブの摩耗を防止でき、修復後のプレナムチャンバの再変形を確実に防止することができる。また補強用リブをプレナムチャンバの外壁面に溶接してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 再生塔
2 プレナムチャンバ
3 底壁部
4 内壁面
5 耐摩耗性被覆層
6 変形部
7 矯正面
8 治具
9 油圧ジャッキ
10 設置用治具
11 鏡板
12A乃至12E,112A乃至112F,125A乃至125F 環状補強用リブ
13A乃至13H,113A乃至113H,127A乃至127H 放射状補強用リブ
14 補強構造
15 可動部材
16 フレーム
17 油圧ジャッキ
18 設置用治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面が耐摩耗性被覆層によって被覆されている流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの変形を修復する方法であって、
前記プレナムチャンバの前記内壁面から前記耐摩耗性被覆層を除去し、
その後前記プレナムチャンバの変形部を矯正し、
その後前記プレナムチャンバの前記内壁面上に複数の補強用リブを溶接し、
その後前記複数の補強用リブを含めて前記プレナムチャンバの前記内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆することを特徴とする流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項2】
前記プレナムチャンバの前記変形部の変形前の正常な内壁面形状に合致した矯正面を有する治具を用意し、
前記治具の前記矯正面を前記変形部に押し付けて前記変形部の内壁面を前記矯正面に沿わせることにより前記変形部を元の形状に矯正することを特徴とする請求項1に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項3】
前記プレナムチャンバの前記変形部の中心部に可動部材の一端を固定し、
その後前記可動部材の他端に力を加えて前記可動部材を変位させることにより前記変形部を矯正し、
その後前記変形部から前記可動部材の一端を分離することを特徴とする請求項1に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項4】
前記複数の補強用リブは、前記プレナムチャンバの中心点を中心とする複数の環状補強用リブと、前記中心点を中心として放射状に延びる複数の放射状補強用リブとからなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項5】
前記複数の環状補強用リブ及び前記複数の放射状補強用リブには、前記耐摩耗性被覆層に対してアンカーとなる複数のアンカー部材が固定されている請求項4に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項6】
更に前記プレナムチャンバの外壁面上に複数の補強用リブを溶接することを特徴とする請求項1に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項7】
前記外壁面に溶接する前記複数の補強用リブは、前記プレナムチャンバの前記外壁面の中心点を中心とする複数の環状補強用リブと、前記中心点を中心として放射状に延びる複数の放射状補強用リブとからなる請求項6に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項8】
前記外壁面に溶接する前記複数の補強用リブの前記複数の放射状補強用リブは、前記内壁面に溶接する前記複数の補強用リブの前記複数の放射状補強用リブと対向しない位置に溶接されていることを特徴とする請求項7に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項9】
前記外壁面に溶接する前記複数の補強用リブの前記複数の環状補強用リブは、前記内壁面に溶接する前記複数の補強用リブの前記複数の複数の環状補強用リブと対向しない位置に溶接されていることを特徴とする請求項7または8に記載の流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。
【請求項10】
内壁面が耐摩耗性被覆層によって被覆されている流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバの変形を修復する方法であって、
前記プレナムチャンバの前記内壁面から前記耐摩耗性被覆層を除去し、
その後前記プレナムチャンバの変形部を矯正し、
前記プレナムチャンバの外壁面上に複数の補強用リブを溶接し、
前記複数の補強用リブの溶接の前または後に、前記プレナムチャンバの前記内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆することを特徴とする流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ修復方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−214787(P2012−214787A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79107(P2012−79107)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】