説明

浄水器

【課題】蛇口先端部のふちの有無や口径の差異に左右されることなく対応し、さらには、蛇口先端部が欠けている場合でも漏水を防ぎ、しかも工具を使用することなく容易に且つ着脱自在に蛇口直結型浄水器の取水口を蛇口に取り付けられる浄水器を提供すること。
【解決手段】雄ねじを有する浄水器本体部10と、内周に雌ねじを有するリング状部材20とから成る浄水器4において、リング状部材20を浄水器本体部10にねじ込むこむことによって、リング状部材20の内周側に配設された縮径部材40が弾性的に変形し、縮径部材40の内周側に配設された弾性部材30が押圧されて変形し、蛇口の外周面に密着することで蛇口に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に関し、より詳細には、水道の蛇口に取水口を接続させるための蛇口接続部を備えた蛇口直結型浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上水道等から供給される原水を浄化する方法として、例えば上水道等の蛇口に浄水器を取り付けて原水の浄化を図るものがある。取り付ける浄水器は様々なタイプのものがあるが、原水を供給する蛇口にナットを介して浄水器本体を取り付ける蛇口直結型浄水器が多く用いられている。
【0003】
蛇口には、断面が円形で先端に拡径部を有する蛇口や、断面が円形で先端に拡径部が無い蛇口、断面が円形で先端にネジが切ってある泡沫蛇口などがある。断面が円形で先端に拡径部を有する蛇口に対しては、例えば特許文献1のような、内径が蛇口2の外径と同じ大きさの固定用リング60を蛇口の拡径部3の上に装着し、固定用リング60を挟む形でリング状部材20を浄水器本体部10に締結する方法が一般に使用されている。このとき、パッキン50が蛇口の先端に密着することで、水密的に固定できる。この取り付け方法を図3に示す。
【0004】
しかしながら、各家庭により蛇口の口径が各々異なるために、様々な口径に対応し得る固定用リングを多数用意しなければならない。また、蛇口が、断面が円形で先端に拡径部が無い蛇口である場合には、蛇口に固定用リングが引っかからないため、取り付けが不可能である。また、蛇口が、断面が円形で先端にネジが切ってある泡沫蛇口である場合には、固定用リング以外に複数種類の泡沫蛇口用アダプターが必要となる。
【0005】
このように、一般家庭の蛇口には様々なタイプがあることから、浄水器を取り付けるためには、様々なタイプのアダプターを揃える必要があり、部材の点数が多くなり取り扱いが煩雑になると共にコスト高ともなるといった問題点があった。さらには、蛇口の先端部が欠けている場合には、上記のような取り付け方法では漏水するという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−333448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、蛇口先端部の拡径部の有無や口径の差異に左右されることなく対応し、さらには、蛇口先端部が欠けている場合でも漏水を防ぎ、しかも工具を使用することなく容易に且つ着脱自在に取水口を蛇口に取り付けられる蛇口直結型浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の浄水器は、雄ねじを有する浄水器本体部と、内周に雌ねじを有するリング状部材とを有する浄水器であって、前記リング状部材の内周側に設けられ、前記リング状部材の雌ねじを前記浄水器本体部の雄ねじにねじ込むことによって径寸法が縮径される縮径部材と、該縮径部材の内周側に設けられ、前記縮径部材の径寸法が縮径されることによって径方向に縮径され蛇口の外周面に接する弾性部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、リング状部材の雌ねじを本体部材の雄ねじにねじ込む際に、縮径部材の径が最も小さくなるようリング状部材の内周側の傾斜部と、縮径部材の外周側の傾斜部とが当接していることが好ましい。
【0010】
また、同様に浄水器本体部の内周側の傾斜部と、縮径部材の外周側の傾斜部とが当接していることが好ましい。
【0011】
また、縮径部材の弾性力による反発力を低下させ、リング状部材の雌ねじを本体部材の雄ねじにねじ込みを容易にするために部材縮径部材が複数の切欠を有することが好ましい。
【0012】
また、縮径部材が樹脂成形部材であることが好ましい。
【0013】
また、弾性部材が、縮径部材の径変化に伴って径寸法が変わる径可変部と、径寸法が変わらない径不変部とから成ることが好ましい。
【0014】
また、前記弾性部材が略円筒状のゴム成形部材であることが好ましい。
【0015】
また、前記弾性部材に粒状取り付け強度増強材を混ぜ込んであることが好ましい。
【0016】
また、浄水器本体部がボディと、雄ねじを有するアダプターとから成り、ボディとアダプターとが締結されていてもよい。
また、ボディとアダプターとの間に第2弾性部材が介在してもよい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によると、リング状部材を浄水器本体部に締結することにより、縮径部材が弾性的に変形し、縮径部材の内周側にある弾性部材が押圧されて変形し、蛇口の外周面に密着する。したがって、蛇口の外径が弾性部材の内径よりも小さければ、外径寸法の大小に関わらず、浄水器本体部を蛇口に固定することができる。また、蛇口の外周面によって固定・シールされるため、蛇口は、先端部の拡径部が有っても無くても、またはネジ式の泡沫型等いかなるものであっても、浄水器本体部の取り付けが可能である。さらには、蛇口先端部が欠けている場合であっても、弾性部材を密着・固定する部分を蛇口先端から少し離すことでシールでき、漏水を防ぐことができる。また、浄水器本体部にリング状部材をねじ込むだけで、浄水器本体部を蛇口に取り付けることができるため、工具を使用する必要もない。
【0018】
請求項2または3に係る発明によると、縮径部材の外周側に傾斜部を設け、リング状部材の傾斜部と縮径部材の傾斜部、および浄水器本体部の傾斜部と縮径部材の傾斜部とをそれぞれ当接させることで、縮径部材をスムーズかつ均等に縮径することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によると、縮径部材に上下交互に複数の切欠を設けることで、小さい力で縮径でき、リング状部材をねじ込む力も大きくなく、容易に回すことができる。
【0020】
請求項5に係る発明によると、縮径部材の材質を樹脂成形部材とすることで、射出成形可能であり、複雑な形状をしているにも関わらず、安価で精度良く作ることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によると、弾性部材は押圧されても径寸法が変わらないよう肉厚を厚くした径不変部と径寸法が縮径しやすいよう肉厚を薄くした径可変部を持つことで、径不変部では、弾性部材と浄水器本体部との水密性を保ち、径可変部では、容易に縮径し、蛇口に確実に密着することができる。
【0022】
請求項7に係る発明によると、弾性部材の材質を略円筒状のゴム成形部材とすることで、断面が大きな摩擦力を生じながら円形の蛇口にしっかりと密着し、また、水密を保つことができる。
【0023】
請求項8に係る発明によると、弾性部材に粒状取り付け強度増強材を混ぜ込むことで、該増強材が蛇口の外表面にしっかり咬み込んで、蛇口との取り付け強度を増すことができる。
【0024】
請求項9に係る発明によると、浄水器本体部がボディと雌ねじまたは雄ねじを有するアダプターとから成り、ボディとアダプターを締結させることで、浄水器本体部が従来技術に基づく設計であっても、アダプターがリング状部材と締結し、本発明の取り付け機構が適用できる。
【0025】
請求項10に係る発明によると、従来設計の浄水器本体部のボディとアダプターとの間に第2弾性部材を介在させることで、浄水器本体部とアダプターとの水密性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である浄水器を示した要部断面側面図である。
【図2】図2は、図1に示した浄水器の取付状態を示した要部断面側面図である。
【図3】図3は、従来の浄水器の取付状態を示した要部断面側面図である。
【図4】図4は、本発明の一部部材である縮径部材の平面図である。
【図5】図5は、図4のA−A矢視図である。
【図6】図6は、図4のB−B矢視図である。
【図7】図7は、本発明の一部部材である縮径部材の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る浄水器(蛇口直結型浄水器)の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の蛇口直結型浄水器を示したもので、接続対象となる蛇口(管体)1は、断面が円形で先端に拡径部が無い蛇口を例示してある。
【0029】
浄水器4は、浄水器本体部10およびリング状部材20を備えている。浄水器本体部10の上部には円筒部11が設けられ、その外周面には雄ねじ12が、内周面には傾斜部13が設けられている。雄ねじ12の中心軸に対する傾斜部13の傾斜角αは、後述の縮径部材40をスムーズかつ効果的に縮径させるために25〜55°が好ましく、35〜45°がより好ましい。
【0030】
リング状部材20は、円筒部21と、蛇口1よりも大きい内径の開口を有する天面部22とから成り、天面部22の下側には傾斜部23が設けられている。円筒部21の内周面には雌ねじ24が設けられており、浄水器本体部10の円筒部11の雄ねじ12に螺合する。雌ねじ24の中心軸に対する傾斜部23の傾斜角βは、傾斜部13同様、25〜55°が好ましく、35〜45°がより好ましい。さらに傾斜部13の傾斜角αとほぼ同じ(±5°)にすれば、縮径部材40を確実に縮径することができる。また、リング状部材20の外周面は、例えば多角形としたり、凹凸をつけた形状とし、容易に締め付けることができる構造にすることが望ましい。
【0031】
リング状部材20は、ねじ締め付けによる負荷と、通水時の水圧による負荷が加わるので、機械的強度が高い材料を使用することが好ましい。デザイン性も重視すると樹脂成形材料が良く、機械的強度が高いポリアセタール、ポリカーボネート、ABS樹脂がより好ましい。
【0032】
リング状部材20の内周側には縮径部材40が配設されている。縮径部材40は、第1傾斜部41と、第2傾斜部42と、定径部43とから成り、第1傾斜部41は、浄水器本体部10の傾斜部13と当接するように、その傾斜角γを傾斜部13の傾斜角αと合わせてある。第2傾斜部42についても同様で、リング状部材20の傾斜部23と当接するように、その傾斜角θを傾斜部23の傾斜角βと合わせてある。第1傾斜部41、第2傾斜部42、定径部43とも、その内径は、後述の弾性部材30の径可変部32の外径よりもわずかに大きくしている。
【0033】
縮径部材40は、リング状部材20を大きなトルクを要することなく浄水器本体部10にねじ込むことができるように、上下交互に複数の切欠を有している。複数の切欠を有することで、縮径部材40の弾性力による反発力を低下させ、容易に縮径できる。
【0034】
図4から図7に縮径部材の一例を示す。図4は縮径部材40の上面図、図5は図4のA−A矢視図、図6は図4のB−B矢視図、図7は縮径部材の正面図・一部断面図を示している。ここで、上下の方向とは、図4においては紙面に垂直な方向をいい、図7においては縦の方向をいう。
【0035】
縮径部材40の高さHは、3〜30mmの範囲であることが、取り付けの容易さや蛇口1への接着の観点から望ましい。30mmを超えると縮径に力を要し、また、リング状部材20が大きくなり見栄えが悪い。3mm未満であると後述の弾性部材30の縮径面積が低下し、蛇口1への接着強度が低下する。
【0036】
また、肉厚tは、材質により適宜決定すればよいが、縮径のしやすさと縮径部材40の強度の観点から、例えば樹脂成形材料であれば、1〜10mmが好ましく、金属であれば0.5〜5mmであることが好ましい。
【0037】
また、切欠の深さhを0.6×H〜0.85×Hの範囲とすれば、過大な力を要することなく縮径できる。0.7×H〜0.8×Hの範囲であれば、より容易に縮径できる。切欠の深さhが、0.6×H以下であると、縮径部材40の剛性が高くなり、縮径には過大な力を要する。0.85×H以上であると、縮径部材そのものの強度が落ちてしまう。切欠の数を、上下それぞれ10〜20箇所とすれば、過大な力を要することなく縮径できる。9箇所以下であると、縮径部材40の剛性が高くなってしまい、21箇所以上であると、縮径部材40そのものの強度が落ちてしまう。
【0038】
様々な径寸法の蛇口に対応するために、初期の内径をDとすると、最も縮径したときの内径dが、0.6×D〜0.85×Dの範囲であることが好ましい。内径dが0.85×D以上であると、対応できる蛇口が数少なくなってしまう。0.6×D以下であることは、蛇口への対応としては望ましいが、縮径部材40そのものの強度が低下したり、一度縮径させたら塑性変形して、元の形に戻らないという不具合が生じる。
【0039】
縮径部材40は複雑な形状をしているので、射出成形による樹脂成形部材としての量産が望ましい。安価で精度良く作ることができる。
【0040】
縮径部材40の材料としては、大きな力を要することなく容易に変形する柔らかいもので、しかも塑性変形しにくいものが良く、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂が好ましい。
【0041】
縮径部材40の内周側には弾性部材30が配設されている。弾性部材30は略円筒状で、径寸法が変わらない径不変部31と、縮径部材40に押されて径寸法が変わる径可変部32から成る。
【0042】
径不変部31の内径は蛇口1の外径よりも大きく、外径は、浄水器本体部10の円筒部11の内径よりも0.1〜1mm大きい。径不変部31は、肉厚を例えば2.5〜4mmとして剛性を高めている。径不変部31を浄水器本体部10の円筒部11に嵌入させれば、径不変部31の外周面と円筒部11の内周面がしっかりと密着し、弾性部材30と浄水器本体部10を水密性を保った状態で連結できる。
【0043】
径可変部32の内径は、径不変部31と同じであるが、外径は、径不変部31よりも小さく、径可変部の肉厚は例えば1〜2.2mmである。縮径部材40の縮径によって、径可変部32は絞り込まれるように縮径するが、肉厚が薄いので縮径しやすく、蛇口1の外周面に確実に密着する。したがって通水により浄水器4に水圧がかかっても、蛇口1から浄水器4が脱落することは無く、水が外部に漏れることも無い。また浄水器4の切換レバー等での流路切換操作を行ったり、浄水器4に食器等を誤って当てたりしても、浄水器4が蛇口1からずれることは無い。径可変部32は、径不変部31の一端面から突出するように、径不変部31と一体成形してある。
【0044】
弾性部材30に用いる材質は弾性変形するものであれば特に限定されないが、安全性が高く、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムが好ましい。
【0045】
生産性と品質を考慮すると、金型を用いた成形品がより好ましい。ゴム硬度としては、50〜80°が好ましく、変形が容易で、かつ十分な密着強度をもたせるために60〜75°がより好ましい。
【0046】
弾性部材30に粒状取り付け強度増強材を均一に混ぜ込んでおけば、蛇口1に取り付けた際に、該増強材が蛇口1の外表面に咬み込んで、蛇口1との取り付け強度を増すことができる。該増強材としては、研磨砥粒を好適に用いることができる。研磨砥粒としては、比較的安価で、汎用な人造砥粒であるアルミナ質砥粒や炭化ケイ素質砥粒が好ましい。弾性部材30の成形を行う段階で研磨砥粒を混ぜ込めば、弾性部材30と研磨砥粒がしっかりと固着する。簡単に一体成形することができ、安価である。前記増強材には、蛇口1より高硬度で、表面形状に鋭角を有する金属粒も用いることができる。
【0047】
上記のように構成した浄水器を蛇口1に取り付ける手順について以下に説明する。まず、弾性部材30の径可変部32の外周に縮径部材40を装着し、浄水器本体部10に装着する。続いて、リング状部材20の雌ねじ24を浄水器本体部10の雄ねじ12にねじしろ一周ほど螺合させる。次に、浄水器本体部10に装着した弾性部材30の内周側に蛇口1の先端部を挿入し、リング状部材20を回転させて雌ねじ24を雄ねじ12にねじ込む。
【0048】
浄水器本体部10の傾斜部13と、リング状部材20の傾斜部23との距離が縮まることで縮径部材40が径方向に押圧されて縮径し、弾性部材30の径可変部32が内周側に押しこまれて蛇口1の外表面に密着する。これにより、弾性部材30および縮径部材40を介して、リング状部材20と浄水器本体部10が蛇口1に固定され、同時に弾性部材を介して蛇口1の管部と浄水器本体部11が水密的に連結される。すなわち浄水器本体部10が確実に蛇口1に取り付けられる。
【0049】
なお、蛇口1の軸方向の位置決めや、蛇口1に浄水器本体部10を取り付けた場合のずれ防止などの観点から、蛇口1の先端部を浄水器本体部10の蛇口当接部14に押し当てておくことが好ましい。
【0050】
上記のように取り付ける浄水器においては、図2に示すように、浄水器本体部10にリング状部材20を締結すると縮径部材40が弾性的に変形し、弾性部材30の径可変部32が押圧されて弾性的に変形することで、蛇口1の外周面に確実に密着する。したがって、蛇口1の外径が弾性部材30の内径よりも小さければ、外径寸法の大小に関わらず、浄水器本体部10を蛇口1に固定することができ、通水時に漏水するおそれもない。また、蛇口1の外周面にて固定・シールされるため、蛇口の先端部に拡径部が有っても無くても、ネジ式の泡沫型等いかなるものであっても、浄水器本体部10が取り付け可能である。蛇口1の先端部が欠けている場合でも、弾性部材40を密着・固定する部分を蛇口1の先端から少し離せば確実にシールでき、通水時に水が漏れるおそれはない。また、弾性部材30の径不変部31の外周面と浄水器本体部10の円筒部11の内周面が密着しているため、浄水器本体部10付近からも水が漏出するおそれはない。
【0051】
リング状部材20の雌ねじ24を浄水器本体部10の雄ねじ12に螺合させると、浄水器本体部10の傾斜部13と縮径部材40の傾斜部41が当接し、リング状部材20の傾斜部23と縮径部材40の傾斜部42が当接する。リング状部材20の雌ねじ24を浄水器本体部10の雄ねじ12にねじ込んでいけば、リング状部材20と浄水器本体部10との距離は縮まり、傾斜部13と傾斜部23の距離が縮まる。縮径部材40の傾斜部41と傾斜部42は、傾斜部13と傾斜部23にそれぞれ当接しているので確実に押圧され、縮径部材40がスムーズかつ均等に縮径する。縮径部材40が縮径することで弾性部材30の径可変部32は径方向に押圧される。弾性部材30が略円筒状のゴム成形部材であるので、断面が円形の蛇口1にしっかりと密着し、大きな摩擦力を生じながら、水密を保つことができる。
【0052】
弾性部材30が径可変部31と径不変部32とから成るので、蛇口1の外表面とのシールと、浄水器本体部10とのシールを同時に達成できる。部材点数が増えてコストアップになったり、複数の部材を連結させる複雑な構造になることがない。
【0053】
以上のように、浄水器本体部10にリング状部材20をねじ込むだけで、蛇口1に浄水器本体部10を確実に取り付けることができ、工具を使用する必要はない。縮径部材40が上下交互に複数の切欠を有するので、小さい力で縮径でき、リング状部材20をねじ込む力も大きくなく、容易に回すことができる。縮径部材40は複雑な形状をしているが、樹脂成形部材なので、金型を用いた射出成形により精度よく量産でき、安価である。
【0054】
浄水器本体部10と蛇口1の取り付け強度は、弾性部材30と蛇口1の外周面との摩擦力によるが、弾性部材30に研磨砥粒などの粒状取り付け強度増強材を混ぜ込むことで向上する、すなわち混ぜ込んだ研磨砥粒などの粒状取り付け強度増強材が蛇口の外周面としっかりと噛み合うことで摩擦力がアップし、より強大な取り付け強度を容易に得ることができる。通水時に大きな水圧が負荷されても、蛇口1から外れるおそれはない。
【0055】
なお、蛇口1から浄水器本体部10を取り外す場合には、リング状部材20の雌ねじ24を浄水器本体部10の雄ねじ12から緩める。リング状部材20と浄水器本体部10の距離が大きくなり、浄水器本体部10の傾斜部13とリング状部材20の傾斜部23の距離も大きくなる。縮径部材41は弾性により元の形に戻ろうとするので、縮径部材40の傾斜部41は傾斜部13に、傾斜部42は傾斜部23に当接しながら拡径する。弾性部材30の径可変部32が拡径し、それに伴って弾性部材30も元の形に戻ろうとする力で拡径する。弾性部材30の径可変部32が蛇口1の外表面から離れ、浄水器本体部10を蛇口1から容易に取り外すことができるようになる。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、浄水器本体部10の円柱状突起部11の外周面に雄ねじ12を、またリング状部材20の円筒部21の内周面に雌ねじ24を設けてあるが、浄水器本体部10の円筒部11の内周面に雌ねじを、リング状部材20の円筒部21の外周面に雄ねじをお互いが螺合できるように設けてもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態では、浄水器本体部10とリング状部材20を締結しているが、連結部材を介して締結してもよい。すなわち、浄水器本体部のボディと連結部材をねじ締結して一体化し、連結部材をとリング状部材を締結することもできる。浄水器本体部が従来の設計に基くものであっても、リング状部材がねじ込み可能な連結部材を取り付ければ、本発明の蛇口取り付け機構が適用できる。浄水器本体部のボディと連結部材は、ねじによる締結が望ましいが、雄ねじと雌ねじをどちらに設けても差し支えない。この場合、従来の設計に基く浄水器本体と連結部材の水密を保つために、浄水器本体部のボディと連結部材の間に第2弾性部材を介在させてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:断面が円形で先端に拡径部が無い蛇口
2:断面が円形で先端に拡径部が有る蛇口
3:蛇口の拡径部
4:浄水器
10:浄水器本体部
11:円筒状突起部
12:雄ねじ
13:傾斜部
14:蛇口当接部
20:リング状部材
21:円筒部
22:天面部
23:傾斜部
24:雌ねじ
30:弾性部材
31:径不変部
32:径可変部
40:縮径部材
41:第一傾斜部
42:第二傾斜部
43:定径部
50:パッキン
60:固定用リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじを有する浄水器本体部と、
内周に雌ねじを有するリング状部材と
を有する浄水器であって、
前記リング状部材の内周側に設けられ、前記リング状部材の雌ねじを前記浄水器本体部の雄ねじにねじ込むことによって径寸法が縮径される縮径部材と、
該縮径部材の内周側に設けられ、前記縮径部材の径寸法が縮径されることによって径方向に縮径され蛇口の外周面に接する弾性部材と
を備えたことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記リング状部材の内周側の傾斜部と、前記縮径部材の外周側の傾斜部とが当接していることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記浄水器本体部の内周側の傾斜部と、前記縮径部材の外周側の傾斜部とが当接していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記縮径部材が上下交互に複数の切欠を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項5】
前記縮径部材が樹脂成形部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項6】
前記弾性部材が、前記縮径部材の径変化に伴って径寸法が変わる径可変部と、径寸法が変わらない径不変部とから成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項7】
前記弾性部材が略円筒状のゴム成形部材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項8】
前記弾性部材に粒状取り付け強度増強材を混ぜ込んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項9】
前記浄水器本体部がボディと、雄ねじまたは雌ねじを有するアダプターとから成り、ボディとアダプターが締結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の浄水器。
【請求項10】
前記ボディと前記アダプターとの間に第2弾性部材が介在することを特徴とする請求項9に記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−167639(P2011−167639A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33977(P2010−33977)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(395018963)株式会社日本精機研究所 (2)
【Fターム(参考)】