浮き床構造
【課題】床仕上げ板を用いるシート防水工法において、防水性を確保すると共に使用される部材を削減し、施工コストを低減でき、さらに改修工事を簡略化できる浮き床構造を提供する。
【解決手段】防水下地1に熱可塑性樹脂製防水シート2を敷設し、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、ボルト部32を立設した台座31からなる支持架台3を、架台固定ビス312で防水下地に固定し、増し張りシート5で支持架台の台座を覆い、熱可塑性樹脂製防水シートに溶着し、内側にメネジ部62を有する仕上げ板受け具6を支持架台に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け部61と挟持具81とで固定する。改修の際、挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定する改修浮き床構造とした。
【解決手段】防水下地1に熱可塑性樹脂製防水シート2を敷設し、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、ボルト部32を立設した台座31からなる支持架台3を、架台固定ビス312で防水下地に固定し、増し張りシート5で支持架台の台座を覆い、熱可塑性樹脂製防水シートに溶着し、内側にメネジ部62を有する仕上げ板受け具6を支持架台に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け部61と挟持具81とで固定する。改修の際、挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定する改修浮き床構造とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンクリート系防水下地のシート防水工法において、床仕上げ板を防水シート上に浮かして施工する浮き床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの屋上はアスファルト防水の上に、コンクリートを流し込んだシンダー押さえ工法が主流であったが、近年の石油価格高騰と環境問題から、アスファルト防水シンダー押さえ工法が敬遠されつつあり、それに変わる塩ビシート防水シンダー押さえ工法が増える方向にある。また、最近では防水層の上に保護層としてのコンクリートを打設しない乾式の押さえ工法、浮き床工法などが提案されている。
【0003】
一般に、シート防水工事ではコンクリート系防水下地に防水シートを接着剤により接着固定、或いは固定金具を用いて機械的固定した後、隣り合った防水シート同士を接合して防水シートが施工される。上記乾式の押え工法は、施工された防水シート上に、1〜5mm厚みの発泡ポリエチレンシート、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維系の不織布、ポリエチレンを発泡させた格子状ネット等の緩衝材を敷設後、その上に、コンクリート系成形品、セラミック系焼成品、木質系品等の化粧兼歩行保護用床仕上げ板を、複数枚敷き並べていくものである。この乾式の押え工法で、防水シートを機械的固定する場合は、その固定金具の位置に上記床仕上げ板が載ると、段差によりガタツキが生じその調整をするために過大な手間が掛かり、さらに歩行等により床仕上げ板が損傷するなどの問題点も生じる。また、防水シートを機械的固定する押え工法では、下地の不陸を拾いやすく仕上がり状態も好ましいものではないという問題点がある。
【0004】
上記浮き床工法は、上述のように施工した防水シート上の所定位置に床仕上げ板設置用の高さ調整付き支持架台を載置或いは固定し、その支持架台に床仕上げ板を固定するものである。図13、14の如く支持架台は防水シート上に碁盤目のように配置され、1つの支持架台には4つの床仕上げ板の隅が載り、床仕上げ板の4隅がすべて別の支持架台に載るようにする。この浮き床工法では、表面はフラットとなり上述の押え工法に比べてきれいに仕上がるが、この工法は押え工法と比べると、防水シートを防水下地に施工して、それから支持架台を防水下地に固定し、さらに床仕上げ板を支持架台に固定するため、使用する部材、施工の工数が増えてコスト的に割高に成ってしまうという欠点がある。
【0005】
更に、防水シートが劣化したり傷ついた場合には改修工事が必要であるが、上述したどちらの工法も改修時には、床仕上げ板を撤去しなければならず、ましてや、浮き床工法では、支持架台を防水下地に固定していた場合は、その取り外しを含めて防水の改修工事が非常に大掛かりなものとなってしまう。
【0006】
浮き床工法では、床仕上げ板の固定部が仕上げ板の上面を突出しない固定工法(特許文献1)、防水シートに孔を開けずに支持部材を固定する方法(特許文献2)が提案されている。特許文献1の方法は床仕上げ板の側面に溝を設け、この溝に固定部を収納して固定部が仕上げ板の上面を突出しないようにしたものであり、特許文献2の方法は支持架台の下面に接合部材を設け、下地に施工された防水シートにこの接合部材を溶着して防水シートに孔を開けることなく支持架台を下地に固定する方法である。上述した浮き床工法の問題点、すなわち使用する部材の削減、施工工数の低減、改修工事の簡略化などについては検討されておらず、開発が望まれている。
【特許文献1】特開2001−173204号公報
【特許文献2】特開2004−285614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、床仕上げ板を用いるシート防水工法において防水性を確保すると共に、使用される部材及び施工工数を削減し、結果として施工コストを低減することができ、さらに改修工事を簡略化できる浮き床構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
防水下地に熱可塑性樹脂製防水シートを敷設し、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、台座及び台座から立設したボルト部からなり台座及びボルト部下部を熱可塑性樹脂で被覆した支持架台を、架台固定ビスで防水下地に固定すると共に該熱可塑性樹脂製防水シートを防水下地に固定し、
増し張りシートで支持架台の台座を覆い、増し張りシートと熱可塑性樹脂製防水シート及び支持架台の台座とを溶着し、
内側にメネジ部を有する仕上げ板受け部を支持架台のボルト部に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け部と挟持具とで固定する浮き床構造としたことであり(請求項1)、
改修の際、請求項1に記載の浮き床構造から挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定する改修浮き床構造としたことである(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
従来のように防水シートを下地に接着剤、固定金具などで固定してから、支持架台を下地に固定する2工程は必要なく、1工程で済む。すなわち、支持架台の台座で防水シートを固定するので、防水シートと支持架台の下地への固定を1工程で同時に行うことができ、部材の削減、工数の低減が図れる。また、支持架台の台座とボルト部下部が熱可塑性樹脂で被覆されているため、増し張りシートで支持架台の台座及び防水シートとに加熱溶着または溶剤溶着することができ、その接合は強化され、防水性が充分に確保できる。更に、改修時には、支持架台を撤去することなく挟持具を取り外し、替わりに防水シート固定金具を取り付けられるので改修用熱可塑性樹脂製防水シートを床仕上げ板の上に容易に施工することができ改修工事の手間が大幅に省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態に関わる浮き床構造ついて、図面を参照して詳しく説明する。
【0011】
[実施の形態1]
図1に実施の形態1を示す。
この浮き床構造は、コンクリート系の防水下地1に熱可塑性樹脂製防水シート2を敷き並べ、熱可塑性樹脂製防水シート2上の所定位置において、架台固定ビス312により熱可塑性樹脂製防水シート2を貫通して台座31及び台座から立設したボルト部32からなる支持架台3を防水下地1に固定し、
略中央にボルト部32の外径より大きな穴51の開いた増し張りシート5を、穴51にボルト部32を通して台座31を覆うように載せ、増し張りシート5を台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに加熱溶着、溶剤溶着等で溶着し、
仕上げ板受け具6のメネジ部62をボルト部32に螺合して、仕上げ板受け具6の高さ調整を行い、仕上げ板受け具6の受け部61に床仕上げ板7を載せ、挟持具8のオネジ部82を仕上げ板受け具6のメネジ部62上部に螺合して固定する構成である。
支持架台3は熱可塑性樹脂製防水シート2の上に図14の如く碁盤目のように所要個数載置され、それぞれ防水下地1に固定される。床仕上げ板7(図中点線)は4隅を4つの支持架台3で固定され、1つの支持架台3には図13のように4つの床仕上げ板7のそれぞれ1隅が固定されるようにする。
【0012】
上記熱可塑性樹脂製防水シート2としては、塩化ビニル樹脂系防水シート、オレフィン樹脂系防水シート、アクリル樹脂系防水シート等が使用できる。塩化ビニル樹脂系防水シートが、施工性、シート同士の溶着性、防水シート固定金具との密着性の点から好ましい。熱可塑性樹脂製防水シートの厚さとしては、0.5〜5.0mmのものが使用でき、1.0〜2.5mmが好ましい。
【0013】
上記支持架台3は図3、4に示すように、台座31及び台座から立設したボルト部32からなり、台座31には防水下地に固定するためのビス穴311を複数個設けてある。台座31とボルト部32は接着剤、溶接で簡単に一体化することができるが、台座31にネジ切りしボルト部32を螺合してから溶接すると強度が向上する。
支持架台の材質としては、金属、高強度の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが使用でき、強度面からは金属がよく、中でも鋼材が良い。鋼材を使用する場合、ボルト部32の径は5〜30mmがよく、強度とコストを考慮すると10〜20mmがより好ましい。ボルト部32の長さは50〜100mmのものが使用される。台座31の厚さは、鋼材を使用する場合、1.0〜10mmがよく、強度とコストを考慮すると1.6〜6.0mmがより好ましく、2.0〜4.0mmがさらに好ましい。台座31の外径は50〜150mmのものが使用される。台座31の外径が50mmより小さいと支持架台3の収まりが不安定となり、150mmを越えると溶着の手間が掛かり強度的にも飽和し意味が無くなる。
被覆樹脂層33として、支持架台3及びボルト部32下部の5〜10mm部分を熱可塑性樹脂で被覆する必要があり、被覆樹脂層33の厚みは0.1〜3mmがよい。被覆する熱可塑性樹脂は、増し張りシート5、熱可塑性樹脂製防水シート2と同質または同種の溶着しやすい樹脂がよい。台座31は図3には円形のものを示すが、円形に限定されるものではなく多角形その他の形状でもかまわない。
架台固定ビス312により熱可塑性樹脂製防水シート2を貫通して支持架台3を防水下地1に固定する際、図1に示すごとく台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2との間に両面粘着テープ4を貼り合わせることがよく、このことにより防水性が一段と向上する。両面粘着テープ4としては、ブチル系、アクリル系、EVA系などの両面粘着テープがあるが、防水性の点ではブチル系両面粘着テープが好ましい。
【0014】
上記増し張りシート5は、図9、10に示すように支持架台部分の熱可塑性樹脂製防水シート2の防水性を確保するために増し張りされるシートで、支持架台3の台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに溶着されるシートであるため、台座31及びボルト部32下部の被覆樹脂層33及び熱可塑性樹脂製防水シート2と同質または同種の溶着しやすい樹脂から形成することが好ましい。増し張りシート5を台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに溶着した後、図1に示すように増し張りシート5とボルト部の隙間、熱可塑性樹脂製防水シート2に接する増し張りシート5端部をシーラー52で防水処理するとよい。シーラー52としては、被覆樹脂層33、熱可塑性樹脂製防水シート2、増し張りシート5と同質または同種の樹脂からなるシーラー、或いはウレタン系、変性シリコン系、シリコン系、ブチル系などのシーラーが挙げられる。
【0015】
上記仕上げ板受け具6は、図5、6に示すように内側にメネジ部62を有し、床仕上げ板7を受け部61で直接支える部材であり、メネジ部62が支持架台のボルト部32に螺合し高さ調整することが可能になっている。図5に示すように仕上げ板受け具6の受け部61とメネジ部62の形状は円形、多角形のものがよく、他の形状も使用できる。
仕上げ板受け具6の緩み防止のため、支持架台3のボルト部32又は仕上げ板受け具6のメネジ部62にエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤などの接着剤を塗布して仕上げ板受け具6の高さ調整をすることが好ましい。
【0016】
上記床仕上げ板7は、熱可塑性樹脂製防水シート2の保護と化粧材として用いられるものであり、コンクリート系成形板、セラミック系焼成板、木質系板、合成樹脂系板、金属板等の床仕上げ板が例示できる。床仕上げ板7の形状は矩形であり、1辺の長さは100〜1000mmが良く、200〜800mmがより好ましい。支持架台3は床仕上げ板7の寸法に合わせて所定位置に固定するため、100mmより小さいと支持架台3の必要数が増しコストアップになり、1000mmを越えると床仕上げ板7の強度を確保するため厚くする必要がありコストアップ、重量増につながり好ましくない。
【0017】
上記挟持具8は、図7、8に示すように挟持部81とオネジ部82とからなり、床仕上げ板7を仕上げ板受け具6の受け部61と挟んで固定するためのもので、仕上げ板受け具6のメネジ部62に挟持具8のオネジ部82を螺合して固定する。図7に示すように挟持部81の形状は円形でも多角形でも他の形状でも良い。仕上げ板受け具6と挟持具8の形状は、仕上げ板受け具6と挟持具8とで床仕上げ板7を挟持できる形状であれば特に拘るものではない。
挟持具8は挟持部81とオネジ部82を一体的に形成してもよく、別々に形成しても良い。挟持部81とオネジ部82を一体的に形成する場合、挟持部81の中央に穴を開け、穴の周囲にオネジ部82のオネジに合ったメネジを切りオネジ部82を螺合して一体に形成してもよく、さらに溶接、接着剤の塗布をしても良い。また、挟持部81の中央に穴を開けるか或いは穴を開けないで挟持部81にオネジ部82を溶接、接着剤の塗布をして固定してもよい。
挟持部81とオネジ部82を別々に形成する場合、挟持部81には、その中央にオネジ部82のネジ径より大きくオネジ部の頭部より小さな穴を開け、オネジ部82には市販の六角ボルト、ビス等を使用することができる。この場合の床仕上げ板7の固定方法は、仕上げ板受け具6の受け部61に床仕上げ板7を載せその上に挟持部81を載せて挟持部81の穴を通してオネジ部82を仕上げ板受け具6のメネジ部62に螺合することにより成される。
挟持部81の穴上部を面取りし皿ビスが収まる形状にすれば、オネジ部82に皿ビスを使用することができ金具固定ビス91を共用することもできるようになる。
【0018】
[実施の形態2]
図2に実施の形態2を示す。この実施の形態2は改修する場合の形態であり、実施の形態1の浮き床構造から挟持具8を取り外し、図11、12に示すように防水シート固定金具9を仕上げ板受け具6に金具固定ビス91で固定し改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を床仕上げ板7の上に敷き並べ、改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を防水シート固定金具9に電磁誘導加熱で溶着した改修浮き床構造である。防水シート固定金具9を金具固定ビス91により仕上げ板受け具6のメネジ部62に固定する場合、緩み防止のためネジ部分にウレタン系、エポキシ系などの接着剤を塗布すると良い。
【0019】
上記防水シート固定金具9は、その上面に改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を固定する熱溶着層を積層一体化して構成される。材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼板が好適に使用される。厚みとしては、0.6〜1.5mm程度で、形状は正方形または長方形をした矩形状のプレート状や、円形または楕円形状のディスク状など任意であり、大きさは1辺または外径が50〜100mm程度に形成される。防水シート固定金具9の上面に積層一体化される熱溶着層は、加熱により熱可塑性樹脂製防水シート2’に熱溶着できるものであればよく、熱可塑性樹脂、ホットメルト接着剤等があり、ホットメルト接着剤としては、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト接着剤等が挙げられる。
【0020】
実施の形態1の浮き床構造から挟持具8を取り外して、仕上げ板受け具6のメネジ部62に金具固定ビス91を螺合し床仕上げ板7を防水シート固定金具9で固定し、改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を施工する際に、床仕上げ板7と改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’の間に、床仕上げ板7の緩衝または気密性の確保を目的に厚さ1〜5mmのポリエチレンフォーム、ウレタンフォームなどの発泡体、厚さ0.05〜0.5mmポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどのフィルムを挟み込むとよい。
【0021】
挟持具8の替わりに、初めから防水シート固定金具9を用いても床仕上げ板7を固定することはできるが、防水シート固定金具9の上面に積層一体化されている熱溶着層は太陽光線、風雨に曝され経年劣化してしまう。そのため、改修時には改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’と溶着しても所望の溶着強度は得られず新しい防水シート固定金具に取り替えることになり、コスト面を考慮すると初めは防水シート固定金具より安価な挟持具8を使用するほうがよい。
【0022】
[他の実施の形態]
防水シートの防水下地への固定方法には、接着剤による接着工法と固定金具を使用する機械的固定法があり、機械的固定法には先付け工法と後付け工法がある。先付け工法とは先に固定金具をビスで下地の所定位置に固定し防水シートをその上から敷き並べ電磁誘導などの加熱で防水シートを固定金具に溶着するものである。後付け工法とは、下地に防水シートを敷き並べ防水シート上の所定位置に固定金具を載置し、後からビスで防水シートを貫通して固定金具を固定し、増し張りシートを固定金具を覆うように被せ、防水シートと溶着して水密性を確保するものである。
実施の形態2は先付け工法であるが、改修の際、上記の後付け工法も適用でき、さらに接着工法を併用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の浮き床構造は、支持架台の台座で熱可塑性樹脂製防水シートを固定するので、熱可塑性樹脂製防水シートと支持架台の下地への固定を同時に行うことができ、部材の削減、工数の低減が図れる。また、支持架台の台座とボルト部下部が熱可塑性樹脂で被覆されているため、増し張りシートで支持架台の台座及び防水シートに加熱溶着または溶剤溶着することができ、その接合は強化され、防水性が充分に確保できる。更に、改修時には、支持架台を撤去することなく、挟持具を取り外し、防水シート固定金具を取り付けて仕上げ板を固定してから、その上に改修用熱可塑性樹脂製防水シートを敷設し固定金具に溶着することができ改修工事の手間が大幅に省けるため、ビルの屋上防水工事など広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に関する[実施の形態1]を示す断面図である。
【図2】本発明に関する[実施の形態2]を示す断面図である。
【図3】本発明の支持架台の1つの実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】本発明の仕上げ板受け具の3つの実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の挟持具の3つの実施形態を示す斜視図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】支持架台及び増し張りシート施工の説明図である。
【図10】[実施の形態1]の施工の説明図である。
【図11】本発明の防水シート固定金具の1つの実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】床仕上げ板の施工状況を示す説明図である。
【図14】支持架台の配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 防水下地
2 熱可塑性樹脂製防水シート
2’ 改修用熱可塑性樹脂製防水シート
3 支持架台
31 台座
311 ビス穴
312 架台固定ビス
32 ボルト部
33 被覆樹脂層
4 両面粘着テープ
5 増し張りシート
51 増し張りシートの略中央の穴
52 シーラー
6 仕上げ板受け具
61 受け部
62 メネジ部
7 床仕上げ板
8 挟持具
81 挟持部
82 オネジ部
9 防水シート固定金具
91 金具固定ビス
【技術分野】
【0001】
コンクリート系防水下地のシート防水工法において、床仕上げ板を防水シート上に浮かして施工する浮き床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの屋上はアスファルト防水の上に、コンクリートを流し込んだシンダー押さえ工法が主流であったが、近年の石油価格高騰と環境問題から、アスファルト防水シンダー押さえ工法が敬遠されつつあり、それに変わる塩ビシート防水シンダー押さえ工法が増える方向にある。また、最近では防水層の上に保護層としてのコンクリートを打設しない乾式の押さえ工法、浮き床工法などが提案されている。
【0003】
一般に、シート防水工事ではコンクリート系防水下地に防水シートを接着剤により接着固定、或いは固定金具を用いて機械的固定した後、隣り合った防水シート同士を接合して防水シートが施工される。上記乾式の押え工法は、施工された防水シート上に、1〜5mm厚みの発泡ポリエチレンシート、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維系の不織布、ポリエチレンを発泡させた格子状ネット等の緩衝材を敷設後、その上に、コンクリート系成形品、セラミック系焼成品、木質系品等の化粧兼歩行保護用床仕上げ板を、複数枚敷き並べていくものである。この乾式の押え工法で、防水シートを機械的固定する場合は、その固定金具の位置に上記床仕上げ板が載ると、段差によりガタツキが生じその調整をするために過大な手間が掛かり、さらに歩行等により床仕上げ板が損傷するなどの問題点も生じる。また、防水シートを機械的固定する押え工法では、下地の不陸を拾いやすく仕上がり状態も好ましいものではないという問題点がある。
【0004】
上記浮き床工法は、上述のように施工した防水シート上の所定位置に床仕上げ板設置用の高さ調整付き支持架台を載置或いは固定し、その支持架台に床仕上げ板を固定するものである。図13、14の如く支持架台は防水シート上に碁盤目のように配置され、1つの支持架台には4つの床仕上げ板の隅が載り、床仕上げ板の4隅がすべて別の支持架台に載るようにする。この浮き床工法では、表面はフラットとなり上述の押え工法に比べてきれいに仕上がるが、この工法は押え工法と比べると、防水シートを防水下地に施工して、それから支持架台を防水下地に固定し、さらに床仕上げ板を支持架台に固定するため、使用する部材、施工の工数が増えてコスト的に割高に成ってしまうという欠点がある。
【0005】
更に、防水シートが劣化したり傷ついた場合には改修工事が必要であるが、上述したどちらの工法も改修時には、床仕上げ板を撤去しなければならず、ましてや、浮き床工法では、支持架台を防水下地に固定していた場合は、その取り外しを含めて防水の改修工事が非常に大掛かりなものとなってしまう。
【0006】
浮き床工法では、床仕上げ板の固定部が仕上げ板の上面を突出しない固定工法(特許文献1)、防水シートに孔を開けずに支持部材を固定する方法(特許文献2)が提案されている。特許文献1の方法は床仕上げ板の側面に溝を設け、この溝に固定部を収納して固定部が仕上げ板の上面を突出しないようにしたものであり、特許文献2の方法は支持架台の下面に接合部材を設け、下地に施工された防水シートにこの接合部材を溶着して防水シートに孔を開けることなく支持架台を下地に固定する方法である。上述した浮き床工法の問題点、すなわち使用する部材の削減、施工工数の低減、改修工事の簡略化などについては検討されておらず、開発が望まれている。
【特許文献1】特開2001−173204号公報
【特許文献2】特開2004−285614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、床仕上げ板を用いるシート防水工法において防水性を確保すると共に、使用される部材及び施工工数を削減し、結果として施工コストを低減することができ、さらに改修工事を簡略化できる浮き床構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
防水下地に熱可塑性樹脂製防水シートを敷設し、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、台座及び台座から立設したボルト部からなり台座及びボルト部下部を熱可塑性樹脂で被覆した支持架台を、架台固定ビスで防水下地に固定すると共に該熱可塑性樹脂製防水シートを防水下地に固定し、
増し張りシートで支持架台の台座を覆い、増し張りシートと熱可塑性樹脂製防水シート及び支持架台の台座とを溶着し、
内側にメネジ部を有する仕上げ板受け部を支持架台のボルト部に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け部と挟持具とで固定する浮き床構造としたことであり(請求項1)、
改修の際、請求項1に記載の浮き床構造から挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定する改修浮き床構造としたことである(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
従来のように防水シートを下地に接着剤、固定金具などで固定してから、支持架台を下地に固定する2工程は必要なく、1工程で済む。すなわち、支持架台の台座で防水シートを固定するので、防水シートと支持架台の下地への固定を1工程で同時に行うことができ、部材の削減、工数の低減が図れる。また、支持架台の台座とボルト部下部が熱可塑性樹脂で被覆されているため、増し張りシートで支持架台の台座及び防水シートとに加熱溶着または溶剤溶着することができ、その接合は強化され、防水性が充分に確保できる。更に、改修時には、支持架台を撤去することなく挟持具を取り外し、替わりに防水シート固定金具を取り付けられるので改修用熱可塑性樹脂製防水シートを床仕上げ板の上に容易に施工することができ改修工事の手間が大幅に省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態に関わる浮き床構造ついて、図面を参照して詳しく説明する。
【0011】
[実施の形態1]
図1に実施の形態1を示す。
この浮き床構造は、コンクリート系の防水下地1に熱可塑性樹脂製防水シート2を敷き並べ、熱可塑性樹脂製防水シート2上の所定位置において、架台固定ビス312により熱可塑性樹脂製防水シート2を貫通して台座31及び台座から立設したボルト部32からなる支持架台3を防水下地1に固定し、
略中央にボルト部32の外径より大きな穴51の開いた増し張りシート5を、穴51にボルト部32を通して台座31を覆うように載せ、増し張りシート5を台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに加熱溶着、溶剤溶着等で溶着し、
仕上げ板受け具6のメネジ部62をボルト部32に螺合して、仕上げ板受け具6の高さ調整を行い、仕上げ板受け具6の受け部61に床仕上げ板7を載せ、挟持具8のオネジ部82を仕上げ板受け具6のメネジ部62上部に螺合して固定する構成である。
支持架台3は熱可塑性樹脂製防水シート2の上に図14の如く碁盤目のように所要個数載置され、それぞれ防水下地1に固定される。床仕上げ板7(図中点線)は4隅を4つの支持架台3で固定され、1つの支持架台3には図13のように4つの床仕上げ板7のそれぞれ1隅が固定されるようにする。
【0012】
上記熱可塑性樹脂製防水シート2としては、塩化ビニル樹脂系防水シート、オレフィン樹脂系防水シート、アクリル樹脂系防水シート等が使用できる。塩化ビニル樹脂系防水シートが、施工性、シート同士の溶着性、防水シート固定金具との密着性の点から好ましい。熱可塑性樹脂製防水シートの厚さとしては、0.5〜5.0mmのものが使用でき、1.0〜2.5mmが好ましい。
【0013】
上記支持架台3は図3、4に示すように、台座31及び台座から立設したボルト部32からなり、台座31には防水下地に固定するためのビス穴311を複数個設けてある。台座31とボルト部32は接着剤、溶接で簡単に一体化することができるが、台座31にネジ切りしボルト部32を螺合してから溶接すると強度が向上する。
支持架台の材質としては、金属、高強度の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが使用でき、強度面からは金属がよく、中でも鋼材が良い。鋼材を使用する場合、ボルト部32の径は5〜30mmがよく、強度とコストを考慮すると10〜20mmがより好ましい。ボルト部32の長さは50〜100mmのものが使用される。台座31の厚さは、鋼材を使用する場合、1.0〜10mmがよく、強度とコストを考慮すると1.6〜6.0mmがより好ましく、2.0〜4.0mmがさらに好ましい。台座31の外径は50〜150mmのものが使用される。台座31の外径が50mmより小さいと支持架台3の収まりが不安定となり、150mmを越えると溶着の手間が掛かり強度的にも飽和し意味が無くなる。
被覆樹脂層33として、支持架台3及びボルト部32下部の5〜10mm部分を熱可塑性樹脂で被覆する必要があり、被覆樹脂層33の厚みは0.1〜3mmがよい。被覆する熱可塑性樹脂は、増し張りシート5、熱可塑性樹脂製防水シート2と同質または同種の溶着しやすい樹脂がよい。台座31は図3には円形のものを示すが、円形に限定されるものではなく多角形その他の形状でもかまわない。
架台固定ビス312により熱可塑性樹脂製防水シート2を貫通して支持架台3を防水下地1に固定する際、図1に示すごとく台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2との間に両面粘着テープ4を貼り合わせることがよく、このことにより防水性が一段と向上する。両面粘着テープ4としては、ブチル系、アクリル系、EVA系などの両面粘着テープがあるが、防水性の点ではブチル系両面粘着テープが好ましい。
【0014】
上記増し張りシート5は、図9、10に示すように支持架台部分の熱可塑性樹脂製防水シート2の防水性を確保するために増し張りされるシートで、支持架台3の台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに溶着されるシートであるため、台座31及びボルト部32下部の被覆樹脂層33及び熱可塑性樹脂製防水シート2と同質または同種の溶着しやすい樹脂から形成することが好ましい。増し張りシート5を台座31と熱可塑性樹脂製防水シート2とに溶着した後、図1に示すように増し張りシート5とボルト部の隙間、熱可塑性樹脂製防水シート2に接する増し張りシート5端部をシーラー52で防水処理するとよい。シーラー52としては、被覆樹脂層33、熱可塑性樹脂製防水シート2、増し張りシート5と同質または同種の樹脂からなるシーラー、或いはウレタン系、変性シリコン系、シリコン系、ブチル系などのシーラーが挙げられる。
【0015】
上記仕上げ板受け具6は、図5、6に示すように内側にメネジ部62を有し、床仕上げ板7を受け部61で直接支える部材であり、メネジ部62が支持架台のボルト部32に螺合し高さ調整することが可能になっている。図5に示すように仕上げ板受け具6の受け部61とメネジ部62の形状は円形、多角形のものがよく、他の形状も使用できる。
仕上げ板受け具6の緩み防止のため、支持架台3のボルト部32又は仕上げ板受け具6のメネジ部62にエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤などの接着剤を塗布して仕上げ板受け具6の高さ調整をすることが好ましい。
【0016】
上記床仕上げ板7は、熱可塑性樹脂製防水シート2の保護と化粧材として用いられるものであり、コンクリート系成形板、セラミック系焼成板、木質系板、合成樹脂系板、金属板等の床仕上げ板が例示できる。床仕上げ板7の形状は矩形であり、1辺の長さは100〜1000mmが良く、200〜800mmがより好ましい。支持架台3は床仕上げ板7の寸法に合わせて所定位置に固定するため、100mmより小さいと支持架台3の必要数が増しコストアップになり、1000mmを越えると床仕上げ板7の強度を確保するため厚くする必要がありコストアップ、重量増につながり好ましくない。
【0017】
上記挟持具8は、図7、8に示すように挟持部81とオネジ部82とからなり、床仕上げ板7を仕上げ板受け具6の受け部61と挟んで固定するためのもので、仕上げ板受け具6のメネジ部62に挟持具8のオネジ部82を螺合して固定する。図7に示すように挟持部81の形状は円形でも多角形でも他の形状でも良い。仕上げ板受け具6と挟持具8の形状は、仕上げ板受け具6と挟持具8とで床仕上げ板7を挟持できる形状であれば特に拘るものではない。
挟持具8は挟持部81とオネジ部82を一体的に形成してもよく、別々に形成しても良い。挟持部81とオネジ部82を一体的に形成する場合、挟持部81の中央に穴を開け、穴の周囲にオネジ部82のオネジに合ったメネジを切りオネジ部82を螺合して一体に形成してもよく、さらに溶接、接着剤の塗布をしても良い。また、挟持部81の中央に穴を開けるか或いは穴を開けないで挟持部81にオネジ部82を溶接、接着剤の塗布をして固定してもよい。
挟持部81とオネジ部82を別々に形成する場合、挟持部81には、その中央にオネジ部82のネジ径より大きくオネジ部の頭部より小さな穴を開け、オネジ部82には市販の六角ボルト、ビス等を使用することができる。この場合の床仕上げ板7の固定方法は、仕上げ板受け具6の受け部61に床仕上げ板7を載せその上に挟持部81を載せて挟持部81の穴を通してオネジ部82を仕上げ板受け具6のメネジ部62に螺合することにより成される。
挟持部81の穴上部を面取りし皿ビスが収まる形状にすれば、オネジ部82に皿ビスを使用することができ金具固定ビス91を共用することもできるようになる。
【0018】
[実施の形態2]
図2に実施の形態2を示す。この実施の形態2は改修する場合の形態であり、実施の形態1の浮き床構造から挟持具8を取り外し、図11、12に示すように防水シート固定金具9を仕上げ板受け具6に金具固定ビス91で固定し改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を床仕上げ板7の上に敷き並べ、改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を防水シート固定金具9に電磁誘導加熱で溶着した改修浮き床構造である。防水シート固定金具9を金具固定ビス91により仕上げ板受け具6のメネジ部62に固定する場合、緩み防止のためネジ部分にウレタン系、エポキシ系などの接着剤を塗布すると良い。
【0019】
上記防水シート固定金具9は、その上面に改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を固定する熱溶着層を積層一体化して構成される。材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼板が好適に使用される。厚みとしては、0.6〜1.5mm程度で、形状は正方形または長方形をした矩形状のプレート状や、円形または楕円形状のディスク状など任意であり、大きさは1辺または外径が50〜100mm程度に形成される。防水シート固定金具9の上面に積層一体化される熱溶着層は、加熱により熱可塑性樹脂製防水シート2’に熱溶着できるものであればよく、熱可塑性樹脂、ホットメルト接着剤等があり、ホットメルト接着剤としては、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト接着剤等が挙げられる。
【0020】
実施の形態1の浮き床構造から挟持具8を取り外して、仕上げ板受け具6のメネジ部62に金具固定ビス91を螺合し床仕上げ板7を防水シート固定金具9で固定し、改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’を施工する際に、床仕上げ板7と改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’の間に、床仕上げ板7の緩衝または気密性の確保を目的に厚さ1〜5mmのポリエチレンフォーム、ウレタンフォームなどの発泡体、厚さ0.05〜0.5mmポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどのフィルムを挟み込むとよい。
【0021】
挟持具8の替わりに、初めから防水シート固定金具9を用いても床仕上げ板7を固定することはできるが、防水シート固定金具9の上面に積層一体化されている熱溶着層は太陽光線、風雨に曝され経年劣化してしまう。そのため、改修時には改修用熱可塑性樹脂製防水シート2’と溶着しても所望の溶着強度は得られず新しい防水シート固定金具に取り替えることになり、コスト面を考慮すると初めは防水シート固定金具より安価な挟持具8を使用するほうがよい。
【0022】
[他の実施の形態]
防水シートの防水下地への固定方法には、接着剤による接着工法と固定金具を使用する機械的固定法があり、機械的固定法には先付け工法と後付け工法がある。先付け工法とは先に固定金具をビスで下地の所定位置に固定し防水シートをその上から敷き並べ電磁誘導などの加熱で防水シートを固定金具に溶着するものである。後付け工法とは、下地に防水シートを敷き並べ防水シート上の所定位置に固定金具を載置し、後からビスで防水シートを貫通して固定金具を固定し、増し張りシートを固定金具を覆うように被せ、防水シートと溶着して水密性を確保するものである。
実施の形態2は先付け工法であるが、改修の際、上記の後付け工法も適用でき、さらに接着工法を併用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の浮き床構造は、支持架台の台座で熱可塑性樹脂製防水シートを固定するので、熱可塑性樹脂製防水シートと支持架台の下地への固定を同時に行うことができ、部材の削減、工数の低減が図れる。また、支持架台の台座とボルト部下部が熱可塑性樹脂で被覆されているため、増し張りシートで支持架台の台座及び防水シートに加熱溶着または溶剤溶着することができ、その接合は強化され、防水性が充分に確保できる。更に、改修時には、支持架台を撤去することなく、挟持具を取り外し、防水シート固定金具を取り付けて仕上げ板を固定してから、その上に改修用熱可塑性樹脂製防水シートを敷設し固定金具に溶着することができ改修工事の手間が大幅に省けるため、ビルの屋上防水工事など広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に関する[実施の形態1]を示す断面図である。
【図2】本発明に関する[実施の形態2]を示す断面図である。
【図3】本発明の支持架台の1つの実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】本発明の仕上げ板受け具の3つの実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の挟持具の3つの実施形態を示す斜視図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】支持架台及び増し張りシート施工の説明図である。
【図10】[実施の形態1]の施工の説明図である。
【図11】本発明の防水シート固定金具の1つの実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】床仕上げ板の施工状況を示す説明図である。
【図14】支持架台の配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 防水下地
2 熱可塑性樹脂製防水シート
2’ 改修用熱可塑性樹脂製防水シート
3 支持架台
31 台座
311 ビス穴
312 架台固定ビス
32 ボルト部
33 被覆樹脂層
4 両面粘着テープ
5 増し張りシート
51 増し張りシートの略中央の穴
52 シーラー
6 仕上げ板受け具
61 受け部
62 メネジ部
7 床仕上げ板
8 挟持具
81 挟持部
82 オネジ部
9 防水シート固定金具
91 金具固定ビス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水下地に熱可塑性樹脂製防水シートを敷き並べ、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、台座及び台座から立設したボルト部からなり台座及びボルト部下部を熱可塑性樹脂で被覆した支持架台を、架台固定ビスで防水下地に固定すると共に該熱可塑性樹脂製防水シートを防水下地に固定し、
増し張りシートで支持架台の台座を覆い、増し張りシートと熱可塑性樹脂製防水シート及び支持架台の台座とを溶着し、
内側にメネジ部を有する仕上げ板受け具を支持架台のボルト部に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け具と挟持具とで固定することを特徴とする浮き床構造。
【請求項2】
改修の際、請求項1に記載の浮き床構造から挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定することを特徴とする改修浮き床構造。
【請求項1】
防水下地に熱可塑性樹脂製防水シートを敷き並べ、該熱可塑性樹脂製防水シート上の所定位置に、台座及び台座から立設したボルト部からなり台座及びボルト部下部を熱可塑性樹脂で被覆した支持架台を、架台固定ビスで防水下地に固定すると共に該熱可塑性樹脂製防水シートを防水下地に固定し、
増し張りシートで支持架台の台座を覆い、増し張りシートと熱可塑性樹脂製防水シート及び支持架台の台座とを溶着し、
内側にメネジ部を有する仕上げ板受け具を支持架台のボルト部に螺合し、床仕上げ板を該仕上げ板受け具と挟持具とで固定することを特徴とする浮き床構造。
【請求項2】
改修の際、請求項1に記載の浮き床構造から挟持具を取り外し、仕上げ板受け具のメネジ部に金具固定ビスを螺合して防水シート固定金具を固定し、防水シート固定金具により改修用熱可塑性樹脂製防水シートを固定することを特徴とする改修浮き床構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−13873(P2010−13873A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176105(P2008−176105)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
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