説明

浮上がり防止付マンホール

【課題】 浮上がり防止部材を、比較的に強度を有しながら、安価で製作可能なものとし、マンホールに安定して確実に固定し、マンホール内からの組み付けが容易な浮上がり防止付マンホールを提供する。
【解決手段】 マンホール外周面から放射方向に突出する複数本の浮上がり防止部材2を備えた浮上がり防止付マンホールにおいて、浮上がり防止部材を、マンホール内壁3に固定される固定フランジ4と、該固定フランジに接続された補強材入りコンクリート塊5とで構成し、マンホール壁に形成した浮上がり防止部材の挿通孔12に水膨張パッキン13が接着剤15で固定された浮上がり防止付マンホール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール外周面から放射方向に突出する複数本の浮上がり防止部材を備えた浮上がり防止付マンホールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,浮上がり防止付マンホールとして、マンホール壁の複数箇所の外周面に固定金具を設置し、該固定金具にマンホールの外壁から放射方向に突出させる複数本の鋼製の浮上がり防止部材を取り付けたものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−132072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来技術の浮上がり防止付マンホールでは、浮上がり防止部材が形鋼材を使用していることから高価なものであると共に浮上がり防止部材がマンホール壁の外周面の固定金具に取り付けられていることから浮上がり防止部材の固定が不安定になる虞がある。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浮上がり防止部材を、比較的に強度を有しながら、安価で製作可能なものとし、マンホールに安定して確実に固定し、マンホール内からの組み付けが容易な浮上がり防止付マンホールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明における浮上がり防止付マンホールは、浮上がり防止部材を、マンホール内壁に固定される固定フランジと、該固定フランジに接続された補強材入りコンクリート塊とで構成し、マンホール壁に形成した浮上がり防止部材の挿通孔に水膨張パッキンを接着剤で固定したものである。
【0007】
また、前記固定フランジの一面の上下に前記補強材入りコンクリート塊を支持する突起を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1においては、浮上がり防止部材を比較的に強度を有しながら、安価で製作可能なものとし、マンホールに安定して確実に固定し、マンホール内からの組み付けが容易であると共に防水効果も有する浮上がり防止付マンホールとなる。
【0009】
また、本発明の請求項2においては、前記請求項1の効果に加えて浮上がり防止部材がよりマンホールに安定して確実に固定される浮上がり防止付マンホールとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
マンホール外周面から放射方向に突出する複数本の浮上がり防止部材を備えた浮上がり防止付マンホールにおいて、浮上がり防止部材を、マンホール内壁に固定される固定フランジと、該固定フランジに接続された補強材入りコンクリート塊とで構成し、マンホール壁に形成した浮上がり防止部材の挿通孔に水膨張パッキンを接着剤で固定した浮上がり防止付マンホールである。
【実施例1】
【0011】
図1ないし図3は本発明の実施例に関するものであり、図1は浮上がり防止付マンホールの正面断面説明図、図2は浮上がり防止部材をマンホールに組み付けた平面説明図、図3はは浮上がり防止部材をマンホールに組み付ける拡大説明図である。
【0012】
図において、1はマンホールであり、該マンホール1の外周面から放射方向に複数本の浮上がり防止部材2,2,…が突出されている。
なお、浮上がり防止部材2の突出寸法は、マンホール1から約400mmから600mmであり、コスト,強度等からみて好適な寸法であり、長い方が浮上防止効果は向上する。
【0013】
前記浮上がり防止部材2は図3に示すような、マンホール内壁3に固定される固定フランジ4と、該固定フランジ4に接続された補強材入りコンクリート塊5とにより構成されている。
【0014】
前記固定フランジ4はマンホール内壁3に当接される正面視円形状であり、その外周部近傍には前記マンホール内壁3に固定フランジ4を固定するためのアンカーボルト6を挿入する複数の孔7,7,…が穿設され、その中心部には生コンクリートを注入するための生コンクリート注入口8が設けられ、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン等の合成樹脂により一体成形されている。
【0015】
前記補強材入りコンクリート塊5は後述する手法により、補強材9を生コンクリート10内に内蔵させ、浮上がり防止部材2を強固なものにする。
なお、補強材9としては例えば鉄材,鋼材,強化プラスチック等のいずれかを選択使用することができ、この補強材9はコンクリート塊成形型(図示せず。)内に配置させて、該コンクリート塊成形型と固定フランジ4を接続させて、生コンクリート10を固定フランジ4の生コンクリート注入口8からコンクリート塊成形型内に注入することにより補強材入りコンクリート塊5を構成するものである。
【0016】
以上のような構成からなる浮上がり防止付マンホールは、新設のマンホール,既存のマンホールを問わずに浮上がり防止部材2の設置が可能であるが、特に既存のマンホールにおいてマンホール内で簡単,容易に組み付けできるものである。
【0017】
先ず、図3に示すように、本実施例では予め多数の鉄筋の補強材9を複数の固定スペーサー11を使用してコンクリート塊成形型内に配置し、固定フランジ4の生コンクリート注入口8をコンクリート塊成形型内に挿入させ、生コンクリート注入口8から生コンクリート10を注入する。
そして、生コンクリート10が固化した時に前記コンクリート塊成形型を取り外すことにより、固定フランジ4に接続された補強材入りコンクリート塊5となり、前記浮上がり防止部材2が容易に成形することができる。
このように、浮上がり防止部材2は補強材入りコンクリート塊5であることから比較的に強度を有しながら、安価で製作可能なものとなる。
なお、本実施例では浮上がり防止部材2は断面円形状の円柱体に成形したが、コンクリート塊成形型により断面が四角状,三角状等、多数の形状の浮上がり防止部材の成形が可能である。
【0018】
次に、マンホール1の外周面から放射方向に浮上がり防止部材2を突出させたい箇所でマンホール内壁3に浮上がり防止部材2の直径の大きさに対応した挿通孔12を穿設し、該挿通孔12に水膨張パッキン13を配設する。
さらにマンホール1の外周の土に浮上がり防止部材2の直径の大きさに対応し、且つ略浮上がり防止部材2の長さに対応した孔14を穿設する。
【0019】
そして、予め固定フランジ4に接続された補強材入りコンクリート塊5をマンホール1内に搬入し、前記挿通孔12の内周に接着剤15を塗布し、補強材入りコンクリート塊5を孔14,12に配置し、固定フランジ4をマンホール内壁3に当接させる。
さらに固定フランジ4の複数の孔7,7,…にアンカーボルト6,6,…を挿入させて固定フランジ4はマンホール内壁3に安定して確実な固定をすることができる。
またさらに、挿通孔12の内周に接着剤15を塗布したことにより、水膨張パッキン13が補強材入りコンクリート塊5の外周とマンホール壁間に確実に固定されて防水効果が発揮される。
【0020】
このように、浮上がり防止部材2はマンホール1の外周に上下複数段にわたってそれぞれ複数方向(例えば四方向。)に配置されているが、浮上がり防止部材2の組み付け作業はマンホール1内から容易にすることができる。
【実施例2】
【0021】
この実施例は上記実施例における補強材入りコンクリート塊5を補強材入りコンクリート板塊16を特に採用したものである。
図4および図5は本発明の他の実施例に関するものであり、図4は浮上がり防止部材をマンホールに組み付けた平面説明図、図5は浮上がり防止部材をマンホールに組み付ける拡大説明図である。
【0022】
図5に示すように、17は固定フランジであり、該固定フランジ17はマンホール内壁3に当接される正面視円形状の固定部18と、補強材入りコンクリート板塊16の上下面を支持する突起19,19とで構成され、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン等の合成樹脂により一体成形されている。
【0023】
前記固定フランジ17の固定部18の外周部近傍には前記マンホール内壁3に固定フランジ17を固定するためのアンカーボルト20を挿入する複数の孔21,21,…が穿設され、その中心部近傍には前記補強材入りコンクリート板塊16を複数のボルト22,22,…で固定フランジ17に接続するためのボルト挿通孔23,23,…が穿設されている。
また、固定フランジ17の突起19は、断面略半円弧状で略マンホール壁の長さであり、前記補強材入りコンクリート板塊16の上下面が支持するように中心部から上下対称に突出されている。
さらに、固定フランジ17の固定部18と突起19との境界部近傍には水膨張パッキン24が配設されている。
【0024】
前記補強材入りコンクリート板塊16は、上述の実施例1と同様に補強材9として例えば鉄材,鋼材,強化プラスチック等のいずれかを選択使用することができ、この補強材9をコンクリート板塊成形型(図示せず。)内に配置させ、生コンクリート10をコンクリート塊成形型内に注入することにより補強材入りコンクリート板塊16を成形するものである。
【0025】
図4および図5に示すように、本実施例では予め多数の鉄筋の補強材9を縦横に配列し、コンクリート板塊成形型内に配置し、該コンクリート板塊成形型内に生コンクリート10を注入する。
そして、生コンクリート10が固化した時に前記コンクリート板塊成形型を取り外すことにより、補強材入りコンクリート板塊16となり、浮上がり防止部材25が容易に成形することができる。
26,26,…は、前記複数のボルト22,22,…で補強材入りコンクリート板塊16を固定フランジ17に螺着するためのボルト孔である。
なお、浮上がり防止部材25の形状は、上述の実施例1と同様に、コンクリート板塊成形型により多数の形状の成形が可能である。
【0026】
以上のような構成からなる浮上がり防止付マンホールは、新設のマンホール,既存のマンホールを問わずに浮上がり防止部材25の設置が可能であるが、特に既存のマンホールにおいてマンホール内で簡単,容易に組み付けできるものである。
【0027】
先ず、マンホール1の外周面から放射方向に浮上がり防止部材25を突出させたい箇所でマンホール内壁3に、前記固定フランジ17の突起19の略直径の大きさに対応した挿通孔27を穿設し、さらにマンホール1の外周の土に浮上がり防止部材25の断面四角状の大きさに対応し、且つ略浮上がり防止部材25の長さに対応した孔28を穿設する。
【0028】
次に、予め固定フランジ17にボルト22,22,…で接続された補強材入りコンクリート板塊16をマンホール1内に搬入し、前記挿通孔27の内周に接着剤15を塗布し、補強材入りコンクリート板塊16を孔28に配置し、固定フランジ17の突起19,19を挿通孔27に装着させ、固定フランジ17の固定部18をマンホール内壁3に当接させ、複数の孔21,21,…にアンカーボルト20,20,…を挿入させて固定フランジ17はマンホール内壁3により安定して確実な固定をすることができる。
さらに、挿通孔27の内周に接着剤15を塗布したことにより、水膨張パッキン24が補強材入りコンクリート板塊16の上下面を支持する突起19,19の外周とマンホール壁間に確実に固定されて防水効果が発揮される。
【0029】
このように、浮上がり防止部材25は補強材入りコンクリート板塊16であることから比較的に強度を有しながら、安価で製作可能なものとなると共に浮上がり防止部材25はマンホール1の外周に上下複数段にわたってそれぞれ複数方向(例えば三方向。)に配置されているが、浮上がり防止部材25の組み付け作業はマンホール1内から容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る浮上がり防止付マンホールの正面断面説明図である。
【図2】浮上がり防止部材をマンホールに組み付けた平面説明図である。
【図3】浮上がり防止部材をマンホールに組み付ける拡大説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の浮上がり防止部材をマンホールに組み付けた平面説明図である。
【図5】他の実施例の浮上がり防止部材をマンホールに組み付ける拡大説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 マンホール
2,25 浮上がり防止部材
3 マンホール内壁
4,17 固定フランジ
5,16 補強材入りコンクリート塊
12,27 挿通孔
13,24 水膨張パッキン
15 接着剤
19 突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール外周面から放射方向に突出する複数本の浮上がり防止部材を備えた浮上がり防止付マンホールにおいて、浮上がり防止部材を、マンホール内壁に固定される固定フランジと、該固定フランジに接続された補強材入りコンクリート塊とで構成し、マンホール壁に形成した浮上がり防止部材の挿通孔に水膨張パッキンを接着剤で固定したことを特徴とする浮上がり防止付マンホール。
【請求項2】
前記固定フランジの一面の上下に前記補強材入りコンクリート塊を支持する突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の浮上がり防止付マンホール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−150798(P2010−150798A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329546(P2008−329546)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(592101149)三山工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】