説明

浴室ユニット

【課題】 本発明は、今まで個々に壁に取り付けていたために汚れやすく、清掃性も悪かった浴室の収納棚に対して、使い勝手を向上させながら収納棚や収納物にシャワー等の飛沫がかかりにくく汚れにくい、そして壁の清掃性も良い浴室ユニットを提供する。
【解決手段】 本発明では、壁の天井近傍または天井面に吊り下げ部材を取り付け、その吊り下げ部材に係合されて垂下される縦バーと、縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型の収納棚とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの使い勝手ならびに清掃性を向上させるための収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
主に住宅などに採用される浴室ユニットでは、入浴時に使用するシャンプーやリンス、洗顔料などの容器、髭剃りや歯ブラシなどの小物、清掃時に使用する洗剤やスポンジなどを置くため、収納棚を設置することが一般的となっている。そしてその収納棚は、浴室ユニットの発注時に入浴者の使い方に応じて数の増減や設置位置の選定が可能となっていた。
【0003】
一方、特許文献1のように、発注時ではなく使用開始後に数の増減や設置位置の選定が可能となるような提案もなされている。
【0004】
しかし、収納棚の設置場所は当然の如く入浴動作の邪魔になりにくいことが条件となるため、浴室洗い場の壁のコーナー部や、鏡の下など比較的風通しの悪い場所に設置されることが多い。つまり、このような収納棚を壁に設置してシャンプーをはじめとする入浴アイテムを保管することは、棚のみならず入浴アイテムの容器の慢性的な湿潤と汚れを招き、ひいてはヌメリやカビの温床となることが指摘されている。
【0005】
さらに収納棚は、壁に固定されて使用される性格上、立って洗髪や洗体する入浴者と、座って洗髪や洗体する入浴者の双方で使い勝手の良い位置に設置することとなる。つまり、立って洗髪・洗体する場合には収納棚は低め、座って洗髪・洗体する場合には収納棚は高めに位置することになる。ということは、立って洗髪・洗体する場合にはより多くの飛沫が収納棚やそれに置かれた入浴アイテムに降りかかることとなる。さらに洗髪・洗体時の飛沫には皮脂などが多く含まれるため、前記ヌメリやカビの栄養源となることは言うまでもない。
【0006】
そのような収納棚あるいは収納棚の支持材が壁に固定設置されているため、収納棚そのもののみならず、飛沫がかかって汚れた壁の清掃性も悪化させていた。
【特許文献1】特開2003−97069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況を鑑みて、使い勝手を向上させながら収納棚や収納物に飛沫がかかりにくく汚れにくい、そして壁の清掃性も良い浴室ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、床、壁、浴槽、天井によって形成された浴室ユニットであって、壁の天井近傍に取り付けた吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、床、壁、浴槽、天井によって形成された浴室ユニットにおいて、天井に取り付けた吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、天井に固定されたレールと、前記レールを軌道としてスライドするランナーを備え、前記ランナーに吊り下げ部材を取り付け、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、天井に固定されたベースと、前記ベースを中心として水平面内を回動するアームを備え、前記アームのベース側とは反対側の端に吊り下げ部材を取り付け、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記縦バーの揺れを防止する下部サポートを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記縦バーに取り付けられた棚およびタオル掛けが上下方向に高さ調整可能に構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記縦バーに取り付けられた棚およびタオル掛けが縦バーを中心に水平方向に回転可能に構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴室ユニットは、壁に取り付ける部材シャワーの飛沫が及ばない壁の上部であったり、壁にまったく部材を取り付けること無しに収納棚を構成することが可能なため、収納棚が壁に接触せず、壁が汚れにくいのは当然、清掃性も格段に向上させることができる。
【0016】
さらに好ましくは、吊り下げ型収納棚を浴室内で水平方向に移動可能とすることにより、使用者の都合に応じて吊り下げ位置を選択可能とするとともに、非入浴時には水切れや風通しの良い位置にすることでヌメリやカビの発生を抑制することが可能となる。
【0017】
さらに好ましくは、吊り下げ型収納棚の揺れや傾きを防止することにより、または棚ならびにタオル掛けの高さを自在に調節可能とすることで、または棚ならびにタオル掛けを縦バーを軸として回転可能とすることにより、さらなる使い勝手の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る浴室ユニットの収納棚の構成について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る浴室ユニットの1つの実施の形態を表している。図1に示すようにこの浴室ユニット0は、床排水口1aを備えた床1とその周囲に立設された壁3ならびに浴室ドア5、そしてその上に載せられた天井4で躯体構造をなし、さらにその床の上に載置された浴槽2から構成されている。
【0019】
壁3の上部、天井4の近傍には、壁裏補強材16bを裏打ちして吊り下げ部材10bが強固に取り付けられている。吊り下げ部材10bの先端下部には縦バー11が取り外し可能な方法によって結合垂下され、その縦バー11には、上から順にタオル掛け13、上部棚12、下部棚12’が取り付けられることで吊り下げ型収納棚9が構成されている。なお、吊り下げ部材10bと縦バー11の結合方法は剛体結合ではなく、ユニバーサルジョイントなどの揺動可能な結合が望ましい。
【0020】
図1ではタオル掛け13、棚12ともに平面視円形であり、その中心をその縦バー11が貫くように取り付けられているが、タオル掛け13や棚12が平面視長方形でもその重心を縦バー11が貫いていればその目的が達成できるのは言うまでもない。さらに、図1では吊り下げ部材10bや縦バー11が各々1個であるが、複数個あってもよい。最良の形態は、図1に示す棚12およびタオル掛け13が縦バー11を中心として回動することで、所望の収納物18を簡単に手に取ることができる状態である。
【0021】
この構成により、壁3の表面に取り付けられる部品は、シャワーなどの飛沫がかかり難い上部の吊り下げ部材10bのみであり、シャワーなどの飛沫がかかる壁3の上下方向中間部〜下部は掃除がしやすく水が滞留し難い、即ち防汚性の高い構成とすることができる。
【0022】
図2は吊り下げ部材11aを天井裏補強材16aを裏打ちして天井に取り付けて吊り下げ型収納棚9構成させた。これにより、図1に示す壁3に吊り下げ部材11bを取り付けた場合よりも更に壁3の清掃性の向上を図ることが可能となる。
【0023】
さらに、吊り下げ型収納棚9の清掃性と使い勝手を向上させるための実施の形態を図3、図4に示す。
【0024】
まず図3では、天井4に対して天井裏補強材16aを裏打ちしてレール14が固定されている。なおレール14は、平面視で吊り下げ型収納棚9を配置させたい位置を経由するような軌道を形成するものとしている。例えば、図3に示すように浴室ドア5の近傍、洗い場正面の鏡7の横、床排水口1aの上などである。
【0025】
レール14に挿入されるランナー15は、レール14に沿って自由に走行させることが可能であり、そのランナー15の下端には吊り下げ部材10aが係合され、さらにその吊り下げ部材10aの下端に縦バー11が取り付けられることで吊り下げ型収納棚9が構成されている。
【0026】
ここで吊り下げ型収納棚9の位置が浴室ドア5の近傍であれば洗面所から収納物の取り出しが容易となり、洗い場正面の鏡7の横であれば通常の洗髪や洗体時に使い勝手が良くなり、床排水口1aの上であれは水切りして落下した水が直ぐに床排水口1aの中に取り込まれるため、鏡7の下部に位置するカウンター6や床1の不要な湿潤ならびに汚染を避けることが可能となる。
【0027】
さらに図4では、図3に示す実施の形態と同様に吊り下げ型収納棚9を水平方向に移動可能とするため、天井4に対し、天井裏補強材16aを裏打ちしてベース19を固定し、そのベース19を中心に水平方向に回動可能にアーム20を取り付け、そのアーム20のベース19側とは反対側の端に吊り下げ部材10aを取り付け、吊り下げ部材10aの下端に縦バー11が取り付けられることで吊り下げ型収納棚9が構成されている。これにより前述の図3の実施の形態と同様に清掃性と使い勝手の向上を図ることが可能となる。
【0028】
なお、ここで収納棚12の水切りについての実施の形態例を以下に示す。収納棚12の底部は、縦バー11が貫通する収納棚12の中心部に向かって水勾配が付けられた棚底板12aで形成されており、その最低部には棚排水口12bが下に向かって開口している。その棚排水口12bから排水された水は縦バー11を伝い、さらに下に位置する収納棚12’の棚排水口12b’へ落下し、更にその下へ落下する。これにより、上部の収納棚12で水切りされた水が下の収納棚12’の収納物18’を濡らしてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0029】
なお、上記棚排水口12bは、収納棚12の中央部ではなくても、上下の収納棚12ならびに12’で平面視同一の場所に位置していれば、同等の効果を発揮することは言うまでもない。
【0030】
ここで、棚12ならびにその収納物18、タオル掛け13ならびにそれに掛けたタオル21がシャワーなどの飛沫により濡れたり汚れたりすることを軽減しつつ、使い勝手も損なわないめの発明を説明する。図1〜図4は実は全ての縦バー11が大きくは上部縦バー11aと下部縦バーの2部品で構成されており、上部縦バー11aの外周に下部縦バー11bが長さ調節可能(調整機構は図示無し)なように組み合わされている。
【0031】
このように縦バー11が上部縦バー11aと下部縦バー11bとで長さ調節可能に構成されることにより、収納棚12の高さを自在に調節することが可能となる。つまり、座って洗髪や洗体する入浴者は収納棚12を低めに、立って洗髪や洗体する入浴者は収納棚12を高めに設定することにより、使い勝手を損なわずに収納棚12が皮脂を含んだ飛沫で濡れてしまうことを防ぐことができる。また、浴室清掃の際には収納棚12を高めに設定することで同様に収納棚12が飛沫で濡れてしまうことを防ぐこともできる。もちろん、何ら支持物が無い壁3の清掃が簡単になることは当然のことである。
【0032】
最後に、吊り下げ型収納棚9を使用する際に懸念されるのは、吊り下げ部材10aと縦バー11との結合部を中心とする揺れである。その懸念を払拭するため、壁3の吊り下げ型収納棚9下端近傍に、壁裏補強材16bを裏打ちして下部サポート17を取り付け、吊り下げ型収納棚9下端部に着脱自在に結合させることで揺れを防止することも可能である。その実施の形態を図5、図6に示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかる浴室ユニットの第一実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【図2】本発明にかかる浴室ユニットの第二実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【図3】本発明にかかる浴室ユニットの第三実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【図4】本発明にかかる浴室ユニットの第四実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【図5】本発明にかかる浴室ユニットの第五実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【図6】本発明にかかる浴室ユニットの第六実施形態をあらわす浴室内の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
0 浴室ユニット
1 床
1a 床排水口
2 浴槽
3 壁
4 天井
5 浴室ドア
6 カウンター
7 鏡
9 吊り下げ型収納棚
10 吊り下げ部材
10a 吊り下げ部材(天井用)
10b 吊り下げ部材(壁用)
11 縦バー
11a 上部縦バー
11b 下部縦バー
12 棚
12’ 下部棚
12a 棚底板
12b 棚排水口
12’ 下部棚
12a’下部棚底板
12b’下部棚排水口
13 タオル掛け
14 レール
15 ランナー
16a 天井裏補強材
16b 壁裏補強材
17 下部サポート
18 収納物
18’ 下部棚の収納物
19 ベース
20 アーム
21 タオル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床、壁、浴槽、天井によって形成された浴室ユニットであって、壁の天井近傍に取り付けた吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
床、壁、浴槽、天井によって形成された浴室ユニットにおいて、天井に取り付けた吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項3】
天井に固定されたレールと、前記レールを軌道としてスライドするランナーを備え、前記ランナーに吊り下げ部材を取り付け、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項4】
天井に固定されたベースと、前記ベースを中心として水平面内を回動するアームを備え、前記アームのベース側とは反対側の端に吊り下げ部材を取り付け、前記吊り下げ部材に係合され垂下される縦バーと、前記縦バーに取り付けられた複数個の棚ならびにタオル掛けにより構成された吊り下げ型収納棚と、を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項5】
前記縦バーの揺れを防止する下部サポートを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浴室ユニット。
【請求項6】
前記縦バーに取り付けられた棚およびタオル掛けが上下方向に高さ調整可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の浴室ユニット。
【請求項7】
前記縦バーに取り付けられた棚およびタオル掛けが縦バーを中心に水平方向に回転可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−226020(P2009−226020A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75566(P2008−75566)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】