浴室ユニット
【課題】所定の構造を有する浴室ユニットの外観意匠性及び水密性を同時に確保することができる浴室ユニットを提供する。
【解決手段】洗い場側から装着される化粧カバー8は、カバー本体と、装着されたカバー本体が床パン立ち上がり14とエプロンの下端部とを挟み込む固定用ビス9及び固定用ピース7の露出部分を隠す状態で、床パン立ち上がり14とエプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す補助水密材83とを備える。
【解決手段】洗い場側から装着される化粧カバー8は、カバー本体と、装着されたカバー本体が床パン立ち上がり14とエプロンの下端部とを挟み込む固定用ビス9及び固定用ピース7の露出部分を隠す状態で、床パン立ち上がり14とエプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す補助水密材83とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
洗い場側と浴槽側とがエプロンで水密に仕切られる浴室ユニットに関するものであり、特に、洗い場側から装着される化粧カバーが、エプロン下端部を固定部に固定する締結部材を隠す状態で、エプロン下端部と固定部との間に生ずる隙間を覆い隠すことができる水密材を備える浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で予め形成された部品を現場で組み立てるユニット工法の浴室ユニットは、施工が容易となることから、多くの住宅又は居住施設で採用されている。特に、浴槽と洗い場用床パンとを設置面上に並べて設置するハーフパネルタイプの浴室ユニットは、部品数の抑制と施工容易性とをバランス良く達成することができるため、浴槽を床パンの上に据え置くフルパネルタイプや、浴槽と床パンとが一体成形されるカプセルタイプの浴室ユニットに比べて多く採用されている。
【0003】
ところで、ハーフパネルタイプの浴室ユニットは、並設された浴槽と床パンとの間に構造体となるエプロン部材を取り付け、浴槽と床パンとを水密に仕切る構造を有している。具体的には、エプロン部材の上端部が浴槽のフランジに嵌め込まれ、エプロン部材の下端部が床パンの床パン立ち上がりにねじ止めされるという取付構造を有している。
【0004】
そのため、従来の浴室ユニットにあっては、外観意匠性が損なわれないように、洗い場の入浴者から見えない位置でねじ止めがなされている。しかし、かかる工夫では、ねじ頭を完全に隠すことができないため、外観意匠性を重視する利用者の購入意欲を刺激することができない。
【0005】
そこで、従来、ねじ頭を化粧カバー又は弾性パッキンで隠蔽するようにしてある浴室ユニットが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−5087号公報
【特許文献2】特開平9−294684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明にあっては、化粧カバーが止水手段を有していないため、水が侵入して躯体外部に水漏れするおそれがある。また、特許文献2に記載された発明にあっては、エプロンの取付箇所に弾性パッキンを挿し込む構造であるため、エプロン着脱の繰り返しにより弾性パッキンが劣化して水密性が低下するおそれがある。
【0008】
なお、上述した問題を解決するために、止水手段をエプロン部材に直接設けることができるが、エプロン部材は、点検作業口の蓋として繰り返し着脱されるため、着脱を妨げる止水手段を2重3重に設けることができない。一方、特にリスクの大きい、エプロン下部からの水の侵入を完全に防ぐことが市場で要望されている。
【0009】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、エプロン下端部を床パン立ち上がり部に固定する締結部材の露出部分を覆い隠すための本体と、この隠蔽と同時に、エプロン下端部の床パン立ち上がり部への取付箇所に生じた隙間を覆い隠すための水密材とを有する化粧カバーを備えることにより、所定の構造を有する浴室ユニットにおいて、外観意匠性と水密性とを併せて確保することができる浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴室ユニットは、洗場となる床パンと浴槽とが設置面上に並設され、洗場側と浴槽側とが床パンと浴槽の洗場側上端とで支持されるエプロンによって水密に仕切られ、エプロン下端部が床パン立ち上がり部にねじ固定される浴室ユニットにおいて、洗場側から装着される化粧カバーを備え、前記化粧カバーは、カバー本体と、装着されたカバー本体が前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部とを両端で挟み込むボルト、ナット又はねじなどの締結部材の洗場側への露出部分を隠す状態で、前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す水密材とを備えることを特徴とする。
本発明に係る浴室ユニットにあっては、床パン立ち上がりとエプロン下端部とのねじ固定に用いる締結部材の露出部分を化粧カバーによって覆い隠すようにしてあることにより、外観意匠性が損なわれないようにする。また、この露出部分を隠蔽する状態で、エプロン下端部の床パン立ち上がりへの取付箇所に生じる隙間を覆い隠すようにしてあることにより、外観意匠性と水密性とを併せて確保する。また、水密材を隙間に挿抜することなく隙間を覆い隠すようにしてあることにより、挿抜の繰り返しによる水密材の劣化という事態を回避し、水密性の低下を防ぐ。
【0011】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記水密材は、ヒレ状をなし、前記化粧カバーが装着される状態で、その先端部が前記床パン立ち上がり部に弾性圧着するようにしてある構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、水密材の先端部がヒレ状であり且つ弾性圧着するようにしてあることにより、先端部が床パン立ち上がり部の凹凸に合わせて変形自在となるので、一つの化粧カバーを、凹凸が異なる他の床パン立ち上がり部への取付に転用することができる。また、化粧カバーが装着されて締結部材の露出部分が隠蔽される状態で、水密材を圧着するようにしてあることにより、外観意匠性と水密性とを併せて確保する。
【0012】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記水密材は、前記化粧カバーが装着される状態で、前記床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するように形成されている構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、ヒレ状の水密材が床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するようにしてあることにより、特にリスクが大きい、エプロン下部から侵入しようとする水を水密材の湾曲によって円滑に排除する。
【0013】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記化粧カバーは、前記締結部材の洗場側への露出部分に弾性嵌合するようにしてある構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、化粧カバーが締結部材の一部に嵌合するようにしてあることにより、化粧カバーの取付用部品の数を抑えて製造コストを抑える。また、化粧カバーが弾性嵌合するようにしてあることにより、化粧カバーの着脱に大きな力を必要とせず、また、無用な力で化粧カバー及びこれの取付周辺が破損するという事態を回避し、組立時の取付け及び取外し性に配慮し、修理コストを抑える。
【0014】
更にまた、本発明に係る浴室ユニットは、前記化粧カバーは、前記エプロンの幅方向に臨む帯状板をなし、該帯状板の撓み込みを防ぐための突起が背面に形成されている構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、化粧カバーがエプロンの幅方向に臨む帯状体とされていることにより、エプロンの幅方向に取り付けられる化粧カバーの数を抑えて製造コストを抑える。また、撓み込みを防ぐための突起を背面に有することにより、装着時に突起がエプロン下端部及び床パン立ち上がり部に当たるので、装着時の化粧カバーの部分的な撓み込みを抑え、外観意匠性が損なわれないようにとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴室ユニットは、エプロンを有する浴室ユニットにおいて、エプロン取付部分の外観意匠性が損なわれないようにできるとともに、エプロン取付部分の水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る浴室ユニットの基本的な構成を示す図である。
【図2】第1エプロン分割体を示す正面斜視図である。
【図3】第1エプロン分割体を示す背面斜視図である。
【図4】第3エプロン分割体を示す正面斜視図である。
【図5】第3エプロン分割体を示す背面斜視図である。
【図6】本発明に係る化粧カバーを示す正面斜視図である。
【図7】本発明に係る化粧カバーを示す背面斜視図である。
【図8】本発明に係る締結部材を示す図であって、(a)は固定用ねじを示す図、(b)はスリップパッキンを示す図、(c)は使用状態にある固定用ねじを示す図である。
【図9】本発明に係るエプロンの取付手順を示す斜視図であって、(a)はエプロンの上端部の取付手順を示す図であり、(b)はエプロンの下端部の取付手順を示す図である。
【図10】本発明に係る化粧カバーの取付状態を示す側面視断面図である。
【図11】比較例に係るエプロン下端部付近を示す側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る浴室ユニットを実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。図1は本発明に係る浴室ユニットの基本的な構成を示す図である。なお、本実施の形態において、正面方向とは洗い場から浴槽を向く方向であり、背面方向とは浴槽から洗い場を向く方向であり、側面方向とは正面方向と直交する方向である。
【0018】
図1に示すとおり、浴室ユニットは、基本的な部材として、床パン1、浴槽2、支柱3、取付用ねじ5、固定用ピース7、壁パネル及び天井パネルを備える。床パン1及び浴槽2は、設置面上に平行に設置され、これらの周端部に壁パネル及びドア枠が立ち上がるように配置されている。また、壁パネルの上端縁に天井パネルが取り付けられる。
【0019】
詳述すると、床パン1は、洗い場面10、支持脚11、壁パネル取付用起立片12、裏面13、床パン立ち上がり14及び排水孔15を備える。床パン1は、本体が平面視略矩形の板状をなし、上方が洗い場面10と、下方が裏面13となるように配置される。支持脚11は、裏面13の4隅付近から下方に伸び出て、下端が設置面(図示せず、以下同じ)に取付固定されている。また、支持脚11は、垂直方向に伸縮可能であり、設置面からの高さの調整手段となる。
【0020】
壁パネル取付用起立片12は、浴槽2と対向する端部を除いた洗い場面10の周端部に沿って立ち上がる。床パン立ち上がり14は、浴槽2と対向する端部に沿って形成された堰部が有する立ち上がり面であって、後述するエプロン4の下端部の固定部となる。また、床パン立ち上がり14は、幅方向両端部に支柱3が取付固定され、2本の支柱3に挟まれた稜線に沿って固定ピース7が間隔をあけて複数嵌め込まれている。
【0021】
洗い場面10は、周端から排水孔15に向かって僅かな下り傾斜をなし、洗い場面10に流れ落ちた湯水を排水孔15に案内する。排水孔15は、案内された湯水を排水管(図示せず、以下同じ)へと導く。
【0022】
浴槽2は、内底20、裏底21、支持脚22、内周壁23、フランジ24、スカート部25、嵌合用溝26、リブ27、支柱取付用ねじ孔28及び壁パネル取付用壁29を備える。浴槽2は、本体の内側に内底20を、外側に外底21を備える。支持脚22は、外底21の4隅付近から下方に伸び出て、下端が設置面に取付固定されている。
【0023】
内周壁23は、内底20の周端から上拡がりに立ち上がる。フランジ24は、内周壁23の上端縁から外周方向に鍔状に張り出している。スカート部25は、フランジ24の外周縁から垂れ下がっている。リブ27は、フランジ24の下面に、スカート部25に平行して設けられ、スカート部25との間に嵌合用溝26が形成されている。また、リブ27は、幅方向両端部に支柱取付用ねじ孔28が形成されている。壁パネル取付用壁29は、床パン1と対向する垂下面を除いたスカート部25の垂下面に、フランジ24より上方に張り出すように接着固定されている。
【0024】
固定用ピース7は、本体が中空立方体をなし、係止片70、孔71及びナット72を備える(後述する図10参照)。係止片70は、本体の背面から逆L字状に張り出し、床パン立ち上がり14の先端部に引っ掛け本体を固定させる部材である。孔71は、本体の正面の中央に形成されている。ナット72は、本体の中空部分に内蔵されている。
【0025】
また、浴室ユニットは、上述した基本的な部材のほかに、エプロン4、水密材6、化粧カバー8及び固定用ねじ9を備える。エプロン4は、洗い場側と浴槽2側を水密に仕切る部材であり、上端部を浴槽2の嵌合用溝26により、下端部を床パン1の床パン立ち上がり14によりそれぞれ支えられている。エプロン4には、一枚型エプロンと、複数の分割体からなる分割型エプロンとがある。なお、本実施の形態では、第1エプロン分割体40aと、第2エプロン分割体40bと、第3エプロン分割体41とからなる分割型エプロンを一例として説明する。
【0026】
図2は第1エプロン分割体40aを示す正面斜視図、図3は第1エプロン分割体40aを示す背面斜視図、図4は第3エプロン分割体41を示す正面斜視図、図5は第3エプロン分割体41を示す背面斜視図である。図2及び図3に示すとおり、第1エプロン分割体40aは、エプロン本体が正面視略矩形の板状をなし、フランジ嵌合用片400、横張出片401、フック受け部402、段差面403、下張出片404、締結部材埋込用穴405、壁パネル取付用張出片406、膨出部407、突起片408及び垂直リブ409を備える。
【0027】
フランジ嵌合用片400は、エプロン本体の上端面の、エプロン本体の床パン1側の面(以下「エプロン本体表面」という。)より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から立ち上がり、途中で浴槽2側に折れ曲がって側面視略L字形をなしている。また、フランジ嵌合用片400は、屈曲箇所の一部に水密材取付用溝60が形成されている。水密材取付用溝60には、後述する水密材6bが嵌め込み接着される。
【0028】
横張出片401は、エプロン本体の側端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から側方に張り出している。フック受け部402は、正面視垂直方向に一定の間隔をあけて横張出片401の先端部から突き出ており、背面の一部が切り欠かれている。段差面403は、横張出片401とエプロン本体表面との段差部分に形成されている。
【0029】
下張出片404は、エプロン本体の下端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から垂れ下がっている。締結部材埋込用穴405は、正面視幅方向に一定の間隔をあけて下張出片404の正面に複数形成され、穴の底に貫通孔が形成されている。膨出部407は、締結部材埋込用穴405によって下張出片404の背面が膨らんだ部分であり、膨らみの頂きに締結部材埋込用穴405の貫通孔が開通している。また、膨出部407の下側には、水密材取付用溝61が形成されている。水密材取付用溝61には、水密材6aが嵌め込み接着される。
【0030】
壁パネル取付用張出片406は、横張出片401が張り出す側と反対の側端面から床パン1側に張り出している。突起片408は、正面視幅方向に一定の間隔をあけてフランジ嵌合用片400の先端面から複数突き出ている。垂直リブ409は、壁パネル取付用張出片406が張り出ている側の側端部の背面に設けられている。
【0031】
なお、第2エプロン分割体40bは、上述した第1エプロン分割体40aと左右対称の構造となっているので、対応する箇所に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図4及び図5に示すとおり、第3エプロン分割体41は、エプロン本体が正面視略矩形の板状をなし、フランジ嵌合用片410、フック411、垂直リブ412、下張出片413、締結部材埋込用穴414、指掛け用凹み415、膨出部416、補強用リブ417及び突起片418を備える。
【0033】
フランジ嵌合用片410は、エプロン本体の上端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から立ち上がり、途中で浴槽2側に折れ曲がって側面視略L字形をなしている。また、フランジ嵌合用片410は、屈曲箇所の一部に水密材取付用溝62が形成されている。水密材取付用溝62には、水密材6bが嵌め込み接着される。
【0034】
フック411は、上向きに折れ曲がる鉤状をなし、エプロン本体の浴槽2側の面(以下「エプロン本体背面」という。)の両端部に、正面視垂直方向に一定の間隔をあけて複数形成されている。垂直リブ412は、エプロン本体背面の、フック411より外側に設けられている。
【0035】
下張出片413は、エプロン本体の下端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から垂れ下がっている。締結部材埋込用穴414は、正面視幅方向に一定の間隔をあけて下張出片413の正面に複数形成され、穴の底に貫通孔が形成されている。膨出部416は、締結部材埋込用穴414によって下張出片413の背面が膨らんだ部分であり、膨らみの頂きに締結部材埋込用穴414の貫通孔が開通している。また、膨出部416の下側には、水密材取付用溝63が形成されている。水密材取付用溝63には、水密材6aが嵌め込み接着される。
【0036】
補強用リブ417は、エプロン本体背面の中央付近に形成されている。突起片418は、正面視幅方向に一定の間隔をあけてフランジ嵌合用片410の先端面から複数突き出ている。
【0037】
水密材6bは、本体が帯状をなし、例えば、日本発条株式会社製の「スーパーシート(商品名)」など、復元性(弾性)に優れたシーリング材が用いられる。また、より高い止水性が要求されるエプロンの下端部を止水する水密材6aは、本体が帯状をなすとともに、帯の長手方向に水返し用のヒレが形成され、例えば、藤倉ゴム工業株式会社製の「スーパーレストン(商品名)」など、高反発で復元性がより優れたシーリング材が用いられる。
【0038】
図6は本発明に係る化粧カバー8を示す正面斜視図、図7は本発明に係る化粧カバー8を示す背面斜視図である。化粧カバー8は、床パン1側から装着され、締結部材埋込用穴405及び414に挿し込まれる固定用ねじ9を隠すとともに、エプロン4の下端部と床パン立ち上がり14との接触箇所を覆い隠す部材となる。化粧カバー8は、本体が正面視幅方向に長手辺を有する帯板状をなし、リブ80、変形防止用突起81、嵌合用突起82及び補助水密材83を備える。
【0039】
リブ80は、化粧カバー本体の背面の上端部及び中間部に、化粧カバー本体の長手方向に沿って設けられている。変形防止用突起81は、各リブ80の先端及び化粧カバー本体の背面の下端部から、先端が浴槽2を向くように突き出ており、弾性を有する。嵌合用突起82は、各変形防止用突起81から分岐してリブ80間に生ずる溝状空間側に突き出ており、弾性を有する。
【0040】
補助水密材83は、化粧カバー本体の背面の下端部から突出する変形防止用突起81の位置より下方から浴槽2を向くように突き出て、途中で先端部が下方に臨むように湾曲するヒレ状をなし、例えば、60°乃至80°の軟質硬度を有する軟質アクリル(ソフトアクリル)樹脂により形成されている。
【0041】
なお、化粧カバー8は、上端から補助水密材83までの高さ寸法が、下張出片404及び413の垂れ下がりの長さより長くなるように形成され、且つ、全体の幅寸法がエプロン4(即ち、第1エプロン分割体40a、第2エプロン分割体40b及び第3エプロン分割体41を合わせたもの)の幅と同じか、又は個々の幅寸法がエプロン4の幅より短く、複数が連なることによりエプロン4の幅と同じになるように形成されている。
また、補助水密材83は、化粧カバー8が装着されて変形防止用突起81が下張出片404及び413に当たる状態で補助水密材83の先端部が床パン立ち上がり14に圧着することのできる寸法となるように、化粧カバー本体の背面からの突き出し寸法が形成されている。
【0042】
図8は本発明に係る締結部材を示す図であって、(a)は固定用ねじ9を示す図、(b)はスリップパッキン92を示す図、(c)は使用状態にある固定用ねじ9を示す図である。図8(a)に示すとおり、固定用ねじ9は、軸部90及び頭部91を備える。軸部90は、先端部に雄ねじ900が形成されている。
【0043】
頭部91は、上述した化粧カバー8を嵌め込み固定することができるように一般的なねじの頭部とは異なる特殊な形状を有しており、鍔部910、頭頂部911及び工具締め付け用穴912を備える。鍔部910は、軸部90と頭部91との境付近から外周方向に膨らみ出た部分である。頭頂部911は、頭部90の頂きに円盤状に形成されている。工具締め付け用穴912は、頭頂部911の上面に形成されており、十字穴、四角穴又は六角穴など様々な形状が存在する。なお、図8(a)は、工具締め付け用穴912を十字穴とする一例を示す。
【0044】
図8(b)に示すとおり、スリップパッキン92は、本体が円盤状をなし、孔920及び突起921を備える。孔920は、スリップパッキン92本体の中心に形成されている。突起921は、孔920から内周方向に向かって複数突き出ている。
【0045】
図8(c)に示すとおり、固定用ねじ9は、軸部90がスリップパッキン92の孔920に嵌め込まれた状態で使用される。このとき、スリップパッキン92は、各突起921が固定用ねじ9の軸部90の外周面を押し付けることにより、固定用ねじ9に固定される。
【0046】
このように、浴室ユニットは、複数の部材により構成されている。以下、これらの部材を用いた浴室ユニットの取付について説明する。図1に示すとおり、床パン1及び浴槽2は、設置面上に平行に設置され、支持脚11の高さ調整機能により高さが調整される。
【0047】
この状態で、支柱3は、下端部が床パン1の床パン立ち上がり14に取り付けられるとともに、上端部を挿通した取付用ねじ5が浴槽2の支柱取付用ねじ孔28にねじ込まれることにより、床パン1及び浴槽2を支持固定する。
【0048】
図9は本発明に係るエプロン4の取付手順を示す斜視図であって、(a)はエプロン4の上端部の取付手順を示す図、(b)はエプロン4の下端部の取付手順を示す図である。図9(a)に示すとおり、第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bは、床パン1及び浴槽2を仕切るように取り付けられる。このとき、浴槽2のフランジ24と、第1エプロン分割体40aと、床パン1の床パン立ち上がり14と、第2エプロン分割体40bとで囲まれた開口部分が、作業点検口となる。
【0049】
第3エプロン分割体41は、作業点検口を塞ぐように取り付けられる。このとき、第3エプロン分割体41のエプロン本体背面が第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bの横張出片401に接触する。
【0050】
この状態で、第3エプロン分割体41は、下から上にスライドされることにより、フランジ嵌合用片410が浴槽2の嵌合用溝26に嵌り込み、フック411が第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bのフック受け部402に嵌り込み、下張出片413の裏面が床パン1の床パン立ち上がり14に接触する。
【0051】
図9(b)に示すとおり、取付状態にある第3エプロン分割体41は、下張出片413の締結部材埋込用穴414に固定用ねじ9が挿し込まれる。なお、第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bについては、上述した第3エプロン分割体41と同様に取り付けられる。
【0052】
図10は本発明に係る化粧カバー8の取付状態を示す側面視断面図である。図10に示すとおり、床パン立ち上がり14への取付状態にある第3エプロン分割体41は、下張出片413の膨出部416が床パン立ち上がり14の凹みに嵌り込んでいる。固定用ねじ9は、パッキン93を介して締結部材埋込用穴414に挿し込まれて先端が固定ピース7のナット72に臨み、雄ねじ900が固定ピース7のナット72にねじ込まれる。それにより、第3エプロン分割体41は、床パン立ち上がり14に固定された状態となる。具体的には、第3エプロン分割体41と床パン立ち上がり14とが、固定用ねじ9の鍔部910と固定用ピース7の係止片70とにより挟み込まれる状態となる。
このとき、下張出片413の水密材6は、床パン立ち上がり14からの圧力を受けることにより床パン立ち上がり14との間で水密状態になるとともに、下張出片413は、床パン1側に撓んで床パン立ち上がり14との間に僅かな隙間を生じさせる(図10の下張出片413の二点鎖線を参照)。
【0053】
この状態で、化粧カバー8は、下張出片413全体を覆い隠すように、且つ、第3エプロン分割体41下端部の入り組んだ空間に嵌り込んでエプロン本体表面と略面一となるように取り付けられ、化粧カバー本体背面の溝状空間に固定用ねじ9の頭部91が嵌り込み、嵌合用突起82が固定用ねじ9の頂頭部911に引っ掛かる。同時に、変形防止用突起81の先端が下張出片413の正面に接触し、更に、補助水密材83の先端部が床パン立ち上がり14に沿って下方に湾曲しながら圧着して、下張出片413と床パン立ち上がり14との間に生じた隙間を覆い隠す。
【0054】
なお、上述した内容は、第3エプロン分割体41の符号に基づく説明であるが、同様の構造を有する第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bについては、図10の括弧内の符号に置き換えることによりその説明を省略する。
【0055】
(実施例)
以下、本願実施例と比較例とを、止水性、組立容易性、保守点検容易性及び外観意匠性の観点から比較したときの相対的な評価を示す。図11は比較例に係るエプロン下端部付近を示す側面視断面図である。図11に示すとおり、比較例は、従来のエプロン4の取付構造であり、エプロン4の下端部が一般的なねじSにより固定され、化粧カバー8が装着されていない。なお、図11に示す比較例は、便宜上、本発明と対応する箇所に同一の符号が付されている。一方、本願実施例は、上述した実施の形態とする。
【0056】
止水性については、本願実施例が比較例より優れている。即ち、比較例は、水密材6により止水されているため、この水密材6に不良があれば漏水のおそれがあるのに対して、本願実施例は、水密材6及び補助水密材82により2重に止水されているため、何れか一方に不良があっても他方で止水することができる。
【0057】
組立容易性及び保守点検容易性については、略同等である。即ち、比較例は、第3エプロン分割体41を着脱するのに対して、本願実施例は、第3エプロン分割体41及び化粧カバー8を着脱するが、化粧カバー8の着脱が容易であることから、略同等であることいえる。
【0058】
外観意匠性について、本願実施例が比較例より優れている。即ち、比較例は、エプロン4の下端部のねじSが隠蔽されていないのに対して、本願実施例は、化粧カバー8により固定用ねじ9が隠蔽されている。
【0059】
このように、本願実施例は、エプロン4が構造体であるにもかかわらず、意匠エプロンと同等の外観意匠性を備えるとともに、高い止水性を有するという点で、従来のエプロンの取付構造より優れている。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、締結部材として固定用ねじ9を固定用ピース7のナット72に螺合させる一例を説明したが、これに限定されるものでなく、固定用ピース7から突き出た雄ねじに洗い場側からナットを螺合させるようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、化粧カバー8の補助水密材83が、床パン立ち上がり14に圧着する一例を説明したが、これに限定されるものでなく、エプロン4の下端部と床パン立ち上がり14との隙間を覆い隠す態様であればよく、例えば、化粧カバー8の補助水密材83がエプロン4の下端部から床パン立ち上がり14まで圧着する態様であってもよい。
【0062】
また、作用についての補足として、本発明にあっては、化粧カバー8本体をエプロン4と同様に、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)とするとともに、その他の部分を弾性を有する素材とする、二層成形とすることにより、用途に合わせた機能を有する部品成形が可能となる。
【0063】
また、本発明にあっては、常に、エプロン4をスライド係合させ、固定用ねじ9によりねじ固定した後、固定用ねじ9の頭部に化粧カバー8を嵌合することとなるので、取付手順を画一的にさせることができる。仍って、取付手順の間違いなどの不備による、外観意匠性の欠如や、水密性の低下などを回避することができる。
【0064】
また、本発明にあっては、固定用ねじ9の一部に化粧カバー8を装着するので、異なる形状のエプロン4に装着する場合、エプロン4自体に何らかの取付構造を施すことなく、固定用ねじ9を取付部品として転用するとともに、押出成形により新たに製造した化粧カバー8を用いることで対応ができる。化粧カバー8は、エプロン4の成型に比して、加工が容易であり、安価に製造することができるため、全体の製造コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 床パン
2 浴槽
3 支柱
4 エプロン
5 取付用ねじ
6 水密材
7 固定用ピース
8 化粧カバー
9 固定用ねじ
【技術分野】
【0001】
洗い場側と浴槽側とがエプロンで水密に仕切られる浴室ユニットに関するものであり、特に、洗い場側から装着される化粧カバーが、エプロン下端部を固定部に固定する締結部材を隠す状態で、エプロン下端部と固定部との間に生ずる隙間を覆い隠すことができる水密材を備える浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で予め形成された部品を現場で組み立てるユニット工法の浴室ユニットは、施工が容易となることから、多くの住宅又は居住施設で採用されている。特に、浴槽と洗い場用床パンとを設置面上に並べて設置するハーフパネルタイプの浴室ユニットは、部品数の抑制と施工容易性とをバランス良く達成することができるため、浴槽を床パンの上に据え置くフルパネルタイプや、浴槽と床パンとが一体成形されるカプセルタイプの浴室ユニットに比べて多く採用されている。
【0003】
ところで、ハーフパネルタイプの浴室ユニットは、並設された浴槽と床パンとの間に構造体となるエプロン部材を取り付け、浴槽と床パンとを水密に仕切る構造を有している。具体的には、エプロン部材の上端部が浴槽のフランジに嵌め込まれ、エプロン部材の下端部が床パンの床パン立ち上がりにねじ止めされるという取付構造を有している。
【0004】
そのため、従来の浴室ユニットにあっては、外観意匠性が損なわれないように、洗い場の入浴者から見えない位置でねじ止めがなされている。しかし、かかる工夫では、ねじ頭を完全に隠すことができないため、外観意匠性を重視する利用者の購入意欲を刺激することができない。
【0005】
そこで、従来、ねじ頭を化粧カバー又は弾性パッキンで隠蔽するようにしてある浴室ユニットが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−5087号公報
【特許文献2】特開平9−294684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明にあっては、化粧カバーが止水手段を有していないため、水が侵入して躯体外部に水漏れするおそれがある。また、特許文献2に記載された発明にあっては、エプロンの取付箇所に弾性パッキンを挿し込む構造であるため、エプロン着脱の繰り返しにより弾性パッキンが劣化して水密性が低下するおそれがある。
【0008】
なお、上述した問題を解決するために、止水手段をエプロン部材に直接設けることができるが、エプロン部材は、点検作業口の蓋として繰り返し着脱されるため、着脱を妨げる止水手段を2重3重に設けることができない。一方、特にリスクの大きい、エプロン下部からの水の侵入を完全に防ぐことが市場で要望されている。
【0009】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、エプロン下端部を床パン立ち上がり部に固定する締結部材の露出部分を覆い隠すための本体と、この隠蔽と同時に、エプロン下端部の床パン立ち上がり部への取付箇所に生じた隙間を覆い隠すための水密材とを有する化粧カバーを備えることにより、所定の構造を有する浴室ユニットにおいて、外観意匠性と水密性とを併せて確保することができる浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴室ユニットは、洗場となる床パンと浴槽とが設置面上に並設され、洗場側と浴槽側とが床パンと浴槽の洗場側上端とで支持されるエプロンによって水密に仕切られ、エプロン下端部が床パン立ち上がり部にねじ固定される浴室ユニットにおいて、洗場側から装着される化粧カバーを備え、前記化粧カバーは、カバー本体と、装着されたカバー本体が前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部とを両端で挟み込むボルト、ナット又はねじなどの締結部材の洗場側への露出部分を隠す状態で、前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す水密材とを備えることを特徴とする。
本発明に係る浴室ユニットにあっては、床パン立ち上がりとエプロン下端部とのねじ固定に用いる締結部材の露出部分を化粧カバーによって覆い隠すようにしてあることにより、外観意匠性が損なわれないようにする。また、この露出部分を隠蔽する状態で、エプロン下端部の床パン立ち上がりへの取付箇所に生じる隙間を覆い隠すようにしてあることにより、外観意匠性と水密性とを併せて確保する。また、水密材を隙間に挿抜することなく隙間を覆い隠すようにしてあることにより、挿抜の繰り返しによる水密材の劣化という事態を回避し、水密性の低下を防ぐ。
【0011】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記水密材は、ヒレ状をなし、前記化粧カバーが装着される状態で、その先端部が前記床パン立ち上がり部に弾性圧着するようにしてある構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、水密材の先端部がヒレ状であり且つ弾性圧着するようにしてあることにより、先端部が床パン立ち上がり部の凹凸に合わせて変形自在となるので、一つの化粧カバーを、凹凸が異なる他の床パン立ち上がり部への取付に転用することができる。また、化粧カバーが装着されて締結部材の露出部分が隠蔽される状態で、水密材を圧着するようにしてあることにより、外観意匠性と水密性とを併せて確保する。
【0012】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記水密材は、前記化粧カバーが装着される状態で、前記床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するように形成されている構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、ヒレ状の水密材が床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するようにしてあることにより、特にリスクが大きい、エプロン下部から侵入しようとする水を水密材の湾曲によって円滑に排除する。
【0013】
また、本発明に係る浴室ユニットは、前記化粧カバーは、前記締結部材の洗場側への露出部分に弾性嵌合するようにしてある構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、化粧カバーが締結部材の一部に嵌合するようにしてあることにより、化粧カバーの取付用部品の数を抑えて製造コストを抑える。また、化粧カバーが弾性嵌合するようにしてあることにより、化粧カバーの着脱に大きな力を必要とせず、また、無用な力で化粧カバー及びこれの取付周辺が破損するという事態を回避し、組立時の取付け及び取外し性に配慮し、修理コストを抑える。
【0014】
更にまた、本発明に係る浴室ユニットは、前記化粧カバーは、前記エプロンの幅方向に臨む帯状板をなし、該帯状板の撓み込みを防ぐための突起が背面に形成されている構造であってもよい。
本発明に係る浴室ユニットは、化粧カバーがエプロンの幅方向に臨む帯状体とされていることにより、エプロンの幅方向に取り付けられる化粧カバーの数を抑えて製造コストを抑える。また、撓み込みを防ぐための突起を背面に有することにより、装着時に突起がエプロン下端部及び床パン立ち上がり部に当たるので、装着時の化粧カバーの部分的な撓み込みを抑え、外観意匠性が損なわれないようにとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴室ユニットは、エプロンを有する浴室ユニットにおいて、エプロン取付部分の外観意匠性が損なわれないようにできるとともに、エプロン取付部分の水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る浴室ユニットの基本的な構成を示す図である。
【図2】第1エプロン分割体を示す正面斜視図である。
【図3】第1エプロン分割体を示す背面斜視図である。
【図4】第3エプロン分割体を示す正面斜視図である。
【図5】第3エプロン分割体を示す背面斜視図である。
【図6】本発明に係る化粧カバーを示す正面斜視図である。
【図7】本発明に係る化粧カバーを示す背面斜視図である。
【図8】本発明に係る締結部材を示す図であって、(a)は固定用ねじを示す図、(b)はスリップパッキンを示す図、(c)は使用状態にある固定用ねじを示す図である。
【図9】本発明に係るエプロンの取付手順を示す斜視図であって、(a)はエプロンの上端部の取付手順を示す図であり、(b)はエプロンの下端部の取付手順を示す図である。
【図10】本発明に係る化粧カバーの取付状態を示す側面視断面図である。
【図11】比較例に係るエプロン下端部付近を示す側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る浴室ユニットを実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。図1は本発明に係る浴室ユニットの基本的な構成を示す図である。なお、本実施の形態において、正面方向とは洗い場から浴槽を向く方向であり、背面方向とは浴槽から洗い場を向く方向であり、側面方向とは正面方向と直交する方向である。
【0018】
図1に示すとおり、浴室ユニットは、基本的な部材として、床パン1、浴槽2、支柱3、取付用ねじ5、固定用ピース7、壁パネル及び天井パネルを備える。床パン1及び浴槽2は、設置面上に平行に設置され、これらの周端部に壁パネル及びドア枠が立ち上がるように配置されている。また、壁パネルの上端縁に天井パネルが取り付けられる。
【0019】
詳述すると、床パン1は、洗い場面10、支持脚11、壁パネル取付用起立片12、裏面13、床パン立ち上がり14及び排水孔15を備える。床パン1は、本体が平面視略矩形の板状をなし、上方が洗い場面10と、下方が裏面13となるように配置される。支持脚11は、裏面13の4隅付近から下方に伸び出て、下端が設置面(図示せず、以下同じ)に取付固定されている。また、支持脚11は、垂直方向に伸縮可能であり、設置面からの高さの調整手段となる。
【0020】
壁パネル取付用起立片12は、浴槽2と対向する端部を除いた洗い場面10の周端部に沿って立ち上がる。床パン立ち上がり14は、浴槽2と対向する端部に沿って形成された堰部が有する立ち上がり面であって、後述するエプロン4の下端部の固定部となる。また、床パン立ち上がり14は、幅方向両端部に支柱3が取付固定され、2本の支柱3に挟まれた稜線に沿って固定ピース7が間隔をあけて複数嵌め込まれている。
【0021】
洗い場面10は、周端から排水孔15に向かって僅かな下り傾斜をなし、洗い場面10に流れ落ちた湯水を排水孔15に案内する。排水孔15は、案内された湯水を排水管(図示せず、以下同じ)へと導く。
【0022】
浴槽2は、内底20、裏底21、支持脚22、内周壁23、フランジ24、スカート部25、嵌合用溝26、リブ27、支柱取付用ねじ孔28及び壁パネル取付用壁29を備える。浴槽2は、本体の内側に内底20を、外側に外底21を備える。支持脚22は、外底21の4隅付近から下方に伸び出て、下端が設置面に取付固定されている。
【0023】
内周壁23は、内底20の周端から上拡がりに立ち上がる。フランジ24は、内周壁23の上端縁から外周方向に鍔状に張り出している。スカート部25は、フランジ24の外周縁から垂れ下がっている。リブ27は、フランジ24の下面に、スカート部25に平行して設けられ、スカート部25との間に嵌合用溝26が形成されている。また、リブ27は、幅方向両端部に支柱取付用ねじ孔28が形成されている。壁パネル取付用壁29は、床パン1と対向する垂下面を除いたスカート部25の垂下面に、フランジ24より上方に張り出すように接着固定されている。
【0024】
固定用ピース7は、本体が中空立方体をなし、係止片70、孔71及びナット72を備える(後述する図10参照)。係止片70は、本体の背面から逆L字状に張り出し、床パン立ち上がり14の先端部に引っ掛け本体を固定させる部材である。孔71は、本体の正面の中央に形成されている。ナット72は、本体の中空部分に内蔵されている。
【0025】
また、浴室ユニットは、上述した基本的な部材のほかに、エプロン4、水密材6、化粧カバー8及び固定用ねじ9を備える。エプロン4は、洗い場側と浴槽2側を水密に仕切る部材であり、上端部を浴槽2の嵌合用溝26により、下端部を床パン1の床パン立ち上がり14によりそれぞれ支えられている。エプロン4には、一枚型エプロンと、複数の分割体からなる分割型エプロンとがある。なお、本実施の形態では、第1エプロン分割体40aと、第2エプロン分割体40bと、第3エプロン分割体41とからなる分割型エプロンを一例として説明する。
【0026】
図2は第1エプロン分割体40aを示す正面斜視図、図3は第1エプロン分割体40aを示す背面斜視図、図4は第3エプロン分割体41を示す正面斜視図、図5は第3エプロン分割体41を示す背面斜視図である。図2及び図3に示すとおり、第1エプロン分割体40aは、エプロン本体が正面視略矩形の板状をなし、フランジ嵌合用片400、横張出片401、フック受け部402、段差面403、下張出片404、締結部材埋込用穴405、壁パネル取付用張出片406、膨出部407、突起片408及び垂直リブ409を備える。
【0027】
フランジ嵌合用片400は、エプロン本体の上端面の、エプロン本体の床パン1側の面(以下「エプロン本体表面」という。)より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から立ち上がり、途中で浴槽2側に折れ曲がって側面視略L字形をなしている。また、フランジ嵌合用片400は、屈曲箇所の一部に水密材取付用溝60が形成されている。水密材取付用溝60には、後述する水密材6bが嵌め込み接着される。
【0028】
横張出片401は、エプロン本体の側端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から側方に張り出している。フック受け部402は、正面視垂直方向に一定の間隔をあけて横張出片401の先端部から突き出ており、背面の一部が切り欠かれている。段差面403は、横張出片401とエプロン本体表面との段差部分に形成されている。
【0029】
下張出片404は、エプロン本体の下端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から垂れ下がっている。締結部材埋込用穴405は、正面視幅方向に一定の間隔をあけて下張出片404の正面に複数形成され、穴の底に貫通孔が形成されている。膨出部407は、締結部材埋込用穴405によって下張出片404の背面が膨らんだ部分であり、膨らみの頂きに締結部材埋込用穴405の貫通孔が開通している。また、膨出部407の下側には、水密材取付用溝61が形成されている。水密材取付用溝61には、水密材6aが嵌め込み接着される。
【0030】
壁パネル取付用張出片406は、横張出片401が張り出す側と反対の側端面から床パン1側に張り出している。突起片408は、正面視幅方向に一定の間隔をあけてフランジ嵌合用片400の先端面から複数突き出ている。垂直リブ409は、壁パネル取付用張出片406が張り出ている側の側端部の背面に設けられている。
【0031】
なお、第2エプロン分割体40bは、上述した第1エプロン分割体40aと左右対称の構造となっているので、対応する箇所に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図4及び図5に示すとおり、第3エプロン分割体41は、エプロン本体が正面視略矩形の板状をなし、フランジ嵌合用片410、フック411、垂直リブ412、下張出片413、締結部材埋込用穴414、指掛け用凹み415、膨出部416、補強用リブ417及び突起片418を備える。
【0033】
フランジ嵌合用片410は、エプロン本体の上端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から立ち上がり、途中で浴槽2側に折れ曲がって側面視略L字形をなしている。また、フランジ嵌合用片410は、屈曲箇所の一部に水密材取付用溝62が形成されている。水密材取付用溝62には、水密材6bが嵌め込み接着される。
【0034】
フック411は、上向きに折れ曲がる鉤状をなし、エプロン本体の浴槽2側の面(以下「エプロン本体背面」という。)の両端部に、正面視垂直方向に一定の間隔をあけて複数形成されている。垂直リブ412は、エプロン本体背面の、フック411より外側に設けられている。
【0035】
下張出片413は、エプロン本体の下端面の、エプロン本体表面より段状に浴槽2側に入り込んだ位置から垂れ下がっている。締結部材埋込用穴414は、正面視幅方向に一定の間隔をあけて下張出片413の正面に複数形成され、穴の底に貫通孔が形成されている。膨出部416は、締結部材埋込用穴414によって下張出片413の背面が膨らんだ部分であり、膨らみの頂きに締結部材埋込用穴414の貫通孔が開通している。また、膨出部416の下側には、水密材取付用溝63が形成されている。水密材取付用溝63には、水密材6aが嵌め込み接着される。
【0036】
補強用リブ417は、エプロン本体背面の中央付近に形成されている。突起片418は、正面視幅方向に一定の間隔をあけてフランジ嵌合用片410の先端面から複数突き出ている。
【0037】
水密材6bは、本体が帯状をなし、例えば、日本発条株式会社製の「スーパーシート(商品名)」など、復元性(弾性)に優れたシーリング材が用いられる。また、より高い止水性が要求されるエプロンの下端部を止水する水密材6aは、本体が帯状をなすとともに、帯の長手方向に水返し用のヒレが形成され、例えば、藤倉ゴム工業株式会社製の「スーパーレストン(商品名)」など、高反発で復元性がより優れたシーリング材が用いられる。
【0038】
図6は本発明に係る化粧カバー8を示す正面斜視図、図7は本発明に係る化粧カバー8を示す背面斜視図である。化粧カバー8は、床パン1側から装着され、締結部材埋込用穴405及び414に挿し込まれる固定用ねじ9を隠すとともに、エプロン4の下端部と床パン立ち上がり14との接触箇所を覆い隠す部材となる。化粧カバー8は、本体が正面視幅方向に長手辺を有する帯板状をなし、リブ80、変形防止用突起81、嵌合用突起82及び補助水密材83を備える。
【0039】
リブ80は、化粧カバー本体の背面の上端部及び中間部に、化粧カバー本体の長手方向に沿って設けられている。変形防止用突起81は、各リブ80の先端及び化粧カバー本体の背面の下端部から、先端が浴槽2を向くように突き出ており、弾性を有する。嵌合用突起82は、各変形防止用突起81から分岐してリブ80間に生ずる溝状空間側に突き出ており、弾性を有する。
【0040】
補助水密材83は、化粧カバー本体の背面の下端部から突出する変形防止用突起81の位置より下方から浴槽2を向くように突き出て、途中で先端部が下方に臨むように湾曲するヒレ状をなし、例えば、60°乃至80°の軟質硬度を有する軟質アクリル(ソフトアクリル)樹脂により形成されている。
【0041】
なお、化粧カバー8は、上端から補助水密材83までの高さ寸法が、下張出片404及び413の垂れ下がりの長さより長くなるように形成され、且つ、全体の幅寸法がエプロン4(即ち、第1エプロン分割体40a、第2エプロン分割体40b及び第3エプロン分割体41を合わせたもの)の幅と同じか、又は個々の幅寸法がエプロン4の幅より短く、複数が連なることによりエプロン4の幅と同じになるように形成されている。
また、補助水密材83は、化粧カバー8が装着されて変形防止用突起81が下張出片404及び413に当たる状態で補助水密材83の先端部が床パン立ち上がり14に圧着することのできる寸法となるように、化粧カバー本体の背面からの突き出し寸法が形成されている。
【0042】
図8は本発明に係る締結部材を示す図であって、(a)は固定用ねじ9を示す図、(b)はスリップパッキン92を示す図、(c)は使用状態にある固定用ねじ9を示す図である。図8(a)に示すとおり、固定用ねじ9は、軸部90及び頭部91を備える。軸部90は、先端部に雄ねじ900が形成されている。
【0043】
頭部91は、上述した化粧カバー8を嵌め込み固定することができるように一般的なねじの頭部とは異なる特殊な形状を有しており、鍔部910、頭頂部911及び工具締め付け用穴912を備える。鍔部910は、軸部90と頭部91との境付近から外周方向に膨らみ出た部分である。頭頂部911は、頭部90の頂きに円盤状に形成されている。工具締め付け用穴912は、頭頂部911の上面に形成されており、十字穴、四角穴又は六角穴など様々な形状が存在する。なお、図8(a)は、工具締め付け用穴912を十字穴とする一例を示す。
【0044】
図8(b)に示すとおり、スリップパッキン92は、本体が円盤状をなし、孔920及び突起921を備える。孔920は、スリップパッキン92本体の中心に形成されている。突起921は、孔920から内周方向に向かって複数突き出ている。
【0045】
図8(c)に示すとおり、固定用ねじ9は、軸部90がスリップパッキン92の孔920に嵌め込まれた状態で使用される。このとき、スリップパッキン92は、各突起921が固定用ねじ9の軸部90の外周面を押し付けることにより、固定用ねじ9に固定される。
【0046】
このように、浴室ユニットは、複数の部材により構成されている。以下、これらの部材を用いた浴室ユニットの取付について説明する。図1に示すとおり、床パン1及び浴槽2は、設置面上に平行に設置され、支持脚11の高さ調整機能により高さが調整される。
【0047】
この状態で、支柱3は、下端部が床パン1の床パン立ち上がり14に取り付けられるとともに、上端部を挿通した取付用ねじ5が浴槽2の支柱取付用ねじ孔28にねじ込まれることにより、床パン1及び浴槽2を支持固定する。
【0048】
図9は本発明に係るエプロン4の取付手順を示す斜視図であって、(a)はエプロン4の上端部の取付手順を示す図、(b)はエプロン4の下端部の取付手順を示す図である。図9(a)に示すとおり、第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bは、床パン1及び浴槽2を仕切るように取り付けられる。このとき、浴槽2のフランジ24と、第1エプロン分割体40aと、床パン1の床パン立ち上がり14と、第2エプロン分割体40bとで囲まれた開口部分が、作業点検口となる。
【0049】
第3エプロン分割体41は、作業点検口を塞ぐように取り付けられる。このとき、第3エプロン分割体41のエプロン本体背面が第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bの横張出片401に接触する。
【0050】
この状態で、第3エプロン分割体41は、下から上にスライドされることにより、フランジ嵌合用片410が浴槽2の嵌合用溝26に嵌り込み、フック411が第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bのフック受け部402に嵌り込み、下張出片413の裏面が床パン1の床パン立ち上がり14に接触する。
【0051】
図9(b)に示すとおり、取付状態にある第3エプロン分割体41は、下張出片413の締結部材埋込用穴414に固定用ねじ9が挿し込まれる。なお、第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bについては、上述した第3エプロン分割体41と同様に取り付けられる。
【0052】
図10は本発明に係る化粧カバー8の取付状態を示す側面視断面図である。図10に示すとおり、床パン立ち上がり14への取付状態にある第3エプロン分割体41は、下張出片413の膨出部416が床パン立ち上がり14の凹みに嵌り込んでいる。固定用ねじ9は、パッキン93を介して締結部材埋込用穴414に挿し込まれて先端が固定ピース7のナット72に臨み、雄ねじ900が固定ピース7のナット72にねじ込まれる。それにより、第3エプロン分割体41は、床パン立ち上がり14に固定された状態となる。具体的には、第3エプロン分割体41と床パン立ち上がり14とが、固定用ねじ9の鍔部910と固定用ピース7の係止片70とにより挟み込まれる状態となる。
このとき、下張出片413の水密材6は、床パン立ち上がり14からの圧力を受けることにより床パン立ち上がり14との間で水密状態になるとともに、下張出片413は、床パン1側に撓んで床パン立ち上がり14との間に僅かな隙間を生じさせる(図10の下張出片413の二点鎖線を参照)。
【0053】
この状態で、化粧カバー8は、下張出片413全体を覆い隠すように、且つ、第3エプロン分割体41下端部の入り組んだ空間に嵌り込んでエプロン本体表面と略面一となるように取り付けられ、化粧カバー本体背面の溝状空間に固定用ねじ9の頭部91が嵌り込み、嵌合用突起82が固定用ねじ9の頂頭部911に引っ掛かる。同時に、変形防止用突起81の先端が下張出片413の正面に接触し、更に、補助水密材83の先端部が床パン立ち上がり14に沿って下方に湾曲しながら圧着して、下張出片413と床パン立ち上がり14との間に生じた隙間を覆い隠す。
【0054】
なお、上述した内容は、第3エプロン分割体41の符号に基づく説明であるが、同様の構造を有する第1エプロン分割体40a及び第2エプロン分割体40bについては、図10の括弧内の符号に置き換えることによりその説明を省略する。
【0055】
(実施例)
以下、本願実施例と比較例とを、止水性、組立容易性、保守点検容易性及び外観意匠性の観点から比較したときの相対的な評価を示す。図11は比較例に係るエプロン下端部付近を示す側面視断面図である。図11に示すとおり、比較例は、従来のエプロン4の取付構造であり、エプロン4の下端部が一般的なねじSにより固定され、化粧カバー8が装着されていない。なお、図11に示す比較例は、便宜上、本発明と対応する箇所に同一の符号が付されている。一方、本願実施例は、上述した実施の形態とする。
【0056】
止水性については、本願実施例が比較例より優れている。即ち、比較例は、水密材6により止水されているため、この水密材6に不良があれば漏水のおそれがあるのに対して、本願実施例は、水密材6及び補助水密材82により2重に止水されているため、何れか一方に不良があっても他方で止水することができる。
【0057】
組立容易性及び保守点検容易性については、略同等である。即ち、比較例は、第3エプロン分割体41を着脱するのに対して、本願実施例は、第3エプロン分割体41及び化粧カバー8を着脱するが、化粧カバー8の着脱が容易であることから、略同等であることいえる。
【0058】
外観意匠性について、本願実施例が比較例より優れている。即ち、比較例は、エプロン4の下端部のねじSが隠蔽されていないのに対して、本願実施例は、化粧カバー8により固定用ねじ9が隠蔽されている。
【0059】
このように、本願実施例は、エプロン4が構造体であるにもかかわらず、意匠エプロンと同等の外観意匠性を備えるとともに、高い止水性を有するという点で、従来のエプロンの取付構造より優れている。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、締結部材として固定用ねじ9を固定用ピース7のナット72に螺合させる一例を説明したが、これに限定されるものでなく、固定用ピース7から突き出た雄ねじに洗い場側からナットを螺合させるようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、化粧カバー8の補助水密材83が、床パン立ち上がり14に圧着する一例を説明したが、これに限定されるものでなく、エプロン4の下端部と床パン立ち上がり14との隙間を覆い隠す態様であればよく、例えば、化粧カバー8の補助水密材83がエプロン4の下端部から床パン立ち上がり14まで圧着する態様であってもよい。
【0062】
また、作用についての補足として、本発明にあっては、化粧カバー8本体をエプロン4と同様に、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)とするとともに、その他の部分を弾性を有する素材とする、二層成形とすることにより、用途に合わせた機能を有する部品成形が可能となる。
【0063】
また、本発明にあっては、常に、エプロン4をスライド係合させ、固定用ねじ9によりねじ固定した後、固定用ねじ9の頭部に化粧カバー8を嵌合することとなるので、取付手順を画一的にさせることができる。仍って、取付手順の間違いなどの不備による、外観意匠性の欠如や、水密性の低下などを回避することができる。
【0064】
また、本発明にあっては、固定用ねじ9の一部に化粧カバー8を装着するので、異なる形状のエプロン4に装着する場合、エプロン4自体に何らかの取付構造を施すことなく、固定用ねじ9を取付部品として転用するとともに、押出成形により新たに製造した化粧カバー8を用いることで対応ができる。化粧カバー8は、エプロン4の成型に比して、加工が容易であり、安価に製造することができるため、全体の製造コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 床パン
2 浴槽
3 支柱
4 エプロン
5 取付用ねじ
6 水密材
7 固定用ピース
8 化粧カバー
9 固定用ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗場となる床パンと浴槽とが設置面上に並設され、洗場側と浴槽側とが床パンと浴槽の洗場側上端とで支持されるエプロンによって水密に仕切られ、エプロン下端部が床パン立ち上がり部にねじ固定される浴室ユニットにおいて、
洗場側から装着される化粧カバーを備え、
前記化粧カバーは、
カバー本体と、
装着されたカバー本体が前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部とを両端で挟み込むボルト、ナット又はねじなどの締結部材の洗場側への露出部分を隠す状態で、前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す水密材と
を備えることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記水密材は、ヒレ状をなし、前記化粧カバーが装着される状態で、その先端部が前記床パン立ち上がり部に弾性圧着するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記水密材は、前記化粧カバーが装着される状態で、前記床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記化粧カバーは、前記締結部材の洗場側への露出部分に弾性嵌合するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記化粧カバーは、
前記エプロンの幅方向に臨む帯状板をなし、該帯状板の撓み込みを防ぐための突起が背面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の浴室ユニット。
【請求項1】
洗場となる床パンと浴槽とが設置面上に並設され、洗場側と浴槽側とが床パンと浴槽の洗場側上端とで支持されるエプロンによって水密に仕切られ、エプロン下端部が床パン立ち上がり部にねじ固定される浴室ユニットにおいて、
洗場側から装着される化粧カバーを備え、
前記化粧カバーは、
カバー本体と、
装着されたカバー本体が前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部とを両端で挟み込むボルト、ナット又はねじなどの締結部材の洗場側への露出部分を隠す状態で、前記床パン立ち上がり部と前記エプロン下端部との接触箇所に生じる隙間を覆い隠す水密材と
を備えることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記水密材は、ヒレ状をなし、前記化粧カバーが装着される状態で、その先端部が前記床パン立ち上がり部に弾性圧着するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記水密材は、前記化粧カバーが装着される状態で、前記床パン立ち上がり部の面に沿って湾曲するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記化粧カバーは、前記締結部材の洗場側への露出部分に弾性嵌合するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記化粧カバーは、
前記エプロンの幅方向に臨む帯状板をなし、該帯状板の撓み込みを防ぐための突起が背面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の浴室ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−101767(P2011−101767A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258572(P2009−258572)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
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