説明

浴室ユニット

【課題】浴槽エプロンを洗場防水パンに強固に固定させると共に、繰り返し脱着可能な固定構造を提供する。
【解決手段】洗場防水パン3は、浴槽エプロン4方向に立上る立上り壁部44を有し、立上り壁部44と浴槽エプロン4下端の側壁部34とを止水部材43である介装物を介し沿わせて接合し、立上り壁部44は、浴槽エプロン4及び止水部材43が係合する第1の立上り壁部61と、更に上方に延びる第2の立上り壁部63とを備え、浴槽エプロン4が第1の立上り壁部61に接合した状態にて、第2の立上り壁部63と浴槽エプロン4との間に位置し、雌ネジ孔64gを有する第1の壁部64bと、この第1の壁部64bに連接され、第2の立上り壁部63を浴槽側と浴槽エプロン4側とから挟んで保持する構造の挟み部64dを有する係止部材64を備え、係止部材64の雌ネジ孔64gに浴槽エプロン4下端の側壁部34を貫通したネジ41を螺着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に浴槽エプロンの固定構造について改良を図った浴室ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、浴室ユニット内に配置される浴槽の外側面側には、浴槽エプロンが設けられている。この浴槽エプロンは、浴槽の外側側面を隠して止水する等を行うといった機能を有しており、浴室ユニットにおいて広く用いられている。
【0003】
図8は、従来の浴槽エプロンの固定構造を示した、浴室ユニットの一部を省略した縦断面図である。
この図8に示すように、浴室ユニット1は、浴槽2と、この浴槽2に隣接配置された洗場防水パン3と、浴槽2の側面に沿って配置された浴槽エプロン4とを備えている。
【0004】
浴槽2は、その内部が貯湯空間5となっており、その側壁6の上端部6aは、水平方向外方に張り出した上縁部7と、この上縁部7から折曲して、鉛直方向下方に向かって延出された延出部8と、上縁部7の幅方向中央近傍から、鉛直方向下方に突出した突起部9とを備えている。延出部8と突起部9との間は、凹部10となっている。
【0005】
浴槽2の側壁6は、上端部6aから下方へ向けて貯湯空間5の内方側へ傾斜する壁部6bと、この壁部6b下端から貯湯空間5側へ水平方向に延在する壁部6cと、この壁部6cの内方端部から下方へ延在する壁部6dとを備えている。
【0006】
側壁6の壁部6cの下方、かつ壁部6dの外側には、浴槽エプロン支持部材21が設けられている。この浴槽エプロン支持部材21は、側壁6の壁部6cの下方へ納まる形状とされ、壁部6に固定された主壁部21aと、この主壁部21aから外方へ張り出す係合壁部21bとからなっており、係合壁部21bには開口部22が形成されている。
【0007】
浴槽エプロン4には、上端部に凸部31が形成されており、この凸部31は、浴槽2における側壁6の上端部6aの下側に形成された凹部10に嵌合されている。
この浴槽エプロン4は、上端部の凸部31から、鉛直方向下方へ向かって延びるように形成された側壁部32と、この側壁部32の下端から浴槽2側へ傾斜しつつ下方へ延びる側壁部33と、この側壁部33から下方へ向かって形成された側壁部34とを備えている。
側壁部33の下端部には、浴槽2側へ水平方向に延びる突出壁部35が形成されており、この突出壁部35の先端には、下方へ下り曲がった係止壁部36が形成されている。この係止壁部36が、前記浴槽エプロン支持部材21における係合壁部21bの開口部22に挿入かつ係止されることによって、浴槽エプロン4の下端部側が係合壁部21bに支持された構造となっている。
側壁部34は、その下端部に浴槽2側へ水平方向に延びる壁部37を備えている。
【0008】
洗場防水パン3は、浴槽2の近傍に位置する周縁部に浴槽エプロン4の下端部方向に立上る立上り壁部3aを備えており、立上り壁部3aの上端部は水平方向に延在する壁部38を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−149250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の浴室ユニット1では、浴槽エプロン4の固定方法が、浴槽エプロン4と浴槽エプロン支持部材21の成形品同士の形状による嵌合のみである。そうすると、製品公差や施工公差のばらつきにより、浴槽エプロン4と洗場防水パン3との隙間が大きくなることがある。
すなわち、図8に示すように、浴槽エプロン4の最下端の壁部37と洗場防水パン3の壁部38との間に隙間Pが形成されることがある。
これにより、隙間に止水部材を貼り付けたとしても、止水部材自体の反発力がある為、充分に圧縮されず止水性能の確保ができなくなってしまう。
その結果、洗場防水パン3から散水した水や蒸気が、浴槽エプロン4と洗場防水パン3との隙間を通過し、浴槽側へ浸入していた。
洗場防水パン3から浴槽側へ水や蒸気が浸入した場合、この水には、人間の皮脂などの汚れが含まれていることが多い為、浴室ユニット1の利用者が、定期的に清掃しなければならないという不都合があった。
【0011】
そこで、浴槽エプロン4の固定方法として、浴槽エプロン4と洗場防水パン3を強固に機械固定する方法が考えられる。これにより、確実に浴槽エプロン4嵌合部で浴槽2設置面への止水を行なうことができ、洗場防水パン3から浴槽2設置面への汚れている水や蒸気の浸入を防ぐことで、定期的に清掃することを無くすことができる。
【0012】
しかし、この機械固定する方法として、ネジ等で浴槽エプロン4と洗場防水パン3を固定する方法が考えられるが、この方法では、洗場防水パン3に下穴加工の必要がある。もっとも、洗場防水パン3成形時の脱型方向と下穴加工方向とが、垂直の関係にある為、成形時洗場防水パン3の立ち上がり部に下穴加工を行なうことはできない。よって、下穴加工は成形後の後加工工程となってしまい、洗場防水パン3の製作工程数が増えてしまう。
【0013】
また、通常、建築側に設置されている給水湯配管や浴槽2に取り付けられている追焚配管やバブルバスの器具を定期的に点検する必要がある。したがって、浴槽エプロン4は繰り返し脱着することができ、かつ繰り返しの脱着動作に耐えられる必要がある。
【0014】
このような背景の下、洗場防水パン3自体にネジ固定用の下穴加工を施さず、浴槽エプロン4が繰り返し脱着可能な構造をもった浴槽エプロン4の固定構造が要望されていたが、止水構造と保守点検作業の簡易化との両立は困難であるとして、有効適切なものが提供されていないのが実情である。
【0015】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、浴槽エプロンと洗場防水パンを強固に機械固定させて、止水部材を圧縮させ確実に止水すると共に、洗場防水パンの浴槽エプロン嵌合部に下穴加工をせず、繰り返し脱着可能な浴槽エプロンの固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)本発明は、浴槽と、この浴槽に隣接配置された洗場防水パンと、前記浴槽の側面に沿って配置された浴槽エプロンとを備え、前記浴槽エプロンの上端部が、浴槽の上端部と接合されている浴室ユニットにおいて、前記洗場防水パンは、前記浴槽の近傍にて、前記浴槽エプロン方向に立上る立上り壁部を有し、該立上り壁部と前記浴槽エプロン下端の側壁部とを止水部材である介装物を介し沿わせて接合し、前記立上り壁部は、前記浴槽エプロン及び前記止水部材が係合する第1の立上り壁部と、この第1の立上り壁部より前記浴槽側に位置し、該第1の立上り壁部より更に上方に延びる第2の立上り壁部とを備え、前記浴槽エプロンが前記第1の立上り壁部に接合した状態にて、前記第2の立上り壁部と前記浴槽エプロンとの間に位置し、雌ネジ孔を有する第1の壁部と、この第1の壁部に連接され、前記第2の立上り壁部を前記浴槽側と前記浴槽エプロン側とから挟んで保持する構造をした挟み部とを有する係止部材を備え、前記係止部材の雌ネジ孔に前記浴槽エプロン下端の側壁部を貫通したネジを螺着して前記係止部材と前記浴槽エプロン下端の側壁部を前記ネジにより緊締して前記接合を止水構造としたことを特徴とする浴室ユニットに関する。
(2)本発明は、前記第1の壁部にその厚み方向にナットが埋設された浴室ユニットに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、上記構成を採用した結果、洗場防水パンと浴槽エプロンの固定方法が、ネジにより緊締して止水構造を得るというもので、洗場防水パンと浴槽エプロンとの止水を確実に行うことができるという効果が得られる。
また、ネジは、浴槽エプロンと洗場防水パンに係止された係止部材とを緊締するので、洗場防水パンに生産工場での下穴加工や、現地施工現場での下穴加工を施すことが不要となる効果がある。
さらに、ネジを用いることにより、浴槽エプロンを繰り返し脱着することが可能となり、建築側の給水湯配管接続部を定期的に点検することができる。加えて、ネジを用いての螺着という一般的な締結方法の為、複雑な構造にならず、浴槽エプロンの脱着方法が点検作業者に理解しやすいという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の形態である浴室ユニットの一部を省略した縦断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の形態である浴室ユニットの浴槽エプロンと洗場防水パンの固定部分を詳細に示している図で、図2(a)は、その縦断面図を、図2(b)は、その横断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の第1の形態である浴室ユニットの浴槽エプロンの固定手順を示した縦断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の形態である浴室ユニットの浴槽エプロンの脱着手順を示した斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2の形態である浴室ユニットの浴槽エプロンと洗場防水パンの固定部分を詳細に示している図で、図5(a)は、その縦断面図を、図5(b)は、その横断面図を示している。
【図6】図6は、本発明の第3の形態である浴室ユニットの浴槽エプロンと洗場防水パンの固定部分を詳細に示している図で、図6(a)は、その縦断面図を、図6(b)は、その横断面図を示している。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態である浴室ユニットの浴槽エプロンと洗場防水パンの固定部分を詳細に示している図で、図7(a)は、その縦断面図を、図7(b)は、その横断面図を示している。
【図8】図8は、従来技術の浴室ユニットの一部を省略した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る浴室ユニットについて、図面を参照して説明する。
[第1の形態]
図1は、本発明の第1の形態である浴室ユニットの一部を省略した縦断面図である。図2は、図1の浴槽エプロンと洗場防水パンとの固定部分を詳細に示した図で、図2(a)は、その縦断面図を、図2(b)は、その横断面図を示している。
【0020】
図1に示すように、本形態の浴室ユニット1Aは、浴槽2と、この浴槽2に隣接配置された洗場防水パン3と、浴槽2の側面に沿って配置された浴槽エプロン4とから概略構成されている。
【0021】
浴槽2は、その内部が貯湯空間5となっており、その側壁6の上端部6aは、水平方向外方に張り出した上縁部7と、この上縁部7から折曲して、鉛直方向下方に向かって延出された延出部8と、上縁部7の幅方向中央近傍から、鉛直方向下方に突出した突起部9とを備えている。延出部8と突起部9との間は、凹部10となっている。
【0022】
浴槽エプロン4には、上端部に凸部31が形成されており、この凸部31は、浴槽2における側壁6の上端部6aの下側に形成された凹部10に嵌合されている。
この浴槽エプロン4は、上端部の凸部31から、鉛直方向下方へ向かって延びるように形成された側壁部32と、この側壁部32の下端から浴槽2側へ傾斜しつつ下方へ延びる側壁部33と、この側壁部33から下方へ向かって形成された側壁部34とを備えている。
また、図2(a)(b)に示すように、側壁部34には、その厚み方向に雌ネジ孔34aが設けられている。
【0023】
洗場防水パン3は、図1に示すように、浴槽エプロン4の下方から浴槽2と離間する方向に延在するように配置されている。
洗場防水パン3は、浴槽2の近傍に位置する周縁部に浴槽エプロン4の下端部方向に立上る壁部44と、その壁部44から水平方向浴槽2側に折曲して延びた延在部45と、その延在部45から折曲して立ち上がる立上り壁部42とを備えた構成とされている。
【0024】
立上り壁部42は、図2(a)(b)に示すように、延在部45の内端から立上るように形成された壁部71と、この壁部71の上端から浴槽2側へ水平方向に延在するように形成された延在部72と、この延在部72から上方へ立上るように形成された壁部73と、延在部72の上方、かつ壁部73の浴槽2から離間する方向に形成された壁部74及び壁部75とを備えている。そして、これら壁部74及び壁部75の間に凹部76が形成されている。
また、壁部74及び壁部75には、凹部76内に突出するように突出部77及び突出部78が形成されており、突出部77及び突出部78間は、係止溝79となっている。
このように、立上り壁部42には、浴槽2側に向かって窪んだ形状をした凹部76が形成されており、凹部76内の浴槽エプロン4の表面に沿う水平方向左右両側側面には、上下方向に延在する係止溝79が形成された構成となっている。
係止溝79は、係止部材48が嵌合して係止するように構成されている。
なお、凹部76は、立上り壁部42の上端に配置されており、凹部76の鉛直方向上方は開口した構成をしている。
【0025】
係止部材48は、板状の部材に、その厚み方向に雌ネジ孔48aが形成された構成をしている。
係止部材48は、その厚み、材質等は特に限定されるものではないが、多くの力が作用するところなので、変形度合いの少ない、防錆処理を施した鋼板、ポリアセタール成形品、ポリプロピレン成形品等を用いることが好ましい。
また、係止部材48は、係止溝79によって係止されるので、係止溝79の溝幅と略等しい厚みのものを用いることができるが、溝に係止する部分のみを残し、肉抜きしたものを用いることもできる。
【0026】
固定部材を構成する雄ネジ41は、浴槽エプロン4の外側から浴槽2側に向かって、側壁部34に設けられた雌ネジ孔34aを介して、係止部材48に設けられた雌ネジ孔48aに螺着されている。この雄ネジ41による緊締により、立上り壁部42と浴槽エプロン4は接合され、かつ、この接合は止水構造とされる。
なお、この雄ネジ41は、緊締した際に、凹部46の奥部に接しない長さに構成されている。これにより、雄ネジ41は、緊締した際にも、洗場防水パン3とは干渉しないこととなり、局所的な応力が発生しなくなる。
また、係止部材48が、洗場防水パン3の立上り壁部42に設けられた凹部76内において、凹部76内の係止溝79によって係止されているので、螺着時に係止部材48が倒れることはない。
【0027】
浴槽エプロン4の側壁部34の下端は、浴槽2側に折曲しており、洗場防水パン3の壁部71と接合するように配置されている。
また、側壁部34の下端近傍と洗場防水パン3の壁部71との間には、止水部材43(介装物)が充填された構成となっている。この止水部材43は、止水用軟質材であることが好ましい。
【0028】
また、本形態の浴槽エプロン4は、図4(a)に示すように、浴室ユニット1A内に取り付けてあるカウンター50の端部が接している浴槽サイドエプロン4aと、その他の面の浴槽センターエプロン4bとに分割されている。
【0029】
次に、浴槽エプロン4を固定する手順について説明する。図3は、浴槽エプロン4の固定手順を示した縦断面図である。
まず、図3(a)に示すように、浴槽エプロン4を固定する前に、図2(a)(b)に示す洗場防水パン3の立上り壁部42に設けられた凹部76内の係止溝79に、係止部材48を上方から差し込む。
次に、図3(b)に示すように、浴槽エプロン4の側壁部34の浴槽2側下端に、止水部材43を配置する。そして、浴槽エプロン4の凸部31を、浴槽2における側壁6の上端部6aの下側に設けられた凹部10に、下方から差し込む。
その後、図3(c)に示すように、浴槽エプロン4の下端を洗場防水パン3へ接近させる。そして、雄ネジ41を図2(a)(b)に示す浴槽エプロン4に設けられた雌ネジ孔34aを介して、係止部材48に設けられた雌ネジ孔48aへ挿入して緊締させる。
これにより、浴槽エプロン4と洗場防水パン3とを機械固定することができ、止水部材43を充分に圧縮することができる。
【0030】
次に、浴槽エプロン4を脱着して、浴槽エプロン4によって隠されていた給水湯配管接続部49等の点検作業を行う手順について説明する。図4は、この手順を示した斜視図である。
まず、図4(b)に示すように、浴槽センターエプロン4bの下端部にある雄ネジ41を外し、浴槽センターエプロン4bを外す。
次に、図4(c)に示すように、給水湯配管接続部49等を点検する。
点検終了後は、逆の手順で浴槽センターエプロン4bを嵌め込み、雄ネジ41によって再度固定する。
【0031】
本形態の浴室ユニット1Aは、上記構成を採用したため、浴槽エプロン4と洗場防水パン3とを雄ネジ41によって緊締することで、機械固定することができる。これにより、両者の間に配置された止水部材43を十分に圧縮することができる。この結果、止水部材43が十分に止水性能を発揮することができる。
【0032】
また、雄ネジ41を、直接洗場防水パン3に螺着させるのではなく、洗場防水パン3に係止された係止部材48に螺着させる為、洗場防水パン3に生産工場での下穴加工や、現地施工現場での下穴加工をすることが不要となる。
【0033】
加えて、浴槽エプロン4の固定構造が、雄ネジ41を螺着させて固定するという構造の為、浴槽エプロン4を繰り返し脱着することが可能となり、建築側の給水湯配管接続部49等を定期的に点検することができる。
また、雄ネジ41を螺着して固定するという一般的な固定方法の為、複雑な構造にならず、浴槽エプロン4の脱着方法が点検作業者に理解しやすい構造となる。
【0034】
また、浴槽エプロン4が、浴室ユニット1Aのカウンターが取り付いている浴槽エプロンサイドエプロン4aと、その他の面である浴槽エプロンセンターエプロン4bとで分割されているので、脱着が容易な浴槽センターエプロンのみを脱着することで、容易に給水湯配管接続部49等を点検できる。
【0035】
[第2の形態]
図5は、第2の形態の浴室ユニット1Bの、浴槽エプロン4と洗場防水パン3との固定部分を詳細に示している図であり、図5(a)は、その縦断面図を、図5(b)は、その横断面図を示している。なお、本形態は、第1の形態の変形例であり、同様の部分については説明を省略する。
【0036】
図5(a)(b)に示すように、本形態では、立上り壁部42に設けられた凹部76内に配置された係止部材51が、雌ネジ孔51aが形成された主壁部51bと、この主壁部51bの水平方向左右両端部から折曲して、浴槽2側へ延びる折曲壁部51cとから構成されている。
【0037】
また、凹部76を構成する壁部74及び壁部75には、凹部76内に突出した係止部材51の浴槽エプロン4方向への移動を阻止する位置規制壁部80が設けられている。
【0038】
雄ネジ41は、浴槽エプロン4の外側から浴槽2側に向かって、浴槽エプロン4の側壁部34に設けられた雌ネジ孔34aを介して、係止部材51に設けられた雌ネジ孔51aに螺着されている。この雄ネジ41による螺着により、洗場防水パン3と浴槽エプロン4とは接合される。
【0039】
上記構成を採用した結果、凹部76内において、係止部材51は、浴槽2側への移動については凹部76内の奥部により規制され、浴槽エプロン4側への移動については位置規制壁部80により規制されることとなる。これにより、係止部材51に設けられた雌ネジ51aの位置が固定され、雄ネジ41での緊締が容易にできることとなる。
【0040】
本形態でも、第1の形態と同様に、浴槽エプロン4と洗場防水パン3とを強固に機械固定させて、止水部材43を十分に圧縮することで、確実に止水することができる。また、洗場防水パン3に下穴加工をする必要がなく、かつ、浴槽エプロン4を繰り返し脱着することができる。
加えて、上記構成を採用したことにより、第1の形態と比較して、洗場防水パン3の立上り壁部42に設けられた凹部76内の形状を簡素化することができる。これにより、洗場防水パン製作時の成形不具合や製品輸送中の欠け等を防ぐことができ、製品不良を軽減することができる。
【0041】
[第3の形態]
図6は、第3の形態の浴室ユニット1Cの、浴槽エプロン4と洗場防水パン3との固定部分を詳細に示している図であり、図6(a)は、その縦断面図を、図6(b)は、その横断面図を示している。なお、本形態は、第1の形態の変形例であり、同様の部分については説明を省略する。
【0042】
図6(a)(b)に示すように、本形態では、洗場防水パン3の立上り壁部42に設けられた凹部76を構成する壁部74及び壁部75に、凹部76内に突出した係止部材54の浴槽2方向への移動を阻止する位置規制壁部81が設けられている。
【0043】
また、係止部材54は、凹部76内に配置されており、凹部76内浴槽エプロン4側で、浴槽エプロン4と平行に配置された所定の厚さを有する略矩形状の第1の壁部54bと、この第1の壁部54bの上端から、浴槽2方向に向かって延出した連続部54cと、この連続部54cから鉛直方向下側に延在した第2の壁部54dとから構成されている。
この第1の壁部54bは、凹部76内に設けられた位置規制壁部81の浴槽エプロン4側に配置されている。また、第1の壁部54bには、その厚み方向に雌ネジ孔54aが設けられている。
第2の壁部54dは、凹部76奥部の係合壁を構成する壁部73の浴槽2側にて、壁部73に係合するように配置されている。
【0044】
雄ネジ41は、浴槽エプロン4の外側から浴槽2側に向かって、浴槽エプロン4の側壁部34に設けられた雌ネジ孔34aを介して、係止部材54に設けられた雌ネジ孔54aに螺着されている。この雄ネジ41による螺着により、洗場防水パン3と浴槽エプロン4とは接合される。
【0045】
上記構成を採用した結果、凹部76内において、係止部材54は、第1の壁部54bが、位置規制壁部81に係合することで、浴槽2側への移動が規制される。また、第2の壁部54dが、係合壁53に係合することで、浴槽エプロン4側への移動が規制される。これにより、係止部材54に設けられた雌ネジ54aの位置が固定され、雄ネジ41での緊締が容易にできることとなる。
【0046】
本形態でも、第1の形態と同様に、浴槽エプロン4と洗場防水パン3とを強固に機械固定させて、止水部材43を十分に圧縮することで、確実に止水することができる。また、洗場防水パン3に下穴加工をする必要がなく、かつ、浴槽エプロン4を繰り返し脱着することができる。
加えて、上記構成を採用したことにより、第1の形態ないし第2の形態と比較して、洗場防水パン3の立上り壁部42に設けられた凹部76内の形状を、さらに簡素化することができる。これにより、洗場防水パン3製作時の成形不具合や製品輸送中の欠け等を防ぐことができ、製品不良をさらに軽減することができる。
【0047】
[第1の実施形態]
図7は、本発明に係る第1の実施形態の浴室ユニット1Dの、浴槽エプロン4と洗場防水パン3との固定部分を詳細に示している図であり、図7(a)は、その縦断面図を、図7(b)は、その横断面図を示している。なお、本実施形態は、第1の形態の変形例であり、同様の部分については説明を省略する。
【0048】
図7(a)(b)に示すように、洗場防水パン3は、浴槽2の近傍に位置する周縁部に浴槽エプロン4の下端部方向に立上る壁部44と、その壁部44から水平方向浴槽2側に折曲して延びた延在部45と、その延在部45から折曲して鉛直方向上方に向かって立ち上がる第1立上り壁部61と、その第1立上り壁部61から折曲して、浴槽2側に延出した壁部62と、その壁部62から鉛直方向上方へ立ち上がる第2立上り壁部63とを有した構成とされている。
【0049】
また、係止部材64は、第1立上り壁部61と連続して鉛直方向上方に延びる位置に配置された、所定の厚みを有する略矩形状の第1の壁部64bと、この第1の壁部64bの上端から折曲して浴槽2側へ延びて構成された連続部64cと、この連続部64cから連続して、第2立上り壁部63を挟む挟み部64dとから概略構成される。
この挟み部64dは、連続部64cから折曲して、第2立上り壁部63の浴槽2側に位置し、この第2立上り壁部63の浴槽2側の面に接して、鉛直方向下方に延在する第2の壁部64eと、連続部64cの下側から、第2立上り壁部63の浴槽エプロン4側の面に接して、鉛直方向下方に向かって突出した突起部64fとから概略構成されている。
第1の壁部64bには、その厚み方向にナット64g(雌ネジ孔)が埋設されている。
【0050】
雄ネジ41は、浴槽エプロン4の外側から浴槽2側に向かって、浴槽エプロン4の側壁部34に設けられた雌ネジ孔34aを介して、係止部材64に設けられたナット64gに螺着されている。この雄ネジ41による螺着により、洗場防水パン3と浴槽エプロン4とは接合される。
【0051】
上記構成を採用した結果、係止部材64は、第2立上り壁部63を挟み部64dによって挟むことにより、浴槽2側方向及び浴槽エプロン4側方向への移動がともに規制されることとなる。これにより、係止部材64に設けられたナット64gの位置が固定され、雄ネジ41での緊締が容易にできることとなる。
【0052】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、浴槽エプロン4と洗場防水パン3とを強固に機械固定させて、止水部材43を十分に圧縮することで、確実に止水することができる。また、洗場防水パン3に下穴加工をする必要がなく、かつ、浴槽エプロン4を繰り返し脱着することができる。
加えて、上記構成を採用したことにより、第1の実施形態ないし第3の実施形態と比較して、洗場防水パン3の形状を、さらに簡素化することができる。これにより、洗場防水パン3製作時の成形不具合や製品輸送中の欠け等を防ぐことができ、製品不良を一層軽減することができ、また、別構造の浴槽エプロンを取り付ける際の検討が容易になる。
さらに、洗場防水パン3に凹部76を設けなくてすむため、浴槽エプロン3を固定する箇所を自由に変更することができる。
【0053】
なお、本実施形態において、第1立上り壁部61の上端全てに渡って、折曲して壁部62を設ける必要はなく、第1立上り壁部61の上端の一部で折曲して壁部62を設けるようにしても良い。この場合、第1立上り壁部61の上端で折曲しなかった部分においては、さらに上方に向けて立ち上がる部位を設けても良い。
また、壁部62には、係止部材64を配置する位置を予めマーキングしておくことが好ましい。
また、係止部材64の成形方法に関しては、一般的に押出し成形や射出成形が好ましい。
【0054】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、浴槽エプロンにカウンターが取り付いていない場合でも、浴槽エプロンが分割されていて構わない。建築側の給水湯配管接続部の点検を行う場合に、浴槽エプロンの脱着可能部のみを脱着して点検することができるからである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、浴室ユニットを製造する製造業において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B,1C,1D…浴室ユニット、2…浴槽、3…洗場防水パン、4…浴槽エプロン、41…雄ネジ、42…立上り壁部、43…止水部材、48,51,54,64…係止部材、48a,51a,54a…雌ネジ孔、51b…主壁部、51c…折曲壁部、54b…第1の壁部、54d…第2の壁部、61…第1の立上り壁部、63…第2の立上り壁部、64b…第1の壁部、64d…挟み部、76…凹部、79…係止溝、80,81…位置規制壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、この浴槽に隣接配置された洗場防水パンと、前記浴槽の側面に沿って配置された浴槽エプロンとを備え、前記浴槽エプロンの上端部が、浴槽の上端部と接合されている浴室ユニットにおいて、前記洗場防水パンは、前記浴槽の近傍にて、前記浴槽エプロン方向に立上る立上り壁部を有し、該立上り壁部と前記浴槽エプロン下端の側壁部とを止水部材である介装物を介し沿わせて接合し、
前記立上り壁部は、前記浴槽エプロン及び前記止水部材が係合する第1の立上り壁部と、この第1の立上り壁部より前記浴槽側に位置し、該第1の立上り壁部より更に上方に延びる第2の立上り壁部とを備え、
前記浴槽エプロンが前記第1の立上り壁部に接合した状態にて、前記第2の立上り壁部と前記浴槽エプロンとの間に位置し、雌ネジ孔を有する第1の壁部と、この第1の壁部に連接され、前記第2の立上り壁部を前記浴槽側と前記浴槽エプロン側とから挟んで保持する構造をした挟み部とを有する係止部材を備え、
前記係止部材の雌ネジ孔に前記浴槽エプロン下端の側壁部を貫通したネジを螺着して前記係止部材と前記浴槽エプロン下端の側壁部を前記ネジにより緊締して前記接合を止水構造としたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記第1の壁部にその厚み方向にナットが埋設された請求項1に記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−183170(P2011−183170A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103112(P2011−103112)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2008−201898(P2008−201898)の分割
【原出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)
【Fターム(参考)】