説明

浴室壁掛け用曇り止め鏡

【課題】
温水で鏡の曇りを止める装置は、当該本人特許権所有である特許第3776114号公報による鏡の曇り止め装置で発明されているが、鏡裏面のみを温水が流下するだけで保水と蓄熱効果が全く無く、長時間の曇り止め効果の持続性は期待できなかった。
【解決手段】
吸水性と速乾性に富んだ不織布等を鏡裏面のほぼ全面に貼り付け、整流板で鏡裏面の不織布等へと導入させる事により鏡止め金具の下部にも温水を浸透させる事ができ鏡前面を温めて表面の曇りを除去させる手段と曇り止めの効果時間を持続させる問題が解決されたと共に、不慮の事故等で鏡が破損した場合鏡の裏側一面に耐水性粘着両面テープ等で貼られた不織布等がガラスの欠片の飛散を防ぐ事ができ、浴室内で無防備となった人体を怪我からの防御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
浴室等の鏡表面は湯気によって曇るために、電熱線を鏡の裏面に取り付け、その電熱線からの熱によって鏡を暖めて曇りを除去するものがほとんどである。
しかし、この様な電熱線を必要となるものは、水滴の進入による漏電を防止するための設備やメンテナンスが大変である。
【背景技術】
【0002】
この発明は防湿性又は、耐食性鏡の曇り止めに関する。
【0003】
そこで、電熱線の代わりに温水を鏡の裏側のみに導入し鏡の曇りを除去させる発明者当該本人により2005年に出願し、特許された特許第3776114号公報に鏡の曇り止め装置として開示されているが、上下左右に取り付けられる鏡の止め金具の下部までは温水が行き届かなく、従来例を示す図7の曇り9に見るようにその部分の鏡の曇りは除去され難かった。
【0004】
浴室等の鏡の曇りを除去させる目的で鏡裏面のみに温水を流下させた時、その温水の落下速度を遅らせて鏡の加熱と蓄熱効果を兼ねた技術分野は他に類を見ないが、温水を利用した従来技術は特許第3776114号公報(特許文献5参照)に記載した案件がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8―187146公報
【特許文献2】特開平10−33332公報
【特許文献3】特開2005−34255公報
【特許文献4】特開2010−17502公報
【特許文献5】特許第3776114号公報
【0006】
鏡裏面のみに温水を流下させ、鏡の曇りを除去する装置としては、下記の文献がある。
特許第3776114号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許第3776114号公報による鏡曇り止め装置では鏡表面の曇りが縦状に除去されて行くが、上部鏡の止め金具の下部には金具によって温水の流れが邪魔をされその下方にまでは温水が行き届かなく、従来例を示す図7符合9のように鏡面の曇りは不均一に残りその曇りが完全に除去されるには時間を有し、この原因は鏡に伝わる熱効率が完全なものではなかったためである。
【0008】
本発明の壁掛け用曇り止め鏡は特許第3776114号公報による鏡の曇り止め装置も使用可能であり、又、鏡の形状が正方形又は長方形で上部の一辺が水平に取り付けられた壁掛け用鏡や、鏡上部の形状が湾曲型や多角形型に製作された壁掛け用鏡に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は請求項1として浴室壁掛け用の鏡であって、該鏡の裏面側にシート状の曇り止め部材を貼付し、該鏡の上部及び下部にはそれぞれゴム製の緩衝材が取り付けられたフック状の鏡止め金具と鏡受け金具を備えており、前記緩衝材は壁面と鏡に貼付した曇り止め部材と鏡の間に隙間を形成し、該隙間の上部にはシート状の曇り止め部材の下方へと流下させるための傾斜する整流板を設けた事を特徴とする浴室壁掛け用鏡である。 請求項2の曇り止め部材は、鏡止め金具と鏡受け金具の当接する部分が切り欠かれたものである請求項1記載の浴室壁掛け用鏡。 請求項3の曇り止め部材は、不織布、布、ビニールのいずれかである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。 請求項4の整流板の傾斜した先端と曇り止め部材の隙間は、0.1〜0.8mmである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。 請求項5の該鏡上部がアーチ型又は多角形型形状のいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。 図1のようにシート状の曇り止め部材として吸水性に富んだ不織布等を鏡面全体に貼り付けることにより整流板から落下される温水は、優れた吸水性を有する不織布等に吸収され左右に拡散されながらその温水の落下速度を遅滞させる作用が働き、鏡の裏側全面に効率良く行き渡り鏡表面全体の曇りを取り除いて蓄熱作用も期待され、使用する温水もさらに少量とできる。
【0010】
請求項1記載による曇り止め部材は、鏡止め金具と鏡受け金具の当接する部分が接触しないように切り欠かれたものであってその曇り止め部材とは、例えば吸水性や速乾性に富む不織布等が良くこれは、繊維を織らずに絡み合わせたシート状の換気扇フィルターやマイクロファイバークロス等を指すが、水質が悪く頻繁に張替えを必要とする鏡に対しては、ナイロン製のパイレン濾布でも良い。
【0011】
不織布等は、換気扇等のフィルターや各種液体のろ過や吸収の目的に使用される物で、防カビ加工を施された吸水性と速乾性の高い不織布等が最も良く、耐水及び防水粘着両面テープ又は接着剤や加熱溶着にて鏡裏面へ空気溜まりが出来ないように完全密着される。
【0012】
請求項2記載による鏡止め金具と重なる部分の曇り止め部材を切り欠く事で不織布等の厚みで鏡が止め金具に圧迫される事無く、その止め金具から壁へと伝わる余剰となる温水の熱損失も抑えられる。
【0013】
上記0012記載による切り欠きにより鏡の裏面側に吸水性と速乾性に富んだシート状の曇り止め部材を耐水又は、防水粘着両面テープや接着剤により貼り付けし、該鏡の上下に固定されているゴム製の緩衝材が取り付けられた止め金具及び受け金具に温水を触れさせず、鏡の上部の方から鏡裏面の曇り止め部材へと温水を導くために厚さ0,3ミリメートルのステンレス板の整流板が鏡の裏方向に図4(1)(2)の様に下方が屈曲された整流板を設け、整流板にプールされた温水を横状に拡散させる。
【0014】
整流板の先端は、シート状の曇り止め部材のやや下方に設置し又、整流板にプールされた温水が鏡上部表面へとオーバーフローさせないために整流板の先端と曇り止め部材との間にわずかな0,1ミリメートルから0,8ミリメートルの隙間を設けた事で、温水がスムーズに曇り止め部材全面に浸透拡散されながら落下し、鏡の裏側を暖めて表面の曇りを素早く取り除く事が可能となる。
【0015】
浴室壁掛け用鏡の上部が湾曲形状は勿、多角形状の場合でも鏡と壁の間に隙間があれば本発明は適用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、鏡の曇りを均一に且つ速やかに取り除く目的だけではなく、不織布等を鏡裏面に耐水性粘着両面テープや接着剤により完全密着させる事で不慮の事故等が起きて鏡が破損された場合、ガラスの飛散を抑える事ができ浴室内で無防備となった人体を怪我からの防御が可能となる。
【0017】
本願図1の様に鏡の裏側に不織布等をほぼ全面に貼り付ける事により鏡の曇り止め効果が素早く且つ均一に得られ、さらに保温性も得られるために曇り止め効果は持続性を有することとなる。
【0018】
不織布等の厚みが薄く、密度が大きければ鏡表面の曇りは早く除去されて行くが、曇り止めの持続時間は短縮される。
【0019】
不織布等の厚みを増し、密度を小さくすれば鏡表面の曇りの除去時間は遅くなるが、曇り止め効果の時間は持続される。
【0020】
約5年間、窓無しの通気性の悪いユニットバスルームで実験したが、不織布等は乾燥性も良くカビ菌繁殖の防止や鏡の保温も可能となる。
【0021】
又は、一切の曇り止め処置を必要とせず、曇り止め効果は半永久的に反映できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例による正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図2(a)部の拡大図である
【図4】図4(1)は、受け金具部分を切り欠いた整流板の正面図であり(2)は、その右側面図である。
【図5】鏡止め金具に固定された緩衝材を示す図で、(1)は正面図、(2)は左側面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図7】従来例における使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1の曇り止め部材1である不織布は、鏡2の上部裏面から導入された温水が鏡2表面に流出されないように鏡面のサイズよりも少し縮小され、鏡2裏面に耐水性粘着両面テープや接着剤で空気溜まりができないように完全密着貼付されなければならない。
【0024】
図1の不織布1の切り口全周は、ほつれを防止するために加熱処理や接着加工を施し、切り口を固化される。
【0025】
図2の不織布1に2ミリメートル以上の厚みがある場合、壁7との隙間間隔17が狭くなり温水13が壁7に触れてその熱の損失を防止するためや早く乾燥させるために、最低限度の約2,5〜3,0ミリメートル以上の隙間を設ける事が好ましい。
本発明の壁掛け用鏡の取り付け方法は、以下のとおりである。
【0026】
図1の不織布1の鏡2の裏面への貼り付けは、耐水又は防水シート状粘着両面テープが最良で鏡に貼付する場合は、接着面に温水の熱伝達を妨げないように空気溜まりを設けないよう完全密着させなければならない。
【0027】
図2及び図3の不織布1と壁7との間に大きな隙間17が得られない場合、鏡止め金具4及び受け金具8の全ての取り付け部の壁側に四角形型で適宜な厚みを持たせたステンレス製の座金を敷けば熱の損失も無く乾燥性も良くなる。
【0028】
乾燥性を向上させるためにステンレス製座金で隙間17を広く設ける事も必要であるが、不織布1に付着した水滴を早く落下乾燥させるために鏡2は地面に対してほぼ垂直としなければならない。
【0029】
図4整流板6の取り付けは、壁7の貼り付け面を洗浄し、幅15ミリメートル前後の耐水粘着両面テープ15にて図3の様に鏡2裏面に整流板6の先端を差し込み、出来るだけ水平状態として壁7表面に貼り付けられ又、整流板6の図4に示す正面から見た面が温水の流れを均一に整える整流面となる。
曇り止め方法とメンテナンスについては、以下のとおりとする。
【0030】
極少量の摂氏40〜44度のシャーワーの温水又は、洗面器の中に入れた極少量の温水を鏡上部の壁に貼付された整流版へ向けて掛け、鏡表面に付着した温水の水滴はゴム製のヘラや小型のゴム付き窓拭きワイパーで絶えず払い落とすだけで長期に渡り水垢や汚れの付着も抑えられる。
【0031】
特許第3776114号公報による鏡曇り止め装置や細管に極細の整流板へ向けた少数の噴射口を取り付ければ前記0030の作業は、軽減される。
【符号の説明】
【0032】
1 曇り止め部材
2 鏡
3 切り欠き
4 止め金具
5 緩衝材
6 整流板
7 壁
8 受け金具
9 曇り
10 整流板の折り曲げ部
11 鏡止め金具の長穴
12 止めネジ
13 温水
14 整流板と曇り止め部材の隙間
15 耐水性粘着両面テープ
16 整流板の鏡受け金具部分の切り欠き
17 壁と曇り止め部材の隙間


















【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室壁掛け用鏡であって、該鏡の裏面側にシート状の曇り止め部材を貼付し、該鏡の上部及び下部にはそれぞれゴム製の緩衝材が取り付けられたフック状の鏡止め金具と鏡受け金具を備えており、前記緩衝材は壁面と鏡に貼付した曇り止め部材の間に隙間を形成し、該隙間の上部にはシート状の曇り止め部材へ温水を流下させるための下方に傾斜する整流板を設けると共に、該整流板の傾斜した先端と前記曇り止め部材の間に隙間を形成した事を特徴とする浴室壁掛け用鏡。
【請求項2】
曇り止め部材は、鏡止め金具と鏡受け金具の当接する部分が切り欠かれたものである請求項1記載の浴室壁掛け用鏡。
【請求項3】
曇り止め部材は、不織布、布、ビニールのいずれかである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。
【請求項4】
整流板の傾斜した先端と曇り止め部材の隙間は、0.1〜0.8mmである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。
【請求項5】
該鏡上部がアーチ型又は多角形型形状のいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の浴室壁掛け用鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−183137(P2012−183137A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47262(P2011−47262)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【特許番号】特許第4843108号(P4843108)
【特許公報発行日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(505297909)
【Fターム(参考)】