説明

浴室装置

【課題】 浴槽内で運動する浴室装置において、入浴者に継続的に運動させることができる浴室装置を提供する。
【解決手段】 第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を生成する酸素生成部と、前記酸素生成部に接続され、前記酸素を噴射する酸素噴射部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素噴射部は、前記入浴者の鼻腔近傍に配置可能とすることを特徴とする浴室装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を屈曲させる強さの噴流を間欠的に吐水部から吐水させる浴室装置に対し、特に有酸素運動を効率よく行うのに好適な酸素供給に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から積極的に酸素を取り入れることにより、体内の酸素消費量を増加させ、体力の回復を図ることができ、またそれに伴って、爽快感を得ることができることも知られている。浴室内は十分な湿度を有しており、酸素富化空気は水分を付与された状態でよく室内を酸素富化雰囲気にすることができ、入浴車は障害などの懸念なく酸素富化空気を吸入し、爽快感とともに体力回復など健康増進を図ることができるため、浴室内に酸素濃度を高めた空気をむ浴槽酸素供給システムが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
このような場合には、浴水の蒸気によって生成された酸素が天井付近に滞留してしまう問題があった。
【0003】
また、陸上での有酸素運動中に酸素を供給し、効率よく有酸素運動を行っている運動器具もある(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、特許文献2のような酸素噴射部を浴槽に配置しても、浴槽湯内の熱気、湯気によって噴射された酸素が上昇気流によって、運動を行う入浴者の口元から逃げてしまい、酸素を効果的に吸引することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−189211号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−218476号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、浴槽内で運動する浴室装置において、静水圧による肺呼吸の負担を減らし、有酸素運動を行うため、酸素を入浴者に効率的に吸引させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を生成する酸素生成部と、前記酸素生成部に接続され、前記酸素を噴射する酸素噴射部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素噴射部は、前記入浴者の鼻腔近傍に配置可能とすることを特徴とする浴室装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静水圧による肺呼吸への負担や入浴者の息苦しさの軽減、効率的な有酸素運動を行うことができ、健康促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による浴室装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例による浴室装置を示す概略平面図である。
【図3】本発明の一実施例による浴室装置の、酸素噴射部の形状を示す変形例である。
【図4】本発明の酸素噴出濃度の制御実施例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による浴室装置作動中の入浴者の動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一の発明は、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を生成する酸素生成部と、前記酸素生成部に接続され、前記酸素を噴射する酸素噴射部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素噴射部は、前記入浴者の鼻腔近傍に配置可能とすることを特徴とする浴室装置である。
【0010】
この浴室装置によれば、入浴者の鼻腔近傍に酸素を供給することによって、蒸気によって上方に上がってしまう前に入浴者に酸素を供給することができ、息苦しさや肺呼吸の負担を減らし、有酸素運動を効率的に行わせることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記浴槽は、前記第一及び第二の浴槽壁面とを有する浴槽内壁面を有し、前記酸素噴射部は、前記浴槽内壁面の内側であって、使用者の鼻腔近傍に配置された状態と、前記浴槽内壁面の外側とを移動可能に設けられたことを特徴とする浴室装置である。
【0012】
この浴室装置によれば、吐水部からの噴流が停止している際に、浴槽内での入浴者の動作範囲を制限したり、酸素噴射部が入浴者に当たったり、シャワーを用いる際の入浴者の動作範囲を制限したりすることを防ぐことができる。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において前記制御部が、前記噴流の状態に応じて前記酸素生成部と前記酸素噴射部の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする浴室装置である。
【0014】
この浴室装置によれば、噴流の噴射回数、または、噴射時間のような、噴流の状態に応じて、酸素生成部で生成される酸素の量や濃度、もしくは酸素噴射部より噴射される酸素の量や濃度を調節し、入浴者の状態に合わせた最適な濃度で酸素を供給できる。
【0015】
第4の発明は、第1乃至3のいずれかの発明において、前記浴室装置は、前記入浴者の生体情報を測定する測定部を備え、前記制御部が、前記測定部によって計測された生体情報に応じて、前記酸素生成部と前記酸素噴射部の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする浴室装置である。
【0016】
この浴室装置に入浴者の心拍数、血圧などの生体情報を測定する測定部を備え、前記測定部によって計測された生体情報に応じて酸素生成部で生成される酸素の量や濃度、もしくは酸素噴射部より噴射される酸素の量や濃度を調節することによって、入浴者の状態に合わせた最適な濃度で酸素を供給できる。
【0017】
第5の発明は、、第1乃至4のいずれかの発明において、前記吐水駆動部は、送風によって前記吐水駆動部を冷却するための冷却部を備え、前記浴槽は、前記吐水駆動部と前記酸素生成部とを繋ぐ送風送り部を備え、前記送風送り部は、前記冷却部より生成される送風を、前記酸素生成部へと送ることで、前記酸素噴射部に酸素を供給することを特徴とする浴室装置である。
【0018】
この浴室装置によれば、吐水駆動部(ポンプ)冷却用に生成されている送風を、送風送り部より回収し、前記送風送り部に接続される前記酸素生成部へ送ることで、前記酸素噴射部より酸素を噴射することができ、酸素を噴射するための送風部のスペース、電力等を削減できる。
【0019】
図1に表したように、本実施形態にかかる浴室装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴室装置1は、防水パン61上に配置されている。
【0020】
浴室装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mの背中m1が接触する背側面(第1の浴槽壁面)2aとなっており、長手方向の他端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときにその足裏m2が対向する足側面(第2の浴槽壁面)2bとなっている。また、背側面2aと足側面2bとは、底面2eを挟んで相互に対向している。入浴者Mが背側面2aに背をむけ、足側面2bに足裏m2が対向する姿勢をとったとき、浴槽短手方向の一端部の内側面で、入浴者の右手側にある方を右側面2c、左手側にある方を左側面2dという。今後、背側面2aと足側面2b、右側面2cと左側面2dがそれぞれ対向している面を総称して、浴槽内壁面という。
【0021】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における足側面2bと背側面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させたときに、足裏m2でノズル3を覆うことができる程度の長さである。
【0022】
浴槽2の足側面2bには、入浴者Mの足に噴流を吐水するノズル(吐水部)3が設けられている。また、浴室装置1には、噴流を生成する駆動部として、ポンプ4が設けられている。このポンプ4は、ノズル3に接続されている。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。ポンプ4の吸入口7は浴槽2の内部に連通されている。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。
【0023】
浴室装置1には、酸素生成部9が設けられている。本実施例において、この酸素生成部9は浴槽2近傍に設けられている。例えば、酸素生成部9は浴槽2の背側面2aの外側に接していたり、あるいは壁パネルの外側に配置されたりする。酸素生成部9は酸素噴射部8と接続されており、酸素生成部9で生成された酸素は入浴者Mの鼻腔近傍に配置された酸素噴射部8から噴射される。酸素生成部9で生成される酸素の量や濃度は、制御部5によって制御される。
【0024】
酸素生成部9で生成された酸素は導入管を通して酸素噴射部8に供給される。酸素生成部9から酸素噴射部8まで酸素を供給するための装置は、酸素生成部9や酸素噴射部8に組み込まれていてもよいし、別途、送風装置を設けてもよい。また、本実施例の図1に示すように浴室装置1には、ポンプ4と酸素生成部9を接続する送風おくり部10を設けてもよい。
【0025】
大噴流を生じるポンプを浴室で用いると、ポンプ内のモーターで生じる熱量が大きくなるが、防水のために密閉されたポンプ構造となっているため、その熱を逃すことが難しくなる。そのため、ポンプを冷却するためのファンを組み込むことがある。本実施例で示したポンプ4は図示しない冷却部である冷却ファンを備えており、送風おくり部10は、ポンプ4を冷却するための冷却風を送風おくり部10を通して酸素生成部9へと送ることで、酸素生成部9から酸素噴射部8に酸素を送り込むことができる。この送風おくり部を用いると、酸素生成部9から酸素噴射部8に酸素を供給するための送風装置を別途、設ける必要がないため、送風装置のスペース、電力等を削減できる。
【0026】
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。入浴者Mが浴槽2内に入る際、酸素噴射部8は入浴者Mの邪魔にならない、浴槽内壁面の外側に配置されているのが好ましい。入浴者Mのとる入浴姿勢は、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させた姿勢である。そして、入浴者Mは、左の足裏m2で左のノズル3Lを覆い、右の足裏m2で右のノズル3Rを覆うように、左右の足を配置し、ノズル3から噴出される噴流を足裏で捉える初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節及び股関節は脱力されているものとする。
【0027】
酸素を効率的に吸引するには、酸素噴射部8が浴槽内壁面の内側である入浴者Mの鼻腔近傍に配置されるのがよい。本実施例においては、浴槽内壁面の内側であって、浴槽中央よりも背側面(第1の浴槽壁面)2a側であって、右側面2cと左側面2dとの中間に位置している。入浴者Mが、供給された酸素を、湯気によって上昇する前に吸引するためには、酸素噴射部8は入浴者Mの鼻腔よりも下に位置した方がよい。入浴者Mが入浴姿勢をとると、入浴者Mの鼻腔は浴槽リム高さHよりも高くなる。そのため、酸素噴射部8はリム高さH近傍にあるのが好ましい。入浴者Mが酸素を吸引するのに適した、酸素噴射部8の位置を鼻腔近傍という。
【0028】
酸素噴射部8は、その配置を入浴者Mによって、入浴者Mの鼻腔近傍と、浴槽内壁面の外側とに、適宜選択できる機構を有していてもよい。そうした場合、入浴者Mは入浴姿勢をとった後に、酸素噴射部8を入浴者Mの鼻腔近傍へ配置することができる。本実施例において、酸素噴射部8は導入管11によって酸素生成部と接続されている。図3(A)において、導入管11は、本実施例においては、酸素生成部9から伸びる第1の導入管aと、酸素噴射部8につながる第2の導入管b、第1の導入管aと第2の導入管bとを接続する可動の継ぎ手cとで構成されている。第1の導入管aと第2の導入管bは、ステンレス管のような剛体でも、フレキシブルホースのような柔軟性を持った部材でもよい。フレキシブルジョイントのような可動の継ぎ手cは、存在が1つに限らず、設置数を増やして可動部を複数設けてもよい。また、導入管11がフレキシブルホースのような柔軟性を持った部材であれば、継ぎ手cは存在していなくてもよい。
【0029】
入浴者Mが酸素を吸引するときには、図3(A)のように、酸素噴射部8が入浴者Mの鼻腔近傍に存在するように配置される。酸素供給を必要としない場合には、可動の継ぎ手cによって第2の導入管bが移動し、酸素噴射部8は入浴者Mの邪魔にならない浴槽内壁面の外側に配置される(図3(B))。また、酸素噴射部8が入浴者Mの邪魔にならない浴槽内壁面の外側に配置されるのに、導入管11にフレキシブルホースなど柔軟性を持った部材を用いて、浴槽内壁面の外側に設けられた収納穴dから収納場所に導入管11を収納するような機構にしてもよい(図3(C))。酸素噴射部8を浴槽内壁面の外側に配置すれば、導入管11は邪魔にならない範囲で浴槽内壁面の内側に存在してもよい。好ましくは、酸素噴射部8と導入管11が共に浴槽内壁面の外側に存在するのが良い。
【0030】
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル3に対して供給する。ノズル3から吐水される流量Q2の噴流が噴射されると、この噴流は入浴者Mの足裏m2を押圧する。これにより、図4に表したように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲し、足は背側面2aに向かって移動する。このとき、ノズル3からの噴流は、入浴者Mの足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないような力を足裏m2に与える。これは、噴水の上にピンポン玉をのせたときに、そのピンポン玉が落ちずに噴水の略中心部で留まる現象と同じである。
【0031】
一方、ノズル3から流量Q1の噴流が噴射されると、足裏m2を押圧する圧力が低下する。そのため、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、足は足側面2bに向かって移動する。このとき、入浴者Mが足裏m2でノズル3を覆うように足の位置を意識的に調節することにより、足はノズル3の近傍に戻る。従って、ノズル3が吐水流量Q1およびQ2の噴流を交互に噴射することで、入浴者Mの足が浴槽2の長手方向に沿って往復運動する。すなわち、本発明における浴室装置は、運動浴室装置であると言える。
【0032】
従って、吐水部3L及び3Rが交互に水流を吐水することにより、入浴者の左右足部を浴槽2の長手方向に沿って交互に往復運動させることが可能となる。すなわち、この浴室装置は、入浴者Mに歩行を模した入浴ウォーキングの運動を行わせることとなる。
【0033】
このように、噴流によって入浴者Mは、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節の屈曲期、および伸展期をくり返し行う屈伸運動を行う事ができ、脚部のトレーニングを行うことが可能となる。また、入浴者Mは、この運動によって姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。入浴者は、これによっても運動することができる。
【0034】
この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいい、本願明細書においては、上述の如く姿勢を崩された場合の補償動作も含むものとする。
【0035】
また、噴流によって、入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、入浴の温熱効果が高くなり新陳代謝が高まる。さらに、身体の暖まった状態でのトレーニングは運動効果を向上させる。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。
【0036】
浴室装置1による運動中、入浴者Mには水(湯)によって静水圧が加えられており、肺呼吸の負担が大きく、また、湯気による息苦しさがある。これらを解決するために、酸素生成部9で生成した酸素を入浴者Mの鼻腔近傍に配置した酸素噴射部8から噴射し、湯気によって上昇してしまう前に体内に取り込む。これによって、肺呼吸の負担を減らし、息苦しさの軽減を図れるだけでなく、酸素を供給することで有酸素運動を効率的に行うことができる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係る浴室装置の、吐水量と酸素噴射濃度の関係を示す図である。図5は、図4で示したT1、T2、T3、T4における酸素供給状態を模式図で示したものである。図4(a)の制御について、図5を用いて本実施形態にかかる酸素供給の具体例を示す。
【0038】
図4(a)におけるT1時間では、間欠的な噴流吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない(図5(A))。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素生成部9で酸素が生成され、入浴者Mの鼻腔近傍に配置された酸素噴射部8から一定濃度の酸素が噴射される(図5(B))。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止すると同時に酸素噴射部8からの酸素の供給も停止する(図5(A))。この制御によって、浴室装置1による有酸素運動を効率よく行うことができる。
【0039】
図4(b)、(c)では、本実施形態にかかる酸素供給の変形例を示す。
【0040】
図4(b)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない(図5(A))。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素生成部9で酸素が生成され、入浴者Mの鼻腔近傍に配置された酸素噴射部8から一定濃度の酸素が噴射される(図5(B))。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止しても一定時間(T3)は酸素噴射部8から一定濃度の酸素供給が行われ(図5(C))、一定時間が経過したとき(t3)、酸素噴射部8からの酸素供給が停止する(図5(A))。この制御によって、運動後にも酸素を供給することができ、乳酸値や心拍数を下げることで、体力回復を図ることができる。
【0041】
図4(c)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない(図5(A))。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素生成部9で酸素が生成され、入浴者Mの鼻腔近傍に配置された酸素噴射部8から酸素が噴射される(図5(B))。このときの酸素の量や濃度は制御部5によって制御される。t2において、間欠的な噴流吐水が停止した後、一定時間(T3)は酸素噴射部8から酸素供給が行われ(図5(C))、このときの酸素の量や濃度も制御部5によって制御されている。一定時間が経過したとき(t3)、酸素噴射部8からの酸素供給が停止する(図5(A))。この制御によって、入浴者Mの運動状態や生体状態における最適な酸素を供給することができる。
【0042】
本実施例において、酸素噴射部8は、入浴者によって吐水部からの噴流に応じて、鼻腔近傍に位置する使用状態と、浴槽内壁面よりも外側に位置する収納状態とを切り替えているが、制御部5によって制御されても良い。例えば酸素噴射部8からの酸素供給が停止した際、制御部5によって、酸素噴射部8を鼻腔近傍に位置する使用状態と、浴槽内壁面よりも外側に位置する収納状態とを自動的に切り替えるようにしても良い。
【0043】
酸素噴射部8から噴射される酸素の量や濃度は、制御部5によって制御され、その制御因子は噴流の噴射回数や噴射より割り出される入浴者の運動時間であったり、入浴者Mの心拍数や血圧であったり、また、それらの組み合わせであったりする。また、制御する対象としては、酸素生成部を制御して酸素の量や濃度を制御しても良いし、酸素噴射部を制御して酸素の量や濃度を制御しても良い。噴流の噴射回数や運動時間は、制御部5によって計測される。また、入浴者Mの心拍数や血圧は、入浴者Mの身体に取り付けたセンサから得ることもできるし、浴槽にセンサを取り付けてもよい。噴流の噴射回数や運動時間によって酸素の量や濃度を制御すると、例えば、噴流の噴射回数や運動時間が高くなったことで運動強度が高まったときに、酸素量や濃度をあげて有酸素運動を効率的に行うことができる。また、心拍数や血圧といった入浴者の生体データによって酸素の量や濃度を制御すると、例えば、心拍数や血圧の上昇に対して酸素の量や濃度を高めることで、息苦しさや肺呼吸の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 浴室装置、 2 浴槽、 2a 足側面、 2b 背側面、 2c 右側面、
2d 左側面、 2e 底面、 3 ノズル、 3R 右ノズル、 3L 左ノズル、
4 ポンプ、 5 制御部、 6 リム、 7 吸入口、 8 酸素噴出部、
9 酸素生成部、 10 送風おくり部、 11 導入管、 60 浴室ユニット、
61 防水パン、 62 壁パネル、 M 入浴者、 m1 背中、 m2 足裏、 W 水、
H リム高さ、 a 第1の導入管、 b 第2の導入管、 c 継ぎ手、 d 収納穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、
前記吐水駆動部を制御する制御部と、
前記浴槽近傍に設けられた酸素を生成する酸素生成部と、
前記酸素生成部に接続され、前記酸素を噴射する酸素噴射部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、
前記酸素噴射部は、前記入浴者の鼻腔近傍に配置可能とする
ことを特徴とする浴室装置。
【請求項2】
前記浴槽は、
前記第一及び第二の浴槽壁面とを有する浴槽内壁面を有し、
前記酸素噴射部は、
前記浴槽内壁面の内側であって、使用者の鼻腔近傍に配置された状態と、
前記浴槽内壁面の外側とを移動可能に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室装置。
【請求項3】
前記制御部が、
前記噴流の状態に応じて
前記酸素生成部と前記酸素噴射部の少なくともいずれか一方を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浴室装置。
【請求項4】
前記浴室装置は、
心拍数、血圧等の入浴者の生体情報を測定する測定部を備え、
前記制御部が、
前記測定部によって計測された生体情報に応じて、
前記酸素生成部と前記酸素噴射部の少なくともいずれか一方を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浴室装置。
【請求項5】
前記吐水駆動部は、
風によって前記吐水駆動部を冷却するための冷却部を備え、
前記浴槽は、前記吐水駆動部と前記酸素生成部とを繋ぐ送風送り部を備え、
前記送風送り部は、
前記冷却部より生成される風を前記酸素生成部へと送ることで、
前記酸素噴射部に酸素を供給する
ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の浴室装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−213763(P2010−213763A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60979(P2009−60979)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】