浴室装置
【課題】 浴槽内で運動する浴室装置において、入浴者に継続的に運動させることができる浴室装置を提供する。
【解決手段】 第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給する
ことを特徴とする浴室装置が提供される。
【解決手段】 第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給する
ことを特徴とする浴室装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を屈曲させる強さの噴流を間欠的に吐水部から吐水させる浴室装置に対し、特に浴水中に酸素を溶解し、温熱効果や保湿効果を高めるのに好適な浴槽内酸素供給に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内で機械的なステッパー装置を用いて踏み込み運動を行う器具がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1のような装置では、浴槽内に設置した器具のメンテナンスを行う必要があり、また、自発的な訓練を行わなくてはならないため運動の継続性に疑問が残る。さらに、入浴中は湯気による息苦しさが生じ、静水圧によって肺呼吸への負担も大きくなっているため、自発的な運動を行うとさらに心肺機能への負担が大きくなる問題があった。
【0003】
浴槽内で自然な入浴姿勢をとった入浴者の足裏に噴流を与えマッサージを行う器具もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2のような装置では、足を噴流で動かすことができるほどの噴流力を確保できず、足裏へのマッサージを行うことでの効果しか生まれないため、運動効果や新陳代謝の向上を行うことはできない。
【0004】
皮膚呼吸を楽にしたり、温熱効果を高めたり、皮膚の保湿効果を高めたりする目的で、浴水内に酸素を溶解する浴槽酸素溶解システムが考えられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−236014号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−287541号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】特開2006−181290号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、浴槽内で運動を行う浴室装置において、持続性を高め、心肺機能への負担を減らし、運動の効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給することを特徴とする浴室装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、静水圧による心肺機能への負担や入浴者の息苦しさの軽減を行った状態で、効率的な有酸素運動を行うことができ、健康促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例による浴室装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例による浴室装置を示す概略平面図である。
【図3】本発明の浴室装置の配置実施例を示す図である。
【図4】本発明の浴室装置の配置実施例を示す図である。
【図5】本発明の酸素噴出量の制御実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第一の発明は、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給することを特徴とする浴室装置である。
【0011】
この浴室装置によれば、噴流の流れによって空気を巻き込むことができるため、浴水W中の部位において浸透圧が生じて水分浸透が促進し、浴水中の酸素が角質内天然保湿因子(NMF)や角質内細胞間脂質の水分保持能力を向上させる。また、皮膚呼吸を行えるので、快適度を上げ、心肺機能の負担を減らした状態で有酸素運動を効率的に行わせることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記酸素供給部は、前記吐水部よりも上流側に設けられ、
前記吐水部から吐水される噴流に酸素を供給するである。
【0013】
この浴室装置によれば、噴流の流れによって空気を巻き込むことができるため、浴水W内に酸素を供給するのに必要となるポンプなどの酸素噴射装置を用いることなく、前記吐水部から酸素を供給することができる。そのため、酸素噴射装置のスペース、電力等を削減できる。また、酸素を噴流内に混入することで、噴流の流量は同じでも力を強く発揮することができる。すなわち、流量を少なくしても、酸素を混合することで噴流の力を保つことができる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記浴室装置は、前記酸素供給部で供給された酸素を水に溶解させるための酸素溶解部を設け、前記酸素供給部は、前記吐水駆動部よりも上流側に配置され、前記酸素溶解部は、前記酸素供給部よりも下流側、かつ前記吐水駆動部よりも上流側に配置されたことを特徴とする浴室装置である。
【0015】
この浴室装置によれば、噴流を弱めることなく水中に酸素を溶解させることができるため、身体の芯まで温まり、湯冷めしづらくなる。また、代謝が促進されることで、運動効果を高めることができる。
【0016】
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、前記酸素供給部は、前記酸素を噴出するための酸素噴出部を備え、前記酸素噴出部は、前記第一の浴槽壁面近傍に配置されることを特徴とする浴室装置である。
【0017】
この浴室装置によれば、酸素を噴出するための酸素噴出部を設け、浴水内に供給するための酸素を第1の浴槽壁面側、すなわち、入浴者の上半身側から噴出することによって、入浴者が酸素を吸入しやすくなり、入浴による息苦しさの軽減や効率的な有酸素運動が行える。
【0018】
図1乃至図2に表したように、本実施形態にかかる浴室装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴室装置1は、防水パン61上に配置されている。
【0019】
浴室装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mの背中m1が接触する背側面(第1の浴槽壁面)2aとなっており、長手方向の他端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときにその足裏m2が対向する足側面(第2の浴槽壁面)2bとなっている。また、背側面2aと足側面2bとは、底面2eを挟んで相互に対向している。
【0020】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における足側面2bと背側面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させたときに、足裏m2でノズル3を覆うことができる程度の長さである。
【0021】
浴槽2の足側面2bには、入浴者Mの足に噴流を吐水するノズル(吐水部)3が設けられている。また、浴室装置1には、噴流を生成する駆動部として、吐水駆動部であるポンプ4が設けられている。このポンプ4は、ノズル3に接続されている。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。ポンプ4の吸入口7は浴槽2の内部に連通されている。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。
【0022】
浴室装置1には、酸素供給部8が設けられている。本実施例において、この酸素供給部8はポンプ4と吐水部3の間に設けられている。例えば酸素供給部8はポンプ4と吸入口7の間に設けられていてもよい。酸素供給部8には図示しない酸素生成部と酸素放出部とがあり、酸素生成部で生成された酸素は酸素放出部から放出される。酸素を放出するには酸素を送り出すための図示しない送風装置を設ける。より好ましくは、酸素供給部8を配置した管路を通る浴水の流速によって空気を取り込む機構を用いる方法やポンプ4で生じた冷却風を利用する送風おくり部を用いる方法などを用いるのがよい。これらの方法を用いることで、送風装置を別途設ける必要がないため、送風装置のスペース、電力等を削減できる。酸素供給部8で生成される酸素量および濃度は制御部5によって制御することができるのが好ましい。
【0023】
大噴流を生じるポンプを浴室で用いると、ポンプ内のモーターで生じる熱量が大きくなるが、防水のために密閉されたポンプ構造となっているため、その熱を逃すことが難しくなる。そのため、ポンプを冷却するためのファンを組み込むことがある。本実施例で示したポンプ4は図示しない冷却ファンを備えており、送風おくり部は、ポンプ4を冷却するための冷却風を送風おくり部を通して酸素供給部8へと送ることで酸素を浴水W内や背側酸素供給部10に送り込むことができる。この送風おくり部を用いると、酸素供給部8に別途送風装置を設ける必要がないため、送風装置のスペース、電力等を削減できる。
【0024】
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。入浴者Mのとる入浴姿勢は、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させた姿勢である。そして、入浴者Mは、左の足裏m2で左のノズル3Lを覆い、右の足裏m2で右のノズル3Rを覆うように、左右の足を配置し、ノズル3から噴出される噴流を足裏で捉える初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節及び股関節は脱力されているものとする。
【0025】
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル3に対して供給する。ノズル3から吐水される流量Q2の噴流が噴射されると、この噴流は入浴者Mの足裏m2を押圧する。これにより、図4に表したように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲し、足は背側面2aに向かって移動する。このとき、ノズル3からの噴流は、入浴者Mの足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないような力を足裏m2に与える。これは、噴水の上にピンポン玉をのせたときに、そのピンポン玉が落ちずに噴水の略中心部で留まる現象と同じである。
【0026】
一方、ノズル3から流量Q1の噴流が噴射されると、足裏m2を押圧する圧力が低下する。そのため、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、足は足側面2bに向かって移動する。このとき、入浴者Mが足裏m2でノズル3を覆うように足の位置を意識的に調節することにより、足はノズル3の近傍に戻る。従って、ノズル3が吐水流量Q1およびQ2の噴流を交互に噴射することで、入浴者Mの足が浴槽2の長手方向に沿って往復運動する。このときの流量Q1は0でもよいし、脚部が屈曲しない程度の強さの流量であっても良い。
【0027】
従って、吐水部3L及び3Rが交互に水流を吐水することにより、入浴者の左右足部を浴槽2の長手方向に沿って交互に往復運動させることが可能となる。すなわち、この浴室装置は、入浴者Mに歩行を模した入浴ウォーキングの運動を行わせることとなる。
【0028】
このように、噴流によって入浴者Mは、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節の屈曲期、および伸展期をくり返し行う屈伸運動を行う事ができ、脚部のトレーニングを行うことが可能となる。また、入浴者Mは、この運動によって姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。入浴者は、これによっても運動することができる。
【0029】
この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいい、本願明細書においては、上述の如く姿勢を崩された場合の補償動作も含むものとする。
【0030】
また、噴流によって、入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、入浴の温熱効果が高くなり新陳代謝が高まる。さらに、身体の暖まった状態でのトレーニングは運動効果を向上させる。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。
【0031】
浴室装置1による運動中、入浴者Mには水(湯)によって静水圧が加えられており、肺呼吸の負担が大きく、また、湯気による息苦しさがある。これらを解決するために、酸素供給部8によって浴水内に酸素を供給し、皮膚呼吸を促進することで心肺機能の負担を軽減する。また、浴水内に溶解し切れなかった酸素が浴室内に放出されることによって、心肺機能の負担を軽減する。浴水から立ち上る酸素は、入浴者Mの鼻腔よりも下側から立ち上るため、効率的に吸入される。酸素の供給を円滑に行うことで、肺呼吸の負担を減らし、息苦しさの軽減を図れるだけでなく、酸素を供給することで有酸素運動を効率的に行うことができる。
【0032】
図3乃至図4には本発明のほかの実施形態を示している。
【0033】
図3の実施形態において、前述のように、浴水内に酸素を供給する酸素供給部8が設けられている。さらに、酸素供給部8で供給された酸素を浴水内に溶解させるための酸素溶解部9が設けられている。酸素溶解部9は蛇行した経路に浴水を通過させるなどして酸素を溶解させる。酸素溶解部9は、酸素が浴水中に溶解するのに十分な長さの流路を有しており、吐水部3から噴流が吐水されるまでに、十分に酸素を溶解させることができる。酸素供給部8及び酸素溶解部9は、吸入口7側を上流、吐水部3側を下流とすると、ポンプ4より上流にあることが望ましい。これにより、噴流力を落とすことなく、酸素を溶解させることができる。また、より好ましくは、浴水に酸素量や濃度を高めた空気からなる微細気泡を発生するための、微細気泡発生装置を備えるとよい。微細気泡を発生させることで、酸素が浴水中に長く滞留することになる。そのため、身体を芯から温める効果が得られ、代謝が向上し、運動効果も高められる。
【0034】
酸素供給部8から供給される酸素は、入浴者Mの上半身側である第1の浴槽壁面やその近傍から噴出されると、入浴者Mが肺呼吸によって酸素を取り入れやすくなり、有酸素運動を効率的に行うことができる。
【0035】
図4の実施形態において、酸素供給部8は、酸素を第1の浴槽壁面側と第2の浴槽壁面側の両側から酸素を供給するために、酸素放出部への流路を分岐させている。分岐させた流路の一方は、図1や図3で示した実施例と同様に噴流の吐水部から酸素を供給している。もう一方の流路は、入浴者Mの上半身側から酸素を供給するため、第1の浴槽壁面近傍に設けられた背側酸素噴出部10に接続されている。背側酸素噴出部10は、第1の浴槽壁面近傍から浴水W内に酸素を噴出させ、浴水W内に溶解し切れなかった酸素が浴水W面から湯気と共に立ち上ることで、入浴者Mに酸素を吸入させる。また、浴水W外の第1の浴槽壁面近傍に背側酸素噴出部10を設け、噴出した酸素を入浴者Mが直接吸入できるようにしてもよい。これにより、第2の浴槽壁面側から浴水W内に酸素を供給し、第1の浴槽壁面側の背側酸素噴出部10から入浴者Mに酸素を供給することで、効率的な有酸素運動を行うことができる。
【0036】
酸素供給部8と酸素供給を行うための背側酸素噴出部10があり、浴水W内の第1の浴槽壁面近傍に酸素噴出部10が設けられる。これにより、浴水W内に酸素を供給することができ、皮膚呼吸が行えることで肺呼吸の負荷を軽減すると共に、浴水W内に溶解し切れなかった酸素が浴水W面から湯気と共に立ち上ることで、入浴者Mに効率よく吸入させることができ、効率的な有酸素運動が行える。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係る浴室装置の、吐水量と酸素供給量の関係を示す図である。図5(a)の実施形態について、酸素供給制御の具体例を示す。
【0038】
図5(a)におけるT1時間では、間欠的な噴流吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止すると同時に酸素供給部8からの酸素の供給も停止する。この制御によって、浴室装置1による有酸素運動を効率よく行うことができる。
【0039】
図5(b)、(c)、(d)では、本実施形態にかかる酸素供給の変形例を示す。
【0040】
図5(b)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止しても一定時間(T3)は酸素供給部8から一定濃度の酸素供給が行われ、一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、運動後にも酸素を供給することができ、乳酸値や心拍数を下げることで、体力回復を図ることができる。
【0041】
図5(c)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。この状態で、入浴者Mが入浴する前、もしくは入浴者Mが入浴した後であり、噴流による運動を行っていないときにスイッチや人感センサなどによって入力信号が入ったときから、酸素供給部8から一定の酸素量や濃度の酸素供給を行う。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されても、運動を行っている間(T2)は、T1と同様に酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止しても一定時間(T3)は酸素供給部8から一定濃度の酸素供給が行われ、一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、運動前にも酸素を供給することができ、浴室内雰囲気の酸素量や濃度が高まった状態で運動を開始できるため、効率的な有酸素運動を行うことができる。
【0042】
図5(d)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から酸素が供給される。このときの酸素量や濃度は制御部5によって制御される。t2において、間欠的な噴流吐水が停止した後、一定時間(T3)は酸素供給部8から酸素供給が行われ、このときの酸素量や濃度も制御部5によって制御されている。一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、入浴者Mの運動状態や生体状態における最適な酸素を供給することができる。
【0043】
酸素供給部8から供給される酸素量や濃度は、制御部5によって制御され、その制御因子は噴流の噴射回数や運動時間であったり、入浴者Mの心拍数や血圧であったり、浴室内雰囲気の酸素量や濃度であったり、また、それらの組み合わせであったりする。噴流の噴射回数や運動時間は、制御部5によって計測される。また、入浴者Mの心拍数や血圧は、入浴者Mの身体に取り付けたセンサから得ることもできるし、浴槽にセンサを取り付けてもよい。浴室内雰囲気の酸素量や濃度は、浴室内に取り付けられたセンサから得ることができる。噴流の噴射回数や運動時間によって酸素量や濃度を制御すると、例えば、噴流の噴射回数や運動時間が高くなったことで運動強度が高まったときに、酸素量や濃度をあげて有酸素運動を効率的に行うことができる。また、心拍数や血圧といった入浴者の生体データによって酸素量や濃度を制御すると、例えば、心拍数や血圧の上昇に対して酸素量や濃度を高めることで、息苦しさや肺呼吸の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 浴室装置、 2 浴槽、 2a 足側面、 2b 背側面、 2e 底面、
3 ノズル、 3R 右ノズル、 3L 左ノズル、 4 ポンプ、 5 制御部、
6 リム、 7 吸入口、 8 酸素供給部、 9 酸素溶解部、 10 背側酸素噴出部
60 浴室ユニット、 61 防水パン、 62 壁パネル、
M 入浴者、 m1 背中、 m2 足裏、 W 水
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を屈曲させる強さの噴流を間欠的に吐水部から吐水させる浴室装置に対し、特に浴水中に酸素を溶解し、温熱効果や保湿効果を高めるのに好適な浴槽内酸素供給に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内で機械的なステッパー装置を用いて踏み込み運動を行う器具がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1のような装置では、浴槽内に設置した器具のメンテナンスを行う必要があり、また、自発的な訓練を行わなくてはならないため運動の継続性に疑問が残る。さらに、入浴中は湯気による息苦しさが生じ、静水圧によって肺呼吸への負担も大きくなっているため、自発的な運動を行うとさらに心肺機能への負担が大きくなる問題があった。
【0003】
浴槽内で自然な入浴姿勢をとった入浴者の足裏に噴流を与えマッサージを行う器具もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2のような装置では、足を噴流で動かすことができるほどの噴流力を確保できず、足裏へのマッサージを行うことでの効果しか生まれないため、運動効果や新陳代謝の向上を行うことはできない。
【0004】
皮膚呼吸を楽にしたり、温熱効果を高めたり、皮膚の保湿効果を高めたりする目的で、浴水内に酸素を溶解する浴槽酸素溶解システムが考えられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−236014号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−287541号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】特開2006−181290号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、浴槽内で運動を行う浴室装置において、持続性を高め、心肺機能への負担を減らし、運動の効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給することを特徴とする浴室装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、静水圧による心肺機能への負担や入浴者の息苦しさの軽減を行った状態で、効率的な有酸素運動を行うことができ、健康促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例による浴室装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例による浴室装置を示す概略平面図である。
【図3】本発明の浴室装置の配置実施例を示す図である。
【図4】本発明の浴室装置の配置実施例を示す図である。
【図5】本発明の酸素噴出量の制御実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第一の発明は、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給することを特徴とする浴室装置である。
【0011】
この浴室装置によれば、噴流の流れによって空気を巻き込むことができるため、浴水W中の部位において浸透圧が生じて水分浸透が促進し、浴水中の酸素が角質内天然保湿因子(NMF)や角質内細胞間脂質の水分保持能力を向上させる。また、皮膚呼吸を行えるので、快適度を上げ、心肺機能の負担を減らした状態で有酸素運動を効率的に行わせることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記酸素供給部は、前記吐水部よりも上流側に設けられ、
前記吐水部から吐水される噴流に酸素を供給するである。
【0013】
この浴室装置によれば、噴流の流れによって空気を巻き込むことができるため、浴水W内に酸素を供給するのに必要となるポンプなどの酸素噴射装置を用いることなく、前記吐水部から酸素を供給することができる。そのため、酸素噴射装置のスペース、電力等を削減できる。また、酸素を噴流内に混入することで、噴流の流量は同じでも力を強く発揮することができる。すなわち、流量を少なくしても、酸素を混合することで噴流の力を保つことができる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記浴室装置は、前記酸素供給部で供給された酸素を水に溶解させるための酸素溶解部を設け、前記酸素供給部は、前記吐水駆動部よりも上流側に配置され、前記酸素溶解部は、前記酸素供給部よりも下流側、かつ前記吐水駆動部よりも上流側に配置されたことを特徴とする浴室装置である。
【0015】
この浴室装置によれば、噴流を弱めることなく水中に酸素を溶解させることができるため、身体の芯まで温まり、湯冷めしづらくなる。また、代謝が促進されることで、運動効果を高めることができる。
【0016】
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、前記酸素供給部は、前記酸素を噴出するための酸素噴出部を備え、前記酸素噴出部は、前記第一の浴槽壁面近傍に配置されることを特徴とする浴室装置である。
【0017】
この浴室装置によれば、酸素を噴出するための酸素噴出部を設け、浴水内に供給するための酸素を第1の浴槽壁面側、すなわち、入浴者の上半身側から噴出することによって、入浴者が酸素を吸入しやすくなり、入浴による息苦しさの軽減や効率的な有酸素運動が行える。
【0018】
図1乃至図2に表したように、本実施形態にかかる浴室装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴室装置1は、防水パン61上に配置されている。
【0019】
浴室装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mの背中m1が接触する背側面(第1の浴槽壁面)2aとなっており、長手方向の他端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときにその足裏m2が対向する足側面(第2の浴槽壁面)2bとなっている。また、背側面2aと足側面2bとは、底面2eを挟んで相互に対向している。
【0020】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における足側面2bと背側面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させたときに、足裏m2でノズル3を覆うことができる程度の長さである。
【0021】
浴槽2の足側面2bには、入浴者Mの足に噴流を吐水するノズル(吐水部)3が設けられている。また、浴室装置1には、噴流を生成する駆動部として、吐水駆動部であるポンプ4が設けられている。このポンプ4は、ノズル3に接続されている。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。ポンプ4の吸入口7は浴槽2の内部に連通されている。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。
【0022】
浴室装置1には、酸素供給部8が設けられている。本実施例において、この酸素供給部8はポンプ4と吐水部3の間に設けられている。例えば酸素供給部8はポンプ4と吸入口7の間に設けられていてもよい。酸素供給部8には図示しない酸素生成部と酸素放出部とがあり、酸素生成部で生成された酸素は酸素放出部から放出される。酸素を放出するには酸素を送り出すための図示しない送風装置を設ける。より好ましくは、酸素供給部8を配置した管路を通る浴水の流速によって空気を取り込む機構を用いる方法やポンプ4で生じた冷却風を利用する送風おくり部を用いる方法などを用いるのがよい。これらの方法を用いることで、送風装置を別途設ける必要がないため、送風装置のスペース、電力等を削減できる。酸素供給部8で生成される酸素量および濃度は制御部5によって制御することができるのが好ましい。
【0023】
大噴流を生じるポンプを浴室で用いると、ポンプ内のモーターで生じる熱量が大きくなるが、防水のために密閉されたポンプ構造となっているため、その熱を逃すことが難しくなる。そのため、ポンプを冷却するためのファンを組み込むことがある。本実施例で示したポンプ4は図示しない冷却ファンを備えており、送風おくり部は、ポンプ4を冷却するための冷却風を送風おくり部を通して酸素供給部8へと送ることで酸素を浴水W内や背側酸素供給部10に送り込むことができる。この送風おくり部を用いると、酸素供給部8に別途送風装置を設ける必要がないため、送風装置のスペース、電力等を削減できる。
【0024】
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。入浴者Mのとる入浴姿勢は、臀部を浴槽2の底面2eに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させた姿勢である。そして、入浴者Mは、左の足裏m2で左のノズル3Lを覆い、右の足裏m2で右のノズル3Rを覆うように、左右の足を配置し、ノズル3から噴出される噴流を足裏で捉える初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節及び股関節は脱力されているものとする。
【0025】
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル3に対して供給する。ノズル3から吐水される流量Q2の噴流が噴射されると、この噴流は入浴者Mの足裏m2を押圧する。これにより、図4に表したように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲し、足は背側面2aに向かって移動する。このとき、ノズル3からの噴流は、入浴者Mの足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないような力を足裏m2に与える。これは、噴水の上にピンポン玉をのせたときに、そのピンポン玉が落ちずに噴水の略中心部で留まる現象と同じである。
【0026】
一方、ノズル3から流量Q1の噴流が噴射されると、足裏m2を押圧する圧力が低下する。そのため、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、足は足側面2bに向かって移動する。このとき、入浴者Mが足裏m2でノズル3を覆うように足の位置を意識的に調節することにより、足はノズル3の近傍に戻る。従って、ノズル3が吐水流量Q1およびQ2の噴流を交互に噴射することで、入浴者Mの足が浴槽2の長手方向に沿って往復運動する。このときの流量Q1は0でもよいし、脚部が屈曲しない程度の強さの流量であっても良い。
【0027】
従って、吐水部3L及び3Rが交互に水流を吐水することにより、入浴者の左右足部を浴槽2の長手方向に沿って交互に往復運動させることが可能となる。すなわち、この浴室装置は、入浴者Mに歩行を模した入浴ウォーキングの運動を行わせることとなる。
【0028】
このように、噴流によって入浴者Mは、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節の屈曲期、および伸展期をくり返し行う屈伸運動を行う事ができ、脚部のトレーニングを行うことが可能となる。また、入浴者Mは、この運動によって姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。入浴者は、これによっても運動することができる。
【0029】
この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいい、本願明細書においては、上述の如く姿勢を崩された場合の補償動作も含むものとする。
【0030】
また、噴流によって、入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、入浴の温熱効果が高くなり新陳代謝が高まる。さらに、身体の暖まった状態でのトレーニングは運動効果を向上させる。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。
【0031】
浴室装置1による運動中、入浴者Mには水(湯)によって静水圧が加えられており、肺呼吸の負担が大きく、また、湯気による息苦しさがある。これらを解決するために、酸素供給部8によって浴水内に酸素を供給し、皮膚呼吸を促進することで心肺機能の負担を軽減する。また、浴水内に溶解し切れなかった酸素が浴室内に放出されることによって、心肺機能の負担を軽減する。浴水から立ち上る酸素は、入浴者Mの鼻腔よりも下側から立ち上るため、効率的に吸入される。酸素の供給を円滑に行うことで、肺呼吸の負担を減らし、息苦しさの軽減を図れるだけでなく、酸素を供給することで有酸素運動を効率的に行うことができる。
【0032】
図3乃至図4には本発明のほかの実施形態を示している。
【0033】
図3の実施形態において、前述のように、浴水内に酸素を供給する酸素供給部8が設けられている。さらに、酸素供給部8で供給された酸素を浴水内に溶解させるための酸素溶解部9が設けられている。酸素溶解部9は蛇行した経路に浴水を通過させるなどして酸素を溶解させる。酸素溶解部9は、酸素が浴水中に溶解するのに十分な長さの流路を有しており、吐水部3から噴流が吐水されるまでに、十分に酸素を溶解させることができる。酸素供給部8及び酸素溶解部9は、吸入口7側を上流、吐水部3側を下流とすると、ポンプ4より上流にあることが望ましい。これにより、噴流力を落とすことなく、酸素を溶解させることができる。また、より好ましくは、浴水に酸素量や濃度を高めた空気からなる微細気泡を発生するための、微細気泡発生装置を備えるとよい。微細気泡を発生させることで、酸素が浴水中に長く滞留することになる。そのため、身体を芯から温める効果が得られ、代謝が向上し、運動効果も高められる。
【0034】
酸素供給部8から供給される酸素は、入浴者Mの上半身側である第1の浴槽壁面やその近傍から噴出されると、入浴者Mが肺呼吸によって酸素を取り入れやすくなり、有酸素運動を効率的に行うことができる。
【0035】
図4の実施形態において、酸素供給部8は、酸素を第1の浴槽壁面側と第2の浴槽壁面側の両側から酸素を供給するために、酸素放出部への流路を分岐させている。分岐させた流路の一方は、図1や図3で示した実施例と同様に噴流の吐水部から酸素を供給している。もう一方の流路は、入浴者Mの上半身側から酸素を供給するため、第1の浴槽壁面近傍に設けられた背側酸素噴出部10に接続されている。背側酸素噴出部10は、第1の浴槽壁面近傍から浴水W内に酸素を噴出させ、浴水W内に溶解し切れなかった酸素が浴水W面から湯気と共に立ち上ることで、入浴者Mに酸素を吸入させる。また、浴水W外の第1の浴槽壁面近傍に背側酸素噴出部10を設け、噴出した酸素を入浴者Mが直接吸入できるようにしてもよい。これにより、第2の浴槽壁面側から浴水W内に酸素を供給し、第1の浴槽壁面側の背側酸素噴出部10から入浴者Mに酸素を供給することで、効率的な有酸素運動を行うことができる。
【0036】
酸素供給部8と酸素供給を行うための背側酸素噴出部10があり、浴水W内の第1の浴槽壁面近傍に酸素噴出部10が設けられる。これにより、浴水W内に酸素を供給することができ、皮膚呼吸が行えることで肺呼吸の負荷を軽減すると共に、浴水W内に溶解し切れなかった酸素が浴水W面から湯気と共に立ち上ることで、入浴者Mに効率よく吸入させることができ、効率的な有酸素運動が行える。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係る浴室装置の、吐水量と酸素供給量の関係を示す図である。図5(a)の実施形態について、酸素供給制御の具体例を示す。
【0038】
図5(a)におけるT1時間では、間欠的な噴流吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止すると同時に酸素供給部8からの酸素の供給も停止する。この制御によって、浴室装置1による有酸素運動を効率よく行うことができる。
【0039】
図5(b)、(c)、(d)では、本実施形態にかかる酸素供給の変形例を示す。
【0040】
図5(b)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止しても一定時間(T3)は酸素供給部8から一定濃度の酸素供給が行われ、一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、運動後にも酸素を供給することができ、乳酸値や心拍数を下げることで、体力回復を図ることができる。
【0041】
図5(c)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。この状態で、入浴者Mが入浴する前、もしくは入浴者Mが入浴した後であり、噴流による運動を行っていないときにスイッチや人感センサなどによって入力信号が入ったときから、酸素供給部8から一定の酸素量や濃度の酸素供給を行う。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されても、運動を行っている間(T2)は、T1と同様に酸素供給部8から一定濃度の酸素が供給される。t2において、間欠的な噴流の吐水が停止しても一定時間(T3)は酸素供給部8から一定濃度の酸素供給が行われ、一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、運動前にも酸素を供給することができ、浴室内雰囲気の酸素量や濃度が高まった状態で運動を開始できるため、効率的な有酸素運動を行うことができる。
【0042】
図5(d)におけるT1時間では、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動を行っていない。このときには、通常の入浴と変わらない状態であり、酸素の供給は行われていない。t1において、間欠的な噴流の吐水とそれに伴った運動が開始されると、運動を行っている間(T2)は、酸素供給部8から酸素が供給される。このときの酸素量や濃度は制御部5によって制御される。t2において、間欠的な噴流吐水が停止した後、一定時間(T3)は酸素供給部8から酸素供給が行われ、このときの酸素量や濃度も制御部5によって制御されている。一定時間が経過したとき(t3)、酸素供給部8からの酸素供給が停止する。この制御によって、入浴者Mの運動状態や生体状態における最適な酸素を供給することができる。
【0043】
酸素供給部8から供給される酸素量や濃度は、制御部5によって制御され、その制御因子は噴流の噴射回数や運動時間であったり、入浴者Mの心拍数や血圧であったり、浴室内雰囲気の酸素量や濃度であったり、また、それらの組み合わせであったりする。噴流の噴射回数や運動時間は、制御部5によって計測される。また、入浴者Mの心拍数や血圧は、入浴者Mの身体に取り付けたセンサから得ることもできるし、浴槽にセンサを取り付けてもよい。浴室内雰囲気の酸素量や濃度は、浴室内に取り付けられたセンサから得ることができる。噴流の噴射回数や運動時間によって酸素量や濃度を制御すると、例えば、噴流の噴射回数や運動時間が高くなったことで運動強度が高まったときに、酸素量や濃度をあげて有酸素運動を効率的に行うことができる。また、心拍数や血圧といった入浴者の生体データによって酸素量や濃度を制御すると、例えば、心拍数や血圧の上昇に対して酸素量や濃度を高めることで、息苦しさや肺呼吸の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 浴室装置、 2 浴槽、 2a 足側面、 2b 背側面、 2e 底面、
3 ノズル、 3R 右ノズル、 3L 左ノズル、 4 ポンプ、 5 制御部、
6 リム、 7 吸入口、 8 酸素供給部、 9 酸素溶解部、 10 背側酸素噴出部
60 浴室ユニット、 61 防水パン、 62 壁パネル、
M 入浴者、 m1 背中、 m2 足裏、 W 水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の浴槽壁面と、
前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、
を有する浴槽と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、
前記吐水駆動部を制御する制御部と、
前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、
前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給する
ことを特徴とする浴室装置。
【請求項2】
前記酸素供給部は、前記吐水部よりも上流側に設けられ、
前記吐水部から吐水される噴流に酸素を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室装置。
【請求項3】
前記浴室装置は、
前記酸素供給部で供給された酸素を水に溶解させるための酸素溶解部を設け、
前記酸素供給部は、前記吐水駆動部よりも上流側に配置され、
前記酸素溶解部は、前記酸素供給部よりも下流側、かつ前記吐水駆動部よりも上流側に配置された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浴室装置。
【請求項4】
前記酸素供給部は、前記酸素を噴出するための酸素噴出部を備え、
前記酸素噴出部は、
前記第一の浴槽壁面近傍に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浴室装置。
【請求項1】
第一の浴槽壁面と、
前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、
を有する浴槽と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、
前記吐水駆動部を制御する制御部と、
前記浴槽近傍に設けられた酸素を供給する酸素供給部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させ、
前記酸素供給部は、前記浴槽内に酸素を供給する
ことを特徴とする浴室装置。
【請求項2】
前記酸素供給部は、前記吐水部よりも上流側に設けられ、
前記吐水部から吐水される噴流に酸素を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室装置。
【請求項3】
前記浴室装置は、
前記酸素供給部で供給された酸素を水に溶解させるための酸素溶解部を設け、
前記酸素供給部は、前記吐水駆動部よりも上流側に配置され、
前記酸素溶解部は、前記酸素供給部よりも下流側、かつ前記吐水駆動部よりも上流側に配置された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浴室装置。
【請求項4】
前記酸素供給部は、前記酸素を噴出するための酸素噴出部を備え、
前記酸素噴出部は、
前記第一の浴槽壁面近傍に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浴室装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2010−220640(P2010−220640A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67927(P2009−67927)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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