説明

浴室設置機器

【課題】通気口に水が進入して通気性能が低下するといった不具合を生じさせず、かつ通気口を利用した防水性能の検査などを適切に行なうことが可能な浴室設置機器を提供する。
【解決手段】電気部品を内部に収容するケーシング1Aと、このケーシング1Aの内部を外部に連通させるようにケーシングに設けられた通気口4と、この通気口4を塞ぐための通気防水シート5と、ケーシング1Aの外面部のうち、通気口4の周囲からケーシング1Aの外方に向けて突出し、かつ内部が通気口4に連通している筒状突出部6と、を備えた、浴室設置機器A1であって、通気防水シート5は、筒状突出部6内に挿入され、かつケーシング1Aの外面部に対面するようにして通気口4よりも外側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂給湯用のリモコン、浴槽への湯水供給切替え用のバルブユニット、あるいはその他の電気機器など、浴室に設置されて使用される浴室設置機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室設置機器の具体例として、特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された浴室設置機器は、風呂給湯用のリモコンであり、浴室の壁面に設置して使用される。このリモコンは、電気回路を収容したケーシングに、通気口が設けられた構成を有している。前記ケーシングのうち、通気口が形成された箇所の外面部および内面部には、ケーシングの内側および外側に向けて突出した2つの筒状部が設けられており、内側の筒状部の内部には、通気防水シート(多孔質膜)が挿入されている。この通気防水シートは、通気性を有する反面、通水性を有しないシートである。通気口は、通気防水シートによって塞がれているために、リモコンの外部から通気口を通過してリモコン内に水が進入することは防止される。一方、リモコン内の温度が上昇してその内圧が高まった際には、リモコン内の空気を通気口から外部に逃がし、リモコンの内圧の異常上昇を防止することが可能である。なお、ケーシングの外面部に設けられた外側の筒状部には、切り込みを有するパイプが適宜嵌合装着される。このパイプは、釘などによって通気防水シートに穴が開けられることを防止するのに役立つ。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
第1に、通気防水シートは、リモコンのケーシングの内側に設けられており、通気口の外側を塞いだ構成にはなっていない。このため、ケーシングの通気口の形成箇所に水が万一掛かった場合には、通気口内に水が進入する可能性がある。通気口内に水が進入すると、この通気口は水によって塞がれてしまう。前記従来技術においては、通気口の外側にパイプが設けられているために、通気口に水が進入することはパイプの存在によってある程度防止されるものの、たとえばパイプが適切に装着されていないような場合においては、通気口に水が進入する虞があり、このような場合には通気口に水膜が形成されて通気口が塞がれる。このような事態を生じたのでは、通気性能が低下する。
【0005】
第2に、浴室に設置されるリモコンは、優れた防水性能が必要とされるために、リモコンを製造した後においては、リモコンが所定の防水性能を有しているか否かを検査することが望まれる。この検査は、たとえば通気口を利用してリモコンのケーシング内に空気を供給し、ケーシング内の圧力変化を観察することにより、空気漏れがあるか否かを判断することにより行なうことが可能である。
これに対し、従来においては、防水性能の検査に通気口を利用することは適切に考慮されておらず、通気防水シートは、ケーシングの内側に接着された構造とされている。これでは、リモコンの防水性能の検査後に通気防水シートを装着するといったことはできず、検査を行なう際には、通気口が通気防水シートによって塞がれた状態においてこの通気口からケーシング内に空気供給しなければならない。この場合、通気防水シートは、空気供給に対する大きな抵抗となる。したがって、防水性能の検査を円滑かつ適正に進める上で不具合を生じる虞がある。また、ケーシングに対して通気防水シートが接着された方向は、前記の空気供給方向とは反対であるために、通気防水シートが防水性能の検査時においてケーシングから剥離し易くなる不具合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−131872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、通気口に水が進入して通気性能が低下するといった不具合を生じさせず、かつ通気口を利用した防水性能の検査などを適切に行なうことが可能な浴室設置機器を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される浴室設置機器は、電気部品を内部に収容するケーシングと、このケーシングの内部を外部に連通させるように前記ケーシングに設けられた通気口と、この通気口を塞ぐための通気防水シートと、前記ケーシングの外面部のうち、前記通気口の周囲から前記ケーシングの外方に向けて突出し、かつ内部が前記通気口に連通している筒状突出部と、を備えている、浴室設置機器であって、前記通気防水シートは、前記筒状突出部内に挿入され、かつ前記ケーシングの外面部に対面するようにして前記通気口よりも外側に設けられていることを特徴としている。
好ましくは、前記筒状突出部は、前記ケーシングの気密シール性能を検査する際に空気圧供給用の配管部材を接続するための接続部として利用される部分である。
【0010】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
第1に、通気防水シートは通気口よりも外側に設けられているために、通気口内に水が進入することは通気防水シートの存在によって防止される。このため、従来技術とは異なり、通気口内に水が進入し、かつこの水によって通気口が塞がれることも適切に防止され、通気性能が低下することを回避することができる。
第2に、通気防水シートは通気口よりも外側に位置してケーシングの外面部に対面して設けられた構成であるために、この通気防水シートについては、通気口を利用してケーシングの防水性能を検査した後において、ケーシングに設けることが可能である。すなわち、ケーシングの防水性能を行なう際には、通気防水シートが未だ筒状突出部内に挿入されていない状態として、通気口からケーシング内に空気圧供給を行なうことができる。したがって、このような空気圧供給時において、通気防水シートが大きな抵抗となることはなく、前記の検査を円滑かつ適正に行なうことができる。なお、仮に、前記の検査時において通気防水シートが筒状突出部内に既に挿入されていたとしても、前記空気圧は通気防水シートをケーシングから剥離させる方向の力としては作用しないこととなる。したがって、浴室設置機器の防水性能の検査を行なう際に通気防水シートが剥離し易くなるといった不具合も適切に回避される。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記通気口は、前記ケーシングの外方寄りに設けられた凹状部と、前記ケーシングの内方寄りに設けられた孔部とを有し、かつこの孔部は、前記凹状部よりも内径が小さく、かつ一端が前記凹状部の奥部に開口するようにして前記凹状部に繋がっている。
【0012】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、通気防水シートは、通気口のうち、大径部分である凹状部と対面しているために、通気防水シートが通気口の小径部分に対面している場合とは異なり、通気防水シートに目詰まりを生じ難くすることができる。一方、通気防水シートは、水は不透過であるものの、水蒸気については透過させる特性がある。これに対し、前記構成によれば、通気
口が小径部分である孔部を有しているために、通気口を通過する水蒸気の量を絞り、ケーシング内に進入する水蒸気の量を少なくすることが可能である。このことにより、ケーシング内の高湿化を抑制することができる。とくに、前記構成によれば、凹状部と孔部との境界部分においてそれらの内径が急変した構造となっているために、通気口の内径が急変することなく滑らかに変化した構成の場合と比較すると、水蒸気が通気口をより通過し難くなり、ケーシング内に多くの水蒸気が進入することを防止する上で一層好ましいものとなる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は、本発明が適用されたバルブユニットの一例を示す断面図であり、(b)は、(a)のIb−Ib断面図であり、(c)は、(a)のIc部分の拡大断面図である。
【図2】(a)は、図1に示したバルブユニットの気密シール性能を検査する状態の一例を示す説明図であり、(b)は、(a)のIIb部分の拡大断面図である。
【図3】(a),(b)は、図1に示したバルブユニットの気密シール性能を検査する際の他の例を示す要部拡大断面図である。
【図4】本発明が適用された浴槽排水栓用の駆動ユニットの一例を示す断面図である。
【図5】本発明が適用された風呂給湯用のリモコンの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1は、浴室設置機器としてのバルブユニットA1を示している。このバルブユニットA1は、浴室内のうち、たとえば浴槽と浴室の壁部との間のスペース、あるいは浴槽エプロンの内側のスペースに設置され、浴槽への湯水供給と浴室の排水パンへの凝縮水の排水動作とを切り替えるのに利用される。
【0017】
より詳細に説明すると、バルブユニットA1は、樹脂製のケーシング1A内に、モータM1によって駆動される弁体20、モータ制御用の回路基板3A、弁体20によって流体流れ方向が切り替えられる第1ないし第3の流路21a〜21cを形成する各種の部材が収容された構成を有している。ケーシング1Aには、通気口4、通気防水シート5、および筒状突出部6が設けられているが、これらの詳細については後述する。
【0018】
第1ないし第3の流路21a〜21cは、ケーシング1Aの外部に突出した第1ないし第3の管体部22a〜22cを利用して構成されており、第1の管体部22aは、浴室の外部に設置される潜熱回収型の給湯器(図示略)に配管接続される。第2の管体部22bは、浴槽の循環アダプタに配管接続され、第3の管体部22cは、浴室の排水パンに凝縮水を導くための配管が接続される。第1の流路21aには、給湯器から湯水または凝縮水が供給されてくる。凝縮水は、給湯器において、たとえばバーナによって発生された燃焼ガスから熱交換器を利用して潜熱が回収されることに伴って発生する。この凝縮水が第1の流路21aに供給されてくる際には、弁体20は図1(a)の状態に設定される。このことにより、前記凝縮水は第1の流路21aから第3の流路21cに導かれて、浴室の排水パンに排出される。一方、給湯器から第1の流路21aに湯水が供給されてくる場合には、モータM1の駆動によって弁体20が回転されて、この弁体20の一端開口20aが第2の流路21bに対面するように設定される(図示略)。このことにより、第1の流路21aに供給された湯水は第2の流路21bに流れ、その後浴槽内に供給される。
【0019】
ケーシング1Aは、通気口4の形成箇所を除き、気密シールが適宜図られた密閉構造とされている(流路21a〜21cへの湯水や凝縮水の流入は除く)。通気口4は、ケーシング1A内の温度上昇時にはケーシング1A内の空気を外部に逃がす一方、温度下降時には外部からケーシング1A内への空気流入を可能とする部分であり、また後述するように、ケーシング1Aの気密シール性能を検査するための検圧口としても利用される部位である。図1(c)によく表われているように、この通気口4は、ケーシング1Aの下壁部10に貫通して設けられた貫通孔であるが、下向き開口状に形成された凹状部40の上側に孔部41が繋がって設けられた構成である。この孔部41は、凹状部40よりも小径である。
【0020】
筒状突出部6は、通気防水シート5の保持部としての役割を果たす他、図2を参照して後述するように、ケーシング1Aの気密シール性能を検査する際の管体接続用の接続部として利用される部分である。この筒状突出部6は、ケーシング1Aの下壁部10の外面部(下向き面)のうち、通気口4の周囲から下向きに突出した円筒状であり、ケーシング1Aと一体成形されている。
【0021】
通気防水シート5は、通気口4の凹状部40よりも大径の円形状であり、筒状突出部6内にその下方側から挿入され、かつ接着剤層51を介してケーシング1Aの下壁部10の外面部に接着されている。ただし、好ましくは、この通気防水シート5のケーシング1Aへの装着は、ケーシング1Aの防水性能の検査を終えた後に行なわれる。通気防水シート5は、従来技術のものと同様に、通気性を有する反面、通水性は有しない特性をもつ多孔質状のシートである。本実施形態では、通気防水シート5の固定装着をより確実にするための手段として、CR型止め輪52も用いられている。この止め輪52は、図1(c)の仮想線で示すように、リング部52aの外周に複数の凸部52bが連設されたものであり、凸部52bを折り曲げるようにして筒状突出部6内に挿入され、通気防水シート5の下面側を上向きに押圧するように装着される。
【0022】
次に、前記したバルブユニットA1の作用について説明する。
【0023】
まず、バルブユニットA1の製造後には、ケーシング1Aの気密シール性能(密閉性または防水性)が検査される。ただし、この検査は、ケーシング1Aに通気防水シート5を未だ装着していない状態で行なう。図2に示すように、前記の検査を行なうには、たとえば筒状突出部6に空気圧供給用の機器7の配管部材70を接続し、機器7から通気口4を介して所定の空気圧をケーシング1A内に供給する。また、この機器7が備える圧力計を利用し、ケーシング1A内の圧力変化(配管部材70内またはこれに連通する箇所の空気圧の変化)を測定する。ケーシング1Aが適切な気密シール性能を有さない場合には、空気漏れを生じて前記の空気圧が低下するため、このようなことに基づいて、ケーシング1Aの気密シール性能が適正であるか否かを判断することができる。前記したような検査に際し、筒状突出部6は、配管部材70用の接続部として適切に利用することができるために、便利である。
【0024】
図2(b)においては、筒状突出部6に配管部材70を外嵌させた例を示しているが、これに代えて、たとえば図3に示すような態様とすることもできる。図3(a)では、筒状突出部6に配管部材70が嵌入されている。同図(b)では、筒状突出部6の先端部に配管部材70のリング状のシール部材71が当接している。この場合、好ましくは、筒状突出部6とシール部材71とのシール性を良好とすべく、筒状突出部6の先端部は丸みを帯びた形態とされている。このように、配管部材70の接続対象として筒状突出部6を利用すれば、配管部材70を接続する際のバリエーションを多くすることができ、融通性に優れたものとなる。
【0025】
前記した気密シール性能の検査を行なう場合、通気防水シート5を非装着状態としておけば、通気防水シート5が空気供給の抵抗になることが回避され、前記検査を円滑かつ適正に行なうことが可能である。通気防水シート5は、ケーシング1Aの外面側に設ければよいために、前記検査を終えた後においてケーシング1Aに対する装着する作業も容易である。
【0026】
前記とは異なり、気密シール性能の検査を行なう際に、通気防水シート5が予め装着されていた場合であっても、通気口4の通気性は確保されているために、気密シール性能の検査を行なうことは可能である。この場合、通気防水シート5は空気圧を受けるものの、この空気圧は通気防水シート5をケーシング1Aの外面に押し付けるように作用する。このため、前記の空気圧に起因して通気防水シート5がケーシング1Aから剥離するといった不具合は生じないようにすることができる。
【0027】
なお、バルブユニットA1の使用時において、モータM1から発散する熱などに起因してケーシング1A内の温度上昇が生じ、ケーシング1A内の空気が通気口4を通過して外部に流出する際には、この空気流は通気防水シート5を剥離させる方向に作用する。しかし、前記の空気流は、ケーシング1A内の温度および圧力の上昇に伴って緩やかに発生するものであって、気密シール性能の検査時の空気圧と比較するとその圧力は相当に低く、前記空気流に起因して通気防水シート5が剥離する虞も少ない。本実施形態では、CR型止め輪52を用いて通気防水シート5の固定を図っているために、通気防水シート5の不当な剥離あるいは位置ずれなどはより確実に防止される。
【0028】
バルブユニットA1は、前記したように、たとえば浴槽と浴室の壁部との間に形成された略密閉状のスペースに設置されるために、通常であれば、バルブユニットA1に湯水が直接掛かる虞は殆どない。ただし、様々な事情に起因してバルブユニットA1に湯水が掛かる場合はあり得るし、バルブユニットA1を浴室に設置する前の段階で水が掛かる場合もある(この点は、後述する他の浴室設置機器も同様)。これに対し、本実施形態では、通気防水シート5が通気口4よりも下側(ケーシング1Aの外側)に設けられた状態で通気口4を塞いでいるために、通気口4の形成箇所に向けてその下方から湯水が飛散するような事態を生じても、この湯水は通気防水シート5に遮られ、通気口4に進入することはない。通気口4に湯水が進入して水膜が形成されると、通気性が低下するが、本実施形態ではそのような不利を生じないようにすることが可能である。
【0029】
通気防水シート5は、通気口4のうち、比較的大径の凹状部40と対面している。このため、通気防水シート5は、目詰まりを生じ難い。すなわち、本実施形態とは異なり、通気口4に凹状部40が設けられておらず、通気防水シート5が小径の孔部41に直接対面した構成とされていた場合には、小径の孔部41に対面する部分にダスト類が付着した場合に、その部分が小面積であるが故に容易に眼詰まりする虞があるが、本実施形態によれば、そのような虞を解消することができる。一方、通気口4は、小径の孔部41を有しているために、水蒸気が通気防水シート5を透過した際に、ケーシング1A内への水蒸気の流入量を少なくし、ケーシング1A内が高湿化することを抑制する効果も得られる。凹状部40と孔部41との境界部分においては、それらの内径が急変しており、通気口4は水蒸気の流れに対する抵抗(流路抵抗に相当する)が大きいために、水蒸気の流入量を絞る効果が高く、ケーシング1A内の高湿化を防止する上で一層好ましいものとなる。
【0030】
図4および図5は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0031】
図4は、浴室設置機器としての浴槽排水栓用の駆動ユニットA2を示している。この駆
動ユニットA2は、浴槽の排水栓を遠隔操作によって開閉動作させるためのものである。この駆動ユニットA2は、ケーシング1B内に、カム80を回転させるためのモータM2、およびこのモータM2を制御するための回路基板3Bが収容された構成を有しており、ケーシング1Bの上部には、操作部81が設けられている。この駆動ユニットA2においては、操作部81が下向きに押圧操作されて、スイッチ用押圧部81aが下降し、回路基板3Bのスイッチ部30が押圧されてオンになると、モータM2がカム80を回転させる。ケーシング1B内には、カムフォロア部82aを有する可動体82がバネ83の弾発力によって上向きに付勢された状態に設けられており、この可動体82は、カム80の回転動作に対応して昇降する。可動体82には、ワイヤWの一端が連結されているが、このワイヤWの他端は、浴槽の排水栓(図示略)に連結されている。浴槽の排水栓は、可動体82の昇降に伴ってワイヤWによって引っ張られた状態と、そのような引っ張りを受けない状態とに切り替え可能であり、このことに基づいて開閉する。
【0032】
この駆動ユニットA2は、浴室内に設置され、ケーシング1B内への水の進入を防止する必要があるために、ケーシング1Bのうち、通気口10の形成箇所以外の各所は、気密シールが適宜図られた防水構造とされている。通気口4、通気防水シート5、および筒状突出部6は、ケーシング1Bの下壁部10に設けられているが、この部分の構造は、前記実施形態の図1(c)に示した構造と同様であり、その詳細は省略する。
【0033】
本実施形態の浴槽排水栓用の駆動ユニットA2によれば、通気口4、通気防水シート5、および筒状突出部6の構成に基づき、前記実施形態について述べたのと同様な効果が得られる。その概要を簡単に再度説明すると、まずケーシング1Bの気密シール性能を検査する際には、筒状突出部6を利用して検査用の機器7を容易かつ適切に配管接続することができる。通気防水シート5については、前記の検査の後にケーシング1Bに装着することができるために、通気防水シート5が前記検査時の空気供給に対する大きな抵抗になることを回避可能である。また、通気防水シート5がケーシング1Bの外面部から剥離することもない。ケーシング1Bに湯水が掛かった場合に、通気口4に湯水が進入して通気口4が塞がれることも防止される。さらに、通気口4が有する小径の孔部41は、多くの水蒸気がケーシング1B内に進入することを抑制し、ケーシング1B内が高湿化し難くなるなど、種々の好ましい効果が得られる。
【0034】
図5は、浴室設置機器としての風呂給湯用のリモコンA3を示している。このリモコンA3は、浴室の壁面90に設置され、給湯器の動作制御を行なうのに用いられる。より具体的には、リモコンA3は、ケーシング1C内に回路基板3Cが収容された構成を有し、ケーシング1Cの前面部には、液晶パネルなどを用いて構成されたデータ表示部84や、操作スイッチ85が設けられている。ケーシング1Cは、ベース部材15、このベース部材15の前面側に装着される前部材16、およびこの前部材16の前面側から装着されて前部材16やベース部材15の側面部を覆うカバー体17を組み合わせた防水構造とされている。
【0035】
リモコンA3を浴室の壁面90に設置するための手段としては、たとえばケーシング1Cを浴室の壁面90にネジ止めする手段(図示略)が採用されている。ケーシング1Cの背面部には、浴室の壁面90に当接する凸状部18が形成されており、ベース部材15と浴室の壁面90との間には、適当な幅Laの隙間92が形成されている。壁面90には、電気配線19の挿通用の貫通孔91が形成されており、この貫通孔91を介して隙間92は外部と連通している。通気口4は、ケーシング1Cのベース部材15に貫通して設けられ、かつ筒状突出部6は、ベース部材15からその背後に向けて突出している。この筒状突出部6は、その先端開口部が浴室の壁面90に当接せず、かつ壁面90によって塞がれないように設けられている。このことにより、通気口4を介して隙間92とケーシング1C内とは連通し、ケーシング1C内への空気の流出入が可能となっている。通気防水シー
ト5は、筒状突出部6内に挿入されてベース部材15の外面部に接着されている。通気口4、筒状突出部6、および通気防水シート5に関する構造は、それらの向きが横向き(通気口4などが水平方向を向いた姿勢)である点で、前記実施形態とは相違するものの、これ以外の構成については、図1(c)に示した構成と同様である。
【0036】
前記したリモコンA3が浴室の壁面90に設置される場合、通常は、ケーシング1Cの周囲にコーキング材95が設けられ、リモコンA3の背面の隙間92への水の進入は防止される。ただし、このようなコーキング処理に不備があるような場合には、リモコンA3の背面の隙間92に水が進入する場合はあり得る。このように、隙間92に水が進入する場合であっても、この水は通気防水シート5によって遮断され、ケーシング1C内に進入することが無いことは勿論のこと、通気口4に水が進入することもなく、通気口4が水膜によって塞がれるといった不具合はない。その他、本実施形態においても、図1(c)などに示した構成について述べたのと同様な効果が得られる。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室設置機器の各部の具体的な構成は、本発明が意図する範囲内において、種々に設計変更自在である。
【0038】
通気防水シートは、筒状突出部内に挿入されて、浴室設置機器のケーシングの外面部に対面するようにして通気口よりも外側に設けられていればよく、必ずしも接着剤を用いてケーシングの外面部に接着されていなくてもよい。たとえば、前記実施形態で述べたように、CR型止め輪を利用して通気防水シートの位置決めを図る場合には、通気防水シートがケーシングの外面部とCR型止め輪の間に挟まれて固定されただけであってもよい。また、通気防水シートを固定させるための手段としては、CR型止め輪またはこれに相当する手段を用いることなく、通気防水シートをケーシングの外面部に接着剤を利用して接着させるだけの構成とすることもできる。通気防水シートは、通気性を有しつつ、通水性を有しないシートであればよく、その具体的な材質などは問わない。
【0039】
通気口については、前記実施形態のように大径の凹状部と小径の孔部とを繋げた構成とすることが好ましいものの、やはりこれに限定されない。たとえば、ケーシングの外方寄り部分から内方寄りに進むほどその内径が徐々に小さくなるテーパ孔としたり、あるいは通気口の全長域にわたって略同一の内径とされた形態とすることもできる。筒状突出部は、円筒状に形成することが好ましいものの、これに限定されず、たとえば角筒状などに形成することも可能である。
【0040】
本発明でいう浴室設置機器とは、浴室に設置される機器全般を指す。したがって、前記したバルブユニット、浴室排水栓用の駆動ユニット、および風呂給湯用のリモコン以外として、たとえば浴槽洗浄用の機器、浴室テレビ、浴室オーディオ機器なども本発明でいう浴室設置機器に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
A1 バルブユニット(浴室設置機器)
A2 浴槽排水栓用の駆動ユニット(浴室設置機器)
A3 風呂給湯用のリモコン(浴室設置機器)
M1,M2 モータ(電気部品)
1A〜1C ケーシング
2A〜2A 回路基板(電気部品)
4 通気口
5 通気防水シート
6 筒状突出部
40 凹状部(通気口の)
41 孔部(通気口の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を内部に収容するケーシングと、
このケーシングの内部を外部に連通させるように前記ケーシングに設けられた通気口と、
この通気口を塞ぐための通気防水シートと、
前記ケーシングの外面部のうち、前記通気口の周囲から前記ケーシングの外方に向けて突出し、かつ内部が前記通気口に連通している筒状突出部と、
を備えている、浴室設置機器であって、
前記通気防水シートは、前記筒状突出部内に挿入され、かつ前記ケーシングの外面部に対面するようにして前記通気口よりも外側に設けられていることを特徴とする、浴室設置機器。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室設置機器であって、
前記筒状突出部は、前記ケーシングの気密シール性能を検査する際に空気圧供給用の配管部材を接続するための接続部として利用される部分である、浴室設置機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浴室設置機器であって、
前記通気口は、前記ケーシングの外方寄りに設けられた凹状部と、前記ケーシングの内方寄りに設けられた孔部とを有し、かつこの孔部は、前記凹状部よりも内径が小さく、かつ一端が前記凹状部の奥部に開口するようにして前記凹状部に繋がっている、浴室設置機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72613(P2013−72613A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213581(P2011−213581)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】