説明

浴槽用循環具

【課題】フィルターカバーが目詰まりしても浴槽水を吸入することができ、循環具の機能を持続させることができる浴槽用循環具を提供する。
【解決手段】浴槽の側壁12の外部には外部筒体11が配置され、浴槽の側壁12に設けられた貫通孔12aに浴槽内から締付筒体20が挿通された状態で外部筒体11に締付固定されている。締付筒体20には、吸入用開口部40から浴槽水を吸入する吸入用流路及び給湯器で加熱された加熱水を吐出用開口部34から浴槽内へ吐出する吐出用流路を区画形成する区画部材27が組付けられている。区画部材27の外面にはフィルターカバー44が装着されている。前記吸入用流路及び吐出用流路の方向を変更する流路方向変更部33と区画部材27の外周壁27aとの間には吸入用切欠き55が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の側壁内面に配置されて側壁外面の外部筒体に連結される締付筒体、その締付筒体に組付けられる区画部材及び区画部材の外面に取着されるフィルターカバー等により構成された浴槽用循環具に関する。さらに詳しくは、フィルターカバーが目詰まりしたときでも、区画部材に設けられた吸入用開口部から浴槽水を吸入することができるように構成された浴槽用循環具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の浴槽用循環具においては、浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された締付筒体が浴槽外の外部筒体に締付けられて側壁に固定されている。該締付筒体内には、浴槽水の吸入用流路及び給湯器で加熱された加熱水を浴槽内へ吐出する吐出用流路が区画形成された区画部材が挿入、固定されている。該区画部材の外面には、ごみなどの異物が吸入用流路に入り込まないようにするためのフィルターカバーが装着されている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載されているような湯水循環用接続具が知られている。この湯水循環用接続具の特徴とするところは、接続具本体の前面部と対峙するフィルターカバーの内面側に、接続具本体の前面に形成された2つの吸込口を仕切る仕切リブを設けた点にある。この仕切リブにより、吐出側の吸込口から漏れ出した湯(加熱水)が直接吸入側の吸込口から吸入されるというショートサイクルを防止することができる。
【0004】
しかしながら、この湯水循環用接続具では、フィルターカバーが目詰まりを起こした場合には、浴槽水を吸い込むことができず、接続具としての機能を果たすことができなくなり、給湯器の作動が停止する事態に陥るおそれがある。
【0005】
そこで、そのような事態を回避するために、特許文献2に示すような浴槽用配管接続具が示されている。この浴槽用配管接続具では、前記仕切リブの一部が切欠かれ、フィルターカバーが目詰まりしたときには、吐出側のフィルターカバーから浴槽水を吸い込み、吸入側の吸込口から吸入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−29249号公報
【特許文献2】特開2006−174923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2に記載された従来構成においては、フィルターカバーの目詰まりが進行し、浴槽水と一緒に吐出側の吸込口から漏れ出した加熱水が吸入側の吸込口から吸い込まれる事態に到る。このような事態に到ると、前述のショートサイクルと同じように、給湯器で加熱された加熱水が吸入側経路から給湯器に戻ることになり、所定の湯温に達していると制御装置で判断されて循環ポンプが停止し、浴槽用循環具はその機能を果たすことができないという問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的とするところは、フィルターカバーが目詰まりしても浴槽水を吸入することができ、循環具の機能を持続させることができる浴槽用循環具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明の浴槽用循環具は、浴槽の側壁の外部に配置される外部筒体と、浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された状態で外部筒体に締付けられて側壁に固定される締付筒体と、該締付筒体に組付けられ、吸入用開口部から浴槽水を吸入する吸入用流路及び給湯器で加熱された加熱水を吐出用開口部から浴槽内へ吐出する吐出用流路を区画形成する区画部材と、該区画部材の外面に装着されるフィルターカバーとを備え、前記吸入用流路及び吐出用流路の方向を変更する流路方向変更部と区画部材を構成する外周壁との間には吸入用切欠きを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に係る発明において、前記吸入用切欠きは、浴槽水の吸入側が広くなるようにテーパ状に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記流路方向変更部と区画部材の外周壁との間には吸入迂回流路を形成し、前記吸入用切欠きが吸入迂回流路に臨むように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に係る発明において、前記流路方向変更部及び吸入迂回流路の中央部には吸入側と吐出側を仕切る仕切リブを設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に係る発明において、前記仕切リブには、吸入迂回流路において吸入側と吐出側とを連通する切込みを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明の浴槽用循環具においては、吸入用流路及び吐出用流路の方向を変更する流路方向変更部と区画部材の外周壁との間には吸入用切欠きが設けられている。このため、浴槽用循環具の使用時において、フィルターカバーが目詰まりして浴槽水の吸入が難しくなった場合には、浴槽水はフィルターカバーと区画部材の隙間を介し、吸入用切欠きを通って吸入用開口部に到り、吸入される。従って、浴槽用循環具はその機能を継続して発現することができる。
【0013】
よって、本発明の浴槽用循環具によれば、フィルターカバーが目詰まりしても浴槽水を吸入することができ、循環具の機能を持続させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態における浴槽用循環具を示す分解斜視図。
【図2】(a)は区画部材を示す正面図、(b)は弁体カバーを示す正面図、(c)は弁体カバーを示す背面図、(d)は弁体カバーを示す側面図、(e)は弁体カバーを取り外した区画部材本体を示す正面図。
【図3】弁体カバーを装着した状態の区画部材を示す断面図。
【図4】浴槽用循環具を浴槽の側壁に固定した状態を示す断面図。
【図5】(a)は通常の使用状態におけるフィルターカバーを示す正面図、(b)は同じく通常の使用状態における区画部材を示す正面図。
【図6】フィルターカバーの目詰まり状態を模式的に示す図であって、(a)はフィルターカバーの左半分が目詰まりを起こした状態を示すフィルターカバーの正面図、(b)は(a)の場合において浴槽水が区画部材を流れる状態を示す正面図。
【図7】フィルターカバーの目詰まり状態を模式的に示す図であって、(a)はフィルターカバーの4分の3が目詰まりを起こした状態を示すフィルターカバーの正面図、(b)は(a)の場合において浴槽水が区画部材を流れる状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図7に従って詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の浴槽用循環具10を構成する外部筒体11は浴槽の側壁12外部に配置され、黄銅等の金属又はポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂で筒状に形成されている。外部筒体11の外端部には、図示しない給湯器への戻り側配管13に接続される連結口14及び給湯器からの往き側配管15に接続される接続口16が設けられている。そして、浴槽水を連結口14、戻り側配管13を介して給湯器に送り、給湯器で加熱された加熱水(湯)を往き側配管15から接続口16へ循環するように構成されている。本実施形態の浴槽用循環具10は無極性のものであり、外部筒体11の連結口14及び接続口16と給湯器の配管接続部分との間の配管の接続は制限されない。
【0016】
外部筒体11の開口端部には拡径筒部17が設けられ、その拡径筒部17にはゴム製のシール部材18が被せられ、側壁12の外面に密着されて外部筒体11と浴槽の側壁12との間の水密が保たれている。外部筒体11の内周面には雌ねじ19が刻設されるとともに、外部筒体11内には連結筒部51が外部筒体11の軸線方向に延びるように突設されている。連結筒部51内の流路は接続口16に通じ、外部筒体11と連結筒部51との間の流路が連結口14に通じている。
【0017】
締付筒体20はポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂により円筒状に形成され、その内端部(図1の左端部)にはフランジ21が突設されている。締付筒体20の外周面には雄ねじ22が螺刻され、その雄ねじ22が前記外部筒体11の雌ねじ19に螺合され、締付筒体20と外部筒体11とが浴槽の側壁12を挟んで連結固定されるようになっている。図4に示すように、該フランジ21の外周面には、端部側が雄ねじ22側より高くなるように段差状に形成された被係合段部23が環状に形成されている。
【0018】
図1に示すように、締付筒体20の内周面には回り止め突条24が設けられている。この締付筒体20は浴槽の側壁12の内側に配置され、ポリエチレン(PE)製のパッキン25とゴム製のシールリング26が介装された状態で側壁12の貫通孔12aに挿通される。そして、締付筒体20の雄ねじ22が外部筒体11の雌ねじ19に螺合固定されるとともに、締付筒体20と浴槽の側壁12との間の水密が保たれるようになっている。
【0019】
区画部材27はポリアセタール等の合成樹脂により形成され、区画部材本体28とその中心より締付筒体20側へ延びる筒部29とにより構成されている。区画部材本体28の外周部には締付筒体20側に延びる係合爪30が周方向の複数箇所に突設され、前記締付筒体20の被係合段部23に係合され、締付筒体20から区画部材27の抜け出しが防止されている。
【0020】
図1及び図4に示すように、区画部材本体28及びその筒部29により、前記外部筒体11の接続口16に接続される吐出用流路31が形成されるとともに、その周囲には外部筒体11の連結口14に接続される吸入用流路32が区画形成されている。これら吐出用流路31及び吸入用流路32は、それらの方向が90度変更されるとともに、正面ハの字状をなすように斜め下方へ延びている。斯かる吐出用流路31及び吸入用流路32の流路方向を変更する流路方向変更部33は、区画部材本体28と一体成形されている。流路方向が変更された吐出用流路31及び吸入用流路32の吐出用開口部34には、開閉弁35の弁体36両端の支持片37を支持する一対の支承凹部38が設けられるとともに、開閉弁35を保持する弁体カバー39が装着されるようになっている。この弁体カバー39には、網状に形成され浴槽水を吸入する吸入用開口部40が設けられている。
【0021】
図2(a)〜(e)に示すように、弁体カバー39の一端縁には流路方向変更部33の開口縁33aに掛止される掛止突条39aが段差状に形成されている。この掛止突条39aの下部には、断面が加熱水の下流側ほど狭くなるように傾斜する傾斜部39bが設けられている。この傾斜部は、前記吸入用開口部40よりも上流側に設けられ、加熱水が吸入用開口部40から吐出され難くなっている。そして、図1及び図3に示すように、開閉弁35の弁体36両端部の支持片37を支承凹部38に載せて支持し、弁体カバー39の掛止突条39aを流路方向変更部33の開口縁33aに掛止した後、弁体カバー39を回動させて流路方向変更部33と面一になるようにする。次いで、ビス52を区画部材本体28の挿通孔53に挿通して弁体カバー39の雌ねじ穴54に螺合することにより、弁体カバー39が流路方向変更部33に装着される。
【0022】
図2(a)及び(e)に示すように、流路方向変更部33と区画部材27の外周壁27aとの間には浴槽水の吸入側が広くなるようにテーパ状に形成された一対の吸入用切欠き55が形成されている。区画部材27の外周壁27aと流路方向変更部33との間には、吸入迂回流路56が正面円弧状をなすように凹設されている。この吸入迂回流路56の両端部に前記吸入用切欠き55が設けられ、該吸入用切欠き55が吸入迂回流路56に臨んでいる。そして、フィルターカバー44の流通孔47が髪の毛等で目詰まりし、浴槽水が吸入用開口部40から吸入されなくなったとき、浴槽水がフィルターカバー44と区画部材27との隙間57(図4参照)から吸入用切欠き55を介し、吸入迂回流路56を経て吸入用開口部40に吸入されるようになっている。
【0023】
区画部材27の外周壁27aから吸入迂回流路56の中央部及び流路方向変更部33の中央部を通って吸入迂回流路56及び流路方向変更部33を2分するように吸入側と吐出側を仕切る仕切リブ58が突出形成されている。吸入迂回流路56における仕切リブ58には切込み59が設けられ、吸入迂回流路56の吸入側(図2(a)の左半分)と吐出側(図2(a)の右半分)が連通されている。
【0024】
図2(a)に示すように、区画部材27において、浴槽水は一方(図中の左側)の弁体カバー39の吸入用開口部40から図中の矢印に示すように吸入され、流路方向変更部33の吸入用流路32へ流れ、加熱水は流路方向変更部33の吐出用流路31から開閉弁35を通って浴槽内へ吐出されるようになっている。開閉弁35は加熱水が図中の矢印に示すように弁体36に当たり、弁体36が支持片37を中心にして回動することにより開弁される。流路方向変更部33の吐出用流路31から流れ出る加熱水は、傾斜部39bを通過する際に流路が絞られるため吐出速度が速められる。
【0025】
図4に示すように、区画部材本体28の締付筒体20側には位置決め用の係合突条41が周方向に複数設けられ、前記締付筒体20の回り止め突条24に係合して区画部材27の周方向への回転が規制されている。図1に示すように、区画部材27の外周部には、区画部材本体28に片持ち支持されて周方向に延び、径方向に弾性変形する弾性変形部43が突設されている。斯かる弾性変形部43の外周面にはフィルターカバー44の係合突起45を案内、保持する案内保持部46が設けられている。
【0026】
フィルターカバー44はステンレス鋼により有底円筒状に形成され、前面に多数の流通孔47を有している。そして、フィルターカバー44の係合突起45を区画部材27の案内保持部46に嵌め込んでからフィルターカバー44を周方向に回動させることにより、フィルターカバー44の周方向及び軸線方向への動きが規制され、区画部材本体28からフィルターカバー44の抜け出しが規制されている。フィルターカバー44の周壁の2箇所には吐出孔48が開口され、前記区画部材27の吐出用開口部34に対峙している。以上のように浴槽用循環具10は、前述の外部筒体11、締付筒体20、区画部材27及びフィルターカバー44等により構成されている。
【0027】
上記のように構成された浴槽用循環具10を浴槽の側壁12に取付固定する場合には、浴槽の側壁12に設けられた貫通孔12aに内側から締付筒体20をパッキン25及びシールリング26が嵌挿された状態で挿通し、その雄ねじ22を側壁12の外側に配設された外部筒体11の雌ねじ19に螺合して締付け固定する。次いで、区画部材27の筒部29を締付筒体20内に挿入して区画部材27の係合爪30を締付筒体20の被係合段部23に係合させる。このとき、区画部材27の筒部29が外部筒体11の連結筒部51に挿入される。このようにして、区画部材27の吸入用流路32が外部筒体11の連結口14に接続されると同時に、吐出用流路31が外部筒体11の接続口16に連通される。続いて、フィルターカバー44を区画部材27に固定することにより、浴槽用循環具10が浴槽の側壁12に取付固定される。
【0028】
その状態において、浴槽水を強制循環させると、浴槽水はフィルターカバー44前面の流通孔47から吸い込まれ、区画部材27の吸入用開口部40から吸入用流路32を通って外部筒体11の連結口14に流れ、さらに戻り側配管13を経て給湯器に到る。給湯器で加熱された加熱水は往き側配管15から外部筒体11の接続口16を介して区画部材27の吐出用流路31、吐出用開口部34からフィルターカバー44の吐出孔48を経て浴槽内へ吐出される。
【0029】
次に、本実施形態の浴槽用循環具10について作用を説明する。
さて、図1及び図2(a)に示すように、この実施形態の浴槽用循環具10においては、区画部材27の流路方向変更部33と外周壁27aとの間には吸入用切欠き55が設けられている。このため、浴槽用循環具10の使用時において、フィルターカバー44の流通孔47が髪の毛等のごみによって目詰まりを起こして浴槽水の吸入が難しくなった場合には、浴槽水はフィルターカバー44と区画部材27の隙間57を介し、吸入用切欠き55から吸入迂回流路56を通って吸入用開口部40に到り、吸入される。
【0030】
すなわち、図5(a)に示すように、フィルターカバー44の流通孔47が開口されている状態では、図5(b)に示すように、浴槽水はその流通孔47を通って区画部材27の吸入用開口部40へと吸入される。続いて、図6(a)に示すように、フィルターカバー44の流通孔47の吸入側が閉塞されたときには(図中の左半分の黒丸)、図6(b)の矢印に示すように、浴槽水は区画部材27の吸入用切欠き55を通って吸入迂回流路56へ入り、吸入用開口部40へ流れ込み、吸入される。さらに、浴槽水はフィルターカバー44の閉塞されていない吐出側の流通孔47(図6(a)中の白丸)から吸い込まれ、吸入迂回流路56から仕切リブ58の切込み59を通り、吸入用開口部40へ流れ込み、吸入される。
【0031】
加えて、図7(a)に示すように、フィルターカバー44の流通孔47の4分の3が閉塞されたときには(図中の黒丸)、図7(b)の矢印に示すように、浴槽水は区画部材27の吸入用切欠き55を通って吸入迂回流路56へ入り、吸入用開口部40へ流れ込んで吸入される。さらに、浴槽水はフィルターカバー44の閉塞されていない吐出側の流通孔47(図7(a)中の白丸)から吸い込まれ、吸入迂回流路56から仕切リブ58の切込み59を通り、吸入用開口部40へ流れ込んで吸入される。従って、フィルターカバー44の流通孔47が目詰まりして閉塞された場合でも浴槽水は吸入用切欠き55から吸入され、吸入用開口部40から継続して吸入される。
【0032】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態における浴槽用循環具10では、流路方向変更部33と区画部材27の外周壁27aとの間には吸入用切欠き55が設けられている。このため、浴槽用循環具10の使用時において、フィルターカバー44が目詰まりを起こして浴槽水の吸入が難しくなった場合には、浴槽水はフィルターカバー44と区画部材27の隙間57を介し、吸入用切欠き55を通って吸入用開口部40に到り、吸入される。従って、フィルターカバー44の吐出側に設けられている流通孔47の目詰まりを遅らせることができ、浴槽用循環具10はその機能を継続して発現することができる。
【0033】
よって、この実施形態の浴槽用循環具10によれば、フィルターカバー44が目詰まりしても浴槽水を吸入することができ、浴槽用循環具10の機能を持続させることができるという効果を発揮する。
(2)前記吸入用切欠き55は、浴槽水の吸入側が広くなるようにテーパ状に形成されている。このため、浴槽水が吸入用切欠き55に入り込みやすくなり、浴槽水の吸入を円滑に行うことができる。
(3)前記流路方向変更部33と区画部材27の外周壁27aとの間には吸入迂回流路56が形成され、吸入用切欠き55が吸入迂回流路56に臨むように構成されている。従って、吸入用切欠き55から流入された浴槽水を吸入迂回流路56に導いて吸入用開口部40へ誘導することができる。
(4)前記流路方向変更部33及び吸入迂回流路56の中央部には吸入側と吐出側を仕切る仕切リブ58が設けられている。そのため、吐出側の吸入用開口部40から漏れ出した加熱水が直接吸入側の吸入用開口部40に吸入されるというショートサイクルを防止することができる。
(5)前記仕切リブ58には、吸入迂回流路56において吸入側と吐出側とを連通する切込み59が設けられている。このため、フィルターカバー44の流通孔47が閉塞したときには、フィルターカバー44の吐出側の流通孔47から吸入される浴槽水を吸入迂回流路56における仕切リブ58の切込み59を通って吸入用開口部40へ誘導することができ、浴槽水の吸入持続を図ることができる。
【0034】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記吸入用切欠き55の部分に網目状のフィルターを設け、髪の毛等のごみが吸入され難くなるように構成することも可能である。
【0035】
・ 吸入用切欠き55の形状を、正面平行状に形成したり、深さを深くしたり、吸入用切欠き55の数を3箇所以上にしたりすることも可能である。
・ 前記吸入迂回流路56における仕切リブ58の切込み59を省略することもできる。この場合には、ショートサイクルの防止を図ることができる。
【0036】
・ 吸入迂回流路56における仕切リブ58の高さを調整し、浴槽水の吸入とショートサイクルの防止のバランスを変更することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10…浴槽用循環具、11…外部筒体、12…側壁、12a…貫通孔、20…締付筒体、27…区画部材、27a…外周壁、31…吐出用流路、32…吸入用流路、33…流路方向変更部、34…吐出用開口部、40…吸入用開口部、44…フィルターカバー、55…吸入用切欠き、56…吸入迂回流路、58…仕切リブ、59…切込み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁の外部に配置される外部筒体と、浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された状態で外部筒体に締付けられて側壁に固定される締付筒体と、該締付筒体に組付けられ、吸入用開口部から浴槽水を吸入する吸入用流路及び給湯器で加熱された加熱水を吐出用開口部から浴槽内へ吐出する吐出用流路を区画形成する区画部材と、該区画部材の外面に装着されるフィルターカバーとを備え、
前記吸入用流路及び吐出用流路の方向を変更する流路方向変更部と区画部材を構成する外周壁との間には吸入用切欠きを設けたことを特徴とする浴槽用循環具。
【請求項2】
前記吸入用切欠きは、浴槽水の吸入側が広くなるようにテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用循環具。
【請求項3】
前記流路方向変更部と区画部材の外周壁との間には吸入迂回流路を形成し、前記吸入用切欠きが吸入迂回流路に臨むように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浴槽用循環具。
【請求項4】
前記流路方向変更部及び吸入迂回流路の中央部には吸入側と吐出側を仕切る仕切リブを設けたことを特徴とする請求項3に記載の浴槽用循環具。
【請求項5】
前記仕切リブには、吸入迂回流路において吸入側と吐出側とを連通する切込みを設けたことを特徴とする請求項4に記載の浴槽用循環具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163284(P2012−163284A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25133(P2011−25133)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000128968)株式会社オンダ製作所 (31)
【Fターム(参考)】