説明

浴槽用手すり

【課題】浴槽の出入りに際して手すり部に体重をかけて浴槽をまたぐ動作を行うにあたり、不意によろけたりして浴槽手すりに大きな力が作用しても傾いたり、倒れる恐れがない安心して使用できる浴槽用手すりを提供する。
【解決手段】浴槽の上縁部に跨設される浴槽用手すりであって、本体部1は、浴槽の側壁の肉厚に合わせて幅の調整ができる幅調整機構と、浴槽の側面を押圧して締め付け、浴槽の上縁部を挟持して支持・固定する締め付け機構とを備え、手すり部2は、本体部1に取り付けられ上下にスライドする支柱22と、支柱22に形成された把手部21とを備え、下部支持部材3は、本体部1に取り付け上下にスライドする脚支柱31と、脚支柱31に取り付けられ、浴室の側面を押圧して支持・固定する伸縮自在な突っ張りポール33を備え、浴槽の上縁部と浴室の左右側面の三か所で支持・固定する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や身障者等が浴室の浴槽内へ出入りするのに適した浴槽用手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者などが入浴する際、浴槽内への出入りを介助するために、浴槽の側壁へ取付け該側壁を挟着して固定する浴槽用手摺りが提供されている。例えば、特許文献1(特開2010−246691号)に記載されたものは、浴槽の上端部に配置される本体具と、本体具の一方の側面に形成された側片と、側片に設けられた押圧具と、左右一対に設けられた押圧板と、押圧具を移動させる操作ハンドルと、スライドして移動自在な押圧受け具と、押圧受け具に設けられた押圧受け板と、固定・解除手段とを備え、更に所定の力を超えるとハンドルノブからボルト軸に回動力が伝達されないようにする回動伝達社団機構と係合・離脱自在なラッチ具を備えた浴槽用手摺りである。
【0003】
また、特許文献2(特開平11−47016号)に記載されたものは、浴槽の上縁部を挟着する挟着部と、この挟着部で浴槽の上縁部を挟着部した時、浴槽の上縁から上方に突出するように支持される手すり本体部とを備える浴槽用手すりにおいて、上下方向に伸縮自在で下端が洗い場の床面に受けられて挟着部を支持する脚部を備えている浴槽用手すりである。
【0004】
【特許文献1】特開2010−246691号公報
【特許文献2】特開平11−47016号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されたものを含め従来のものは、浴槽の上縁部に本体を跨設してハンドルを回して押圧板で浴槽の側壁を締め付けて固定するのが一般的である。特許文献1、2に記載されているように、浴室の床面に当接することができる脚部・支柱を設けているものも提供されている。一般的に浴槽はFRP製の物が多く使用されているが、FRP製浴槽の側壁は内部が空洞か断熱材を充填しているため強度上強く締め付けることができない。側壁を強く締め付けると側壁が凹むなど、時間が経過するとネジが緩むなどの問題が発生する恐れがある。そのため、特許文献1に示すように回動伝達遮断機構で過剰な力で押圧することを防ぐようにしている。
【0006】
また、特許文献1、2に記載されたものは、浴槽の上縁部で支持・固定するから、浴槽の前後方向(図11に示すY方向)に対しては傾き・倒れにくいが、浴槽への出入りをする際、使用者が倒れかけて不用意に手すりを掴んだりした時にかかる浴槽の左右方向(図11に示すX方向)に対しては傾き易く、使用者に不安を与えるなどの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来の上記課題を解決する手段として、請求項1に記載の本発明は、浴槽の上縁部に跨設され、浴槽の上部側壁を挟着する本体部と、本体部から上方に突出して形成される手すり部と、本体部から下方に向かって延出している下部支持部材とを備えた浴槽用手すりであって、本体部は、少なくとも浴槽の側壁を押圧して締め付け、浴槽の上縁部を挟持して支持・固定する締め付け機構を備え、手すり部は、本体部に取り付けられる手すり部支柱と、該支柱に形成された把手部とを備え、下部支持部材は、本体部に取り付けられる脚支柱と、脚支柱に取り付けられ、浴室の側面を押圧して支持・固定する伸縮自在な突っ張りポールを備え浴槽の上縁部と浴室の左右側面の三か所で支持・固定することを特徴とする浴槽用手すりである。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記下部支持部材は、少なくとも長さ調整可能なスライド支柱と、スライド支柱の下部に設けられる固定台と、固定台に取り付けられる突っ張りポールで構成され、固定台に突っ張りポールの外筒を挿入する挿入受け部を設け、挿入受け部に外筒が挿入されて固定台と外筒が相互に摺動し、浴槽の任意の位置に浴槽手すりを取り付けられることを特徴とする請求項1記載の浴槽手すりである。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記スライド支柱はU字形状をしており、手すり部支柱と嵌合して、本体部に備えた水平ロックピン機構で脚支柱の長さ調整を行うことを特徴とする請求項1または2記載の浴槽用手すりである。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記突っ張りポールは、外筒に内筒が伸縮自在に挿入され、外筒の一端側と内筒の多端側に浴室の側面を押圧するアジャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3記載の浴槽用手すりである。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、浴槽の上縁部に本体部を跨設させ、押圧板を浴槽の側壁に当接して浴槽の上部側壁を締め付け手段を利用して挟着し、突っ張りポールの長さ調節手段を利用して浴室の側面(側壁)下部に突っ張りポールのアジャスターを当接して浴室の左側面(側壁)および右側面(側壁)の下部を押圧して支持・固定し、浴槽の上部と浴室の下方左右両側面の三か所で支持・固定することにより、三点で支持し、固定するから前後方向(図11のY方向)及び左右方向(図11のX方向)から力がかかっても浴槽用手すりが傾くことはない。挟着している部分の締め付けが緩んだ場合でも三か所で支持されているから倒れる恐れもない。
【0012】
本発明は、本体部が浴槽の上縁部に跨設して浴槽の幅に合わせて側壁を押圧板で挟着できる構造のものであればよく、浴槽の幅に合わせてビスなどで幅調整を行うものあるいはラチェトによる幅調整機能を備えたものでよく、幅を合わせた後はネジで螺進する締め付け機構を備えたものであればよい。手すり部は、使用者が握る把手部の高さを調整できるものであればよく、本体に支柱を接続して支柱に間欠的に設けられた孔を介して固定ネジを用いて本体に固定できるものであればよい。支柱は1本のものでもよく把手部はリング状のものでなくてもよい。下部支持部材は、脚支柱と突っ張りポールで構成され、脚支柱が突っ張りポールの任意の位置に取り付け固定できる。実施例では脚支柱がスライド支柱と固定台で構成されているが実施例に限定されるものではない。スライド支柱が1本のものであってもよく、スライド支柱と固定台が一体のものでもよく、スライド支柱が固定台なしに突っ張りポールに直接一体的に取り付けられたものであってもよい。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、固定台が突っ張りポールの外筒上を摺動して左右にスライドさせることができ、止めネジで固定することができるから、浴槽の右側から中央付近まで、また、突っ張りポールを反転して固定台に取り付ければ浴槽の左側から中央付近まで、使用者が任意の使用位置に浴槽用手すりを取り付けることができる。スライド支柱は予め固定台に固定し、その後突っ張りポールに取り付けてもよいが、固定台を先に突っ張りポールに固定した後スライド支柱を固定台に取り付けてもよい。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、従来のものは脚支柱をそれぞれ1本ずつ長さ調整を行いネジ止めしなければならなく不便であったが、脚支柱すなわちスライド支柱がU字形状であるから、本体部に備えた水平ロックピン機構により脚支柱の長さ調整を左右同時に行える。
すなわち、下部支持部材が浴室の床面に当接するまでの脚の長さ調整を容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明によれば、突っ張りポールの外筒と内筒が伸縮自在であるから、浴室の横幅に自由に合わせることができる。広い浴室には内筒の長さを変えることで対応することができる。アジャスターは両側に設けることが望ましいが片側だけであってもよい。
【0016】
本発明は、実施例に限定されるものではなく、手すり部の形状はリング状のものでなくてもよく、支柱は1本だけでもよい。また、幅調整機構は既存のL字形プレートを重ねてネジ止めするようなものであってもよく、締め付け機構は既存のハンドルを回して押圧板をネジで螺進させるようなものでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、高齢者の方、足腰の弱くなった方、身障者などが入浴する場合、浴槽の出入りに際して手すり部に体重をかけて浴槽をまたぐ動作を行うにあたり、不意によろけたりして浴槽手すりに大きな力が作用しても傾いたり、倒れる恐れがない安心して使用できる浴槽用手すりを提供するものである。
【0018】
従って、本発明の浴槽用手すりは、以下のような効果を奏する。
浴槽の上部と浴室の左側側壁と浴室の右側側壁の三か所(三点支持)で支持固定しているから浴槽用手すりが傾き・倒れる恐れはない。
また、差し込む(押し込む)だけ浴槽の肉厚に合わせて幅調整することができ、ハンドルを回すだけで浴槽の上部を支持・固定できるから操作が簡単で容易に取り付けることができる。
また、手すり部の高さ調整ができるので、使用者の体格に合わせて手すり部の高さを設定することができる。
また、脚支柱すなわち下部支持部材の長さ調整ができるので、高さの異なる浴槽にも対応することができ、既設の浴槽に後付けすることができる。
また、固定台と突っ張りポールが取り付け取り外しでき、かつ、スライドできるので、浴槽の右側、左側、中央など任意の位置に取り付けることができる。
仮に、締め付けネジが緩んだとしても本体部が浴槽からはずれて倒れる恐れもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る浴槽用手すりの斜視図である。図2は背面側からの斜視図、図3は上下に分割した状態の展開図、図4はスライド体を離した状態の斜視図、図5は浴槽用手すりの縦断面図、図6は浴槽用手すりの展開図、図7は浴槽手摺りの本体L字状片とスライド片の斜視図、図8は水平ロックピン機構の概略図、図9はロックピンのロック状態を示す概略図、図10は手すり部支柱の断面図と斜視図、図11は浴槽の平面図である。
【0020】
図1から5に示すように、本発明に係る浴槽用手すりは、浴槽の上縁部に跨設される本体部1と、本体部1から上方へ突出する手すり部2と、本体部1から下方へ延出する下部支持部材3とで構成されている。
【0021】
本体部1は、側面視がL字形状の本体11と、本体11に嵌合してスライドする側面視がL字形状のスライド体12と、スライド体12に取り付けられる浴槽内手すり13などで構成され、組み付けるとコの字形状をなし、浴槽の上縁部に跨設される。
【0022】
手すり部2は、リング状の把手部21とそれから垂下されている手すり部支柱22などで構成され、手すり部支柱22が本体部1に装着されて把手部21が上下にスライドして把手部21の高さを調整することができる。
【0023】
下部支持部材3は、U字形状をしたスライド支柱31と、その下部に設けられるスライド脚固定台32とスライド脚固定台32に取り付けられる突っ張りポール33などで構成され、スライド脚固定台32が突っ張りポール33上をスライドして左右に動かせることができるから、浴槽手すりを浴槽の左右方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0024】
図6に示すように、本体11は、フレームカバー110、スライドロックピン110a、スプリング110b、スライド脚解除レバー110c、本体L字状片111、上部カバー112、蓋体112a、ロックピン112b、バネ112c、押圧受け板113、ゴムシート113aなどで構成され、スライド体12は、断面がL字形状のスライド片120とネジスリーブ121とネジ棒122とノブ123と押圧板124とゴムシート124aなどで構成されている。
【0025】
本体11には、フレームカバー110に本体L字状片111、スライドロックピン110a、スプリング110b、スライド脚解除レバー110cが組みつけられ、本体L字状片111には上部カバー112、蓋体112a、ロックピン112b、バネ112c、押圧受け板113、ゴムシート113aなどが組みつけられる
【0026】
フレームカバー110は、外側面の両側に支柱受け部110dが形成され、左右の支柱受け部110dの間にスライドロックピン110a、スプリング110b、スライド脚解除レバー110cなどからなる水平ロックピン機構が構成されている。また、フレームカバー110の内側面には、本体L字状片111が組みつけられ止めネジで固定される。支柱受け部110dには後述する手すり部2の手すり部支柱22が挿入される。
【0027】
スライドロックピン110aは、手すり部支柱22が支柱受け部110dに挿入される前、スライド脚支柱31が手すり部支柱22に挿入される前、フレームカバー110に形成されている支柱受け部110dに設けられた凹部110e(穴でもよい)と係合している。
そして、手すり部支柱22が支柱受け部110dに挿入された後、スライド脚支柱31が手すり部支柱22に挿入された後、図8に示すように、スライドロックピン110aは、手すり部支柱22に設けられている係止孔222、およびスライド脚支柱31に間欠的に設けられた係合孔311を貫通して、フレームカバー110に形成されている支柱受け部110dに設けられた凹部110e(穴でもよい)と係合している。
【0028】
スライドロックピン110aは、横方向外方へ向かってスプリング110bで常に付勢されているから、スライド脚解除レバー110cを摘まんで中央に引き寄せるとスプリング110bで付勢されているスライドロックピン110aが凹部110e、係合孔311、係止孔222から離脱してロックが解除される。
そして、スライド脚解除レバー110cを摘まんだ状態でスライド脚支柱31を上下にスライドすれば下部支持部材3の長さ調整ができるようになっている。
【0029】
本体L字状片111は、断面視がL字形状をしており、本体L字状片111の縦片111aにネジ穴111bが設けられており、フレームカバー110の内面に止めネジ(図示しない)で組み付け固定される。
また、本体L字状片111の縦片111aの内面側には、押圧受け板113がネジ等(図示しない)で組みつけられ固定されている。押圧受け板113にゴムシート113aが貼着されている。
【0030】
本体L字状片111の横片111cにはロックピン112bが挿通する貫通孔111dが設けられ、横片111cの裏面には、後述するスライド体のスライド片120が挿入される嵌合部111eが設けられ、嵌合溝111f(アリ溝)を有している。嵌合部111eは図7に示すように下方が開放されたものでもよいが下方が閉塞された扁平な筒状のものであってもよい。(図7参照)
【0031】
本体L字状片111の横片111cには、上部カバー112が被せられ組みつけられている。上部カバー112の上面には蓋体112aが一端を回転軸として回動自在に開閉できるように取り付けられ、図9に示すように、蓋体112aの裏面にはバネ112cで付勢されたロックピン112bが設けられている。ロックピン112bは貫通孔111dを貫通して後述するスライド片120に形成されている係合孔120bと係合する。ロックピン112bの先端は傾斜面をなしている。
【0032】
スライド体12は、断面がL字形状のスライド片120とネジスリーブ121とネジ棒122とノブ123と押圧板124とゴムシート124aで構成され、スライド片120の縦片120aにネジスリーブ121が挿入される孔120bが設けられ、孔120bにネジスリーブ121が挿入されて組み付けられている。ネジスリーブ121にはネジ棒122が螺合されている。ネジ棒122の一端側に浴槽の内側面(内壁面)を押圧する押圧板124が組みつけられ、他端側にはノブ123が組みつけられている。ノブ123を右に回すと押圧板124が前進して浴槽の内側面(内壁面)を押圧する。ノブ123を左に回すと押圧板124が後退して押圧を解除する。押圧板124は押圧板基板124a、押圧板124b、ゴムシート124cで形成されている。
【0033】
スライド片120の横片120cには、係合孔120dが間欠的に複数設けられ、前述したロックピン112bが係合する。また、スライド片120の横片120cの上面には本体L字状片111の横片111bの裏面に設けられた嵌合部111eの嵌合溝111f(アリ溝)と嵌合する突状120eが形成されている。
【0034】
スライド体12を本体11の嵌合部111eに挿入して押し込むと、スライド片120の先端がロックピン112bの傾斜面に当接し、スライド片120の先端が前進するとロックピン112bがバネ112cの付勢に逆らってロックピン112bが上方に押し上げられスライド体12が前進する。スライド片120の横片120bに設けられた係合孔120cの位置にロックピン112bがくるとロックピン112bはバネ112cの付勢により係合孔120cに挿入されて係合する。更に前進すると係合孔120cの端面がロックピン112bの傾斜面に当接しロックピン112bがバネ112cの付勢に逆らって上方に押し上げられスライド体12が前進する。次の係合孔120cの位置にロックピン112bがくるとロックピン112bはバネ112cの付勢により次の係合孔120cに挿入されて係合する。(図9参照)これを繰り返して、押圧板123が浴槽の壁面に当接するまで前進させるとロックピン112bがその位置に近い係合孔120cと係合してロックされる。また、蓋体112aを開けるとロックピン112bが係合孔120cから離脱してロックが解除され、スライド体12を後退させることができる。(図4参照)
従って、スライド体12を押し込むだけで浴槽の厚み(肉厚)に押圧受け板113と押圧板124との幅を合わせることができるから、簡単な操作で幅調整をすることができる。
【0035】
浴槽内手すり13は、スライド片120の縦片120aに孔120fを介してネジ130で組み付け固定される。浴槽内手すり13は、不要な場合は取り外して使用してもよい。
【0036】
手すり部2は、把手部21と手すり部支柱22とからなり、手すり部支柱22の一端にリング形状の把手部21が形成され、手すり部支柱22には把手部21の高さを調整するための係合孔221が間欠的に設けられ、スライドロックピン110aが挿入される係止孔222が複数設けられている。手すり部支柱22は、本体11のフレームカバー110の側面に形成されている支柱受け部110aに挿入し、使用者の高さに合わせてネジ23でフレームカバー110に組み付け固定する。
【0037】
手すり部支柱22の形状は、丸パイプ状、角パイプ状のものでもよいが、望ましくは、長円形でその一部からフランジ部が形成された断面形状がP字形状の支柱が望ましい。(図10参照)そして、フランジ部に把手部21の高さ調整を行うための係合孔を間欠的に形成し、長円形の筒状部にスライドロックピン110aと係合する係止孔222を設けることが望ましい。この場合、本体11の支柱受け部110dの断面形状は手すり部支柱22の断面形状に対応してP字形状とすることが望ましい。
【0038】
下部支持部材3は、U字形状をしたスライド脚支柱31と、スライド脚支柱31の下部に取り付けられるスライド脚固定台32と、スライド脚固定台32に取り付けられる突っ張りポール33とで構成され、本体部1と手すり部2とに組み付けられ、浴室の床面に当接される。
【0039】
スライド脚支柱31は、U字形状をしており、両支柱部には間欠的に係合孔311が設けられ、U字形状の底部がスライド脚固定台に取り付けられネジで固定される。また、スライド脚支柱31の支柱部分は、本体部1の支柱受け部110aに挿入されている手すり部2の手すり部支柱22の内側に挿入され、スライドロックピン110aが係合孔311に挿入されて係合する。そして、スライド脚解除レバー110dを摘まんで中央に引き寄せるとバネで付勢されているスライドロックピン110aがスライドして係合孔311から離脱しロックが解除され、上下に長さ調整ができるようになっている。
【0040】
スライド脚固定台32は、上部にスライド脚支柱31の底部を取り付ける受け座320が形成されており、下部に突っ張りポール33の外筒330が挿通される挿入受け部321を形成している。また、挿入受け部321の下方にボス312が形成されている。ボス312は内部に雌ネジが形成されており、止めネジ34が螺合される。
スライド脚固定台32は、突っ張りポール33の外筒330と相互に摺動して左右にスライドすることができる。従って、使用者が浴槽の右側、中央、左側など任意の位置を選定してボス312に止めネジ34を螺合させて固定することができる。
【0041】
突っ張りポール33は、少なくとも外筒330と内筒331と継ぎ手332とアジャスター333で構成され、外筒330の内側に内筒331挿入され伸縮自在になっている。
外筒330の一端にアジャスター333が螺合して組みつけられ、内筒331の他端にもアジャスター333が螺合して組みつけられている。
そこで、浴槽手すりの取り付け位置を定め任意の位置にスライド脚固定台を位置づけ、ボスの雌ネジに止めネジをねじこんでスライド脚固定台32を外筒330に固定する。
次に、内筒331をスライドして浴室の側面(側壁)にアジャスター333を当接する。
そして、継ぎ手332で内筒331を外筒330に固定し、アジャスター333を回動させて螺進させ浴室の側面(側壁)を押圧して固定する。そして、浴室の床面との微調整に脚アジャスター334が使用される
【0042】
次に、浴槽への取り付け方について一例を持って説明する。まず、押圧受け板113と押圧板124との幅を広げた状態で本体部1を浴槽の上縁部に跨設し、スライド体12を本体11に押し込んで浴槽の側壁の肉厚に合わせる。押圧受け板113は浴槽の外側面(外壁面)に押圧板124は浴槽の内側面(内壁面)に当接する。そして、ノブ123を回動させて押圧板124を前進させ浴槽の内側面(内壁面)を押圧する。次に、手すり部支柱22を支柱受け部110dに挿入して使用者の高さに合わせてネジ23でフレームカバー110に組み付け固定する。また、予め下部支持部材を仮に組み付け、スライド脚支柱31を手すり部支柱22にスライド脚解除レバー110dを摘まんでロックを解除した状態で挿入し、スライド脚支柱31の長さ調整をして浴室の床面に設置し、スライド脚固定台32を横方向にスライドして使用者の希望する位置でそれぞれの固定をしっかりと行う。
【0043】
以上、実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
上述のように、本発明は、高齢者、身体障害者、片マヒの方、足の弱い方など幅広く使用していただける介護用浴槽手すりを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりの斜視図
【図2】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりの背面側からの斜視図
【図3】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりを上下に分割した状態の展開図
【図4】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりのスライド体を離した状態の斜視図
【図5】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりの縦断面図
【図6】 本発明の実施形態にかかる浴槽用手すりの展開図
【図7】 本発明の実施形態にかかる本体L字状片とスライド片の斜視図
【図8】 本発明の実施形態にかかる水平ロックピン機構の概略図
【図9】 本発明の実施形態にかかるロックピンのロック状態を示す概略図
【図10】 本発明の実施形態にかかる手すり部支柱の断面図と斜視図
【図11】 浴槽の平面図
【符号の説明】
【0045】
1 本体部
11 本体
110 本体カバー
110a スライドロックピン
110b スプリング
110c スライド脚解除レバー
111 本体L字状片
112 上部カバー
112a 蓋体
112b ロックピン
112c バネ
113 押圧受け板
12 スライド体
120 スライド片
121 ネジスリーブ121
122 ネジ棒
123 ノブ
124 押圧板
13 浴槽内手すり
2 手すり部
21 把手部
211 係合孔
22 手すり部支柱
221 係合孔
222 係止孔
3 下部支持部材
31 スライド脚支柱
32 スライド脚固定台
33 突っ張りポール
330 外筒
331 内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の上縁部に跨設され、浴槽の上部側壁を挟着する本体部と、本体部から上方に突出して形成される手すり部と、本体部から下方に向かって延出している下部支持部材とを備えた浴槽用手すりであって、本体部は、少なくとも浴槽の側壁を押圧して締め付け、浴槽の上縁部を挟持して支持・固定する締め付け機構を備え、手すり部は、本体部に取り付けられる手すり部支柱と、該支柱に形成された把手部とを備え、下部支持部材は、本体部に取り付けられる脚支柱と、脚支柱に取り付けられ、浴室の側面を押圧して支持・固定する伸縮自在な突っ張りポールを備え、浴槽の上縁部と浴室の左右側面の三か所で支持・固定することを特徴とする浴槽用手すり。
【請求項2】
前記下部支持部材は、少なくとも長さ調整可能なスライド支柱と、スライド支柱の下部に設けられる固定台と、固定台に取り付けられる突っ張りポールで構成され、固定台に突っ張りポールの外筒を挿入する挿入受け部を設け、挿入受け部に外筒が挿入されて固定台と外筒が相互に摺動し、浴槽の任意の位置に浴槽手すりを取り付けられることを特徴とする請求項1記載の浴槽手すり。
【請求項3】
前記スライド支柱はU字形状をしており、手すり部支柱と嵌合して、本体部に備えた水平ロックピン機構で脚支柱の長さ調整を行うことを特徴とする請求項1または2記載の浴槽用手すり。
【請求項4】
前記突っ張りポールは、外筒に内筒が伸縮自在に挿入され、外筒の一端側と内筒の多端側に浴室の側面を押圧するアジャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3記載の浴槽用手すり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−52208(P2013−52208A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206591(P2011−206591)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(592231398)株式会社ウエルファン (5)
【出願人】(508121245)
【Fターム(参考)】