説明

浴槽用混合装置

【課題】 浴槽内で混合液から発生する泡の量を最小とすることが可能な浴槽用混合装置を提供すること。
【解決手段】 その内部に混合液を供給するための供給管220を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧よりも高い第1の圧力に維持された第1混合槽10と、その内部に混合液を供給するための供給管220を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧以上で、かつ、第1の圧力よりも低い第2の圧力に維持された第2混合槽20と、浴槽3内の混合液を、第1混合槽10、第2混合槽20の順に循環させて、再度浴槽3に戻す混合液循環機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽に対し液体に気体を混合した混合液を供給するための浴槽用混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガスなどの気体が溶解された液体に手足を浸漬させて温浴効果を得るための浴槽において、浴槽に供給するための液体に気体を混合する装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、浴槽と、浴槽に噴流を噴出するジェットノズルと、ジェットノズルに空気流入管を介して接続されるエアインテークとを備える。特許文献1に記載の装置によれば、液体に気体を十分混合した混合液を浴槽に供給ことができ、温浴効果を高めることが可能となる。
【特許文献1】特開2001−145676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような浴槽用混合装置において、液体中に気体を多量に混合した場合には、浴槽内において、そこに送液された混合液から泡が発生するという問題が生ずる。このように浴槽内で泡が発生した場合には、浴槽内の混合液の透明感が低下し、また、入浴感が悪いという問題が生ずる。
【0005】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、浴槽内で混合液から発生する泡の量を最小とすることが可能な浴槽用混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、浴槽に対し液体に気体を混合した混合液を供給するための浴槽用混合装置であって、その内部に混合液を供給するための供給管を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧よりも高い第1の圧力に維持された第1混合槽と、その内部に混合液を供給するための供給管を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧以上で、かつ、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に維持された第2混合槽と、前記浴槽内の混合液を、前記第1混合槽、前記第2混合槽の順に循環させて、再度前記浴槽に戻す混合液循環機構と、前記浴槽、前記第1混合槽、前記第2混合槽を含む混合液の循環路中のいずれかに液体を供給する液体供給部と、前記浴槽、前記第1混合槽、前記第2混合槽を含む混合液の循環路中のいずれかに気体を供給する液体供給部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1、第2混合槽と前記気体供給部とを、弁を介して接続する気体供給路と、前記第1、第2混合槽内の圧力を測定するセンサと、前記センサによる圧力の検出値に基づいて前記弁を開閉制御する制御部とさらにを備えている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第1混合槽と前記第2混合槽との間、および、前記第2混合槽と前記浴槽との間に、各々、絞り弁を配設している。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第2混合槽と前記浴槽との間に、混合液を一時的に貯留する貯留槽を設けている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記供給管には、前記第1、第2混合槽に貯留された混合液の液面より上方の空間に混合液を噴出するための多数の孔部が穿設されている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記第1、第2混合槽中に貯留される混合槽の液面の高さを検出するセンサを備えている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発明において、前記浴槽に混合液を供給する管路における浴槽への供給口の近傍に絞り弁を備えている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の発明において、前記制御部は、前記センサによる圧力の検出値が所定の値より下がった後に、一定時間前記気体供給部からの気体の供給量を増加させる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記制御部は、前記センサによる圧力の検出値が所定の値より下がった後に、一定時間前記気体供給部からの気体の供給を停止させ、しかる後に、一定時間前記気体供給部からの気体供給を停止前の気体供給量よりも増加させる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記制御部は、一定時間、気体供給の停止と供給の動作を所定の圧力になるまで繰り返す。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、浴槽内で混合液から発生する泡の量を最小とすることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、第1、第2混合槽内の圧力を適正に維持することが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、第1、第2混合槽内の圧力を、容易に上昇させることが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、浴槽内で混合液から発生する泡の量をさらに減らすことが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、液体中に気体を容易に混合することが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、第1、第2混合槽中の混合液の液位を適切に維持することが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、浴槽へ混合液を供給するときに混合液から発生する泡を細かくすることが可能となる。
【0023】
請求項8乃至請求項10に記載の発明によれば、混合槽内の圧力の低下による気体の溶解度の低下を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0025】
最初に、この発明に係る浴槽用混合装置を適用する浴槽3の一つの実施形態について説明する。図1は、この発明に係る浴槽用混合装置を適用する浴槽3を示す斜視図である。
【0026】
この浴槽3は、腕用浴槽301と脚用浴槽302からなり、両浴槽は柱303により上下方向に接続される。利用者は、浴槽3の前方に設置された長椅子310に座り、腕足を腕用浴槽301および脚用浴302槽に浸漬させることにより、局所的に体内の血行を促進させることが可能となる。
【0027】
なお、この発明を、このような身体の一部を浸漬するための浴槽3のみならず、身体の全部を浸漬させるための一般的な浴槽に適用してもよい。
【0028】
この発明に係る浴槽用混合装置の構成について説明する。図2は、この発明に係る浴槽用混合装置の概要図である。
【0029】
この浴槽用混合装置は、上述した浴槽3に対し、温水に二酸化炭素を混合した混合液を供給するためのものであり、各々その底部に混合液を貯留する第1混合槽10、第2混合槽20および貯留槽30を備える。
【0030】
第1混合槽10は、その内部に、第1混合槽10に貯留された混合液の液面より上方の空間に混合液を噴出するための、後述する多数の孔部221が穿設された一対の供給管220を備える。一方の供給管220は、第1混合槽10に混合液を供給するための管路53と接続されている。他方の供給管220は、循環ポンプ12の作用により第1混合槽10に貯留された混合液の中層から混合液を吸引して供給する管路11と接続されている。
【0031】
図3は、供給管220を側面から示す部分断面図である。
【0032】
供給管220の上側約半分の領域には、多数の孔部221が穿設されている。この供給管220を管路53や管路11と接続することにより、混合液が多数の孔部221を通過して第1混合槽10に供給される。このため、混合液が第1混合槽10に貯留された混合液中にシャワー状に放出され、二酸化炭素の溶解効率を高めることが可能となる。これは、後述する第2混合槽20についても同様である。
【0033】
再度、図2を参照して、この第1混合槽10には、そこに貯留された混合液の液面の高さを検出するための一対の液位センサ16が配設されている。また、この第1混合槽10には、第1混合槽10の内部の圧力を測定する圧力センサ13が配設されている。また、この第1混合槽10は、開閉弁14を介して外気と接続されている。さらに、この第1混合槽10は、開閉弁15を介して、二酸化炭素の供給部である気体供給部41と接続されている。
【0034】
この第1混合槽10においては、その内部の圧力が約3気圧に設定されている。この第1混合槽10内の圧力は圧力センサ13により常に監視され、この圧力センサ13による圧力の検出値に基づいて、開閉弁15が開閉制御される。この開閉制御は、後述する制御部60の制御により実行される。
【0035】
第2混合槽20は、その内部に、第2混合槽20に貯留された混合液の液面より上方の空間に混合液を噴出するための、後述する多数の孔部221が穿設された一対の供給管220を備える。一方の供給管220は、第1混合槽10からの混合液を第2混合槽20に供給するための、その途中に絞り弁58が配設された管路54と接続されている。他方の供給管220は、循環ポンプ22の作用により第2混合槽20に貯留された混合液の中層から混合液を吸引して供給する管路21と接続されている。
【0036】
この第2混合槽20には、そこに貯留された混合液の液面の高さを検出するための一対の液位センサ26が配設されている。また、この第2混合槽20には、第2混合槽20の内部の圧力を測定する圧力センサ23が配設されている。また、この第2混合槽20は、開閉弁24を介して外気と接続されている。さらに、この第2混合槽20は、開閉弁25を介して、気体供給部41と接続されている。
【0037】
この第2混合槽20においては、その内部の圧力が、第1混合槽10より低い約1.5気圧に設定されている。この第2混合槽20内の圧力は圧力センサ23により常に監視され、この圧力センサ23による圧力の検出値に基づいて、開閉弁25が開閉制御される。この開閉制御も、後述する制御部60の制御により実行される。
【0038】
貯留槽30は、第2混合槽20からの混合液を貯留槽30に供給するための、その途中に絞り弁59が配設された管路55と接続されている。この管路55は、貯留槽30に貯留された混合液の中層付近に混合液を吐出する構成となっている。また、この貯留槽30は、管路56を介して浴槽3と接続されている。また、この貯留槽30には、そこに貯留された混合液の液面の高さを検出するための一対の液位センサ36が配設されている。さらに、この貯留槽30は、開閉弁34を介して外気と接続されている。
【0039】
浴槽3は、管路52を介して循環ポンプ57と接続されており、この循環ポンプ57は、上述した管路53を介して第1混合槽10の供給管220と接続されている。また、管路53中には、気体供給部41から供給された二酸化炭素を、管路53を通過する混合液中に混入させるための混入機構42が配設されている。また、浴槽3は、この浴槽3に温水を供給するための液体供給部51と接続されている。
【0040】
図4は、この発明に係る浴槽用混合装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【0041】
この浴槽用混合装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM61と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM62と、論理演算を実行するCPU63とから成る制御部60を備える。この制御部60は、インターフェース64を介して、上述した各循環ポンプ12、22、57の駆動を制御するためのポンプ駆動部65と接続されている。また、この制御部60は、インターフェース64を介して、上述した各弁14、15、24、25、34を開閉制御するための弁駆動部66と接続されている。さらに、この制御部60は、インターフェース64を介して、上述した圧力センサ13、23および液位センサ16、26、36と連結するセンサ連結部67と接続されている。この浴槽用混合装置は、この制御部60により制御され、各種の動作を実行する。
【0042】
以上のような構成を有する浴槽用混合装置においては、液体供給部51から浴槽に供給された温水は、循環ポンプ57の作用により第1混合槽10に圧送される。このとき、第1混合槽10に流入する直前の温水にに対し、混入機構42の作用により二酸化炭素が混入される。温水と二酸化炭素とを混合した混合液は、一方の供給管220における多数の孔部221から、第1混合槽10に貯留された混合液の液面より上方の空間に噴出される。
【0043】
第1混合槽10に貯留された混合液の液面より上方の空間には、気体供給部41より供給された二酸化炭素が充満している。供給管220における多数の孔部221から噴出された混合液が、この二酸化炭素と接触することにより、混合液中の二酸化炭素の濃度が上昇する。また、第1混合槽10に貯留された混合液は、循環ポンプ12の作用により、他方の供給管220における多数の孔部221から、第1混合槽10に貯留された混合液の液面より上方の空間に再度噴出される。これにより、混合液中の二酸化炭素の濃度がさらに上昇する。
【0044】
第1混合槽10と第2混合槽20との間の管路54には、絞り弁58が配設されている。気体供給部41から開閉弁15を介して供給される二酸化炭素の作用と、この絞り弁58の作用により、第1混合槽10内の圧力が3気圧に維持される。このため、第1混合槽10においては、より多くの二酸化炭素が混合液中に取り込まれることになる。
【0045】
絞り弁58を介して第2混合槽20に圧送された混合液は、一方の供給管220における多数の孔部221から、第2混合槽20に貯留された混合液の液面より上方の空間に噴出される。
【0046】
第2混合槽20に貯留された混合液の液面より上方の空間にも、気体供給部41より供給された二酸化炭素が充満している。供給管220における多数の孔部221から噴出された混合液が、この二酸化炭素と接触することにより、混合液中の二酸化炭素の濃度が上昇する。また、第2混合槽20に貯留された混合液は、循環ポンプ22の作用により、他方の供給管220における多数の孔部221から、第2混合槽20に貯留された混合液の液面より上方の空間に再度噴出される。これにより、混合液中の二酸化炭素の濃度がさらに上昇する。
【0047】
第2混合槽20と貯留槽30との間の管路55には、絞り弁59が配設されている。気体供給部41から開閉弁25を介して供給される二酸化炭素の作用と、この絞り弁59の作用により、第2混合槽10内の圧力が1.5気圧に維持される。このように、第2混合槽20内の圧力を第1混合槽10内の圧力より低くすることにより、混合液中の一部の二酸化炭素が泡となって放出される。このため、貯留槽30に送液される混合液中からの泡の発生を軽減することができる。
【0048】
絞り弁59を介して貯留槽30に圧送された混合液は、貯留槽30内に一旦貯留される。この貯留槽30内の圧力は大気圧となっており、この貯留槽30内においても、混合液中の一部の二酸化炭素が泡となって放出される。このため、浴槽3に送液される混合液中からの泡の発生を軽減することができる。貯留槽30の上部にたまった二酸化炭素は、必要に応じ、開閉弁34を介して大気中に放出される。なお、この二酸化炭素を気体供給部41に回収するようにしてもよい。また、この二酸化炭素を、管路52または管路53中を通過する混合液中に混入させるようにしてもよい。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、第1混合槽10内の圧力を3気圧とし、第2混合槽20内の圧力を1.5気圧としているが、第2混合槽20内の圧力は、大気圧以上で、かつ、第1混合槽10内の圧力より低い圧力であればよい。従って、第2混合槽20内の圧力を大気圧としてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態においては、液体供給部51から浴槽3に温水を供給しているが、この温水は、第1混合槽10、第2混合槽20、貯留槽30および浴槽3を含む混合液の循環路中のいずれかに供給されればよい。
【0051】
同様に、上述した実施形態においては、気体供給部41から供給された二酸化炭素を、管路53中に設けた混入機構42を介して混合液中に供給しているが、この二酸化炭素は、第1混合槽10、第2混合槽20、貯留槽30および浴槽3を含む混合液の循環路中のいずれかに供給されればよい。
【0052】
また、上述した実施形態においては、第1混合槽10および第2混合槽20に貯留された混合液の液面より上方の空間に混合液を噴出するための、後述する多数の孔部221が穿設された供給管220を利用して、二酸化炭素を混合液中に溶解している。しかしながら、第1混合槽10および第2混合槽20に貯留された混合液中にさらに混合液を噴出し、あるいは、第1混合槽10および第2混合槽20に貯留された混合液に対流を生じさせることにより、混合液への二酸化炭素の溶解度を高めるようにしてもよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態においては、第1、第2混合槽10、20の他に貯留槽30を使用しているが、この貯留槽30を省略し、第2混合槽から浴槽3に直接混合液を供給するようにしてもよい。
【0054】
次に、この発明に係る浴槽用混合装置の他の実施形態について説明する。
【0055】
図5は、この発明の他の実施形態に係る浴槽用混合装置の概要図である。図5に示すように、この実施形態に係る浴槽用混合装置は、管路54から分岐し、第1混合槽10から浴槽3に混合液を供給するための管路71と、管路55から分岐し、第2混合槽20から浴槽3に混合液を供給する管路72と、管路71、管路72および管路56における浴槽3への給水口近傍に絞り弁81、82、83と、循環ポンプ57から第1混合槽10に接続する管路53に液体供給部91とをさらに備える。なお、図5において、先述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0056】
この実施形態においては、第1混合槽10から浴槽3へ、第2混合槽20から浴槽3へ混合液を供給可能な管路71、72を備えることから、使用の状況等に合わせて混合液の供給流路を選択できる。すなわち、一旦は二酸化炭素の溶解度が飽和に達した混合液を浴槽3から再度混合槽へ循環させる場合には、多段に混合槽を経由させなくても、単槽の混合槽においても混合液に浴槽3において乖離した二酸化炭素を補うことが可能であり、第1混合槽10や第2混合槽20から混合液を直接浴槽3に供給することにより、混合液の循環速度を速くすることもできる。また、この場合には、液体供給部41から各混合槽に供給する二酸化炭素も過剰量供給する必要がないため、第1混合槽10内の気圧を1.5気圧程度に、第2混合槽20内の気圧を大気圧にしてもよく、浴槽3に混合液が供給されるときの圧力差による泡の発生も少ないものとすることができる。
【0057】
管路71、管路72および管路56における混合液の浴槽3への供給口近傍には、絞り弁81、82、83を設けたことにより、各混合槽から浴槽3へ混合液を供給するときに圧力差により生じる泡を、絞り弁81、82、83による加圧によりより細かい泡とすることができる。このため、使用者が浴槽3を使用している状態において、大きな泡が肌に触れることによる不快感を低減でき、また、細かい泡であると気泡が消えやすくなる。
【0058】
液体供給部91は、浴槽3から第1混合槽10への循環混合液の液量が少ない場合に、不足する液体を適宜流路53に供給することが可能である。すなわち、使用者が浴槽3を使用している状態において、液体供給部51から直接浴槽3に液体を供給すると、浴槽3内の二酸化炭素濃度が低下し、温浴効果も低下することになるため、浴槽3より後方であり、第1混合槽の前方である流路53に液体供給部91を接続している。このような構成により、使用者が浴槽3を使用している状態においても、浴槽3内の二酸化炭素濃度を低下させることなく、不足分の液体を補充することが可能となる。
【0059】
なお、液体供給部91は水道から供給弁等を介して管路53に水を供給する構成としてもよい。また、この実施形態において水または温水等は、液体供給部91のみから供給する構成としてもよい。
【0060】
再度図2、図4および図5を参照して、混合槽内の圧力の検出値に基づく気体供給量の調整動作についてさらに説明する。
【0061】
図4に示すように、センサ連結部67と弁駆動部66はインターフェース64を介して制御部60に接続されている。そして、センサ連結部67は、圧力センサ13、23に接続しており、弁駆動部66は、気体供給部41からの気体の供給量を調整する弁15,25にそれぞれ接続している。
【0062】
このような制御系統を備える浴槽用混合装置において、圧力センサ13または圧力センサ23の圧力の検出値がROM61に予め記憶させておいた所定の値、例えば、第1混合槽10内は3気圧、第2混合槽20内は1.5気圧等の値を下回ったときには、弁15または弁25の開閉動作により、気体供給量を増加させる。このとき、一定時間だけ気体の気体の供給を停止させた後に、予め設定された一定の時間だけ、気体供給を停止する前よりも気体供給量を増加させて第1混合槽10や第2混合槽20等に気体を供給する。さらに、圧力が所定の値に安定するまで、一定時間だけ気体供給の停止させる動作と、一定時間だけ気体供給量を停止前より増加させる供給する動作とを繰り返すようにしてもよい。このような制御を行う構成を備えることで、混合槽内の圧力を一定以上に保つことが可能となる。このため、高濃度の気体を溶解させた混合液を安定的に供給することが可能となる。
【0063】
上述した圧力センサの圧力の検出値に基づいた気体供給量の調整は、図2および図5に示すような、すでに気体が混合された混合液を貯留している浴槽3から、浴槽3と第1混合槽10との間の管路に設置する循環ポンプ57の動力により混合液を再循環させる浴槽用混合装置において、特に有効である。すなわち、浴槽3から循環ポンプ57に送られる混合液は、循環ポンプ57に流入すると、ポンプの動作によりポンプ内で攪拌されることになり、このとき大量の泡が発生することとなる。この泡は気体と液体が入り混じった混合液の流れの中でキャビティとなりキャビテーションが起きる。そして、ポンプの性能が低下し、ポンプの寿命も縮めてしまうことになりかねない。このような状態で浴槽用混合装置を稼動し続けると、特に第1混合槽10内の圧力が徐々に低下し、結果として気体の溶解度の低い混合液が浴槽3に供給されることとなるが、圧力センサの圧力の検出値に基づいて気体供給量の調整を行えば、このような現象を防止できる。
【0064】
また、気体供給量の調整においては、例えば、炭酸ガス濃度センサ等の検出値に基づいて調整することも考えられる。しかしながら、炭酸ガス濃度センサは高価であり、浴槽用混合装置の製作コストの上昇の原因ともなる。このため、この発明に係る浴槽用混合装置では、装置の構成を容易かつ簡易なものとするため、圧力センサの圧力の検出値に基づいた気体供給量の調整を行う構成を採用している。
【0065】
さらに、図2および図5に示す、浴槽3への混合液の供給管路56、71、72などに流量センサー等を設けて、圧力センサの圧力の検出値に基づいた気体供給量の調整だけではなく、所定の流量を下回った場合に、循環ポンプ57の回転数を上げる、もしくは液体供給部51、91からの液体供給量を増加させるように調整してもよい。
【0066】
このように、循環ポンプの回転数を上げて、圧力の高い状態で液体供給量を増加させることにより、供給間220から噴出される混合液の粒子もしくは水の粒子等をミスト様に細かくでき、気体との溶解効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明に係る浴槽用混合装置を適用する浴槽3を示す斜視図である。
【図2】この発明に係る浴槽用混合装置の概要図である。
【図3】供給管220を側面から示す部分断面図である。
【図4】この発明に係る浴槽用混合装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の他の実施形態に係る浴槽用混合装置の概要図である。
【符号の説明】
【0068】
3 浴槽
10 第1混合槽
11 管路
12 循環ポンプ
13 圧力センサ
14 開閉弁
15 開閉弁
16 液位センサ
20 第2混合槽
21 管路
22 循環ポンプ
23 圧力センサ
24 開閉弁
25 開閉弁
26 液位センサ
30 貯留槽
34 開閉弁
36 液位センサ
41 気体供給部
42 混入機構
51 液体供給部
52 管路
53 管路
54 管路
55 管路
56 管路
57 循環ポンプ
58 絞り弁
59 絞り弁
60 制御部
71 管路
72 管路
81 絞り弁
82 絞り弁
83 絞り弁
91 液体供給部
220 供給管
221 孔部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に対し液体に気体を混合した混合液を供給するための浴槽用混合装置であって、
その内部に混合液を供給するための供給管を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧よりも高い第1の圧力に維持された第1混合槽と、
その内部に混合液を供給するための供給管を備え、その底部に混合液を貯留するとともに、その内部が大気圧以上で、かつ、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に維持された第2混合槽と、
前記浴槽内の混合液を、前記第1混合槽、前記第2混合槽の順に循環させて、再度前記浴槽に戻す混合液循環機構と、
前記浴槽、前記第1混合槽、前記第2混合槽を含む混合液の循環路中のいずれかに液体を供給する液体供給部と、
前記浴槽、前記第1混合槽、前記第2混合槽を含む混合液の循環路中のいずれかに気体を供給する液体供給部と、
を備えたことを特徴とする浴槽用混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽用混合装置において、
前記第1、第2混合槽と前記気体供給部とを、弁を介して接続する気体供給路と、
前記第1、第2混合槽内の圧力を測定するセンサと、
前記センサによる圧力の検出値に基づいて前記弁を開閉制御する制御部と、
をさらに備えた浴槽用混合装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の浴槽用混合装置において、
前記第1混合槽と前記第2混合槽との間、および、前記第2混合槽と前記浴槽との間に、各々、絞り弁を配設した浴槽用混合装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の浴槽用混合装置において、
前記第2混合槽と前記浴槽との間に、混合液を一時的に貯留する貯留槽を設けた浴槽用混合装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の浴槽用混合装置において、
前記供給管には、前記第1、第2混合槽に貯留された混合液の液面より上方の空間に混合液を噴出するための多数の孔部が穿設される浴槽用混合装置。
【請求項6】
請求項5に記載の浴槽用混合装置において、
前記第1、第2混合槽中に貯留される混合槽の液面の高さを検出するセンサを備えた浴槽用混合装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の浴槽用混合装置において、
前記浴槽に混合液を供給する管路における浴槽への供給口の近傍に絞り弁を備えた浴槽用混合装置。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の浴槽用混合装置において、
前記制御部は、前記センサによる圧力の検出値が所定の値より下がった後に、一定時間前記気体供給部からの気体の供給量を増加させる浴槽用混合装置。
【請求項9】
請求項8に記載の浴槽用混合装置において、
前記制御部は、前記センサによる圧力の検出値が所定の値より下がった後に、一定時間前記気体供給部からの気体の供給を停止させ、しかる後に、一定時間前記気体供給部からの気体供給を停止前の供給量よりも増加させる浴槽用混合装置。
【請求項10】
請求項9に記載の浴槽用混合装置において、
前記制御部は、一定時間、気体供給の停止と供給の動作を所定の圧力になるまで繰り返す浴槽用混合装置


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−72560(P2009−72560A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280177(P2007−280177)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(599047550)
【Fターム(参考)】