説明

浴槽

【課題】 ペルチェ素子の熱交換効率を向上させて、使用者が温かさや冷たさをより良好に感じられる浴槽を提供する。
【解決手段】 裏面に設けられたペルチェ素子2により浴槽1を加熱・冷却し、ペルチェ素子2の加熱作動時の吸熱側・冷却作動時の放熱側を水もしくは湯で熱交換されるように、熱交換器4に流入配管5aと流出配管5bを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子を備えた浴槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホーロー,ステンレス等の金属製の浴槽では、上縁部を枕及び肘掛けとして用いる時に、冬場では冷たく感じ、夏場では温く感じて良好に首筋等を冷やすことができないものであった。
なお、特許文献1に開示されているように、浴槽のヘッドレスト部に温度調整手段を設けたものが存在し、また、特許文献2に開示されているように、浴槽にペルチェ素子を備え、浴槽内の水を加熱/冷却することができるように構成したものが存在する。
【特許文献1】特開平6−70858号公報
【特許文献2】実開平1−133484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来では、ペルチェ素子により浴槽の部分を加熱または冷却しようとする際に、熱交換効率が悪く、好みの温度に加熱あるいは冷却することが難しいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、ペルチェ素子の熱交換効率を向上させて、使用者が温かさや冷たさをより良好に感じることのできる浴槽を提供するものであり、その請求項1は、裏面に設けられたペルチェ素子により浴槽を加熱・冷却し、前記ペルチェ素子の加熱作動時の吸熱側・冷却作動時の放熱側を水もしくは湯で熱交換されるように構成したことである。
【0005】
また、請求項2は、前記浴槽が金属製であり、前記ペルチェ素子が浴槽の上縁裏面に設けられていることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、裏面に設けられたペルチェ素子により浴槽を加熱・冷却し、ペルチェ素子の加熱作動時の吸熱側・冷却作動時の放熱側を水もしくは湯で熱交換されるように構成したことにより、水もしくは湯を用いて、良好にペルチェ素子の熱交換効率を向上させることができ、ペルチェ素子が設けられた浴槽の部分の温かさや冷たさを使用者は良好に感じられるものとなる。
【0007】
また、浴槽が金属製であり、ペルチェ素子が浴槽の上縁裏面に設けられていることにより、例えば、夏場において浴槽の上縁が良好にペルチェ素子により冷やされるため、この浴槽の上縁に首筋等を当てて気持ち良く冷やすことができるものとなる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴槽の概略縦断面構成図であり、浴槽1は、ステンレスあるいはホーロー製であり、例えばホーロー浴槽の場合は、鋳鉄の表面にガラス釉薬によるホーロー表面層が形成されたものとなっている。
この浴槽1の上縁には、外方に略水平に突出してフランジ部1aが一体形成されており、底側には排水口1bが開口されている。
この浴槽1のフランジ部1aの裏側に、ペルチェ素子2が取り付けられており、このペルチェ素子2の下面側には、熱交換器4が設けられている。
【0009】
また、熱交換器4には、流入配管5aと流出配管5bが接続されており、流出配管5bの下流端は、浴槽の排水口1bに接続された排水管6に連通接続されている。
なお、水もしくは湯を流入配管5aに通し、熱交換器4内で良好に水もしくは湯で熱交換を行わせて、流出配管5bから排水管6内に排出できるものである。
【0010】
なお、ペルチェ素子2には、電源コンセント3が接続されており、この電源コンセント3を電源に差し込んでペルチェ素子2に通電することにより、例えば夏場においては、ペルチェ素子2の上面側を冷却して、これにより浴槽1のフランジ部1aの周辺を良好に冷すことができるものである。
なお、この場合、ペルチェ素子2の下面側は、放熱側となるが、例えば、夏場において、25℃程度の温度の水を流入配管5aから熱交換器4内に流入させて、熱交換することにより、ペルチェ素子2の下面側は冷やされ、例えばペルチェ素子2の上面を10℃程度まで下げて、フランジ部1aを10℃程度に冷やすことができるものとなる。
従って、夏場において、フランジ部1aを10℃程度に冷やすことができるため、このフランジ部1aの付近に首筋や頭を載せることにより、良好に頭や首筋を冷やすことができ、気持ち良くリラックスして入浴することができるものとなる。
【0011】
なお、図1では、浴槽1内に入れられる湯の湯張り面Wよりも上方にペルチェ素子2及び熱交換器4が設けられたものである。
なお、冬場においては、スイッチ等の切り替えによりペルチェ素子2への通電を逆にして、ペルチェ素子2の上面側から放熱させることができ、この場合はフランジ部1aが良好に温められることとなる。
なお、その場合は、ペルチェ素子2の下面は吸熱側となるため、熱交換器4内には流入配管5aから湯を入れて、湯で良好に熱交換を行わせることができ、効率良くペルチェ素子2の上面を放熱させて、フランジ部1aを温めることができるものとなる。
【0012】
なお、図2の要部縦断面構成図で示すように、下方側までペルチェ素子2を延ばして設置することもでき、図2では、ペルチェ素子2及び熱交換器4は、フランジ部1aの裏側から浴槽の立上壁1cの裏側に亘り略L字状に設けられており、ペルチェ素子2を介して浴槽のフランジ部1a及び浴槽立上壁1cの部分を良好に冷却あるいは加熱することができるものとなる。
この図2のような構成では、少ない湯を張って浴槽1内で半身浴を行う際に、良好に背中や腰等を冷やしたり温めたりすることができるものとなる。
【0013】
なお、浴槽1がホーロー浴槽である場合に、フランジ部1aや立上壁1cの部分に蓄光材あるいは感温材を焼き込んで形成することができる。
例えば、ガラス粉を振りかけて焼き、表面に釉薬層を形成させる際に、感温材を振りかけて焼き込むことができるものである。また、感温シールを転写させてガラス釉薬層内に焼き込んで構成することもできる。
このように、蓄光材あるいは感温材をフランジ部1a,立上壁1cの部分に焼き込んでおけば、温度により色が変わり、フランジ部1aあるいは立上壁1cの部分が冷えているか、あるいは温まっているかを、目で良好に確認できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例の浴槽の縦断面構成図である。
【図2】ペルチェ素子及び熱交換器を更に下方側まで延ばして設置した状態の要部縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0015】
1 浴槽
1a フランジ部
1b 排水口
1c 立上壁
2 ペルチェ素子
3 電源コンセント
4 熱交換器
5a 流入配管
5b 流出配管
6 排水管
W 湯張り面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に設けられたペルチェ素子により浴槽を加熱・冷却し、前記ペルチェ素子の加熱作動時の吸熱側・冷却作動時の放熱側を水もしくは湯で熱交換されるように構成したことを特徴とする浴槽。
【請求項2】
前記浴槽が金属製であり、前記ペルチェ素子が浴槽の上縁裏面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽。

【図1】
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【図2】
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