説明

浴槽

【課題】浴槽の側壁に把手を固定する構成としても、把手及びその周辺の清掃を容易に行うことができ、また、浴槽内部をあまり狭くすることなく、把手を握り易くした浴槽を提供する。
【解決手段】平面視略方形の第1浴槽部11と、これに連なるとともに第1浴槽部11よりも幅の狭い平面視略方形の第2浴槽部12と、第1及び第2浴槽部間の傾斜側壁15とを含んで浴槽10が構成されている。傾斜側壁15は第1浴槽部11から第2浴槽部12に向かって次第に幅が狭くなるように設けられており、当該傾斜側壁15のみを支持面として、基端部が1つのみの把手20が固定されている。また、把手20が固定された傾斜側壁15と第1側壁11Aとに肘置き部13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽に係り、更に詳しくは、内面側に把手を固定した浴槽に関し、例えば、浴槽内で立ち上がるときに、把手を握って動作の補助として利用することのできる浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽を構成する側壁の内面側に把手を固定し、これを掴むことで、立ち上がり動作を補助できるようにした構成が知られている(例えば、特許文献1)。同文献に記載された浴槽は、相対する側壁の中間部に段部をそれぞれ設けることで、幅広の浴槽部と幅狭の浴槽部とを形成するとともに、側壁の段部形成領域を利用して握りバー(把手)を固定した構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−19744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された浴槽は、握りバーの一端側が側壁の段部に固定される一方、把手の他端側が側壁に固定されるようになっている。つまり、握りバーが段部と側壁に跨る状態で固定される構成となっている。従って、握りバーと側壁との間に空間が生じてしまい、この空間を形成する周囲が清掃し難くなる、という不都合を招来する。
また、浴槽の側壁の段部と浴槽の側壁に跨る状態で固定される握りバーは、必然的に大きなものになることから、浴槽内部を部分的に狭めてしまうことにもなる。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、側壁に把手を固定する構成としても、把手及びその周辺の清掃を容易に行うことのできる浴槽を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、浴槽内部をあまり狭くすることなく、把手を握り易くした浴槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、平面視略方形の第1浴槽部と、当該第1浴槽部よりも幅狭の平面視略方形の第2浴槽部とを含み、これら第1及び第2浴槽部間の側壁部分が第1浴槽部から第2浴槽部に向かって次第に幅が狭くなる傾斜側壁とされた浴槽であって、
前記傾斜側壁のみを支持面として浴槽に固定される基端部が1つのみの把手が固定される、という構成を採っている。ここでいう基端部とは、浴槽に当接する着座面をいう。
【0007】
本発明において、前記把手が固定された傾斜側壁と第1浴槽部の側壁に肘置き部が設けられる、という構成を採るとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1浴槽部及び第2浴槽部間に傾斜側壁を設け、当該傾斜側壁のみを支持面として基端部が1つのみの把手を固定する構成としたから、把手と傾斜側壁との間に空間を形成することがなく、従来構造に比べ、清掃の容易化を図ることができる。
しかも、把手を傾斜側壁のみに固定していることから、把手の高さを高くして把手を握り易くしても、浴槽内部において、その幅方向への突出量が小さく、浴槽内部の最小幅をあまり減少させることがない。ここでいう把手の高さとは基端部から把手先端までの寸法をいい、浴槽内部の幅方向とは、浴槽の長手方向に直行する方向をいい、浴槽内部の最小幅とは対向する把手の先端間距離をいう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る浴槽の概略平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】(A)は把手の斜視図、(B)は把手を異なる方向から見た斜視図、(C)は把手の平面図、(D)把手の断面図、(E)は(C)の右側面図。
【図4】図1の要部拡大図。
【図5】図2の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1において、浴槽10は、平面視略方形の第1浴槽部11と、当該第1浴槽部11よりも幅狭の平面視略方形の第2浴槽部12とを備えて構成されている。第1浴槽部11は長手方向(図1中上下方向)に沿って延びるとともに相互に略平行な一対の第1側壁11Aと、これら第1側壁11Aの一端部(同図下端部)間に位置する第1端壁11Bとを含む。第1側壁11Aは、図2に示されるように、下半部を上半部の左右幅よりも狭くするように形成することで中間部に肘置き部13を備えた形状となっている。
【0012】
前記第2浴槽部12は、長手方向に沿って延びるとともに前記第1側壁11A間の幅よりも幅狭となる一対の第2側壁12Aと、前記第1端壁11Bと相対に位置する第2端壁12Bとを含む。第1側壁11Aと第2側壁12Aは傾斜側壁15によって一連に設けられており、当該傾斜側壁15は、第1浴槽部11から第2浴槽部12に向かって次第に幅が狭くなるように設けられている。
【0013】
前記浴槽10は、本実施形態では、第1浴槽部11の底壁11Cが全身浴に適した深さ位置にあり、第2浴槽部12は、第2端壁12B側の底部12Cが段部17を介して高く設けられ、当該底部12Cに着座することで半身浴ができるように設けられている。
【0014】
図2及び図5に示されるように、前記傾斜側壁15の上部には、当該傾斜側壁15のみを支持面として把手20が固定されている。この把手20は、図3に示されるように、長楕円に近似した平坦な基端部21を有するブロック状に設けられている。把手20において、基端部21は、その長軸側の長さW1が傾斜側壁15の長さW2よりも短く設けられ、これにより、把手20が傾斜側壁15のみを支持面として固定されるようになっている。この際、把手20は、前記長さW2の略中間部に固定されている。また、基端部21には、図3(D)に示されるように、雌ねじ部22が二箇所に設けられ、基端部21を傾斜側壁15に当接させた状態で、当該傾斜側壁15の外面側から挿入される図示しないボルトをねじ込むことで把手20が傾斜側壁15に固定される。
なお、把手20の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では、平面視で翼状に設けられており、先端側が曲面状の先細部20Aを有する形状とされ、当該先細部20を手の平に収めるように掴むことができるようになっている。
【0015】
従って、本実施形態によれば、当該傾斜側壁15のみを支持面として把手20を固定したから、ブロック形状の把手15であっても、浴槽内で立ち上がるときに、把手20を掴むことで動作の補助として利用することができる。さらに、掴む領域が先細部20Aであることから、手の平に納め易く、握る力が弱い人であっても利用することが期待できる。しかも、先細部20Aは曲面とされているので、手の平をいためることもない。
【0016】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0017】
例えば、前記実施形態では、把手20は、傾斜側壁15の長さW2の略中間部に固定された場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、傾斜側壁15を支持面とする限り、第1浴槽部11や第2浴槽部12の何れか一方にシフトした位置であってもよい。
また、浴槽10は、幅が狭い第2浴槽部12の領域内に半身浴用の底部12Cを設けたが、当該底部12Cは必ずしも設けることを要しない。
【符号の説明】
【0018】
10…浴槽、11…第1浴槽部、12…第2浴槽部、13…肘置き部、15…傾斜側壁、20…把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略方形の第1浴槽部と、当該第1浴槽部よりも幅狭の平面視略方形の第2浴槽部とを含み、これら第1及び第2浴槽部間の側壁部分が第1浴槽部から第2浴槽部に向かって次第に幅が狭くなる傾斜側壁とされた浴槽であって、
前記傾斜側壁のみを支持面として、基端部が1つのみの把手が固定されていることを特徴とする浴槽。
【請求項2】
前記把手が固定された傾斜側壁と第1浴槽部の側壁とに肘置き部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−99374(P2013−99374A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243586(P2011−243586)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】