説明

浴水浄化装置

【課題】 イオン交換樹脂による硬度分の除去と該イオン交換樹脂の再生を行える浴水浄化装置を提供する。
【解決手段】 吸水口30と循環ポンプ32の間にバルブ3を介して管路2を設け、その内部にイオン交換樹脂1を保持する。吸水口30からの浴水はバルブ3を経由してイオン交換樹脂1を通過する時に、イオン交換され、浴水に含まれる硬度分が除去される。イオン交換樹脂1は塩化ナトリウム槽10の食塩を利用して再生する。即ち、塩化ナトリウム槽10の食塩を電解槽11において所定時間電解し、適当な濃度に調整した上で、絞り19を介して浴水循環路に塩化ナトリウム溶液を供給し、排出弁33、ヒータ35、紫外線殺菌装置36、濾過タンク37、バルブ18、注入管路17、バルブ3、イオン交換樹脂1、管路2、循環ポンプ32、を経て排出弁33に戻る経路を形成して、塩化ナトリウム溶液を循環させてイオン交換樹脂1を再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴水を循環して浄化する浴水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の湯を循環する浴水浄化装置においては、浴水として通常は水道水が使用されるが、地域によって水道水に含まれるカルシウム成分などが異なるため、水道水の硬度が異なる。水道水の硬度が高い地域では、カルシウム等が析出することで、浴水浄化装置の循環ポンプに付着してポンプロックを起こしたり、配管経路に付着して、配管の目詰まりを発生するなどの問題があった。
この水道水中の硬度分は、循環路中にイオン交換樹脂を配置し、吸着除去することがで可能である。
【0003】
【特許文献1】特開2001−170628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、イオン交換樹脂で一定量の吸着が行われた場合には、イオン交換樹脂の吸着除去能力が低下してしまうという問題があった。これを解決するには、イオン交換樹脂を装置から取り外して、置換除去を行って再生する必要があり、そのために装置のメンテナンスが必要であった。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、イオン交換樹脂による硬度分の除去とイオン交換樹脂の再生を効率的に行える浴水浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、浴水を循環して浄水する浴水浄化装置において、浴水の循環路中に設けられたイオン交換樹脂と、該イオン交換樹脂に塩化ナトリウム溶液を接触させて再生させる手段と、を備えたことを特徴とする。イオン交換樹脂は好適には、浴水の循環路中に開閉可能に設けられた管路に保持され、再生させる手段は、前記管路に塩化ナトリウム溶液を導入して該イオン交換樹脂に接触させて再生させるのが望ましい。
また、塩化ナトリウムを保持し、該塩化ナトリウムを電気分解して浴水の循環路中に塩素を供給し、浴水を殺菌する電解殺菌装置を備えた浴水浄化装置においては、該電解殺菌装置が保持する塩化ナトリウムを溶液として前記イオン交換樹脂に接触させて再生させることが可能であり、電解殺菌と軟水化を効率的に実行することが可能になる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の浴水浄化装置によれば、カルシウム分等の硬度分が効果的に除去でき、別途軟水器等の設置の必要がない。また、イオン交換樹脂性能の維持のための再生処理も簡単にかつ効率的に行えるから、硬度分除去性能を維持できる。
また、食塩の電気分解による電解殺菌装置を備えれば、塩素殺菌を行える上、電解殺菌装置の塩化ナトリウムを使用してイオン交換樹脂の再生を行えるため、極めて効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、浴槽B内に設置された吸水口30から浴水が循環ポンプ32により吸い上げられ、排出弁33を経由してヒータ35で加温され、紫外線殺菌装置36で殺菌された上、濾過タンク37において濾過され、バルブ18、バルブ38、を経由して出水口31から浴槽Bに戻る循環経路を形成している。
【0008】
また、必要に応じて濾過タンク37の出口側の絞り19において電解殺菌装置5から供給管13を経由した次亜塩素酸が供給され、塩素殺菌を施されるようになっている。
【0009】
電解殺菌装置5は電解槽11を有し、この電解槽11は塩化ナトリウム槽10からバルブ12を経由して適宜食塩の供給を受けて、また浴水を導入して、適宜の濃度とした上で、これを電気分解して次亜塩素酸を発生するようになっている。
塩化ナトリウム槽10には循環用管路15が設けられ、バルブ14を経由して電解槽11に接続するようになっている。
【0010】
前記吸水口30と循環ポンプ32の間にはバルブ3を介して管路2が設けられており、該管路2内部にイオン交換樹脂1が保持されている。バルブ3をイオン交換樹脂1側に切り替えると、吸水口30からの浴水はバルブ3を経由してイオン交換樹脂1、管路2を通り、循環ポンプ32へ送られる。前記イオン交換樹脂1を通過する時に、イオン交換され、浴水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどの硬度分を除去するようになっている。
【0011】
イオン交換は常に行う必要はなく、例えば浴槽Bに新たな水道水が導入された時などに行えばよい。バルブ3の切替は制御装置40により行われるように構成されている。
【0012】
イオン交換樹脂1は硬度分の付着が多くなると、硬度分除去効果が薄れるため、適宜食塩水を導入して再生を図る必要がある。
この実施形態では、塩化ナトリウム槽10の食塩を利用して再生するようになっている。即ち、バルブ12とバルブ14により塩化ナトリウム槽10と電解槽11を接続し、塩化ナトリウム槽10の食塩を電解槽11に注入する。そして、バルブ12を経由して浴水を電解槽11に導入し、食塩濃度を適当な濃度に調整した上で、図2に示すように絞り19を介して浴水循環路に塩化ナトリウム溶液を供給する。
【0013】
図2において、塩化ナトリウム溶液はバルブ18、注入管路17、バルブ3を経由してイオン交換樹脂1に供給され、イオン交換樹脂1の再生を行う。そして管路2、循環ポンプ32、排出弁33、を経て、一部はヒータ35へ向かい、他は循環用管路15を通って、バルブ14から電解槽11に戻る経路をたどる。
【0014】
次に、バルブ14を切り替えて循環用管路15から電解槽11への経路を断ち、排出弁33、ヒータ35、紫外線殺菌装置36、濾過タンク37、バルブ18、注入管路17、バルブ3、イオン交換樹脂1、管路2、循環ポンプ32、を経て排出弁33に戻る経路を形成して、塩化ナトリウム溶液を循環させる。塩化ナトリウム溶液の循環はイオン交換樹脂1を再生するために必要な時間行うようになっている。
これらのバルブの開閉、その他の動作の制御は制御装置40により行われるようになっている。
【0015】
イオン交換樹脂1の再生が終了したら、塩化ナトリウム溶液は排出管34から排出される。即ち、イオン交換樹脂1、管路2、循環ポンプ32、バルブ38,バルブ18、濾過タンク37、紫外線殺菌装置36、ヒータ35、排出弁33を経由して排出管34から排出されるようになっている。
【0016】
次に図3により動作を説明する。
通常の浄化運転を行い(ステップS1)、硬度分の除去が必要な場合は(ステップS2)、バルブ3を管路2側に切り替えてイオン交換樹脂1に浴水を通水して硬度分の除去を行う(ステップS3)。この際循環速度を落として(ステップS4)、運転するのが望ましい。ステップS2の硬度分の除去の必要性は、操作者による判断やセンサなどからの信号により行う。通常は新たに水道水を導入した時に行う。
【0017】
所定時間経過したら(ステップS5)、イオン交換樹脂1の再生を行う。そのために、塩化ナトリウム槽10の食塩を電解槽11に導入して、所定濃度の塩化ナトリウム溶液を生成する(ステップS6)。そしてバルブ14を切り替えて循環用管路15から電解槽11への経路を断ち、排出弁33、ヒータ35、紫外線殺菌装置36、濾過タンク37、バルブ18、注入管路17、バルブ3、イオン交換樹脂1、管路2、循環ポンプ32、を経て排出弁33に戻る閉管路を形成して、塩化ナトリウム溶液を循環させ(ステップS7)、イオン交換樹脂1に塩化ナトリウム溶液を通水する(ステップS8)。所定時間経過したら(ステップS9)、塩化ナトリウム溶液をイオン交換樹脂1、管路2、循環ポンプ32、バルブ38,バルブ18、濾過タンク37、紫外線殺菌装置36、ヒータ35、排出弁33を経由して排出管34から排出する(ステップS10、11)。
【0018】
次に他の実施例を図4に示す。この実施例では、管路2を設けずに、イオン交換樹脂1を濾過タンク37内部に装着している。従って、浄化運転中は常にイオン交換による硬度分の除去を行っている。
【0019】
イオン交換樹脂1の再生は、同様に塩化ナトリウム槽10の食塩を利用して再生するようになっている。即ち、バルブ12とバルブ14により塩化ナトリウム槽10と電解槽11を接続し、塩化ナトリウム槽10の食塩を電解槽11に注入する。そして、電解槽11において浴水を導入して、食塩濃度を適当な濃度に調整した上で、図2に示すように絞り19を介して浴水循環路に塩化ナトリウム溶液を供給する。
【0020】
図5において、塩化ナトリウム溶液はバルブ18、注入管路17、循環ポンプ32、排出弁33、ヒータ35、紫外線殺菌装置36を経由してイオン交換樹脂1に入り、ここでイオン交換樹脂1に接触してイオン交換樹脂1の再生を行う。
【0021】
次に、バルブ14を切り替えて循環用管路15から電解槽11への経路を断ち、排出弁33、ヒータ35、紫外線殺菌装置36、濾過タンク37、バルブ18、注入管路17、循環ポンプ32、を経て排出弁33に戻る経路を形成して、塩化ナトリウム溶液を循環させる。塩化ナトリウム溶液の循環はイオン交換樹脂1を再生するために必要な時間行うようになっている。
これらのバルブの開閉、その他の動作の制御は同様に制御装置40により行われるようになっている。
【0022】
イオン交換樹脂1の再生が終了したら、塩化ナトリウム溶液は排出管34から排出される。即ち、循環ポンプ32、バルブ38,バルブ18、濾過タンク37、紫外線殺菌装置36、ヒータ35、排出弁33を経由して排出管34から排出されるようになっている。
【0023】
なお、図4の実施形態の動作は、図2のステップS2、S3、S4を除いた動作になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す機能ブロック図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【図4】本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図。
【図5】本発明の他の実施形態の動作を示す機能ブロック図
【符号の説明】
【0025】
1:イオン交換樹脂、2:管路、3:バルブ、5:電解殺菌装置、10:塩化ナトリウム槽、11:電解槽、12:バルブ、13:供給管、14:バルブ、15:循環用管路、16:循環用管路、17:注入管路、18:バルブ、19:絞り、30:吸水口、31:出水口、32:循環ポンプ、33:排出弁、34:排出管、35:ヒータ、36:紫外線殺菌装置、37:濾過タンク、38:バルブ、40:制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴水を循環して浄水する浴水浄化装置において、
浴水の循環路中に設けられたイオン交換樹脂と、
該イオン交換樹脂に塩化ナトリウム溶液を接触させて再生させる手段と、
を備えたことを特徴とする浴水浄化装置。
【請求項2】
浴水を循環して浄水する浴水浄化装置において、
浴水の循環路中に開閉可能に設けられたイオン交換樹脂を保持する管路と、
前記管路に塩化ナトリウム溶液を導入して該イオン交換樹脂に接触させて再生させる手段と、
を備えたことを特徴とする浴水浄化装置。
【請求項3】
浴水を循環して浄水する浴水浄化装置において、
塩化ナトリウムを保持し、該塩化ナトリウムを電気分解して浴水の循環路中に塩素を供給し、浴水を殺菌する電解殺菌装置と、
浴水の循環路中に設けられたイオン交換樹脂と、
前記電解殺菌装置が保持する塩化ナトリウムを溶液として前記イオン交換樹脂に接触させて再生させる手段と、
を備えたことを特徴とする浴水浄化装置。
【請求項4】
浴水を循環して浄水する浴水浄化装置において、
塩化ナトリウムを保持し、該塩化ナトリウムを電気分解して浴水の循環路中に塩素を供給し、浴水を殺菌する電解殺菌装置と、
浴水の循環路中に開閉可能に設けられたイオン交換樹脂を保持する管路と、
前記電解殺菌装置が保持する塩化ナトリウムを溶液とし、前記管路に塩化ナトリウム溶液を導入して前記イオン交換樹脂に接触させて再生させる手段と、
を備えたことを特徴とする浴水浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−29877(P2007−29877A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218195(P2005−218195)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】