説明

浴湯の噴射ノズル

【課題】 浴湯の噴出方向を入浴者の好みに応じて自由に変えることができる浴湯の噴射ノズルを提供する。
【解決手段】 浴槽の側壁に取り付けられるノズル本体(1)と、ノズル支持体(10)と、回転ノズル(20)と、ノズル押体(30)とから構成する。回転ノズル(20)は、略半球の球面部(21)と、この球面部(21)に連なって浴湯を噴射する所定長さの噴射筒(22)とから構成し、回転ノズル(10)の球面部(21)をノズル支持体(10)内に設けられている凹面状座(15)と、ノズル押体(30)の先端部の設けられている凹面状座(35)とにより保持する。これにより、回転ノズル(10)の噴射筒(22)は、ノズル支持体(10)に首振り自在に保持される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴槽の側壁に取り付けられるノズル本体と、ノズル支持体とを備え、ノズル支持体内に回転ノズルがノズル押体により保持されるようになっている浴湯の噴射ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】浴湯中の人毛等の固形物を取り除くための濾過装置、浴湯を強制的に循環するための水ポンプ、セラミックス、貝化石、麦飯石等の活性石が収納されている活性化装置、殺菌・脱臭等の作用を奏するオゾンガスを発生するためのオゾンガス発生器、浴湯を所定温度に加熱するためのヒータ、オゾンガスの混入時期、ヒータ等を制御する制御装置等を備えた浴湯の浄化装置は、本出願人により実開平6ー48893号、特開平7ー185574号、実公平6ー23203号等により多数提案されている。これらの浴湯の浄化装置は、浴槽とは吸込管と戻管とで接続されている。一方、浴槽には吸込ノズルと、吐出ノズルとが設けられ、吸込ノズルには吸込管が、そして吐出ノズルには戻管がそれぞれ接続されている。
【0003】したがって、浄化装置の水ポンプを起動すると、浴槽中の浴湯は、吸込ノズルから吸込管を介して浄化装置に吸い込まれる。そして、浄化装置において浴湯は、バクテリヤにより有機物、例えば浴湯を腐敗させる原因となるアンモンニャが分解され、さらに浴湯はイオン交換されると共に、浴湯にマグネシュウム、亜鉛、カルシウム、ナトリウム等の有効成分が溶解し、浴湯は水素イオン濃度が弱アルカリ性に調整される。また、オゾンガスにより浴湯中の例えば肺炎の原因にもなるといわれているレジオネラ菌が効果的に殺菌され、またバクテリヤが分解できないような大きな分子量の有機物の分解、脱臭等の作用が得られる。このようにして殺菌され、また浄化された浴湯は、吐出ノズルから浴槽中へ噴射される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の浴槽も吐出ノズルを備えているので、浴湯あるいは浴湯と空気とを吐出ノズルから噴射させて、噴射する浴湯に当たり、入浴を楽しむことも、またマッサージ作用により身体の疲労の回復を図ることも、一応はできる。しかしながら、従来の吐出ノズルは、浴湯の噴出方向が一定しており、使い勝手が必ずしも良いとは言えない。例えば、肩こりを癒したいときには、肩の方を吐出ノズルの方へ向けなければならず、狭い浴槽内での、このような身体の移動は困難で必要な部位の十分なマッサージ作用は受けられないきらいがある。本発明は、上記したような従来の欠点を解消した浴湯の噴射ノズルを提供しようとするもので、具体的には浴湯の噴出方向を入浴者の好みに応じて自由に変えることができる浴湯の噴射ノズルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、浴槽の側壁に取り付けられるノズル本体と、ノズル支持体とを備え、前記ノズル支持体内に回転ノズルがノズル押体により保持されるようになっている浴湯の噴射ノズルであって、前記回転ノズルは、略半球の球面部と、この球面部に連なって浴湯を噴射する所定長さの噴射筒とからなり、前記回転ノズルの球面部が、前記ノズル支持体内に設けられている凹面状座と、前記ノズル押体の先端部の設けられている凹面状座とにより保持され、それによって前記回転ノズルの噴射筒は、前記ノズル支持体に首振り自在に保持されるように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のノズル支持体内の凹面状座が、弾性体で支持されるように構成され、そして請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のノズル本体に、空気管が設けられている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係わる浴湯の噴射ノズルENと、吸込ノズルSNの分解斜視図で、図2は浴湯の噴射ノズルENを組み立てた状態で示す断面図であるが、これらの図1、2に示されているように、本実施の形態に係わる浴湯の噴射ノズルENは、ノズル本体1、ノズル支持体10、回転ノズル20、ノズル押体30等から構成されている。
【0007】ノズル本体1は、内周面に雌ネジ2が設けられた水平円筒部3と、同様に内周面に雌ネジ4が設けられた垂直円筒部5とから、例えば合成樹脂により一体的に成形されている。このノズル本体1は、浴槽YSの外側に取り付けられるもので、そのために水平円筒部3の端面に、取り付け時に浴槽YSの側壁YKに接するフランジ部6が形成されている。水平円筒部3の雌ネジ2には、ノズル支持体10の雄ネジ12が螺合され、垂直円筒部5の雌ネジ4には、前述した浄化装置に接続されている戻管が接続されるようになっている。また、水平円筒部3には空気管7が開口している。なお、この空気管7には、必要に応じてエアポンプが接続され、強制的に空気あるいは空気とオゾンガスとが供給されるようになっている。また、水平円筒部3に絞部が形成されているときには、空気が自吸されることになる。
【0008】ノズル支持体10は、筒部11とフランジ部13とから構成されている。このフランジ部13は、組み立てられたとき浴槽YSの内側に位置し、筒部11が浴槽YSの側壁YKを貫通するようになる。この筒部11の外周部には、ノズル本体1の雌ネジ2に螺合する雄ネジ12が形成され、フランジ部13に寄った内部には雌ネジ14が形成されている。この雌ネジ14に、ノズル押体30の雄ネジ33が螺合する。このように構成されている筒部11の内部に、図2に示されているように、凹面状座15が設けられている。この凹面状座15は、ノズル支持体10の先端部に、漏斗状の薄いブラケット16に支持された形になっている。このように、ブラケット16が漏斗状になっているので、浴湯の流通路は確保されている。この凹面状座15に対して、回転ノズル20の球面部21が、ノズル押体30の雄ネジを緩めることにより回動自在になり、締めることにより固定されることになる。
【0009】回転ノズル20は、略半球の球面部21と、この球面部21に連なった所定長さの噴射筒22とから一体的に形成されている。そして、球面部21が、ノズル支持体10の凹面状座15に回動自在に支持されている。噴射筒22の内部には、浴湯の流通路23が形成されている。そして、球面部21にも流通路23に連通した流路が形成されている。したがって、回転ノズル20がどの方向を向いても、浴湯あるいは浴湯と空気は、噴射筒22から浴槽YS内へ噴射されることになる。
【0010】ノズル押体30は、比較的大径のフランジ部31と、このフランジ部31よりも小径の筒部32とから構成されている。筒部32の外周部には、ノズル支持体10の雌ネジ14に螺合する雄ネジ33が形成されている。筒部32の内部は、図2において右側に向かってテーパ状に縮径されたテーパ部34となり、その先端部に比較的小面積の凹面状座35が形成されている。この凹面状座35により、回転ノズル20の球面部21が押され、回転ノズル20がノズル支持体10の内部に支持されることになる。また、筒部32の内部がテーパ状になっているので、回転ノズル20は、その噴射筒22が邪魔されることなく、60度程度自由に首振り方向を変えることがきる。なお、フランジ部31には、ノズル押体30をねじ込むためと、回転ノズル20を回動自在にするために、ツマミ36、36が設けられている。
【0011】本実施の形態に係わる浴湯の噴射ノズルENを浴槽YSに取り付けるには、浴槽YSの側壁YKに所定大きさの取付孔YAを明ける。そして、ノズル本体1のフランジ部6を浴槽YSの外からパッキンPを介して取付孔YAに当てる。一方、浴槽YSの内部から、ノズル支持体10の筒部11にパッキンPを挿入して、筒部11の雄ネジ12をノズル本体1の雌ネジ2にねじ込む。そうすると、ノズル支持体10のフランジ部13は、浴槽YSの側壁YKの内側に、そしてノズル本体1のフランジ部6は外側にパッキンP、Pを介して圧接される。これにより、ノズル本体1が浴槽YSの側壁YKに、液密的に取り付けられる。
【0012】上記のようにして取り付けられたノズル支持体10に、回転ノズル20を、その球面部21を先にして挿入する。そして、ノズル押体30の筒部32の雄ネジ33を、ノズル支持体10の雌ネジ14にねじ込む。これにより、回転ノズル20がノズル支持体10に取り付けられる。ノズル本体1の垂直円筒部5に、本出願人が提案しているような浴湯浄化装置の戻管を接続する。そうすると、浴湯が回転ノズル20の噴射筒22から浴槽YS中へ噴射される。
【0013】本実施の形態によると、浴湯の噴射ノズルENは、その回転ノズル20の球面部21が、ノズル支持体10の凹面状座15と、ノズル押体30の凹面状座35とによって支持されているので、回転ノズル20は首振り自在である。したがって、入浴者がノズル押体30のツマミ36、36を緩め、回転ノズル20の噴射筒22を指でつまんで、その向きを上下、左右に変化させることができ、浴湯の噴射方向を入浴者の好みに応じて自由に変えることができる。このとき、ノズル支持体10の凹面状座15には弾性が付与されているので、噴射筒22の向きを変えるとき、ノズル支持体10の凹面状座15が偏位し、容易に向きを変えることができる。向きを変えてしまうと、今度はノズル支持体10の凹面状座15の弾性の復原力により、回転ノズル20はその位置に確実の保持される。なお、必要に応じて空気管7から空気が噴射される。
【0014】次に、浴湯の噴射ノズルENと共に使用する吸込ノズルSNの実施の形態を説明する。吸込ノズルSNは、図1、3に示されているように、吸込ノズル本体40、ノズル取付体50、スペーサ60、蓋体70等から構成されている。
【0015】吸込ノズル本体40は、内周面に雌ネジ41が設けられた水平円筒部42と、同様に内周面に雌ネジ43設けられた垂直円筒部44とから、例えば合成樹脂により一体的に成形されている。この吸込ノズル本体40は、浴槽YSの外側に取り付けられるもので、そのために水平円筒部42の端面に、取り付け時に浴槽YSの側壁YKに接するフランジ部45が形成されている。水平円筒部42の雌ネジ41には、後述するノズル取付体50の雄ネジ53が螺合され、垂直円筒部44の雌ネジ43は、前述した浄化装置に接続されている吸込管が接続されるようになっている。
【0016】ノズル取付体50は、取り付け時に浴槽YSの側壁YKに接するフランジ部51を有する。そして、このフランジ部51と一体的に筒部52が形成されている。筒部52は浴槽YSの側壁YKを貫通するもので、その外周部には雄ネジ53が形成されている。この雄ネジ53が取り付け時に吸込ノズル本体40の雌ネジ41に螺合する。また、フランジ部51にはネジ孔54、54、…が複数個、図示の実施の形態では3個設けられている。
【0017】スペーサ60は、浴湯の吸込口を確保するためのもので、本実施の形態では、ネジ孔54、54、…と対応して、3本用意されている。蓋体70は、ノズル取付体50のフランジ部51と略同じ大きさで、ネジ孔54、54、…と対応した位置に3個の透孔71、71、…が明けられている。
【0018】吸込ノズルSNは、次のようにして浴槽YSに取り付ける。すなわち、浴槽YSの側壁YKに所定大きさの取付孔YA’を明ける。そして、吸込ノズル本体のフランジ部45を浴槽YSの外からパッキンPを介して取付孔YA’に当てる。一方、浴槽YSの内部から、ノズル取付体50の筒部52にパッキンPを挿入して、筒部52の雄ネジ53を吸込ノズル本体40の雌ネジ41にねじ込む。そうすると、ノズル取付体50のフランジ部54は、浴槽YSの側壁YKの内側に、そして吸込ノズル本体40のフランジ部45は外側にパッキンP、Pを介して圧接される。これにより、吸込ノズル本体40が浴槽YSの側壁YKに、液密的に取り付けられる。取り付けた状態は図3に示されている。
【0019】次に、蓋体70の透孔71、71、…にボルト72、72、…を通し、通したボルト72、72、…のそれぞれにスペーサ60、60、60…を装着する。そうして、ボルト72、72、…をノズル取付体50のネジ孔54、54、…にねじ込む。これにより、蓋体70がノズル取付体50のフランジ部54に、図3に示されているように、間隔dをもって取り付けられる。この間隔dはスペーサ60、60、60…の長さで、これより浴湯の吸込口が形成される。吸込ノズル本体40の垂直円筒部44に、浴湯の浄化装置の吸込管を接続する。以上により、浴槽YS、吸込ノズルSN、吸込管、浴湯の浄化装置、戻管おろび浴湯の噴射ノズルENによる浴湯の循環路が形成される。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、回転ノズルは略半球の球面部と、この球面部に連なって浴湯を噴射する所定長さの噴射筒とからなり、回転ノズルの球面部が、ノズル支持体内に設けられている凹面状座と、ノズル押体の先端部の設けられている凹面状座とにより保持され、それによって回転ノズルの噴射筒は、ノズル支持体に首振り自在に保持されるように構成されているので、入浴者の好みに応じて浴湯の噴射方向を自由に変えることができるという、本発明特有の効果が得られる。また、他の発明によると、ノズル支持体内の凹面状座が、弾性体で支持されるように構成されているので、回転ノズルの噴射方向を容易に変えることができると共に、ノズル押体の締め付けにより噴射方向の位置を確実に保つことができる効果が付加され、さらに他の発明によると、ノズル本体に、空気管が設けられているので、空気風呂を楽しむこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わる浴湯の噴射ノズルと、吸込ノズルとを、浴槽の一部と共に分解して示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係わる浴湯の噴射ノズルを、浴槽の側壁に取り付けた状態を一部断面にして示す側面図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係わる吸込ノズルを、浴槽の側壁に取り付けた状態を一部断面にして示す側面図である。
【符号の説明】
EN 浴湯の噴射ノズル
1 ノズル本体 7 空気管
10 ノズル支持体 15 凹面状座
16 弾性体(ブラケット) 20 回転ノズル
21 球面部 22 噴射筒
30 ノズル押体 35 凹面状座

【特許請求の範囲】
【請求項1】 浴槽の側壁に取り付けられるノズル本体と、ノズル支持体とを備え、前記ノズル支持体内に回転ノズルがノズル押体により保持されるようになっている浴湯の噴射ノズルであって、前記回転ノズルは、略半球の球面部と、この球面部に連なって浴湯を噴射する所定長さの噴射筒とからなり、前記回転ノズルの球面部が、前記ノズル支持体内に設けられている凹面状座と、前記ノズル押体の先端部の設けられている凹面状座とにより保持され、それによって前記回転ノズルの噴射筒は、前記ノズル支持体に首振り自在に保持されていることを特徴とする浴湯の噴射ノズル。
【請求項2】 請求項1に記載のノズル支持体内の凹面状座が、弾性体で支持されている浴湯の噴射ノズル。
【請求項3】 請求項1または2に記載のノズル本体に、空気管が設けられている浴湯の噴射ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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