説明

消火薬剤添加装置

【課題】 消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、その機能点検の際に消火システム全体を作動させる必要を無くし、機能点検を容易に、且つ無駄無く行えるものとする。
【解決手段】 消火薬剤タンク2と、注入ポンプ5と、制御弁10を有する制御手段17と、これらを配水管20に接続する配管経路R1とを設け、配管経路R1の制御弁10の二次側に、消火薬剤を消火薬剤タンク2に還流させる戻し配管経路R2及びメンテナンス弁11を設け、戻し配管経路R2及びメンテナンス弁11を介して消火薬剤を消火薬剤タンク2に還流させて、メンテナンス弁11の一次側の構成の機能点検を行えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特公平8−17834号公報(特許文献1)には、放水用ポンプから送水される吸水管に泡原液槽の泡原液を泡消火原液ポンプを用いて制御弁を介して混入させる泡消火剤調合装置が開示されている。
【特許文献1】特公平8−17834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の泡消火剤調合装置において機能点検を行う場合、消火システム全体を作動させて消火液を放出し、その放出した消火液を収集して消火剤の調合量等の点検を行うこととなる。即ち、上記特許文献1の泡消火剤調合装置の如き消火薬剤添加装置においては、その機能点検を行う際に、消火薬剤添加装置単独では点検を行うことができず、点検対象以外の構成までも作動させなければ点検を行うことができない。
【0004】
上記事情に鑑み、この発明は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、その機能点検の際に消火システム全体を作動させる必要を無くし、機能点検を容易に、且つ無駄無く行えるものとすることを目的とする。
【0005】
更に、前記特許文献1に開示の泡消火剤調合装置は、それを備えた消火システムにおいて泡状の消火液を放出するための装置であり、消火水を水のまま放出するものとして設計がなされる消火システムには適合しない。即ち、前記特許文献1に開示の泡消火剤調合装置の如き消火薬剤添加装置によれば、消火水に消火薬剤を添加することで、消火水の消火能力は向上させることはできるものの、例えば、散水ヘッドから消火水を水のまま散水する消火システムであればその散水分布が、モニタノズルから消火水を水のまま放出する消火システムであればその放水到達距離が、それぞれ設計上のものから変わってしまう程に消火水は流体としての性質が変化してしまい、散水又は放水ができずに消火できない領域を生じさせてしまうからである。
【0006】
上記事情に鑑み、この発明は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤の添加により、消火システムにおける消火能力を向上させつつも、消火できない領域を生じさせない様にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するこの発明について述べれば次の通りである。
【0008】
先ず、この発明は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、更に、前記配管経路の前記制御弁の二次側に、消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させる戻し配管経路及びメンテナンス弁を設け、前記戻し配管経路及び前記メンテナンス弁を介して消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させて、前記メンテナンス弁の一次側の構成の機能点検を行えるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置、であり、又、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、更に、前記配管経路よりメンテナンス弁を介して分岐し、前記消火薬剤タンクに至る戻し配管経路を設け、前記メンテナンス弁の一次側に、前記消火薬剤タンクと、前記注入ポンプと、前記制御弁を有する制御手段とを配置し、前記メンテナンス弁及び戻し配管経路を介して消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させて、前記メンテナンス弁の一次側の構成の機能点検を行えるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置、である。
【0009】
次に、この発明は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、前記消火薬剤タンクに収容する消火薬剤を水成膜泡原液とし、前記配水管中の消火水が0.5%から2.0%の範囲の水成膜泡溶液となる如く、前記水成膜泡原液を前記配水管中の消火水に混入させるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置、である。
【0010】
上記発明において、メンテナンス弁の一次側には、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段とを配置することができる。
【0011】
又、上記発明において、メンテナンス弁と注入ポンプの間に、注入ポンプによる注入量を計測することができる手段を配置することができ、その手段としては例えば圧力計を配置することができる。
【0012】
又、上記発明において、注入ポンプとして、注入先の圧力変動に左右されることなく一定量を圧送することができる定量ポンプを用いることができ、その定量ポンプとしては、例えば、少量の注入に適するベーンポンプを用いることができる。
【0013】
又、上記発明において、メンテナンス弁として、二次側の二方向を切換自在の切換弁を用いることができ、その切換弁としては、例えば三方ボール弁を用いることができる。
【0014】
又、上記発明において、メンテナンス弁二次側の消火薬剤タンクに至る戻し配管経路に、メンテナンス弁二次側の配水管に至る配管経路における圧力損失と同等の圧力損失付与手段を設けることができ、その圧力損失付与手段としては、例えばオリフィスを用いることができる。
【0015】
又、上記発明において、配管経路の末端に消火薬剤添加口を設け、該消火薬剤添加口を消火用の配水管に対し着脱自在のものとすることができる。
【0016】
又、上記発明において、消火薬剤添加装置全体を一のユニットとすることができる。
【0017】
又、上記発明において、消火薬剤タンクの下方に注入ポンプを位置させる如く、又、制御弁を有する制御手段としての制御盤を有するものとし、その制御盤の操作方向とメンテナンス弁の操作方向とを直交させる如く、消火薬剤添加装置をパッケージングすることができる。尚、ここで操作方向とは操作者が操作対象を操作する際に向く方向をいうものとする。
【0018】
又、上記発明において、水成膜泡原液に代えて、合成界面活性原液を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、更に、前記配管経路の前記制御弁の二次側に、消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させる戻し配管経路及びメンテナンス弁を設け、前記戻し配管経路及び前記メンテナンス弁を介して消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させて、前記メンテナンス弁の一次側の構成の機能点検を行えるものとすることで、戻し配管経路及びメンテナンス弁を介して消火薬剤を消火薬剤タンクに還流させることができるので、消火システム全体を作動させなくとも、消火薬剤添加装置を消火薬剤の流通状態にすることができ、又メンテナンス弁の一次側の構成を消火システム全体を作動させた時と同様の状態で作動させることができ、例えば消火薬剤添加装置の機能点検として消火薬剤の添加量の点検を行う場合は、注入ポンプがメンテナンス弁の一次側に位置していれば、例えば圧力計により注入ポンプの送圧を計り、それにより注入ポンプが所定の量の消火薬剤を圧送しているか否かの点検を行うことができることとなる。即ち、この発明によれば、消火薬剤添加装置の機能点検を行うのに、消火システム全体を作動させる必要を無くすることができ、該機能点検を容易に、且つ無駄なく行うことができる。
【0020】
この発明によれば、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、前記消火薬剤タンクには水成膜泡原液が収容され、前記配水管中の消火水が0.5%から2.0%の範囲の水成膜泡溶液となる如く、前記水成膜泡原液を前記配水管中の消火水に混入させるものとすることで、消火薬剤の添加により消火水の消火能力を向上させつつ、流体としての性質を水とほとんど変わらないものとすることができるので、例えば、散水ヘッドから消火水を水のまま散水する消火システム、又はモニタノズルから消火水を水のまま放出する消火システムとして設計された消火システムにこの発明の消火薬剤添加装置を適用したとしても、当該消火システムにおける散水分布又は放水到達距離を設計上のものからほとんど変わらないものとすることができ、散水又は放水ができずに、消火できない領域を生じさせてしまうということがない。即ち、この発明の消火薬剤添加装置は、消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、消火水の消火能力を向上させつつも、消火できない領域を生じさせてしまうことがない様にすることができ、消火水を水のまま放出するものとして設計がなされる消火システムであっても適合するものとすることができる。
【0021】
この発明は、ごみピットに設備される消火設備に特に適合する。ごみピットの如き大空間に設備される消火設備は、一般に長射程のモニタノズルから消火水を水のまま放水するものとして設備設計がなされるが、ごみピットで発生する火災は、堆積したごみの深部で発生する燻焼火災であったり、燃焼物がプラスティックを含んでいたりすることから、水だけでは消火が困難な場合がある。この発明の消火薬剤添加装置を適用すれば、放水到達距離を設計上のものからほとんど変えることなく、即ち放水できない領域を生じさせることなく、水だけでは消火が困難な場合があった、堆積したごみの深部で発生する燻焼火災やプラスティックを含む燃焼物に対する水成膜泡溶液による消火が可能であり、その消火能力を向上させることができる。
【0022】
又、この発明は、前記の通り、消火水を水のまま放出するものとして設計がなされる消火システムであっても適合することから、既設の消火システムに設計変更なしで後付での適用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の実施の形態を添付図面に基づき説明をする。尚、図1はこの発明の消火薬剤添加装置の装置構成を示すシステム系統図、図2は同前の装置正面図、図3は同前の装置平面図である。
【0024】
図1に示すように、消火薬剤添加装置1は、消火薬剤タンク2から消火用配水管20に接続される消火薬剤添加口14に至る第1配管経路R1と、第1配管経路R1から分岐して消火薬剤タンク2に至る戻し配管の一例である第2配管経路R2とを有し、第1配管経路R1に、その上流側より、消火薬剤タンク2、ボールバルブ3、ストレーナ4、注入ポンプの一例としてのベーンポンプ5、モータ6、バルブ7を介して設けられた圧力計8、制御弁の一例であるモータ9を有する電動ボールバルブ10、第1配管経路R1から第2配管経路R2が分岐する箇所にメンテナンス弁の一例である三方ボールバルブ11、リフトチャッキ12、阻止バルブ13、消火薬剤添加口14とを有し、第2配管経路R2に、第1配管経路R1における三方ボールバルブ11の二次側の圧力損失と同等の圧力損失を第2配管経路R2に与える圧力損失付与手段の一例であるオリフィス15を有している。
【0025】
更に、消火薬剤添加装置1は、オリフィス15の下流側において第2配管経路R2に接続され、安全弁16を介して、第1配管経路R1の電動ボールバルブ10と圧力計8との間から分岐される第3配管経路R3を有している。
【0026】
又更に、消火薬剤添加装置1は、制御手段の一例である制御盤17を有しており、この制御盤17は、配線L1乃至L4により、ベーンポンプ5を駆動するモータ6、電動ボールバルブ10を駆動するモータ9、消火薬剤タンク2の水位を検出する電極式レベルスイッチ2c、遠隔操作箱18にそれぞれ接続されている。
【0027】
三方ボールバルブ11は、その二次側流路を第1配管経路R1とするか或いは第2配管経路R2とするかを切換可能になっており、火災時においては二次側を第1配管経路R1へ流して消火薬剤を消火用配水管20に流入させ、機能点検時においては二次側を第2配管経路R2に流して消火薬剤を消火薬剤タンク2に還流させることができる様になっている。
【0028】
尚、三方ボールバルブ11をメンテナンス弁の一例として示したが、第1配管経路R1と第2配管経路R2とを直接配管で接続し、その接続部分より二次側の第1配管経路R1及び第2配管経路R2のそれぞれに開閉弁を配置することで、三方ボールバルブ11の代わりとすることもできる。
【0029】
従って、消火薬剤添加装置1によれば、その機能点検の際には、三方ボールバルブ11を切り換えて、その二次側を第2配管経路R2に流して消火薬剤を消火薬剤タンク2に還流させることができるので、消火薬剤添加装置1を適用する消火システム全体を作動させなくとも、消火薬剤添加装置1を消火薬剤の流通状態にすることができ、又、オリフィス15によって、三方ボールバルブ11の一次側の構成を消火システム全体を作動させた時と同様の状態で作動させることができ、圧力計8によりベーンポンプ5の送圧を計り、それによりベーンポンプ5が所定の量の消火薬剤を圧送しているか否かの点検を行うことができ、第1配管経路R1において三方ボールバルブ11の一次側の構成が所定の機能を果たしているか否かの点検を行うことができる。
【0030】
尚、消火薬剤添加装置1の動作の流れを火災時と機能点検時とに分けて述べれば次の通りである。
【0031】
火災時においては、(1)火災発生により消火システムにおいて水の放出があり、(2)操作者が遠隔操作箱18の起動スイッチをオンすると、(3)ベーンポンプ5が起動し、又電動ボールバルブ10が開き、(4)消火薬剤タンク2内の水成膜泡原液が第1配管経路R1を流れて消火用配水管20内に注入され、(5)操作者が遠隔操作箱18の停止スイッチをオンすると、又は電極式レベルスイッチ2cにより消火薬剤タンク2内の渇水状態が検出されると(これによりベーンポンプ5の空打ちを防ぐ)、(6)ベーンポンプ5が停止し、又電動ボールバルブ10が閉止する。
【0032】
機能点検時においては、(1)三方ボールバルブ11の二次側流路を第1配管経路R1から第2配管経路R2に切り換え、(2)操作者が制御盤17の起動スイッチをオンすると、(3)ベーンポンプ5が起動し、又電動ボールバルブ10が開き、(4)消火薬剤タンク2内の水成膜泡原液が第1配管経路R1から三方ボールバルブ11を介して第2配管経路R2を流れて消火薬剤タンク2に還流され、ここで操作者は圧力計8を確認し、ベーンポンプ5が所定の量の消火薬剤を圧送しているか否かを点検し、(5)操作者が制御盤17の停止スイッチをオンすると、(6)ベーンポンプ5が停止し、又電動ボールバルブ10が閉止する。
【0033】
本実施の形態において、消火薬剤添加装置1は、消火用配水管20に水成膜泡原液を消火用配水管20内の消火水に添加するものであり、その添加により消火水を0.5乃至2.0%の水成膜泡溶液とするものである。水成膜泡原液としては、例えばメガフォ−ムF−623(商品名,大日本インキ株式会社製)を用いることができる。
【0034】
前記濃度の水成膜泡溶液であれば、水のままよりは消火能力は向上しつつも、その流体としての性質は水のときとほとんど変わらないものとすることができる。従って、消火薬剤添加装置1を、例えば、散水ヘッドから消火水を水のまま散水する消火システム、又はモニタノズルから消火水を水のまま放出する消火システムとして設計された消火システムに消火薬剤添加装置1を適用したとしても、その消火システムにおける散水分布又は放水到達距離を設計上のものからほとんど変わらないものとすることができ、散水又は放水ができずに、消火できない領域が発生してしまうということがないものとすることができる。
【0035】
従って、消火薬剤添加装置1は、消火システムにおける消火能力を向上させつつ、消火システムが消火水を水のまま散水或いは放水するものとして設計されたものであっても適合する。
【0036】
尚、この水成膜泡原液は、通常3%混入させて使用するものであり、0.5%以上とすることは、水だけでは消火し難い、例えばプラスティック火災の消火効果が認められる混合比であって、又、2%以下とすることは、水そのままを放出する場合に比べてそれほど射程が低下しない混合比である。このことから、水成膜泡原液として、通常6%混入させて使用するものの場合には1%から4%であり、合成界面活性原液等の異なる消火薬剤を用いる場合には、個々に、消火薬剤としての消火効果が認められる混合比から放水時の射程が低下しない範囲(防護領域のマージンとして例えば10%以内)の混合比までとすることができる。
【0037】
消火薬剤添加装置1は、一のユニットとすることができ、その様にすることで、既存の消火システムへの後付での適用を容易とすることができる。又、消火薬剤添加装置1を、消火薬剤タンク2の下方にベーンポンプ5を位置させる如く、パッケージングすることができ、その様にすることで消火薬剤タンク2から消火薬剤のベーンポンプ5への供給に重力を利用することができ、更に又、制御盤17の操作方向A1と三方ボールバルブ11の操作方向A2とを直交させる如く、消火薬剤添加装置をパッケージングすることができ、その様にすることで、一般操作者(即ち点検操作者以外)による三方ボールバルブ11の操作を防ぐことができる。
【0038】
本実施の形態においては、図2及び3に示す如き態様で、一のユニットとしてのパッケージングがなされている。即ち、フレームベース19を基台とし、フレームベース19の上側から見て略正方形状の一辺側に制御盤載置部19bが形成されているとともに、その隣り合う一辺側に配管支持部19dが形成されていて、タンク載置部19aに消火薬剤タンク2を載置し、制御盤載置部19bに消火薬剤タンク2と隣接する如く制御盤17を載置し、ポンプ収容部19cに、消火薬剤タンク2の下方に位置する如く、ボールバルブ3、ストレーナ4、ベーンポンプ5等を収容し、配管支持部19dにより、第1配管経路R1をその末端側において部分的にその軸心方向が操作盤17の操作方向A1に対すれば平行方向になるが如き向きで支持し、そして、当該部分的に支持した第1配管経路R1上に、圧力計8、ボールバルブ10、三方ボールバルブ11、リフトチャッキ12等を配置し、その末端に制御盤17の操作方向A1に対すれば直角方向になるが如き向きで外方に開口する消火薬剤添加口14を配置し、そして、消火薬剤タンク2に、その下部には第1配管経路R1の其端部が接続される消火薬剤吐出口2aを設け、その上部には第2配管経路R2の末端側が貫通する貫通口部2bを設け、その上方には安全弁16を設けている。
【0039】
又、配管支持部19dに支持されている第1配管経路R1上の各機器をポンプ収容部19c内に配置するようにしてもよく、設置面積を更に小さくすることができる。更に、ポンプ収容部19cの周囲を化粧版で覆うようにすれば、外観上フレームベース19内の機器を隠すことができ、美観に優れたものとなる。
【0040】
消火薬剤添加装置1は、その消火薬剤添加口14を消火用配水管20に着脱自在に設けることができ、例えば消火用配水管20の圧力計取付口等に着脱自在に接続可能とすることができ、消火用配水管20に対する接続を容易なものとすることができると共に、消火システム全体に対して一体的な配置、即ち省スペース化が可能である。
【0041】
又、制御手段としての制御盤17から配線L4を介して遠隔操作箱18を別の場所に設置することができるので、フレームベース19によりパッケージ化されたユニットを消火用配水管20の近傍に設置しながら、遠隔操作箱18を監視室や防災センタ等の操作者がいる場所に設置することができる。尚、本実施の形態として、操作者が遠隔操作箱18から起動スイッチをオンすることで、起動するように説明したが、起動スイッチのオンは、例えば、火災報知設備の火災感知器の動作に基づく移報信号に基づいてオンするようにしてもよく、いわゆる感知器連動によって起動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の消火薬剤添加装置の一の実施形態に係る装置構成を示すシステム系統図である。
【図2】同上の装置の正面図である。
【図3】同上の装置の平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 消火薬剤添加装置
2 消火薬剤タンク
2a 消火薬剤吐出口
2b 貫通口
2c 電極式レベルスイッチ
3 ボールバルブ
4 ストレーナ
5 ベーンポンプ(注入ポンプ)
6 モータ
7 バルブ
8 圧力計
9 モータ
10 電動ボールバルブ(制御弁)
11 三方ボールバルブ(メンテナンス弁)
12 リフトチャッキ
13 阻止バルブ
14 消火薬剤添加口
15 オリフィス
16 安全弁
17 制御盤(制御手段)
18 遠隔操作箱
19 ベース
19a タンク載置部
19b 制御盤載置部
19c ポンプ収容部
19d 配管支持部
20 消火用配水管
L1 配線
L2 配線
L3 配線
L4 配線
R1 第1配管経路(配管経路)
R2 第2配管経路(戻し配管経路)
R3 第3配管経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、
消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、
更に、前記配管経路の前記制御弁の二次側に、消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させる戻し配管経路及びメンテナンス弁を設け、
前記戻し配管経路及び前記メンテナンス弁を介して消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させて、前記メンテナンス弁の一次側の構成の機能点検を行えるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置。
【請求項2】
消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、
消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、
更に、前記配管経路よりメンテナンス弁を介して分岐し、前記消火薬剤タンクに至る戻し配管経路を設け、
前記メンテナンス弁の一次側に、前記消火薬剤タンクと、前記注入ポンプと、前記制御弁を有する制御手段とを配置し、
前記メンテナンス弁及び戻し配管経路を介して消火薬剤を前記消火薬剤タンクに還流させて、前記メンテナンス弁の一次側の構成の機能点検を行えるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置。
【請求項3】
消火用の配水管に消火薬剤を混入させる消火薬剤添加装置において、
消火薬剤タンクと、注入ポンプと、制御弁を有する制御手段と、これらを前記配水管に接続する配管経路とを設け、
前記消火薬剤タンクに収容する消火薬剤を水成膜泡原液とし、
前記配水管中の消火水が0.5%から2.0%の範囲の水成膜泡溶液となる如く、前記水成膜泡原液を前記配水管中の消火水に混入させるものとすることを特徴とする消火薬剤添加装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−158544(P2006−158544A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352056(P2004−352056)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)