説明

消臭材粉体散布機

【課題】 この発明は、牛舎内に設置されたバンクリーナーといって牛糞や尿等の運搬用コンベアー上で消臭材を自動散布し、悪臭を除去する為の消臭材粉体散布機を開発・提供する事にある。
【解決手段】 主として架台と、架台の上部に設けたホッパーと、モートル等の駆動手段と、ホッパーの下部に設けた消臭材散布量調整装置で構成され、且つ、該散布機はモートル等の駆動手段によって駆動軸側の回転運動を従動軸側に伝達する為のスプロケットやチェーン等の伝達手段をそれぞれ噛み合わせて巻回し、ホッパー内の消臭材を混錬しながら排出し、且つ、該ホッパー下部に設けたスライド式消臭材散布量調整装置によって糞や尿の臭気度合に応じた消臭材の散布量を調整可能にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳牛の糞及び尿による悪臭を消臭する為の消臭材粉体散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乳牛の糞等は、ある程度自然乾燥又は強制乾燥させて肥料として利用しているが、近隣・周囲の住民にとっては悪臭が民家に漂い、生活環境に悪影響を与えているというのが実態である。その悪臭を取り除く為に、大規模な堆肥プラントでは、プラント内で消臭処理しているが、小規模の堆肥舎では未だに対策が施されていないというのが現状である。
【0003】
そこで、これまでに出願されている粉体散布機の一例を参考の為に紹介する。(特許文献1〜2参照。)
【特許文献1】特開平8−113910
【特許文献2】特開平11−299411
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記課題を解決する為に、この発明は、牛舎内に設置されたバンクリーナーといって牛糞や尿等の運搬用コンベアー上で消臭材を自動散布し、悪臭を除去する為の消臭材粉体散布機を開発・提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する為の手段として、この発明は、主として架台と、架台の上部に設けたホッパーと、モートル等の駆動手段と、ホッパーの下部に設けた消臭材散布量調整装置で構成され、且つ、該散布機はモートル等の駆動手段によって駆動軸側の回転運動を従動軸側に伝達する為のスプロケットやチェーン等の伝達手段をそれぞれ噛み合わせて巻回し、ホッパー内の消臭材を混錬しながら排出し、且つ、該ホッパー下部に設けたスライド式消臭材散布量調整装置によって糞や尿の臭気度合に応じた消臭材の散布量を調整可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【0006】
又、ホッパーは、ホッパー本体下部のR中心両端部に軸受部を設け、且つ、該軸受部には従動軸Aを水平に貫通させて軸支し、該従動軸の中央円周部には消臭材混錬用のブラシ付回転羽根を複数軸支し、ホッパー本体底部に設けた消臭材排出用穴を常時掃除しながら混錬可能にし、且つ、該ホッパー本体底部の裏面部には消臭材排出量調整穴付スライド式開閉蓋と消臭材過剰排出防止用のマグネット式開閉蓋を上下に重合させて設け、消臭材の過剰排出を防止可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【0007】
又、スライド式消臭材散布量調整装置は、架台のほぼ中心両端部に軸受部を設け、且つ、該軸受部には、一端にスプロケット等の伝達手段を軸支した従動軸Bを設け、且つ、該ホッパーの下部には従動軸の軸芯から延長線上にやや下方側に傾斜角を設けた往復運動可能なスライドプレートを設け、且つ、従動軸Bの軸芯から所定寸法程ずらして軸支した従動軸B両端部とスライドプレート両端面部を連結軸で軸支したリンクプレートを設け、従動軸Bの回転運動をスライドプレートの往復運動に変換可能にし、振動させながら排出する事で、臭気度合に応じた消臭材の散布量を調整可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【発明の効果】
【0008】
この発明の効果として、ホッパーは、ホッパー本体下部のR中心両端部に軸受部を設け、且つ、該軸受部には従動軸を水平に貫通させて軸支し、該従動軸の中央円周部には消臭材混錬用のブラシ付回転羽根を複数軸支し、ホッパー本体底部に設けた消臭材排出用穴を常時掃除しながら混錬可能にし、且つ、該ホッパー本体底部の裏面部には消臭材排出量調整穴付スライド式開閉蓋と消臭材過剰排出防止用のマグネット式開閉蓋を上下に重合させて設ける事で消臭材の散布量を臭気度合いに応じた最適量に調整可能で、且つ、消臭材の過剰排出を防止可能にし、且つ、消臭材の散布作業を急停止時でも粉体が余分に排出する心配が無い。又、ホッパー底部の消臭材排出穴が目詰まりを起こす心配が無い。
【0009】
又、架台のほぼ中心両端部に軸受部を設け、且つ、該軸受部には、一端にスプロケット等の伝達手段を軸支した従動軸Aを設け、且つ、該ホッパーの下部には従動軸の軸芯から延長線上にやや下方側に傾斜角を設けた往復運動可能なスライドプレートを設け、且つ、従動軸の軸芯から所定寸法程ずらして軸支した従動軸B両端部とスライドプレート両端面部を連結するリンクプレートを設け、従動軸Bの回転運動をスライドプレートの往復運動に変換可能にする事で、臭気度合に応じた最適な消臭材の散布量を調整可能にする等、極めて有益なる効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の最良の形態として、予め牛糞の臭気度合いと、最適な消臭材の散布量と、駆動モートルの回転数の関係を実験データから求め、臭気度合いに応じて駆動モートルの回転数を自動制御出来る様にする必要がある。
【実施例1】
【0011】
そこで、この発明の一実施例を図1〜図5に基づいて詳述すると、乳牛の糞や尿に消臭材を散布する散布機であって、該散布機は、主として架台(1)と、架台の上部に設けたホッパー(2)と、モートル等の駆動手段(MO)と、ホッパーの下部に設けた消臭材散布量調整装置(3)で構成され、且つ、該散布機はモートル等の駆動手段(MO)によって駆動軸(M1)側の回転運動を従動軸A・B(2c)・(3a)側に伝達する為のスプロケット(S1)(S2)(S3)(S4)やチェーン(T1)(T2)等の伝達手段をそれぞれ噛み合わせて巻回し、ホッパー(2)内の消臭材(M)を混錬しながら排出し、且つ、該ホッパー(2)下部に設けたスライド式消臭材散布量調整装置(3)によって、糞や尿(SU)の臭気度合に応じた消臭材(M)の散布量を調整可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【0012】
又、ホッパー(2)は、ホッパー本体(2a)下部のR中心両端部に軸受部(2a’)を設け、且つ、該軸受部(2a’)には従動軸A(2c)を水平に貫通させて軸支し、該従動軸A(2c)の中央円周部には消臭材(M)混錬用のブラシ(2d)付回転羽根(2e)を複数軸支し、ホッパー本体(2a)底部に設けた複数の消臭材排出用穴(h)を常時掃除しながら混錬可能にし、且つ、該ホッパー本体(2a)底部の裏面部には消臭材排出量調整穴(h’)付スライド式開閉蓋(2f)と消臭材過剰排出防止用のマグネット式開閉蓋(2g)を上下に重合させて設け、消臭材の過剰排出を防止可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【0013】
又、スライド式消臭材散布量調整装置(3)は、架台(1)のほぼ中心両端部に軸受部(3b)(3b’)を設け、且つ、該軸受部(3b)(3b’)には、一端にスプロケット等の伝達手段(S4)を軸支した従動軸B(3a)を設け、且つ、該ホッパー(2)の下部には従動軸B(3a)の軸芯から延長線上にやや下方側に傾斜角(α)を設けた往復運動可能なスライドプレート(3c)を設け、且つ、従動軸B(3a)の軸芯から所定寸法(r)程ずらして軸支した従動軸(3a)両端部とスライドプレート(3c)両端面部を連結軸(3e)で軸支したリンクプレート(3d)(3d’)を設け、従動軸B(3a)の回転運動をスライドプレート(3c)の往復運動に変換可能にし、振動させながら排出する事で、臭気度合に応じた消臭材(M)の散布量を調整可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機から構成される。
【0014】
次に、この発明の作動原理について説明すると、図1に示す様に駆動軸(M1)の先端部と従動軸A(2c)の両端部にはスプロケット(S3)・(S1)(S2)が嵌着され、且つ、駆動軸(M1)と従動軸A(2c)間はチェーン(T1)が巻回され、駆動手段である駆動モートルの駆動軸(M1)が回転すると、ホッパー下部の従動軸A(2c)が回転する。又、従動軸A(2c)にはホッパー内の消臭材(M)を掻き混ぜる為のブラシ(2d)付回転羽根(2e)がボルト(B)・ナット(N)により固着され、従動軸A(2c)が回転する事で、ブラシ(2d)付回転羽根(2e)が回転し消臭材(M)がホッパー底部の消臭材排出用穴(h)から排出される。
【0015】
又、ホッパー底部の下面には消臭材の排出量を調整する為の調整穴(h’)付スライド式開閉蓋(2f)を前後にずらす事で排出穴の大きさを調整する事が出来る。又、スライド式開閉蓋(2f)の下面には、消臭材散布を停止した際に、粉体が過剰に排出しない様にする為に、マグネット式開閉蓋(2g)を設け、消臭材の散布中はマグネット(MG)が常時励磁されていてマグネット式開閉蓋(2g)の付け根部(2g’)が引き寄せられて開状態を維持し、消臭材の散布を停止すると、マグネット(MG)の励磁が解除され開閉蓋(2g)はスプリング(SP)によって元の閉状態に戻り、消臭材の排出が停止する。
【0016】
又、更にホッパー(2)の下部にはスライド式消臭材散布量調整装置(3)が設けられていて、従動軸B(3a)の一端部にスプロケットが嵌着され、従動軸A(2c)の回転運動がチェーン(T2)によって従動軸B(3a)に伝達され、従動軸B(3a)が回転すると、図5に示す様に従動軸B(3a)の両端に係止されたリンクプレート(3d)(3d’)によってスライドプレート(3c)がローラー(3f)の上を所定寸法(S)程往復運動し、ホッパー(2)から排出された消臭材(M)が更に振るいに掛けられながらバンクリーナー(C)の上に落下し、牛糞の匂いを消臭する仕組みに成っている。
【0017】
次に、この発明の使用方法について説明すると、図6に示す様に、バンクリーナー(C)の最終地点に消臭材粉体散布機を消臭材(M)がスライドプレート(3c)の傾斜角(α)に沿って落下し易い方向に設置した後、ホッパーの蓋(2b)を開けて消臭材(M)をホッパー本体(2a)に入れる。そして、駆動用インバーターモートルの電源スィッチボタンを押して消臭材を掻き混ぜながら排出する。但し、駆動用インバーターモートル(MO)の回転数は、予め臭気度合いに応じて回転数を自動制御出来る様に制御装置のプログラムを設定しておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明の消臭材粉体散布機は、牛舎内に設置されたバンクリーナーといって牛糞や尿等の運搬用コンベアー上で消臭材を自動散布し、悪臭を除去する為、多くの酪農市場に寄与する点で、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施例を示し、正面図である。
【図2】この発明の一実施例を示し、右側面図である。
【図3】この発明の一実施例を示し、(A)は平面図で、(B)はホッパー底部の消臭材排出穴の拡大詳細図である。
【図4】この発明の一実施例を示し、図1のa部(ホッパー下部)拡大断面図である。
【図5】この発明の一実施例を示し、消臭材散布量調整装置(スライドプレート)の作動手順図である。
【図6】この発明の使用例を示し、正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 架台
2 ホッパー
2a ホッパー本体
2a’ 軸受部
2b ホッパーの蓋
2c 従動軸A
2d ブラシ
2e 回転羽根
2f スライド式開閉蓋
2g マグネット式開閉蓋
2g’ 付け根部
3 スライド式消臭材散布量調整装置
3a 従動軸B
3b 軸受部
3b’ 軸受部
3c スライドプレート
3d リンクプレート
3d’ リンクプレート
3e 連結軸
3f ローラー
B ボルト
C バンクリーナー(牛糞や尿等の運搬用コンベアー)
M 消臭材
MO モートル等の駆動手段
M1 駆動軸
MG マグネット
N ナット
r 所定寸法(軸芯からのオフセット寸法)
S 所定寸法(スライドプレートの往復移動寸法)
S1 スプロケット
S2 スプロケット
S3 スプロケット
SP スプリング
SU 糞や尿
T1 チェーン
T2 チェーン
W ワッシャー
α 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳牛の糞や尿に消臭材を散布する散布機であって、該散布機は、主として架台(1)と、架台の上部に設けたホッパー(2)と、モートル等の駆動手段(MO)と、ホッパーの下部に設けた消臭材散布量調整装置(3)で構成され、且つ、該散布機はモートル等の駆動手段によって駆動軸(M1)側の回転運動を従動軸A・B(2c)(3a)側に伝達する為のスプロケット(S1)(S2)(S3)(S4)やチェーン(T1)(T2)等の伝達手段をそれぞれ噛み合わせて巻回し、ホッパー(2)内の消臭材(M)を混錬しながら排出し、且つ、該ホッパー(2)下部に設けたスライド式消臭材散布量調整装置(3)によって、糞や尿(SU)の臭気度合に応じた消臭材(M)の散布量を調整可能にした事を特徴とする消臭材粉体散布機。
【請求項2】
ホッパー(2)は、ホッパー本体(2a)下部のR中心両端部に軸受部(2a’)を設け、且つ、該軸受部(2a’)には従動軸A(2c)を水平に貫通させて軸支し、該従動軸A(2c)の中央円周部には消臭材(M)混錬用のブラシ(2d)付回転羽根(2e)を複数軸支し、ホッパー本体(2a)底部に設けた複数の消臭材排出用穴(h)を常時掃除しながら混錬可能にし、且つ、該ホッパー本体(2a)底部の裏面部には消臭材排出量調整穴(h’)付スライド式開閉蓋(2f)と消臭材過剰排出防止用のマグネット式開閉蓋(2g)を上下に重合させて設け、消臭材の過剰排出を防止可能にした事を特徴とする請求項1記載の消臭材粉体散布機。
【請求項3】
スライド式消臭材散布量調整装置(3)は、架台(1)のほぼ中心両端部に軸受部(3b)(3b’)を設け、且つ、該軸受部(3b)(3b’)には、一端にスプロケット等の伝達手段(S4)を軸支した従動軸B(3a)を設け、且つ、該ホッパー(2)の下部には従動軸B(3a)の軸芯から延長線上にやや下方側に傾斜角(α)を設けた往復運動可能なスライドプレート(3c)を設け、且つ、従動軸B(3a)の軸芯から所定寸法(r)程ずらして軸支した従動軸B(3a)両端部とスライドプレート(3c)両端面部を連結軸(3e)で軸支したリンクプレート(3d)(3d’)を設け、従動軸B(3a)の回転運動をスライドプレート(3c)の往復運動に変換可能にし、振動させながら排出する事で、臭気度合に応じた消臭材(M)の散布量を調整可能にした事を特徴とする請求項1記載の消臭材粉体散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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