説明

消音と珠ずれ防止機能付きそろばん

【課題】 そろばんを使う際に生じる騒音による周囲の迷惑と、弾いた珠の位置のずれによる見取り違いの誤回答を解消するために、消音と珠ずれ防止機能付きそろばんを提供する。
【解決手段】 そろばんの珠と、弾いた珠が当たる枠の内側と梁の両側の間、そしてそろばんの底面に低反発素材を設けた、消音と珠ずれ防止機能付きそろばんを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、そろばんの珠が当たる周囲の枠や梁の側面と、そろばんの枠の底面に制振性のある低反発性素材を設けた、「消音と珠ずれ防止機能付きそろばん」に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、そろばんの珠が当たる枠や梁は、木材やプラスチック、または金属等の堅い素材で出来ていて、制振性はほとんど無かった。
また、机などに置いた際に接するその枠の裏の表面は、滑らかですべりやすいものが大半だった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは、次のような欠点があった。
従来のそろばんは、そのほとんどが木やプラスチックなどの堅い材料で出来ていて,その使われ方から珠を弾く際、また、弾いた珠を元の位置に戻す際に、部材同士がぶつかることで極めて大きな音が立ち,その騒音が周囲の迷惑になっていた。
そして、その迷惑は、住宅街の中にあるそろばん教室が、近隣の住民からの苦情によって、閉鎖を余儀なくされる事もあるほどであった。
一部、そろばん自体のすべり止めのために、枠自体に輪ゴムをはめるなどする習慣もあったが、それも消音効果はほとんどなかった上,そのゴムとそろばんを載せた台の面との摩擦力が大きすぎるが故に、そろばんを机などの上で滑らせて移動することが困難であった。
またさらに、計算の際に弾いたそろばんの珠が、堅い枠や梁に当たって跳ね返ったり、滑りやすい枠が不意にその位置を移してしまうことにより珠の位置がずれて狙い通りに定まらず,それが指し示す数値を正しく読み取れないせいで、回答が正確に得られないことも数多くあり、計算機としての信頼性にやや欠ける面があった。
本発明は、以上のような欠点と不都合を無くすために、なされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そろばんの珠と、弾かれた珠が当たる枠と梁の内側四側面との間に、制振性のある低反発素材を設けて、使用時に,珠が枠や梁にぶつからないようにして騒音が出ないようにした上、弾いたときの珠の跳ね返りを防いで、移動させた位置からずれないようにする。
また、枠の底面にも、制振性のある低反発性素材を設けて、そろばんの枠から出る音を吸収させ,底面の滑り具合もほどよくなるようにする。
本発明は、以上の構成よりなる「消音と珠ずれ防止機能付きそろばん」である。
【発明の効果】
【0006】
まず、指で弾くそろばんの珠が当たる構造面すべてに、制振性のある低反発性素材を設けてあるので、弾いた珠が当たって出る音の振動が、低反発素材に吸収されて小さくなった。
直接、低反発性素材に当たらない珠の出す音の振動と衝撃も、隣の珠に伝わっていって、その先にある低反発性素材に吸収されるので、消音効果が十分に得られた。
さらにその際に、制振性のある低反発性素材が、当たる珠の衝撃を吸収し、その跳ね返りを最小限に抑える。
それにより、弾いた珠が狙い通りの位置に定まり,正確な珠の位置が読み取れるようになるので、正しい解答が得られ、計算機としての信頼性が高まった。
そして、同じく低反発性素材を設けた底面は、珠を弾く際にそろばん全体から出る音とその衝撃や振動を、その大きな制振容量で吸収し,さらに、そろばんとそろばん自体を載せた机などの板状の平面の間にあって、そろばんから机などへ伝わっていた振動や衝撃を遮断し、その共振を防ぎ,大きな消音効果をそろばんにもたらす。
これらの効用により、静寂な環境でも使用可能な、静かなそろばんが出来上がった。
さらに、底面に設けた低反発性素材は、すべり止めのために用いられていた輪ゴムなどと比較して、使用時に必要な場合動かしやすいので、順次数値を入力しながら、スムーズにそろばんを移動させる事が可能になった。
そして、不意にそろばんの位置が動くことも無くなったおかげで、弾いた珠の位置がずれなくなり、珠が指し示す数値の読み取り間違いが減り、比較的正確な解答が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の斜視図である。
【図2】 本発明の断面図である。
【図3】 本発明に用いる圧着治具の斜視図である。
【図4】 本発明に用いるフォーク型治具の斜視図である。
【図5】 本発明に用いる低反発素材で出来た上乗せ型消音シート使用時の斜視図である。
【図6】 本発明に用いる低反発素材で出来た波形消音シート使用時の斜視図である。
【図7】 本発明にリングを使用した場合の断面図である。
【図8】 本発明の底面の斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下,本発明を実施するための形態について説明する。
表面を滑らかに加工し、穴を開けた低反発素材(5)の角を丸くして面を取っておく。
その理由は、枠(2)や梁(3)の上端に摩擦抵抗の高い低反発性素材(5)の角が出過ぎていると、珠(1)を弾く際に指先が当たって擦れ、指が引っかかるので、それを防ぐためである。(図 2)
その低反発素材(5)の穴を、梁(3)に通した軸(4)に差し入れて仮組みする。
それを、軸(4)のピッチに合わせて穴を開け、軸(4)を通せるようにした圧着治具(6)で挟んで押さえ、梁(3)の側面に貼る。(図 3)
珠(1)を軸に差し込んだ後,今度は枠(2)の内側に貼る低反発素材(5)を軸(4)に差し込み,枠(2)を組んでそろばんの形にする。
その後に,今度はフォークのような形の治具(7)を軸(4)と軸(4)の間、珠と枠側の低反発素材の間に差し入れ,それ(5)を押さえて,台等の上に載せた枠(2)に圧着する。(図 4)
この低反発素材(5)の下半分を切り落とした形のものを用いて、枠(2)や梁(3)につけた切り込みに載せるように貼る方法もある。(図 5)
また、この低反発素材(5)の上部の、軸(4)を通す穴を切り広げるようにして、口空きの波形にしたもの(8)を用いてもいい。(図 6)
この他、軸(4)にリング状の低反発素材(9)を装着してそろばんの珠(1)と枠(2)や梁(3)の間に納め,同じ効果を得る方法もある。(図 7)
これら別の方法は、柔らかく寸法安定性が低い低反発素材を、無理無く定着させるためのものである。
そしてそろばんの底面にも、摩擦抵抗と制振性のある低反発素材で作ったカマボコ型のシート(10)を貼り付ける。(図 8)
その理由は、使用中に、そろばんを置く机などの平面上の突起などに当たっても、手でそろばんの縁を触っても、低反発素材(10)の縁が引っかからず,剥がれにくいからである。
こちらは、軸(4)に通して枠(2)や梁(3)に貼り付けるものと別に,机などの上に置いた際に、人の手で容易に動かせる程度の半滑り止め摩擦体と言うべき、この目的に適当な摩擦抵抗がある仕上げにした表面のもの(10)を用いる。
その理由は、使用中のそろばんの位置が不意に動いてずれることもなく、且つ用がある際には、手で速やかに机等の上を移動させる事ができるようにするためである。
本発明は、以上のような構造である。
使用する際は、今までのそろばんと同じように、通常通り用いてさしつかえない。
【符号の説明】
【0009】
1 そろばんの珠
2 枠
3 梁
4 軸
5 滑らかな表面の低反発素材
6 圧着治具
7 フォーク型の押さえ治具
8 波状で滑らかな表面の低反発素材
9 リング状の低反発素材
10 摩擦抵抗のある低反発素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾いたそろばんの珠(1)と、それが当たる内枠(2)や梁(3)との間に低反発素材(5)を設けた、「消音と珠ずれ防止機能付きそろばん」。
【請求項2】
指が当たらないように角の面を取った、滑らかな表面の消音用の低反発素材(5)。
【請求項3】
部材を、挟んで圧着するための治具(6)。
【請求項4】
部材を押さえて定着させるためのフォークのような形の治具(7)。
【請求項5】
そろばんの底面に、多少の摩擦抵抗と制振効果のある低反発素材(10)を設けた、「消音と珠ずれ防止機能付きそろばん」。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−243215(P2011−243215A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−154303(P2011−154303)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(511161890)