説明

液または泥状物の消臭方法、消臭剤およびその製造方法

【課題】 次亜塩素酸塩の消臭効果を高くするとともに、塩素臭の発生をなくし、安全性が高く、腐食性が低く、かつ保存安定性が良好であり、少ない添加量で、短時間に効果的に消臭できる液または泥状物の消臭方法、消臭剤およびその製造方法を提案する。
【解決手段】
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリ水溶液にスルファミン酸を添加して溶解し、さらに塩素系酸化剤を添加して混合し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含む消臭剤を、液または泥状物に添加し、硫化水素および/またはメルカプタンを含有もしくは生成する臭気原因成分を含む液または泥状物の消臭を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水、汚泥、ヘドロ等の臭気が問題となる液または泥状物の消臭方法および消臭剤に関し、特に硫化水素、メルカプタンに起因する臭気を除去する液または泥状物の消臭方法、消臭剤およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場の排水処理、汚泥処理工程、下水道管路、下水処理場、河川や臨海の浚渫現場等においては、硫化水素、メルカプタンをはじめとした臭気が発生する。また石油精製プロセス、紙パルププロセスなどの製造現場では、溶存硫化物を含んだ排水が発生するため、この排水の溶存硫化物処理、臭気対策が要求されている。
【0003】
従来より、硫化水素、メルカプタン等に起因する臭気物質を含む液または泥状物などの水系対象物を消臭する場合、酸化剤による処理が行われてきた。すなわち対象物に酸化剤を添加し、対象物の中で臭気物質を酸化反応させることにより、無臭物質や低臭物質に分解、変換する処理が行われてきた。このような酸化剤としては、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩などの塩素酸化物を含む薬剤が使われてきた。
【0004】
このうち亜塩素酸塩、塩素酸塩などは、酸化性が高く消臭効果に優れるが、爆発性、毒性、取扱性に難点があるため、主として次亜塩素酸塩が使用されてきた。しかし次亜塩素酸塩は消臭効果に劣るため、他の酸化剤との併用、例えば特許文献1(特開平6−320195)では亜塩素酸塩との併用、特許文献2(特開2000−157967)では臭素酸塩との併用により、消臭効果を高める試みがなされてきた。これらで併用される亜塩素酸塩や臭素酸塩は、前述の問題点があり、根本的な解決にならない。
【0005】
また次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩などの塩素酸化物は、塩素臭(カルキ臭)が発生するため、その対策が求められている。この塩素臭に対応するものとして、特許文献3(特開平7−148234)には、トイレ、冷蔵庫等の家庭用の消臭剤として、アンモニアおよび/またはアミノ化合物の窒素部位にハロゲン原子を一つ以上保有するクロラミン化合物を含有する消臭剤が提案され、タウリン、ザルコシン、2−アミノエタノール等のクロラミン化合物について、消臭効果が示されている。この特許文献3には、窒素化合物として、スルファミン酸が例示されているが、実際の消臭効果が示されていない。
【0006】
特許文献3には、アミノ化合物に次亜塩素酸ナトリウムを当モル量添加して混合すればクロラミン化合物が得られると記載されているが、例示されたスルファミン酸に次亜塩素酸ナトリウムを直接混合する方法では、添加直後から気泡が次々に発生し、安定した製剤を得ることができなかった。尿素、タウリン、グリシン、サルコシンの場合も、次亜塩素酸ナトリウムを直接混合することにより泡が発生し、安定した製剤が得られなかった。発生する気泡は次亜塩素酸ナトリウムが分解して発生した塩素ガスと想定される。特許文献3が対象とするトイレ、冷蔵庫等の家庭用の消臭剤の場合は、低濃度、小規模のため製造が可能であっても、大規模な排水、汚泥等の液または泥状物の消臭用として適用は困難である。
【0007】
また特許文献4(特表2006−502763)には、便器その他の臭気を発する機器用の洗浄もしくは脱臭製品として、塩素化剤と不溶性緩衝アルカリ塩とを含む脱臭製品が提案され、塩素化剤としてクロラミン−T、次亜塩素酸ナトリウムとシアヌル酸ナトリウムとを含む塩素化剤、トリクロロメラミンについて消臭効果が示されている。この特許文献4には、塩素化剤としてモノ−もしくはジ−クロロスルファミン酸のナトリウムまたはカリウム塩が例示されているが、実際の消臭効果が示されていない。
【0008】
一方、特許文献5(特開2002−172155)には、ポータブルトイレ用消臭剤として、塩化イソシアヌル酸と有機酸アルカリ金属化合物と無機酸アルカリ金属化合物とを含有する消臭剤が記載され、前記無機酸アルカリ金属化合物として、スルファミン酸ナトリウムを用いることが提案されているが、有機酸アルカリ金属化合物を用いない場合、すなわち塩化イソシアヌル酸とスルファミン酸ナトリウムのみの組合せの場合には、スルファミン酸ナトリウムは消臭に対して何ら影響を与えていないことが実験的に確かめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−320195
【特許文献2】特開2000−157967
【特許文献3】特開平7−148234
【特許文献4】特表2006−502763
【特許文献5】特開2002−172155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、前記のような従来の問題点を解決するため、次亜塩素酸塩などの塩素系酸化剤の消臭効果を高めるとともに、塩素臭の発生をなくし、安全性、安定性が高く、腐食性が低く、かつ取扱性、保存安定性が良好であり、少ない添加量で、短時間に効果的に消臭できる液または泥状物の消臭方法および消臭剤、ならびにその効率的な製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は次の液または泥状物の消臭方法、消臭剤およびその製造方法である。
(1) 臭気原因成分を含む液または泥状物に、
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含む消臭剤を添加することを特徴とする液または泥状物の消臭方法。
(2) 結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1である上記(1)記載の方法。
(3) 結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 塩素系酸化剤が次亜塩素酸またはその塩である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 液または泥状物が、硫化水素および/またはメルカプタンを含有もしくは生成する臭気原因成分を含むものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 臭気原因成分を含む液または泥状物に添加して消臭する消臭剤であって、
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含むことを特徴とする液または泥状物の消臭剤。
(7) 結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1である上記(6)記載の消臭剤。
(8) 結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である上記(6)または(7)記載の消臭剤。
(9) 塩素系酸化剤が次亜塩素酸またはその塩である上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の消臭剤。
(10) アルカリ金属水酸化物からなるアルカリ水溶液にスルファミン酸を添加して溶解し、得られたスルファミン酸−アルカリ混合水溶液に、塩素系酸化剤を添加して混合し、一製剤として調製することを特徴とする液または泥状物の消臭剤の製造方法。
(11) アルカリ水溶液は、水の量が55〜85重量%である上記(10)記載の製造方法。
(12) スルファミン酸の添加量は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である上記(10)または(11)記載の製造方法。
(13) 塩素系酸化剤の添加量は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1となる量である上記(10)ないし(12)のいずれかに記載の製造方法。
【0012】
本発明において、消臭の対象となる液または泥状物は、排水、汚泥、ヘドロ等の臭気原因成分を含む液または泥状物であり、特に硫化水素および/またはメルカプタンを含有もしくは生成する臭気原因成分を含む液または泥状物である。このような液または泥状物としては、工場排水、都市下水、家庭排水、その他の有機性排水、これらの処理汚泥、浚渫汚泥、ヘドロ、その他の汚泥、それらの脱水物(脱水ケーキ)など、水系の液または泥状物があげられる。このような液または泥状物としては、それ自体硫化水素および/またはメルカプタン臭、その他の臭気を発するもののほか、反応、分解等により硫化水素および/またはメルカプタン臭、その他の臭気を発するものを含む。
【0013】
本発明において、このような液または泥状物を消臭するための消臭剤は、アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤の水溶液を含むものである。本発明の消臭剤は、上記結合塩素剤の一製剤として調製された水溶液であることが、反応性、安定性、取扱性、無塩素臭等の面から重要であり、水溶液の状態で液または泥状物に添加して、その消臭に使用される。このような消臭剤は、後述の製造方法により使用現場で製造して使用しても良いが、貯蔵安定性が優れるため、予め工場等で製造したものを現地に運搬して使用しても良い。この場合、結合塩素剤水溶液中の水の量は、貯蔵および運搬等の面からは、可能な限り低くするのが望ましいが、製造効率、貯蔵安定性等の面からは、全体の水の量として50〜90重量%、好ましくは60〜75重量%とするのが好適である。
【0014】
上記結合塩素剤は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1、好ましくは0.3〜0.9とされる。高温(40℃保存)での経時安定性が損なわれるため、Cl/N(モル比)は1以下、好ましくは0.9以下とするのが好ましい。Cl/N(モル比)がこの範囲より小さいと、結合塩素を高濃度で配合できない。
【0015】
実用的には、製剤中に結合塩素が有効塩素として0.17mol/kg以上含まれる製剤が好ましい。この濃度は、12%Cl換算の次亜塩素酸ナトリウム液を製剤中に10%以上配合した(仕込んだ)結合塩素剤である。これより配合率が低いと、工業用消臭剤としては添加率が高くなりすぎて不適である。更に、製剤中に結合塩素が有効塩素として0.85mol/kg以上含まれるものが好ましい。この濃度は、12%Cl換算の次亜塩索酸ナトリウム液を製剤中に50%以上配合した(仕込んだ)結合塩素剤である。
【0016】
結合塩素剤に用いられるスルファミン酸は、RNSOH・・・〔1〕で表されるアミド硫酸で、R、Rはそれぞれ独立にH、炭素数1〜6の炭化水素基である。このようなスルファミン酸としては、R、RがそれぞれHである狭義のスルファミン酸が好ましいが、N−メチルスルファミン酸、N,N−ジメチルスルファミン酸、N−フェニルスルファミン酸なども使用できる。これらのスルファミン酸は、塩で添加してもよく、この場合の使用可能な塩としては、上記結合塩素剤水溶液としたときに可溶性のものがあげられ、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸アンモニウム等を用いることができる。塩素系酸化剤としては、次亜塩素酸またはその可溶性塩があげられ、好ましくは次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等のアルカリ金属塩があげられる。アルカリはアルカリ金属水酸化物からなるものであり、このようなアルカリとして、上記結合塩素剤水溶液としたときに可溶性を維持するものがあげられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0017】
本発明においてアルカリは、反応性、安定性、取扱性、無塩素臭等の面から重要である。結合塩素剤は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3、好ましくは1.3〜2の量で含むものが好ましい。
【0018】
アルカリ金属/スルファミン酸(モル比)の値が1より小さいと、中和されないスルファミン酸が残留して酸性となる。この場合、次亜塩素酸ナトリウムを混合して結合塩素を得ようとしても、酸性下では次亜塩素酸ナトリウムが自己分解してしまい、目的の結合塩素剤が得られない。仮に、製剤ができたとしても不安定な製剤となる。また、アルカリ金属/スルファミン酸(モル比)の値が3より大きいと、過剰なアルカリ剤が配合されるため、結合塩索の濃度が低くなり、有効成分濃度が低い製剤となってしまう。実用的には、製剤中に結合塩素が有効塩素として0.17mol/kg以上含まれる製剤が好ましい。この濃度は、12%Cl換算の次亜塩素酸ナトリウム液を製剤中に10%以上配合した(仕込んだ)結合塩素剤である。これより配合率が低いと、工業用消臭剤としては添加率が高くなりすぎて不適である。さらに製剤中に結合塩素が有効塩索として0.85mol/kg以上含まれるものが好ましい。この濃度は、12%Cl換算の次亜塩素酸ナトリウム液を製剤中に50%以上配合した(仕込んだ)結合塩素剤である。製剤中に結合塩素を0.85mol/kg以上配合したような高濃度製剤の場合、アルカリ金属/スルファミン酸(モル比)が1.3より小さいと、高温(40℃保存)での経時安定性が損なわれる。また、アルカリ金属/スルファミン酸(モル比)が2より大きいと、結合塩素を上記のように高濃度配合できない(12%Cl換算次亜塩素酸Na液、48%水酸化Na液を使用した場合)。
【0019】
本発明の消臭剤は、上記の成分のほか、さらに必要に応じて、殺生物剤、増殖抑制剤、腐食防止剤、銅用防食剤、スケール防止剤、消泡剤、界面活性剤などの補助成分を配合することができる。これら補助成分の配合量は、それぞれの機能に応じて必要な量とされる。
【0020】
上記の消臭剤は、アルカリ金属水酸化物からなるアルカリ水溶液にスルファミン酸を添加して溶解し、得られたスルファミン酸−アルカリ混合水溶液に、塩素系酸化剤を添加して混合し、一製剤の結合塩素剤水溶液として調製することにより製造することができる。このような製造方法により、消臭効果が高く、塩素臭の発生がなく、安全性、安定性が高く、腐食性が低く、かつ取扱性、保存安定性が良好であり、少ない添加量で、短時間に効果的に消臭できる消臭剤を効率的に製造することができる
【0021】
スルファミン酸を添加するアルカリ水溶液は、水の量が60〜85重量%、好ましくは55〜85重量%とする。スルファミン酸の添加量は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3、好ましくは1.3〜2となる量とする。スルファミン酸は、スルファミン酸またはその塩を、粉末状態で、あるいは水溶液の状態で添加することができる。スルファミン酸塩を用いる場合、スルファミン酸塩に含まれるアルカリ金属の量は、アルカリとして加算される。水溶液を用いる場合は、水溶液に含まれる水の量は、前記アルカリ水溶液の水の量として加算される。
【0022】
塩素系酸化剤の添加量は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1、好ましくは0.3〜0.9となる量とする。塩素系酸化剤は次亜塩素酸またはその塩が好ましく、有効塩素(Cl)濃度として5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%水溶液として添加するのが好ましい。これにより発泡や塩素臭の発生はなく、反応性、安定性、取扱性、無塩素臭等に優れた結合塩素剤水溶液を効率よく製造することができる。この場合でも、塩素系酸化剤を徐々に添加して混合するのが好ましい。
【0023】
本発明における結合塩素および有効塩素量は、JIS K 0400−33−10:1999のDPD法で測定した値である。スルファミン酸およびアルカリ金属の量は、天子天秤で測定した値である。
【0024】
本発明の消臭方法は、前記臭気原因成分を含む液または泥状物に、前記結合塩素剤水溶液を含む消臭剤を添加し、液または泥状物の消臭を行う。この場合、被処理液または泥状物の上面に添加するだけで消臭できる場合があるが、一般的には消臭剤を添加して液または泥状物を攪拌混合することにより消臭を行うことができる。消臭剤の添加量は、液または泥状物の種類、性状、臭気原因成分の種類、性状、量、消臭剤の組成等により異なるが、一般的には有効塩素として0.01〜100mmol/L、好ましくは0.1〜10mmol/Lとすることができる。
【0025】
添加混合の方法は限定されないが、液または泥状物と消臭剤が均一に混合されて反応するように、攪拌器、混合機、混練機等の機械的混合手段を用いるのが好ましい。添加混合は開放系または密閉系で行ってもよく、また常温、加温または冷却下に行ってもよい。
【0026】
消臭剤の添加場所は、消臭効果を得たい場所そのもの、消臭効果を得たい場所に対象物が流れ込む配管、流路などの手前などがあり、このような場所において、対象系に結合塩素化合物を添加して消臭することができる。消臭剤はあらかじめ各成分を混合して調製しておいたものを、上記添加場所に運搬して添加してもよいが、添加場所(オンサイト)で添加直前に各成分を混合して、スルファミン酸アルカリ塩の結合塩素化合物を調製し、そのまま対象物に添加することにより、活性の高い消臭剤処理を行うことができる。
【0027】
消臭剤添加の具体的な場所としては、以下の場所が挙げられる。
1)貯留タンクやサービスタンクなど、水系対象物が滞留する場所。
2)濃縮機や脱水機や吸引機など、水系対象物の処理機器。
3)処理機器の手前の水系対象物の供給部。
4)配管、管路、暗渠など、水系対象物の流路。
【0028】
消臭剤を添加することにより、液または泥状物に含まれる臭気原因成分は、消臭剤に含まれる結合塩素剤により消臭される。この場合、結合塩素剤がスルファミン酸と、塩素系酸化剤とから形成されていることにより、硫化水素、メルカプタンをはじめとした還元性硫黄臭気物質との反応性に優れ、他の被酸化物質に消費されることなく、先の臭気原因物質と反応するため、同塩素量の次亜塩素酸塩よりも少ない添加量で消臭効果が得られるものと推測される。
【0029】
消臭剤の添加後は、開放もしくは密閉状態で、静止または攪拌状態に維持することにより、長期にわたり消臭状態を維持することができる。消臭剤の添加後液または泥状物は、貯留、処理、脱水、処分等が行われるが、いずれの状態でも、消臭状態を維持することが可能である。例えば貯留中に消臭効果が低下したときには、再度消臭剤を添加して消臭処理を行うことができる。
【0030】
上記のようにして臭気原因成分を含む液または泥状物に、本発明の消臭剤を添加することにより、同じ塩素系酸化剤を添加するときよりも、少ない添加量で、短時間に脱臭を行うことができ、脱臭剤は安全で、塩素臭がなく、取扱も容易であり、作業性もよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、臭気原因成分を含む液または泥状物に、アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含む消臭剤を添加することにより、次亜塩素酸塩などの塩素系酸化剤の消臭効果を高めるとともに、塩素臭の発生をなくし、安全性、安定性が高く、腐食性が低く、かつ取扱性、保存安定性が良好であり、少ない添加量で、短時間に効果的に液または泥状物の消臭を行うことができる。また本発明の消臭剤の製造方法によれば、上記のような消臭剤を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ実施例1、比較例1、2の結果を示すグラフである。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ実施例2、比較例3、4の結果を示すグラフである。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ実施例3、比較例5の結果を示すグラフである。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ実施例3、比較例6の結果を示すグラフである。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ実施例3、比較例5、7〜9の結果を示すグラフである。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ実施例4、比較例10の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施例、比較例について説明する。各例中の%および部は、特に指示のない限り重量%および重量部を示す。
消臭剤の製造方法は次の通りである。
〔消臭剤の製造方法〕:
各例の表に示す量の純水に水酸化ナトリウムを添加して溶解し、さらにスルファミン酸ナトリウムを添加して溶解し、その後、各表に示す量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して溶解し、各実施例の消臭剤を製造した。実施例の消臭剤における特定の成分を変更または省略して、各比較例の消臭剤を製造した。
【0034】
消臭試験方法は次の通りである。
〔消臭試験方法〕:
1)300mLポリエチレンビーカーに、排水、汚泥などの被処理物の試料200mLを採取する。
2)各消臭剤を所定の塩素濃度になるよう添加し、スパーテルにて10秒間攪拌する。
3)消臭剤添加1分後、上記攪拌試料50mLを500mLポリエチレンビンに採取し、開閉式の細孔を設けた蓋をして密閉する。
4)振盪機にて2分間強く振盪する。
5)細孔に検知管を挿入し、ポリエチレンビンの空隙に充満した臭気物質濃度を測定する。
【0035】
臭気物質の濃度測定方法は次の通りである。
〔臭気物質濃度測定〕:
1)検知管法にて実施。
2)検知管は次のガステック社製検知管を使用。
3)硫化水素;検知管No‥4LL、4M、4H
4)メチルメルカプタン;検知管No‥71
5)表記中、0ppmは検知されないことを示す。
6)検知限界は硫化水素、メチルメルカプタンともに1ppmである。
【実施例】
【0036】
〔実施例1、比較例1、2〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表1の消臭剤を製造した。実施例1の消臭剤は、アルカリ、スルファミン酸および次亜塩素酸ナトリウムを含む本発明の結合塩素剤に相当するものである。比較例1の消臭剤は、スルファミン酸を含まない次亜塩素酸ナトリウムに相当するものである。比較例2の消臭剤は、スルファミン酸を含まない亜塩素酸ナトリウムからなるものである。
【0037】
【表1】

【0038】
これらの消臭剤を、下水処理場の重力濃縮汚泥と機械濃縮汚泥の混合汚泥A(SS:2.75%、VSS(対SS):87.5%、TS:2.91%、VTS(対TS):85.4%、繊維(対SS):22.9%、pH5.15、EC:190mS/m)に、図1のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0039】
上記の消臭試験中、実施例1の結合塩素剤の場合は塩素臭がしなかったが、比較例1、2では塩素臭があり、特に比較例1では激しかった。各例の硫化水素濃度の測定結果を図1(a)に示し、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図1(b)に示す。図1(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例1の結合塩素剤は、比較例1と同じ量の次亜塩素酸ナトリウムを用いるにもかかわらず、比較例1よりも少ない塩素添加率で消臭効果が得られ、酸化力の強い比較例2の亜塩素酸ナトリウムと同等またはそれ以上の消臭効果が得られることが分かる。
【0040】
〔実施例2、比較例3、4〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表2の消臭剤を製造した。実施例2、比較例3、4の消臭剤は、前記表1に示した実施例1、比較例1、2の消臭剤における各成分の配合割合を変えたものである。
【0041】
【表2】

【0042】
これらの消臭剤を、下水処理場の重力濃縮汚泥B(SS:2.41%、VSS(対SS):91.3%、TS:2.61%、VTS(対TS):84.2%、繊維(対SS):44.0%、pH5.45、EC:128.1mS/m)に、図2のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0043】
上記の消臭試験中、実施例2の結合塩素剤の場合は塩素臭がしなかったが、比較例3、4では塩素臭があり、特に比較例3では激しかった。各例の硫化水素濃度の測定結果を図2(a)に示し、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図2(b)に示す。図2(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例2の結合塩素剤は、比較例3と同じ量の次亜塩素酸ナトリウムを用いるにもかかわらず、比較例3、4よりも少ない塩素添加率で消臭効果が得られ、酸化力の強い比較例4の亜塩素酸ナトリウムより優れた消臭効果が得られることが分かる。
【0044】
〔実施例3、比較例5、6〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表3の消臭剤を製造した。実施例3の消臭剤は、前記実施例1、2の消臭剤の各成分の配合割合を変えたものである。比較例5の消臭剤は、結合塩素剤としてクロラミンTを用いたものである。比較例6の消臭剤は、実施例3の消臭剤において、スルファミン酸に代えてジエタノールアミンを用いたものである。実施例3、比較例5、6のいずれの場合も、安定な無色〜黄色透明な液体からなる消臭剤が得られた。
【0045】
【表3】

【0046】
このうち実施例3および比較例5の消臭剤を、下水処理場の重力濃縮汚泥と機械濃縮汚泥の混合汚泥C(SS:2.14%、VSS(対SS):86.9%、繊維(対SS):18.0%、pH5.36、EC:334mS/m、硫化水素:630ppm、メチルメルカプタン:50ppm)に、図3のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0047】
上記の消臭試験中、実施例3および比較例5の結合塩素剤の塩素臭はしなかった。各例の硫化水素濃度の測定結果を図3(a)に示し、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図3(b)に示す。図3(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例3の結合塩素剤は、比較例5と同じ量の塩素濃度の結合塩素剤を用いるにもかかわらず、比較例5よりも少ない塩素添加率で消臭効果が得られることが分かる。
【0048】
次に上記表3のうち実施例3および比較例6の消臭剤を、下水処理場の重力濃縮汚泥と機械濃縮汚泥の混合汚泥D(SS:2.41%、VSS(対SS):91.3%、繊維(対SS):44.0%、pH5.33、EC:128mS/m)に、図4のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0049】
上記の消臭試験中、実施例3および比較例6の結合塩素剤の塩素臭はなかった。各例の硫化水素濃度の測定結果を図4(a)に示し、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図4(b)に示す。図4(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例3の結合塩素剤は、比較例6と同じ量の塩素濃度の結合塩素剤を用いるにもかかわらず、比較例6よりも少ない塩素添加率で消臭効果が得られることが分かる。
【0050】
〔比較例7〜9〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表4の消臭剤を製造した。比較例7〜9の消臭剤は、前記表3の実施例3の消臭剤において、それぞれスルファミン酸に代えて、タウリン、グリシン、サルコシンを用いたものである。比較例7〜9のいずれの場合も、安定な黄色透明の液体からなる消臭剤が得られた。
【0051】
【表4】

【0052】
これらの消臭剤を、実施例3および比較例5の場合と同じ混合汚泥C(SS:2.14%、VSS(対SS):86.9%、繊維(対SS):18.0%、pH5.36、EC:334mS/m)に、図5のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0053】
上記の消臭試験中、比較例7〜9の結合塩素剤の塩素臭はしなかった。各例の硫化水素濃度の測定結果を図5(a)に、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図5(b)に、図3(a)、(b)に示した実施例3および比較例5の結果とともに示す。図5(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例3の結合塩素剤は、比較例7〜9と同じ量の塩素濃度の結合塩素剤を用いるにもかかわらず、比較例7〜9よりもはるかに少ない塩素添加率で消臭効果が得られることが分かる。
【0054】
〔実施例4、比較例10、11〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表5の消臭剤を製造した。実施例4の消臭剤は、前記実施例3の配合割合を変えたものである。比較例10の消臭剤は、前記実施例4の結合剤に相当するスルファミン酸を含まない次亜塩素酸ナトリウムからなる製剤であり、前記比較例1の配合割合を変えたものに相当する。比較例11の消臭剤は、前記表3の実施例3において、水酸化ナトリウムを配合しない例に相当する。実施例4、比較例10のいずれの場合も、安定な黄色透明の液体からなる消臭剤が得られたが、比較例11の場合は後述の通り、安定した製剤が得られなかった。
【0055】
【表5】

【0056】
このうち実施例4および比較例10の消臭剤を、下水処理場の重力濃縮汚泥と機械濃縮汚泥の混合汚泥C(SS:2.14%、VSS(対SS):86.9%、繊維(対SS):18.0%、pH5.36、EC:334mS/m)に、図6のCl添加率となるように、上記消臭試験方法に従って添加し、消臭剤添加1分後の硫化水素およびメチルメルカプタンの濃度を臭気物質濃度として測定した。
【0057】
上記の消臭試験中、実施例4の結合塩素剤の塩素臭はしなかったが、比較例10の塩素臭は激しかった。これらの例の硫化水素濃度の測定結果を図6(a)に示し、メチルメルカプタン濃度の測定結果を図6(b)に示す。図6(a)および(b)より、硫化水素およびメチルメルカプタンいずれの場合とも、実施例4の結合塩素剤は、比較例10と同じ量の次亜塩素酸ナトリウムを用いるにもかかわらず、比較例10よりも少ない塩素添加率で消臭効果が得られることが分かる。
【0058】
上記の比較例11の場合、純水に水酸化ナトリウムを添加することなくスルファミン酸を添加して溶解し、さらに次亜塩素酸ナトリウムを添加したところ、次亜塩素酸ナトリウム添加の直後から泡が発生し、安定した製剤が得られなかった。
【0059】
〔比較例12〜14〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表6の消臭剤を製造した。比較例12〜14の消臭剤は、前記表3の実施例3において、水酸化ナトリウムを配合しない例であって、前記実施例4の結合剤におけるスルファミン酸に代えて、それぞれタウリン、グリシン、サルコシンを用いたものに相当する。
【0060】
【表6】

【0061】
タウリンを用いた比較例12の場合、純水に水酸化ナトリウムを添加することなくタウリンを添加したところ、タウリンが水に完全溶解しなかった。この状態で次亜塩素酸ナトリウムを添加したところ、次亜塩素酸ナトリウム添加の直後から泡が発生し、安定した製剤が得られなかった。
【0062】
グリシンを用いた比較例13の場合、純水に水酸化ナトリウムを添加することなく、グリシンを添加して溶解し、さらに次亜塩素酸ナトリウムを添加したところ、次亜塩素酸ナトリウムの添加後、次第に泡が発生し、安定した製剤が得られなかった。
【0063】
サルコシンを用いた比較例14の場合、純水に水酸化ナトリウムを添加することなく、サルコシンを添加して溶解し、さらに次亜塩素酸ナトリウムを添加したところ、次亜塩素酸ナトリウムの添加後、次第に泡が発生し、安定した製剤が得られなかった。
【0064】
以上の結果より、本発明の消臭剤を添加することにより、次亜塩素酸塩の消臭効果を高めるとともに、塩素臭の発生をなくし、安全性、安定性が高く、腐食性が低く、かつ取扱性が良好であり、少ない添加量で、短時間に効果的に液または泥状物の消臭を行うことができることがわかる。
【0065】
〔実施例5〜7〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表7の消臭剤を製造した。実施例5〜7の消臭剤は、いずれもアルカリ、スルファミン酸および次亜塩素酸ナトリウムを含む本発明の結合塩素剤に相当するものであり、各成分の添加量を変えて製造試験を行った。
【0066】
【表7】

【0067】
〔実施例8、9〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表8の消臭剤を製造した。実施例8、9の消臭剤は、いずれも実施例5〜7の消臭剤と同様に、アルカリ、スルファミン酸および次亜塩素酸ナトリウムを含むものであり、添加量を変えて製造試験を行った。
【0068】
【表8】

【0069】
表8において、*1、*2の製造当日外観は、いずれも次亜塩素酸ナトリウムの添加時、徐々に添加しないと、塩素ガスと推測される泡が発生した。*3の40℃保管7日後外観は、少量の針状結晶が析出した。*4の同7日後外観は、40℃で分解してガスが発生し、噴出した模様である。結晶の析出も認められた。*5の40℃保管13日後外観は、針状結晶が増加した。*6の40℃保管29日後外観は、40℃で白色沈殿が生じ、液の淡黄色は退色した。
【0070】
表7および8より、表8の実施例8、9では、次亜塩素酸ナトリウムを徐々に添加するかぎり、結合塩素剤の製造は可能であり、現地で使用前に製造することは可能であることが分かる。これに対し表7の実施例5〜7では、製剤はアルカリを過剰に添加し、強アルカリ下で安定化すること、特にスルファミン酸に対して、中和相手である水酸化ナトリウムをモル比で1.4倍以上添加することにより安定化し、貯蔵安定性に優れることが分かる。製剤は高温保存にて不安定化するが、40℃保管でも1月程度の期間では安定性を保つことが分かる。
【0071】
〔実施例10〜12〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表9の消臭剤を製造した。実施例10〜12の消臭剤は、いずれもアルカリ、スルファミン酸および次亜塩素酸ナトリウムを含む本発明の結合塩素剤に相当するものであり、水の量を変えて製造試験を行った。
【0072】
【表9】

【0073】
表9において、*7の40℃保管8日後外観は、少量の針状結晶の析出が認められた。*8の40℃保管17日後外観は、針状結晶に加えて白色沈殿が認められた。*9の40℃保管29日後外観は、針状結晶に加えて白色沈殿が認められた。表9より、実施例12では、Cl/N(モル比)1以下とすることにより、結合塩素剤の製造は可能であり、現地で使用前に製造することは可能であることが分かる。これに対し実施例10、11では、Cl/N(モル比)0.9以下とすることにより、貯蔵安定性に優れる結合塩素剤の製造は可能であることが分かる。製剤は高温保存にて不安定化するが、40℃保管でも1月程度の期間では安定性を保つことが分かる。
【0074】
〔実施例13、14、比較例15〕:
上記消臭剤の製造方法に従って表10の消臭剤を製造した。実施例13、14、比較例15の消臭剤は、いずれもアルカリ、スルファミン酸および次亜塩素酸ナトリウムを含む本発明の結合塩素剤に相当するものであり、アルカリ水溶液の水の量を変えて製造試験を行った。
【0075】
【表10】

【0076】
表10において、比較例15では、アルカリ水溶液は水の量が55重量%未満であり、スルファミン酸(粉末)が溶解しないため、スルファミン酸−アルカリ混合水溶液が得られず、結合塩素剤の製造ができなかった。アルカリ水溶液は水の量が55重量%以上、好ましくは60重量%以上とすることにより、貯蔵安定性に優れた結合塩素剤を製造できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、排水、汚泥、ヘドロ等の臭気が問題となる液または泥状物の消臭方法および消臭剤、特に硫化水素、メルカプタンに起因する臭気を除去する液または泥状物の消臭方法および消臭剤に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭気原因成分を含む液または泥状物に、
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含む消臭剤を添加することを特徴とする液または泥状物の消臭方法。
【請求項2】
結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1である請求項1記載の方法。
【請求項3】
結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
塩素系酸化剤が次亜塩素酸またはその塩である請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
液または泥状物が、硫化水素および/またはメルカプタンを含有もしくは生成する臭気原因成分を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
臭気原因成分を含む液または泥状物に添加して消臭する消臭剤であって、
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリと、スルファミン酸と、塩素系酸化剤とを含有し、一製剤として調製された結合塩素剤水溶液を含むことを特徴とする液または泥状物の消臭剤。
【請求項7】
結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1である請求項6記載の消臭剤。
【請求項8】
結合塩素剤水溶液は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である請求項6または7記載の消臭剤。
【請求項9】
塩素系酸化剤が次亜塩素酸またはその塩である請求項6ないし8のいずれかに記載の消臭剤。
【請求項10】
アルカリ金属水酸化物からなるアルカリ水溶液にスルファミン酸を添加して溶解し、得られたスルファミン酸−アルカリ混合水溶液に、塩素系酸化剤を添加して混合し、一製剤として調製することを特徴とする液または泥状物の消臭剤の製造方法。
【請求項11】
アルカリ水溶液は、水の量が55〜85重量%である請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
スルファミン酸の添加量は、スルファミン酸とアルカリとの含有割合が、アルカリ金属/N(モル比)で1〜3である請求項10または11記載の製造方法。
【請求項13】
塩素系酸化剤の添加量は、スルファミン酸と塩素系酸化剤との含有割合が、Cl/N(モル比)で0.2〜1となる量である請求項10ないし12のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−206412(P2011−206412A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79193(P2010−79193)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】