説明

液体マトリックスを紡糸する方法、液体マトリックスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置、及びそのような装置のための紡糸電極

少なくとも1つの紡糸電極3と紡糸電極3に対向して配置された収集電極4との間の静電界中において液体マトリックス38を紡糸する方法であって、電極の一方が高電圧源の一方の極に接続し、第2の電極が高電圧源の反対の極に接続するか又は接地し、紡糸される液体マトリックス38を静電界中において紡糸電極3の紡糸手段31のコード310の活性紡糸区間3100に存在させる、紡糸する方法。紡糸プロセスの間、コードの活性紡糸区間3100が、収集電極4に対して安定な位置を取るようにし、液体マトリックス38を、コードの活性紡糸区間3100への塗布、又はコード310の長さ方向の運動のいずれかによってコードの活性紡糸区間3100へ送る。さらに、本発明方法のためのナノファイバ製造装置並びに紡糸電極3に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの紡糸電極とその紡糸電極に対向して配置された収集電極との間の静電界中において液体マトリックスを紡糸する方法であって、電極のうちの一方を高電圧源の一方の極に接続し、第2の電極を接地しており、紡糸される液体マトリックスを、静電界中において、紡糸電極の紡糸手段のコードの活性紡糸区間(active spinning zone)に存在させる、方法に関するものである。
【0002】
次に、本発明は、少なくとも1つの紡糸電極とその紡糸電極に対向して配置された収集電極との間の電界中において液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバを製造する装置であって、電極のうちの一方が高電圧源の一方の極に接続され、第2の電極が高電圧源の反対の極に接続されるか又は接地されており、紡糸電極が、コードを有する少なくとも1つの紡糸部材を含み、そのコードは、ナノファイバを堆積する平面及び/又は収集電極に平行な直線部分を含み、その直線部分が活性紡糸区間を形成する、ナノファイバを製造する装置に関するものである。
【0003】
次に、本発明は、少なくとも1つの紡糸電極とその紡糸電極に対向して配置された少なくとも1つの収集電極との間の電界中において液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバを製造する装置の紡糸電極であって、電極のうちの一方が高電圧源の一方の極に接続され、第2の電極が高電圧源の反対の極に接続されるか又は接地されており、紡糸電極が少なくとも1つの紡糸部材を含み、その紡糸部材は、紡糸電極の収容体の中に装着され、コードを有しており、そのコードは、ナノファイバを堆積する平面及び/又は収集電極と平行な直線部分を含む、紡糸電極に関するものである。
【背景技術】
【0004】
独国特許発明第10136255号(DE10136255B4)には、2つの誘導シリンダの周りに掛けられた(belted)一対のエンドレス・ストライプ上に位置する平行ワイヤ・システムで形成された紡糸電極によって、ポリマー溶液又はポリマー融液から繊維を製造する装置が開示されている。誘導シリンダは互いに上下に配置され、下の誘導シリンダはポリマー溶液又はポリマー融液の中に延びている。紡糸電極は、導電性回転ストライプ(stripe)により形成される対向電極と共に高電圧源に接続される。ポリマー溶液又はポリマー融液は、ワイヤで紡糸電極と対向電極との間の電界の中に運び出され、ポリマー溶液又はポリマー融液から繊維が生成され、対向電極に向かって運ばれて対向電極に位置する織布(web)に落下する。不利な点は、ポリマー溶液又はポリマー融液が電界中に長時間留まることである。というのは、ポリマー溶液もポリマー融液もすぐに古くなり、紡糸プロセスの間に、ポリマーはその特性が変わるため、生成された繊維のパラメータ、とりわけ直径が変化するからである。他の不利な点は、一対のエンドレス・ストライプ上の、紡糸電極のワイヤの位置決めである。そのワイヤは導電性でなければならず、紡糸電極と対向電極との間に生成される電界に対して非常に悪影響を与える。
【0005】
さらに、米国特許第4144533号(US4144533)により、適切な電界により、基層材料上に固体物質の溶液、分散物及び混合物を電気力学的に塗布する装置が知られている。その装置は、塗布物質が入った2つの容器を含み、その容器の中にはエンドレス・ストライプが掛けられたプーリが配置され、そのプーリにより物質は電界中に送られ、その電界中においてその物質は基層材料に塗布され、その基層材料は次いで、エンドレス・ストライプの一側面又は両側面に進む。この装置は繊維を製造することはできず、単に、溶液および分散物などを塗布するように作動する。
【0006】
さらに、例えば国際公開第2005/024101号(WO2005/024101A1)により、長円形の回転紡糸電極を含む、ポリマー溶液の静電紡糸によるナノファイバ製造装置が知られている。この装置は、円筒形の紡糸電極を含み、その紡糸電極は、その主軸を中心に回転し、その表面の下部がポリマー溶液中に浸かっている。ポリマー溶液は、円筒表面により、紡糸電極と収集電極との間の電界中に運び出され、そこでナノファイバが生成され、ナノファイバは収集電極に向かって運ばれ、収集電極の手前でナノファイバは基層材料上に堆積する。この装置は、ポリマー水溶液から非常に良好なナノファイバを製造することができるが、非水溶媒中で可溶性のポリマー溶液をこの装置で処理することは極めて困難である。さらに、基層材料上に塗布されたナノファイバ層は、均一ではない。
【0007】
生成されるナノファイバ層の均一性は、チェコ共和国特許第2005−360号(CZ PV 2005−360)による装置により達成される。この装置では、紡糸電極が、その回転軸に対して半径方向及び長手方向に配置された薄層システムを含む。ポリマー溶液を電界中に運び出すように働く紡糸電極の表面の一部分の被覆表面が、被覆表面を有する。被覆表面は、紡糸電極の軸を通過し、基層材料の平面に直交する平面の中に、紡糸電極と収集電極との間の最強電界の等電位線を形成している。そのような紡糸電極は、十分な量のポリマー溶液を、紡糸電極と収集電極との間の電界の最適な場所に運び出し、同時にポリマーの非水溶液も極めて良好に紡糸し、ナノファイバの均一な層を生成することができる。しかし、不利な点は、そのような紡糸電極の難度の高い製造であり、また、難度の高い製造によるその価格である。
【0008】
製造に関しては、チェコ共和国特許第2006−545号(CZ PV 2006−545)による紡糸電極が、より低コストであるように思われる。その紡糸電極は、一対の面を含み、それらの面の間に、ワイヤで形成された紡糸部材が、その面の周囲に均等に分配されて装着される。それらの面は非導電性材料で作製され、全紡糸部材は導電方式で互いに電気的に接続される。この方法で生成された回転紡糸電極は、水溶性並びに非水溶性のポリマー溶液を紡糸することができ、この回転紡糸電極は、その全長に沿って、その均一性に関して極めて高い紡糸効果を達成する。紡糸用電界は、紡糸部材がポリマー溶液から出た後、収集電極に向かって徐々に接近する間に、個別の紡糸部材の間に形成される。
【0009】
長円形の回転紡糸電極を含む、ポリマー溶液の静電紡糸によるナノファイバ製造装置と同様に、すべての長円形の回転紡糸電極の不利な点は、とりわけ、ポリマー溶液の容器内のポリマー溶液が大量であることである。紡糸電極の表面の一部分は、このポリマー溶液の中へ延在する。容器は大きく開かれた表面を有し、その表面において、ポリマー溶液から甚だしい溶媒の蒸発が発生するのみでなく、例えば、吸湿性溶媒を含む溶液において、ポリマー溶液は急速に濃くなり且つ古くなり、絶えず追加及び取り替えが必要である。このことが、ナノファイバ製造コストを増加させると同時に、製造されたナノファイバの品質を低下させる。ポリマー溶液は、円筒形の回転紡糸電極の表面により、紡糸のための静電界中に比較的ゆっくりと送られる。そのため、ポリマー溶液は表面で徐々に乾き、回転紡糸電極の表面が次に浸かる各場所に、多量のポリマー溶液が固着し、それにより徐々に紡糸プロセスが劣化し、紡糸電極の表面を清掃しなければならない。紡糸電極を清掃するために、紡糸プロセスは中断されなければならない。コード回転紡糸電極において、ポリマー溶液は個別のコードにより静電界中に送られる。個別のコードは活性紡糸区間として働き、紡糸の間、静電界中において位置を変える。このことが、更なる不利な点をもたらす。というのは、紡糸の間、紡糸電極の活性紡糸区間において、静電界の強度が変化し、それにより様々な直径のナノファイバが製造される結果となり、製造されるナノファイバの、質的な均一性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許発明第10136255号明細書
【特許文献2】米国特許第4144533号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/024101号
【特許文献4】チェコ共和国特許第2005−360号明細書
【特許文献5】チェコ共和国特許第2006−545号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、静電界中において、ポリマー溶液の静電紡糸、とりわけポリマー溶液を含む液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバを製造する方法を提案し、且つその装置を創出することである。それにより、産業用途において、メインテナンス及び調整の必要性を最小にした状態で、一定品質のナノファイバを長期間にわたって製造すること、及び背景技術の不利点を取り除くか又は少なくとも減少させる紡糸電極を設計することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、静電界中で液体マトリックスを紡糸する本発明方法により達成される。その原理は、紡糸プロセスの間、コードの活性紡糸区間が、収集電極に対して安定した位置を取るようにし、液体マトリックスを、コードの活性紡糸区間への塗布(apply)、又はコードの長さ方向の移動のいずれかにより、コードの活性紡糸区間に送るところにある。
【0013】
紡糸プロセスの間、コードの活性紡糸区間の位置が安定かつ不変であることにより、生成されるナノファイバは、直径が狭いレンジにおさまり均一性が確保される。それにより、製造されるナノファイバ層の品質が大幅に向上する。紡糸プロセスの全体的な品質向上は、液体マトリックスを活性紡糸区間に送る方法により達成され、その方法は、常に新鮮な品質の液体マトリックスが紡糸されることを確保し、紡糸プロセスを最適化する。前の紡糸サイクルにより、且つ/又は周囲の雰囲気の影響により質が低下し、紡糸電極の紡糸部材の活性紡糸区間に固着した液体マトリックスから、紡糸電極を清掃する目的で紡糸プロセスを中断する必要はない。
【0014】
請求項2によれば、紡糸の間、静電界中において、静止したコードの活性紡糸区間に液体マトリックスを塗布し、同時に、紡糸によって且つ/又は周囲の雰囲気の影響によって質が低下した液体マトリックスを、静止したコードの活性紡糸区間から拭き取ることが有利である。静止したコードの活性紡糸区間において、新鮮な液体マトリックスを塗布すること、及び液体マトリックスの残余からコード表面を洗浄することが、紡糸プロセスの間に行われ、それにより紡糸の生産性が向上する。
【0015】
紡糸プロセスの最適化を確保するために、請求項3に記載されるように、液体マトリックスを、その十分な量を確保するために随意的な間隔で塗布し、質が低下した液体マトリックスを、他の随意的な間隔で拭き取ることが有利である。
【0016】
紡糸プロセスの品質の観点から、質が低下した液体マトリックスの拭き取りを、液体マトリックスを塗布する前に実施し、新旧の液体マトリックスを共に混じり合わせないことが有利である。
【0017】
同時に、請求項5によれば、液体マトリックスのそれぞれの塗布の前に拭き取りを実施し、活性紡糸区間は、質が低下した液体マトリックスの残余のない状態にし、十分な量の新鮮な液体マトリックスを供給するようにすることが有利である。
【0018】
紡糸電極が、一つの平面内に隣り合って配置された、より多くの活性紡糸区間を含む場合は、紡糸プロセスの効率のために請求項6による方法が有利であり、いくつかの活性紡糸区間を同時に拭き取るときは、拭き取る活性紡糸区間は互いに隣接しないようにし、拭き取りの間は隣接する活性紡糸区間で紡糸プロセスが実施中であるようにすることが有利である。
【0019】
本発明方法の他に可能な実施例が請求項7に示される。ここでは、活性紡糸区間を、静電界を通って、その長さ方向に、連続的又は断続的に動かす。そのことにより、液体マトリックスを活性紡糸区間に塗布することが更に可能となり、質が低下した液体マトリックスをコード表面から拭き取ることが更に可能となり、質が低下した液体マトリックスの拭き取りを省略することが可能となる。
【0020】
前の実施例と同様に、液体マトリックスは、紡糸の間、静電界中において、コードの活性紡糸区間に塗布することが可能であり、停止しているコードにも動いているコードにも塗布することが可能である。
【0021】
さらに、請求項7による方法により、コードが活性紡糸区間に進入する前に液体マトリックスをコードに塗布することが可能となる。それにより、請求項11に記載するように、装置及び紡糸電極の設計における可能性がさらに増加する。
【0022】
本発明による装置の原理は、請求項12に示すように、紡糸部材のコードの活性紡糸区間が収集電極に対して安定した位置を取り、液体マトリックスの塗布装置がコードに向けて配置されていることに存する。
【0023】
背景技術によるいくつかの解法において既に明らかになったように、細いワイヤで形成されるコードが、液体マトリックスの静電紡糸に対する非常に適切な手段である。収集電極に対するコードの活性紡糸区間の安定した位置は、紡糸条件の安定性をもたらし、これにより、製造されるナノファイバの品質、特に直径の安定性が向上する。
【0024】
請求項13によれば、コードが静止したコードであって、その活性紡糸区間への液体マトリックスの塗布装置、及びコードの活性紡糸区間からの液体マトリックスの拭き取り装置が、その活性紡糸区間に向けて配置されていることが有利である。静止したコードにより、紡糸電極の構造が簡単になる。というのは、そのような紡糸電極はコード駆動手段を含まず、コードを常に伸張する手段も必要としないからである。
【0025】
質的な変化の小さい紡糸のための液体マトリックスを確保するために、コードの活性紡糸区間への液体マトリックスの塗布装置、及び活性紡糸区間からの液体マトリックスの拭き取り装置が、コードの活性紡糸区間に沿って逆行可能で(reversibly)移動可能に配置されていることが有利である。
【0026】
コードが、送られた液体マトリックスを通してではなく、高電圧源に直接接続されている場合は、請求項15によれば、液体マトリックスの塗布装置及び拭き取り装置は、コードの活性紡糸区間に向かって、逆行可能で移動可能に配置されていることが有利である。というのは、これらの装置は、コードの活性紡糸区間から離れた位置においては、紡糸電極と収集電極の間の静電界に影響を与えず、これらの装置は、ナノファイバ製造にもそれらのパラメータにも悪影響を与えないからである。
【0027】
請求項16によれば、コードは、その長さ方向に移動可能であり、同時に、そのコードが間断なく動くか断続的に動くかは決められていない。
【0028】
背景技術と比較すると、紡糸の間、静電界を通って、コードがその長さ方向に動くことにより、コードが、前の紡糸サイクルの間に質が低下した液体マトリックスのないきれいな状態で、紡糸が行われている静電界中に入ることが達成される。それにより、紡糸プロセスの間、コードの表面に新鮮な液体マトリックスだけが存在する。そして、紡糸電極を洗浄する目的で紡糸プロセスを中断させて、前の紡糸サイクルによって且つ/又は周囲の雰囲気の影響によって質が低下した液体マトリックスから、また紡糸電極の紡糸部材の活性紡糸区間に固着した液体マトリックスから、紡糸電極を洗浄する必要はない。
【0029】
請求項17による実施例において、紡糸部材のコードは、コードの活性紡糸区間(3100)の数倍の一定の長さを有し、その始まりは巻き戻しリールに装着され、その終わりは巻き取りリールに装着され、少なくとも巻き取りリールは、巻き取り駆動体と結合される。本実施例において、必要な場合は、コードが、前の紡糸サイクルの間に且つ/又は周囲の雰囲気の影響により質が低下した液体マトリックスの残余がない状態で、コードの活性紡糸区間に進入する。
【0030】
活性紡糸区間において十分なコードの伸張を得るために、とりわけ、巻き戻しリールが巻き戻し駆動体と結合されることが有利である。
【0031】
一定の長さのコードが消耗された後の逆行運動におけるコードの他の利用は、請求項19による配置を可能にする。ここでは、巻き取りリールへのコードの巻き取りの前に、質が低下した液体マトリックスの残余をコードから拭き取るように作動するスパットル(spattle)が、巻き取りリールの前に配置される。
【0032】
コードの長さ方向に移動可能なコードの他の実施例が請求項20に記載される。請求項20によれば、コードは、少なくとも駆動プーリの周囲と伸張プーリの周囲に掛けられた無限ループで形成される。前の実施例と比較すると、この配置は、コードの全長を短くする。しかし、静止したコードと比較すると、駆動プーリに割り当てられる駆動体を必要とする。
【0033】
一定の長さのコードを有する装置、及び無限ループを形成する無限コードを有する装置は、共に、コードが反対方向に動く2つの活性紡糸区間を有する請求項21により、有利に実施される。両紡糸区間は、ナノファイバを堆積する平面及び/又は収集電極と平行な平面内に配置される。互いに隣り合うこの配置により、そのような1本のコードを使用して2つの液体マトリックスを紡糸することが可能となる。
【0034】
長さ方向へのコードの動きが可能な実施例において、コードの活性紡糸区間への液体マトリックスの塗布は、請求項22により有利に実施される。逆行可能で移動可能な、コードの活性区間への液体マトリックスの塗布装置が、液体マトリックスをコードに、所望の時間に所望の量だけ塗布する。同時に液体マトリックスの所望の量が回転軸(mandrel)に塗布されることが、コードの活性紡糸区間に沿った塗布装置の複合運動により達成される。
【0035】
コードが、送られた液体マトリックスを通してではなく、高電圧源に直接接続されている場合は、液体マトリックスの塗布装置は、コードの活性区間に向かって逆行可能で移動可能に配置されていることが有利である。というのは、これらの装置は、コードの活性紡糸区間から離れた位置においては、紡糸電極と収集電極の間の静電界に影響を与えず、これらの装置は、ナノファイバ製造にもそれらのパラメータにも悪影響を与えないからである。
【0036】
電界中で液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバ層を製造する装置は、通常、請求項24に記載するように、隣り合って配置された多数の紡糸部材を含む。収集電極又は収集電極の平面との整列は、製造されるナノファイバ層の均一性を確保する。
【0037】
請求項25及び請求項26は、コードの活性紡糸区間への液体マトリックスの塗布装置の好ましい実施例を記載し、その装置は、他の適切な塗布装置に代替されうる。
【0038】
コードへの液体マトリックスの塗布装置の実施例のより簡単な形態は、請求項27から請求項29までに記載される。それらの請求項によれば、液体マトリックスは活性紡糸区間の前にコードに塗布される。そのような配置により、紡糸領域自体の構成が簡単になる。そのような配置により、静電界は液体マトリックスの塗布装置により影響されず、コードの活性紡糸区間において、液体マトリックスの新鮮さを均一にするという条件が、ある程度満たされる。
【0039】
製造されたナノファイバ層を取り外す方向に関して、請求項30から請求項32までに記載の通り、活性紡糸区間は、この方向と平行に、この方向と直交して、又はこの方向と台形(tranpezoidal)を成して配置されてもよい。
【0040】
上述のすべての本発明装置の実施例において、コードは、導電性材料又は非導電性材料で作製されてもよく、コードが非導電性材料である場合は、コードは、液体マトリックスと恒常的に接触しており、液体マトリックスに電流が加えられる。
【0041】
本発明による紡糸電極は、請求項35から請求項54までに記載されており、基礎的な実施例において、紡糸電極の収容体の中に配置される液体マトリックスの塗布装置が、コードに向けて配置され、紡糸電極の収容体の中のコードの活性紡糸区間は、安定した位置を取っている。
【0042】
本発明による装置は、添付図面の中で概略的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】3個の紡糸ユニットを有する装置の実施例の第1の変形の縦断面図である。
【図2】紡糸部材が基層材料の運動方向と平行に配置された一定の長さのコードを含む紡糸電極を有する、図1の装置のA−A断面図である。
【図3】紡糸部材が基層材料の運動方向と斜めに配置された一定の長さのコードを含む紡糸電極を有する、図1の装置のA−A断面図である。
【図4】紡糸部材が基層材料の運動方向と直角を成すように配置された一定の長さのコードを含む紡糸電極を有する、図1の装置のA−A断面図である。
【図5】無限長さのコード及び移動可能な液体マトリックスの塗布装置を備える紡糸部材を有する紡糸電極の不等角投影の断面図である。
【図6】液体マトリックスの容器により形成される、液体マトリックスの塗布装置を伴い、無限長さのコードを備える紡糸部材を有する紡糸電極の不等角投影の断面図である。
【図7】毛細管で形成される移動可能な液体マトリックスの塗布装置を伴い、一定の長さのコードを有する紡糸部材の場合の詳細図である。
【図8】回転ローラで形成される移動可能な液体マトリックスの塗布装置を伴い、一定長さのコードを有する紡糸部材の詳細図である。
【図9】両ブランチが活性紡糸区間を形成する無限コードを有する紡糸部材の詳細図である。
【図10】固定されたコードを備える紡糸電極を有する装置の縦断面図である。
【図11】図10の装置のA−A断面図である。
【実施例】
【0044】
図1及び図2には、液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバを製造する装置の実施例が示されている。液体マトリックスのかなりの部分は、ポリマー又はポリマー混合物の溶液又は融液で形成されている。この装置は紡糸室1を含み、紡糸室1は分離隔壁11及び12により3つの紡糸空間に分割され、紡糸空間には紡糸ユニット2が配置され、各紡糸ユニット2は紡糸電極3を含み、紡糸電極3に対向して収集電極4が配置される。紡糸電極3と収集電極4との間に、高い強度の静電界が、周知の方法で生成される。厳密には指定しないが、周知の方法で、基層材料5が紡糸室1内を通過させられる。基層材料5は、図示しない周知の巻き戻し装置で巻き戻され、供給ローラ61及び62により紡糸室1の中に送り込まれる。基層材料5は、取り出しローラ71及び72により紡糸室1から取り出される。取り出しローラの後、基層材料5は、図示しない周知の方法で、図示しない巻き取り装置に巻き取られる。ここで記載した分離隔壁11及び12は、順に続く紡糸ユニット2を相互に遮蔽する役目を果たすのみであり、分離隔壁は本発明にとって本質的ではない。
【0045】
紡糸電極3は、収容体32の中に配置された複数の紡糸部材31を含む。各紡糸部材31は1本のコード310を含み、コード310は巻き戻しリール311及び巻き取りリール312に取り付けられており、巻き戻しリール311及び巻き取りリール312は、同時にコード310の引き伸ばし手段としての役目も持つ。巻き戻しリール311と巻き取りリール312との間のコード310の直線部分は、基層材料5の運動方向と平行になっている。そして、コード310の直線部分は、紡糸部材31のコード310の活性紡糸区間3100を作る。コード310は、導電性の細い金属線、又は導電性のない樹脂線でできている。
【0046】
一つの紡糸電極3の紡糸部材31の巻き戻しリール311は、共通の巻き戻し軸33に取り付けられ、共通の巻き戻し軸33は、収容体32内に取り付けられ、巻き戻し駆動体34と結合されている。一つの紡糸電極3の紡糸部材31の巻き取りリール312は、共通の巻き取り軸35に取り付けられ、共通の巻き取り軸35は、収容体32内中に取り付けられ、巻き取り駆動体36と結合されている。巻き戻し駆動体34及び巻き取り駆動体36は、周知の方法で機械的または電気的に結合され、活性紡糸区間3100においてコード310の必要な伸張を確保し、また活性紡糸区間3100においてコード310の連続的又は断続的な前進運動を確保する。したがって、各紡糸部材31のコード310は、その長さ方向に移動可能に位置づけられる。このことは、各コードの活性紡糸区間3100は静電界を通ってその長さ方向に連続的に又は合間を置いて移動することを意味する。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31のコード310の活性紡糸区間3100は一つの平面内に配置され、その平面は収集電極4及び基層材料5と平行である。
【0047】
流体マトリックス38をコードの活性紡糸区間3100へ塗布する装置37が、収容体32内の一つの紡糸電極3の紡糸部材31のコード310の活性紡糸区間3100の下に取り付けられている。したがって、コード310のそれぞれは、流体マトリックス38の移送手段を生成する。流体マトリックスの塗布装置37はスパー371を含み、スパー371は、収容体32に移動可能に取り付けられ、図示しない周知の駆動体と結合され、コードの活性紡糸区間3100の長さに沿ってその逆行可能な運動が確保される。コードの各活性紡糸区間3100の下にあるスパー371の上には、一つの塗布手段372が取り付けられている。それは、図示した実施例では、毛細管塗布手段3721で形成されている。毛細管塗布手段3721の空洞は、スパー371の空洞に接続されている。スパー371は、図示しない周知の方法で、図示しない流体マトリックス38の容器に接続されている。流体マトリックス38は、毛細管塗布手段3721の空洞に到達する前に、図示しない周知の電気部材を通過する。電気部材は電位源の一極に接続されている。そして、流体マトリックス38はコードの活性紡糸区間3100に必要な電位をもたらす。そのことにより、対応する紡糸部材31のコードの活性紡糸区間3100と、それぞれの紡糸ユニット2の収集電極4との間に、高い強度の静電界を生成することが可能になる。この高い強度の静電界により、コードの活性紡糸区間3100の流体マトリックス38から、流体マトリックス38のビームを周知の方法で引き離すことが可能である。流体マトリックス38のビームは、高い強度の静電界中において即座にナノファイバ8になる。ナノファイバ8は、高い強度の静電界の作用により収集電極4まで運ばれて基層材料5の上に堆積し、ナノファイバの層51を生成する。流体マトリックス38は、他の物質をさらに含んでもよく、その物質は、所望の方法で生成されたナノファイバの特性を改変する。
【0048】
紡糸の間、流体マトリックス38は、コードの活性紡糸区間3100の下の流体マトリックス38の塗布装置37の運動によって、静電界中において活性紡糸区間3100に塗布される。図1に示された実施例において、塗布の間、塗布手段372は、停止しているコード310の活性紡糸区間3100と接触しながら、移動している。しかし、流体マトリックス38を塗布する間、コード310の運動、言い換えればコード310の活性紡糸区間3100の運動は、停止されない。
【0049】
図2による実施例では、3つの紡糸ユニット2が、基層材料5の方向に次々に配置され、図中の紡糸ユニット2には3つの紡糸電極3が示されている。第1の紡糸電極3は、4つの紡糸部材31を含み、4つの紡糸部材31は、収容体32の中に配置され、互いに等間隔で隣接する。第2及び第3の電極3は、互いに等間隔で配置された3つの紡糸部材31を含む。紡糸電極3に続いて、移送材料5の運動方向へ順に続く紡糸手段31は、その前の紡糸電極3の紡糸手段31の間の空間に配置されている。そのことにより、ナノファイバの層51のストライプの形成を減少させるか、またはストライプの形成を完全に防ぐ。
【0050】
得られるナノファイバの層51におけるストライプの形成を排除することは、他の方法によっても実現できる。例えば、実施例に示されてはいないが、同数の紡糸手段31を備えた少なくとも2つの紡糸電極3を含む方法により実現できる。ここで、紡糸手段31は、収容体32の中にあり、互いに同じ位置に、互いに等間隔で配置される。順に位置づけられる紡糸電極3の紡糸部材31を異なる位置とすることは、順に続く紡糸電極3の収容体32の位置を設定することにより達成される。
【0051】
図3の実施例では、3つの紡糸ユニットが紡糸室1の中に配置されており、3つの紡糸ユニットの紡糸電極3が図示されている。紡糸室1の内部空間は、前の実施例におけるように紡糸ユニット間の分離隔壁により分離されていない。紡糸電極3は収容体32を含み、収容体32の中に、前の実施例と同様の方式で実施される紡糸部材31が、基層材料の運動方向52に対して斜めに配置される。紡糸部材の巻き戻しリール311並びに巻き取りリール312は、図示しない周知の個別の駆動体を備える。駆動体は、活性紡糸区間3100におけるコード310の必要な伸張を確保するために、そして、コード310のその長さ方向への連続的又は断続的運動を確保するために結合される。流体マトリックス38の塗布手段372は、コードの活性紡糸区間3100の下に、移動可能に装着される。その装置は、上述した図1及び図2による実施例と同様の方法で作動する。
【0052】
図4の実施例では、紡糸室1は、分離隔壁11により互いに離隔された3つの紡糸ユニット2を備える。紡糸電極3が紡糸ユニットに示されている。紡糸電極3は収容体32を備える。収容体32の中に、図1及び図2による実施例と同様に実施される紡糸部材31が、基層材料5の運動方向52と直交して配置される。一つの紡糸電極3の紡糸部材31の巻き戻しリール311は、共通の巻き戻し軸33に装着され、巻き戻し軸33は、容体32の中に備えられ、巻き戻し駆動体34と結合される。一つの紡糸電極3の紡糸部材31の巻き取りリール312は、共通の巻き取り軸35に装着される。巻き取り軸35は、収容体32の中に備えられ、巻き取り駆動体36と結合される。活性紡糸区間3100におけるコード310の必要な伸張は、紡糸電極3の巻き戻し駆動体34と巻き取り駆動体36の間の連携により達成される。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31のコード310の活性紡糸区間3100は、収集電極4及び基層材料5と平行な平面内に配置される。その装置は、図1及び図2による実施例と同様の方法で作動する。
【0053】
図10及び図11は本発明による別の代替実施例を示している。その実施例では、2つの紡糸ユニット2が紡糸室1の中に配置されている。2つの紡糸ユニット2のそれぞれが、紡糸電極3及び紡糸電極3に対向して配置される収集電極4とを備え、両電極の間で高い強度の静電界が周知の方法でかけられる。基層材料5が紡糸室1の中を通り、紡糸の間、基層材料5の上にナノファイバ8が堆積し、ナノファイバ層51になる。各紡糸電極3は収容体32を含む。個別のコード310が、収容体32の側壁の間に互い一定間隔で張設される。個別のコード310は、収容体32の側壁に堅固に装着され、一定不変の長さであり、基層材料5の平面と平行である。個別のコード310は紡糸部材31を形成し、それらのほぼ全長がコードの活性紡糸区間3100を形成する。
【0054】
代表的実施例では、生成されたナノファイバの層52を取り外す方向において、後続の紡糸電極3のコード310は、前の紡糸電極3のコード310の間に置かれ、それにより、生成されるナノファイバの層52のストライプ形成が減少し、或いはストライプ形成がほぼ排除される。
【0055】
各紡糸電極3のコード310の活性紡糸区間3100の下において、コードの活性紡糸区間3100への流体マトリックス38の塗布装置37が、収容体32に移動可能に装着される。流体マトリックスの塗布装置37は、スパー371を備える。スパー371は、収容体32に移動可能に装着されており、コードの活性紡糸区間3100に沿った逆行可能な運動を確保するため、図示されない駆動体と結合される。各活性紡糸区間3100の下において、流体マトリックス38の一つの塗布手段372が、スパー371に装着される。代表的実施例においては、塗布手段372は塗布手段3721によって形成されている。それは、コードの活性紡糸区間3100に対して離れたり近づいたりする方向に逆行可能で移動可能に同時に配置される。さらに、コードの活性紡糸区間3100から流体マトリックス38を拭き取る装置370が、スパー371に配置される。装置370は、塗布手段372と同時に独立に存在し、コードの活性紡糸区間3100に対して離れたり近づいたりする方向に逆行可能で移動可能に配置される。
【0056】
活性紡糸区間3100を電源の一極に接続することにより、又は接地することにより、活性紡糸区間3100に電位がもたらされる。
【0057】
図1による実施例で詳細に説明されるように、電位が、コードの活性紡糸区間3100へ液体マトリックス38によりもたらされると、塗布手段372は、コードの活性紡糸区間3100のそれぞれと恒常的に接触する。
【0058】
図示されない実施例では、液体マトリックス38の塗布手段372は、コードの活性紡糸区間3100それぞれに対して、個別に配置される。各活性紡糸区間3100に対する液体マトリックス38の拭き取り装置370は、塗布手段372と関係なく離れて配置されるか、或いは塗布手段372と一緒に配置される。液体マトリックスの塗布手段372及び液体マトリックス38の拭き取り装置370の配置により、それらの動作の様々な組合せが可能となる。
【0059】
例えば、紡糸の間、液体マトリックス38は、静止した活性紡糸区間3100に塗布され、活性紡糸区間3100は、対応する液体マトリックス38の塗布手段372と定常的に接触している。同時に、液体マトリックス38の塗布手段372を介して、活性紡糸区間3100に電位がもたらされる。紡糸により且つ/又は周囲の雰囲気の作用により質が低下した液体マトリックス38は、必要な場合に活性紡糸区間3100から拭き取られる。
【0060】
或いは、紡糸の間、液体マトリックス38は、静止状態の活性紡糸区間3100に塗布され、活性紡糸区間3100は、対応する塗布手段372に対して、塗布の間だけ接触状態にあり、その後は、塗布手段372はコードの活性紡糸区間3100から取り除かれてコードの活性紡糸区間3100とは接触しない。紡糸により且つ/又は周囲の雰囲気の作用により質が低下した液体マトリックス38は、必要な場合に、前の実施例と同じ方法で、活性紡糸区間3100から拭き取られる。
【0061】
液体マトリックス38は、静電界の中において、静止状態にあるコードの活性紡糸区間3100に、随意的な間隔で塗布してもよい。質が低下した液体マトリックス38は、他の随意的な間隔で、活性紡糸区間から拭き取ってもよい。
【0062】
質が低下した液体マトリックス38の拭き取りは、液体マトリックス38をコードの活性紡糸区間3100へ塗布する前に実施されてもよく、また、液体マトリックス38の各塗布の前に実施されてもよい。
【0063】
一つの平面内に隣り合って配置された、より多くのコードの活性紡糸区間3100を含む紡糸電極3において、コードの活性紡糸区間3100から、質が低下して固着した液体マトリックス38を拭き取ることが、より多くのコードの活性紡糸区間3100において同時におこなわれる。一方で、順に続くコードの活性紡糸区間3100が拭き取られる間、常に少なくとも1つのコードの活性紡糸区間3100が、塗布された液体マトリックス38を有し、そのコードの活性紡糸区間3100は、この時点では拭き取られない。
【0064】
コードは、紡糸電極3の収容体32の中に固定して移動しないように配置されている。コードの活性紡糸区間3100は、図10及び図11に示すように、基層材料5の運動方向52、又は生成されたナノファイバの層52を取り外す方向と平行に配置されてもよい。或いは、活性紡糸区間3100は、上述の基層材料5の運動方向52に直交する方向に配置されてもよく、或いは、この方向と任意の所望の角度を形成してもよい。
【0065】
図5に示す紡糸電極3は収容体32を含み、収容体32の中には、紡糸部材31が配置される。各紡糸部材31は駆動プーリ313及び伸張プーリ314を備え、両プーリは無限コード310を掛けられる。収集電極4に隣接するコード310の直線区間は、活性紡糸区間3100を形成する。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31のコード310の活性紡糸区間3100は、同一平面に配置される。紡糸電極3が装置の紡糸室1の中にある場合は、紡糸電極3は、収集電極4及び基層材料5に平行である。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31の駆動プーリ313は、駆動プーリの共通の軸3131に装着される。軸3131は、収容体32の中に回動可能に装着され、駆動プーリの駆動体3132と結合される。駆動体3132は、駆動プーリ313の軸3131に、連続回転運動又は断続回転運動を生じさせる役割がある。個別の紡糸部材31の各伸張プーリ314は、伸張機3141に装着される。伸張機3141は、伸張プーリ314の位置を決め、必要な無限コード310の張りを確保する。
【0066】
少なくとも2つの支持体321が、収容体32上の紡糸部材31の間に装着される。スパー371が支持体321上に配置され、すべての紡糸部材31を横切っている。また、スパー371上には、コード310の活性紡糸区間3100への流体マトリックス38の塗布装置37が装着され、すべての紡糸部材31を横切っている。図5の実施例における流体マトリックス38の塗布装置37は、コード310の活性紡糸区間3100の長さ方向に逆行可能で移動可能に配置される塗布手段372を備える。塗布手段372は、流体上部が開かれたマトリックス38の容器3722により形成される。容器3722の中には、塗布ローラ3723が回動可能に装着される。塗布ローラ3723の上部が、それぞれの紡糸電極3の紡糸部材31のすべてのコード310の活性紡糸区間3100と接触している。塗布ローラ3723は、塗布ローラ駆動体3724と結合される。流体マトリックス38の容器3722は、図示しない周知の駆動体と結合され、その駆動体によって、コードの活性紡糸区間3100の下で、逆行可能な、又は断続的な容器3722の運動が確保される。コードの活性紡糸区間3100に沿った、3722の運動により又は流体マトリックス38の塗布装置37全体の運動により、コードの活性紡糸区間3100への液体マトリックスの塗布が確保される。
【0067】
ここには示さない代替実施例において、塗布ローラ3723は、周囲の下部が液体マトリックス38の中に浸けられ、周囲の上部がそれぞれのコード310の活性紡糸区間3100と接触状態にあるディスクシステムと置き換えられる。或いは、液体マトリックス39の塗布装置37は、図1〜図4の実施例の毛細管塗布手段3721や、可能な他の適切な塗布手段を含んでもよい。
【0068】
代表的実施例において、活性紡糸区間3100において紡糸されなかった非繊維状液体マトリックス38の拭き取り手段3142が、各伸張プーリ314の下部に配置される。拭き取り手段3142は、補助容器3143に通じている。
【0069】
本実施例における紡糸の間、活性紡糸区間3100のコード310は、恒常的且つ連続的に動いてもよく、又は、断続的に動いてもよい。コード310が連続的に動く場合は、流体マトリックス38の塗布装置37は、駆動プーリ313の近くに置かれ、流体マトリックス38は、ゆっくりと移動する個別の紡糸部材31のコード310に連続的に塗布される。流体マトリックス38の塗布は、塗布ローラ3723の回転により行われ、塗布ローラ3723は、その外周によって液体マトリックス38を容器3722から運び出す。コード310は、駆動プーリ313により動かされ、伸張機3141により引っ張られる。コード310がその活性紡糸区間3100を通過した後、紡糸プロセス及び/又は周囲の雰囲気の影響で質が低下した非繊維質の液体マトリックス38は、伸張プーリ314に配置された拭き取り手段3142により拭き取られ、補助容器3143の中に運び入れられる。コード310が断続的に動く場合は、液体マトリックス38の塗布は、コードの活性紡糸区間3100に沿った液体マトリックスの塗布装置37の動きによって実施される。この間、塗布ローラ3723は回転し、その周囲により液体マトリックス38を容器3722から運び出す。液体マトリックス38をコードの活性紡糸区間3100に塗布した後、液体マトリックスの塗布装置37は、両端部の一方に位置する。そして、導電性又は非導電性材料で作製されたコード310と接触したままコード310に電位を伝達するか、或いは、電位が別の方法でコードの活性紡糸区間3100にもたらされる場合は、液体マトリックスの塗布装置37は、コード310から引き離される。
【0070】
紡糸電極3の他の実施例を図6に示す。紡糸部材31は、図5の実施例と同様に収容体32の中に配置される。紡糸部材31は、無限コード310を掛けられた駆動プーリ313と伸張プーリ314とを含み、収集電極に隣接する無限コード310の直線部分は活性紡糸区間3100を形成する。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31の活性紡糸区間3100は、一平面内に配置される。収容体32の中の紡糸部材31のコード310の伸張プーリ314は、図5の実施例と同じ方法で、伸張機3141上に配置される。一つの紡糸電極3のすべての紡糸部材31の駆動プーリ313は、駆動プーリの共通軸3131に装着され、共通軸3131は固定容器373の中に回動可能に装着される。固定容器373は液体マトリックス38で部分的に満たされ、収容体32の中に固定的に装着される。駆動プーリ313は、コード310を掛けられた外周部によって、固定容器373の中の液体マトリックス38の液位の下まで延びている。このことにより、本実施例においては、コード310への液体マトリックス38の塗布装置37が形成される。そして、コード310は、紡糸のために、塗布された液体マトリックス38と共に活性区間3100に入る。エンドレス・コード310の戻り部分が固定容器373の中へ進入する側に、廃棄物容器374が備えられる。廃棄物容器374は、スパットル375を備え、進入する前に、コード310は、スパットル375を介して駆動プーリ313に誘導される。スパットル375の働きにより、活性紡糸区間3100の中で紡糸されなかった液体マトリックス38の残余がコード310から取り除かれる。固定容器373の領域に進入する前のコード310の径路をより良く定めるために、各紡糸部材31のコード310は、誘導部材376により誘導される。誘導部材376は、代表的実施例では回転誘導プーリで形成されるが、他の周知の誘導要素で形成されてもよい。
【0071】
本実施例において、コード310は恒常的に動く状態にあり、液体マトリックス38は、固定容器373からコード310によって運び出される。駆動プーリ313に掛けられているので、動作時に、コード310は、固定容器373の中の液体マトリックス38の液位の下まで到達する。駆動プーリ313の周囲を離れた後、コード310は、液体マトリックス38をその表面に伴い、紡糸が行われているその活性紡糸区間3100に入る。コードの活性紡糸区間3100は、コード310が掛けられた伸張プーリ314で終了する。コード310は、誘導部材376及びスパットル375を通って駆動プーリ313の周囲に戻る。
【0072】
図7は、巻き戻しリール311を含む一つの紡糸部材31を示す。コード310が、巻き戻しリール311から、回動可能に装着された入力誘導プーリ315及び回動可能に装着された出力誘導プーリ316を通って、巻き取りリール312に誘導される。巻き戻しリール311は、巻き戻し駆動体34と結合され、巻き取りリール312は、巻き取り駆動体36と結合される。入力誘導プーリ315と出力誘導プーリ316との間のコード310の部分は、活性紡糸区間3100を形成する。コード310の活性紡糸区間3100への液体マトリックス38の塗布装置37が、収集電極4と反対側から、活性紡糸区間3100に向けて配置される。塗布装置37は、活性紡糸区間3100に沿って逆行可能で移動可能に配置されたスパー371上に装着された2つの液体マトリックスの毛細管塗布装置3721を含む。スパー371は、液体マトリックスの入口3711を備える。
【0073】
液体マトリックス38をコード310の活性紡糸区間3100に塗布する必要がある場合、スパー371が、周知の方法で、活性紡糸区間3100全体に沿って動き出し、流体マトリックス38は毛細管塗布手段3721の中にもたらされる。流体マトリックス38は、これらの手段から外に押し出され、コード310の活性紡糸区間3100に付着する。十分な量の液体マトリックス38が塗布された後、スパー371は停止し、液体マトリックス38の塗布は中断される。ひとたびコード310の活性紡糸区間3100の液体マトリックス38の量が、紡糸可能な最低量に低下すれば、紡糸プロセスが、未だ終了してはいないが、液体マトリックス38不足のために終了してしまう危険に既にあるときには、スパー371は、液体マトリックスの塗布装置37を再び動かし始める。スパー371は、その両死点(dead point)の間で、1回又は複数回の動きをしてもよい。スパー371の動き、即ち毛細管塗布手段3721の動きは、活性紡糸区間3100の領域に紡糸のための十分な量の液体マトリックスが存在するような、頻度及び速度である。
【0074】
図8は、ナノファイバ8を直線繊維状構造(linear fibrous formation)50に紡糸するための紡糸ユニット2の実施例を示し、チェコ共和国特許第2007−179号(CZ PV 2007−179)に詳細に記載されている。紡糸ユニット2の紡糸部材31は、図7の実施例と同じ方法で動作するが、コード310の活性紡糸区間3100への液体マトリックス38の塗布については、他の塗布装置37が使用される点で異なる。収集電極4が活性紡糸区間3100と平行に装着され、また、直線繊維状構造50が収集電極4と平行に誘導される。直線繊維状構造50は、活性紡糸区間3100と収集電極4との間の紡糸空間に入る前に、仮ねじり(false twist)を与えるための周知の装置500を通過し、直線繊維状構造50は、紡糸空間を通過したところで、巻き取りローラ71及び72により取り除かれる。液体マトリックスの塗布装置37の塗布手段372は、上部が開かれた液体マトリックス38の容器3722を含む。塗布ローラ3723が、その容器の中に回動可能に装着され、図示されない駆動体と結合される。塗布ローラ3723の上部は、コード310の活性紡糸区間3100と接触している。容器3722は、コード310の活性紡糸区間3100に沿って移動可能に装着され、図示しない周知の駆動体と結合される。このことにより、活性紡糸区間3100の下での、容器3722の逆行可能な連続的又は断続的な動きが確保される。塗布ローラ3723を有する容器3722の動きに関する要求事項は、前の実施例における要求事項と同等である。
【0075】
図9は、2つの活性紡糸区間3100を有する紡糸部材31の実施例を、概略的に示す。エンドレス・コード310は、駆動プーリ313及び伸張プーリ314の周りに掛けられる。駆動プーリ313と伸張プーリ314との間に、エンドレス・コード310が誘導プーリ317を介して誘導される。駆動プーリ313の側の複数の誘導プーリ317は軸上に並ぶ。その共通軸は、駆動プーリ313の上に配置され、この駆動プーリ313によりはめ込まれる平面と平行で且つ駆動プーリ313の回転軸の方向と直交するように配置される。伸張プーリ314の側の複数の誘導プーリ317は軸上に並ぶ。その共通軸は、伸張プーリ314の上に配置され、この伸張プーリ314によりはめ込まれる(inlaid)平面と平行で、伸張プーリ314の回転軸の方向と直交するように配置される。駆動プーリ313は、液体マトリックスの第1の容器318の中に回動可能に装着され、その周囲の一部分が液位の下まで延びる。伸張プーリ314は、液体マトリックスの第2の容器319の中に回動可能に装着され、その周囲の一部分が液位の下まで延びる。両容器の中の液体マトリックス38は、互いに異なってもよい。それぞれの活性紡糸区間3100におけるコード310は、反対方向に動く。紡糸部材のこの配置により、解決策の種々の変形が可能になる。それらの変形に対して、2つの活性紡糸区間3100が存在し、それらは、一つの平面内に配置されることが好ましい。また、より多くの紡糸部材31が、紡糸電極3で隣り合って配置される場合は、すべての紡糸部材のすべての活性紡糸区間3100が、一つの平面内にある。しかし、図示されない実施例において、一つの紡糸部材31の各紡糸区間は、他の平面内に配置されてもよい。
【0076】
図示されない他の実施例によれば、紡糸部材31は、有限長さの1本のコード310を含むか、或いは、2つ以上の活性紡糸区間3100を含む無限のコード310を含む。そのような実施例は、説明された実施例よりも構造に関する要求が多くなるが、本発明の範囲に含まれる。
【0077】
また、上述の実施例と、その変形例とのすべての組合せ、とりわけ、装置の一部又は装置の要素の一部を、同一または同等の機能を持つ等価物または同様の部品によって置換することにより生じる変形例とのすべての組合せも、本発明の範囲に含まれる。とりわけ、液体マトリックスの塗布装置37、拭き取り手段3142及びスパットル375、紡糸部材31の配置、並びにそれらの部品、駆動体などに関して、上述の実施例とその変形例とのすべての組合せが、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 紡糸室
11、12 分離隔壁
2 紡糸ユニット
3 紡糸電極
31 紡糸部材
310 コード
3100 コードの活性紡糸区間
311 巻き戻しリール
312 巻き取りリール
313 駆動プーリ
3131 駆動プーリ軸
3132 駆動プーリ駆動体
314 伸張プーリ
3141 伸張機
3142 液体マトリックスの拭き取り手段
3143 補助容器
315 入力誘導プーリ
316 出力誘導プーリ
317 誘導プーリ
318 第1の液体マトリックスの容器
319 第2の液体マトリックスの容器
32 収容体
321 支持体
33 巻き戻し軸
34 巻き戻し駆動体
35 巻き取り軸
36 巻き取り駆動体
37 液体マトリックスの塗布装置
370 液体マトリックスの拭き取り装置
371 スパー
3711 液体マトリックスの入口
372 塗布手段
3721 毛細管塗布手段
3722 上部が開かれた液体マトリックスの容器
3723 塗布ローラ
3724 塗布ローラ駆動体
373 静止した容器
374 廃棄物容器
375 スパットル
376 誘導部材
38 液体マトリックス
4 収集電極
5 基層材料
51 ナノファイバ層
52 基層材料の運動方向
61、62 供給ローラ
71、72 巻き取りローラ
8 ナノファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの紡糸電極(3)と前記紡糸電極(3)に対向して配置された収集電極(4)との間の静電界中において液体マトリックス(38)を紡糸する方法であって、
電極(3、4)のうちの一方を高電圧源の一方の極に接続し、第2の電極(4、3)を高電圧源の反対の極に接続するか又は接地し、
紡糸される液体マトリックス(38)を、静電界中において、前記紡糸電極(3)の紡糸手段(31)のコード(310)の活性紡糸区間(3100)に存在させる、紡糸する方法において、
紡糸プロセスの間、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)が、前記収集電極(4)に対して安定した位置を取るようにし、前記液体マトリックス(38)を、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への塗布、又は前記コード(310)の長さ方向の運動のいずれかによって、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)へ送ることを特徴とする紡糸する方法。
【請求項2】
紡糸の間、静電界中において、前記コード(310)の静止した前記活性紡糸区間(3100)に前記液体マトリックス(38)を塗布し、さらに、必要な場合には、紡糸によって及び/又は周囲の雰囲気の影響によって質が低下した前記液体マトリックス(38)を、前記静止した活性紡糸区間(3100)から拭き取ることを特徴とする、請求項1に記載された紡糸する方法。
【請求項3】
前記液体マトリックス(38)を、静電界中において、前記コードの前記静止した活性紡糸区間(3100)に随意的な間隔で塗布し、前記質が低下した液体マトリックス(38)を、前記活性紡糸区間から異なる随意的な間隔で拭き取ることを特徴とする、請求項2に記載された紡糸する方法。
【請求項4】
前記質が低下した液体マトリックス(38)の前記コードの前記活性紡糸区間(3100)からの拭き取りを、前記コードの活性紡糸区間(3100)に前記液体マトリックス(38)を塗布する前に実施することを特徴とする、請求項3に記載された紡糸する方法。
【請求項5】
前記拭き取りを、前記液体マトリックス(38)の各塗布の前に実施することを特徴とする、請求項4に記載された紡糸する方法。
【請求項6】
前記紡糸電極(3)が、一つの平面内に隣り合って配置された、より多くの前記コード(310)の活性紡糸区間(3100)を含み、前記紡糸電極(3)における前記コードの活性紡糸区間(3100)からの質が低下して固着した液体マトリックス(38)の拭き取りが、より多くの前記コードの活性紡糸区間(3100)において同時に行われ、順に続く前記コードの活性紡糸区間(3100)が拭き取られる間、常に少なくとも1つの前記コードの活性紡糸区間(3100)が、塗布された液体マトリックス(38)を伴うことを特徴とする、請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載された紡糸する方法。
【請求項7】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)を、その長さ方向に、静電界を通って、連続的に又は断続的に動かすことを特徴とする、請求項1に記載された紡糸する方法。
【請求項8】
紡糸の間、前記液体マトリックス(38)を、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に、静電界中において塗布することを特徴とする、請求項7に記載された紡糸する方法。
【請求項9】
前記液体マトリックス(38)を、前記コード(310)の長さ方向の運動において、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に塗布することを特徴とする、請求項8に記載された紡糸する方法。
【請求項10】
前記液体マトリックス(38)を、動いていない前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に塗布することを特徴とする、請求項8に記載された紡糸する方法。
【請求項11】
前記コード(310)が前記活性紡糸区間(3100)に進入する前に、前記液体マトリックス(38)を前記コード(310)に塗布することを特徴とする、請求項7に記載された紡糸する方法。
【請求項12】
少なくとも1つの紡糸電極(3)と前記紡糸電極(3)に対向して配置された収集電極(4)との間の静電界中において液体マトリックス(38)の静電紡糸によりナノファイバを製造する装置であって、
電極(3、4)のうちの一方が高電圧源の一方の極に接続され、第2の電極(4、3)が高電圧源の反対の極に接続されるか又は接地されており、前記紡糸電極(3)が、コード(310)を有する少なくとも1つの紡糸部材(31)を含み、前記コード(310)は、ナノファイバ(5)を堆積する平面及び/又は収集電極(4)に平行な直線部分を含み、前記直線部分が前記コードの活性紡糸区間(3100)を形成する、ナノファイバを製造する装置において、
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)の前記活性紡糸区間(3100)が前記収集電極(4)に対して安定した位置を取り、前記液体マトリックス(38)の塗布装置(37)が、前記コード(310)に向けて配置されていることを特徴とする、ナノファイバを製造する装置。
【請求項13】
前記コード(310)が静止したコードであり、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記コードの活性紡糸区間(3100)からの前記液体マトリックス(38)の拭き取り装置(370)が、前記コードの活性紡糸区間(3100)に向けて配置されていることを特徴とする、請求項12に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項14】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記コードの前記活性紡糸区間(3100)からの前記液体マトリックス(38)の前記拭き取り装置(370)が、前記紡糸電極(3)の収容体(32)の中に装着され、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に沿って逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項13に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項15】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記活性紡糸区間からの前記液体マトリックス(38)の前記拭き取り装置(370)が、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に向かう方向に、逆行可能で移動可能に配置されていることを特徴とする、請求項13に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項16】
前記コード(310)が、その長さ方向に動かせるように装着されていることを特徴とする、請求項12に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項17】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)より数倍長い一定の長さを有し、その始まりが巻き戻しリール(311)に装着され、その終わりが巻き取りリール(312)に装着され、前記巻き取りリール(312)が巻き取り駆動体(36)と結合されていることを特徴とする、請求項16に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項18】
前記巻き戻しリール(311)が巻き戻し駆動体(34)と結合されていることを特徴とする、請求項17に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項19】
前記液体マトリックス(38)のスパットル(375)が、前記活性紡糸区間(3100)の裏側の前記コード(310)の運動方向において、前記コード(310)の軌道の中の前記巻き取りリール(312)の前に配置されていることを特徴とする、請求項17又は請求項18に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項20】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、少なくとも駆動プーリ(313)の周り及び伸張プーリ(314)の周りに掛けられたエンドレス・ループで形成されていることを特徴とする、請求項16に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項21】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、2つの活性紡糸区間(3100)を有し、前記2つの活性紡糸区間(3100)は、ナノファイバを堆積するための平面及び/又は前記収集電極(4)に平行な平面内に配置され、活性紡糸区間(3100)の前記コード(310)の運動方向が反対方向であることを特徴とする、請求項16から請求項20までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項22】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中で、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に沿って逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項16から請求項21までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項23】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に対して近づいたり離れたりする方向に逆行可能に配置されていることを特徴とする、請求項22に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項24】
前記装置が、前記コード(310)を備える少なくとも2つの隣り合って配置された紡糸部材(31)を含み、前記コード(310)の活性紡糸区間(3100)が、前記収集電極(4)又は前記収集電極の平面に平行な平面内に配置されていることを特徴とする、請求項12から請求項23までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項25】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、毛細管塗布手段(3721)を含むことを特徴とする、請求項12から請求項24までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項26】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、液体マトリックス(38)の前記容器(3722)を備え、塗布ローラ(3723)が、前記容器(3722)の中に回動可能に装着され、前記塗布ローラ(3723)の周囲の一部分が容器(3722)内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びており、前記塗布ローラ(3723)が、その塗布位置において前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に接触することを特徴とする、請求項12から請求項24までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項27】
前記液体マトリックスの前記塗布装置(37)が、前記コードの運動方向に、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)の前に配置されていることを特徴とする、請求項16から請求項21までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項28】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、巻き戻しリール(311)で形成され、前記巻き戻しリール(311)は、液体マトリックス(38)の容器の中に装着され、前記コード(310)が掛けられたその周囲の一部分が、容器内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びていることを特徴とする、請求項27に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項29】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、駆動プーリ(313)で形成され、前記駆動プーリ(313)は、前記液体マトリックス(38)の容器の中に装着され、前記コード(310)が掛けられたその周囲の一部分が容器内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びていることを特徴とする、請求項27に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項30】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)が、製造されたナノファイバ(8)層を取り外す方向と平行であることを特徴とする、請求項12から請求項29までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項31】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)が、製造されたナノファイバ(8)層を取り外す方向と直交することを特徴とする、請求項12から請求項29までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項32】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)が、製造されたナノファイバ(8)層を取り外す方向と鋭角又は鈍角を成すことを特徴とする、請求項12から請求項29までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項33】
前記コード(310)が導電性材料で作製されていることを特徴とする、請求項12から請求項32までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項34】
前記コード(310)が非導電性材料で作製され、電流が前記液体マトリックスの中に供給され、前記コード(310)又は少なくともその活性紡糸部分(3100)が前記液体マトリックスと恒常的に接触していることを特徴とする、請求項12から請求項32までのいずれか一項に記載された、ナノファイバを製造する装置。
【請求項35】
少なくとも1つの紡糸電極と前記紡糸電極に対向して配置された少なくとも1つの収集電極との間に生成される電界中において液体マトリックスの静電紡糸によりナノファイバを製造する装置の紡糸電極であって、
電極のうちの一方が高電圧源の一方の極に接続され、第2の電極が高電圧源の反対の極に接続されるか又は接地されており、前記紡糸電極が、少なくとも1つの紡糸部材を含み、前記紡糸部材が、前記紡糸電極の収容体の中に装着され、コードを有しており、前記コードは、ナノファイバを堆積する平面及び/又は収集電極に平行な直線部分を含み、前記直線部分がコードの活性紡糸区間を形成する、紡糸電極において、
前記コード(310)の前記活性紡糸区間(3100)が、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中で安定した位置を取り、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中に配置された前記コード(310)への前記液体マトリックス(38)の塗布装置(37)が、前記コード(310)に向けて配置されていることを特徴とする紡糸電極。
【請求項36】
前記コード(310)が静止したコードであり、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記コードの前記活性紡糸区間(3100)からの質が低下した液体マトリックス(38)の拭き取り装置(370)が、前記コードの活性紡糸区間(3100)に向けて配置されていることを特徴とする、請求項35に記載された紡糸電極。
【請求項37】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記コードの前記活性紡糸区間(3100)からの前記液体マトリックス(38)の前記拭き取り装置(370)が、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中に装着され、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)の長さ方向に逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項36に記載された紡糸電極。
【請求項38】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)、及び前記活性紡糸区間からの前記液体マトリックス(38)の前記拭き取り装置(370)が、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中に、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に向かう方向に、逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項37に記載された紡糸電極。
【請求項39】
前記紡糸電極(32)の前記収容体(32)の中の前記コード(310)が、その長さ方向に動かせるように装着されていることを特徴とする、請求項35に記載された紡糸電極。
【請求項40】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)より数倍長い一定の長さを有し、その始まりが、前記収容体(32)の中に回動可能に装着された巻き戻しリール(311)に装着され、その終わりが、前記収容体(32)の中に回動可能に装着された巻き取りリール(312)に装着され、前記巻き取りリール(312)が巻き取り駆動体(36)と結合されていることを特徴とする、請求項39に記載された紡糸電極。
【請求項41】
前記巻き戻しリール(311)が巻き戻し駆動体(34)と結合されていることを特徴とする、請求項30に記載された紡糸電極。
【請求項42】
前記液体マトリックス(38)のスパットル(375)が、前記活性紡糸区間(3100)の裏側の前記コード(310)の運動方向において、前記コード(310)の軌道の中の前記巻き取りリール(312)の前に配置されていることを特徴とする、請求項40又は請求項41に記載された紡糸電極。
【請求項43】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、少なくとも駆動プーリ(313)の周り及び伸張プーリ(314)の周りに掛けられたエンドレス・ループで形成され、前記駆動プーリ及び前記伸張プーリが前記収容体(32)の中に回動可能に装着されていることを特徴とする、請求項39に記載された紡糸電極。
【請求項44】
前記紡糸部材(31)の前記コード(310)が、2つの活性紡糸区間(3100)を有し、前記2つの活性紡糸区間(3100)は、ナノファイバを堆積するための平面及び/又は前記収集電極(4)に平行な平面内に配置され、活性紡糸区間(3100)の前記コード(310)の方向が反対方向であることを特徴とする、請求項39から請求項43までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項45】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、前記紡糸電極(3)の前記収容体(32)の中で、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に沿って逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項39から請求項44までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項46】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に対して近づいたり離れたりする方向に逆行可能で移動可能に装着されていることを特徴とする、請求項45に記載された紡糸電極。
【請求項47】
前記紡糸電極が、前記コード(310)を備える少なくとも2つの隣り合って配置された紡糸部材(31)を含み、前記コード(310)の活性紡糸区間(3100)が一つの平面内に配置されていることを特徴とする、請求項39から請求項46までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項48】
前記コードの前記活性紡糸区間(3100)への前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、毛細管塗布手段(3721)を含むことを特徴とする、請求項35から請求項47までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項49】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、液体マトリックス(38)の前記容器(3722)を備え、塗布ローラ(3723)が、前記容器(3722)の中に回動可能に装着され、前記塗布ローラ(3723)の周囲の一部分が前記容器(3722)内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びており、前記塗布ローラ(3723)が、塗布位置において前記コードの前記活性紡糸区間(3100)に接触することを特徴とする、請求項35から請求項47までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項50】
前記液体マトリックスの前記塗布装置(37)が、前記コードの運動方向に、前記コードの前記活性紡糸区間(3100)の前に配置されていることを特徴とする、請求項39から請求項44までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項51】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、巻き戻しリール(311)で形成され、前記巻き戻しリール(311)は、前記収容体(32)の中に配置された液体マトリックス(38)の前記容器の中に装着され、掛けられたコードの周囲の一部分が、容器内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びていることを特徴とする、請求項50に記載された紡糸電極。
【請求項52】
前記液体マトリックス(38)の前記塗布装置(37)が、駆動プーリ(313)で形成され、前記駆動プーリ(313)は、前記液体マトリックス(38)の容器の中に装着され、掛けられたコードの周囲の一部分が容器内の前記液体マトリックス(38)の液位の下まで延びていることを特徴とする、請求項50に記載された紡糸電極。
【請求項53】
前記コード(310)が導電性材料で作製されていることを特徴とする、請求項35から請求項52までのいずれか一項に記載された紡糸電極。
【請求項54】
前記コード(310)が非導電性材料で作製され、電流がポリマー溶液に供給され、前記コード(310)又は少なくともその活性紡糸区間(3100)が前記ポリマー溶液と恒常的に接触していることを特徴とする、請求項35から請求項52までのいずれか一項に記載された紡糸電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−533797(P2010−533797A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516359(P2010−516359)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/CZ2008/000082
【国際公開番号】WO2009/010020
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(507336444)エルマルコ、エス.アール.オー (17)
【Fターム(参考)】