説明

液体マレイン化ブチルゴム

本発明は、C〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14マルチオレフィンモノマーとのポリマー、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤を含むグラフト化液体ポリマー、ならびにグラフト化液体ポリマーを調製するための方法に関する。より具体的には、液体マレイン化ブチルゴム組成物が開示される。本発明はまた、多官能アミンの存在下で硬化させることができるグラフト化液体ポリマー組成物に関する。本発明の組成物は、射出成形燃料電池ガスケット、接着剤、シーラントまたはポリウレタンのような基材などを含むさまざまな用途に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体マレイン化ブチルゴム組成物に関する。本発明はまた、液体マレイン化ブチルゴム組成物を調製するための方法に関する。本発明はまた、多官能アミンの存在下で硬化させることができる液体マレイン化ブチルゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブチルゴム(イソブチレンおよび少量のイソプレンのコポリマー)は、その優れた絶縁特性およびガスバリヤー特性について公知である。その用途の多くで、ブチルゴムは、硬化化合物の形態で使用される。このポリマーのために通常用いられる加硫系には、硫黄、キノイド化合物、樹脂、硫黄供与体および低硫黄高性能加硫促進剤などが含まれる。
【0003】
イソブチレンのラジカル重合は、この系に存在する本来的な自己阻害機構のために実用的でないことは周知である。実際に、ラジカル源の存在下でイソブチレンの開始は急速である。しかし、その重合反応速度定数(k)は、非常に小さく、その好ましい反応経路(阻害定数、k)では、イソブチレン分子からアリル水素の引き抜きがある(k>>k)。
【0004】
ブチルゴムおよびポリイソブチレンが、有機ペルオキシドの作用下で分解することも周知である。さらに、(特許文献1)および(特許文献2)では、C〜Cのイソモノオレフィンおよび上限10重量%のイソプレンもしくは上限20重量%のパラアルキルスチレンのコポリマーが、高せん断混合を施されると分子量減少を来たすことが教示されている。この効果は、フリーラジカル開始剤の存在下で増強される。
【0005】
Whiteら((特許文献3))は、当初は単峰性の分子量分布を有するポリマー由来の、双峰性の分子量分布を有するポリマーを得るための後重合方法について主張した。このポリマー、例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、または、イソブチレンおよびパラメチルスチレンのコポリマーを多不飽和架橋剤(および、場合によって、フリーラジカル開始剤)と混合し、有機ペルオキシドの存在下で高せん断混合状態下に置いた。
【0006】
同様に、ポリオレフィンのマレイン化は、珪質繊維および/またはクレー繊維との相互作用の改善された水準を有するマレイン化物質(マレイン化ポリエチレンなど)の調製において使用されてきた周知の方法である。これらの物質の調製は、ポリマー基材がマレイン酸無水物およびペルオキシド開始剤と一緒に混合される反応押出装置の使用によって得られる。
【特許文献1】米国特許第3,862,265号明細書
【特許文献2】米国特許第4,749,505号明細書
【特許文献3】米国特許第5,578,682号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
今や驚くべきことに、ブチルゴム(IIR)のラジカル分解とペルオキシド開始マレイン化とを組み合わせることによって、IIRの分子量を減少させると同時にそのマレイン化を引き起こすことが可能であり、結果として化学的に同じであるが物理的に異なる、酸無水物官能基を有する液体物質をもたらすことが発見された。さらに驚くべきことに、ジアミンまたはジオールの存在下でこれらの物質を硬化させることが可能であることが発見された。
【0008】
本発明は、C〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマー、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤を含む、グラフト化液体ポリマーに関する。
【0009】
本発明はまた、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマーを反応させる工程を含む、ポリマーをグラフト化するための方法に関する。
【0010】
本発明はまた、非液体ポリマーをグラフト化液体ポリマーに分解するための方法であって、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとの非液体ポリマーを反応させ、グラフト化液体ポリマーを形成する工程を含む、方法に関する。
【0011】
本発明はまた、硬化化合物を調製するための方法であって、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマーを反応させ、グラフト化液体ポリマーを形成する工程と、次いで、多官能アミン硬化剤の存在下でグラフト化液体ポリマーを硬化させる工程とを含む、方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
これから、本発明を説明するために述べるが、限定するためではない。実施例を操作する場合または他に特記される場合を除いて、本明細書における量、パーセンテージなどを表す全ての数字は、全ての例において「約」の用語によって修飾されていると理解されるべきである。また、全ての範囲には、本明細書において特に列挙されるまたはされないこともある、開示される最大点および最小点の任意の組み合わせが含まれるとともに、その中の任意の中間の範囲が含まれる。
【0013】
本発明は、ブチルポリマーに関する。「ブチルゴム」、「ブチルポリマー」および「ブチルゴムポリマー」の用語は、本明細書を通して同義的に使用される。本発明による好適なブチルポリマーは、C〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとを含むモノマー混合物から誘導される。
【0014】
好ましくは、モノマー混合物は、約80重量%〜約99重量%のC〜Cのモノオレフィンモノマーと約1.0重量%〜約20重量%のC〜C14のマルチオレフィンモノマーとを含む。より好ましくは、モノマー混合物は、約85重量%〜約99重量%のC〜Cのモノオレフィンモノマーと約1.0重量%〜約15重量%のC〜C14のマルチオレフィンモノマーとを含む。最も好ましくは、モノマー混合物は、約95重量%〜約99重量%のC〜Cのモノオレフィンモノマーと約1.0重量%〜約5.0重量%のC〜C14のマルチオレフィンモノマーとを含む。
【0015】
好ましいC〜Cのモノオレフィンモノマーは、イソブチレン、イソブチレンのホモポリマー、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよびそれらの混合物から選択され得る。最も好ましいC〜Cのモノオレフィンモノマーは、イソブチレンである。
【0016】
好ましいC〜C14のマルチオレフィンモノマーは、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエンおよびそれらの混合物から選択され得る。最も好ましいC〜C14のマルチオレフィンモノマーは、イソプレンである。
【0017】
本発明のための好適なブチルゴムポリマーを調製するために使用されるモノマー混合物は、さらなるモノマーがモノマー混合物中のその他のモノマーと共重合可能であるという条件で、架橋剤、連鎖移動剤およびさらなるモノマーを含んでもよい。好適な架橋剤、連鎖移動剤およびモノマーとしては、当業者に公知な全てが含まれる。
【0018】
本発明において有用なブチルゴムポリマーは、当該技術分野において公知な任意の方法によって調製でき、従って、本方法は、モノマー混合物を重合させる特別の方法に限定されない。このような方法は、当業者に周知であり、通常、上記のモノマー混合物を触媒系と接触させることを含む。重合は、ブチルポリマーの製造において慣用される温度、例えば、−100℃〜+50℃の範囲で行うことができる。ポリマーは、溶液中の重合またはスラリー重合方法によって生成してもよい。重合は、懸濁液中で行うことができ(スラリー方法)、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5版、完全改訂版、第A23巻;Elversら編集、290〜292頁)を参照されたい。工業的規模では、ブチルゴムは低温でカチオン溶液重合によるイソブテン/イソプレンコポリマーとしてほとんど専ら製造され、例えば、Kirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第2版、第7巻、688頁、Interscience出版社、NewYork/London/Sydney、1965年およびWinnacker−Kuchler、Chemische Technologie、第4版、第6巻、550〜555頁、Carl Hanser Verlag、Munchen/Wien、1962年を参照されたい。「ブチルゴム」の表現はまた、ハロゲン化ブチルゴムを意味し得る。
【0019】
本発明によれば、ブチルゴムをエチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体(エステル、アミド、酸無水物を含む)などのグラフト材料でグラフト化することができる。本発明によれば、グラフトは任意の慣用および公知のグラフト方法によって達成することができる。好適なグラフト材料としては、マレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘミン酸無水物(hemic anhydride)、あるいはその対応するジカルボン酸、例えば、マレイン酸もしくはフマル酸またはそれらのエステルなどがある。グラフト材料は一般に、ブチルゴム100部(phr)に基づいて0.1〜15phrの範囲の量、好ましくは1〜10phrの範囲の量、より好ましくは3〜5phrの範囲の量で使用される。
【0020】
好ましくは、ブチルゴムのグラフトは、溶媒を使用することなくフリーラジカル誘導グラフトによって行われる。フリーラジカルグラフトは、好ましくは、ペルオキシドおよびヒドロペルオキシド、好ましくは約100℃超の沸点を有するものなどのフリーラジカル開始剤を使用して実施できる。好適なフリーラジカル開始剤としては、限定されないが、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3(Luperox(登録商標)130、Arkema Group)もしくはそのヘキサン類似物,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン(Luperox(登録商標)101、Arkema Group)、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドなどがある。ブチルゴムのフリーラジカル誘導グラフトはまた、放射線、せん断または熱分解によって実施することもできる。
【0021】
開始剤は一般に、ブチルゴム100phrに基づいて約0.1phr〜約5phrのレベル、好ましくは約0.3〜約3phrのレベル、より好ましくは約0.5〜約1phrのレベルで使用する。グラフト材料とフリーラジカル開始剤とは一般に、1:1〜20:1、好ましくは5:1〜10:1の重量比の範囲で使用する。
【0022】
開始剤の分解および/またはグラフトは、当業者に公知な任意の方法によって行うことができ、好ましくは、50〜250℃、好ましくは160〜200℃の温度範囲で実施する。不活性雰囲気が好ましく使用される。分解およびグラフトの総時間は、通常1〜30分の範囲である。分解およびグラフトは、内部ミキサー、2ロールミル、単軸押出機、二軸押出機またはそれらの任意の組み合わせにおいて実施できる。一般に、フリーラジカル開始剤の存在下でポリマーおよびグラフト剤の高せん断混合を行うことが好ましい。
【0023】
本発明によって調製されるグラフト化ブチルポリマーは、液体であり、一般に、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定して約200,000〜約20,000、より好ましくは約150,000〜約30,000、なおより好ましくは約100,000〜約40,000、さらにより好ましくは約95,000〜約50,000の範囲の数平均分子量(Mn)を示す。
【0024】
多分散性指数(PDI)は、MとMとの比であり、好ましくは約1〜3、より好ましくは約1〜2.5、なおより好ましくは約1〜2の範囲である。
【0025】
本発明によって調製される液体グラフト化ポリマーは、多官能アミンまたはジオールの存在下で硬化させることができる。好適な多官能アミンは、式NRNからなり、ここでxおよびyは、同じであるかまたは異なる整数であり、2または2より大きい値を有し、Rは、任意の公知の線状、環状もしくは分枝状の有機または無機のスペーサーである。好適な多官能アミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ヘキサメチレンビス(2−アミノ−プロピル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレン−ポリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタン−ジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、β−(4−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノトルエン、ジアミノアントラセン、ジアミノナフタレン、ジアミノスチレン、メチレンジアニリン、2,4−ビス(4−アミノベンジル)アニリン、アミノフェニルエーテル、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ベンゼンテトラミン、1,6−ジアミノヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)メタンおよび1,3−フェニレンジアミンなどがある。
【0026】
本発明による組成物は、射出成形燃料電池ガスケット、接着剤、シーラントまたはポリウレタンのような基材を含むさまざまな用途に有用であり得る。
【実施例】
【0027】
GPC分析を、Waters Alliance 2690 Separations ModuleおよびViscotek Model 300 Triple Detector Arrayを使用して行った。GPC試料を、テトラヒドロフラン(THF)中に溶解して調製した。マレイン酸無水物(MAn)含量は、校正したフーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)手順を使用して測定した。検量線データを、2−ドデセン−1−イル−コハク酸無水物(DDSA)の既知量を含むヘキサン溶液からIIRフィルムをキャストすることによって生成した。酸無水物由来のカルボニルの主共鳴の吸収(1830cm−1〜1749cm−1)を、ポリマー骨格の共鳴(978cm−1〜893cm−1)を使用してフィルム厚さに対して規格化し、グラフト変性IIRにともなう酸無水物官能基の重量%についての線形の検量線を作成した。
【0028】
架橋度は、ゲル含量分析によって測定した。試料の既知の質量を、3時間金網袋から還流でトルエンによって抽出し、その後その袋を恒量まで乾燥した。ゲル含量を未抽出ポリマーの重量%として報告した。
【0029】
実施例2から実施例10のマレイン化/分解反応を、以下の手順によって実施した:IIR(表1および表2を参照)を、表1に示したDCP(ジクミルペルオキシド、Aldrich Chemical社)もしくはLuperox(登録商標)130(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、Arkema Group)およびマレイン酸無水物(MAn)の必要量と、Haakeバッチ混合器中で室温で混合した。次いで、得られたマスターバッチをAtlas Laboratories Minimixer中で160℃または200℃で反応させ、IIR−g−MAnを生成した。
【0030】
得られたマレイン化ブチル生成物(1〜2g)をヘキサン(約15ml)に溶解し、次いで、アセトン(約150ml)から沈殿させた。ポリマー分離を容易にするために、沈殿後低分子量試料を12時間そのまま放置した。全ての物質を真空下で乾燥し、酸無水物含量を校正FT−IR手順を使用して測定した。
【0031】
一連のGPC実験を終了して、少量のペルオキシドがIIRの分子量を減少させる度合いを求めた。実施例1から実施例10で、IIRの分解におけるペルオキシドおよびMAnの役割を調べた。表1に示されたデータからわかるように、MAnおよびDCPの組み合わせは、最大のかなり多い分解量を生じる。
【0032】
【表1】

【0033】
結合ポリマー含量を、過剰のアミノプロピルトリメトキシシランでMAnグラフト化ブチルゴムを処理して測定した。この目的のために、トルエン中マレイン化IIRの2重量%溶液を機械攪拌ガラス反応器に入れた。次いで、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS、グラフト化酸無水物に対して3等量)を加え、この混合物を30分間還流した。冷却後、試料をFT−IR分析のために採取し、次いで、シリカ(HiSil(登録商標)233、PPG Industries社、40重量%)を加えた。この混合物を20分間還流し、アセトン(約200mL)から沈殿させた。回収した物質を真空下で恒量まで乾燥し、金網袋に入れた。次いで、試料を沸騰トルエンで2時間抽出し、乾燥し、再度重量を測定した。試料中に保持されたシリカの収支を明らかにした後、不溶性ポリマーの重量パーセントとしてデータを記録した。表1に記載されたイミド化の結果は、シリカ結合が変性ポリマーの非常に高割合を不溶性にさせることを示し、これは鎖間のグラフトの組成分布が比較的均一であることを示唆する。
【0034】
実施例9から実施例10において、架橋反応を以下の手順によって実施した:表2に示されるペルオキシドおよびマレイン酸無水物の必要量を有する、上記(実施例4)で検討した方法によって調製したIIR−g−MAn(約1g)を、グラフト化酸無水物含量に対して1/3等量のトリス(2−アミノエチル)アミンと一緒に、トルエン(50ml)中に溶解した。この溶液を30分間で約100℃に加熱し、このポリマーをアセトンから沈殿によって分離し、真空下で乾燥した。
【0035】
上記したように、IIRをMAnおよびDCPもしくはL130で処理すると、IIRポリマー骨格上にMAnのグラフト化を生じる。実施例8において、IIR−g−MAnをアミノプロピルトリメトキシシランで処理し、これはイミド誘導体を生成した。この物質は、シリカ表面と反応できるトリメトキシシラン官能基を有した。この物質をシリカで処理した後で、結合ポリマー含量が89重量%であることがわかった。この結合ポリマー含量を、還流ヘキサン中で1時間シリカ反応物質をソックスレー抽出することによって測定した。
【0036】
表2に記載された結果は、実施例8のシリカ結合が変性ポリマーの非常に高い割合を不溶性にさせることを示し、これは鎖間のグラフトの組成分布が比較的均一であることを示唆する。
【0037】
【表2】

【0038】
実施例は、梱包形態で供給された市販のIIR(RB301)を分解すると同時にマレイン化し、多官能アミンの存在下で硬化させることができる液体IIR類似物(IIR−g−MAn)を生成する能力を示す。本発明は、梱包IIRゴムを自由に流動するマレイン化液体類似物に変換することを可能にする。
【0039】
本発明について説明のために上記に詳細に述べたが、このような詳細はその目的のためのみであり、特許請求の範囲によって限定され得る場合を除いて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によってその中で変更を施すことができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】イソブチレンのラジカル重合を示す図である。参照のために、脂肪族水素、ビニル水素およびアリル水素についての結合解離エネルギーを含める。
【図2】ジアミンの存在下でマレイン酸無水物官能化IIRの硬化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマー、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤を含む、グラフト化液体ポリマー。
【請求項2】
前記C〜Cのモノオレフィンモノマーが、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項3】
前記C〜C14のマルチオレフィンモノマーが、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエンおよびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項4】
前記グラフト化液体ポリマーが、150,000〜30,000の数平均分子量(M)を有する、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項5】
前記グラフト化液体ポリマーが、1〜3の多分散性指数(PDI)を有する、請求項4に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項6】
前記グラフト材料が、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体である、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項7】
前記グラフト材料が、マレイン酸無水物である、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項8】
前記フリーラジカル開始剤が、有機ペルオキシドまたは有機ヒドロペルオキシドである、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項9】
前記フリーラジカル開始剤が、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドからなる群から選択される、請求項1に記載のグラフト化液体ポリマー。
【請求項10】
請求項1に記載のグラフト化液体ポリマーおよび多官能アミン硬化剤を含む硬化化合物。
【請求項11】
前記多官能アミン硬化剤が、式:
RN
(式中、は、2以上の整数であり、は、2以上の整数であり、Rは、線状、環状もしくは分枝状の有機または無機スペーサーである)からなる、請求項10に記載の硬化化合物。
【請求項12】
グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマーを反応させる工程を含む、液体グラフト変性ポリマーを調製するための方法。
【請求項13】
前記C〜Cのモノオレフィンモノマーが、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよびそれらの混合物から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記C〜C14マルチオレフィンモノマーが、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエンおよびそれらの混合物から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記グラフト化液体ポリマーが、150,000〜30,000の数平均分子量(M)を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記グラフト化液体ポリマーが、1〜3の多分散性指数(PDI)を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記グラフト材料が、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記グラフト材料が、マレイン酸無水物である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記フリーラジカル開始剤が、有機ペルオキシドまたは有機ヒドロペルオキシドである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記フリーラジカル開始剤が、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
非液体ポリマーをグラフト化液体ポリマーに分解するための方法であって、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとの非液体ポリマーを反応させ、グラフト化液体ポリマーを形成する工程を含む、方法。
【請求項22】
硬化化合物を調製するための方法であって、グラフト材料およびフリーラジカル開始剤の存在下でC〜CのモノオレフィンモノマーとC〜C14のマルチオレフィンモノマーとのポリマーを反応させ、グラフト化液体ポリマーを形成する工程と、次いで、多官能アミン硬化剤の存在下で前記グラフト化液体ポリマーを硬化させる工程とを含む、方法。
【請求項23】
前記多官能アミン硬化剤が、式:
RN
(式中、は、2以上の整数であり、は、2以上の整数であり、Rは、線状、環状もしくは分枝状の有機または無機スペーサーである)からなる、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−500501(P2009−500501A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520683(P2008−520683)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001115
【国際公開番号】WO2007/006138
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(506241042)ランクセス・インコーポレーテッド (20)
【出願人】(391018835)クイーンズ ユニバーシティ アット キングストン (9)
【氏名又は名称原語表記】QUEEN’S UNIVERSITY AT KINGSTON
【Fターム(参考)】